難しいスタートアップのほうが簡単になる (Sam Altman)

最も理解が難しいスタートアップに関する秘密は、簡単なスタートアップよりもハードな(難しい)スタートアップの方が成功しやすい、ということです。 ハードなスタートアップは、大抵のスタートアップよりもはるかに多くの資金、時間、調整、技術開発を必要とします。そして良いハードスタートアップはうまくいけば価値あるものになるでしょう。(ただし難しい問題のすべてに解決する価値があるわけではありません!)

Instagram が人気を集め始めた頃のことを覚えています。 その年、おそらく1,000社以上の写真共有スタートアップに資金が提供されましたが、核融合スタートアップは10社以下でした。

簡単なスタートアップは始めるのは簡単です。しかし成功させるのは難しくなります。 現在、スタートアップのエコシステムで最も貴重なものは、才能ある人材です。そして才能ある人材の多くは、意味のあることに取り組みたいと考えています。

スタートアップは、最終的に多くの人たちにその取り組みに参加してもらわなければなりません。 たいていの場合、最初の5人や10人に参加してもらうのは簡単でしょう。 しかし最終的には、会社のミッション、大規模な成功の可能性、そしてそこにいる人材の質によって採用しならなくなります。[1]

「世界はこれを必要としている。我々がそれをしなければすぐには起こらない。そしてあなたが参加しない場合、我々は成功する可能性がはるかに低くなってしまう!」という言葉ほど、強力なリクルートメッセージはほとんどありません(それが本当の場合は、です)。

ここにピーターの法則(※訳注:その人が無能になるまで昇進を続ける結果、組織は無能で埋め尽くされる法則)の派生を見ることができます。あなたのスタートアップは、もはや才能のある人々を引き付けることができない、というレベルまでは辿り着くことができるでしょう。(これは時折キャリアにも同じことが言えることです――多くのキャリアにとって、その限界を決める要因は、あなたが才能ある人材をどれだけ多く知っていて、そうした人たちがあなたと一緒に仕事をしてくれるかどうか、ということです。)

簡単なスタートアップは逆風を受け、難しいスタートアップは追い風を得ます。 あなたが何か重要なことを成し遂げようとしている、そんな風に見えることによって、もし多くの人々があなたのことを気にしてくれれば、それこそが採用、アドバイス、パートナーシップ、資金調達などの面であなたを助けてくれる力となるのです。

シリコンバレーの魔法の一部は、あなたが真剣になろうと思えば、人々があなたのことを真剣に受け止めてくれることです。 家の建築、遺伝子編集、人工知能、新しい教育システム、炭素隔離についてのより良い方法を探すような会社を立ち上げたいと思っているなら、たとえ学位や経験がなくても、実際に資金を調達できるかもしれません。

自分自身をもっと野心的にしてみてください。自分が取り組んでいることがどこまで行けるのか、最も興味深いバージョンを考えてみましょう。 そして、その大きなビジョンについて話し、それに向かって執拗に努力します。ステップ1が会社を設立して、ステップ2が火星に行くことになってはいけません。

自分のやっていることに対して、非常に長期的なコミットメントをすることを厭わないでください。 ほとんどの人はそうではなく、それが「簡単な」スタートアップを選ぶ理由の一部です。 ほとんどの人が3年のタイムフレームで動いているのに対し、あなたは10年のタイムフレームで動いている、そんな複利的な世界では、あなたは非常に大きなエッジを持っていることになるでしょう。

 

これの草稿を見直してくれた Luke Miles に感謝します。

[1] この問題のもう一つの解決策は、10人未満でかなり成功するスタートアップを考えることです。 巨大なテック企業からの報酬パッケージが増え続けているので、これがトレンドになるのではないでしょうか。

 

著者紹介 (本記事投稿時の情報)

Sam Altman

Sam Altman は OpenAI のCEO であり、Y Combinator のアドバイザーです。彼は 2014 年から2019年の間、YCの社長でした。彼は Stanford でコンピュータサイエンスを学び、その間 AI lab で働いていました。 

 

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: Hard Startups (2020)

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