Speaker1
今日はPeter Reinhardtです。彼はSegmentのCEOで、YCを経て…いついたんだっけ?
Peter
2011年です
Speaker1
そう、2011年。今Segmentはすごく調子がいいです。Peterはプロダクトマーケットフィット (PMF) について話してくれます。人々が実際には理解していない魔法の様なコンセプトについてです。どんなスタートアップにおいても最初に取り組まなくてはいけないことでしょう。Peter、今日は来てくれてありがとう。話を楽しみにしています。
Peter
ではプロダクトマーケットフィット (PMF) についてお話していきます。SegmentはB2Bの会社で、聞いたことがないとういう人もいるかもしれませんので、すこし概要をお話しましょう。3年半前にスタートした会社で、4人から始まりましたが、現在150人に成長しています。急速に成長しました。だからあなたたちにプロダクトマーケットフィットを見つけるためのヒントを与えられればと思います。
Alan Kay の講義のおさらい
Alan Kayの講義のおさらいをしましょうか。
彼は素晴らしいアドバイスを持っていましたね、未来を見ながらどのように素晴らしい研究をするか、そして未来がどのようになるのかを想像することについて。
特に、彼はこのような図を使っていました。このピンクの面を探索して、ここでさまざまなアイデアをテストする。そしてある時点でブレークスルーが起きて、ブルーの面に気がつく。そうすると完全に新しい空間を探索できるようになる。そして、これが未来をどのように創造できるかを理解するためのブレークスルーの鍵となります。
特に、彼は未来に向かって進む、そしてそこにいる自分自身を創造するというアイデアを持っていました。
さらに彼はアイスホッケーのWayne Gretzkyのアイデアを持っていました。パックがどこに行くべきなのか、またはどこに行くのかを想像するのと同じ様に将来のイメージを掴んで現在に戻ってきます。
スタートアップは少し違う
彼のこのやり方は、ほんとうに驚くべきものです。彼は基本的には未来の世界に向かい、創造すると語りますが、このようなやり方で起業して成功した会社は今まで一つもないでしょう。
もう一度、研究にとってはいいと思いますが、会社を作るとなると、未来のビジョンを想像することと、実際の未来がどうなっているかということは全く関係がありません。あなたが望む世界がどんなものかではなく、顧客が望む世界はどんなものなのかを考える必要があります。
多くの企業は過去の事例を元にマーケティングを行っています。例えば、こんな素晴らしいアイデアがあるんだ、そして顧客がどんなことを望むか論理的に説明もできている。そしてそういったものを構築するんですが、実際のところ、うまくいくものは全くありません。本当に、それは非常に誘導的なプロセスです。 顧客との間を行ったり来たりして、最終的には何かを見つけることができます。
このプロセスについても少し話したかったのですが…それがどれだけ重要であり、難しいかということについて。
最もよくあるミスは、誰も持っていない問題を解決すること
スタートアップが犯すもっともよくある間違いは、誰も望んでいないものを作ったり、全く問題でない問題を解決しようとしたりといったことです。
Wayne Gretzkyの方法は未来を想像する方法です。未来がどうなるかを考える。もう一度言いますが、研究にとってはとてもいいアイデアです。ベンチャーキャピタリストにとっても未来がどのようになっているかを想像し、スタートアップがその未来への道を切り開くものかどうかで区別するのはいい事かもしれません。
しかし、創業者にとっては、これは悪い戦略であると思います。多くの創業者にとって実際に何かを作るのは簡単なんです、例えば、未来っぽいものだとか、将来にあるものだとか、もっと言えば、そこにある技術的な問題を解決するのは簡単なんです。
しかし、実際のところ、それは難しかったりします。なぜなら、それはあなたが本当にやりたいことではないからです。
やるべきことは顧客が今日抱えている課題を解決すること
未来のビジョンによって、ある何かを構築する必要はないんです。あなたがすべきことはいま、ここで、今日、顧客が抱えている特定の問題を解決することです。ほとんどのスタートアップは実際にはそんなことをしません。
ほとんどのスタートアップは、ぼんやりとした未来的なものを構築しますが、それは今日人々が抱えている実際の問題ではありません。それがいつも会社を潰すのです。市場は常に勝ちます。
もう少し詳しくお話しましょうか。
