デザインは必ずしも複雑だったり、威圧的だったりする必要はなく、コストをかけなくても構いません。アーリーステージのスタートアップにおいて、デザインが担う目的は1つです。それは、スタートアップの創業者が自社のユーザーを理解しやすくすることです。そのため、デザインは正式な製品の実施や、ロゴおよびレイアウト以上のものを含んでいます。デザインはユーザー観察や明確なメッセージ伝達、MVPのスペック、簡潔な売り文句なども意味します。
私はデザインをわかりやすく説明し、創業者のユーザー理解を大きく向上させる無料ツール一式の作成に着手しました。今回はこのシリーズの第4弾です。最初の3つはユーザー観察(日本語訳)、メッセージ(日本語訳)、そしてピッチ(日本語訳)でした。今回はMVPのスペックです。
これらのツールはすべて、行動を促すように設計されています。これらのツールで実際にやりながら学習することで、気の利いたデザインへのハードルが下がることを期待しています。各ツールのインタラクティブ版はリリース次第、私のサイトから入手可能となります。
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デザインブリーフツール
これは抜粋です。完全なインタラクティブ版はこちらからご利用いただけます。
優れたデザインブリーフは、製品の明確な文脈を提供します。デザイナーを採用しようがしまいが、デザインブリーフを書くことは演習としてためになります。なぜなら、製品の文脈に関して自身の理解がずれている箇所をあぶり出してくれるからです。
このツールがあれば、10分足らずでデザインブリーフを作成することができます。製品の文脈に具体的な言葉を与えるように導いてくれると同時に、ソリューションをデザイナーや自分自身に無理強いしないよう誘導してくれます。ソリューションを無理強いすると、自身の問題を解決してくれない製品をつくってしまう恐れがあります。もしかすると、その製品は何の問題も解決してくれないかもしれません。
以下の質問に回答してデザインブリーフを作るか、私のサイトからインタラクティブ版をお試しください。
使用事例について
ユーザー観察ツールを使うと、以下の質問に回答しやすくなります。
1. あなたのビジネスはどのような問題を解決しますか?
2. この問題に気付いたきっかけは? ユーザーのどのような苦労からヒントを得ましたか?
3. ユーザーのどのようなニーズがビジネスアイデアのヒントになりましたか?
4. 現在世間ではこの問題をどのように解決していますか?
5. あなたの製品のユーザーは誰ですか?
6. あなたのユーザーと顧客は同一の人物または組織ですか?
7. あなたの顧客が製品をどのように使うか、簡潔に説明してください。
8. あなたの顧客が製品の価値を最も実感するのはいつ、どのような場面ですか?
9. あなたの顧客が製品の価値を最も実感できないのはいつ、どのような場面ですか?
マーケットについて
1. あなたの製品が売られるマーケットは?
2. それぞれのマーケットでどの程度の顧客を予想していますか?
3. あなたのセールスチャネルは何ですか?
4. セールスチャネル以外で、顧客はどのようにしてあなたの製品について知ることができますか?
5. これはあなたにとって初めての製品ですか? そうでない場合、これまでの製品にはどのようなものがありましたか?
6. あなたの次期製品はどのようなものになりますか?
7. 同じ問題を解決するものとして、すでに市場投入されている製品にはどのようなものがありますか?
8. マーケットにある類似のソリューションと比較して、あなたの価格設定はどうですか?
9. あなたの直接の競合は誰ですか?
10. 同じ問題を解決したいと願っている他社にとっての主な参入障壁は何ですか?
11. あなたはIPを保有していますか? 保有している場合、あなたのIPの実際的な用途は何ですか?
12. あなたの製品には認証が必要ですか? 必要な場合、市場投入の際の認証による遅延を克服するための戦略を説明してください。
会社について
メッセージ伝達ツールを使うと、以下の質問に回答しやすくなります。
1. あなたの価値提案は何ですか?
2. あなたの価値をどのように伝達しますか? 約束したことをどのように実現しますか?
3. あなたのビジネスはどのように利益を出しますか?
4. あなたの中核的な価値は何ですか?
5. あなたのチームに製品開発に関する知見を有する人はいますか?
6. あなたのビジネスはどのステージに位置していますか?
7. あなたの規模は?
8. 現時点でのランウェイはどれくらいですか?
デザイナーの雇用について
1. デザインが必要になるのはいつですか?
2. 好ましい雇用のあり方(一時契約、フルタイムなど)。
3. ユーザー観察をしたことはありますか? したことがある場合、そのプロセスや気付いたことを共有できますか?
このツールのインタラクティブ版は私のサイトにあります。
著者紹介
記事情報
この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: Practical Design: Design Brief (2016)