Elad Gil との対話 (Startup School 2018 #25)

f:id:foundx_caster:20200517221441j:plain

Geoff Ralston
さてさて。エアコンは効いているし、快適ですね。みなさん、おはようございます。

私の友人、Elad Gil にここに来てもらえて、とてもうれしく思っています。

皆さんのうちの何人か、あるいはオンラインでならどの方も、投資家と会い資金を調達する方法についての昨日の話を見ましたね。

投資家とのミーティングを持てるくらいにラッキーで、彼から資金を調達できるくらいもっとラッキーなら、それは皆さんの会社にとって本当に素晴らしいことでしょう。Eladは、そんな最高の投資家です。

彼は壮大な投資のキャリアを持っていますが、またそれよりもはるかにもっと多くのものを持っています。彼は、多くのYC企業に投資してきた素晴らしい投資家であるだけではありません。彼が投資して来たYC企業はほぼ常に成功しているみたいです。

いつか、どうやってそんなことが出来るようになったか教えて欲しいです。たぶん今日はそれについて話すことができます。

彼はまた、スタートアップの創業者でもあります。彼は、GoogleやTwitterで働いていましたが、今では、著述家として増々知られるようになってきました。

彼は著術は自分の仕事ではないと言い張っていますが、High Growth Handbookの著者で、それはとても素晴らしい本です。皆さん全員にその本を読むことをお勧めします。だけど、スタートアップを始めたばかりのころだとぴんと来ないかもしれません。

スタートアップが軌道に乗り出したら、その本で取り上げられているトピックの多くが将来、みなさんに関係してくると思うので、ぜひ読んでください。

たぶん、あなたの現在までの道のりについてちょっと教えてもらうところから、会話を始められると思うのですが。素晴らしい投資家、スタートアップ創業者、そして 企業訓練士とでも言えばいいでしょうか、それらへのあなたの道程はどうですか。

自己紹介

Elad Gil
勿論。まず第一に、私をここに招いてくれてありがとう。スタートアップスクールのために来れて嬉しいです。

私は大学院を出てすぐにここにやってきました。私ははるばるやってきました。知り合いは一人もいませんでした。私の友人の多くはイーストコーストにとどまる決心をしたので、私がここに初めてやってきた時はほとんど一からのスタートでした。

ひどい市場のタイミングの中にあって、インターネットバブル全体が崩壊しつつあった時にここに引っ越して来ました。

ここに来て一年後には、ほとんどの人が解雇されたばかりか、必死にある種の仕事を探しているという状況に見舞われました。そのため、たとえば、プロダクト管理担当副社長だった人が突然、どんな会社の、どのレベルでもよいから、何らかのプロダクト管理の仕事を新たに探していたわけです。

それは非常に奇妙な、折れ合っていくのが非常に難しい状況でした。

これは、YCのようなものが存在する前のことです。起業に関するオンラインコンテンツはありませんでした。

基本的に何をするにしても、そのためのコンテンツは存在していなかったので、ネットワークを作ったり人々に会うということに関しては白兵戦に臨むしかありませんでした。

私は基本的にスタートアップで無料で働くことを申し出ることによって仕事を得ました。それが私の入口でした。これは、基本的に、わたしが最初の足掛かりをつかみ、テクノロジーに足を踏み入れるための、会社に利する無償労働でした。それが基本的に私の出発点でした。

Geoff Ralston
それは、もっと多くのリソースがある今日の世界においても、どのように…どのように仕事を探して会社を回るべきかについての良い教訓ですね。ことを始めることが大変なのはよくあることです。

Elad Gil
ええ、絶対に。何かが起こったのは…生物学の博士号を得た後です。博士号はソフトウェアとテクノロジーに全く無関係ですが、私はそれらの領域に進みたいと思っていました。

Geoff Ralston
まあ、その時点ではソフトウェアとテクノロジーには完全に無関係でしたね。

Elad Gil
その時点では全く無関係。

Geoff Ralston
しかし、それ以来、事態は変わりましたね。

Elad Gil
変わりました。

Geoff Ralston
その話をしましょう。

Elad Gil
基本的に、最初にしたソフトウェアスタートアップの仕事のおかげで、わたしはソフトウェアの専門家になることができ、そしてそれによって変化を遂げることが出来ました。

私は実際、テレコム機器のスタートアップにプロダクトマネージャーとして参加するためにここにやってきたので、ハードウェアの仕事をしていました。

その会社を辞めなければならなくなり、次に私はソフトウェア会社に無給で働くことを申し出ました。その後、私は突然、ソフトウェア担当者になり、そのおかげで、最終的にGoogleや他の場所で働くことになった次第です。

Geoff Ralston
あなたはGoogleで働くようになりましたね。それについてちょっと話をしましょう。GoogleやTwitterで働くことになったことを。だけど、あなたはその間に会社を立ち上げ、そして最終的には、投資家へと変化を遂げました。どうしてそんなことが起こったのですか?

Elad Gil
そうですね。私は2004年にGoogleに入社し、事実上そこでモバイルチームを開始しました。

私はAndroidを手伝ってGoogle Mobile MapsとMobile Gmailの初期のチームを結成しました。それぞれのチームは何億ものユーザーを抱えていましたが、私はその大きな成長の前に去ってからは、全く関与しませんでした。

Googleを離れてMixer Labsという名の非常に初期のデータインフラストラクチャ企業を設立しました。 GeoAPIは、プロダクト名でした。それはTwitterに買収されました。Twitterが90人ぐらいだったときに私たちの会社を買いました。

それから、すぐに、2年半にわたって90人から1,500人に会社を拡大する手助けをすることが私の仕事になりました。

それ以前の私が経験した急成長の旅といえば、実際に約1,500から2,000人規模の時のGoogleに入社したのですが、3年半で15,000人に達しました。

何かが実際に上手くいっているときに、非常に急速な成長が起こります。それから、私はTwitterを去ってColor Genomicsという別の会社を立ち上げました。これは、ベンチャーキャピタルでおよそ1億5000万ドルを調達し、Burlingameで現在も稼働しているビッグデータxゲノミクスの会社です。

Geoff Ralston
ありがたいことに、やっと生物学の博士号を活用したのですね?

Elad Gil
そうですね。

大企業に買収される経験

Geoff Ralston
あなたは、大企業社員と中小企業社員の面白い組み合わせですね。自分のことをどう思いますか?ちょっと変わっていますよね。

Elad Gil
そうですね。私は自分自身を、チームの運営や努力の推進に長けている人だと思っています。それは5人のチームでも、数百人のチームでもかまいません。それが私がしていることにおける自己実現です。

私は、実際いつか自分で起業するという目標を持って、大企業や新興企業に入退社する人はたくさんいると思っています。会社が買収されることもあるでしょう。彼らはある部門を任されます。彼らは多分その会社を去って、別の会社を始めるか、或いは投資家になります。

シリコンバレーを見ると、このような経験をしたことのある人たちがあちらこちらにいます。

Ben Horowits 氏が良い例でしょう、彼はNetscape 社に入社しました。その会社は上場しました。彼はその後、自分の会社を起こしました。それは、HPに買収されました。HPで大きな部門を任され、その後、Andreessen Horowitzを共同設立しました。しかし、それは両者の間を行き来した人の観点からすると、一続きのキャリアの道筋でした。

Geoff Ralston
それは、起業家を首にしなきゃいけないという言い回しが嘘だということを証明していますね。起業家なのか、或いは大企業の人間なのでしょうか。しかし、それは、それほど単純ではないですよね?

