デモデーでのピッチについてのガイド (Geoff Ralston, Y Combinator)

Y Combinatorは2005年に初めてのデモデーを開催しました。企業8社が自社プロダクトを発表し、投資家15人ほどのオーディエンスに向けて自社のビジョンを売り込みました。今日では、世界中のアクセラレーターやインキュベーターが自身でデモデーを開催しており、2016年には200社以上のYC会社が幾百人ものオーディエンスに向けて自社のスタートアップを説明します。効果的なデモデーのプレゼンテーションを製作することはYC参加において重要な部分となりました。デモデーの重要性だけでなく、プレゼンテーションを製作するプロセス自体が貴重なものだからです。驚くことに、創業者たち自身が一同で明確に理解し、自身のストーリーの理解を揃って共有する初めての時となることすらあります。1

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その最初のYCグループ以来、私たちは1,000社以上のプレゼンテーションを手伝ってきました。このガイドでは私たちが学んだことをまとめ、効果的なデモデーのプレゼンテーションの作り方を説明します。シードキャピタルの仕組みを語る A Guide to Seed Fundraising(日本語版:スタートアップのシード資金調達ガイド)の記事と合わせて読めば最適です。2

このガイドを読む上で、投資家への短いプレゼンテーションだけですぐに投資を決められることはほとんどないということを覚えておいてください。プレゼンテーションが他にも多くある中の1つである場合は特にそうです。その場合、投資家たちは単に情報の流れを管理し、何より、誰を見逃して誰と話すべきかを判断しようとします。ゆえにあなたの目標は、オーディエンスにあなたと会ってもっとよく知りたいと思わせる程度に彼らを魅了することにあります。その目標を念頭に置いて以下の処方箋に従えば、あなたはきっと素晴らしいデモデーを迎えることができます。

この短いマニュアルを読む時間も気力もない読者の皆さんには、優れたプレゼンテーションの秘訣を今すぐご紹介します。それは練習です。口からスムーズに流れるように自分のストーリーを熟知しておくことです、スティーブ・ジョブズのピッチくらいスムーズに。ストーリーに入念に、集中的に取り組むプロセス自体が、ストーリーを改良し、より説得力のあるものへと変えてくれます。

この記事の終わりに広範囲な参考記事リストがありますが、必読のものは以下のとおりです:

あなたのプレゼンテーション

すべてのプレゼンテーションと同様、あなたのデモデーのプレゼンテーションは一つのストーリーです。それぞれの創業者は自社のセールスパーソンとなり、そのストーリーを語る機会を得ます。これは全員が同じ理解レベルに到達できる機会です。あなたのプレゼンテーションはあなたのコアメッセージ、あなたのチャンス、そして特に、あなたが作っているプロダクトを統合し理解する取り組みの極致となるべきです。最高のデモデープレゼンテーションには4つの重要な特長があります:

  • 明瞭さ:プレゼンテーションは明瞭に簡潔に語られている。
  • 興奮させる:提示されたチャンスは説得力がある。オーディエンスに注目させる力がある。
  • 情報がある:オーディエンスが知らなかった何かを教える。
  • 記憶に残る:あなたのストーリーがオーディエンスの中に残る。後からあなたが誰で何をしているかを思い出せる。

これらの特長を習得する最良のテクニックは反復、批評、編集(情報の取捨選択は重要)のプロセスです。しかしプレゼンテーションを構築するにはまずフレームワークから始めることが必要です。私たちはこれをストーリーの背骨と呼んでいます。

背骨

ほとんどのオーディエンスは聞いたばかりのプレゼンテーションの中から多くて3つか4つのキーポイントだけを覚えることになります。他にも多くのプレゼンテーションがある場合はなおさらです。プレゼンテーションの背骨とは、これらのキーポイントを指します。これは会社および会社が提供するチャンスを、説得力があり記憶に残る形で語る手段です。必ずしも何をしている会社なのかを説明するものではなく、むしろオーディエンスの関心を引く可能性が高く、もっと知りたいと思わせることができるものです。それからポイントを可能な限り効果的に伝えるプレゼンテーションを構築します。

これら4つのポイントを引き出す素晴らしい方法として、ソクラテス式問答法(反対論証法)があります。以下を自問してみてください:

  • 私たちは何を、誰のために作っているのか?
  • なぜこれは今まで行われなかったのか?
  • なぜ私たちがこれをするのは難しいのか?
  • なぜこれは逃してはいけない機会なのか?

