VC の経済性に関する 16 の定義 (a16z)

私は先週、信頼をおけず、内輪的と思えるベンチャー・キャピタル(VC)の投資先企業を評価する際の課題に関して、記事を書きました。けれども、私はその後に、読者の皆さんから多数の質問を受け、VC業界が果たす役割の基本的な仕組みが依然として不明瞭であることに気づきました—— 日常的にこの業界と交流している起業家たちにとってでさえもです。ですからこの投稿は、その不明瞭な部分をいくらか明らかにする挑戦です。まずは歴史を少し振り返りつつ、基本的な用語(以下に太文字で記載)のいくつかを定義しましょう ……。

資金源はどこにあるのでしょうか。

スペインのイザベル女王は、起業家(クリストファー・コロンブス)の冒険(アジアへの西回りの航路を探しての航海)を資金(資金、船、必需品、人員)をもって支援した時に、世界最初の真のベンチャー投資家になったと主張する人もいます。イザベル女王は、極めて成功の可能性の低いことのために、大きな危険を冒していたため、彼女が危険に晒した資金に対して、不釣り合いなほどの高い報酬を手にしました。当時、ほとんどの人が彼女のアイデアを正気ではないものとしてとらえ、間違いなく失敗するだろうと確信していました。

およそ1840年代あたりに、アメリカの捕鯨産業でも同様のことがありました。当時の捕鯨への融資は高額であり、危険含みでしたが、成功したときの利益は莫大なものだったのです。このため、マサチューセッツ州のニューベッドフォードでは、「エージェント」(現在のベンチャー投資家 )が企業や裕福な個人(現在の有限責任組合員)から資金を募り、船長(起業家)に資金提供をして、捕鯨遠征(スタートアップ)を奨励したものでした。冒険は失敗がつきものだったものの—— 航海の30%は赤字でした—— 報酬は法外に高く、その大部分は大きなエージェントへと流れました。

50年弱が経過し、1878年にJ.P.MorganがEdison General Electric Companyに融資することにより、起業家のトーマス・エジソンに対して「ベンチャー投資家」としての役割を果たしました。J.P.Morganは投資家兼銀行家で、その遺産がWall Streetの投資銀行Morgan Stanleyとなった人物です。彼はまた、エジソンに、マンハッタンの自宅に電気配線を設置させ、電気の初めての体験者兼伝道者となりました。当初のいくつかの送電事故によってモルガンの自宅が全焼寸前になっただけでなく、モルガン宅の照明に必要な電力量の供給のために発電機がひどい騒音を出して、近隣住民が彼を脅迫していたとも噂されています。いずれにせよ、銀行は数多くのスタートアップ事業への直接融資で大きな役割を果たしており、これは、1933年にグラス・スティーガル法が可決され、これらの活動が規制されるまで続きました。

現在では、有限責任組合員(LP)がまとまった資金を特定のVCの資金に投資し、そのおかげでVC企業があります。LPがこれを行う理由は、ポートフォリオの多様性を維持したいという願望の現れであり、VCに託された意図は、投資責任者がアルファと呼ぶもの——つまり、特定の市場の指標を超えるリターン——を生み出すことです。それぞれのLPが独自のベンチマークを持っているでしょうが、一般的なベンチマークは、S&P 500、ナスダック、ラッセル3000です。多くのLPは、指標に対して500~800bpsの超過リターンが発生することを求めるでしょう。したがって、S&P 500が10年間の期間で年率7%のリターンとなるならば、LPは、VCポートフォリオのリターンとして、少なくとも12~15%を期待します。例えば、Yale EndowmentのVCポートフォリオは、過去10年間で年率18%以上のリターンを生み出しており、これに対し、S&P 500は、同期間で8%のリターンとなっています。

LPにはあらゆるタイプがありますが、そのほとんどが次のような形態に落ち着く傾向にあります——

大学(ハーバード、イェールなど)——ほぼすべての大学が卒業生に対してファンドのための寄付を要請しています。寄付によるファンドで投資をしますが、その投資で受け取るリターンは、運用経費や奨学金、また、幾らかの事例では、新しい建造物などの設備投資の資金として役立っています。例えば、Yale Endowmentの貢献度は、年間大学運営予算の約3分の1になります。