起業家と経営者

Elad Gil
そうですね。

Mark ZuckerbergがSheryl SandbergをCOOとして雇ったとき、創業者は現役で働き続けることができると言っている人たちには本当の変化があったと思うので、それは良い点だと思います。

90年代に起こったことは、創業者がベンチャーキャピタルで調達すればすぐにプロのCEOに置き換えられたからです。というのは、ベンチャーキャピタリスト達がかなり早い時点、しばしばシリーズAの段階で、役員会を支配し始めたからです。つまり創業者はしばしば降格され、役員会は歳を取った白髪の人物を呼んできて経営にあたらせました。

Zuckerbergの時代に事態は本当に変わったと思います。そこでは突然人々が「うわー、創業者のCEOがまだ現役の状態でも大企業を建てることができるんだ」と声をあげました。

実際、最大のテクノロジー企業の歴史に目をやると、それは常に本当でした。Intelは、常にその創業者によって経営されていました。Microsoftは創業者たちによって常に牽引されていました。少なくとも最初の10年、20年の間は。Dell は、その創業者によって営まれていました。

だからついでに言うと、実際には、創業者のCEOは、自分のコントロール力を維持し、外部資金を調達しないか、あるいはコントロールを失わない非常に良い条件で外部資金を調達するなら、非常に上手くやっていけるんです。だけど、90年代ではコントロールをあきらめた途端、追い出されてしまった。

Geoff Ralston
Steve Jobsのように。

Elad Gil
Steve Jobs。Yahoo! の創業者は、会社を経営しませんでした。Ebayの創業者は、会社を経営しませんでした。90年代の主要な企業すべてが、そうでした。Googleの創業者たちは、Eric Schmidtを迎え入れたんです。Zuckがそうする時まで、それはあまり一般的なことではなかったと思います。

アーリーステージでの PMF

Geoff Ralston
このスタートアップ スクールに参加している人々のほとんどは非常に、非常に初期段階の企業家です。

もしあなたがMixer LabsそしてさらにはColorについて回顧できるならば、アーリーステージでは、どんな風だったかについて話をしましょう。どんな風に思ってましたか。あなたは、これらの企業の両方で最高経営責任者(CEO)でした。その間、最も注意を向けるべきことについてどう思っていたのでしょうか。

Elad Gil
本当に重要なのはプロダクトマーケットフィットであると思うので、顧客が望むものを創ることです。それは本当に正直なところ、本当に、本当に大切な唯一のことです。

さて、そこに至るためには、すべて自分で造りそしてそれをすべて自分で売ることができない限り誰かを雇わなければならないことを意味します。それは資金を調達しなければならないということです。

もしも、顧客からそれを引き出すことが出来ず、ブートストラップもできないならね。しかし、なんだかんだ言っても、プロダクトを作って販売しなければなりません。非常に初期の頃は、それが本当に肝心なことです。

PMF が起きた状況はどんな状況か

Geoff Ralston
Startup Schoolで私たちは、プロダクトマーケットフィットとそれを見出すことについて大いに説明してきました。

誰もが尋ねる最も一般的な質問の一つは、フィットが充たされている時、どのようにしてそうだとわかるのか、ということです。それはそれほど明白ではないようです。

Elad Gil
そうですね。正しい方法で考えればそれは明らかだと思いますが、そうでなければ非常に難しいと思います。3社を引き合いにだして、皆さんのプロダクマーケットフィットのサインの3つの例を挙げましょう。

皆さんのプロダクトに不都合があっても、人々はまだ非常に積極的にそれを使用している、またはみなさんが不都合のあるプロダクトに対して高い顧客維持を保っている場合、それは、プロダクマーケットフィットの明確なサインです。

Twitter がしょっちゅうダウンし、フェイル・ホエール(失敗クジラ)が現れていた時期、それでも誰もTwitter のアカウントを閉じたりしませんでした。それは市場へ普及していることの現実的なサインでした。

もう1つのサインは、もし皆さんがSaaS企業であり、大手ブランドが皆さんのプロダクトを見つけだして系統的に使用し、その代金を払っていれば、それはプロダクトマーケットフィットのサインです。

その例はPagerDutyでしょう。Appleが初期の顧客だったと思います。Zeplinもその一例で、Facebookがごく初期のころにそのサービスを使っていたと思います。

Airtableのサービスを採用しているブランドは多岐に渡っています。最近ブレイクアウトしているE-企業がたくさんあると思います。そこに大手ブランドがふらっとやってきて代金を払い始めるのです。それは、プロダクトマーケットフィットがある明確なサインだと思っています。

最後のサインは、たとえ少人数のグループからであっても、顧客からの非常に強力なフィードバックがあるかどうかということです。

たとえば、Colorでは、ごく初期の段階で、顧客からラブレターを実際に受け取っていました。Colorは、当初、遺伝的に発生する特定の癌の遺伝的リスクについての情報を人々に提供することに焦点を当てていました。私たちが受け取った手紙には「手が届く費用で私を助けてくれてありがとう」と書かれていました。

Geoff Ralston
更に、彼らの命を救ってくれて。

Elad Gil
いくつかのケースでは彼らの命を救ったことで。顧客はColorが役に立ったと感じ、私たちはとても早い段階で彼らからの非常に熱烈なフィードバックを得ました。

Geoff Ralston
そうですね、だからそれはまるで…繰り返しますが、ある部分は直感で、ある部分は顧客維持と顧客からのフィードバックの合わさったものだと思います。そして多分、プロダクトに故意に支障をきたし、人々はそれを使用し続けるかどうかを確認する必要があるかもしれませんね。

Elad Gil
私はまだ他にもサインはあると思います。例えば、人は成長が倍化していても、数字が小さいとその成長を軽視する傾向があります。

もしも、有機的に、ひと月に20%で成長していて、たとえ、ユーザーが100人から120人に増えるだけであっても、それはプロダクトマーケットフィットの本当のサインですが、多くの人は「ああ、その数はとっても小さいから、重要じゃない。」と言って、それを無視して、信じないようです。

けれど、一月後に20人、そして月を追って30人、40人と、常にユーザーが増え続けたら、それは普通、物事がうまくいっているサインです。

PMF前に起こる問題

Geoff Ralston
これは少し前のことですが、プロダクトマーケットフィットを見つけようとしているこの段階で、何が問題になっていたのでしょうか。

Elad Gil
そうですね。想像できるほとんどすべてのことがうまくいかないこともあると思います。プロダクトマーケットフィットがない場合、それは、会社を脱線させるかもしれないし、させないかもしれません。プロダクトマーケットフィットがあっても尚、それを向上させたいと思うでしょうが、それは、あまり重要ではありません。

たとえば、Mixer Labsでは、最初のプロダクトは不完全なプロダクトだったと思います。

私たちは当初、コンテンツ・アグリゲーションサイトや位置情報のためのWikiのようなものを構築することから始めました。その後、ITインフラプロダクトにすばやく方向転換し、地理位置情報アプリケーションを有効にするために、インフラを販売していました。

これはAPI企業の大きな波が来る前で、Mixer Labs はTwilioまたは極初期の開発者ツール会社のいくつかと並んで最初にそれに乗り出した会社のうちの1つでした。彼らのプロダクトの出発点は、どちらかというとユーザーがコンテンツを集約することを可能にするコンシューマーサイトであり、私たちはそのための非常に広大なインフラを構築しました。

その後、私たちが本当にやるべきことは、インフラストラクチャの販売であると判断しました。それは私たちがスタートアップとして方向を変えた良い例でした。

失敗した経験としての「採用」

Geoff Ralston
この早い段階で他に何が間違っていると考えていましたか?プロダクトマーケットフィット、従業員、ビジネスの動き、初期に取ったマーケティングの方向性などに関して、教訓となることがありますか?

Elad Gil
そうですね。雇用面で言うと、あまり役に立たない従業員をあまりにも長く抱えておく人が多いと思っています。

私の最初のスタートアップでは、最初の6人か7人の従業員のうちの1人に最初の1ヶ月以内に出て行ってもらいました。その人物は有能で、その後のキャリアでは活躍しましたが、当時、私たちが一企業として求めていたことに関しては、ぴったり適合してはいませんでした。なので私は…上手く雇うか、上手く解雇しろという古い格言があります。好ましくは両方すべきです。

まずい雇用を余りにも長期に渡って容認している企業が多いと思います。6、7、8ヶ月も待って、「彼らにもう一度チャンスをやらないといけない。」と言うでしょう。しかし、実際には、最初に反省するための話をしたほうがよいのです。

彼らが対応するか見てください。たぶんもう一度反省会をして、その後、行動を取る必要があります。

雇用の観点からスタートアップについて考えるなら、それはほとんど救命いかだのようなものだと思います。

みなさんのボートは沈没しつつあります。あなたはこの小さないかだに乗っていて、5人分のスポットがあります。この5席を埋めるのは誰ですか?