あなたのストーリーは最初は細々と始め、そのストーリーを必要な分だけ展開させ、それ以上膨らませないようにすると作りやすいでしょう。最高のプレゼンテーションは完全かつ簡潔です。すばらしい明瞭性で語られるストーリーなのです。

オーディエンス

どんなプレゼンターにとっても目標はオーディエンスの注意を引きつけ、ストーリーに引き込むことです。トップレベルのプレゼンターはオーディエンスの心を捉え、知識があり、挑発的で、時に可笑しいものです。最悪のプレゼンターは痛々しいほどぎこちない、ややこしい、つまらない、あるいはこれらすべてです。

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成功への第一歩は、自分が誰に語りかけているのかを知ることです。もしくは、目の前にいる人々に響くことが何なのか知ること、と言ってもいいかもしれません。投資家は、次のホットなスタートアップを見つけることだけに関心があります。あなたのゴールは、それがまさにあなたかもしれない、と彼らを説得することです。残念なことに、たいていの場合、これを行う時間は非常に短いものです。これはプレゼンテーションに割り当てられた時間の長さに関係なく当てはまります。大抵の投資家はほとんど即座に関心を無くしてしまうからです。

気に入らないスタートアップを決めることは、投資家にとってずっと簡単になりました。この方が簡単なので、最初に彼らがするのはどのスタートアップと話をする必要がないかを決めることです。これによって、どのスタートアップに会うべきかを決めるという彼らの一番の目標がずっと楽になります。

会社を無視できないように作られたプレゼンテーションは、この機会を逃せば次のAirbnbを逃すことになるかもしれないという恐怖を投資家に植え付けるものであり、次のミーティングと取引を成立させるチャンスを最大にします。投資家、エンジェル投資家、またベンチャーキャピタリストも、目の前に次の大きな出来事があるのに見逃してしまうのではないかという深い恐怖心を抱いています。

プレゼンテーションの構成

デモデーのプレゼンテーションは一貫した構造に従う傾向がありますが、特に経験豊富なプレゼンターにとっては、変化の余地が多くあります。以下に一般的なコンポーネントの概要を示しますが、どの順番で提示するかはあなた次第です。ほとんどの場合、最初に導入、そして最後に結論がありますが、私たちは印象的なトラクションを最初のスライドで見せるよう企業に推奨することもあります。これで聴衆の注意を引き、その後それを維持することができるでしょう。ある創業者が$500万の収益があるという事実を伝えて終え、この事実から始めなかった際に、私の同僚のJustin Kanは「大事なことを後回しにしないで!」と叫びました。

導入

これはいわゆるエレベーターピッチと呼ばれているものとあまり変わりません。自分が何をしているのか、なぜそれをしているのかを簡単に述べてください。最初に、聴衆が理解しそうな言葉で、自分が何者であるかをできるだけ明確に伝えることから始めると特に良いでしょう。例えば、「私たちは食料品を顧客の家に届けます」という紹介は、「私たちは食料雑貨のニーズに対する、次世代のAIベースの解決策を提案しています」と言うよりも明確です。これはミッションステートメントと呼ばれることもありますが、とにかく簡潔性と明確性を追求してください。よくある間違いは、プレゼンテーションのかなり先まで何をしているかを説明しないことです。それはどんな場合でも誤りです。

あなたが解決する課題

ほとんどの場合、製品によって解決される問題の簡単な説明をプレゼンテーションに含める必要があります。しかし、前述の注意点に気をつけてください。問題の説明から素晴らしい解決策の提案までに時間をかけ過ぎてしまうと、聴衆はあなたが実際に何をしているのか分からないままピッチの半分を過ごしてしまうでしょう。

製品と顧客

何を誰のために構築しているかをより詳しく説明します。今まではここがデモを見せる場面でしたが、皮肉なことに、最近のデモデーのプレゼンテーションでデモがうまく機能することはほとんどありません。製品の機能を迅速かつ明確に説明することは、デモデーの準備をする上で最も困難であり、やりがいのある作業です。

