記事情報
この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: Investor School (Y Combiantor)
目次
- Paul Buchheit の紹介
- Paul Buchheit の経験を振り返りながら、数千の中から見えてきた投資のためのパターンを探る
- いいアイデアだけに限定しない
- Paul が Google に入った理由は「Google を使っていたから」と「Google が Linux を使っていたから」
- Google には「スタートアップを学ぶため」に入った(お金を稼ぐつもりではなかった)
- Summer Founders Program (Y Combinator) も最初はバカバカしいアイデアだと思われていた
- Y Combinator に辿り着いたのは「何かを学びたかったから」
- WuFoo に出会う
- Justin.tv との出会い
- Twitch へのピボット
- 自分自身のスタートアップ FriendFeed を創業する
- 素晴らしいチームを作る重要性
- PB 流、投資するべきスタートアップの選び方
- 投資家として犯してしまったミス
- Paul による創業者のチェックリスト
- Q&A
- バイオ関連企業はマーケットリスクではなくプロダクトリスク
- Justin.tv のようなバカバカしいアイデアに投資したのは「何が起こるか予想がつかなかったから」と「学びのプロセスを Move Fast で回していたから」
- 創業者が Move Fast かどうかを知るためには、今までのことと、今後のスケジュールを聞く
- 投資の理論に注力するだけではなく、運も考える
- ICO などで集めた巨額のお金があると、まっとうな方法しか選べなくなる
- 専門的な技術を持つ会社に投資するために:そもそも投資家はほとんどのことに創業者より知識がない。だからワクワクするものを選ぶ
- 創業者のコミット度合いを測るにはプランBがあるかどうかを確認する
- 投資家が自分の知っている分野を Unlearn する重要性
Geoff Ralston
Daltonが言ったように、創業者に会って意思決定をするのは、理論的な科学というよりは匠の技に近いものです。しかし残念ながら、投資というゲームでは、投資に関連する問題解決のエキスパートになるために、学習費用としていくらかは失わなければならないことになると思います。
Paul Buchheit の紹介
次のレクチャーはおそらく誰よりもこのようなことについて知恵と知識を持っている方です。
しかし、PB を紹介する前に一つライブストリームの視聴者の方に向けて配信のトラブルについてお詫びしなければなりません。言いましたように、私たちがこの講義をここMountain View で行うのは初めてのことです。ですのでいくらかスムーズにいかないこともあります。
いい知らせとしては全ての資料がウェブサイトにアップされるということです。これがまずアップされましたら、もう少しネットワークの問題に対して抗えるのではないかと思います。まだ問題があるとしたら原因はこちら側ではなく、皆さんの側のものである可能性の方が高いでしょう。
すべてのスライドはセッションの24時間後以内に Web サイトにアップされることになっています。ですので 昨日の全てのスライドが昨日の分の書き起こしとともにinvestor.startupschool.org にアップされていると思います。また可能な限りライブストリームに関してもうまく動くように全力を尽くします。
次の投資家は...いえ次のプレゼンターですね。もちろん彼は投資家でもあるのですが。次のプレゼンターであるPaul Buchheitは、YCのパートナーとして私と働いてきました。私がYCにいるのと同じくらい長くここに所属しています。ここにいるメンバーと同じくらい長くいますね。だいたい7年ぐらいでしょうか。YCと関わっている期間としてはもっと長いかもしれません。
彼はGmailの開発者であり、それは私にとっては辛い話です。なぜなら私は Yahoo! Mail 開発チームにいたので。それでも私達はとても面白い会話をたくさん行いました。今でも彼は私の友達だと、とにかく私は思っています。 彼はまたFriendFeedという会社を作り Facebook に売却しました。Paulは本当にいろんなことに関して知識が豊富です。
これが1番いいPaulの紹介の仕方だと思うのですが、彼が特に知識豊富な分野の一つが投資についてです。 Paul の言葉から一つ引用したいと思います。実際これは投資をする際にとても重要なことだと思います。
「プロダクトの一番いい流行らせ方というのは、皆がとても気に入って、他の人に言いたくなるようなものを作ることだと思います」
それでは私の知る限り世界で最も賢く最も素晴らしい投資家の一人であるPaul Buchheitに話をしてもらいます。
Paul Buchheit の経験を振り返りながら、数千の中から見えてきた投資のためのパターンを探る
Paul Buchheit
はい、Geoff、紹介ありがとうございます。 少しハードルを高くしすぎじゃないかとも思いますが、Geoffが言ったように私は長い間スタートアップに携わってきました。おそらく20年ぐらいになるでしょうか。投資は過去12年間行ってきています。これまで数百の会社に投資を行ってきました。そしてYC では数千の会社を見てきて、数千もの起業家との面談もしてきました。
それで昨年一度手を止めて、今まで自分が何をしてきたかについて考える必要があるという考えに至りました。なぜならこれまで私はある程度偶然に任せた決定を行ってきたからです。
そこでかなりの時間を、私にとって好ましい結果をもたらす投資のパターンは何か、好ましくない結果を出すパターンは何かを考えるのに費やしました。そして、将来もっと上手くやれるようになるだろうという考えを持ちました。
本当のことを言うと、この分析は自分自身のために自分自身の投資のプロセスの中で行ったことです。他の人にとっては、うまくいくかもしれませんし、うまくいかないかもしれません。しかしこれが私のレクチャーの目的でもあります。
このレクチャーの流れとして、私の一連のエピソードをお話しします。 初めに好ましい結果について、うまくいったことについて紹介し、その後で好ましくなかった結果、私にとって良くなかった事柄について話します。それから最後に、私がどうやって将来の投資の計画を立てるかについてのまとめを話します。
いいアイデアだけに限定しない
まずここに1つのアイデアがあります。私は自分自身をいいアイディアにだけ限定しているわけではないということです。これは大体20年前にジョークとして出てきたものですが、これは結構的を得ていると気づきました。
私のアイデアの多くはあまり良くはありません。これはスタートアップにとても関連していることでもあります。なぜなら良いアイデアは良くないように見えるからです。
その理由はもしそのアイデアが明らかにいいものであったら、新しくスタートアップをはじめる機会は存在しないだろうからです。 大企業は馬鹿ではありません。 大企業には実行能力、多くのリソース、市場での力があります。もし彼らがここに100億ドルのビジネスがあると思ったら、彼ら自身のビジネスにするでしょう。
必然的に、いいスタートアップにするには、アイデアが何か、大きな会社の内部ではバカバカしく見えたり重要でないものとして却下される ようなものではなくてはなりません。
バカバカしいアイデアの例:BackRub (Google)
わたしが一番良い事例だと思うのはこの会社です。
どれぐらいこのロゴに気付く方がいるか分かりませんが、これは Google のオリジナルロゴです。Google がスタンフォードでリサーチプロジェクトとして始まった時、BackRubと呼ばれていました。
そしてこれはラリーペイジの手と、フラットベッド・スキャナです。Google はスタンフォードの研究プロジェクトとして始まりました。
創業者のLarryとSergey は当時そこで PhD の学生をしていました。実はPhDの勉強を続けて博士号をきちんと取得しようとしていたのです。だから 彼らはYahoo, Excite, Infoseekといった大きなインターネット会社にGoogleを売ろうとしました。 これらの会社に行って100万ドルで Google を 売ろうとしたのです。
しかし残念ながら、誰も購入しませんでした。誰もGoogle に100万ドルの価値があると思わなかったのです。 彼らは検索はそんなに重要なものではないと思っていました。ただの一商品で、一時的な流行のものだと思ったのです。そして「あなた方は、今は注目されているけども、来月にはまた他のスタートアップが注目を集めるでしょう。 私たちはそういう企業に次から次へと飛び移っていくだけですよ。」というようなことを言いました。
このように、もしそのビジネスが成功することが明確だったのなら、いまのGoogleは存在しないわけで、それはつまりそのアイデアがいいものには見えてなかったと言うことです。
ここでの私の経験談はGoogle 時代から始まります。その理由は、このゲームで重要なのはとてつもなくラッキーであることだということを強調したいからです。
いいお知らせとして、皆さんは投資家として既に名前が通っているはずですね。これはもう皆さんは既に地球上で一番幸運な人たちの部類に入っているということになります。
スタートアップの社員は実は投資家?
