投資家のスタートアップ評価法 (Startup School 2019 #07)

f:id:bfore:20191121083612p:plain

 

Adora Cheung
この時間は新しい形式でやってみたいと思います。投資家はどのようにスタートアップを評価するかというテーマについて、質疑応答形式で進めます。

皆さんがご覧になったかどうか分かりませんが、フォーラムで質問を募りました。何百という質問がありましたが、今日はそのなかでも多くの「upvote」を集めた質問を取り上げようと思います。Anu は長年投資家として活動されているので、講義の大半は私からAnuへ質問を投げるという形になります。

Anu Hariharan
それは今初めて聞きました(笑) 質問は半分ずつにしましょう。

Adora Cheung
分かりました、私も協力して回答しますね。

投資家が評価するポイント:チーム、PMF、市場機会

あなたは先日の講義で、投資家がスタートアップを評価するポイントは、チーム、メトリクス、独自の洞察、そして機会の大きさだと話していましたが、投資家が評価する主なポイントは他にありますか?

Anu Hariharan
そうですね、皆さんが今いるステージにおいて、またおそらく当面は、[聞き取り不能 00:00:57]、3つに絞られると思います。それは、チーム、Product/Market Fit、市場機会です。これだけです。

チームは「洞察」「理由」「明晰な思考かどうか」

そして、皆さんが今いるステージで最も重要となるのは、おそらくチームでしょう。チームについては、「なぜこのアイデアに取り組んでいるのか?」、「自分はどういった独自の洞察を持っているか?」、「大きな機会を捉えて計画を立てるための明晰な思考はあるか?」、「それらを他者に納得させる能力があるか?」、「投資家から資金調達できた場合、その資金をどう使うべきか理解しているか?」といった点が特に評価されます。

Adora Cheung
チームに関して、もし自分が未経験のことを手掛けていたらどうでしょうか?自分はこれに取り組むのにふさわしい人間だと投資家にどう納得してもらえば良いのでしょうか?

Anu Hariharan
率直に言って、経験の有無は重要ではありません。例えばコンシューマーB2Bの会社であれば、経験の有無は重要ではないと思います。業界や分野の経験が多少役立つのは、医療やバイオでしょう。FinTechもそうした傾向が若干みられると思います。フィンテック業界は、規制が多くやコンプライアンスが厳しいため、プロダクトを作り上げるにはその分野に関するある程度の知識、少なくとも興味や好奇心が必要となるかもしれません。

明晰な思考:「どれだけ考え抜いているか」「どれだけうまく説明できるか」

しかしほとんどの場合、経験の有無は関係ありません。そのため、投資家へのピッチでは明晰な思考、つまり「自分のビジネスについてどれくらい考え抜いているか」、「自分のビジネスの核心についてどれだけ上手く説明できるか」ということが重要となります。

そして、もっと大切なのは、いかなる時も自分が投資家にその分野や会社について教えているつもりで話すことです。こちらが説明することを投資家が当然知っていると思ってはいけません。皆さんがどれだけ上手に投資家に教えられるかが評価のポイントとなります。これが重要です。

動きが早いチームの特徴はMVPのローンチや反復の回数

Adora Cheung
なるほど。投資家はよく「私たちが求めるのは動きの速い(move fast)チームだ」と言いますが、動きが早いかどうか、どのように見極めるのですか?

Anu Hariharan
これはアドバイスでもありますが[聞き取り不能]。迅速であることは必要です。「私はこのアイデアに取り組もうと計画しています。これは12カ月前から考えていて、社員を雇って12カ月後にプロダクトをローンチするつもりです」というような話では、明らかに動きが遅いですよね。

つまり、投資家が迅速であるかどうかを評価する時は、「皆さんにどれだけやる気があるか」、「MVPをローンチしているか」、「どれだけ反復を行っているか」、「どんなペースで進捗しているか」を見ています。皆さんのステージでは、週単位での速い動きが必要です。そうですよね?

Adora Cheung
その通りだと思います。人々が求めるものに取り組んでいれば、潜在需要は大きく、ユーザーは簡単に見つけられるでしょう。これは何度も言っていることですが、最初の10人、10~50人のユーザーを見つけられず、どこに行けば見つけられるかも分からなければ、そこにはFounder/Market Fitがない可能性があります。

これに関連することですが、YCの合格者の多くは、複数回応募しています。選考の際に私たちが重視する質問は、「前回の応募からどんな進捗があったか」で、「何を学んだか」を最初に見ます。たとえ多くのユーザーを獲得していなくても、皆さんは何かを学んでいるはずです。

ローカルチームとリモートチーム

では、ローカル対リモートの話に移りましょう。リモートチームと聞いて評価が下がることはありますか?ローカルとリモートをどう評価しますか?