機会

これは通常、実現可能な最大の市場規模(TAM)として表されます。漠然としたトップダウン型の説明(例、ソフトウェア市場は$15兆市場で、そのうちのわずか1%を獲得できれば...)より、具体的でボトムアップである方(例、「これをXドルで販売することが可能で、Yの潜在的顧客がおり、$X * Yの市場規模が見込める」)がはるかに良いでしょう。あなたのゴールは、チャンスは現実のものであり、何の根拠もない中でデータを作り上げているのではないこと、そしてあなたの会社にその金額を実現する可能性があることを聴衆に納得させることです。

トラクション

今はシェアウェア、フレームワーク、AWSの時代ですから、デモデーまでにほとんどの企業は、すでに起業、運営され、顧客を受け入れ、願わくは雑草のように成長していることでしょう。トラクションは、この雑草のような成長を示す場面です。スタートアップのうなぎ上りの成長曲線を見せましょう。素晴らしい成功物語があることに間違いないでしょうが、今はそれがノンフィクションであることを聴衆に証明するチャンスです。トラクションがない場合や、まだ起業していない場合はどうなるでしょうか?希望がなくなってしまう訳ではありません。多くのスタートアップは自社の事前トラクションを示すことに成功してきましたが、その場合、それが成功するかどうかは説得力のある物語の力にかかっていることを忘れてはいけません。あなたは、自分のパーソナリティーや実績、物語、夢に、より強く頼らざるを得なくなります。

チーム

チームをどのようにプレゼンテーションに組み込むかはあなた次第ですが、何よりも投資家があなたとあなたのチームに投資しようとしていることを念頭に置くことが重要です。したがって、関心を引くためには、チームを売り込まなければなりません。しかし、現実的にはこの短いプレゼンテーションでは多くのことができないため、ここではチームの真に注目すべき側面(「Jillはロケット科学で博士号を持ち、この市場を構築するためのコア技術の特許を持っている」)についてのみ時間を割いてください。

結論

泣きそうな声でプレゼンテーションを結論づけるのではなく、自信を持って終わるようにしましょう。聴衆にあなたのことを覚えてもらうよう求めます。あなたの企業と投資の機会について覚えて欲しいことをできるだけ率直に伝えるようにしましょう。3つか4つの骨子を分かりやすいリストにして覚えてもらうようにすると、効果的な場合が多いです。
私はここまでビジネスモデルについてのセクションを設けませんでしたが、プレゼンテーションの終わりにはあなたがそれを持っていることを投資家が信じていることが重要です。場合によってはモデルが明白で、それを説明する必要がないこともありますが(「新しいタイプの小売店」)、そのような場合でも、なぜあなたが利益を得ることができるかを説明する必要があるかもしれません。ユニットエコノミクスが不可能に思えるようなモデルを信じる人はほとんどいないでしょう。モデルを詳細に説明する時間はないので、簡単で覚えやすい用語でモデルを説明する方法を見つける必要があります。

スライド

プレゼンテーションで一番重要な部分はあなたが語る物語です。スライドは物語を引き立てて強化しますが、決してそれが物語を支配してはいけません。スライドはあくまで脇役で、あなたが主役です。まず物語に取り組み、それからその物語をサポートするスライドを作成します。スライドデッキを作成してから、スライドをサポートする物語を語ることは避けてください。後者の場合、プレゼンテーションはスライドごとにつまってしまい、スライドの切り替えを丸暗記することで、それを取り繕うとしてしまいます。前者では、トランジションが自然にストーリーに溶け込み、まとまりのある全体になります。

聴衆は、スライドを読むことと話を聴くことを同時に行えないことを覚えておいてください。それを強要してしまうと、彼らはおそらくスライドを読み、あなたを無視することでしょう。スライドはシンプルで、一目見ただけで理解できるようなものにしなければなりません。数分間続くプレゼンテーションでは、複雑なスライドを聴衆に説明する時間はありません。試しにそうしてみてください。あなたが読み終わる頃にはリスナーの80%がEメールを読んでいることがわかるでしょう。聴衆があなたを理解しようと積極的になることを期待してはいけません。

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良いテストとなるのは、このスライドあるいはこのポイントで、誰かがあなたの会社に参加したり投資したりするように多少なりとも説得できるかどうかです。この種の証言は気持ちいいですが、聞き手にはほとんど影響しません。

