未来を発明する方法 2 (Startup School 2017 #12, Alan Kay)

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 の続きです。 

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Alan Kay

私はタイトルを書き直し続けました。このタイトルはこのクラスのタイトルとして悪くないと思います。

未来を見るもう1つの方法は、全てが混乱していて現在が現実に見えるここから前進しようとするのではなく、未来へ行ってそれを持ち帰りたいということです。私たちはいくつかのプロセスと方法について話しました。今日、私たちは数多くの事について話をします。

もちろん、先週の講義で言い残した事があり、今週はそれがさらに増えたわけなのですが、最終的にはまた今度、誰も居ない時に時間に追われる事なく講義を二つともやり直そうと思い開き直っています。これはオンラインで残る運命にあるわけで、オンラインの人々は50分の時間に限定されていないですから。Samも大賛成だと思います。

繰り返しますが、ここに私のメールアドレスがあります。

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この話と講義を聞いている人達のうち3人から電子メールを受け取りました。その内、興味深かったのは1通だけです。それは、私の話が面白くないか、あなた方が面白くないか、もしくはその両方の事を意味します。少なくとも後者ではない事を証明してください。

さて、それでは進めましょう。

0. 知識は銀、コンテキストは金、そしてIQはただの鉛

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レオナルド(ダヴィンチ)です。かなり頭の良い男でした。あなたがレオナルドのIQの2倍で生まれたと想像してください。スタンフォードに入るのがどれほど簡単か考えてみてください。実際にレオナルドの倍のIQをお持ちかもしれませんが、今度は紀元前1万年前にレオナルドの倍の知識を持って生まれたのを想像してください。どれだけ役に立ちますか?全く役に立ちませんよね?火炙りにされたりして終わりでしょう。

彼はヘンリー・フォード。レオナルドのIQには遠く及びません。レオナルドが彼の発明品の為にモーターを一つも発明できなかったのに。知ってましたか。頭は良くても、それほど良いわけではなかったのです。

それと比べて、ヘンリー・フォードは何百万台もの車を製造し1台800ドルほどで売るためのプロセスを作り上げることに成功しました。この二人の違いはフォードが正しい世紀に生まれレオナルドは生まれてくる世紀を間違えてしまったわけです。どんなに頭が良くても、19世紀を通じて蓄積された知識にはかないません。その知識はどこから来たのでしょうか。

誰かを選ぶのならニュートンを選ぶべきです。それは中世とルネッサンスから17世紀では状況が完全に変わり、ニュートンが誰よりも大きな変化をもたらしたからです。その変化を見通しの変化と呼ぶことができますし、状況、世界観、視点の変化とも、好きなように呼ぶことができます。

ルールに番号をつけていますが、ゼロから始めようと思いました。ここの第0のルール、おそらく最も重要なルールです。進歩することに関しては、コンテキストや視点はIQ 80に値します。あなたが科学と数学の現代知識を持っているなら、あなたはアルキメデスのような古代の賢人よりもずっと賢いことになります。110または120のIQで微積分を学ぶ人は、過去の偉大な天才ができなかったことをすることができます。

これをまとめてみますと知識は銀、コンテキストは金、そしてIQはただの鉛です。鉛の重りです。あなたのレベルにあり、次のレベルに進もうとするほとんどの人にとっての最大の問題は、あなたがあなたの教室や部屋の中で最も賢い人だったとしても、それは30人または100人の中で最も賢い人であるだけだということです。

仮に世界で最も賢い人100人を同じ部屋に集め、その100人の中であなたが一番賢かったとしても、残りの99人が協力し合えばあなたは彼らに知恵で勝つことはできません。巧妙であるだけでは足りません。これが、IQが最もシンプルなものです。

1. デバッグはプログラミングよりも難しいので、プログラムの作成にあなたの知恵をすべて使ってはならない

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しばらくスタンフォードにもいて、チューリング賞受賞者でもあるTony Hoareは実に偉大な男でした。彼は「デバッグはプログラミングよりも難しいので、プログラムの作成にあなたの知恵をすべて使ってはならない」と言いました。聞いたことある人いますか。ここにプログラムを書いたりする人はいますか。手をあげてください。はい。

人々はプログラムを書くのに頭を使いすぎて、デバッグが難しいことを忘れてしまいます。それは何にでも当てはまります。それが原則1番です。0番は先ほど言いました。

2. 結果の良さは資金提供者の良さと最も強く相関している

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これは前回話したことのまとめです。

2番が、結果の良さは資金提供者の良さと最も強く相関しているという事です。これは過去をまとめるのに最も簡単な方法です。昔との違いで理解しなければいけないのが、当時の人間がより知的だったというわけではないという事です。現在の賢い人より賢かったなんてことはありません。どの世代にも本当に賢い人はいます。大きな結果を残せるかどうかを左右させるのは、コンテキストとそれを支える資金提供者です。