Anu Hariharan
これは誰に尋ねるかで大きく変わってくると思いますが、明確なことが1つあります。それは、リモートがますます増えているということです。ですから、「私たちはローカルを重視しており、リモートは必要ない」と言ってしまうのは軽率です。SlackやZoomのようなツールが登場したことで、より多くのリモートチームが生産性を劇的に高めていると思います。YCカンパニーでも、GitLabやZapierなど完全にリモートながら優れた会社があります。

ですから、私たちは両者に優劣があるとは思っていません。結局は投資家の選択によりますが、投資家の立場で考えても、リモートだから、ローカルだからと、くどくど考えることはないと思います。それは時間の浪費です。しかし、ここで再度強調しておきたいのは、投資家を満足させようとするなということです。自分が求める会社を築いてください。多くのユーザーを獲得して素晴らしい会社を作り上げたら、投資家はどこからでも寄って来るでしょう。

ソロ創業者の場合

Adora Cheung
分かりました。では質問ですが、「投資家はプロダクトではなくチームに投資している」とよく言われますが、単独の創業者の場合はその点をどう考えれば良いでしょうか。チームが1人の場合、投資家はどう評価するのでしょうか?

Anu Hariharan
いずれにせよ、投資家と話をするのはCEOです。投資家とのミーティングに創業者全員がいつも出席するのは好ましくありません。投資家とのミーティングには当然多くの時間を取られますし、一方、創業者には他にするべきことがあります。ですから、CEOの明晰な思考と投資家に自分たちを強く印象付ける能力にかかってきます。

ちなみに、明晰な思考は単に投資家に強い印象を与えるためのものではありません。なぜ私が繰り返し明晰な思考に言及するのかというと、創業者に明晰な思考がなければ、どのように最初の10人を採用するのか?ということに疑問符がついてしまうからです。

「自分たちは素晴らしいものを作っていて、あなたも参加すべきだ」と最初の10人を納得させることができなければ、投資家を納得させるのはもっと困難です。そのため、投資家はそうしたストーリーテリング能力に期待しています。単独創業者であることは関係ありません。投資家と話をするのはCEOの役目です。CEOはストーリーテリング能力に非常に長けている必要があり、そうなるよう学び続けるべきです。

明晰な思考を身に着けるには

Adora Cheung
明晰な思考をどのように理解するか、アドバイスはありますか?明晰な思考の例は?どのようにすれば身に付くのでしょうか?

Anu Hariharan
これはレベルが高い事例かもしれませんが、Brex創業者のHenriqueとPedroの話をしましょう。Brexは彼らが2度目に立ち上げた会社で、その時、彼らは自分たちが成すべきことを理解していました。最初の創業時に理解していたかは定かではありませんが、おそらくしていなかったのでしょう。

彼らがYCで学んでいた時、VRスタートアップのアイデアから反復を繰り返し、コーポレートクレジットカードのBrexにたどり着きました。彼らは過去にフィンテックの開発もしました。

彼らは、この2度目の創業においてStanford大学を中退することになったため、少なくとも自分たちにとって、それがリスクの高い挑戦であるとわかっていたはずです。Stanford大学で学ぶためにブラジルから来ていたのに、大学を中退することにしたわけですから。

2人はBrexには大きなチャンスがあることを確かめようと、最初の社員を雇う前に、開発し得る全プロダクトを網羅したロードマップと共にBrexがなり得る姿を明確に書き出し、検証しました。これは大きなセールスにつながる方法ではありませんでしたが、理解を深めるためにそれらを書き出し、財務モデルを作成しました。

Henriqueは財務モデルの作成方法を知らなかったので、Stanford大学で会計の授業を受けました。そして、年ごとのモデルを作成し、市場需要と少なくとも10億ドル企業となるために必要な市場獲得に関する仮説を検証しました。そして、このビジネスには商機があり、大学を中退して、一生とは言わないまでも今後10~15年をかける価値があると確信した2人は、ようやく最初の社員を雇いました。これこそ明晰な思考です。

誰もがこうなるべきと言っているわけではありませんが、少なくとも最初の実践はすべきです。皆さんのステージで自分の会社に入ってくれるよう誰かを説得する場合、十中八九、欲しいと思う人に来てもらえることはないでしょう。それを可能にするのは、説得力のあるストーリーです。

アメリカ以外の創業者の場合はメトリクスを注視する

Adora Cheung
なるほど。次は海外の創業者についての質問です。あなたは個人的にかなりの資金を海外のスタートアップに投資しています。コロンビアや英国など、海外のスタートアップの創業者は、その国の出身ではないあなたをどのように納得させて資金調達したのでしょうか?

Anu Hariharan
繰り返しになるように思いますが、それは先にお話しした3つの点に集約されます。私が投資した海外のスタートアップは、もう少し後のステージだったと思います。異なる国にいて市場需要を詳しく知らないので、しばらくは進捗を注視しました。メトリクスや相手の考え方、より完成されたプロセスを見ました。

しかし、サンフランシスコでも採用が困難なくらいですから、異国での採用がいかに困難かは言うまでもないでしょう。また、スケールを経験している経営幹部もいません。ですので、CEOが、明晰な思考を身に付け、米国の人間を納得させて自国に移り住んでもらうためには、10倍働かなければなりません。

Adora Cheung
自国に移り住んでくれるよう相手を説得する方法は?