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スライドのヒント

優れたスライドの作成は、優れたプレゼンターが習得しなければならない芸術様式です。スライドは、競合製品ではなく顧客のサポートのためにあることに注意してください。Kevin Haleのプレゼンテーションは必読です。彼の指示に従い、次のヒントを覚えておいてください。

  • 1つのスライドに対し、ポイントは1つだけにしましょう。それ以上は必要ありません。
  • 可能な限り文字よりも写真を使用し、関連性と付加性を重視した表現にします。つまり、スライドは、要点を明確にするのに役立つものでなければなりません。中立的であったり混乱させたりするものであれば、無い方が良いでしょう。
  • スライドの単語数は最小限にしましょう。単語がある場合は、大きなフォントにします。1つのスライドに7語以上の単語がある場合は、多すぎる可能性があります。
  • 引用は素晴らしいですが、大きくして、要点を強調するために聴衆に向けて読み聞かせてください。他のことを話している時に、聴衆が引用文を読むとは思わないでください。
  • 画像とテキストがある場合は、テキストを読みやすいように、コントラストがあるエリアにテキストがあることを確認します。必要に応じて、テキストに半透明の背景を追加します。
  • フォントが大きく、遠くからでも読みやすいことを確認します。同様に、色落ちしやすい色や見えにくい色は選ばないでください。通常は、原色または黒を選ぶのが安全です。
  • 重要なテキストをスライドの上部に配置します。ホールの後ろに座っている人は、スクリーンの下部を見ることができないかもしれません。
  • 累積グラフは使用しないでください。定義上、これらは常に右肩上がりの成長を示すので、本当の成長はないという疑いを、聴衆はすぐに感じてしまうでしょう。

準備

何百ものデモデーのプレゼンテーションに向けて創業者をコーチしてきた結果、準備のテクニックとして重要なことは1つだけだと分かりました。しかも幸運なことに、それは非常にシンプルです。練習することです。練習のあとも、もう少し練習しましょう。そうすれば話し方が上達するだけでなく、あなたの会社が大成功する理由について何度も聞くことで、あなたと共同創業者は何が機能し何が機能しないのかということをそのうち理解するようになります。これは話し方が上達するのと同じくらい重要です。

共同創業者や他の人たちと一緒に練習することは、実際、あなたの成功にとって不可欠です。ほとんどの人はプレゼンテーションを最初に練習する時に、それがどのように聞こえ、またどのような間違いをするか全くわからないでしょう。声を大きくしすぎたり、小さくしすぎたり、早口になったりします。率直で飾らないフィードバックをくれる人たちの前で練習しましょう。一緒に練習する人がいない場合は、自分で録画して、それを見てください。

誰がプレゼンテーションを担当すべきか

プレゼンテーションを担当するのは1人にしましょう。プレゼンターを切り替えることは絶対にお勧めしません。またこの選択は、すぐに複雑になってしまいます。プレゼンターは、CEOまたは最もエクイティのある人物である必要はありません。最も上手な発表者を選びます。デモデーのプレゼンテーションは、栄光を得るためのものではなく、可能な限り最大の関心を生み出すためのものです。最も明確に、最も自信を持って話し、会社にとって最も説得力のある主張をするチームメンバーを選びましょう。

テクニック

全ての発表者は独自のテクニックを持っており、信頼を得ようとすることが重要です。確かにあなたは演技をしていますが、別の人であるかのように説得力のある演技ができる人はほとんどいません。それほどのスキルがあれば、ガイドのこの部分を読む必要はないでしょう。それ以外の人は、自分の声、情熱、内に潜むストーリーテラーを見つける必要があります。しかし、すべての偉大な講演者に共通するいくつかの点があり、そこから学ぶことができるでしょう。