また一方で スタートアップの社員であることは実は投資家であるようなものだとも強く思います。どちらかひとつを選ばなければいけないのですが。
だから私は自分自身に問いかけました。なぜ私はGoogleに入ったのか、なぜそこにたどり着いたのか、と。
Paul が Google に入った理由は「Google を使っていたから」と「Google が Linux を使っていたから」
まず初めの理由は実際Googleが私の使っていたプロダクトを作っていたからです。私は本当に初期のユーザーだったので、Google が、例えば私とか、他の皆が欲しがっているものを作っている会社だということを知っていました。
第二の理由はLinuxです。私は本当に本当に Linux に夢中になっていました。大学の同級生に一度「黙ってくれよ、 世の中全てがLinux の事ばかりじゃない」と言われたことがあります。私が働くためのスタートアップを探している時、私の唯一の基準というのは企業が何かLinuxで面白いことをやっているかということだけでした。これがどうやって私が Googleに至ったかの経緯です。
彼らはLinuxマシンのクラスタなどを作っていて、それほど面白いものは他にありませんでした。 面接担当者は本当に頭の切れる人たちでした。とても良い質問をしてきました。他のスタートアップに面接に入った時は、くだらない質問をされました。そんなところで本当に違いがわかります。
Google には「スタートアップを学ぶため」に入った(お金を稼ぐつもりではなかった)
その時に私が知らなかったのは、それがとても良いビジネスだったということです。実のところ私は Google は AltaVistaか何かにつぶされるのだと思っていました。その会社に入ってお金を稼ごうとは思ってはいませんでした。ただ何かスタートアップについて学べるだろうと思って入りました。
実際にちゃんと学ぶことができてよかったですし、そしてGoogleではとても良い時間を過ごしました。Geoffが言ったように、 私は Gmail をローンチしましたが結局 Google は大企業になってしまいました。私はスタートアップに興味があるので、こそばゆく思いはじめて、スタートアップに戻ってきました。
Summer Founders Program (Y Combinator) も最初はバカバカしいアイデアだと思われていた
それで、なにか新しいことを周りで探していた時、2005年の前半に、これを見つけたのです。Summer Founders Program。これは結構面白くて、多くの方は多分知らないでしょうけど、これはまさに Y Combinatorの第1期です。
これははじめは夏季休暇中の仕事の代わりのようなものとして提案されました。どんなアイデアかというと、大学生が Google にインターンとして行って働く代わりにYCに来て会社を始めるというものです。
2005年時点、多くの人の目にはこれは実のところ本当にダメなアイデアだと映りました。実際YCが最初に依頼しようとしていた弁護士は仕事することを断ったのです。
弁護士たちの態度というのは「これはひどい、こんな仕事はしない」というものでした。投資家たちも皆ジョークか何かだと思っていました。「いい会社なんてこんなところから出てくるはずがない」と言っていました。
Y Combinator に辿り着いたのは「何かを学びたかったから」
では私はどうしてここにたどり着いたのでしょうか。なぜ YC と繋がりができることになったのでしょう。
その答えはPaul Graham が書いたとてもいいエッセイの数々です。私は彼の書いたものを既に沢山読んでいました。彼はとても聡明でした。私は彼を個人的には知りませんでしたが。彼のことを本当に頭の切れる人だと思ったのでしょう。本では素晴らしい洞察力を示していました。
これはとても興味深いアイデアだと私は思ったのです。必ずしも「良い」アイデアではなく「面白い」アイデアです。私にとって、面白いものというのは予想不可能な要素を含むものです。もし私が結果がどうなるか知っていたならそれは関わりたいという理由にはなりません。結果がわからないもの、私がそこから学べるものに関わりたいのです。
私はPGにこうメールしました。
「何か私ができることはありますか?」
そして 私はこの会社にきて時間を過ごし始めました。それから第1期、2006年冬期にこの建物で行われた第1期を知ることになりました。12年前くらいです。
WuFoo に出会う
実のところ、それから毎期の参加者に会ったり投資をしているという訳ではありません。何度もすっぽかしました。しかし私の最初のエンジェル投資先はこのYCの企業の一つで、WuFooという名の会社でした。
これはインターネット上でこの会社がどう思われていたかの画像です。
この書き込み主が言うには、『新規のY Combinatorスタートアップの全リストを持っている人いますか?これから一年、余計な盛り上がりが全部落ち着いたあとに眺めると面白いかもしれない。「これはPythonで書いています、これはXMLHttpRequestを使っています」みたいな内容が、「うちにはビジネスプランがあって、うちの商品はこういう消費者の需要を満たしています」みたいな内容と紛らわしい。』
私はこれを面白いと思うのは、YCとWuFooのどちらをもからかっている内容だからです。当時の考え方をよく表していると思います。実際、WuFooはIPOを行いませんでした。
しかし私の投資はSurveyMonkeyが会社を買収したときに44倍になって返ってきました。 創業者のKevin Haleはとても才能のある人で、何年か後にここYCのパートナーになりました。まあ当然です。その才能ゆえ彼はもっと私に稼がせてくれました。YCのスタートアップをサポートすることでね。
この投資からは、短期のリターンと長期のリターンの両方がありました。
Justin.tv との出会い
その翌年、私はあるYC企業に投資しました。当時はJustin TVと呼ばれていました。
アイデアとしては、この写真のJustinが頭にカメラをつけて、ライブ配信するというものです。インターネットに向けて。そういうものでした。
はじめ、私は「それ、ジョーク?」と思ったんですが、Justinたちは「いえ、これで起業します」というので、私は「面白いね」と言いました。
これは本当に予測不可能でした。24時間生活に密着したライブ配信を始めて何が起こるかまったくわからなかったし、こんなアイデアは絶対Googleからは出てきません。そうでしょう?カメラを頭につけたLarry Pageの24時間を見ることはまずないし、Googleでそんなアイデアは出てきません。本当に予測不可能だったのです。
実際この会社はしばらくの間は苦しみました。以前どなたかがDaltonに質問していましたね、もし会社が横道にそれたらどうなりますか?って。投資家は創業者に投資金を返してもらうまで蹴りを入れつづけるべきなのでしょうか、答えはNOです。
この会社は、よい人材を獲得するための買収を意味するacqui-hireをしてもらおうと数年トライしていましたが、才能のある人材がいるとは思ってもらえなかったので買収してもらえませんでした。優秀な人材がいるとは思ってもらえず、人材目的の買収をしてもらうことすら成功しなかったのです。
Twitch へのピボット
ラッキーなことに、この会社は結局Twitchという今までのサービスの一部分にフォーカスした事業にピボットすることになりました。