財団( フォード財団やヒューレット財団など)——これらの非営利団体は、寄付によって資金を託され、その資金で永久に存続することを期待されていることがよくあります。財団は、これらの資金の投資で受け取るリターンにより、慈善助成金を出すことができます。また、米国内では、財団は、国内の非課税資格を維持するために、それぞれの使命を支援する目的で、毎年、実際に資金の5%を払い出す必要があります。このように、財団の存続を確実にするためには、長期にわたり、実質利益がこの5%を上回る必要があります。

企業および州の年金ファンド(カリフォルニア州教職員退職年金制度やIBMの年金など)。いくつかの企業、ほとんどの州、多くの国々では、退職者向けに年金を支給しており、そのほとんどを現役世代を基盤にした賦課方式でまかなっています。実質投資収益を生む能力は、(特にヘルスケアの経費において)インフレの相殺に役立ち、継続的に年金ファンドの価値を食い尽くす(現役世代人口よりも退職者人口が多くなるという)人口分布の変化の影響を解消します。

ファミリー・オフィス(myCFOやUS Trustなど)。これらの投資管理者は莫大な自己資産を持つ家族の投資を担います。その目標はそれぞれの家族が設定しますが、多世代資産保全および/ または大規模な慈善活動への資金提供を含んでいることもよくあります。

ソブリンウェルスファンド:主権国家資産ファンド(Korea Investment CorporationやTemasekなど)。これらの組織は国全体の経済準備金を管理しています(準備金は、米国市民にとって馴染みの薄い、あるものの結果であることが多いです——つまり、 財政黒字です!)。リターンは、当然、現在または未来の世代の市民のために使用されています。

保険会社(Metlifeや日本生命など)。保険会社は、将来の給付金の支払いに備えて、保険契約者の毎月の保険料を財源として投資をしています(これは「フロート」として知られています)。

ファンド・オブ・ファンズ(HarbourvestやHorsley Bridgeなど)。これらの非上場企業は自らのLPから資金調達をして、その資金をベンチャー・キャピタルやその他の財務管理者に投資しています。彼らは小規模なLP資産を集め、その資金をベンチャー投資家に投入しています(その点で、VCファンドに直接投資している他のベンチャーLPとは対照的です)。なぜなら、より小規模な事例として、そうしなければ、投資が困難、あるいは、経済効果のないものになってしまうからです。

上述の機関のどれ一つとしてベンチャー・キャピタルのみに投資しているわけではないことを思い起こしてください。むしろ、それらのすべてが、異なるタイプの資産から成る多様性に富んだポートフォリオを構築しています。そのポートフォリオの構成は、上場株式、債券、ヘッジファンド、不動産、コモディティなどです。ほとんどの機関の資産管理者のポートフォリオのうち、ベンチャー・キャピタルの投資で使われるのはごくわずかである傾向があります。Yaleは、最高のVC配分を持つものの一つで、 その配分は純資産総額の16%です。他のLPの一般的な目標は5%以下です。わずか1%を達成しようともがくLPもいます。

VCドルは、新規事業創出を促進し、資金の大きな源泉である一方、資金投入の総額は極めて少額です。説明のために、2015年のデータのいくつかをここに挙げます——

  • 米国VC業界は新たな資金で約280億ドルを資金調達しました。
  • GoogleとAppleを合わせると、研究開発のみに約200億ドルを費やしました。
  • プライベート・エクイティ・バイアウト・ファンドはその額の約10倍まで調達しました。.
  • 管理下にあるヘッジファンド資産は約3兆ドルです。
  • 米国上場企業のトップ500は、株主にキャッシュバックをして、1兆ドル以上を分配しました。
  • 米国のGDP は約17兆ドルです。VCに割り当てられるドルはその1%中の、さらにごくわずかです。

実際に、米国のVCの資金調達は、過去15年間で、総額6,000億ドルという最高値に達しています。

しかし、米国経済への影響という観点から見た場合、ベンチャー投資家が資金調達を援助する特権を手にしてきたベンチャーエコシステムは、優に能力を超えた闘いをしているということができます。 Stanford Graduate School of Businessで行われた研究によれば、1979年以降に設立された米国上場企業の43%は、ベンチャー・キャピタルによって設立されたものです。これらの企業の従業員数は、今や、国内の被雇用者総数の38%を占め、米国市場の時価総額の57%を占めており、国内で費やされた研究開発費の総額の82%を占めています。これは、さらに革新が進むことを示す数値です。