  • 自信を持って、熱意を込めて。情熱を示しましょう。
  • 大きな声を出す。大勢の人に対して話している時、これは特に重要になります。そうでなくても、大きな声を出すことで印象が強くなり、情熱が伝わり、また理解されやすくなるでしょう。
  • 適度な笑顔を。笑顔によってよりリラックスして、自信があるように見えるだけでなく、実際によりリラックスし、自信が出てきます。
  • ゆっくり話す。私たちは創業者に、不自然なぐらいゆっくり話すことを勧めています。元来早口な場合は、特にそう勧めます。ところで、これはデモデーのプレゼンテーションでは特に重要になります。なぜなら、聴衆は膨大な量の情報を吸収しているため、聴衆はあなたの言っていることを処理するために余分な時間を必要とするからです。
  • 間を取りながら話す。間を取ることには、大きな効果があります。聴衆に注意を促すことになりますし、話が落ち着き、考えをまとめる時間となります。
  • はっきりと話す。特に自分の母語でプレゼンテーションをしていない場合は、そうしましょう。
  • 自信を持って話す。練習すれば、暗記した台本でも、より自然で面白いものになります。モノトーンで、ロボットのような発表では、聴衆は眠ってしまいます。
  • 自然な立ち居振る舞い。ぎこちなくあってはなりません。ただし、あまり動き過ぎてもいけません。行ったり来たりしてはいけませんし、踊ってもいけません!動作に関するヒントについては、以下を参照してください。

動作

ステージ上で自信と説得力があり、力強く見せるためには、話している間にどのように動くかが重要になります。完全に静止してしまうのは、ほとんどの場合に良いアイデアではありません。出来るだけ自然にし、銅像のように立たないようにしましょう。動きのない創業者のプレゼンテーションでは、投資家も動かされないことが多いです。同時に重要なのは、聴衆の注意をそらしてしまうほど動き過ぎないことです。

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ステージ上でのほとんどの時間は、しっかりと足を下ろし、体重を均等に配分するようにします。気を散らしてしまうので、体重の移動はしないようにしましょう。同じように、動くことはまったく問題ありませんが、ステージ上を行ったり来たりしないようにしてください。何歩か歩いて立ち止まり、少し話し、それからもし動きたければ動いてください。

常に聴衆の方を向いておきましょう。向きを変えてスライドを見ることは避けてください。聴衆と目が合わなくなるたびに、あなたの存在感は薄れてしまいます。何かを指差したいなら、前を向きつつそうしてください。現在のスライドが正しいかどうかわからず、目の前にモニターがない場合は、確認できます。しかしクリッカーを信頼して、すべてのスライドでこのような動きを行うことのないようにしましょう。

大抵の場合、反復の動作をすると、それがステージ上を行ったり来たりすることや、各ポイント毎やスライドが変わる毎に腕を振ることでも、聴衆の気は散ってしまいます。

プレゼンテーションをしながら、これらのこと全てに気を留めるのは非常に難しいことです。これを改善するための最善の方法は、他の人にフィードバックをもらって、繰り返し練習する際に悪い習慣を無くしていくことです。自分の動作を記録したり、観察したりしてもいいでしょう。

よくある間違い

プレゼンテーションを練習して磨きをかける際に、この一覧に戻って発表者によくあるミスがないことを確認してください。よく起きる誤りには、次のようなものがあります。

  • 自分が解決しようとしている問題や、それをどのように解決するのかということについての説明を曖昧にしたり、全くしなかったりしてしまう。つまり、自分が何をしているのかを伝えないこと。この説明は、プレゼンテーションの始めで済ませておくべきです。
  • 専門用語、不必要に複雑な表現や説明、マーケティング用の定型文を使用すること。例、「私たちのSaaS製品は、企業のビッグデータ・ニーズに対応する複雑な分析ソリューションをお客様に提供します」
  • 真実を誇張すること。誇張や、さらに悪い場合、あからさまな不真実は、致命的な誤りとなります。
  • 投資家にそれがなぜ重要なのか理由を明確に示すことなく、プレゼンテーションを完了する。
  • スクリーン対プレゼンター病。聴衆はスライドを見るべきか、あるいはあなたに注目すべきかわからなくなります。どちらかを選ばざるを得なくなるでしょう。
  • 話している時にスライドを見てしまうこと。聴衆の方を向き、彼らに向かって話しましょう。これには練習がいつでも助けとなります。
  • 言葉が多すぎる、特に複雑な言葉や専門用語が多いこと。聴衆は「バッファオーバーフロー」となり、全てを忘れてしまいます。それから、彼らはEメールを読み始めるでしょう。早口で話してしまうこと。大勢の人の前で話すことと一対一で話すこととは違います。
  • 投資家があなたに投資する助けにならないようなスライドを含むこと。例えば、「That’s nuts!」(バカバカしい!)というセリフで、ナッツの絵のあるスライドを入れてしまうこと。
  • 複雑なグラフを入れてしまうこと。
  • 動画を入れてしまうこと。ほとんどの場合、これは良いアイデアではありません。投資家はあなたを評価するためにそこにいますから、彼らはあなたの生のパフォーマンスを見たいと思っています。
  • 踊ってしまう:スーパースターのように発表するのは難しいですが、スーパースターのプレゼンターから学ぶことができます。彼らがどう動いているか見てください。片足から片足へ移動したり、あちこちぎこちなくジャンプしたり、手や腕を大きく回したりしていないでしょう。彼らはゆったりと自信に満ちた足取りで進み、しばしば立ち止まって聴衆を見て、自分の主張を語ります。
  • 間を置かずに話し続ける。話の速度を一定に保つことが大切です。呼吸が必要なのはあなただけではなく、聴衆もです。事実、間を取らなければ、最も重要なポイントを強調する機会を逃してしまうでしょう。
  • プレゼンテーションに対するあなたのアプローチは、聴衆にあなたのことを多く伝えます。退屈そうだったり、怒っていたり、あるいは自分のアイデアについて自信や情熱がないように見られてしまうなら、あなたの勝ち目はほぼゼロでしょう。