Justin TVでは利用者はなんでもライブ配信していたのですが、Emmettがビデオゲームに特化した配信に興味を持ったのです。Justin TVの利用者はゲームのライブ配信をしていました、そんなことがビジネスになると私には思いもよりませんでした。本当に驚きでした。それがいいビジネスになり、Amazonに売却されました。残念ながらほんの10億ドルで。今ならそれよりずっと価値が上がっているでしょう。
この会社で他に面白いのは、創業者が4人いたことです。TwitchのCEOだったEmmettは今でもAmazonでTwitchのCEOをしています。今の時点で200億ドルくらいの規模でしょうか。
Justin Kanはその後いくつものスタートアップを立ち上げてきました。数年間YCのパートナーでもありました。彼は現在Atriumという新しい会社を持っています。もしみなさんがYC企業に投資をすることになったら、おそらく関わることになるでしょう。Atriumは今YC企業のデフォルトの法律アドバイスサービスをしているからです。
Michael Seibel はSocialcamという会社を始めました。それは実はJustin TV のスピンアウトでした。 その会社をAutodesk に6000万ドルで売却したあと、YCのパートナーになった彼は今Y CombinatorのCEOをしています。
最後に、Kyle Vogt は Cruiseという会社を始めました。もしかしたら名前を聞いたことがあるかもしれません。GMが10億ドルで買収したので。
この4人は人材獲得のための買収もしてもらえないくらい才能がないと思われていたのですが、それでもこんなに目覚ましい業績を残しました。
自分自身のスタートアップ FriendFeed を創業する
はい、それでとうとう私は自分の会社を始めたいと思うに至りました。私はこう思いました。
「そうだな、もうどうやって起業するかわかった気がする。自分ならもっと上手くやれる」
それでFriendFeed設立に至ったのです。スタートアップを立ち上げようと思い立った時、たくさんアイデアはありましたが、おそらく今日となってはほとんど良いアイデアではなかったと思います。
素晴らしいチームを作る重要性
ただ一つ完全に正しかったのは、一番大事なことは、とても素晴らしいチームを作ることだ、という考えでした。最初に注力したのは誰をこのチームに引き入れることができるかを判断することでした。
幸運なことに、なんとかBret Taylorという男を説き伏せてFriendFeedの共同設立者となってもらうことができました。Bretは私がGoogle時代から知っている人間です。一緒に働いたことはありませんでしたが、なんとなく知っていました。なんというか、ちょっと喋ったことがあったし、噂で彼のことを聞いていました。
彼について好きなエピソードをあげるとしたら、Bretが Mapsのプロダクトマネージャーだった時のことです。もしかしたらアソシエイトプロダクトマネージャーだったかもしれません。エンジニアですらありませんでした。 彼はそのプロジェクトが遅くて鈍いことに状況にヤキモキしていました。 でもこれはまだローンチされる前の話です。
ついにある週末、彼は「あのさ、俺がこれ直すから」と言って javascript のフロントエンドの全体をその週末で書き直してしまったのです。容量は1/3になり、そして10倍もスピードが上がりました。これは開発者チーム全体が長い間取りくんできたことなのです。
こういう人が投資したいような人なのです。こういうのは絶対的に望みがある賭けです。 FriendFeedは大きく話題になりましたが、大きな事業的成長は生み出しませんでした。その理由の一部としては、この会社、Facebookと競争することになったからです。
Facebook は手強い競争相手として現れました。 私はZuck (Mark Zuckerberg) に会う機会があったのですが、彼は本当に強烈な印象を与える人物で、結局 Facebook には勝てそうもないと思うに至りました。私たちも、Googleも、他の誰もがです。
Facebookは Google サイズの成功になるだろうから自分たちの会社を売るべきだと思いました。私たちはだいたい Facebook のエクイティの0.5%ほどでFriendFeedを Facebook に売りました。これはかなり良い条件の取引だったと後でわかりました。
PB 流、投資するべきスタートアップの選び方
自分よりも優秀で、洞察に富んでいる創業者を見つけること
ここから私が学んだことで強調したいのは、自分よりも優秀な人材を見つけることです。
何事においても自分よりも上手くやれて、洞察に富んでいるような人を探すべきなのです。BretやZuckやFacebook のチームが良い例だと思います。彼らは明らかに私よりもこの分野の事業においてうまくやれる人達でした。
これが私が創業者に会う時に見る基準の一つです。もし「あぁ自分の方が上手くやれるだろうな」と思うなら、その人には投資するべきではありません。自分よりも上手くやれる人にのみ投資をしたいと考えています。
だからといってマーケットを考えるのが重要ではないと言っているのではありません。市場規模について考えるのはとても重要です。小さな市場で大きな会社を作れはしません。
ですが私の信条としては、創業者たちが実際自分よりもできる人たちであれば、私よりもっと深く考えていて、より多くを学ぶでしょう。そのような創業者たちに、言うなれば市場についての考察をアウトソースすればいいので、自分があとしなければならないのは「この創業者はこの事業のアイデアが上手くいくと信じているだろうか」と見極めることだけです。
私がここでみなさんがするべきだと思うのは、自身の知識を使って、相手の資質を見極めることです。知的な質問をなげて、相手が自分の話していることをちゃんとわかっているかを判断しましょう。しかしそれを投資の決定に使ってはいけません。例えば「ああ、私はエアマットレスの専門家でね、ここには事業がないことはわかっているよ」だとか。
もちろん素晴らしい創業者を見つけ出すのは大変なことです。ですのであと2つほど例を見て幾つかの顕著なポイントを取り上げたいと思います。
優秀な創業者の例:Meraki は資金調達前からハードウェアを作って、契約を獲得していた
最初の例はMerakiです。
2006年に早期で投資した企業ですが、 創業者に会いにMountain Viewの小さなオフィスに行った時、わたしを案内してチームに紹介してくれました。彼らはハードウエアをいくつか見せてくれました。当時これくらいの小さいメッシュWifi機器を作っていたんです。
「へぇこれはすごく面白いね。いくらくらい調達したの?」と聞いたんですが、「まだ資金調達はしていませんよ、だからあなたにお話をもちかけたんです」との答えでした。驚きました。ハードウエアがすでにあって、実際にそれらを売っていて、それを全部あちこちからかき集めたお金で成し遂げていたのです。
どうにかしてこっちで契約をとり、あっちで契約をとり、また誰かからお金を借りて、資金調達ゼロでここまですべてを繋げてくることができていました。私はそういうものが見たかったのです。
こういうのが理想的な投資をしたくなる会社の例です。
逆のケースは顧客と話さなかった Juicero