[Stanfordの報告書では、データ測定は1979年のものを使用しています。その理由は、それ以前は、多くの機関投資家—— 特に年金資金を管理していた人々——がVCへの投資を禁じられていたからです。けれども、1979年に実施され、「善管注意義務」として知られている規定の変更が障害を取り除き、これらの機関がVCファンドを投資可能な資産として扱うことができるようになりました。このようにして、たとえVCファンドが1979年以前に存在していたとしても、現在のVC業界の誕生については、多くの人が1979年ととらえています。]

つまり、ベンチャー投資家は単純にファンド経由で有限責任組合員から資金を調達します(私たちの場合は、ごく最近、15回目専用の「バイオ」ファンドの資金調達を行いました)。現実問題として、ファンドの資金調達や終了の合法性は実はそれほど明確ではありません。私はここでその構造の話題に飛び込むつもりはありませんが、私たちの議論の目的のため、注意すべきことがいくつかあります——

  • 有限責任組合員(LP)がそのような名称を持つのは、VCファンドにおいては、彼らは法的に「有限責任の」パートナーだからです——彼らはファンドによる投資に関しては決断を下す権限を全く持たず、 そのため、不首尾に終わったとしても、責任を負う義務は全くありません。
  • 無限責任組合員(ジェネラルパートナー:GP)は、ファンドにおいて、法的に決断を下す立場にあり、さらに、全面的に責任を負います。GPは、LPの受託者であり、その意味は、GPには、LPの最善の利益にかなう行動をとる法的責任があるということです。(スタートアップの取締役会会議で、ベンチャー投資家が「私が受託者です」と宣言する時、事態が深刻であることがわかります!)

ベンチャー投資家が1億ドルのファンドを終了する場合、LPから前もって1億ドルの資金をすべて受けることはしません。資金の提供はむしろ、次のようになされます。LPは、ファンドが続く間はずっと投資をし、VCがキャピタル・コール(※実際の資金の要求)をする時に資金を提供します。このようなキャピタル・コールを実践する理由は単純です—— VCの銀行口座に無用の現金を持ち続けることで、VCがそのLPのために稼ぐことのできる最終的な収益率を下落させるからです。絶妙な時機のキャピタルコールは、このリターンに関する障害物を排除します。そして、VCが実際にLPにキャピタルコールする場合、それはGPの資金をコールすることにもなります。その2つの正確な比率は、ファンドの規約に応じて変動しますが、ほとんどの場合、GPはファンドの1~3%に貢献しており、残りをLPが出資しています。

資金を私に見せてください

VCの発展に至る歴史に通底している筋書きは、ベンチャー投資家がファンド—— 組織と自己のファンドの組み合わせ——を投資するというものです。そこでの投資対象は、大きなリターンを生む偉大な会社を、時間をかけ、希望を持って設立する前途有望な起業家です。ベンチャー投資家やベンチャー・キャピタルに投資する人なら誰でも、打率ではなく、長打率に合わせます(いわゆる「ベーブ・ルース効果」です)。「ホームラン」や「ビッグヒット」が、リターンのほとんどを占めています。

それでは、VCのエコノミクスがどのように機能するかという点に関して、以上のことはどのような意味を持つのでしょうか。

Jカーブ

上質なワインと同様に、VCのファンドは年月とともに向上するべきです。これが、業界の人々がファンドを「醸造年」(または誕生年)で呼ぶ理由です。ちょうどワイン製造会社が、葡萄の生産年に基づいて自社のワインに日付を記すように。

ベンチャー投資家は、ファンドの初期段階で、LPの資金をコールし、その資金を企業に投資しています。これは負のキャッシュフローの動きです。つまり、 短期的に資金が入る見通しのないまま資金が消えます。それは予想の範囲内のことですが、VCは、企業の上場か売却によって最終的にそれらの投資のいくらかを収穫しなければいけません。多くの非上場企業のイグジットの長期化が続いている中(多くの場合、10年以上かかります)、Jカーブが変曲点に達するまでの距離はさらに伸びてきましたし、これからもさらに伸びていくでしょう。

VC企業の世界でよく耳にする一言は「レモンは早熟」です。これは、初期投資の時期に差し迫って契約不履行の企業が現れる傾向があることを指しています。興味深いことに、これはJカーブの問題を悪化させます。ファンドの初期段階にVCが現金を投資するだけでなく、初期段階で、契約不履行の資産が「値下げ」される傾向があるのです。