もし、そこいるのが、あなたといるべき5人でなければ、その5人を見つけないといけません。精神的な重荷の観点、あるいは生産性の観点、あるいは協調の観点から、支えられるものには限りがありますから。

誰があなたのチームに所属しているべきかという点で、これは非常に重要な考え方だと思っています。

Geoff Ralston
これは答えるのが難しい質問かもしれませんが、私たちはしばしば、うまくいかないことに焦点を当ててしまうと考えています。上手くいかないことはたくさんあります。物事がうまくいかないのを見てきたことでしょう。

あなたはとても多くの素晴らしい企業に投資してきたし、そしてあなたの会社はどれも良い結果を収めています。それらの中で、なにが上手くいっていますか?この会社が世の幾つかの素晴らしい会社の一つになるかもしれないと思わせるような会社がやっている一連のことや採っているステップとして際立っていることはなんですか。

Elad Gil
非常に初期から顧客と顧客のニーズに焦点を当てていることは重要なサインだと思います。そして直ちに何かを構築することも、本当に重要だと思います。

さて、それは分析を行うべきではないという意味ではありません。絶対に市場について考えているべきです。自分の市場戦略について考えているべきです。

誰が顧客であるかを問い、セグメントを明確にする必要があります。しかし、また、何かをただ構築し、それを試してみて、ただちに反応を見始める必要もあります。

多くの人々が失敗するのを見てきましたが、彼らは実際に何かを構築することにおいて、待ちに待って待ちすぎると思います。

時には、余りにも長く待ちすぎて、3、4年もステルスモード(自社のサービスやプロダクトを外部に公表しないまま事業を進める)にとどまっている企業もあります。潜在的に実在する顧客のフィードバックを実際に得ていないのです。それはまずいサインです。

イテレーションのスピード

Geoff Ralston
また、偉大な企業には高速反復について何かあるようです。そこでは常に何か新しくてより良いものがあり、そしてそれはいつでもさらに良いのです。

Elad Gil
ええ、私はそれは間違いなく本当だと思います。私が実際に見てきたことで、スタートアップの初日から非常に役に立つと思うことは、チームの迅速度を重視することです。

そうすれば、彼らは初期のビルド環境に焦点を合わせ、誰でも一行の設定コードでプロダクトの完全なインスタンスを実行できるようになるかもしれませんね。

実際にチームの生産性を劇的に向上させるためにできることはいくつかありますが、それらを実行する人はあまりいません。彼らは、誰かを引き込むとき、実際に「どうやって、新しいメンバーか変革の効果をすぐさま知ることができるだろうか」と声に出す代わりに、うだうだと2週間もラップトップに向かって時間を無駄にします。そんなことをしていても、できることはほとんどないと思います。

チームをどう有能にするかがカギ

Geoff Ralston
そうですね。私たちが話をしている会社のほとんどすべてが人的資本によって動かされているので言いますが、人々はその人的資本をできる限り有能かつ効率的なものにすることに十分な注意を払っていません。

人的資本といえば、あなたは両方の企業でCEOです。実際、あなたは投資家としても「High Growth Handbook」の中でも、CEO達に多くのアドバイスを与えてきましたが、その後、CEOや他のエグゼクティブに最大限に有能になれ方法をアドバイスしています。初期段階のスタートアップにとって、そのアドバイスはどうだと思いますか?

Elad Gil
そうですね。初期段階のスタートアップは、もしもチームがあるなら、そのチームをどうやってできる限り有能にするかに最大の重点を置くべきだと思います。

有能であることは2つのことを意味します。一つは、人々がすべて同じ方向に動いているし、明確な目標がありますし、実際に何をどんな理由で構築しているか、はっきり解っています。

しかし、それはまた、みなさんにとっては迅速な反復を意味します。それは早期に顧客と話すことを意味します。これは、また、プロダクトマーケットフィットに焦点を当てることを意味します。なぜなら、私は思うのですが、よくする間違いは、世界の中で最も幸せな、最も素晴らしいグループをもつことができても、プロダクトマーケットフィットを見つけることがないと、会社を維持する収入も現金も入ってこないし、資金も調達できないので、会社はつぶれてしまうでしょう。

だから、があるかどうかは、人々が本当に欲しいものを構築することに比べれば二次的なことです。

起業家としての道程で、人々は気をそらされるのだと思います。やっと、資金が提供され、いろんなイベントに招待され、そのさまざまなことが起こる中で、彼らは気を散らし始めるのです。起業家の注意を引く邪魔はいろいろありますが、本当に大切なのは、人々が自分の会社のプロダクトを購入しているか、そしてどのくらいの規模でか、ということです。そして、良い速度で成長してるか?さて、それはもし皆さんがベンチャー軌道に乗っていて、本当に高収益を上げる急成長の会社を目指しているならです。

始めることができるいろいろな種類のスタートアップが他にもあります。ライフスタイル事業を開始してもよいでしょう、そしてそれは上手くいくかもしれません。
スタートアップを起こす理由はいろいろあります。それで、その一部ですが、皆さんが創業者として実際に何を気にかけているか、そして目標は何であるかを自問していますか?そして、皆さんの行動は、実際には、これらの目標に対応していますか?私は、自分のための正しい道ではなく、ただ、デフォルト(標準的)の道を行くだけの人が多すぎるように思います。

CEOの時間の使い方

Geoff Ralston
最高経営責任者(CEO)は自分の時間の大半を何をして過ごすべきでしょうか?

Elad Gil
それは早期と後期とで異なると思います。初期ステージの会社にとっては、それはプロダクトの構築でしょう。実際にみなさんはプロダクトを作るのを手伝っていますか。プロダクトを作っているべきではない人もいるかもしれません。私が言っているのは、1人か2人だけの会社の場合、CEOはおそらく構築か販売をしていることでしょう。

第二に雇用と、チームが生産的でと正しい方向に焦点を当てていることを確認することです。

そして第三に、資金が底をつかないようにすることです。

最後に、共同創業者との争いやそのようなことを避けることです。

私がよく言うことですが、初期段階のスタートアップは3つの理由で大部分失敗するか、あるいは3つのことさえすればよいのです。

一つは、プロダクトマーケットフィットを見つける必要があるということですが、それは信じられないほど難しいです。生き残るためにお金を持っていることを確認する必要があり、共同創業者と争うことのないようにする必要があります。だってそれはすべての足を引っ張るので。

アーリーステージのスタートアップにとっては、それが結局すべきすべてのことです。つまり、だれかを雇う必要があるし、販売には本当に注力すべきいくつかの異なった側面があります。投資家への販売、顧客への販売、雇用の販売です。しかし、構築か販売のどちらかです。

レイターステージの企業にとっては、それはずっと複雑になります。皆さんは、まだ、ありとあらゆる理由で販売していますが、同時に、どうやってプロセスの観点、人の観点からそれを拡大できるだろうかという問いにもっとはるかに意識を集中させています。どのように幹部を雇おうか?どのように国際化しようか?どのように新プロダクトを発表しようか?どのように企業を買おうか?

それから、すぐにそれがチームの努力で臨まなければならないことに気づきます。だって、一人でそれらすべてをやれる人なんていないのですから。そして、本当に自問し始めます。「さて、どうやって、本当に有能なチームを作りあげて管理しようか」と。

ピボットするか、改良するか

Geoff Ralston
CEOの重要な役割の一つは、プロダクトマーケットフィットがない時に、そのプロダクトを改良すべきか、路線変更すべきかを判断することだと思います。

Mixer Labs では、あなたたちはピボットしなければならなかったと言っていましたね。多くの人が、どうやってわかるの、みたいな質問をします。「何かをしているときに、壁にぶち当たってしまい、もっと大きな変化を起こす必要があるとわかるのはどんな時ですか」と。

Elad Gil
ええ、それは本当に難しいです。と言うのは、ほとんどのスタートアップは6ヶ月〜1年かけて何かを構築します。彼らはそれを世の中に出し、その後、彼らは壁にぶつかります。そして、それが実際の壁なのか、それとも偽物の壁かという疑問が生じます。答えを知ることは非常に難しいと思います。もし何かを始めて3、4年経っても、牽引力や勢いがまったく見られないのであれば、長く待ち過ぎていたのは明らかです。それには反例はありますし、あるのが常です。

たとえば、TomTom、あのヨーロッパのGPS企業ですが、しばらくの間ヨーロッパで最も企業価値のある企業の1つでありました。文字通り4人がひとつ部屋で、6年くらいの間だったと思いますが、さまざまなアイデアを繰り返し試していました。最後にGPSを実行するという概念にたどり着きました。もちろん、今ではGPSは電話に組み込まれていますが。しかし、彼らがそこに至るまでは本当に長い時間がかかりました。

私が仕事ぶりを見てきた企業のほとんどは、少なくともアイデアの実行という点で、あるいは少なくともいくつかの中核的な指標に関して、早めに働く傾向があります。資本が本当に緩い今日の環境では、より多くのお金を集め続けることができるので、実際に方向転換するかやめてしまうまで、あまりにも長い時間をかけるということが起こりうるのだと思います。

実際、それは不味いことだと思います。偉大な人々を自分自身の創造の塔に閉じ込め、そこから外に出て他のことをするのを妨げるからです。

なので、ある時点で本当に率直な評価を受けることは必要で、それは定期的になされるべきでしょう。しかし、私たちは本当に常に進み続けるべきでしょうか?