さて、少々笑いを取るためだけに、Merakiと真逆の例もお見せしたいと思います。それはJuiceroです。Juiceroは1億ドルもジュースパックつきのジュース・スクイーザーの開発に費やして、その間に一人の顧客と話すこともしませんでした。
誰かにジュースを一パック売ることもせず。ちなみに要はそれだけの商品なんですよ、パック入りのジュースです、野菜などを絞ってジュースをパック詰めするんです、ひどくないですか。Juiceroの真逆がいいですね、Merakiのような会社がいいです。
MerakiはCiscoが12億ドルで買収しました。元の投資の73倍の価値です。しかしこれもまた、早く売りすぎました。この会社は今100億か200億ドル規模の価値になっています。
創業者たちはいつも早く会社を売却しすぎます。「すごい、10億ドルだって」と。私も同じ間違いをしますけどね。早く売却しすぎるんです。
優秀な創業者の例 2:Cruise の Kyle はたった数日で難しい技術実装をやり遂げた
次に出てくる例はCruiseです。これは先にも言及しました。Justin TVの創業者のひとりKyle Vogtが始めた会社です。
Kyleのエピソードで一番いいと思うのは、Justin TVの初期にさかのぼります。彼らがある問題をかかえて私に会いに来たんです。私が投資をしていたのですが、ライブ配信の費用に全ての資金が消えてゆくという問題を抱えて相談に来ました。
なぜなら動画ストリーミングというのはとてもコストが高いものだと判明したからです。とても高価なCDN (コンテンツデリバリーネットワーク) を使うか、自分たちのストリーミング用CDNを運営するためになんらかのソフトウエアをライセンシングするか、でした。こちらも高価でした。
彼らは「どうすればいいでしょうか。あなたのお金を使い尽くしてしまいそうです」と言っていました。私はそんなこと望みませんから、「あのさ、そんなに難しい問題には見えないよ。データが入ってきて出て行く、なにがそんなに大ごとなんだ。ただ、自分のストリーミングメディアサーバーを構築すればいいだけじゃないか。」と返しました。
Kyleは真剣でした。「そうですね、PBが可能だというんなら...」 私は一晩でできるはずだとも言いました。今晩開発を済ませて、明日ローンチすべきだ、と。何がそんなに難しいかわかりませんでした。ただ何とかうまくやれればいいだけの話で。
結局、Kyleはおそらく週末をまるまる費やして、彼ら自身のストリーミングメディアサーバーを構築しました。実際それがJustin TVの事業が生き延びた理由です。もしストリーミングにとてつもない費用を支払っていたら持続可能ではなかったでしょう。
やり遂げること
繰り返しますが、誰かもっとわけの分かった人が無理であるといったところで、やり遂げるのは創業者自身です。もし彼がその他の99%のエンジニアのようだったら、「他の会社のプロダクトを自家用にコピーすればいいじゃないか、今晩やりなよ」なんて言う私をバカだと感じるでしょう。何というバカなこと言ってるのかわからないのか、と。
別の人なら私にそんなこと無理だと長々と話すでしょうね。その代わりに、Kyleは自分でやってのけたのです。
馬鹿げたアイデアであること
Cruiseのアイデアは、四年前はこれと同じような状況に見えました。今では車の自動運転のスタートアップはとても注目を集めていますが、4年前には馬鹿げたアイデアにみえていました。とても難しい技術だし、Googleは巨大なチームを組んで取り組んでいるし、小さなスタートアップにとって大ごとすぎるように見えました。成功の余地なんてないように見えたのです。
もちろんこれをKyleがやっていたので、なんにせよ私は投資しました。そして先に述べたようにGM (General Motors) が10億ドルで買収しました。これも投資が50倍になりました。悪くはない数字ですね。しかしこれもまた、売るのが早すぎました。
優秀な創業者の例 3:Boom の Blake はソフトウェア畑の人間なのに、「そうあるべきだから」、考え抜いて音速ジェット機を作ろうとしている
次にこの会社ですが、もしかしたら聞いたことがある方もいるかもしれません。
この事業は素晴らしく、メディアの注目を集めています。彼らは2年前にYCから出てきました。超音速のジェットを開発しているんです。10年以内には、カリフォルニアから東京に行きたいと思ったら6時間ほどで着くようになるでしょう。とてもワクワクしますね。
もう一ついい例をあげると、創業者のBlakeは、ソフトウェア畑の人間なんです。彼は航空工学の背景も何も持っていないのですが、ただやると決めたのです。
彼は「将来は超音速で旅行できるべきだ、だから自分がやる」といった態度で、自分で全てを独学し、コンコルドがなぜ大失敗だったか、今なら何が変わっているかを調べ上げました。
考え抜いていること
本当に印象的だったのは、YCで彼はとても明確になぜこの不可能に見えることをやろうとしているのかを説明してくれたのを覚えています。
また、コンコルド計画の失敗は根本的に3つあり、それを彼が修正しようとしているということをとても明確に説明することができていました。これが実際に実現可能な事業である理由は、経済的に考えぬかれていることと、とても明確な絵を描いていることです。
意思疎通ができること
そしてとても良い創業者の特徴のひとつは、ちゃんと意思疎通ができることです。これはかなり複雑なアイデアです。私は超音速の飛行機のことなど何も知りません。専門家ではないのです。
でもBlakeは簡単にわかるように説明ができていました。しっかり考えをもち、馬鹿げた野心をもっています。本当に大きな野望です。皆が「スタートアップが超音速航空会社を作るなんて絶対無理だ」というような目標です。
彼らはやり遂げると信じています。それが確実になったわけではないですが、目覚ましい進展を見せています。いつも投資家向けの最新情報を読むのを楽しんでいます。
Blakeの投資家向け情報は、これまで投資をしてきたどの会社に比べても最高のものです。
ソフトウェアでない分野に投資することを恐れない
もう一つここで加えるとすれば、ソフトウエアでない分野に投資をすることを恐れない、ということです。本当にいい創業者を見つけたいというコアをもって取り組んでいて、専門性をもった創業者に会えれば、それこそもっと広く投資をできるようになります。
バイオ関連などの、素晴らしい会社がありますから、そういうものは今後10年で巨大なエグジットになるでしょう。そういう会社をデモデーの度に毎回見ます。好みでたくさんのバイオ関連会社と仕事をしているので。
ただ、そこで少なくとも半分の投資家は投資候補のリストから外すんです。例えば「超音速航空機のことなんかわからないや」と言って。そういうことをしないでくださいね。
投資家として犯してしまったミス
はい、では今からお約束の通り、あまり華々しくないエピソードをお話しします。
Dropbox とのミーティングをキャンセルしてしまった
DropboxのIPOを祝って、Dropboxの話から入りましょう。このメールを、また動画を見られない方のために読み上げますが、私からのメールで、Drew (Drew Houston) への2007年9月14日の返信です。
「すみません。今日、都合がつきませんでした。今週末まだこのあたりにいますか?」
2007年夏期の企業グループに会いにボストンへ行ったんですが、19社しかなかったので、そんなに大変ではありませんでした。