Anu Hariharan
最初が肝心です。ラテンアメリカを例にしますと、Rappiは数人の経営幹部を説得し、米国から自国へ呼ぶという離れ業をやってのけました。その経営幹部らはラテンアメリカで影響力を及ぼす機会を得たのは生涯で初めてでしたが、スタートアップであるためこうしたことが可能でした。他でこれを行うのは困難です。Rappiの創業者はラテンアメリカのコネクションを使って経営幹部を説得できましたが、彼らは長年米国や英国に在住した経験を基に母国でチームを率いています。

Adora Cheung
YCに応募してくる創業者の出身は様々ですが、先ほどAnuから説明があったように、出身地などよりもチームやアイデア、メトリクスがより重要です。

単独の創業者の場合、ブートストラップはないと思いますか?単独創業者に対するアドバイスはありますか?前回のバッチの10%は単独創業者でした。YCでは単独創業者が却下されることはありません。あなた方に関しては、そういう風には見えませんが。

Anu Hariharan
[遮って発言]いえ、そうだとは思いません。しかし、多くのYC創業者を見ていますと、スケールした人々にとっても道のりは困難で多くの問題が出てくるので、共同創業者の存在が大きな支えになると思います。共同創業者はCEOの部下よりも手腕を発揮してくれるからです。

しかし、そういう人がいなくても構いません。 非凡な能力を持ちビジネスの一部を任せることができる上級経営幹部を少なくとも1~2名探せば良いでしょう。単独創業者の場合、BVC (訳注: 聞き取り不能)後の主な課題はCEOがスケールしないことです。単独創業者だと、スケールせずにより困難な道を歩むことになります。

Adora Cheung
優れた単独創業者は、難局を乗り越える時にサポートしてくれる人々のコミュニティを自分の周辺に築いていますよね。

資金調達

「資金調達をするべきか」。根本的な質問ですが、投資を受ける前、あるいは資金調達を始める前に注視すべき指標は何でしょうか。

Anu Hariharan
大半の会社は資金調達を行う傾向にあります。私がこの話題でいつも言及しているのがPG のブログ投稿です。「デフォルト・アライブであれ。できるだけ多くの資金を調達をせよ」という彼の言葉を好んで使っています。失礼しました、正確には「できるだけ資金調達(の回数)を少なくせよ」ですね。そして、「フォーカスし続けよ」です。

これは極めて重要ですが、多くの人が理解できていないことだと思います。

成功した会社でも間違いは犯しているもので、銀行に多額の蓄えがあり、多くの社員を雇ったのに、成長率が非常に低かった時期が最も大変だったと言います。このような時、問題は魔法のように消えるわけではなく、10倍大きくなるものです。なぜなら、社員の問題を抱えているからです。

資金調達を少なくしてフォーカスする

このステージで私が特に言いたいのは、「できるだけ資金調達を少なくしてフォーカスする」ということです。ここで「資金調達をすべきか否か」という疑問が出てきますが、資金調達をしない会社はほとんどありません。しかし、Zapierなどは、YCのデモデー以降は資金調達を行いませんでした。それは同社のビジネスが順調で、かなりの成長を遂げていたからだと思います。彼らは[聞き取り不能]ポジティブで、とても良い利益を上げていました。Wadeは、「今ある銀行預金を持て余しているくらいなのに、これ以上資金調達をする理由があるのだろうか」とよく私に言います。これは資金調達をしないもっともな理由です。

しかし、このように裕福な状況にない場合は、成長するための資本が必要でしょう。その資本は必ずしも有料マーケティングのためではありません。これもよくありがちな間違いですが、有料マーケティングだと捉えないでください。

資金調達は明確なマイルストーンがあるかどうかが重要

「より多くのエンジニアを雇う必要がある。必要とするものを作り上げるために早めにスタッフを雇う必要がある。私にはビジネスモデルがある」といった時、資金調達をする者の考え方としては、次のマイルストーンまでの明確な道程が見えていて、例えば20万、50万、あるいは100万ドルが必要だとわかっている場合は、最小限の金額を調達することです。

しかし、明確な計画に裏打ちされたものでなければなりません。「次のマイルストーンを達成するためにはいくら必要か?」に基づいて、その金額だけを調達するべきです。何故だか分かりますか?希釈化という重要な問題が絡んでくるからです。

Adora Cheung
完璧な答えですね。まずは計画です。次の質問ですが、ユーザーや収益なしに資金調達する方法に関して多くの質問が挙がっています。

ローンチ前に資金調達するには

これは、はっきりと言ってしまうと、「自分が求めているものを作れているか分からない時、どのように投資家を騙して資金を提供してもらうか」ということになりますが、これも聞いてしまいましょう。

ローンチ前のスタートアップ、具体的には少ないコミッションで多くのユーザーを必要とするスタートアップの評価はどのようにしますか?