中間測定

有限責任パートナーシップ契約で定義されているものとは対照的に、VCファンドは、有限責任組合員に対して、通常は四半期ベースで中間期の業績を報告する必要があります。VCの報告の内容には2つの構成要素があります。つまり、実現した現金の分配と、実現していない残りの資産の帳簿価格です。実現した現金の分配は、まさにその名称が暗示する通りの意味です—— 投資先企業のイグジットのイベントに際してVCが実現した現金(または株式)のことで、それはLPに分配されます。実現していない帳簿価格は、私たちがすでにあちこちで言及していますが、VCによって現時点で流動化する場合の投資先企業の推定公正市場価格を反映しています。

ベンチャー投資家が中間期業績を報告する理由は主に2つあります——

第一に、LPの報酬プランは、様々なベンチマークに関連する投資リターンを中心にして設計されています。したがって、最終的な現金が組織の生計にとっての王だとすれば、それぞれの年のボーナスという形での年間の現金は、LPの個々の従業員にとっての女王です。それらのボーナスの算出には中間期の業績評価が必要になります。

第二に、米国の財団が、非課税資格を維持するために、毎年、資産の5%を助成金という形で支払う必要がある状況について、どのようにお話したかを思い出してください。この要件を満たすために、財団は、その資産の5%が、実際のドルでいくらに相当するかを知る必要があり、そのためには、自分たちが投資しているすべての資産に公正な価格を割り当てる必要があるのです。彼らがGoogleの公開株を保有していれば、これは簡単なことです。Bloomberg Terminalで価格を調べることができますから。けれども、個人資産にこれを適用するためには、VCは、それらに公正な価格を割り当てなければいけません。

おもしろいことに、VCファンドの長期化する期間が、その他のLPよりも財団に衝撃を与え得る理由はこれなのです。財団は、受け取った現金であっても、実現していない暫定的な単なる帳簿価格であっても、それらに基づいて毎年5%を支払う必要があります。指標を実際に支払いに使用することはできないため、VCの現金のリターン時期や、他の個人資産のクラスは、財団にとって、ここで非常に重要になってくるのです。

大学のファンドには、法的義務のある年間のペイアウトはありませんが、大学の運営費に対するファンドの貢献度は重要であるため、事実上は毎年、ペイアウトが行われています。絶対値に対して、より柔軟性があるため、ほとんどの大学は「平滑化方式」と呼ばれる方法でペイアウトを行なっています。これは、彼らのポートフォリオの評価の大きな上昇や下降を回避するのに役立ちます。ですから、例えばYaleは、目標のペイアウトの20%と2年前のポートフォリオの評価額の積を、前年のペイアウトの80%に合わせた額に相当するペイアウトを毎年行っています。目標のペイアウトは、投資委員会が設定します。これは、大学が予算を組みやすくします。というのも、ファンドの価値の変化による大きな変動に影響されることがないからです。 けれども、そのためには、ベンチャー投資家などのすべての管理者が、実際の現金の動きが全く異なる結果になったとしても、Yaleの投資価格の中間期算定額を提供する必要があります。

それらの現金の成果(Jカーブの懐妊期間)について言うなら、VCがその役割を果たしたと想定しましょう。つまり、VCよって調達された1億ドルを立派な起業家たちに投資し、その中の一部が最終的には立派な会社を設立したとしましょう。また、ベンチャー投資家が投資した会社の中の1つが売却され、所有権の譲渡に基づいて、VCは6,000万ドルの小切手を受け取ったとしましょう。

では、資金はどのようにしてLPとGPの間で分配されるのでしょうか。

ほとんどのVCファンドはGPに対して、20%の成功報酬(ファンドの収益の一部)を受け取る資格を与えています。ですから、私たちの例では、仮にファンドが6,000万ドルの小切手を手にしたなら、80%(4,800万ドル相当)をLPに渡し、GP向けに20%(1,200万ドル相当)を維持します。

しかし、GPがその20%を受け取る資格を持つ「収益」は本当にあるのでしょうか。答えは……場合によります。ファンドへの他のすべての投資がうまくいかず、ファンドが1億ドルを投資してわずか6,000万ドルのリターンを受け取る(そして将来的に追加はない)場合、答えはノーです。収益は全くなく、6,000万ドルのすべてはLPのもとに行きます。GPは、このファンドに関してキャリーを全く受け取らないだけでなく、次のファンドの資金調達も厳しくなるでしょう。