彼らのことについての考え方の一つに、私たちのうち数人が60、70歳になって、事後40年経ってから金メダルを受け取るよりも、優秀な資金提供者はそれとは対照的に、その内70%がただの鉛になってしまうと解った上で先立って金メダルを配ります。資金提供者はあなたが結果を残す前から与えますから。これは後で使用できるスライドになります。基本的に私が前回言ったのと同じ事です。

f:id:foundx_caster:20200303000824j:plain前回は4つのシステム、そしてSketch Padを見ましたが、Englebartシステムには深く触れませんでしたが、インターネット上で簡単に情報を集めることができるでしょう。最初の本当に良いジェスチャーシステムだったGRAILについてと、Ivan SutherlandがVRが使用され始めるずっとずっと以前にそれを発明しましたね。パーソナルコンピューターは特に急いで飛ばして行きました。最初のパーソナルコンピューターは可愛いこのHarry HuskeyのBendixG15で1950年代半ばのものでした。これは本当に初期のものでした。Harryはつい最近、100歳ちょっとの年齢で他界しましたが、本当に素敵な男でした。

最初の真のパーソナルコンピューターがなんだったのか、私はWes ClarkのLINCと呼ばれるものに票を入れます。Sketch Padの作成に使用したビルサイズのコンピューターもWes Clarkが手がけたもので、彼は大きいのも小さいのも両方を好んでいました。これは私がEd Cheadleと作ったもので、近代的なものに見えます。

1968年に私が思いついたアイデア、深く関わりたく思ったアイデアは、それがタブレットだったからではなく、子供たちが必要としたものだったからです。

私はSeymour Papertから、子供たちが実際にコンピューターで何ができるのかを学び、そこにあるロマンに心を奪われました。

19. より良いものや完璧な物は必要なものの敵

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私たちはこのより良く、完璧な物は必要なものの敵だというアイデアを見ました。

言い換えれば、あなたがどこにいるかを知るためにはしきい値を設定しなければなりません。そうしないとローカルな変化を測定しているだけです。それが良いのか悪いのかわかりません。

20. 未来で作り、その結果を現在に持って帰る

火曜日の講義に最後にお話ししたのは、アイデアを30年後の未来に映して30年後には今より現実味のあるものかどうか見てみて、もしそうであるのならそれを巻き戻し、ソフトウェアを作るためのスーパーコンピューターを作りシミュレーションを行い、5から8年後には世界に革命をもたらすものができているというプロセスでした。このような場合には業界を作るわけなので、数十億円ではなく数兆円を得ることができるでしょう。

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前回はPARCがした事を一例もお見せする機会が無かったので今回はそうしたいと思います。これはデモから抽出したセルフポートレートですが、このシステムは私達が1978年から生き返らせたものです。セルフポートレートなので、これはDoradoと呼ばれるAltoの後継機であり、ポートレートモデルではなくXVGAの画面よりも大きくなっています。

この目の回る技術はBob FloydとSteinbergによって70年代に同時に考案され、PARCでも部分的に行われました。1ポイントにつき1ビットで、当時、この様なイメージを使えるのコンピューターは世界中でも数少ないものでした。このシステムはどこから入手したのか。

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さて、ここにXeroxのダンプがありますが、よく見ますとディスクパックがあります。XeroxはXerox PARCで行われた作業のほとんどのディスクパックを捨てました。そのうちいくつかは救助することに成功しました。

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これがそうです。ここには数百のファイルがあります。そのうちの1つは、私たちが1978年にしたシステムの大部分を占めていました。翌年の有名な Steve Jobs が訪問した際に見せたもので、部分的には興味深いものでしょう。なので少し味のあるものです。

私達がしたことはこれを復帰させ、

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このシステムはSmalltalk-78と呼ばれるもので、純粋なオブジェクトシステムでインターネットに似た様なものなので比較的簡単にそうすることができました。これはインターネットのセルフポートレートであり、Smalltalkのセルフポートレートと同じようなものだと言えます。

なぜなら、オブジェクトと呼ばれる小さな論理コンピューター間での1対1の対応を持ち、システム全体を作るためにメッセージを送り合えると言うものでしたから。

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今日のオブジェクト指向プログラミングとは少し違ったものでした。オブジェクトを好きなようにミックス・アンド・マッチ出来たので結果として実際のアプリケーションはないと言うのがあります。

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ここには不思議と馴染みのあるものがあります。オフにしたと思っていました。

さて、これは当時の典型的な画面で、そこのAlto、ポータブル NotetakerとDoradoで起動していました。これは私が45年前にやったビットマップ絵で、見つけたのでここに入れました。ユーザーインターフェースがオブジェクト自体であることを参照してください。ここで私はそれをマークしています。

これには文字認識機能があり、GRAILのような認識機能があります。ここでは私は矢印が欲しいと認識してそれを作成しています。重複するウィンドウ、アイコン、今日のリッチテキストですが、そして、ジェスチャ認識ツールがどのように正当化するかを示すために使用されていることがわかります。

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このシステムはプロジェクトの観点から整理されているため、それぞれのプロジェクトは今日の言葉では別々のデスクトップと考えることができます。それらは時間の経過とともに持続します。

これを今日のユーザーインターフェースと比べて考えて見てください。現在では望む機能全てを含まないアプリケーションを使い、アプリケーションを開いては閉じたりし、相互にカットアンドペーストで行き来しようとします。ここにあるのはワークスペースです。作業中のプロジェクト全てを載せれる無制限のデスクで、望むだけのプロジェクトを同時に開けることができそれらは時間の経過とともに持続されます。ワークフローのアイデアですから。Appleにこの考えを採用させることはできませんでした。

これらはそれぞれのサムネイルのようなものですが、そのうちの一つを開きましょう。

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これは、1975年に13歳の少女がCreative Computingの記事を書くために行ったものです。デスクトップパブリッシングのようなものですが、実際にここではどんなオブジェクトでも使用することができます。