Drewはとても優秀で、明らかにその期のなかで一番有能な創業者に見えました。しかし競合について幾つか疑問がありました。Google Driveとの競争はどうするのだ、とかそういうことです。サンフランシスコに帰ったときにミーティングを設定していたのですが、その日の前のミーティングが長引いて、Drewとのミーティングをキャンセルしたのです。
ここでいくつかポイントをあげておきます。
ドタキャンは最悪の行い
ひとつは、ドタキャンは投資家として本当に最悪の行いです、創業者の時間を無駄にしているのですから。やめてください。それと2つ目は、行いは我が身に返ってくるということ。1000倍のリターンがあっただろう投資の機会、そしてIPOを逃すはめになりました、あのときアポに行かなかったから。
Airbnb への投資を逃す
さて、私はAirbnbへの, ではなくDropboxへの投資を逃しましたが、ではAirbnbはどうでしょうか。
このメールでMichael Seibelが2008年6月26日に Air Bed and Breakfast という会社を紹介しています。それから4年後、いえ3年後に私は茶化した返事をしています。3年前に返事しておくべきだったな、と。
なぜメールを返したかというと、Airbnbの創業者がまさにここに立って彼らのストーリーを話していたからです。私は、「これを逃したのは痛い」と思いました。こんな会社を逃したなんて信じられません。
これには理由があって、当時自分のスタートアップを持っていたんです。スタートアップの創業者なら、絶対に自分の会社を優先すべきです、エンジェル投資よりも。
もっと痛手だったのは、これは始まりでしかなかったということです。
このとき彼らはYCにくる前で、YCにきてからはPG (Paul Graham) が「Airbnbと話しに行った方がいいよ、すごくいい、最高の会社だ」とずっと褒めちぎっていたんです。一般的にPGがそんなに強く賞賛するということは、投資すべきだということです。
私は「そんなに言うなら投資するか。Angel day...昔デモデーをこう呼んでいたんです、その日にAirbnbのピッチを見に行こう」と思っていたんですが、そこにはAirbnbは出ていませんでした。
Brianにメールをして「今日会えなかったね、投資の話をしたかったんだけど」と言ったんですが、彼の返事は「すみません。Sequoia Capitalとのタームシート締結したところなんです」でした。
またやってしまった、頭の中では投資をするのを決めていたのに、のんびりして出遅れてしまいました。ラッキーなことに、のちのラウンドに参加することができましたが、しかし株値はもっと高くなっていました。
のんびりしていて出遅れるな
ここでまた私が言っておきたいのは、動きが遅いと、不利な選択をすることになることです。
もし何ヶ月も同じ会社について情報を収集したりたくさんミーティングをしたり会社内の違う人にあれこれ会ったりしているのは、投資先としてベストな会社とは言えないでしょう。意思決定にはとても意識的にならないといけません。するか、しないか。ただただ「うーん、もうちょっと様子を見よう」となってはいけません。
会社が将来有望だと、投資したい会社だと判断したら、最終決断をする前に良く考えるために次の一週間くらい費やす事も出来ますが、覚悟を決めて将来のAirbnbのような大物に投資する事も出来ます。
お買い得には気を付けよう(だいたいリターンは出てこない)
では、他にうまくいかないのはどういう場合でしょう。それは「お買い得な価格」です。これには何度も引っかかりました。その時は、「お、良い価格にしてくれてる」と思うんです。バーゲンに魅了されるように。
「バリュエーションがまだ低い、すごく安いじゃないか、良い買い物をできそうだ」と思うんですが、こういう場合にリターンがあったことはありません。良い値段だったから投資する、というのは本当にスタートアップの投資を決める基準にはなりえません。そうすべきだと思ったら毎回、結局投資先としては間違いでした。
値段が高すぎるのを理由にして、投資を避けないようにしよう(値段でためらうのであれば投資する)
他のミスとしては、値段のせいで投資を避けること。明らかにそれが当てはまらない限界というのがありそうですが、私はまだそういうものに当たったことがありません。
いい投資先を見つけたとおもったらいつでも「わー、すごく値段が高いじゃないか、他のものに投資しよう」となるのですが、そうするといつも後悔します。
ですので今は、頭の中でルールのようなものを作っています。値段で投資をためらったら、もっと投資することにしよう、と。
もっと大きな額の小切手を切らないといけないだけです。これは明らかだと思います。
助けが必要な創業者は避けること
この間違いもたくさんしました。なぜなら創業者達と一緒になって仕事をし、感情的に近しくなっているので、助けてあげたくなるんです。途方にくれてみえますから。
でも助けてあげないと、と思って投資をして、稼げたことはありません。そういうのはいつも結局ダメになります。
いい創業者というのは本当に、圧倒的なんです。たとえばBoomのBlakeのように。自然な流れのようなものです。Blakeは実現に至るまで事業を進行し続けています。
憐れみを買うような話を持って投資家の所に来る人っていうのは、「誰も投資してくれないんです、あなたがお金を出してくれたら多分うまくいきます、いえ、まだ何も作っていません」といった感じです。もうこういう間違いをしないよう注意しています。でももう少しやらかすかもしれませんが。
単に大きなお金になりそうなものは避けて、自分が見たい未来を描くアイデアに投資する
次は、皮肉なアイデア。
これが意味するのは、そんなに面白いと思う事業だとも思わないし、将来すごいインパクトを与えるとも思えない、でも大きなお金にはなりそうだ、というアイデアのことです。
もし大きく稼げるなら、まあ少しくらい欲しいですよね。それでもいいと思っていますが、こういう投資からも稼げたことはありません。なぜかわかりませんが、こういう皮肉なアイデアへの私の投資はなぜかうまく行かないんです。皮肉のセンスがおかしいのかもしれません、
一方、私の投資の原則は将来に対して前向きなものに投資することです。見たい未来を描くアイデアに投資をしてください。あなたが恐れる未来ではなく。
以前、自分の恐れる未来に向けて投資していたことから、そう思います。昔ある時映画のIdiocracyのようなバカバカしい未来を描いた話から外れないようなアイデアに投資すべきだと思っていた時があったのですが、幸運なことに、そういった投資はうまくいきませんでした。
数字の印象に引っ張られるのではなく、価値を生み出しているかを気にすること
さて、また別の失敗ですが、数字に目がいく投資です。Samが昨日この話に触れたかと思います。数字に興奮してしまうのは簡単なことです。いい数字それ自体は悪いことではありません。もちろん、いい会社はいい数字を出しています。
しかし重要なのは、もし数字に目が眩んでしまって、わぁずっと右肩上がりだ、と思ってしまって、なんだか創業者の感じが悪かったり、プロダクトの意味が良くわからなかったりという事実をスルーしてしまうということです。
こういう投資もまた、私に稼がせてくれたことはありません。もし数字のみが理由で投資をしていたら、それは結局失敗におわるでしょう。
