くだらないアプリと世界を変えることについて

今日 Businessweek に、傲慢さとシリコンバレーに関する記事が出ていました。よい記事だと思いましたが、もうひとつ私が指摘したいと思った点があります。

人はよくシリコンバレーの人間がどうでもいいことに取り組んでいるのではないかと疑います。それは正しいことも多いです。しかし多くの重要なものは最初はどうでもいいものに見えます。だから、些細なことに見えるすべてのものをないがしろにするのは非常に良くない過ちです。

問題が起こるのは、まだおもちゃにしか見えないものを開発している人が、それが世界を変えるのだと主張するときです。これは人をイラつかせます。

Facebook、Twitter、reddit、インターネット自体、iPhone、その他諸々--ほとんどの人はこれらが最初に出てきたとき、漸進的なもの、または些細なものだ、といって取り合いませんでした。

私にはその理由について考えがあります。ネットワークの価値はノードの数の自乗に比例して増加する、またこれらのサービス・プロダクトの多くは、ユーザーベースがNヶ月ごとに倍増し、サービスの価値が高まるにつれNが減少する、という有名な考察があります。だからサービスの価値・重要性は超指数的に成長します。私は人生で一度も超指数的成長への直感がよく働く人に出会ったことがありません――私たちのほとんどは指数的成長を理解することに苦労するのです。

短期間のうちに何かの重要性が何百万倍にも増加するときには、さまざまな行動が派生します。あなたの開発しているものを本当に気に入るユーザーや、サービスやプロダクトを生活の重要な一部として取り入れるユーザーがいたり、サービス・プロダクトの成長とともに興味深い新たな行動が生まれ続けるようなら、開発に取り組み続けましょう。

余談ですが、市場の予測は無視しましょう。ビジネス史上最悪の予測のいくつか(「世界のコンピューター市場は5台」、「携帯電話の市場は900,000台」)は、最も損を招いた予測でもありました。

時を経て実証された、テクノロジーで世界を変えるための戦略は二つあります。一つは一部の人が支持するけれども多くの人はおもちゃ扱いするようなものを作ること。もう一つは非常に野心的になって、電気自動車の会社やロケットの会社を始めることです。「中間」の会社のほとんどは大きなインパクトをもたらさないまま終わってしまいます。その理由を説明するには別の長い記事が必要なので、やめておきましょう。

まとめると、世界を動かす「傲慢なクソ野郎」たちへの私からのアドバイスはこの二つです。一つ目、実際に世界を変えることができたときまで世界を変えるのだなどと言わないこと。二つ目、アンチは無視してあなたが面白いと思うものが何であれそれに取り組むことです。あなたがどうでもいいものに取り組んでいるのだ、と言うようなインターネットのコメント投稿者や記者は、おそらく自分では何も作っていないのですから。

 

著者紹介 (本記事投稿時の情報)

Sam Altman

Sam Altman は OpenAI のCEO であり、Y Combinator のアドバイザーです。彼は 2014 年から2019年の間、YCの社長でした。彼は Stanford でコンピュータサイエンスを学び、その間 AI lab で働いていました。 

 

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: Stupid Apps and Changing the World (2014)

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