たとえば、ここを見れば、彼女がコンピューターをどのように使用しているのか、そこにどのように入力しているのかなどがわかります。彼女はコードを入力していて、ボックスを大きくしてボックスなどを回転させるために実行されています。理解できましたか。

Wikipediaがこのことについて考えなかったのは残念です、想像してみてください、LOGOの記事のページにアクセスしてどうなるべきか。残念ながらLOGOコードを実行させることはできません。それはなぜでしょう。コンピューターを使っているのに。

彼らはコンピューターのことを何も理解していなかったんですね。まあ、ほとんど何も。よく見てみますと、ウェブデザインとウェブブラウザはコンピューティング史上最も酷いもので、それはユーザーがコンピューターを使用している、と言う事実を考慮していないからです。

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もう一つの例はアニメーションシステムです。

ボールが押しつぶされていないのが見えますが、ボールが当たる時にボールが押しつぶされた方が見た目はいいでしょう。これが通常のシステムでそう言う機能がなければそこで終わりですが、ここではオブジェクトを互いに関連付けることができます。ここでは、変えたいフレームに到達するためにシングルステップで進めています。

この跳ねるインターフェースを見て、「カレントフレーム」と呼ばれるものがあるのが見えますね。それがこれです。

ペイントウィンドウがここにあるのでそのインターフェースを見てみましょう。ここでは画像を設定することができ、2つのウィンドウを接続したいので、ジェスチャ認識機能を使ってそれらの間に線を描きます。それらをどのように関連づけたいのかを説明するための小さな場所が現れ、「絵画のイメージをカレントフレームの跳ね上るアニメーションにしたい」と言います。みなさん、ここまではついてこれましたか。

それを実行するように命令すればそこにあるものにロックオンされます。そうしたらアニメーションを再開することができますが、アニメーションを続けながらペイント機能を使うことができます。良く見ていただけたら、アニメーションを止めずにペイントされていることがわかると思います。現在でも、そんなことができたら良いとは思いませんか。考えてみてください。

これはそれより数年後の物ですが、Sketch Padの様なものです。はい。これは完全に自然なことで、無制限のオブジェクトを持っていると非常に簡単に出来ることです。プロジェクトやデスクトップと呼ばれる物をシークエンス化したらいいだけなので、この特定の場合には自動的にパワーポイントより遥かに強力です。ここでしているのは交互に行き来している、それだけの事です。

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これはPARCで起こった事例で、そこでのさまざまな発明が載っているこの画面に戻ってみると、これはSamの「AltoのアイデアのどれくらいがXerox PARCから出てきたのか」という質問への答えにもなりますが、まあ、約半分です。もう半分についてはこれからすぐ話します。

GUIについてはどうでしょうか。見ての通り、GUIにはこの無制限のデスクトップというアイデア無く出てきたので約70%ぐらいでしょう。30年ほど経った今でも誰もそれを含めていません。ばかばかしいことですが、アプリケーションのほとんどがそれに望む事全てを実行できないにも関わらず、アプリケーションを所有し、販売したい人がいる事と関係しているのでしょう。

デスクトップパブリッシングはどうでしょうか。同じ理由で約70%。私たちがプログラミングをした方法では、約10%しか出てこなかったですし、違いをすべて並べるつもりはありませんがそれらのいくつかはさっき見た通りです。レーザープリンター、約90%。ポストスクリプト、100%です。これは、PARCでこれを行った人たちがAdobe、Geschke、Warnockを結成したことも関係しています。彼らは自分たちの会社のように、それが何だったのか、彼らが想い描いた印刷するべき方法を販売しました。

イーサネットの100%。競合他社はありませんでした。ピアツーピアとクライアント・サーバーの約50%、その理由についてはすぐに触れます。インターネットの100%、こちらも競争相手がいませんでした。

この一つの見方が、出てきて最も成功したものは、外部の人々が既に出来ることに気付いていなかったものです。誰もがプログラミングの仕方を知っていたので、最大の抵抗はプログラミング方法ではありませんでした。それは失敗しただけです。ここには失敗したからという理由で私が言及しなかった3つの事柄があります。

その1つは、Altoのアーキテクチャ、それは革命的なものでとても高度な言語を非常に効率よく実行しいつでもとっさに変更をもたらすことができました。IntelとMotorolaにチップのためにこれらのアーキテクチャーを採用してもらおうとしましたが、結果はゼロでした。

Intelは特に当時のコンピューティングに関しては無知で、プログラミングに関しても無知で、学ぼうともしませんでした。CPUですら、無理やり引っ張る必要がありました。例えば、Andy GroveはIntelが行ったチップ上の最初のCPUに反対していました。Dynabookのアイデアは生き残りませんでした。

考えてみたら、iPadがスタイラスやキーボードを利用すると決断したのはいつでしたか。iPad Proです。なぜ彼らはそうすることができなかったのか。彼らの問題はなんだったのでしょうか。そのアイデアの10%が出てきました。これは考えてみる価値のある面白いアイデアです。

ここでは、機械同士のインターネット接続があり、プログラミング言語がSmalltalkのようなソフトウェアインターネットである場合は、オブジェクトをネットワークにマッピングし、オブジェクトを移行することができます。

各オブジェクトは自己完結型で、メッセージングを行い、メッセージングは内部的に実行されるか、インターネット上で行われます。したがって、小さなデバイスであるかどうかにかかわらず、さまざまなコンピューティングのあらゆる規模の解決策があります。はい。

学生
なぜDynabookの10%だけ、としかあなたは言わなかったのですか?スタイラスとキーボードの重要な点は何ですか?