もし進み続けるなら、重要な問題は、いつピボットするか、だと思います。私が唱するのは、完全に一から始めることをいとわないことです。

一般的に、方向転換する時は、人は違う市場ではなく同じ市場内でそうします。つまり、悪い市場にいる場合は、次のことに進むだけなので、生き残れないことを意味します。「おい、埋没費用がこんなにあるぞ」と言うことになります。新しいことを繰り返し始めるけど、それもうまくいきません。

Geoff Ralston
だから、それは一種の判断で...皆さんのプロダクトそのものがまずいことに対して、市場の評価が悪いのか。良い市場と悪いプロダクトという組み合わせもあり得ますが、...

Elad Gil
ええ、第一原理に照らして(物事の本質をゼロから考えて)それを評価する必要があります。それで、もし、もうビジネスはやめると決心したら、オプションは3つあります。事業を閉鎖するか、売るか、ピボットします。売る場合、明らかに急成長している所に売ることを勧めます。

市場の重要性

Geoff Ralston
あなたは、その前に、素晴らしい市場にいることについて話していましたが、それが一種の重要なテストであると言ってましたよね。信じられないほど良い市場機会があると信じているならば、そこに参入したいと。その戦いに参戦したいと。たとえ初めは適切なプロダクトを持っていなくても、それを見つけることはできます。

Elad Gil
その通りです。スタートアップの成功の最大の決定要因は市場だと思います。そして、それはチームの強さではありません。素晴らしいチームがどうやっていつも成功要因を見つけるかについて云々する人は沢山いると思います。しかし悪い市場にいる素晴らしいチームが、悪い市場にいるという理由で次から次につぶれていくのを見てきました。何をやっても現金の流入がある素晴らしい市場と比べ、悪い市場にいては問題を解決したり反復したりする機会も時間もありません。

Benchmarkの創業者の1人、Andy Rachleffの考えで、今ではRachleffの法則と呼ばれているいるものがあります。良いチームx悪い市場=市場の勝ち、です。だから、市場がひどい場合には、チームがどんなに良いかは関係ありません。

ひどいチームx素晴らしい市場=市場の勝利。実際にやっていることはお粗末でも、それでも事業としてはうまくいっている、ということもあり得ます。

大きな市場にいると、プロダクトは半分機能しなくても、まだ大規模に採用され続けます。

そして、偉大なチームと素晴らしい市場(アイデア)です。魔法のような何かが起こります。GoogleやFacebookみたいにです。そこでは職務を遂行する人々がいて、新しいプロダクトラインが追加され、次のレベルにまで非常に見事に事業が拡大されました。本当にその通りだと思います。私はとても数多くの偉大なチームがひどい市場でつぶれるのを見てきましたし、いくつかのひどいチームが非常に上手くやっているのも見てきました。私にとってそれは非常に驚くべきことでした。非常に非平等主義または非実力主義に基づいているようです。

なぜ悪い市場を選んでしまうのか

Geoff Ralston
どうして悪い市場を選ぶチームがそれほど多いと思いますか?

Elad Gil
多分理由は3つあると思います。一つには、時々人々は物事に飛び付き、実際によく考えることもしないで、ただプロダクトを構築し始めるからです。それは自分自身が欲しいと思っているか、必要としているプロダクトなので、時にはそれは本当に上手くいき、他の皆のためにも、それを作っていることもあります。しかし、過去に何度も何度も試みられてきたことをしていることもあります。

つまり、それは将来、上手くいかないという意味ではありませんが、多分、その過去を振り返って、なぜうまくいかなかったのかを、そしてすでに5回も他人が失敗したことを繰り返すのではなく、自分は何をどう違うやり方でやるべきか考えてください。

私が見てきた多くの人々が犯した失敗の二つ目は、私がマルチミラクルスタートアップと呼ぶものです。どのスタートアップも成功するためには少なくとも奇跡が一つ必要だと私は思います。もしも上手くいくのが明らかなことがあるなら、既に誰もがそれをやっているので、みなさんにチャンスはないでしょう。

ある意味では、スタートアップには先の見越せない市場でしかチャンスがなく、それは何らかの障害を克服する必要があるということです。チャネルが魔法のように機能するべきだし、プロダクトと価格やその他諸々が魔法のように機能する必要があります。

しかし、2つの奇跡を求めるスタートアップもあります。「私たちのスタートアップのステージ 1では X をやろうと思っていますが、ステージY では、これとは完全に無関係な別のことをやろうと思っています。私たちは X をしたので、突然 Y を行うことができます。」と。

奇跡が二つも必要となるので、普通、それらは失敗します。とても低い可能性をかけあわせているので、失敗するしかないのです。

一例ですが、人々がこんな風に言っていた時期がありました。Yelpと競争する方法は、オープンスペースであるイベントプロダクトを開始し、イベントに勝利することだと。そしてそれはローカルリスティングを追加できるYelpがやっていることに十分に近い。そして、ローカルリスティングでもYelp に勝つだろうと。

それはひどいアプローチです。「私はイベントで勝ちたい」と言って、倍の力を注ぐか、または、「リスティングを狙いたい、だからやってみるよ。」というべきです。しかし、この様な多重アプローチは失敗する傾向があります。

Geoff Ralston
これは、私が思うに、投資家会議に近付かない良い実例です。投資家の前で、大企業になる前に起こるべきたくさんの奇跡の話を並べ立てると、彼等の興味を買うことはできないでしょう。

Elad Gil
その通り。今日、最もよく引き合いにだされる奇跡は、data moat (その独自のデータセットのためにビジネスが持つ競争上の優位性)です。人々は「さあ、僕たちは大量のデータを集めて差別化を図るぞ。」と言います

ゲノミクスでは、そのようなことが起こることもあるかもしれませんが、その他の分野では、そんなことをやってのけた会社を一つも見たことはないと思います。唯一の資産がデータで、彼らは何とかその資産で何かをやろうとしています。

Geoff Ralston
ああ、あるいは「僕たちが…僕たちがデータを最も多く所有することになって、僕たちのAI が最も優秀になるだろう。そして、僕たちのAIは最高となり、僕たちが勝つだろう」

Elad Gil
そうですね。

誰がCEOになるべきか

Geoff Ralston
CEOについての質問に戻りますが、どうやって自分たちのCEOを選ぶべきでしょうか。誰がCEOであるべきでしょうか。

Elad Gil
それは良い質問です。つまり、いろんな方法でそれを説明したり議論できるということです。最終的にいくつかのケースでは、それは「この人が僕たちが選ぶ人なんです。」と、とても明確です。ものすごい議論を呼ぶ場合もあります。

最も重要だと思うことは、たとえ間違ってもよいので、とにかく選ぶことです。間違ったことは常に修正することができ、少なくとも誰か責任者を持つことが出来るからです。創業チームは多くの諍いを重ねることがよくあり、責任を明確に持つ者がいなければ、会社のパフォーマンスは劇的に低下します。非常に技術的なプロダクトを扱っている場合は、技術者が責任を負っている方がよいことがしばしばあると思います。

ビジネスマンと技術者がいるとします。技術者が二人いる場合、私にはその二人の違いをどうやって測るのかわからないので…たぶん、販売やリクルートやそのあたりの仕事がもう少しうまくできる人がいいでしょう。二人の技術者から選ぶなら、そういう人がCEOに適しているでしょう。

もしもビジネスマンと技術者がいるなら、通常、ビジネスマンのほうが、そういったことに長けていますが、それは必ずしも、ビジネスマンがCEOであるべきという意味ではありません。多くの場合、プロダクトの反復やプロダクトの理解は技術者によって為され、それは販売方法や反復処理する方法、そして過程を通しての様々な決定に本当に大きな影響を与えるからです。

しかし、正直なところ、どのような構成でもうまくいくと思います。私は時々創業ペアは非常に自己に正直だろうと思います。チームのみんなは言うでしょう。「この人は僕たちが今日のCEOにぜひとも期待することをもっと上手くやってくれる。採用、資金調達、販売、そしてビジョンや方向性の設定にも、より長けている。」

そうなると、だれがCEOであるべきか明確になるでしょう。

Geoff Ralston
プロダクトマーケットフィットを見つけるのに貢献し、より早く、より上手くプロダクトマーケットフィットに会社を運営しようとしている人を CEO の地位に置くべきだとも言えるでしょう。

Elad Gil
それは良い点です。そうですね。

Geoff Ralston
思うんだけど…

Elad Gil
何ですか。

Geoff Ralston
なぜあなたがCEOだったのですか?あなたのアイデアだったからですか?なぜなら...