ここで気にすべきは、会社が本当に価値を生み出しているのか、ということです。その会社は世界をより豊かな場所にしているか、あるいは Facebook などで、ただ一時的な役に立たないものを売り込んでいるだけか。それは Facebookがアルゴリズムを変えたら、その会社は死にますよ。
Paul による創業者のチェックリスト
さて、全てを煮詰め出してみたんですが、自分のためにチェックリストにしました。
創業者が絶対的に重要だと思うからです。その他全てが創業者の資質に由来しています。この人は出来る創業者か、と自分に問いかけるのですが、見るべき特徴はこれです。
明確で的確なコミュニケーション能力
明確で的確なコミュニケーション能力。はっきりさせておきたいのですが、これは口先だけのセールストークのようなコミュニケーションのことではありません。私が言いたいのは、優れた創業者はしっかりした深みのある理解と思考の明確さを示せる人だということです。
たとえば、まあ実際これが一番いい例だと思うのですが、Y CombinatorのPaul Grahamです。Y Combinator が存在する理由は全て彼が何年もエッセイを書いてきたからです。それは本当になんというか、彼はオタクの中のレジェンドのような人なのです。みんな彼の書いたものを読んでワクワクしていました。
そして今日までY Combinatorに応募する人の動機の一位か二位はそれです。応募用紙で、どうやってY Combinatorのことを知ったか聞くのですが、彼のエッセイだという答えなんです。また基本的に他の創業者達もこのカテゴリーに当てはまります。
Kyleは自動運転車についてちゃんとストーリーを語ることができました。Boomについても創業者はなぜこれが素晴らしいものになるかのストーリーを語ることができました。もし私が理解に苦しんだり、自分から理解を手伝ったりすることになったら、それはいつも良くない投資の場合です。
よくはまる罠は、創業者と長い時間話して、自分で理解できるストーリーを作り上げてしまい、自分で作ったストーリーに自分を売り渡すということです。自分が十分賢くないだけなのかもしれませんが、しかしいい創業者はちゃんとコミュニケーションすることができます。
Move Fast であること
動きは早く。これもまたBretがMapsのコードを週末だけで書き直したことやKyleがメディアサーバーを自家構築したこと、Merakiチームが資金調達なしで製品を開発していたことなどを考えてください。
動きが早いということは大変重要で、しかしそうできる人は少ないと思います。なぜ時間がかかるか理由をあげるのはとても簡単です。「ちゃんと、あれやこれやを進めたいので」などと言えばいいのです。創業者は動きが遅い理由を無限にあげますが、まあそれでもいいんです。私が投資をしないだけで。
少ない資金で多くを成し遂げていること
少ない資金で多くを成し遂げていること。これもまたMerakiがいい例です。どうにかしてハードウェアの発送を資金なしで行っていました。
Juiceroはその反例です。多くのスタートアップは残念ながらたくさん資金があってもほとんど何も達成できません。
夢が大きく、馬鹿みたいに見えるアイデアであること
不可能なくらい夢が大きい、もしくはバカみたいに見えるアイデア。
いい創業者がこの両極端なのは、もしアイデアがその真ん中ほどだったら、最初に言ったように、大企業がやっているか、もう他のいくつものスタートアップが取り掛かっています。超音速ジェットのようになにか不可能に聞こえるようなことかJustinの頭にカメラをつけるというバカみたいなアイデアにいくべきです。おもちゃみたいなアイデアがいいですね。
これについてはAaron Harrisが先週いいブログ投稿をしています。YC blogを見てみてください。玩具みたいにみえるアイデアは良いことが多いです。そしてその創業者は、明らかに駄目にみえるアイデアを追求する強い意志をもっています。
優秀な人を惹きつける磁石のようであること
優秀な人を惹きつける磁石のような人であること。最高に出来る人たちは最高に出来る人たちと仕事をしたいと思うし、いい創業者はほかのいい人たちを惹きつけることができているようです。
実はこれが秘訣だと思うのですが、YCはどでかい才能マグネットなんです。YCに集まる人々を集めるとだいたい何でもできます。うまくいくと思いますね。
大事なポイントは、最高の人たちを集めて、最高の人たちが寄ってきてYCの仲間になりたいと思うのは、そこに他の最高に優秀な人たちがいるからなんです。
Stripeのようなトップのスタートアップの数々で見てきました。本当に素晴らしい創業者は、そのチームもすごいです。
人が欲しいと思う物を作っていること (Make Something People Want)
欲しいと思われるような物を作っている。これが鍵です。これは私たちのスローガンなんです。人が欲しいと思う物を作れ (Make Something People Want)。
Googleがいい例ですね。入社前から私はプロダクトを使っていましたから。もし投資候補の会社が、自分が欲しいと思うものを開発していたら、それはいい兆候です。もし彼らの作っているものを欲しがるだろう人がこの世に誰も思い当たらなかったら、あるいはモノを提供しても「いえ結構です」といわれそうであれば、それは良くないサインです。
ええと、なんか他にも言おうとしましたが、忘れましたね。
では、もう一つ笑える話をひとつ。DoorDashについてです、ニュースを見た方もいるかもしれません。この間また5億ドルの資金調達をしたばかりです。面接を私がここで行ったときは、実はこのすぐそこの部屋でしたが、その時私がした質問の一つはこうでした。
「私の家まで配達してくれますか?」
その時私の住んでいた地域には食べ物のデリバリーが全くなかったし、お腹は空きますからね。彼らは「します」と言ったので、すぐ「じゃあ、投資決定!」となりました。この会社に投資したのはただ自分の家に配達してもらえたらいいなということからでしたが、実際彼らはうまくやっています。
強い意志とコミットメント
最後に、強い意志とコミットメント。PG (Paul Graham) はやるぞという強い気持ちがスタートアップ創業者にとって一番大事な要素だと言っています。それはスタートアップを始めるというのは本当に本当に本当に大変で苦しいものだからです。もしやる気がめちゃくちゃ強くなければ、どこかで諦めてしまうでしょう。「なんで自分で自分を地獄に突っ込んでいるんだ」と思って。そうであればGoogleでの仕事に就いて、普通の人として過ごすべきなんじゃないかと。
残念ながら、これは気づくのが少し難しいことだと思います。「もちろん完全にコミットしてます」と創業者は言うので。
確かめられることとしては、守りに入ってはいないか、もっと簡単なプランBをもっているのではないか、などです。
実際のところ、こういうことが大体見受けられるような創業者たちというのは、休学中の医学部の学生創業者です。本当は医者になりたくないと気づいた医者たちは、「スタートアップというものをやってみようと思って」と言って来るのですが、6ヶ月そこら働いて、そして「なんて難しいんだ。これ以上やるのが怖いよ。学校に戻ろうと思う」となります。そういう容易い逃げ口があるんです。すでに医者になるために大きな投資をしていますし、それを夢ばかり膨らんだスタートアップのために投げ出したくないのです。
その創業者は人生で間違いをしてきているか?