Alan Kay
まあ、こういうことです。これ(指)を使うのは2歳児と92歳の老人です。それ以外の人はメディアを扱うためにツールを使います。Steve がスタイラスをやらないことにした時、彼は遠ざかりました。彼がしていたことは砂糖水を赤ちゃんに売ることでしかありませんでした。彼はどんなアーティストでも絵を描くのに使えるようなものを販売しませんでした。

彼は私の意見を求めて最初のiPadを送ってくれました。私が最初にしたことは、静電容量のスタイラスを購入して、物差しを使って線を引くことでした。オートデスクだったと思います、オートデスクの結構良かったソフトウェアの一つでした。非常に複雑なやり方で行われているにもかかわらず、iPadのタッチ感受性は素晴らしいと判断しました。

広いものから重心を見つける必要がありますが、それは非常にうまくされていて、非常に直線的な結果を得ることができました。ただ、iPad上にはスタイラスを置く場所はありませんでした。ずいぶん昔、50年前の60年代半ばのタブレットシステムを見せたことを覚えていますか。我々には純粋なスタイラス駆動のシステムが実際にしたい仕事をするのに十分であったかどうかを実験によって決定する完璧な機会がありました。

答えは「いいえ」です。Englebartの場合と同様に、キーボードを使わずにすべてのテキスト入力を行うことができましたが、大量のテキストを入力できるだけの高速入力ができないのでキーボードを使用していました。キーボードは必要です。

学生
Englebartのような、専門家による、専門家の為のツールだったということですか。

Alan Kay
そうですね、Englebartが言ったことはこうです。誰もが「なぜシステムを学ぶ必要があるのか」と言っていました。当時、彼は「それは人々が1日に6から8時間コンピューターを使う事になるから」と言いましたが、皆から笑われました。

みなさんが「ピッピッピ」ってやってるのは1日数秒使われることを想定して作られたインターフェースを使用してコンピューターを1日に6から8時間使っている事です。そんな馬鹿げたこと聞いたことありますか。この建物と同じくらい馬鹿げています。ユーザーインターフェースとして考えるならば。中に入ればすぐに階段があり、マップもありません。「ここはどこだろう、どこへ行けばいいのだろう、それにしても、まるでダンジョンみたいだ」。

覚えておいてください。コンピューターと人間のインターフェースはあなたが学ぶべきものの一部で、このようなゴミ置き場では出来ません。ある程度のデザインのセンスを持つ必要があります。ある程度のデザインのセンス無くソフトウェができるとは思いません。

いや、本当に失礼な発言はしないでおきましょう。ない時間を無駄に使うことになりますが、指摘しておかなければならないのは、この移行対象のアイデアのいくつかがPARCで行われたということです。

当時はUCLAにいたJerry PopekというPARCへの来訪者によって本当に素晴らしいフォローアップが行われました。彼はUCLAに戻り、Unixをベースにした素晴らしいシステムを作りそれをLocusと呼びました。いつか実際に訪れる未来に興味があるのならMIT出版からその本を買うことができます。特に最初の数章はインターネット上の実際のスケーリングに対処するための問題の概要を説明しています。それ以上のことは言いません。

21. 現実はローパスフィルタ

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さて、ゼロ。原則21です。「現実」はローパスフィルタです。理解できない人の記憶にも残るような巨大なアイデアを持つべきです。ローパスフィルタにダイヤルトーンを返されるのは避けたいですが、そういうことは起こります。良いアイデアを持つ人のものでも、アイデアの大半は普通か悪いものですから。そういうものには取り組まないほうがいいです、成功したとしても削られますから。

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この本についてお話しします。Samは本を読むので、彼のためにこのスライドを入れました。あなたたちはおそらく本は読まないでしょうが。Sam、これはXerox PARCに関する本ではありませんよ。これはXeroxの取締役が60年代に書いた本で、PARC以前の物でXeroxマシンを採用してもらう為に頑張ったことに関する本です。これは、Xeroxが最も急速に成長した後でした...Xeroxマシンに対するライセンス料の完全な権利を断念した企業の1つがIBMでした。その話もこの本にあります。

IBMのコンサルタントは、「人々はコピーをしないので、普通の紙のコピーの市場がないので、これはうまくいかない」と語ったのです。まあ、当然のことながら、当時のそれは良いコピー機ではありませんでした。私は「Xeroxでの数年:誰も望まなかった数兆ドル」という本を書くことができたかもしれません。John Dessauerみたいな写真を撮ってもらう時間はありませんでしたが。どうでもいいことです。

残りの時間でアイデアの良さがほとんど無関係のものだと言うことを説明したいと思います。

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さて、現実キットの時間です。皆さんの現実キットを手にしてください。上面の方をします。シールを破って、開けましょう。これはこうして下においたらベストです。指示を見てください。

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オンラインの皆さんのために...リアリティキットはありますか。よし。みんな持ってますね。どういうことですか。どこにいたのですか。全く。どういうことかわかりますか。あなたたちは遅刻したに違いありません。これを手渡して、配ってください。他の人は。皆さん、私を困らせるのが好きなんですね。