Elad Gil
そうですね。面白い話です。例えば、Colorでは、私は4年後に CEO を辞任しました。その会社は、いくつかのことがからまって始まりましたが、最終的にそれはBRCA2キャリアである私の共同創業者の個人的な物語によって推進されました。彼の母親は、2度乳癌にかかりました。

彼の家族の何人かが、この病気で亡くなりました。だから、その会社はある意味で患者支援という形で始まりました。健康のためにやるべきことをやるのを可能にするこれらの重要な遺伝情報に人々が金銭的に手が届かず、アクセスできないのはおかしなことだと私たちは言っていました。思うに…

Geoff Ralston
だから、それは何にも勝る彼の情熱と意欲ですね。

Elad Gil
それは彼の情熱と意欲でした。私も生物学を学んだ背景から多大な情熱をもって携わっていました。しかし、基本的に、私たちが行ったシフトがとても良い理由の1つは、これが彼が人生を賭けて深く取り組んでいることだからだと思います。それは、プロダクト制作においてなされる選択にも浸透していると思います。

患者データのプライバシーについてどのような立ち位置を持つか、これらの事すべてに関してどのように考えるか。彼はそれが彼にとって何を意味するかについて非常に深く直感的に理解していたと思います。そして、それはColor の業務において非常に重要だったと思います。

Geoff Ralston
CEOを究極のプロダクト提唱者として見るのは非常に現代的な方法のように思えます。Steve Jobs はその明らかな例です。

Elad Gil
ハイテク業界では、そのスタイルが強く印象付けられていますしかし、驚くべき営業担当者であるCEOたちの素晴らしい例もあります。Benioff は、Oracle だったと思いますが、そこかどこかで営業で始めましたよね。

Geoff Ralston
その通り。

Elad Gil
非常に上手くやっている技術畑出身ではないCEOのありとあらゆる例があります。或いは、ミックスであることもあります。Googleのように、Eric Schmidt はコンピューターサイエンスで博士号を取りましたが、以前はNovell を経営していました。彼は上場会社を経営していたので、技術面だけではなく営業面でもうまくやった人物です。

Geoff Ralston
そうですね。それがトレンドなのかどうかわかりませんが、だんだんそんな風になってきてますね。投資することを考えているか、YCのための企業を探しているとき、私としてはいつプロダクトに携わっている人が…CEOが本当にとにかく自分の会社のプロダクトが大好きであることがより重要だと思います。

Elad Gil
ええ、完全に同意します。

資金調達の経験

Geoff Ralston
資金調達の方にちょっと話を変えましょう。最近Startup Schoolでそれについてかなり話してきましたが。なんといえばいいかな。Mixer LabsとColorの両社での、話すことができる興味深い資金調達の経験がありましたか?

Elad Gil
私たちは非常に変わった資金調達戦略を取りました。私たちが最初に始めたスタートアップでは、或るブランドネームのベンチャーファンドとたくさんのエンジェルたちからシード資金を集めました。その後、いわゆるスーパーエンジェルか小さなファンドグループから第二ラウンドの調達を行いました。

私たちが直面した最大の問題は、私たちがイグジットをしようとしていたとき、簡単に言えば、私たちの出口戦略の一環として自分たちのためにもっと配分を得ようとした悪い投資家がいたことです。それは今日良く知られているMidas List (最も影響力のあるベンチャー投資家ランキングリスト)投資家の一人です。私の2つ目の会社は…

Geoff Ralston
待って。それは成功した投資家だけど、ほかの人々を窮地に追い込もうとしたってことですか。

Elad Gil
そう。

Geoff Ralston
ふぅ。

Elad Gil
ええ、つまり…

Geoff Ralston
そして、名前は..いや、言わないで。そのことに触れるべきではないと思うけど…

Elad Gil
いつも言いたい衝動に駆られるけど、いつも自分を抑えています。しかし、有名投資家の中にはいやな奴もいると本当に思っています。そうでしょう?だから、だれと一緒に働くかということでは注意深くないといけません。

彼らを適正評価し、物事がどんなところであまり上手くいかなかったか、あるいは長期に渡って問題があったのか、あるいはそれが何であれ、創業者に尋ねる必要があります。そうすることで、投資家についての真実が、すべてがうまくいった状況で尋ねるよりもより明らかになるでしょう。

Geoff Ralston
YCのみんなには、いい人であることが大きな強みだと言いたいのだけど、それはいつもうまくいくとは限りません。

Elad Gil
そうですね。

Geoff Ralston
それが本当でないこともあります。

Elad Gil
ええ、私は二つのことを区別するだろうと思います。皆さんは背中を押してくれる投資家を望んでいると私は思います。あるいは、皆さんがしていることに疑問を投げかけてくれる投資家と表現した方がいいかもしれません。

自分の決断のいくつかについて尋ねられるのを快く思わない創業者も時々いますが、みなさんは自分の決断について尋ねられるべきです。そうやって事態はよくなります。投資家が尋ねるのは幼稚な質問かもしれないけれど、それはみなさんが何かについて今とは違う方法でやるべきだと考える契機になるかもしれないし、または今やっていることが正しいんだと再確認させてくれるかもしれません。
そうでしょう?

私はそういうことと、価値を独り占めしようとしたり他のことをやってあくどい行動をする人を分けて考えます。つまり、私たちは…当社には、投資家が何人かいました。十数人のうち、ひどく行動したのは1人だけなので…12、15人くらいいたと思うのですが。

Geoff Ralston
あなたの最初の会社、Mixer Labsで資金を集めることはどれほど簡単でしたか?

Elad Gil
ええっと。2、3ヶ月程度かかりました。往々にして、皆さんは1週間で起こる資金調達に関するニュースを聞くと思うし、どの資金調達も1週間かかるだろうと考えるでしょう。しかし実際に自分の側でもよく考えるなら、2、3か月はかかるはずです。そうしないと資金調達してくれる人を良く知ることが出来ないからです。普段、だれかが実際に投機するまで、ほとんどの人は尻込みします。それは本当に変です。

一般的には、ほとんどの投資家が野心ではなく恐怖心に駆られていることがわかるでしょう。彼らは何かにとてもワクワクして積極的に信じているのではなく、何かを見逃すことを恐れているのです。なので、高い信念を持っている投資家は、私の意見では非常に価値があります。

Geoff Ralston
その通りです。彼らは、ごくまれな存在です。会社の最初の投資者になるのは難しいです。本当に心から信じる必要がありますから、とくに新米の創業者だと。

Elad Gil
そうです。それとは反対のことに引っかかる投資家もたくさんいます。名の通った投資家のいるところです。彼らは追随するけど、誰だってミスをするので、それは、実際に悪い投資です。

Geoff Ralston
彼らは羊ですね。

Elad Gil
そうですね。

Geoff Ralston
Color とはどうでしたか?あなたはすでに起業家として成功していましたね。その時点で、よく知られている役員だったので、ちょっと別の立場でColor のために資金調達していましたね。

Elad Gil
ええ、二つ目の会社を立ち上げる創業者の多くにとっては、すでにコネがあるので、資金調達ははるかに簡単だと思います。私の共同創業者と私とで、シードのほとんどをやって、それからシリーズA で他の人々にも加わってもらいましたが、私たちは彼らと知り合ってしばらく経っていたし、彼らを本当に信頼し尊敬していました。

シリーズA のためにKhosla VenturesのJoe LonsdaleとVinodに加わってもらいました。 Mixer Labs の シリーズC のために、私たちは紹介を得るためのネットワークをつくる必要がありました。

私たちはMichael Dearingに出会いました。彼がちょうど投資を始めたばかりの頃でした。私たちは、彼が投資した最初の企業のひとつでしたRadical Candor を書いたKim Scottを通じて彼に会いました。私はGoogle で彼女と一緒に働いていました。「ちょうど今投資しようとしている人を誰か知っている?」と知り合いに聞いて回りました。