Anu Hariharan
この問題はまた創業者に行き着くわけですが、率直に言って、大きい会社を作ろうと思う場合、資金調達前にローンチをし、ある程度のトラクションを示しているはずです。

特に現在は友人や家族からでも簡単に数十万ドルを調達して会社を立ち上げることが可能ですから、皆さんもそうすべきです。計画を伴わない大袈裟なアイデアで投資家にピッチをしてはいけません。最近ではそのようなことも可能ですが、お勧めはしません。

2度目か3度目の創業で信用を得ているなら、ローンチ前でも容易でしょう。しかし、自社のトラクションやデータが少ないほどキャップやバリュエーションは小さく、希釈化は大きくなることは覚えておいてください。自分は価値のある会社を作るのだとしっかりと理解しておいてください。

そして、資金調達をしてください。実行すればお金はついて来ます。十分なユーザートラクションと作るべきプロダクトがある場合は、それをテストしてみるといいでしょう。低コストでテストする方法はたくさんあります。ローンチ前にまずそれをやってみることです。

Adora Cheung
ローンチ前に資金調達をしたい場合、トラクションを示す最善の方法は何でしょうか?メーリングリストやユーザーリスト、ウェイティングリストなどでしょうか?

Anu Hariharan
YCのバッチでもお伝えしているアドバイスですが、銀行預金にお金が到着していない場合、資金調達したとは言えません。メーリングリストにユーザーがリストアップされていてもユーザーがいるとは言えません。

Adora Cheung
確かに。ユーザーと収益をプライマリメトリクスにする、また皆さんの99%は 収益をプライマリメトリクスにするべきだと繰り返しお話ししていますが、それが投資を受け、銀行にお金を蓄えるための最善の方法です。収益につながる先行指標はありますが、最終的にはそれが唯一の方法です。

B2B やエンタープライズビジネスでのトラクションの評価方法

では、投資家はB2B企業のトラクション評価において、法的拘束力のない関心表明や支援表明をどう見るのでしょうか?法的拘束力のないLOI(意向表明書)や許諾申請のための支援表明書などのことだと思いますが、それらはやはり重要ですか?

Anu Hariharan
それほど重要ではありません。トラクションがあり、LOIがいくつかあれば、問題ありません。投資家はそれらのLOIの転換の可能性を調べるでしょう。ですが、皆さんのステージでは、LOIを2つ持っていると言っても、大した意味はありません。

Adora Cheung
では、基本的に長いセールスサイクルを有するヘビーMVPを投資家はどのように評価するのでしょうか?ヘルスケア系IT企業だったら、4~6カ月はかかります。最初の契約締結前に資金を調達する必要があるかもしれません。進捗をどのように見ますか?

Anu Hariharan
これはエンタープライズインフラ企業にも当てはまります。ですから、24カ月後に1人か2人の顧客しかいない可能性があると説明しました。それでも構いません。これらの会社のほとんどは、パイロットを試みています。

私は常々パイロットテストから始めるように言っています。おそらく企業側もスタートアップと50万ドル、100万ドルの契約をしたがらないからです。ですから、4~6週間のパイロットから始め、そのなかで進捗を示すことです。投資家が見たがるのはそういう部分です。

また、その1人か2人の顧客に話を聞くでしょう。50万ドル以上の大口契約で販売するビジネスに携わっている場合は、最初の12~24カ月間は2~3人の顧客で運営するよう計画すると良いでしょう。そうすれば、創業者は、1~2人の顧客に対して確実に成功させることに集中できます。この場合の成功とは必ずしも顧客の増加ではなく、1人の顧客とどう向き合うかになります。

投資家

Adora Cheung
なるほど。では、最後は投資家との対話についての質問です。投資家に「あなたの会社へ投資するのは早すぎる」と言われるのを避ける方法はありますか?それに対処する最善の方法、そうした回答をさせない方法はありますか?「本件は却下します」と言われることがほとんどですが。

Anu Hariharan
そういう投資家は必ずいると思います。私ならノーと言われたことを受け止めつつ、深く考えすぎないで前に進みます。

Adora Cheung
ノーを受け入れて、前進し続けることですね。

Product/Market Fitに達する前に投資家候補と接触し始めるのは賢明ですか?あるいは、実際にトラクションを獲得するまで待つべきでしょうか?これは以前に答えていただいたかと思いますが。

Anu Hariharan
はい。皆さんのステージではプロダクトの開発や最初の100人のユーザー獲得に集中し、それからエンジェル投資家と会うことです。どう思いますか?

投資家の見つけ方

Adora Cheung
その通りですね。では、最適な投資家をどのように見つけたら良いでしょうか?この人はまずAngelList に登録している30,000人の投資家を何回もフィルターにかけ、1,000人程度に絞りました。この1,000人の投資家から、さらに絞り込む方法は?