さて、右目を覆い、左目でプラスを見ながら何かが起こるまでゆっくりと近ずいてください。ゆっくり、文字通り「ゆっくり」してください。何か見える人はいますか。あなたは何が見えますか。

学生
死角で消えます。

Alan Kay
死角で消える...皆もそうですか。そうでないなら「はい」と言ってはいけません。これは誰でも、特にコンピューティングでは、1日に1回行うと良いことです。さて、それでは、ドットがあったところには何がありますか。何もないですか。

学生
ボケています。

Alan Kay
何ですか。

学生
テキストです。

Alan Kay
テキストが表示されます。それはどういうことでしょうか。

学生
脳のアルゴリズムがスポットを見えると思うもので埋めているからです。スポットを周囲にあるもので埋めています。

Alan Kay
なぜですか。

学生
それを予測しているからです。

Alan Kay
はい、ここでは何が起こっているのでしょうか。

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このように見えるでしょう。何が起こっているのかと言うと、

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目の中にですね、レーザーはないかな、あった、こっち側から血管が入ってくるのですが、私たちの目のデザインは本当に酷いものですね。創造主義者と議論する時にこれは神に対する良い反論です。神がいるんだとしたら、イカには素晴らしい目を与えて私たちには悪い目を与えたのですから。

私たちの目は、光検出細胞の前に血管を持っているので、私たちの脳はそれらのすべてをフィルタリングしなければなりません。

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ここにあるのが中心窩と呼ばれる領域で、視力の殆どがここにあります。物が遠くにある時はこんな感じで、それが近づいていくとある距離でスポットが光に敏感な細胞が全くないところに入り見えなくなります。

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それを、彼が言ったように脳が埋めるんです。そのことについてはこれから触れます。

原則22番、私たちの目には盲点があり、脳はそこに詰めるものを作り上げます。嘘をついているんです。これについて考えてみてください。脳がないものをでっち上げてそれを現実だと思わせるもう一つのケースとはなんでしょうか。夢ですか。ほとんどの人は夜しか夢を見ないと思っていますが、実際には人間の脳は私たちが常に夢を見るように設定されていまして...これはありますか。昔はチョークを投げたことでしょうが、ここにはチョークはありません。

それについての強力なアイデアは23番で、目が見えないことを認識して認めるまで、見方を学ぶことはできないことです。ほとんどの人間にとって最も大きな問題は、彼らは目が見えると思っているので、盲目であると理解していないということです。これは世界の多くの問題につながり、それについての強力なアイデアは再び第0番の原則で、「アイデアができるだけ多くの方法で経験されれば、それは大きな違いになります」です。言い換えると、視点は、見方はIQ80分の価値があります。何かが正しそうに見えてもそうとは限らず、数学が思考に危険である理由でもあります。

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さて、ポーカーチップに進みましょう。それらを外してください。

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さて、それではこのように片方がもう片方より2倍遠くなるように持ち上げてください。このように見えますよね。あなたの網膜には、実際にはこのように写っています。考えて見てください。もし距離が2倍なら、角度も半分になっているので、半分の大きさで表示されるはずですが、半分の大きさでは表示されません。

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このポーカーチップはもうあなたのものですので、持ち帰って飽きるまで物差しで測ったりして実験してください。ここに私たちに見えるべきものがあり、こちらが網膜上に映るものです。ちなみに、デカルトは牛の目をとって、その裏を剥がして、生物学的レンズが実際にガラスレンズのように機能していたかどうかを調べましたが、確かにそうでした。ここでは何が起こっているのでしょうか。

21. 心の目はセンサーの目とは異なっている

あなたの網膜にあるものは、あなたの脳の約12の異なる場所にマッピングされます。あなたの脳は活性化しています。コンピューター用語で言うと脳の細胞はハードウェアのようなものであり、プロセスが進行しており、一連のプロセスはすべて私たちの信念システムと関係があるものです。

私たちが何かを認識する時、それは私たちの信念システムを通り抜け、次に信念システムのリアルタイム版、即ち夢に入ります。私たちは夢の中に信念を持ち、その信念は「くそ、これらは同じサイズなのに」と言うものです。これはオレンジででも、コインででも、同じ大きさだとわかっていれば何を使ってもできる事です。現実世界の情報と貴方の信念を組み合わせるとこの様な結果になります。

ここに絵を描けるアーティストはいますか。はい。あなたはこの錯覚を知っていることでしょう、サイズ恒常性と呼ばれるものです。実際に描けますか?はい。描くことはできますよね。絵を描けるのならまず最初にするのは何が起こっているのか見えていないことを理解しているので(大きさを)測り始めます。腕を動かさないで、それを利用して測定します。

例えば、Samの頭はこのぐらいで、うわー、私により近いこの男に比べて半分ぐらいしかありません。私にはそう見えません、頭は同じなのでほとんど同じぐらいの大きさに見えます。わかりましたか。

原則24、心の目は感覚の目とは異なります。人は心の目に従って行動します。そして、この地球上で生きる人の大半が二種類の異なる目がある事を知りません、世界を見えるままに捉えていますから。見えるままの世界から常識を築き上げています。これが人間が一般的に考えることができない理由です。そんな事をしていては考える事はできません。