そして、ラウンドで Sequoia のReid Hoffmanw を迎えることになりました。そのとき彼はまだ個人で活動していて、AngelList から進化していました。私たちには本当に偉大な人々のラインアップが揃っていましたが、最初の数人を得るまではネットワーク作りをしなければなりませんでした。最初に投資したのはDearing か誰かだったと思います。そしてその後、誰もがある意味、触媒作用を及ぼしました。

Geoff Ralston
どのようにしてElad Gil と実際に会えるのかな。

Elad Gil
それは何か重要なことに聞こえますが、私は…

Geoff Ralston
まあ、それはあなたが投資した企業が、あなたの投資なしでも成功したかどうかによりますよね。もしかしたらこれ以上ないほど重要なことかもしれません。

Elad Gil
最も成功した企業、その95% の事例では彼らの成功は投資家に関係していないと私は思います。関係なく、というべきじゃありませんね。さておき、というべきです。

さて、投資家は、特定の物事の最適化に役立つかもしれないし、または彼らは、成功の鍵となる重役をもたらしてくれるかもしれません。私は、投資家の影響を最小限に抑えようとはしていません。私は、プロダクトマーケットフィットが、非常に純粋な力なので、スケーリングや他のことでサポートしてくれる人がいると助かると思っているのです。

私は、いくつもの企業がその逆の道を行き、すべてのラウンドを通して悪い資本を多く持ち、創業者は助けを求めながら溺れていくのを見てきました。だから、本当に違いがわかります。違いがないと言っているのではありません。実際、最初の一連の投資家たちは無力だったし、役員取締り会はまったく機能していない会社をひとつ知っています。彼らは助けをあまり受けていません。彼らはエグゼクティブチームを作り上げていません。そのことが示しています。

私が言いたいのはそのことではなくて、私はゼロから1に到達するために言っているんですが、ほとんどの場合それを行うのは投資家ではありません。Paul GrahamがRedditのごく初期のアイデアのいくつかを実際に手助けしたり、他にも同じようなことがあったと思いますが、そのようにいくつかの反例もあります。

Geoff Ralston
特にAirbnb。

Elad Gil
そうですね。

Geoff Ralston
だけど、投資家が企業にとって変革的であることはかなり珍しいことです。

Elad Gil
そうですね。

Geoff Ralston
面談のチャンスを手に入れるのは?

Elad Gil
最善の方法は、すでに知っている創業者や他の誰か知り合いを通して紹介を受けることだと思います。だからそれはネットワークを通じてです。

そうする方法を見つけられないなら、おそらく顧客を獲得する方法を見つけることもできないと思います。雇用の方法を見つけることもないでしょう。あらゆることを行うための方法も見つからないでしょうから、私はそれが最善の方法だと思います。

Geoff Ralston
そうですね。プロダクトをただ作るのでなく、どうやってよい投資家に出合い、最初の投資をしてもらうかを考えだすというのは、異領域間をまたいでスケールしないことをするというPaul Graham の元来の行動様式みたいですね。

Elad Gil
ええ。それはスタートアップとしてやる羽目になる構成要素の殆どすべてです。雇用も早期に拡大できるものではありませんし、巨大な候補者リストをコツコツと砕いていかなければなりません。

例えば、Color では、CLIA認定、CAP認定されているラボであるため、業務の規制遵守に焦点を当てています。非常に初期の研究室にCLSと呼ばれる専門家を雇う必要がありましたが、それはある種のテストを行うのは資格を持つ彼らにしか許されていなかったからです。

カリフォルニア州では、CLS は合計200~300人しかいませんでしたが。私たちは2、3人雇わなければなりませんでした。私たちは、カリフォルニア州にいる資格所有者の1%を雇う必要があったのですが、非常に優れている人を探していました。非常に稀な資格を持っている場合、職を見つけるのは簡単ですが、それはすぐれた資格者であると言うことではありません。

私は、文字通り200人に当たりました。私たちは、スプレッドシートに彼らの名前をすべて入力し、私とリクルーター一人が、これらの200人の一人一人に連絡し、すべての人と会話をしました。だから、物事はコツコツと当たっていくしかないのです。

Geoff Ralston
そうですね。スタートアップを起こすのは大変ですね。

Elad Gil
だから私は休暇を取っているんです。

投資の意思決定プロセス

Geoff Ralston
そうですね。したい話が本当にたくさんあるのですが。そうですね…後二つ三つのことを話して、それから質問を受けます。もうこれについてはすでにちょっと答えてくれましたが、投資を考えている時のあなたの意思決定プロセスについてもっと詳しく説明してくれますか。

Elad Gil
そうですね。本当に簡単な基準が3つあると思います。それらはとても一般的に聞こえますが、私は深く考えています。

最初の基準は市場。プロダクトの市場と言う方がいいですね。チームはそのプロダクトが実際に欲しているか必要としているものをつくっているのか。それをチェックするための方法がいろいろあります。私が私の会社で実際に使っていた方法でもよいでしょう。それは市場に出したプロダクトから明確な成長やトラクションが見て取れるということかもしれません。

時には、私は潜在的な顧客に電話して、彼らに尋ねるでしょう。私は単なるエンジェルだけど、私が投資するものに対しては実際多くの市場調査をしています。

2つ目は、創業者はとても優秀な人々で、残りの全部を素早く学ぶことが出来るのか、ということです。創業者の要素を持った人はいます。そしてそれは本当に大切なことだと思います。私はただ、支配者は市場だと思っています。

最後に、もしも創業者が金曜日か土曜日の夜10時に私に電話をかけてきたら、私は電話を取るでしょうか、私は彼らと嬉々として話をするでしょうか?彼らは善い人たちでしょうか?彼らは倫理的でしょうか?彼らと一緒に働くのは容易でしょうか?人生は短く、そしてうまくいく企業はたくさんあります。最も避けたいのは、不愉快な人との長い会話です。

Geoff Ralston
それは本当です。あなたの目から見た、会社があなたに会いにやって来た時にやるへまってどんなことですか?

Elad Gil
良い質問ですね。2つ3つあると思います。一つは、詳細に入るまで時間がかかりすぎること。

時々、個人的な物語のプロローグを云々します。7歳の時カナダに住んでいてどうだったとか。そして、彼らは9才になってその後、彼らは11才になった。で、コードを書くことを学び始めた。その後、何かが起こった。そして、ついに、大学でアイデアを思い付いたが、彼らは7年間それを放っておいて...

私なら、非常に鮮明な、簡潔な物語にするでしょう。これが、私たちが構築しているものです。私たちが構築している理由はここにあります。私はこう言うものですが、ここに3つのハイライトがあります。これが私の共同創業者です。これが私たちが参入している市場です。これが私たちが構築しているプロダクトです。デモをお見せしましょう。

デモは彼らがただの話ではなく、実際に何かを作ったことを意味するので、それは初期段階における一種の最適な会話となるでしょう。彼らはそのダイナミックを通じて考えたので、市場の迅速な分析、どのようにこの中にフィットするか、またはユースケースは何であるのかは、彼らがその原動力を通して考えてきたので、本当に重要です。その後で、そのチームについて。何が大切で、なぜ構築しているのか。アパラチア山脈で7歳の時に、よりもこれが重要です。

Geoff Ralston
別の言い方をすると、核心に入る、ということですね。

Elad Gil
そうですね。すぐに核心に入って、また、時間を効率的に使用してください。ミーティングを20分で終えることが出来るなら、それは素晴らしいことです。私が気づいたことは、非常に忙しい人々は、自分の時間が無駄にされないなら、もっと長い時間を割いてくれるということです。だって、彼らは、そこに座っている人にただただ時間を取られそうだと感じないからです。私の経験した、あるミーティングのことですが….