Anu Hariharan
その方法がわかれば良いのですが。もしくは—。

Adora Cheung
[遮って発言]基本的には、セールスのように全ての投資家に連絡を取ることだと思います。資金調達は、基本的にはセールスと同じです。リードやコンバージョンがあり、個人的にメッセージを送ってフォローアップする必要があります。私だったら、セールスでよく使われているようなスプレッドシートを活用して、とりあえず連絡を取ります。

Anu Hariharan
そうですね。自分が信頼できない、あるいは創業者がそう述べている投資家は避けるべきです。それは経験則にすぎませんが、そうでなければAdora が言った通りに行動すべきです。つまり、セールスパイプラインと同じようにすることです。

マイノリティの女性創業者がVCを見つける方法

Adora Cheung
これはあなたにうってつけの質問です。マイノリティの女性創業者がベンチャーキャピタル(VC)の間で注目を集めるための最善のアプローチとは何ですか?

Anu Hariharan
業界は大きく変わっていると思います。ですから、以前よりは容易になっているはずです。私は知人からの紹介という点で常に苦労していました。大半のVCは「知人からの紹介が必要」としていたからです。

女性創業者である場合、知り合いのなかでVCとつながりがある人は、おそらく1%未満でしょう。ほとんどが男性で、紹介者になってもらうのは非常に困難でした。これに関してはずいぶん変わってきていると思います。

まず、VCの多くは女性投資家を指名しますし、関係を築くのは以前より容易になっています。現在は女性創業者へのVC紹介をサポートするAll Raiseのようなグループも存在しますが、私はグループの代表がマイノリティかどうかにかかわらず、投資家の既存ポートフォリオ内の創業者からの紹介がベストだとアドバイスしています。これに勝るものはありません。

ですから、投資家の既存ポートフォリオ内の創業者を見つけることができ、その創業者が自分のことをよく知っていて喜んで紹介してくれるなら、それがベストです。

Adora Cheung
実際、投資家はポートフォリオ企業の創業者に「会っておくべき人は?」と積極的に尋ねていることが多く、それが彼らの主要チャネルの1つになっているようです。あと2つ質問があります。同じことに触れているので実際にはあと1つですが、投資家はどのようにバリュエーションを決定しているのでしょうか?

バリュエーションはアート

Anu Hariharan
はい。YCに加わる前のことですが、私がVCで初めてバリュエーションを手掛けた時、これにはサイエンス(理論)的な側面が大きいと思っていましたが、実際にはアート(経験的)でした。シリーズC くらいに達するまでは、バリュエーションにサイエンス的な要素はないというのが実態です。

結局は、皆さんがいるステージとVCが求める所有権の割合です。そのため、トラクションがないスタートアップの場合は、「あなたの会社の30%は欲しい」と言われることになります。これは、米国とは違って、海外では非常に一般的です。つまり、100万ドルを調達する場合、1を0.3で除した数値が事実上のバリュエーションとなります。

米国のケースを説明しましょう。シードステージでは、VCが求める所有権はトラクションによって10~15%です。シリーズAでは所有権は25%です。つまり、1,000万ドルを調達する場合、10を0.25で除した数値がバリュエーションとなります。シリーズBで所有権10%、3,000万ドルを調達する場合、30を0.10で除した数値がバリュエーションとなります。

これがサイエンスではなくアートとした所以です。サイエンス的部分が本格化するのは、グロースステージに到達し数字が大きくなるシリーズC以降です。また、その段階に達すると、グロース投資家は「この会社はいつ上場できるか?」、「上場時のバリュエーションは?」と本格的な評価を行います。つまり、シリーズC以降のバリュエーションはそれらに基づいて計算されることになります。

Adora Cheung
なるほど。つまりポイントは2つ、目標とする希釈化と需要・供給ですね。そのため、成長が著しい会社の場合は「10%しか売りません」と言えるわけですよね。

Anu Hariharan
[遮って発言]その通りです。

Adora Cheung
「私が考えるバリュエーションはこれです」と言えるわけで、そうでない場合は、投資家が計算するということですね。

Anu Hariharan
はい。

Adora Cheung
分かりました。講義は以上になります。3つだけ質問を受け付けましょう。はい、そこの方。

Q&A

受講者 1
すみません、教育に関することで質問があります。譲渡によるイグジットが多く[聞き取り不能]。そして、一部には[聞き取り不能 00:21:52]という風説が広まっています。[聞き取り不能]のアイデアは投資家からの需要が今もあると思われますか?特に教育に関する需要はあると思われますか?