信念のもう一つの用語は「私的な宇宙」です。私たちは皆それぞれ独自のものを持っています。それまでは話のわかる方だと思っていた人と議論する時、それはお互いの信念が相争っていると言う事です。私たちが起きながら見る夢はプライベートなものです。私はこの言葉が大好きです。「代替の真実 (alternative truth)」、これはKellyanne Conwayの言葉で、新しいものです。そう言う事なんです。科学者でいるのは難しいことがわかります。科学者は脳が投げつけてくるこのような誤った情報をすべて回避しなければいけません。

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さて、簡単でわかりやすいモデル、ランダム性がどのようなものか、地面に降る少しの雨水がほんの数粒の土を動かし、小さな溝ができ、溝の方が水を流すのに効率的なので様々なことが起こり始めます。

最初はこのようなものが出来ます。完全にランダムで、どの方向にも流れる事はできました。それがいずれは別世界を生み出します。

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グランドキャニオンに行った事があるかはわかりませんが、完全なピンクの世界です。とにかく凄すぎるくらいですね。上を見上げれば、上を見上げる事を忘れなければ、青空も少し見えます。人間の問題は上を見上げない事です。私たちは外を見ます。

ここに例があります。

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かなり薄いですが、このピンクの平面、私たちの考えはその上を渡るアリのようなものです。私たちは物事について考えることができ、進歩し、障害物に遭遇すればそれを回避することができます。しかし、ここでやっていることは全てピンクですが私たちはそれがピンクだと知りません、ピンクの外に出た事がりませんから。

これは自身が水中にいることを知らない魚のようなものです。常に水の中にいます。たまに小さな無法者思想、ブルーの色の考えを持つかもしれませんが、あなたは学校へ通い、スタンフォードへ行き、教会に通い、寺、シナゴーグ、モスク、そのほかなんでも良いんですが。私たちの信念はそれを追い出そうとします。私たちが正常でないものを見るとき、正常は実際には狂気と同じです。ガシャーン。あなたが走りに行っているとします。朝、起きたばかりで、シャワーを浴びていて、途端に「うわー、なんてことだ、ブルーの世界がある、私がいる世界と直交するブルーの世界がある」と気付きます。一度そのブルーの世界に入ればおそらくそのほかにも数多くの世界があると言うことに気づきます。

これらをそれぞれコンテキストとして見る事ができますか。ルネサンスから現代までにニュートンがもたらした変化、それがピンクの世界からブルーの世界に行くことだとわかりましたか。ARPAはコンピューティングに同じ事をしました。ほかには誰もこの事について考えていなかったのに、メインフレームから完全に違う考え方をし、今日の世界に至りました。当時のコンピューティング仲間たちからは本当にクレイジーだと思われていました。

25. 何かが物事の裏にある時、深く隠されている

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はい。コンパスをそこに置いておきましょう。ここに本当に早い段階でたどり着く人がいる事をあなたは頭に入れておかなければなりません。Einsteinは5歳の時に、麻疹から回復していた頃だったと思います。彼のために父親が小さなコンパスを買ったわけですが、Einsteinはその事をずっと覚えていました。

彼は「私が子供だった頃、これが私に他の何よりも大きな印象を残しました」と語っています。彼の視点からしたら物事には深く隠された何かがあるに違いなかったからです。彼はなんで針に方向がわかるのかが知りたく、それをそのままのものだと受け取りませんでした。目には見えない何かを確かにしている、それはEinsteinの物事における考え方を完全に変えました。

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赤ちゃんが生まれたとき、私たちが生まれたとき、私たちは何も無いところに生まれるわけではありません。

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私たちは文化の中に生まれてきます。過去数百、数千年にわたる大部分の文化は、伝統的な文化、狩猟と集まりの文化でした。

伝統的な文化は、それが特定の見通しの中にいることを知りません。伝統的な文化にとってはそれが現実だと思います。彼らは他人の現実に信じられないほど強く反応し、それは戦争に至るほどです。これは私たちの遺伝子から由来するもので、今でも、私たちの国も含めて、多くの人々がこのかなり自然的な物の見方の中に生まれてきます。私たちは見方に関するアイデアを発明しなければなりませんでした。

さて別の文化です。

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あなたがここで生まれたのなら、同じ赤ちゃんでもここで育てればその赤ちゃんはフランス人として育ち、見通しも言語もその他のことにおいてもフランス人です。ここに大きなアイデアがあります。

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本が発明された時どうなったか。Marshall McLuhanと言う名の男が「本とは何か」と言う質問をしました。「環境としての書き物とはなんなのか」。

書き物がフランスで育ったものだと考えれば、それは人類に何を意味するのか。これがまたかなり意味深いのです。興味があればのぞいてみてください。彼はまた、「環境としてのメディアとはなんなのか」と尋ねました。

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たとえば、これは環境としてはどうでしょうか。考えてみてください。子供たちが人を撃てと言われているわけではありませんが、問題は人を撃つという事が普通だと見ているのです。環境は物事を正常化しますから。環境ははそれらを現実の一部にし、それらについて考えることを可能にします。何かをしろとは言いませんが。

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そしてもちろん現在のメディアも全く同じことをしていて、ほとんどの人は気付きません。