私が素晴らしいと思ったミーティングの一例をお話ししましょう。全く期待していなかったことでした。私は、資金調達に関することとアンチエイジングや長寿関連技術を調べていました。それは、バイオ医薬品における大きな隙間だと思いますし、社会的にも重要だと思っています。

そこで、この創業者のBen Kamensがいて、私は彼に会いました。45分を設定していたと思いますが、私たちは10分間で話を終えました。その10分の話の最後に、彼は言いました。「私はあなたから必要なことは全て聞きました。このことについて考え、4日後にフォローアップします。」

私は、「ああ、この人からはもう連絡は来ないだろう」というように感じました。

誰も10分でミーティングを終えて、何か有益なことを伴って戻ってくることはないぞ、という感じでした。そして、その4日後、彼は私たちが議論したことすべてについての大きな分析結果と、彼が次に何をしようとしているか、どのようにそれに進んでいくかを明確にして戻ってきました。それは15分か、20分間のミーティングでした。私はというと、「わあ、この人、すごい!」っていう感じでした。

彼らは非常に効率的です。彼らは見事にことをやり遂げます。彼らは、彼らが何をやろうとしているかを明言し、それを実行します。彼らは、これは、多重相互作用であることを認識しています。それはつまり、彼らが実際に私との対話を続けたがるように、その人への信頼をどのように構築するかと言うことです。

Geoff Ralston
それも、将来の投資家にとって、偉大な教訓ですよね。

Elad Gil
そうですね。

High Growth Handbookについて

Geoff Ralston
そのように行動してください。Q&Aに移りたいのですがちょっとその前に、あなたは「 High Growth Handbook」という本を出しましたね。素晴らしい本だと思います。

スタートアップの運営にあまり関係ないかもしれませんが、そこに書かれてある全てのレッスンからトラックバックする方法があるみたいですし、それが自分のスタートアップについて効果的なやり方で考えるのに役に立つと思います。

Elad Gil
そうですね。この「High Growth Handbook」という本は、基本的には、スタートアップで起こる多くの一般的なことをセクションごとに見て行き、それらについて戦術的にどうするか、というような内容です。これは、決まり文句をあまり含まないとても戦術的な本です。

例えば、A級のプレーヤーを雇うA級のプレーヤーについては何もありません。そんな話しは誰の助けにもなりません。誰かが自分の履歴書に「私はA級プレーヤーです」なんて書くわけじゃありません。しかし、その本は皆さんの理解を本当に助けてくれます。例えば、みなさんが採用プロセスを構築したいと思っているとします。構築すべきマルチステッププロセスとは何ですか、どのようにそれを実行して行くべきですか?

それから、YCのSam、StripeのClaire Hughes Johnson、Marc Andreessen、そしてReid Hoffman、Rajen Sanghvi、その他多くの人々とのインタビューが織り込まれていて、各セクションに関連する会社の運営または資金調達においてのかれらの経験について述べられています。

そして、取締役会に関するセクションがあります。そして、 Reid Hoffmanとのインタビューがあって、彼が取締役会のメンバーに望むことについて語っています。

彼はちょうど「Blitzscaling」を書いたところです。それは会社をスケーリングすることについてのとても面白い本で、私は大いにお勧めします。

面白いことに、本の中のセクションの多くは、実は私のブログへの投稿記事として書かれたものから始まっています。そのうちのいくつかは、実際にアーリーステージの創業者を対象としていて、導入すべき雇用マップやプロダクト管理マップについてのことが語られています。普遍的なこともありますが、みなさんにとっては無縁と感じられることも書かれています。例えば、会社を買収するとか1億ドルを調達するとか、あるいはそれが何であれ、明らかにずっと後のステージか、大きな再編成を行うか、そのような時に関することです。

Geoff Ralston
しかし、その本の構成上、どこからでも簡単に読めるようになっています。だから、この本を買うべきです...

Elad Gil
ああ、ありがとう。

Geoff Ralston
そして気に入った個所を見つけてください。

Q&A

Q&Aに入りましょう、Eladへの質問をどうぞ。

投資家へのアップデートの頻度

スピーカー4
この質問は、投資家へのアップデートについてです。セールスサイクルが長い会社の場合、例えば4または5ヶ月としましょう...初期のアップデートどのような頻度でするべきでしょうか、そしてその初期のアップデートには何を含むべきでしょうか。というのは、今 [聞こえません]

Geoff Ralston
質問を繰り返します。質問は、投資家へのアップデートについてです。それらはどのくらい頻繁にあるべきであり、その中に何を含むべきですか?

Elad Gil
そうですね。私が実際にそのことについて書いたブログ記事があります。私は毎月それを行うべきだと思います。セクションについての私の提案は、Eメールの第一節に、あなたがあなたの投資家から、または投資家やアドバイザー、又は他の相手に何を懇願しているかを書くことです。それで彼らがどのように手助けできるか、たちまち非常に明確になります。彼らがほかに何も読まない場合でも、単にEメールを開きさえすれば、あなたの要請は彼らの目に入ります。そしてあなたは実際にそれに対する応答をたくさん得るでしょう。

メトリックがあれば、第2節ではそれを使ってください。それは、売上高であるかもしれません。フラットだということもありえますが、それで構いません。

バーンをアップデートに含めることが重要だと思います、どのくらいの手許現金が残っていますか?Paul Graham は、しばしば、デフォルトで死んでいるかデフォルトで生きているかすることを提唱しています。

ある時点でお金を使い果たすつもりですか?私も同様によくこのような表現で尋ねます。何か月分の現金が残っていますか、そして毎月いくらバーンしていますか。

それから、チームや市場、その他いろいろに関するアップデートです。或いはプロダクトについて。何か新しいものをローンチしましたか?報道されましたか?そんな感じでいいと思います。

アップデートを毎月するのが大切だと思う理由は、そのくらいの頻度だと、投資家たちから忘れられないし、彼らは常に最新の情報を得ていると感じるからです。でも両者にとって負担になりすぎるほどではありません。私は月に一度というのはよいリズムだと思います。

Color では、本当に初期の頃に投資家アップデートを送り始めました。私は、投資家に電話をかけ、何が起こっているかについて状況説明をしようとしたものです。

彼らはこう言ったものです。「いや、いいよ、やめてくれ。あなたのアップデートを読んだよ。何が起こっているのかは、わかっている。さっさと本題に入ろう。」

非常に透明であること、それによって、現状を伝えるのに最初の20分を無駄に費やさないことにおいて、実際に非常に役立ちましたが、投資家へ掛ける突然の電話がどれも非常に効率的でした。

彼らは自分が会社とチームの一部だと感じられるので、その透明性と、皆さんが彼らに対して率直であることが大好きなのです。

Geoff Ralston
そうですね。

市場機械の評価方法

スピーカー5
あなたは、市場第一主義の投資戦略の大きな支持者です。2010年に遡りますが、Airbnbのような明白でない市場をどのように評価しましたか?Airbnbがまだ上場されていなかったとき、どのようにその市場機会を評価しましたか?

Geoff Ralston
質問は、市場機会についてです。Eladはそれを最重要視しますが。Airbnbみたいな明らかでない機会をあなたはどうやって評価しますか?

Elad Gil
はい、私は彼らのシードではなくて、シリーズAラウンドで投資しました。そのシードラウンドはより困難だったと推測しています。シリーズAでは、彼らはかなり明確なトラクションを持っていたと思います。つまり、彼らは急速に成長しました。そして、それとは別に、私は実際にServasと呼ばれるサービスで旅をしたことがありました。それは...

第二次世界大戦後、エスペラントコミュニティは、世界平和を促進するための一つの方法は、人々を無料でお互いの家に滞在させることだと考えました。旅行者として登録すると、そのコミュニティから文字通り面接を受け、その後、小冊子を受け取ります。

例えばイタリアに旅行する場合、その小冊子にはホストすることをいとわないイタリア在住者の氏名、電話番号のリストとコンタクト方法が載っています。文字通り見知らぬ人にランダムに電話かEメールで、「こんにちは、泊めていただけますか、そして期間はどのくらい可能ですか」と尋ねるのです。そして、無料で泊めてもらいます。

ヨーロッパ全土を非常に類似したサービスで旅したことがあったので、私にとってはそれは考えるまでもないくらい簡単なアイデアでした。すごい、収益化できるぞ、と思いました。人が持っている最も高価な資産は彼らの家です。人々が自分たちの家を収益化し、そこからたくさんのお金を稼ぐのを手伝えれば、それは本当に朝飯前だろうと私は感じました。なので、その感覚の一部は経験に基づいてであり、そしてもう一部はそれがすでにうまくいっていたことに基づいていました。

Geoff Ralston
さらに質問を。はい、そこの後ろの人。

悪い評判の投資家との付き合い方

スピーカー6
悪い評判を持っている投資家にデューデリジェンスを行うことについて、どんなことが悪い方向に行き得るか、何がうまくいかなかったか、を話してくれますか。というのは、投資家たちは…

Elad Gil
はい、私は基本的に…

Geoff Ralston
質問は、レファレンスがどうしても悪い投資家に対するデューデリジェンスについて話してくれるか、ということですね?