PMFを探すこと
プロダクトマーケットフィットを探すという問題は
統計上80%の創業者が抱えています。80%もの創業者がプロダクトマーケットフィットを見つらけれずにいるという事です。5人中4人がユニークな方法で解決できる問題を見つけるというアーリーステージで失敗します。5人のうち最後の1人は、実際にそこから会社をどう構築していくかということに苦労するでしょうが、それは単なる統計上の話です。
プロダクトマーケットフィットを見つけるということについてお話しましょう。手短にお話しますと、あなたがプロダクトマーケットフィットできていないなと感じるとどうなるか。
PMFできていない感覚は落下感
まるでそれは、底なし沼で、無感覚で、フリーフォール落ちているような感覚になります。暗くなりすぎたくはありませんが。それを見つけることができないと思った時、奇妙な強迫観念になりますし、実際に病みます。
ちょっと個人的すぎる話をしましょうか。2012年、私たちがプロダクトマーケットフィットを探し求めていた最中に、3週間で10ポンド(4.5kg)も痩せました。そしてパニック発作のために2度病院に行きました。
それまでもそれからもパニックの発作なんて起こしたことはなかったのですが、私だけの話ではありません。
これを言っていいかわからないんですが、SamがLooptを創業した時は日々食べるのも忘れていて、最後には壊血病になりました。Samはなんとか回復しましたが。気をつけてください、プロダクトマーケットフィットを探すことはとても感情的に大変なことなのです。
なぜなら、それはあなたが本当に、必然的に、合うものを見つけようと望んでいるからです。 何がうまくいくのかを本当に見つけ出したい。顧客が望むものは何か。私たちは、そのような人々を助けられたらと思っています。
これを見つけることを意識してください、そしてその蜃気楼のなかに陥ることを覚悟してください。これがそうであると確信して、私たちはだいぶ近づいている。人々が本当に望むものはこれだ、と思い込んでしまう事があります。
これは3人の共同設立者であるIlya、Calvin、Ianとの2012年夏の思い出です。なにか見つけたかもしれない、という深い偽りの希望の真っ只中です。そのお話をしていきましょう。うまくいったから、今日ここにいるんですけれど。暗闇に沈んだままであればここで話してはいないでしょうから。現在は150人と働いていて急成長しています。
大きな市場の見つけ方
Speaker3
どうやったら小さな市場ではなく大きな市場を見つけられるんですか?
Peter
いい質問ですね。PGのアドバイスが良いと思いますし、それには根拠があると思います。最初の問題を見つけるのはほんとうに大変です。問題を解決するよりも、脱出ルートを見つけるよりも。
最初の足場を見つけた後、ルートを見つけて大きな市場に入っていくことはそんなに難しくはないのです。足がかりを見つけたところで難しいと感じるかもしれませんが、ちゃんと何かを見つけることができます。あとで少しお話しましょう。
Speaker3
あなたがレバレッジを持っているからでは?
一度PMFすると課題探しは楽になる
Peter
一度顧客のための問題を解決すると、さらなる問題が出てくることでしょう。これはとても効率的です。彼らはただ、こんな問題があって、それに関連してこんな問題もあるんだけど、解決できますか?と言ってきます。あなたは「ええ、もちろん」と言うでしょう。それを解決して、関連する問題を解決し続けます。
なにか一つのことを見つけたら、次から次へと見つけていくことは実はほんの些細なことなのです。特にもっと何かが欲しいと言っている人たちに対して何かを売るということは。
コンシューマー向けビジネスのほうがもっと難しいです。コンシューマーについて話すのには向いていないですね。わからないので。
私たちはアパートにいる4人の男たちでした。私たちはプロダクトマーケットフィットを見つけることがなかなかできませんでした。もうすでに見つけているかもしれないとか、最先端にいるかもしれないとか自分たちを説得しながら私たちはコードをたくさん書いていました。コードを書いている人を見ていました。コードはたくさん書きましたが、顧客はいませんでした。
これは間違った順序ですね。でも実際はそういうことをやっていたのです。
<訳注:ゴキブリの画像のため非掲載>
ここで起きていたよいことというのは、なんていうか、ゴキブリみたいでした。
PMF の前は可能な限り節約してランウェイを伸ばす(ゴキブリになる)