他に、確かめておきたいことは、その創業者が人生で間違いをしてきているか、です。私はいつも完璧な成績を取るような人には慎重になります。そういう人は、いつも正しいことを選択するんです、無難に。完璧な履歴書を持っている人です。失敗しない人たちです。
全く失敗を経験したことのないスタートアップ創業者ですが…スタートアップを立ち上げるとなると、だいたいは毎日失敗つづきです。失敗を恐れる人たち、そういう人はほとんど間違いなく早期のイグジットを取ります。それで履歴書に書くんです。「YCでスタートアップを立ち上げて、他の会社に売却をしました」と。
そこにはタダやそこらで譲り渡したとは書いていませんが、しかしとにかく履歴書に書けるんです。そしてコンサル会社のMcKinseyなどで安定した職につくんです。
はい、これで以上です。ありがとうございました。
Q&A
Geoff Ralston
ありがとうございました、では質問に入りましょう。
バイオ関連企業はマーケットリスクではなくプロダクトリスク
聴衆
(質問)
Paul Buchheit
ご質問は、人々に求められるプロダクトという点で、バイオ関連会社などについてどうやって判断するのか、ということですね。
大体はこういう会社に関してはかなり明白だと感じました。たとえば癌治療薬など。癌治療薬は求められるものですね。会社のリスクというのはたいていの場合マーケットのリスクではないんです。癌治療薬が欲しい人がいないリスクではない。
リスクというのは会社が実際の癌治療薬を商品として持っていないこと、ですよね。バイオの会社に関しては、需要はだいたい明らかです。会社が実際製品を作れるか、ということが問題なのです。
Justin.tv のようなバカバカしいアイデアに投資したのは「何が起こるか予想がつかなかったから」と「学びのプロセスを Move Fast で回していたから」
Geoff Ralston
ただ興味本位で質問があるんですが。私もJustinのことを知っています。 Michael、Emmett、Kyleのことも。彼らのどんなところがあなたが投資をする決め手になったんでしょう。
つまり、信じられないくらいバカバカしいアイデアを聞いたとは言っていましたが、それでも全く才能がない4人組に投資をしたわけでしょう。それはなぜですか。
Paul Buchheit
ええと、私は彼らにはちゃんと才能があったと思っています。彼らはとてもシンプルなストーリーを語ったんですよ。まあしかしいい質問ですね。
彼らは私自身につながるストーリーを語りました。自分たちがJustinのカメラを頭にくっつけて、それを配信して何が起きるか見てみよう、と。
それが私が彼らを気に入った理由です。だって何が起こるかわからないから。予想がつかないじゃないですか。
行動はせずに考えごとばかりしたり、ずっと時間を使って物事を複雑にするなんてしていなかったんです。ちゃんと計画を実行していましたよ。カメラをひとつ買って、それをJustinの頭にくっつけて、動画配信をしようと何とか工夫していました。
彼らは、アイデアを素早く試して、そこから学んでまた新たにプロセスを繰り返すことができそうでした。そのチェックリストにあるように、動きが早い事はめちゃくちゃ大事です。
どれくらい早く更新を繰り返すことができるかがスタートアップの成功をはかるベースだと思います。本当にいい会社はそのスピードがとても早いです。2年に一回しかプロダクトをリリースしない会社は潰れ、ゼロになります。
創業者が Move Fast かどうかを知るためには、今までのことと、今後のスケジュールを聞く
聴衆
(質問)
Paul Buchheit
はい、質問は…何ヶ月も慎重なデューデリジェンスができるプライベートエクイティとは違って、投資家として素早く行動しなければいけません。
先に言ったように、Airbnbに投資しないことで不利な選択をしなくてはならなくなります。だから、どうやって創業者の動きが早いか知るのか、ということですよね。できることは、実際に彼らに、今まで何をしてきたかを聞くことです。先月なにをやり遂げたかだろうか、など。
これにはとても良いブログ記事があって、みなさん読んだほうがいいです。タイトルは、”A Little Bit of Slope Makes Up for a Lot of Y-Intercept”(ほんの少しの傾きがY軸切片を追い越す)だったかとおもいます。
要点は基本的に、座標を考えた時に、数値のプラスの方に何か事業があったとします。例えば何百万ドルの歳入があるような。でも全く成長がないものと、別の小さな事業が下の方にあって、今はほとんど何にもなってないんだけども、でもほんの少しの右上がりの傾きが付いている。その傾きのついている方に投資すべきだということです。
これが私たちが創業者とスタートアップの中に探し求めているものです。どれぐらい素早く前進できるだろうか、どれぐらいすぐに何かを実行しようとしているか。
Justin TVの例では、これを来年ローンチしようという話ではなくって、もう来週にローンチしてしまおうというようなものでした。 創業者にスケジュール感について聞いてください。今まで何をやってきたか、そして将来のスケジュールをどう想定しているか、と。
実際「なんでこれもっと早くできないの」と聞くと創業者の言い訳を聞くことになったり、動きが遅いのにちゃんとした理由があるかもしれませんが。また、投資をした後には創業者を急かすこともできます。もっと動きを早めるよう急かしてみて、それでどういうリアクションを取るか見ましょう。
Kyleと私のエピソードでは、私は彼におそらく筋道の通ってないことを言ったと思います。どこか他の会社のプロダクトを一晩で書き直せ、と。でも彼はそれを本気にして、やったのです。他の人達とは違いました。私は他にもたくさんのエンジニアと仕事をしたことがあります。
99%のエンジニアは、私がコカインをやってて自分が何を言ってるかわからないんだ、と思うでしょうね。Kyleは真剣に受け取って、やり遂げました。
ここ YC では10分の面接をベースとして会社に投資をします。できるんです。驚くほどのことを10分で人から引き出せます。
もう一度戻ると、私のリストのナンバーワンは明確で的確なコミュニケーションです。10分を会社の面接に費やして、それで彼らが何をしているかまだわからなかったら、それは単にノー、ということです。ノーという判断を出すのは簡単でしょう、会社が何を実際やってるのかを伝えられなかったら。おそらくここに面接に来る1/3ぐらいの会社はそうじゃないでしょうか。面接の最後に私達が彼らが何をやっているのかやっぱり分からない、そういう時には私たちは投資はしません。
投資の理論に注力するだけではなく、運も考える
聴衆
(質問)
Paul Buchheit
ご質問は、スタートアップの根本的要素に関して間違いを犯してきたかですか?
覚えておいた方がいいのはあなたの投資の大半はうまくいかないということです。ややこしい理論を作り上げるのに時間を費やすのは簡単ですが、でもそういうことをしている投資家を見て私が危険だと思うのは、そういう人は良い取引から身を引くよう自分に言い聞かせる賢いやり方を身につけてしまうんです。
例えばJustin TVには、5分考えたらこの事業がうまくいかな会社が根本的な理由で失敗することはあるか、ですか?もちろん。何が起こるかわからないことはよくあります。もし誰かに才能があると思ってもらえたJustin TV がなんとか人材獲得目的の会社買収の締結に成功していたら、ここまで浮上はできなかったでしょう。状況はランダムなんです。
Googleの誰かが、何かのピボットをしたら、それだけで完全に違う結果を得ることになります。私がもしそれを振り返って、例えば良くない結果だったとしましょう。そしてそこからもう2度とストリーミングビデオの会社などには投資をしない理由を結論づけていたら、何か本当にいいものを逃すかもしれません。
過去の過ちを学びすぎない
私のもう一つの投資の原則は、過去の過ちから学びすぎないことです。過去にとらわれるのは本当に簡単なことで、だって投資でお金を失うってすごく痛いんですよ、少なくとも私にとっては。だから避けたいと思いますよね。過去にとらわれるのを避けるには、シードステージの投資が基本的に運に左右されることを頑張って思い出すべきです。
ICO などで集めた巨額のお金があると、まっとうな方法しか選べなくなる
聴衆
(質問)
Paul Buchheit
ご質問は私が ICOをみる時、それを資金調達のオープンソースとみるのか資金調達のJuiceroのようなものと見るのかですね。いい質問ですね。どうやったら礼儀正しく答えられるのか今考えています。
今面白いと思うのは仮想通貨で起こっていることです。仮想通貨は私がLinuxを例にあげたようなものの一つです。Linuxに私が熱中し、Googleへの入社につながりました。そして今から5、6年前のオタクっ気のある20代の方達が夢中になっていたものに目を向けていたのなら、恐らくCoinbaseやBitcoinに投資した事でしょう。
そうは言ったものの、私が言える範囲では、ICOの大半はまがい物だということです。もしこの部屋にいるみなさんから資金調達をしようとしたら、おそらく50万ドルくらいは得られる様な会社です。それがもし代わりにICOになったとしたら、1億ドル調達した、としましょう。ありえません、ゼロになりますよ。こういう資金調達はうまくいくとは思えません。
これはスタートアップに関わる中で学んだ直感的なことで、多すぎる資金は巨大負債だということです。巨額のお金を手に入れたら「まっとうな」方法で物事を進めなくてはならなくなります。
実際Juiceroに起こったのもそういう事です。何億ドルもの資金を彼らは得たんです。もしその会社が10万ドルしかなかったら、ジュースバッグを売ろうとせざるを得なかったかもしれません。あのどうしようもないマシンを数年かけて開発することはなかったかもしれないのです。または、顧客と話さざるを得なかったかもしれません。巨額のお金は創業者を目がくらむところまで現実から引き離してしまいます。
専門的な技術を持つ会社に投資するために:そもそも投資家はほとんどのことに創業者より知識がない。だからワクワクするものを選ぶ
Geoff Ralston
オンラインから二つほど質問です、というかこの部屋のどなたかかもしれませんが、マイクを持つのが恥ずかしいみたいで。一つの質問は私に向けてでしたが、これは面白い質問です。
専門的なテクノロジーの会社などに投資家はナーバスになりがちですが、このようなことをどうやって乗り越えるのか、一般的に投資家の皆さんはどうやって難しい技術の話への恐れをのりこえているのか。
Paul Buchheit
私が思うに私は自分がワクワクする話に投資をする傾向があります。超音速ジェットの話にワクワクする方が、自分にとっては、ぼんやりとした企業向けソフトウェアに惹きつけられるより簡単なんです。会社向けソフトウェアが投資として悪いことはないんですが。
しかし私にとっては自分のわからない技術を使う会社に投資することは難しいとは思いません。なぜならほとんどすべてのことに関してあまり知識がないことを自覚しているからです。難しい技術関連の会社ばかりでなく、大体どんな会社がしていることもわかりません。だから自分よりもそれをうまくやれる人に投資するんです。だから、自分がその創業者を信頼できるかが大事になります。彼らの専門性を信頼できていたら、考えるべきことを創業者にアウトソースできます。
創業者のコミット度合いを測るにはプランBがあるかどうかを確認する
Geoff Ralston
これにはまだ答えてないような気がするんですが、もしあなたがスタートアップを持っている人と話をしていて、ちゃんとコミットしているか確かめたかったら、どうするんですか?