Anu Hariharan
もちろんです。Lambda SchoolはYCポートフォリオ企業です。従来の投資家は教育系スタートアップがスケールするのは困難だとしていたため、投資対象とは考えにくかったのだと思います。スケールできなければ、成長が止まるかプラトーとなる限界があります。SlackやZoomなどの新たなツールを利用したスタートアップ、特にLambda Schoolはうまくスケールを実現させていると思います。また、最近のEdTech系スタートアップはより成果重視型です。EdTech系スタートアップはさらに増えると予想しています。

Adora Cheung
はい、どうぞ。

受講者 2
投資家を探している場合、どの程度のトラクションを得てから会うべきでしょうか?例えば、顧客向けのソフトウェアのパイロットの段階で、収益が出ていない場合、[聞き取り不能]すべきでしょうか。

Adora Cheung
分かりました。「投資家に接触する前にどれだけの収益またはユーザー が必要か?」という質問ですね。その点に関してはっきりとは言えませんが、私が思うには—。

Kevin Hale
[遮って発言]会社経営の目的は投資家を獲得することではありません。

Adora Cheung
ええ、その通りです。

Kevin Hale
つまり、この質問の大前提が問題です。「この投資家を惹きつけるためにどうしたら良いか?」というような疑問です。

創業者は投資家のもとへ行き、「私は何々を考え出しました。これを早く成長させたくて、そのために資金が必要です」、あるいは「私には色々な考えあり、それが実現できればさらにビジネスを速く、大きく成長させることができます。そのためなら私はエクイティを譲渡しても構いません」などと話すでしょう。なかには、「もっと資金があればより速く成長できることは分かっていますが、エクイティを渡すつもりはありません」と言う人もいるかもしれません。これは資金調達をしない理由になるでしょう。これはもっともです。

しかし、ここに「自社の目標」という視点が入っていません。問題は、自分のビジネスが順調で、投資家に「これに投資しないと」と思わせるものがあるかです。私が見極めようとするのは、「この創業者や会社は、私が与える資金で何をすべきか理解しているか」です。これは「その資金を何に使うのか」という意味ではありません。

私は常に、一般の投資家と同様に「自分の資金が増えるかどうか」という観点で考えています。ですから、「このスタートアップが手掛けるマシンに投資したら、どんな見返りがあるか?ROIはどれくらいか?」を判断します。創業者はそれを踏まえて、「私はこのような計画を立てました。100万ドルを調達できれば、ARR(年間経常収益)100万ドルという目標を達成できるでしょう」というようなピッチを行う必要があります。

皆さんは「この目標を達成するために100万ドルの資金調達をしたい」という初期のシードステージにいるかもしれません。私は、次の資金調達ラウンドを踏まえた目標を立てることが理想的だと思いますし、そのように考える投資家もいますが、皆さんはその考えに偏り過ぎるのではなく、いつもその資金調達ラウンドが最後だと思って臨んでください。

たいていの場合は「これだけの資金を調達できればこういう成果が出る。会社はこのステージに進める」というような説明をすると、最も説得力があります。そのため、皆さんの会社に対して行われたバリュエーションの結果、「この会社の価値はもっと上がる」と思わせることができるでしょう。

つまり、皆さんが資金調達するのは、1)成長するための資金が必要である、2)成長するためにエクイティを譲渡しても構わない、3)自社がたどるべきマイルストーンを明確に理解している、という場合です。そこで「私たちはこれだけの資金をプロダクトに投じるから、この方法でマイルストーンを達成できます。これだけのセールスを達成する必要があり、Product/Market Fitに到達できるかどうか確かめるためのこれだけの割合を実験に充てるつもりです」などと言えるでしょう。

Adora Cheung
私が付け加えておきたいのは、自信が必要だということです。他人のお金を自分のものと思ってはいけません。

最近の創業者のなかには、他人のお金と自由に使えるお金を混同していて、お金とは単なるお金で無くなっても全く問題ないと思っている人もいるように思います。しかし、資金調達したお金は他人のお金です。このビジネスを大きくできると自信を持てない限り、資金調達はしないことです。ほとんどの場合、すでにユーザーと収益を獲得していて、ある程度の速度で成長していることが根拠となります。はい、そこの方。

受講者 3
その他にアーリーステージで考慮すべき点はありますか?1対1でアクセラレーターを利用することでしょうか?あるいはコミュニティ経由での資金調達でしょうか?

Adora Cheung
「アーリーステージで考慮すべき要素は何か?」という質問ですね。アクセラレーターか、またはエンジェル投資家のようなもののことですか?

受講者 3
アーリーステージで支援者の兆候[聞き取り不能]とリクエスト。[聞き取り不能 00:26:41]、気に入ったものを見つけるまでどれだけ繰り返し探し続けるのでしょうか?

Kevin Hale
「エンジェル投資家からの資金調達をすべきか、あるいはアクセラレーターなりインキュベーターなりに接触すべきか、それは会社のステージで決まるのか?」という質問だと理解しました。

この質問に対する回答は複雑です。なぜなら、YCではあらゆるケースをカバーしているからです。YCは様々な人に資金提供しています。稚拙なアイデアながら優れたチームを持っているがトラクションがない人も、すでに数百万ドルの収益を出している人もYC Coreに参加しています。たいていの場合、シリーズAより前ならYCがサポートとなるでしょう。実際シリーズAの会社を受け入れたこともあります。ポストシリーズAの会社は、YCバッチに参加してコミュニティの一員となります。