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さて、ここで最後のフラップをはずしてください。ここには小さなデスクトップが、テーブルトップがあります。まずはそこの絵を見てください。実験を始める前にテーブルの表面が全く同じ形だと主張しましょう。私はこれを何百回もやってきて未だに見えませんが、このプラスチック製のものを持ってこっちに動かすと…

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学生
そんなバカな。

Alan Kay
そうです。いや、狂っているのはそれではなく私たちの方です。この講義の内容で一つだけ覚えておきたいものがあるとしたらそれは、人間の自然状態はクレイジーでいるということです。クレイジーなのは現実に起こっていることに関して良いモデルが頭の中にないという事です。

私たちはある種の狂気で線を引きますが、実際にはみんなクレイジーです。これは本当に面白いですよね。初めて行われたのは実はここ、スタンフォードでした。この男はRoger Shepard、彼の書籍にはこのようなものが詰まっています。

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よし。残りいくつか、今回は最後までできそうです。人類学者達は過去120年をかけて数千もの伝統文化を研究しそれらの文化に決して欠ける事のなかった特性を書き留めました。数千の文化の内、もし一つでもその特性を持たない文化があればその特性は除外されました。これらの特性はすべてヒューマン・ユニバーサルとみなされ、そのほぼ全てが遺伝的です。この本があります。本は実際には結構役に立ちます。これもオススメしたい書籍です。

Sam Altman
これは素晴らしい本です。

Alan Kay
そうですね。Samと仲良くなったきっかけは、彼に本の話をしたら次に会うときまでに彼は必ずそれを読んでいたからです。それで彼がいい人だとわかります。

さて、基本的なアイデアは遺伝子が文化を推進するということです。遺伝子が前駆体、欲望を、そして文化がパラメーターを埋めます。これら全てをカテゴリー名として考えて良いでしょう。そのリストが作成されたら、今度は全ての文化にないものに興味を向けました。これはその部分的なリストです。

農業は発明される必要のあるものです。それは非常に簡単な発明でしたが、人類が地球上で数十万年存在してきた中でそれが発明されたのは僅か1万2千年前の事です。狩猟や採集を主にしていた人にはそのようなことについて考え始めるのは難しいことでした。すべての動物がそうであるように、私たちには物事に対処するための遺伝子がたくさんあります。私たちはすべての動物のように苦難に対処することができますが、進歩のアイデアは発明されなければなりません。実際には18世紀の発明です。

その理由は、人類が存在し始めてからほぼずっと、人は生まれてきた世界と同じ世界の中で死んでいったからです。ほとんど何も起こらず、出征から死に至るまで耐えるしかありませんでした。「違う、世界はより良く形作ることができる」というアイデアはつい最近のものです。新しいアイデアです。これらはすべて強力なアイデアです。

口頭言語と読み書きとの違いはとても深いです。物語、迷信、宗教、そして魔法。それら対科学の表現システム。ニュース。ニュースは決して新しいカテゴリーを紹介しないことを忘れないでください。耳にするのは「あの山火事、その戦争、この殺人、この優しい功業」。これがニュースが早い理由です。私たちの心がそれを望んでいるからです。

私たちが嫌うのはカテゴリーです。カテゴリーを習うのに数年かかることもありますから。微積分学についてのニュースは一切聞きません。学ぶのに数年かかり、それを望む人は足りません。速い思考とゆっくりした思考。類似点よりも相違点。ほとんどのプログラミング言語がダメになり、ウェブブラウザーがダメになった理由の一つです。現代的な考え方では相違点より類似点で、類似点を強調します。

これは平等の権利と民主主義とも大きく関係します。仇討ちと復讐は映画では大人気で、ビデオゲームでも人気で、復讐ゲーム、システムがなくなり誰かが物事を正すために法律を破る必要がある個人的な復讐ゲームがそうです。私たちはそのような戯曲を好みますが、法制度全体は実際には、千年の闘争と復讐を避けるために整備されたものです。

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なので、こちら側にあるのは人間が望むものだと考えることが出来ます。

この事について考える簡単な方法は、これら全てを合法な麻薬と捉える事です。起業家になってお金を稼ぎたいと思っているのなら、人が遺伝的に求めるこれらの事、一つだけでも良いのでそれを拡大させる技術を作れば良いです。そこにあるものを見てください。狩猟と採集、社会、言語、電話がそうですね。物語、ニュース、劇場、それらのすべて。全てがリストにあります。騙されたと思ってこの本を買ってください。ですよね、Sam。

人を悪化させる何かを作れば人々はそれをものすごい勢いで買うでしょう。数百年前以来、これらの事は人類が存在する世界には足りていないものばかりなので。こちら側には人が必要とするものがあり、一目ではわからないかもしれませんが、これらの事を学ぶのは非常に難しい事です、遺伝的な準備がないのですから。発明される必要のあったものなのです。

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最後にこのイメージ。21世紀から22世紀に向かいます。

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もはやフランスや伝統的な社会には生まれてきません。信じられないほど巨大な宇宙の、ほとんどの人が、私たちがそこにいると自覚していない惑星に生まれます。私たちが知っている数百人の社会システムだけではなく、数百万の社会システムと何十億人もの人々です。多くの異なる方法で皆に接し始める技術システムです。

例えば、現代医学は実際には第二次世界大戦に始まりました。それは皆さんからすれば随分前かもしれませんが、私の生涯の間に起こった事です。私は第二次世界大戦以前に生まれましたが、戦争の前は感染した時に抗生物質など使いませんでした。それだけ早く進歩したんです。