Elad Gil
はい、思うに…私なら、ただ見るんだけど….彼らの殆どは、自分たちのウェブサイト上かAngelListまたはCrunchbase上のいずれかに投資リストを載せています。なので、私は…あなたがYCに属しているなら、Bookfaceがあって、そこにありとあらゆる情報が載っていると思います。

Geoff Ralston
ええ、私たちは投資家データベースを持っています。

Elad Gil
YCには投資家データベースがあるので、投資家に対するみんなの意見を見ることが出来ます。

Geoff Ralston
Eladは良い評価を得ています。

Elad Gil
良かった、嬉しいです。私なら、とにかく、そのリストに目を通し、聞いたことがない様な、あるいはシャットダウンしたか、または小規模の買収か、それが何であれ、そのうちの2つ3つに電話をかけます。とても上手くいっている会社が、「その人(投資家)とは2度と一緒に仕事しません。」と言うこともあるでしょう。私の知っている会社ですが。...実際にどういうことかわかるでしょう。

誰かが1億ドルで自分の会社をイグジットするとしましょう。その後、彼らは別の会社を始めますが、どのラウンドにおいても以前の投資家からの援助は受けていません。それは通常、何かを物語っています。私ならその人に電話します。

価格設定の方法

スピーカー7
私の質問は、価格設定についてです。プロダクトマーケットフィットの一環として、今、価格設定のマーケットフィットについて検討したいと感じています。あなたの会社での価格設定についての経験談やCEOたちへの助言をお願いします。

Geoff Ralston
価格設定上について何かアドバイスは?

Elad Gil
そうですね。Mark Andreesen がとても良いことを言っていますが...スタートアップ創業者に何か一つを教えなきゃいけないことがあるとしたら、彼なら、価格を上げろ、と言うだろうと思います。

一般的に、特に技術主導型企業は、価格が低ければ、より早く、より多くの市場シェアを得る事が出来、大当たりできるだろうという信念の下、プロダクト価格をかなり下げる傾向があると思います。彼らは実際に実験をしたことはありません。そして価格を下げることはとても簡単です。

Geoff Ralston
そして価格を上げることは本当に難しい。

Elad Gil
そして、価格を上げることは非常に難しいです。また、私が本当に思うことですが、小さな顧客集団を相手に、人々は価格設定と変更、それらの影響について考えすぎると思います。仮に小口の顧客が100人いて、価格を上げて彼らをうんざりさせても、それは構いません。勿論、うまくやらなければなりません。付き合いの長い顧客には以前通りの価格を提供するのも可能です。それを正しいやり方で行う方法はいろいろあります。

しかし、私が言いたいのは、まだ会社の存続を左右する時点ではないということです。顧客が100,000人以上いたり、巨大企業と取引がある場合は話が異なり、緻密な交渉が必要になります。基盤が小さいうちは、実際に実験を行うことが出来ると思います。物事をA / Bテストすることができますありとあらゆることが出来るのです。

しかし、市場シェアの獲得を明確に計画しているのでなければ、たいていの場合、私ならハイエンドから始めます。それには理由があります。

それが非常に重要である特定の市場があります。実際にデータ資産を生み出している特定の分野です。そこでは、価格を低く抑えていたいかも知れません。競合他社のWebサイトを見て、「ああ、彼らは月に9.99ドルを請求している。僕もそうすべきだ」と言うことがよくあるでしょう。

しかし、企業年齢がより高く経営状態がより進んでいるのでない限り、その会社も価格設定について考え抜いたわけではないということが殆どです。だから、もう一度言いますが、私なら原点に戻って考えます。周りには沢山のことがあります。価値ベースの価格設定やコストベースの価格設定や…

プロダクトの価格決定方法はいろいろあります。 Michael Dearingの素晴らしいオンラインチュートリアルがありますが、私ならそれを必ず見ます。それを検索してください。「Michael Dearingの価格設定」といった具合に。さまざまなセグメントやアプローチがあります。

価格設定について、もうひとつできることは、グッド、ベター、ベストは基本的な価格設定フレームワークなので、基本プロダクト、中間レベルのプロダクト、そして最高仕様プロダクトを用意してください。最高仕様のプロダクトは主に中間レベルのプロダクトをもっと売るためにあるのです。上手く行きそうな価格設定戦略は、ありとあらゆるものがあります。ありがとうございました。

B2C のプロダクトかマーケティングか

スピーカー8
はい。コンシューマー向け企業、プロダクト企業でプロダクトマーケットフィットを見つけようとしている時、最初は、プロダクトは良いけれどマーケティング戦略やコミュニケーション戦略が悪いかどうか見極めるのが難しいです。あるいは、顧客に合っていないことが問題である可能性があります。プロダクトは良いけれど戦略が悪いのか、それともプロダクトが悪いのかを確かめるために、あなたはどのようにその問題について話し合い、そして識別するのですか?

Geoff Ralston
質問は、特に消費者市場において、プロダクトの何が問題なのか、どうすればわかるのか、といったことだと思います。戦略なのか、そのプロダクト内容なのでしょうか。それとも、欠けているのは、プロダクトのある機能なのでしょうか。

Elad Gil
それは消費者プロダクトの種類に少し依存します。あなたが電子商取引サイトを持っているなら、それは本当にLTV(Lifetime Value ・顧客生涯価値)とCAC(Customer Acquisition Cost ・顧客獲得コスト)についてです。あなたはプロダクト販売コストよりも少ないコストで顧客を獲得できますか。そして、その顧客の生涯価値は何ですか?SEOやSEM、その他の広告フォーマットや顧客獲得戦略といった、うまくいく傾向のある配信戦略がほんの一握りあります。それが、むしろソーシャルネットワークである場合には、本当に成長率、および退会、そして人々をプロダクトに引き込むためのベクトルが何か見て取れます。だから、それは...

市場セグメントに応じて、様々な異なった答えがあると思います。このことについて、本当に良い Andrew Chenのブログ投稿がいくつかあると思いますが、それを調べて参考にするとよいでしょう。

Geoff Ralston
さて、質問をもうひとつ。そこの後ろの方。

PMFの本当の壁と偽の壁

スピーカー9
プロダクトマーケットフィットの面では、何が本物或いは偽りの壁だと考えますか。

Geoff Ralston
プロダクトマーケットフィットの面では、何を...あなたを粉々に砕こうとしている本物の壁とあなたが体当たりして通り抜けるべき偽りの壁をどうやって見分けることが出来ますか。

Elad Gil
成功の始まり部分には、いつも偽の壁があると思います。だから、ある程度まで、先のディスカッションに戻りますが、実際に、あなたのプロダクトでうまくいっているというサインはなんですか。

そして、それはあなたにとっての壁が何を意味するかに依りますが..例えば、あなたが小さなベースから月に20%成長しているなら、それがうまくいっているサインだと思います。たとえ「ああ、あなたのユーザーベースは小さいね。それが大きくなることは絶対にないから、あなたは壁にぶつかるよ。」と言う人がいるかもしれないとしても。

そして、こういった企業が巨大企業になるのを目にします。ユースケースがはるかに大きいからです。Airbnbがよい例ですが、市場規模がみんなの予想を上回っていました。だから、それは少し、あなたがどんな壁について話しているのかにもよりますが、何かがうまくいくだろうという明確なサインはあると思います。

しばしばそのようなサインは創業者自身に無視されてしまいます。自分が取り組んでいるこの小さくて繊細なものが、そしてそれはとても壊れやすいのだけど、実にこの驚くべき巨大な会社になると考えるのは論理を遥かに超えているからです。

数年前Airbnbのクリスマスパーティーに行ったとき、このようなことがおこりました。私は、彼らが8人くらいの時に投資しました。それから私は、クリスマスパーティーに行き、そこには、正確に覚えてはいませんが、2000人かそのくらいの数の人がいて、スーツを着ていました。それはまるで素晴らしい企業の休日イベントのようでした。私は「ああ、これはすごい!」と驚嘆しました。

Geoff Ralston
何が起こったの?って

Elad Gil
そう、「わあ、こんなことが起こるんだ。」と目を丸くする瞬間の一つでした。数年で8人から数千人にまで成長し、もしかすると世代を超えて存続する堅固な会社を作ることも可能なのです。それは非常に強力です。

Geoff Ralston
Elad 、どうもありがとう。

Elad Gil
ええ、私を呼んでくれてありがとうございました。

 

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
動画: A Conversation with Elad Gil (2018)
トランスクリプト: A Conversation with Elad Gil

FoundX Review はスタートアップに関する情報やノウハウを届けるメディアです

運営元