この質問は「資金が必要な場合は選り好みすべきではない」ということと関係すると思います。誰の資金であろうと、10万ドルは10万ドルです。「これにフルタイムで取り組むために、あるいは次のマイルストーンに到達するために、この金額が必要だ」というように事態が明確である場合、自分の手元のリストを眺めて、「誰にするのが一番良いだろうか?」などと考えるべきではありません。

例えば、皆さんに資金を提供してくれる唯一の人が、サスカチュワン(カナダ南西部の州)在住のアクセラレーターやインキュベーターなら、健闘を祈るのみです。皆さんは自分の情熱や夢を実現させるために必要なことをしているわけですから、私は、とやかく言える立場にはありません。

結果として、皆さんが大きな成長を遂げれば、それは、そこまで見抜けなかった私の問題ということになります。皆さんが私たちのプログラムへ応募してきたのに、私が資金を提供したり参加を受け入れたりしなかった、ということだからです。それが1つです。大半の場合、特にシードステージではお金です。

2つ目は、自分にとって最適な相手を選ぶのは皆さん自身です。私は他のプログラムについて何か言うことはできません。しかし、多くの人は単に「ああ、そういう会社があったな…」という理由からインキュベーターを選ぶでしょう。人々がYCに参加したがる理由は、そのコミュニティにあります。そのコミュニティに参加すれば、自分を売り込むこともできるかもしれませんし、ネットワークを活用できるかもしれません。これは本当にすごいことです。それが第一の理由です。

第二の理由は、多くの資金を調達したい人はYCに参加するべきです。なぜなら、YCのデモデーは好評で、デモデーに参加する人々はかなり良いディールを得る傾向にあります。繰り返しますが、私は常々、資金調達を考えている会社はYCに応募すべきだと考えています。応募は無料ですし、失うものは何もなく、応募の回数も問題にされません。私たちはスタートアップに資金を提供しない理由ではなく、資金を提供すべき理由を探しているからです。

受講者 4
私はトランザクションビジネスを手掛けていますが、さらに広告が必要で、10億ドル企業になるには広告業界への参入を考えなければなりません。ピッチはどこに対して行うべきでしょうか?[聞き取り不能]ルートでしょうか?あるいはトランザクションビジネスのルートでしょうか?

Anu Hariharan
そうですね。質問はビジネスモデルの転換に関するもので、最初はトランザクションビジネスを手掛けていたものの、広告でのマネタイズをしなければならない可能性があり、10億ドル企業とするためにはそれしかないということだと理解しました。

重要なのは、「これが私たちの作ったプロダクトです。これが初期のユーザー基盤です。この人たちを相手にトランザクションビジネスを行っています」のように自分のビジネスに関する明晰な思考を示すことだと思います。ビジネスモデルの転換にあたっては、それを非常に明確に理解している必要があります。先ほど質問されたように、少なくともあなたはそれを分かっているようなので、「こういう理由でビジネスモデルを転換することになり、それを達成するためにスケールする必要があります」のようなピッチであれば十分です。

しかし、投資家が注目するのは現在の姿、現在何をしているかだと思います。それが投資家の見方です。

受講者 5
例えば、自分が試作品の開発から始めて、最初の[聞き取り不能 00:00:30:51]を作るのに7千~8千ドル程度必要だとします。シード[聞き取り不能]セールスを行うべきだと思われますか?[聞き取り不能 00:31:00]をする必要がありますか?

Adora Cheung
「プリセールスを行い、次の成長ステージに進むために追加で何千ドル必要としている。そのために会社の何%かを手放すべきか?」という質問ですね。

受講者 1
それは[聞き取り不能]10%か、あるいは一定量と[聞き取り不能 00:31:28]でピッチをすべきなのでしょうか?

Adora Cheung
Anuが言っていたように、今温めているこの計画を実現するためにこの額のドルを調達する必要がある、そうすれば次のマイルストーンに進むことができる、という前提で資金調達をする場合、ある程度のバッファ、バーンに対して例えば1~2カ月のバッファがあるかもしれませんが、それ以上の資金調達はしないことです。資金調達は希釈化を伴うため、必要な金額だけ調達することです。初期ラウンドでの希釈化は厄介な事態を招くことになります。初期の過度な希釈化をすると、その後の資金調達が難しくなります。

受講者 5
では、10%でなければ、5%はどうでしょうか。

Adora Cheung
それは需要と供給の問題です。投資家に5%と言うことはできますが、交渉次第です。「ここは譲れません」というような話ではなく、投資家が飲むか飲まないかです。

Kevin Hale
これはシードの場合だと思いますが、例えば計画を達成するのに、2万~3万ドル必要ということですか?

