希薄化 (Sam Altman)

最近の5年間は、おそらくそれより前のどの5年間よりも、未公開テック企業への投資により多くの資金の注目が集まりました。

この資金供給の増加により、会社の評価額(価格)が上昇し、多くの会社が資本の量を増やしたのは自明の結果です。

自明でない結果は、高い評価額でより多くの資金を調達したものの、結局のところ会社のずっと多くの部分を売ってしまったということです。

アーリーステージの資金調達市場がずっと厳しかったこれまでの長い間、企業に対するYCの標準的な助言は、合理的に可能な限り多くの資金を調達することでした。いつかまたこの助言が正しいものとなる可能性は高いものの、現時点での市場の状況は変わっています。

240万ドルの投資前企業価値で615,000ドルを調達(Airbnbの例のように、会社の~20%を投資家に売却)するよりも、1,000万ドルの投資前企業価値で500万ドルを調達(会社の33%を投資家に売却)する方が良い取引のように聞こえます。しかしそれが良い取引と言えるのは、会社が極めて良いお金の使い方をする場合に限られます。そうでなければ、結局のところ保有するエクイティの金銭的価値が低下して終わることになりかねません。

今現在、Airbnbの企業価値は1%あたり約3億ドル相当です。この価値は将来、さらに上がると見込まれます。あなたの会社もいつか飛び抜けた成功を収めたいと願うのなら、彼らと同じようにエクイティを扱いましょう。(私からのアドバイスの1つは、エクイティを従業員に与えることに関してケチケチしないことです。多くの創業者は本能的に投資家に対してエクイティを与え過ぎ、従業員に対しては十分に与えない性質があるように思います)

「シードラウンド」や「シリーズA」の条件は、以前のように明確ではなくなっています。しかし全般として、企業はシードラウンドではだいたい10~15%、シリーズAでは15~25%の売却を考えることをお勧めします(アクセラレーターを利用する場合は約7%)。これらを1つにまとめた初期ラウンド全体で、会社の30%以上を売らないようにすることが、私からのアドバイスです。

また、創業者は時間を割き、最大限努力してこのことをモデル化することをお勧めします(あるいは、私のパートーナーGeoff Ralstonの作ったAngelcalcを利用しましょう)。創業者はしばしば、評価額を高く交渉するよりも、資金調達をより少なくするほうがが自らの所有権を守る上でどれだけ役立つのかというのに驚くものです。

もちろん、この助言を無視してしまうのは簡単です。他のほとんど何よりも大事なのは、資金不足に陥らないことですから。

私は最近、非常に順調にBラウンドまで進んだものの、すでに投資家が会社の50~60%を所有している企業の例をいくつか見てきました。その全てのケースで、彼らは辛い状況にあります。非常に成功したある投資家が言う通り、「ベンチャーの不変の法則の1つは、資本政策表には100ポイントしかないということです」。いつかの時点で、全てが上手く行くのは難しくなります。数%分のポイントを多く売り過ぎても致命傷にはならないでしょうが、30ポイント売り過ぎればそうなりかねません。

資金調達は成功ではない、ということを忘れないでください。早い段階での巨額の資金調達が企業の成功を意味することはめったにありません(企業の失敗を意味することは時々ありますが)。多くの代償を払って少ないことを成すのではなく、少ない代償で多くのこと成す企業の1つになりましょう。いかにも重要そうな投資家がたくさん載っているリストを持つことで、自分たちの確証をもらおうと思ってしまう衝動に耐えてください。

制限があることで素晴らしいフォーカスができるようになります。なんだかんだ言っても、過剰に資本を調達すれば、結局のところ自ら大家の支配の下に入ってしまうことになるのです。あなたが次のAirbnbになれば、エクイティを持ち続けたことが本当の幸せをもたらしてくれます。

 

著者紹介 (本記事投稿時の情報)

Sam Altman

Sam Altman は YC グループの社長です。彼は Loopt の共同創業者兼 CEO でした。Loopt は 2005 年に Y Combinator に投資され、2012 年に Green Dot に買収されました。Green Dot で彼は CTO を務め、現在は取締役です。Sam は Hydrazine Capital も創業しました。彼は Stanford でコンピュータサイエンスを学び、その間 AI lab で働いていました。 

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: Dilution (2017)

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