急成長するハイテクスタートアップに損害を与え、シリコンバレーの認識のされ方にもいつの間にか害を与えている10の行為をここに挙げます。
#1 解雇を重視せず雇用のみ行うこと、あるいは雇用するための訓練、動機付け、報酬のみをマネージャーに提供すること。または、それらが業績管理および効率の最適化に関してのみ行われれること。
#2 個人として株式を短期間で多く売却しすぎること。これにより、従業員と見込み顧客が、皆さんの創業者としての長期的な関わり方に疑問を抱きます。 関連する注意事項として、従業員による無規律な株式売却を許すことで「当て逃げ文化」を作ってしまい、実際に上場する前に株式公開の重荷を自社に背負わせることになるというものがあります。
#3 創業初期の従業員にずさんで規律のない株式交付を行うことにより、資本政策表の内容の質の低い流動化を行うこと。これは、その後の従業員に対して、見えない「士気の地雷」を埋めることにもなります。
#4 それぞれのグロースラウンドの絶対的な価値評価額を最高にすること。これにより、後のラウンドの達成が厳しくなるだけでなく、破壊的なダウンラウンドの引き金を引くことにもなりえます。
#5 (場合によってはプライベート・エクイティ会社やヘッジファンドなどの)投資家のグロースラウンドに関するひどい構成条件に巻き込まれること。こうなると、わずかでも悪いことが起こった場合に、間違いなく大きなトラウマが待っています。
#6 時期尚早の上場!ビジネスが堅固になる前、すべての攻撃に耐えることができるようになる前の上場は、株価の死のスパイラルに向かうことになり、誰にとっても悲しい事故で終わることになります。
#7 巨額の資金を注いで過度に立派な本社を新築すること — つまり「エディプスコンプレックス」。そして、2年後に同じことを繰り返すこと。従業員に対する「私たちはやり遂げた、私たちはすばらしい」という合図の中にも危険があります(締め付けられるような手狭な共有空間にいるときは皆がそれを嫌いますが、引越し後にはとても懐かしく思います)。
#8 より多くの現金を確保することで、常に高い評価額が生まれること。これが実は自分の会社を即死させることになります。
#9 イベントの出席の連続、特に社交的なイベントを実際の仕事と混同すること。これは、様々な領域で有害な文化を生むことにもなります。アルコール/薬物を奨励したり、いわゆる「羽振りのいい人」をその他の「賑やか」ではない重要な貢献者よりも評価することになるからです。
#10 人事を真面目に考えようとしないこと。この問題はハイテク領域だけに特有のものではありません。特に創造的で、技能の高い職場に蔓延しています。特定の企業規模においては、人々および効果的な人材担当者の両方を管理する能力が必要です。(たとえ、優れた人事の実践において、会社の統率力の訓練に絶対的な価値があったとしても、ほとんどのマネージャーは実際の人事を行うことにつけては、危険なほどに未熟です。)賢く効果的な人事がなくては、社内管理の姿勢および従業員の態度の酷さが有害な文化を生むことになり、とてつもなく大きな倫理的また法的危機に陥る可能性があります。
著者紹介 (本記事投稿時の情報)
Marc Andreessenは、ベンチャーキャピタルのAndreessen Horowitzの共同創立者であり、ジェネラル・パートナーでもあります。彼はイノベーターでありクリエイターでもあり、10億人以上の人々に利用されているソフトウェアの分野を開拓した数少ない人物の一人であり、複数の10億ドル規模の企業を設立した数少ない人物の一人でもあります。
マークは影響力の高いインターネットブラウザ Mosaic を共同開発し、後に AOL に 42 億ドルで売却した Netscape を共同設立しました。また、Loudcloudを共同設立し、OpswareとしてHewlett-Packardに16億ドルで売却しました。その後、2008年から2018年までヒューレット・パッカードの取締役を務めました。
Marcはイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校でコンピュータサイエンスの理学士号を取得しています。
Marcは、以下のAndreessen Horowitzのポートフォリオ企業の取締役を務めています。Applied Intuition、Carta、Dialpad、Honor、OpenGov、Samsara。また、Facebookの取締役も務めています。
記事情報
この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: Beware the ‘Edifice Complex’ — and 9 Other Ways to Damage a High-Growth Startup (2014)