受講者 5
そうです。

Kevin Hale
そのような小さな金額の場合、まずはセールスを増やすというのが私からのアドバイスです。「これが欲しい、これを完成させてもらうためにお金を払っても良い」という顧客をより多く獲得できるかどうかです。一般的に、これはデバイスの話です。

私が見てきた会社は、そのような小さな金額の場合はクレジットカード限度額の増額や少額のビジネスローンなどで対応しています。そのような少額の場合、MVPを製作するために多くのエクイティを手放す必要はないと私は思います。これはあくまで個人的なアドバイスです。

当然のことながら、投資家の立場で考えるなら、そのビジネスが将来有望と思われる場合には私はエクイティと引き換えに資金提供をするでしょう。しかし先ほども言いましたように、創業者としては、それをせずにローンチできるなら、その方が後の交渉において最も有利な立場に立つことができます。

この件に関して付け加えるなら、PGが資金調達のモードについて記事を書いています。そのエッセイには、資金調達とは本質的にビジネスモデルそのものであり、創業者の気力と時間を大いに奪う作業であると書かれています。

例えば、B2B エンタープライズセールスで数十万ドル規模の資金調達をする場合、かなり長い時間を要すると共に、会社から相当な労力が奪われることになります。ですから、資金調達は本当に資金を必要とし、そのために自分の時間を費やせる、あるいは会社の成長を犠牲にせずに自分の時間を費やすことができる場合のみ行うべきです。それが理想的な在り方です。

そして、必要な資金を調達出来たら直ちに止めることです。タイムボックス化して仕事に戻ることです。そして、多くの非営利組織にあるように、延々と資金調達モードである必要はありません。プロダクト開発と資金調達を同時に行うようなことは分裂とマルチタスキングを招くだけで、会社のためになりません。少しずつ次々と調達するような状況は好ましくありません。

特にプレマネーSAFEを利用している場合は、絶えず注視していない限り希釈化の状況を精緻に追跡できないということが大きな問題です。YC標準のポストマネーSAFEを利用している場合はもう少し容易ですが、それでも資金調達に没頭するのは会社の生産性と成長という点において理想的ではありません。資金が必要な時だけ行うことです。

Adora Cheung
次を最後の質問にしましょう。はい、どうぞ。

受講者 6
少々話題が変わってしまいますが、当社がターゲットとしている顧客の多くはグロースステージ企業で、動きの激しい世界ですが、メトリクスを注視するというフレームワークは良いと思います。顧客がいわゆる9つのビジネスモデルから私たちと共に成長しているかどうか見極めるために注目すべきものは他にありますか?

Anu Hariharan
あなたがサーバーである場合、つまりあなたの主な顧客が成長状態のスタートアップの場合、顧客と一緒に自社が成長しているか追跡するための唯一のメトリクスはコホートです。つまり、ユーザー継続(リテンション)あるいは収益継続(リテンション)です。これはStripeがしていたことですし、Uberや他のライドシェアビジネスを相手にセールスをしているYCカンパニーの1つ、Checkrがしていたことです。それらの会社は顧客のスタートアップが成長すると共に成長していました。つまり、それらを測定する唯一の方法はコホートになります。

Kevin Hale
これについては、全て明確にフレームワークに含めておきたいと思います。皆さんはたくさんのメトリクスを紹介されて、「スタートアップスクールのプログラムの毎週のアップデートでは、1つのメトリクスだけを追跡するように言われているが、これら2つの相反するアイデアにどう取り組めば良いのか?」と思っているかもしれませんが、会社の健全性を決めるのに重要なものは1つだけです。

先ほど私たちは、皆さんの99%が追跡すべきメトリクスは収益で、ごく少数の人に関しては収益獲得の前提条件となるエンゲージメントのようなものだと説明しました。広告モデルは後者にあてはまる良い例です。

Anuが説明したその他のメトリクスも会社の成功と関係しています。自社のビジネスモデルに基づいて自分で理解しておくべき数字も、おそらく投資家が知りたがるものです。自社のビジネスに精通していると思ってもらえるポイントのようなものはあります。これは是非皆さんに理解しておいてもらいたいと思います。私たちはそれに基づいて創業者を評価していますから。

私が評価するのは、自社の数字を理解している創業者です。「分からない」とか「確認してみます」と言う人は、自分の会社について常に考えていない、自社の成長や進捗を左右する様々な変数を熟知していない創業者であると私は解釈します。その際に、他のメトリクスが創業者の資質を見抜くのに役立ちます。ですから、全てのメトリクスを追跡しようと躍起にならないことです。

さらに、機会やビジネスモデルによっては、メトリクスは投資家と話す上で大いに役立つでしょうし、よく学んで完全に把握しておくべきです。しかし最終的に、自社のビジネスが順調かどうかを把握する最適な指標は、どれだけのお金が銀行口座に入ってくるか、あるいは極力アクティブなサイクルで自社のプロダクトに夢中になってくれる人がどれだけいるかということです。

講義は以上になります。今週末Adoraと私はシカゴに行きますので、皆さんとお会いするのは来週になります。ミートアップはありませんが、水曜日に講義を行います。本日はどうもありがとうございました。また来週お会いしましょう。

 

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: How Investors Measure Startups Q&A (2019)

FoundX Review はスタートアップに関する情報やノウハウを届けるメディアです

運営元