スタートアップ初期のアンチパターン(べからず集)

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Y Combinator が教えることは「何を無視したらいいかを教えること」だと言われています。私たち FoundX でも同様に、無視したほうが良い活動や注力しないほうが良い活動についてアドバイスをしています。

たとえば、以下のようなものはスタートアップの初期ではうまくいかないことが多いため、お勧めしていません。

  • ❌ 顧客の課題ではなく、市場の課題に注目する
  • ❌ 顧客の課題ではなく、最初からビジネスモデルやマネタイズに注力する
  • ❌ アンケートで顧客インタビューをした気になる
  • ❌ あまりにも早く人を雇いすぎる
  • ❌ あまりにも早くからフルスクラッチで開発をしようとする
  • ❌ 最初から多くの機能を実装しようとしてしまう
  • ❌ 開発を外部に委託して自分たちで行わない、もしくは技術系の共同創業者を探さない(技術系の人がいないと得た学びをプロダクト開発にすぐに活かせないため)
  • ❌ すぐに他人(アルバイトなど)や業者に任せるなど、自ら手を汚したがらない
  • ❌ 他企業とのパートナーシップを狙う (例1 234, 5, 6)
  • ❌ 大きな取引にすべてを賭ける (例12)
  • ❌ 大々的なメディア発表を狙う
  • ❌ お金を使いすぎる

これらのうち「お金を使いすぎる」こと以外は、どれもがスタートアップの死因に直結するように見えないため、見過ごされてしまいがちです。

しかしやるべきことではない仕事や見込みのない仕事に時間を使ってしまうのは、スタートアップにとって最も貴重なリソースである「時間」を浪費することにつながっています。殆どの会社は資金が無くなったことが原因で潰れるわけではないのです。

中にはこうしたTipsを受けて、「自分だけは違う」「自分にかぎっては例外」だと思われる方もいらっしゃるかもしれません。

もちろんそうした例外もあって、うまくいっている例もあります。ただ、それは非常に稀です。

なので、まずはこれまで積み重ねられた型を学び、諸先輩方が過去にはまってしまった罠を避けてみてください。そしてアンチパターンに挙げられることをやっていないだけで、周りからは「この人は分かっている!」と高く評価されるはずです。

 

その他のアンチパターンを以下で紹介します。

偽の仕事

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偽の仕事とは、仕事をやった気持ちになるものの、実質的な進捗が生まれない仕事のことです。スタートアップが時間を失う最も危険な方法は、娯楽に費やすことではなく、偽の仕事に費やすことだと言われています。

スタートアップにおける偽の仕事は以下のようなものが代表的です。

  • ❌ イベントへの登壇や参加
  • ❌ 資金調達やユーザー獲得などの目的と関係しないピッチイベントへの出場
  • ❌ ネットワーキング
  • ❌ 積極的なプレスリリース
  • ❌ ブログなどでの発信によるパーソナルブランディング
  • ❌ リーンキャンバスなどのフレームワークを埋めることに多くの時間を費やす

他の仕事

アンチパターンとして以下のような活動もお勧めしません。これらは集中力をそぎ、気を散らすことにつながります。

早すぎる懸念

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以下のような懸念は、アイデアの検証段階で懸念するには早すぎることが多いです。顧客がまだいないときは特にです。これらのことは、本当に必要になってから考えたり、専門家に聞いたりすれば良いことです。

  • ❌ 会社設立の上手な方法
  • ❌ 時期尚早な資金調達の心配
  • ❌ 競合を意識する (12)
  • ❌ ビジネスモデルへの過剰な心配
  • ❌ 知的財産の心配(ハードテック系以外は考えなくとも良いことが多いです)
  • ❌ 人の採用やストックオプションの構成
  • ❌ この技術スタックでスケールできるかどうか
  • ❌ マーケティングの手法(有料広告等)
  • ❌ 規模拡大の方法(人が欲しがるものを作れるまで不要)
  • ❌ コンバージョンの改善などのユーザー獲得の最適化

やるべきこと

今回はアンチパターンを紹介しましたが、逆にスタートアップで役立つパターンを集めたのが FoundX Online Startup School です。「何をすればよいのか」を知りたいのであれば、ぜひ登録していつでも受講を始めてみてください。

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その他にも、以下のような記事が参考になるでしょう。

シンプルに言えば、スタートアップの初期にやるべきことは顧客と会う時間を最大化して、人が欲しがるものを作るためのヒントを得ることです。なのでこうしたアンチパターンの仕事をしそうになったら、まずは顧客の課題を把握して、Customer/Problem Fit を目指すことに時間を使うように心がけてみてください。

たったそれだけで、他よりも一歩抜きんでたチームになれるはずです 😊

 

著者情報

馬田隆明

東京大学 FoundX ディレクター。University of Toronto 卒業後、日本マイクロソフトでの Visual Studio のプロダクトマネージャーを経て、テクニカルエバンジェリストとしてスタートアップ支援を行う。2016 年 6 月より現職。 スタートアップ向けのスライド、ブログなどの情報提供を行う。著書に『逆説のスタートアップ思考』『成功する起業家は居場所を選ぶ』。

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