ファンドの他のすべての会社が消滅するのではなく、1億4,000万ドルの実現していないキャリーの価値に基づいてそれらの会社が評価されるとしたら、どうなるでしょうか。今やファンドには実際の現金が6,000万ドルあり、さらに指標の形での推定価値が1億4,000万ドルあるため、合計2億ドルの現行価値があります。ファンドがLPから調達した資金は1億ドルのみなので、(現行価値の2億ドルからLP資金の1億ドルを差し引いて)推定収益総額は1億ドルです。ここから、GPは、6,000万ドルの20%を現金で受け取ることができます。結果的に、LPが80%(4,800万ドル相当)を受け取り、GPが20%(1,200万ドル相当)を受け取ります。

なぜ私たちは、推定収益総額の1億ドル全額に基づいて20%を計算しなかったのでしょうか。その理由は、財団(と他のLP)が指標で支払うことができないように、私たちは指標を分配することができないからです。ここでもう一つの微妙な違いを紹介します。リサイクルの考え方です。ほとんどのVCの、LPとの間の契約書には、中間期の黒字部分の一部を使い、他の会社に再投資(「リサイクル」)することを許可する条項があります。したがって、上述の私たちの事例では、VCは6,000万ドルの全額を(GPやLPに)分配せず、その一部 / 全額を活用して、現行ファンドで他の企業に再投資することを決断したかもしれません。

私たちは、簡潔さを求めて資産形成のより細かな枝葉末節をうやむやにしてきましたが、他にいくつか、少なくとも認識すべき考え方があります。例えば、ファンドの中には、現金1億ドルの全額がLPに分配されるまで、GPに対していかなる成功報酬も手にすることを禁じているものもあります。いつ、どのようにして資金を分配することができるかについては、ファンドを管理する有限責任パートナー契約の、いわゆるウォーターフォール・ランゲージで、要点が述べられます。

私たちはまた、ファンドの収益を計算する際に、管理手数料が含まれているのかどうかという問題を無視しました。管理手数料は、給料やファンド運営関連のその他の経費を支払うためにGPが使う、ファンドの規模に基づく年間手数料です。これも、有限責任パートナーシッップ契約で特定されています。

さて、ファンド終了の時点に目を移してみましょう。ほとんどのファンドの寿命は10年間で、1年間の延長期間を数回伴います。 中間期の指標の1億4,000ドルの全額が一時的なものであると証明され、それらの指標を構成するすべての企業が単なる書類上のものに過ぎないと証明されたと仮定してみましょう。私たちが最後に挙げた事例では、ファンドが生み出したトータル・リターンは、1億ドルのファンドに対して、わずか6,000万ドルでしたが、GPは、ファンドの見通しが良好である場合に、1,200万ドルを自らに戻して分配しました。この場合、GPは自らに過剰に分配しており、いわゆる「クローバック」の対象となります。つまり、GPは資金を戻し、LPに分配する必要があります。これは最悪ですが、次の点で公平です。GPが、仮にファンド終了までに、6,000万ドルを分配しなかったとすれば、その資金を手にする資格がそもそもなかったことになります。またしてもここでも、現金は王なのです(これは、繰り返し証明される真理です)。

VCは、長きにわたって金融の暗闇に潜んでいた面白味のある事業です。この投稿が役立ち、VCに光が当たれば何よりです。

 

著者紹介

Scott Kupor

Scott Kupor は Andreessen Horowitz のマネージング・パートナーで、当事務所の運営全般を担当しています。2009年の設立以来、Andreessen Horowitz に勤務し、3名の従業員から150名以上の従業員へ、また3億ドルの運用資産から100億ドル以上へと急成長を遂げてきました。

Andreessen Horowitzに入社する前は、Hewlett PackardでSoftware-as-a-Serviceのバイス・プレジデント兼ゼネラル・マネージャーを務めていました。Opswareの買収の一環で2007年にHPに入社し、カスタマー・ソリューション担当シニア・バイス・プレジデントを務めました。この役職では、プロフェッショナル・サービス、技術的なプリセールス、カスタマー・サポートなど、顧客とのやり取りをグローバルに担当していました。Scott は、オプスウェアの設立直後に入社し、財務計画担当バイス・プレジデントや企業開発担当バイス・プレジデントなど、数多くの管理職を歴任しました。これらの職務では、2001年の新規株式公開と同時に、同社のプライベート・ファイナンス活動を指揮しました。スコットはまた、同社のアジア太平洋地域での事業を開始し、同社の複数の買収の実行を指揮しました。

 

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: 16 Definitions on the Economics of VC (2016)

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