その頃の医学はほぼインチキ療法で、科学的医学の多くが過去50から60年の期間で起こった事です。それから私たちには心のシステムもあります。社会的な面だけではなく、心理的、認知的、そしてその他の面もあります。私たちが生まれてきたこの今世紀の世界を私たちが住むシステムであり、私達自身のシステムだとまとめることができます。

考えてみてください。それとほとんどの人が望むと思うものとの違いについて。これらが我々が学び、対処しなければならないシステムです。これらのシステムは別々のものではありません。それらについて個別に話してきましたが、どれも互いに絡み合っています。それらは全て透明です。

それでは、最後にこのスライドを見ましょう。

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これらのシステムについてわかったのはそれらが数百年前までは目に見えなかったこと、中には数年前まで目に見えなかったものもあります。人類の悲劇は二部に分かれています。その一つが文明内で私たちが発見した事がその文明に生まれてくる者たちに自動的に伝わらない事です。これをよりよく反映するためには教育システムを変える必要があります。

この合成画像は私たちの脳の一部で、脳の遺伝的な部分ですが、この様にいろんな物に覆われていても10万年前に遡る反応や物事に関する考え方、あるいはそれらに関して考えないという事があります。テレビやゲーム、そしてFacebookの様に見るものが多い今、人々に呼びかける様な会社を起業するつもりなら、人々がその前には無力になるような本性にアピールするのは可能な限り避けましょう。何故なら、現在技術の発明に取り組んできた私たちがいま心配に思っているのが、現在では技術の発明が教育システムを変えることより遥かに単純だという事です。

今は原始人に核兵器に相当する情報を持たせていることになります。それは今や情報兵器であり、いろんな意味でこれらの兵器はより危険だと私は思っています。人の態度や信念を再正常化する事は、私たちの文明をいとも容易く破壊し私達を石器時代に引きずり戻す危険があります。

前回の火曜日の講演より今日の方が内容が濃いかもしれませんが、ARPAの研究と発明、そして特にEnglebartのような人々の背後にある全ての推進力は、人類が問題から抜け出る事を可能とする新しいツールや新しいメディアを発明しようとすることでした。

例えば、Englebartは、「大人の世界で重要で意味のあることのほぼ全てが大人が一緒に働くことによって成し遂げられている」と述べています。彼のシステムが協同的だったのはこの様な理由です。これは面白いことです。

ここにMacがあります。Linuxを使っている人もいるし、Windowsを持っている人もいます。面白いのはここです。Englebartが1968年に見せたどんなコンテンツでも、見ているものを誰にでも共有してそれと接し、やりとりすることを可能とする能力、現在の主なオペレーティングシステムでそれを含んだものは一つもありません。Skypeでもできない事です。これはオペレーティングシステムレベルの問題です。安易なことではありません。そうする事は可能ですが、現在使われるオペレーティングシステムでそうするのは一つもなく、実際にコンテンツで協同作業する能力は1965年以前に遡るオペレーティングシステムに関する概念に抑止されています。

現在使われる主なオペレーティングシステムは3つとも非常に古いアイデアです。PARCのどうしたらプロセスが互いに調整し合えるかという概念にすらたどり着いていません。このような事は他にも数多くあります。これらのオペレーティングシステムはお互いに似ており、普及しているので、現実キットを使用しない限りそれらが正常であると、そうであるべきだと考えてしまいます。

コンピューティングの業界にいる人の多くが、これは一般人にも言える事ですが、Darwinのプロセスの誤った考え方を持っています。ほとんどの人はDarwinのプロセスは最適化するものだと考えています。これは真実から遠く離れています。私は分子生物学でも学位を持っていますが、どんな生物学者でも絶対に最適化していないというでしょう。

Darwinのプロセスの目的はとある環境・ニッチに適合することにあります。その環境が適切な環境でない場合、進化のプロセスはあまり役には立たないでしょう。そんな仕組みです。

コンピューティングが面白くなくなるにつれて、物事を受け入れたり拒絶したりする方法がますます平凡なものになります。これら初期のシステムですが、例えばSamはSketch Padを見て「なんで今もこうしていないのだろう」と言いました。それは誰もそれが大切だと考えないからです。

誰もWebメディアでWYSIWYGをやろうとは思いません。ちょうどこの前Quoraにいくつか答えを入力したのですが、70年代以前の体制でした。小さなウィンドウに入力して、小さなボタンをクリックするまで、どのように反映されるのか分かりませんでした。そんなの全然ダメじゃないですか。でも、私のような老人しか抗議するものはいません。私はもっと良くする事ができると知っていますから。それより良くする事ができることを知る必要があります。それがあなたたちの仕事です。

あなたがたの仕事は私に同意する事ではありません。あなたがたの仕事は目を覚まし、普通に見えるものを批判する方法を見つけることです。それがこの泥沼から出る唯一の方法です。あなたは周囲の環境を学ぶ、と言う遺伝的な衝動に逆らわなければなりません。もっとも自然な事ですが、あなたのためにはなりません。なぜなら環境は弱く、環境を学べばあなたも弱くなりますから。

スピーカー3
はい。どうもありがとうございました。

 

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
動画: How to Invent the Future II - CS183F (2017)

トランスクリプト: How to Invent the Future II - Alan Kay

 

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