海底地熱の『Endurance Energy』と家庭VPPの『Lunar Energy』

今週の「FoundX Review スタートアップ IdeaCast」では、電力インフラを「つくる場所」と「束ねる仕組み」の両面から再設計する2社を紹介します。Endurance Energyは発電設備を海底へ移し、Lunar Energyは家庭用蓄電池をネットワーク化して分散型の発電所として機能させようとしています。

一方は海底、もう一方は家庭。共通するのは、新しい科学だけに賭けるのではなく、既存技術の統合、運用、販売チャネル、資金調達までを一体で設計している点です。気候テックやエネルギー領域だけでなく、重厚長大産業の事業化や、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせた事業を考える方にも示唆の多い2本です。

エピソード1: 【Endurance Energy】海底に発電所をつくる。SpaceX式「海底地熱」でAI時代の電力不足を解く

見どころ:
陸上の地熱発電が抱える用地、送電網、住民合意の制約を、発電設備そのものを海底へ移すことで回避しようとするEndurance Energyを解説します。海底火山帯の熱資源と冷たい深海水を生かす仕組み、回収・交換可能なモジュール設計、輸入ディーゼルに依存する島国から市場に入る戦略を通じ、巨大インフラを段階的に事業化する方法が見どころです。

こんな方におすすめ:

  • 気候テックやディープテックで、大規模インフラを小さな実証から立ち上げたい起業家
  • 電力、海洋、離島、沿岸データセンター領域で新規事業を検討する事業開発担当者
  • 技術の新規性だけでなく、保守、建設、資金調達まで含めて事業性を評価したいVC・CVC

学べること:

  • 用地や住民合意などの制約を正面から解くのではなく、設備の設置場所を変えて迂回する発想
  • 巨大なデータセンター市場へ急ぐ前に、高価な輸入燃料に依存する島国を初期市場に選ぶ理由
  • PPA(長期の電力購入契約)やIPP(独立系発電事業者)、プロジェクトの将来収益を基にした資金調達を組み合わせる事業設計

YouTubeでEndurance Energyのエピソードを視聴する


エピソード2: 【Lunar Energy】元Tesla Energy責任者が挑む、蓄電池×AI×VPPで「家庭を発電所」に変える

見どころ:
太陽光、蓄電池、EV充電器、分電盤、アプリが分断された住宅エネルギーの「フランケンシュタイン型」構造を、統合ハードウェアとAIで再設計するLunar Energyを取り上げます。家庭を小さな発電所として束ねるVPP、売り切りに終わらない収益モデル、Moixa買収で運用実績とデータを獲得する戦略から、製品統合とオープンプラットフォームを両立する方法を学べます。

こんな方におすすめ:

  • 家庭用蓄電池、太陽光、EV、住宅設備を組み合わせた事業を考える起業家・プロダクト責任者
  • ハードウェア販売に継続課金や電力サービスを重ね、収益源を広げたい新規事業担当者
  • M&Aや販売パートナーを活用し、開発期間と市場参入期間を短縮したい経営者・投資家

学べること:

  • VPP(Virtual Power Plant:仮想発電所)が、複数の家庭用蓄電池を一つの電力資源として束ねる仕組み
  • 利用者だけでなく施工会社の負担も減らし、導入しやすさを販売拡大の競争力に変える方法
  • 自社製品では統合された体験を提供しつつ、他社機器も接続できる開放型プラットフォームを構築する考え方

YouTubeでLunar Energyのエピソードを視聴する


2本を通して見える共通テーマ

Endurance Energyが電力を生み出す場所を海底へ移す一方、Lunar Energyは家庭に分散する蓄電池を束ね、電力網の一部として活用します。集中型と分散型という違いはありますが、両社は「制約の強い現場を、統合と運用で解く」という共通の事業設計を取っています。

  • 制約を移動する: 土地や送電の制約を海底へ移して迂回し、系統の不足を家庭側の資源で補う
  • 部品ではなくシステムを売る: 既存技術を組み合わせ、設置、制御、保守、資金回収までを一つの価値として設計する
  • 切実な初期顧客から始める: 輸入燃料に依存する島国や、施工・運用の複雑さに悩む住宅市場など、課題の強い地点から参入する

自社のアイデアを検討する際は、「新しく発明する技術は何か」だけでなく、「どの制約を移動・統合・引き受けるのか」「最初に誰の高いコストを下げるのか」まで整理してみてください。技術優位を、導入と運用を含む事業優位へ変えるヒントになります。

配信チャンネル

「FoundX Review スタートアップ IdeaCast」は、YouTube、Spotify、Apple Podcastで配信しています。3つのチャネルは同じエピソード内容です。映像やチャプターを確認したい方はYouTube、移動中などに音声で聴きたい方はSpotifyまたはApple Podcastをご利用ください。

FoundXの起業家・起業志望者向けプログラム

  • Founders Program: すでにアイデアを持つチーム向けの9か月プログラム(一部事業は最大12か月)
  • Startup Studio: これからアイデアを探し、仮説構築と検証に取り組む起業志望者向けの12か月プログラム
  • Startup Studio Lite: Startup Studioを1か月体験する短縮プログラム
  • Startup Studio Serial: 次の起業を考えるシリアルアントレプレナー(連続起業家)向けのプログラム

FoundX Review はスタートアップに関する情報やノウハウを届けるメディアです

運営元