Fintech スタートアップが顧客を見つける 5 つの方法 (a16z)

会社を創業する際、私たちは皆、最高のプロダクト(もちろん、私たちのものです)がそのプロダクト独自の優位性で勝利を収めることを秘かに願っています。そのようなことは実際ほとんど起こりません—一見すばらしく見えるアプリがオーディエンスを見つけることができずにしぼんでしまうこともよくあります。結果、多くの起業家はプロダクト開発から顧客獲得およびマーケティングへの移行の段階で苛立ちます。問題は(プロダクト・マーケット・フィットの第一人者Andy Rachleffの言葉を換言すると)、プロダクトを作った後、どうすればドッグフードを犬に食べさせられるのか?ということです。

今日では、顧客の獲得は以前に増して困難になっています。研究によると、アメリカのスマートフォンユーザーの半数以上が1カ月に新しいアプリを1つもダウンロードしていないことが示唆されています。これは、プロダクトが完成してから流通戦略に着手するのであれば、もう遅すぎる可能性が高いことを意味しています。これは一部の顧客が元々プロダクト採用に抵抗を感じると想定されるFintechではより顕著です。スタートアップでは、口コミはあまり期待できないのが普通です。以下にしばしば見過ごされがちな、Fintech企業(それ以外の企業も!)がユーザーを獲得できる方法を記します。

給与支払いにバンドル化させる

Square やGustoのようなプロバイダーのおかげで、給与前借りやロボセービングのようなサービスは今ではシームレスに給与支払いプロセスの一部として統合が可能です。このモデルでは組み込み型顧客ベースを構築するだけでなく、融資のリスクも低減します。借主の給与から支払いが自動的に引き落とされれば、焦げ付きの確率は低くなるからです。この戦略を取るひとつの事例として、低コストの401(k)プランを中小企業向けに提供するスタートアップのガイドラインがあります。

雇用主企業側に埋め込む

これはB2B2C日本語訳)の応用です。あなたのサービスを企業に売り、その過程でその企業の顧客を自分の顧客として獲得します。しかしこのケースでは、あなたのプロダクトを雇用主経由で従業員に供給します。通常のチャネル戦略と異なり、これらの統合モデルはプロダクトが雇用主と従業員の双方にとって互いに有益である場合に最もうまくいきます。例えば、オンデマンド型デジタルアシスタントのAccolade Healthのケースでは、雇用主はリスクプールからヘルスケアコストを削減でき、消費者は健康を向上することができます。Fintechでは、Tuition.io のような雇用主配布型アプリでこの方法が採用されています。

既存のマーケットプレイスに侵入する

支配的なオンラインマーケットプレイスがアンバンドルされる日本語訳)と、それらは独自の大型流通チャネルになりえます。例えばオルタナティブ住宅レンタル会社のSonderは、物件をAirbnbに掲載することで同プラットフォームの圧倒的なリーチを便乗利用しています。ユーザーがSonderの物件を見つけたら、Airbnbの競合であるSonderは顧客と直接関係を深めることができます。同様に、Capital OneもCredit Karmaを経由してカードやローンを提供し、その後それらのプロダクトを利用して消費者を競合のクレジットスコアモニターアプリ、CreditWiseへと流し込みます。

ソーシャルネットワークを活性化する

Fintechではソーシャルネットワークがこれまで十分に活用されてきませんでした。しかし既存のソーシャルなつながりは預金や与信を促進するための強力なツールとなりえます。ROSCAは(オフラインでの)古い一例です。a16zのゼネラルパートナーであるConnie Chanは、今後に目を向け、中国における旅行・ショッピング・フィットネス等でのプロダクトエクスペリエンスを向上するためのWhatsAppおよびWeChatグループの活用について最近書いて日本語訳)います。

ダイレクトメールを見直す

メールはしばしばスタートアップが過小評価しがちな、実績あるチャネルです。金融サービス機関にとって、メールには未開拓の顧客にリーチするうえでいくつかの利点があります。例えば、ターゲティングデータと信用情報機関のデータを組み合わせれば、優良顧客を容易に特定できます。またメール送信のコストは固定なため、安定しコスト効率の優れたグーグルのアドオークションモデルの代替案となります。

 

関連文献:

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FinTech の第二の波: 貸し手の変装日本語訳) 

著者紹介

Anish Acharya

 

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: Five Ways Fintech Startups Can Find Customers (2019)

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