結論

スタートアップの成功への道は多様にありますが、成功したスタートアップには共通点が多くあります。企業は、優れた製品を構築し、その製品を好む顧客を見つけ、そのような顧客を多数獲得する必要があります。すべてのスタートアップは、自社の物語、自社が存在する理由、そしてそのビジョンを創造する必要があります。デモデーのプレゼンテーションは多くの場合、その物語の最初の、最も明確で、そして最も簡潔なバージョンとなります。このガイドが、プレゼンテーションの成功へ向けての重要なステップとなることを願っています。

資料

1 The Magic Thread(魔法の糸)。デモデーのピッチを成功させるための秘訣を書いた私の記事です。
2 A Guide to Seed Fundraising(Imagine K12 Manual)(シード資金調達ガイド)、Geoff Ralston。デモデーやその後に(その前の場合もあります)起きる資金調達にフォーカスしたガイドです。
3 How to Present to Investors(投資家へのプレゼン方法)、Paul Graham。デモデーのプレゼンテーションを効果的にするためのテクニック集です。少々時代遅れな部分もありますが、それでも読む必要があります。
4 How to Design a Better Pitch Deck(より良いピッチデッキのデザイン方法)。YCのパートナーのKevin Haleがピッチデッキを構築するための素晴らしいガイドを書いています。
5 Advice on Pitching(ピッチについてのアドバイス)。YCのパートナーのAaron Harrisがベストプラクティスをわかりやすく紹介しています。
6 How I Pitched My First Startup(最初のスタートアップのピッチ方法)。Keen.ioの創業者によるデモデーについてのアドバイスです。
7 How to Write Your Demo Day Pitch(デモデーのピッチの書き方)。Keen.ioのもう1人の創業者によるデモデーについてのアドバイスです。
8 The Anatomy of a Y Combinator Demo Day Pitch(Yコンビネータのデモデーピッチ解剖)。OATVの創業者Bryce Robertsがデモデーについて書いています。
9 YC Demo Day Prep Resources(YCデモデー準備リソース)。YC出身のDanielle Morrillによるデモデーのヒント集です。

 

著者紹介

Geoff Ralston

Geoff Ralston はY Combinatorの社長であり、2011年からYCに参加しています。YC以前、彼は最初のWebメールサービスの一つを作っていました。彼の作ったRocketMailは1997年にYahoo Mailとなり、Yahoo時代にはエンジニアとビジネス部門の経営をしたあと、Chief Product Officerになりました。Yahooの後はLalaのCEOとなり、Apple に2009年に買収されました。2011年には最初のEdTechアクセラレータであるImagine K12を共同創業し、ClaasDojoやRemindなどの会社に投資を行った後、2016年にYCに統合されました。彼はダートマス大学からコンピュータサイエンスのABを、StanfordからコンピュータサイエンスのMSを、INSEADからMBAを取得しています。

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: A Guide to Demo Day Presentations (2016)

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