Paul Buchheit
これについては少しお話ししたと思うんですが、プラン B があるのかということを確かめるということですね。
医科大学に戻るつもりだろうか、前の仕事はもうやめたんだろうか。 まだどこか別の会社での仕事を持っているというケースがよくあるんですよ。創業者に仕事は辞めるつもりですかと聞いたら「そうですね、もし資金を調達できたら、そしたら自分の云々を払えるので」と。そういう状況にいることがよくあります。理想的には直接困難な壁をぶち破る気概のあるような人に投資したいですね。
Geoff Ralston
これはかなり深い話だと思いますね。Paul Graham は、そのような気概が創業者の最も重要な資質だと言っていますが、そういう人を見分けるのは非常に難しいです。
ちなみにYCの応募用紙で聞く質問の一つが、過去の経歴についてで、それは創業者がちゃんと責任感を持ってやり遂げられるかを見極める一つの方法だからです。顔にパンチを食らって倒れてもまた起き上がれる資質です。そういうことが過去にあったのか、と。
Paulがこの講義内でこれまで全く失敗がしたことがない人について言っていました。それは彼らが今回失敗をしないということにはなりませんし、もし彼らが顔にパンチを食らったらどうなるかという情報は得られませんね。
Paul Buchheit
そうですね、もし失敗をしたことがないなら、そういう人は失敗を恐れるでしょう。だから安全なエグジットを選ぶことになります。また、他にコミットの強さを調べる方法としては、 純粋に会社の歴史を訪ねることです。
Airbnbは、また別の良い例で、実は彼らは長い間これに取り組んでいるんですよね。Michaelが彼らのピッチを手伝っていたんですけども、数々の投資家にピッチをしても皆首を横に振りました。
実はAirbnbが YC に面接に来た時、Paul Graham は事業内容を変えるように説得しようとしています。「君たち自身はすごくいいんだけども、アイデアがひどいね、何か別のことをできないの」と。Airbnbはそれを拒否しました。Paul Grahamが事業内容を変えるようにいう時、それは意志の強さを見るためで、そこで気変わりする様なら本当にアイデアが悪いのかもしれません。
Geoff Ralston
あと一つ質問どうぞ。
投資家が自分の知っている分野を Unlearn する重要性
聴衆
(質問)
Paul Buchheit
ご質問は、自分の知らないものについて投資した話をしていたのに対して、自分の知っていることに対してはどうかということですね。
一つトリックがあります。自分は、何もしらないんです。つまり、正直にいうと自分の持っている知識を過大に見積もるのは非常にたやすいことです。言いましたが、私は過去から学びすぎるのを避けています。Eメール関係のスタートアップにはあまり興味がなくなっていて、知っていることだからこそ敷居が高いかもしれません。こういう時は、自分の知識を創業者と話す時に使えます。自分の知識で相手の返答が的を得ているか確かめるのです。
多くのメールに関するスタートアップはGmailをすこしひねったものだったりして、そういう時は私は「じゃあGoogleがこの機能を追加したらどうなる、君たちはどうする?」と聞きます。わかりません、という答えだと、それはあまりいい答えではありませんね。
でもいいメール関連のスタートアップに関係したこともあります。Front は、ニュースになっていましたが最近大きく資金調達したばかりです。Sequoiaからだったと思います。素晴らしい創業者です、Mathildeは。 Eメールシステムの事業ですが、そのサービスがGmail の機能のひとつではない理由を明確に語ることができていました。
あなたが知ってると思い込んでいることを一旦忘れることも大事です。私は一番初めのパーソナルサービス会社の一つを運営していたんですが、もうそれは終わったことだと考え、その後どんなパーソナルサービスにも投資をしないことにしていたとしたら、それは非常に大きな間違いだと思います。
ここから逆説的な教訓を得ることができると思います。これもこの投資というゲームの一部ですね。過去から学べることは何でも完全に学ぶべきだし、同時に過去を忘れる必要があります。良い投資家になるのは簡単ではありませんが、だからこそ私たちがここにいるわけです。
Geoff Ralston
Paul、どうもありがとうございました。
Paul Buchheit
ありがとうございました。
Geoff Ralston
もうクラスも半分まできました、早いですね。ディプロマも何もない場合、本当にみじかい期間でクラスを受講できます。いくつかお知らせです。
お気づきかもしれませんが、ここまでのプレゼンターは皆YC関係者でした。そしてこれで終わりではありません。しかし残りのコースの大半は、YCの外での投資に関する観点がほとんどです。心配はいりません。私たちはここで臍を見つめて何もしない訳ではありません。
しかし、みなさんがこれまでYCのパートナーから聞いたレッスンが、実際には、YCの内部のスタートアップへの投資にも外部のスタートアップへの投資にも一般的な、関連している事柄である、と強調しておきたいと思います。 もちろんみなさんには多数のYC企業に投資していただきたいですが。どのような方法をとるのであれ、YC企業に投資したほうがいい理由がちゃんとあります。また、ICO、SAFT (訳注:Simple Agreement for Future Tokens)、 そして仮想通貨に関する質問がたくさんあるだろうこともわかっています。これらの質問は四日目まで取っておいてください。CoinListのCEO、 Andy Brombergのプレゼンテーションがありますから。
記事情報
この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: Investor School