プロダクトマーケットフィットの前はできるだけお金を節約してください。可能な限り費用を少なくして、ランウェイをできる限り伸ばすのです。
多くの創業者が犯す過ちとして、アイデアができてすぐにセールスやマーケティングに多くのことを費やすというものがありますが、実際のところ、プロダクトマーケットフィットが見つかるまでは、人々が何がほしいかということがわかるまでは、そんなものに時間を費やすべきではありません。
顧客と話し、なんども反復し、本当に飛び立てる、本当に燃えあがれると思えるまで。なので、長いランウェイが必要なのです。それが私たちがしたことです。
私たちは本当にくすぶっていたんです。法で定められた採用限度の20,000とか30,000ドルを払っていたと思います。アパートをオフィスとして住んでいました。家賃の一部は会社として支払っていました。最少限度で。私たちはできる限り多くのアイデアを出して滑走路を広げました。
このプロセスをもう少しわかりやすく言うと、ステップ1は、いくつかのアイデアを打ち上げて繰り返し実行するんです。
自分が持っているすべてのものを温存して、ゴキブリになることが大切です。
そうすると、突然なにか奇跡が起こるんです。
これについてはあとで話しますが、これがプロダクトマーケットフィットでほんとうに奇跡みたいに感じるんです。うまくイラストを描いてどんな感じか説明できればいいんですが。
PMFに至るとユニコーンゴキブリになる
3つめ、プロダクトマーケットフィットが来るとゴキブリが突然ユニコーン・ゴキブリに変身して、プロダクトマーケットフィットを生き残れるだけでなく、すべてが突然簡単になるんです。簡単ではないですが、前よりは簡単になります。
顧客が現れ、あなたのものを買ってくれるようになります。あなたのチームに参加したいという人が現れます。まだ崖をよじ登っている最中ですが、完全にぎこちなくもがいているわけではありません。初めて追い風を感じることができるでしょう。プロダクトアイデアが一歩前進して、顧客がそれを気に入らなくて一歩後退していた時とは違います。実際には、動きはじめたプロダクトをなんども反復して改良し続けることができるのです。
PMF を分析する
それでは今行った事の真ん中らへんを取ってちょっと分析してみましょう。
まず、カテゴリーリーダーというものを分析してみましょう。これらは本当に大成功している大企業です。
そして、なぜプロダクトマーケットフィットが初期段階においてそれほど重要なのかという核心部に入っていきたいと思います。そして、うまくフィットしていないときはどんな感じなのか、つまりは悪いプロダクトマーケットフィットとはなんなのか、そしてよいマーケットフィットはどんな感じなのかについて話していきます。話の中でうまく説明していこうと思います。ここでの目標は、この後、あなたの自身のアイデアがよいか悪いかを簡単に判断できるようになることです。
カテゴリーリーダーを分解する
さて、カテゴリーリーダー(Categoly Leaders)。カテゴリーリーダーについてきにする理由は、他の会社よりもより大きいからです。
そうですね、例をあげましょう。
AmazonとFacebookはあなたたちがよく知っているコンシューマーカンパニーです。Salesforceは、セールスソフトウェアを他の企業に販売する会社です。なぜ彼らに興味を持ったか、それは彼らが巨大な企業だからです。同業種の競合企業よりも10倍、いや1,000倍も大きかったりするでしょう。
例えば、Salesforceはおそらくあなたも聞いたことがあるでしょうが、Sugar CRMとZohoはおそらく聞いたことがないのではないでしょうか。似たようなことをしている会社なので、これを例にカテゴリーリーダーをどのように築くことができるのかについて深く掘り下げてお話したいと思います。
その下にある層は何ですか?
要はプラットフォームを築くのです。あなたが販売しているプロダクトだけではなく、あなたのプロダクト内のデータも、あなたのビジネスの上に他人がビジネスを構築するのにとても役に立ちます。Salesforceはそうやっているんです。Amazonも、Facebookも。
Salesforceを見ると、AppExchangeと言われる会社もあります。AppExchangeはSalesforce内部のすべてのデータを明らかにし、他の会社がマーケティングやプロダクトの販売を構築することを許可します。同様に、AmazonにはReseller Programがあり、今までにものすごい量の他のビジネスがAmazonの上に構築されてきました。
ここで鍵となるのは、最終的になんらかのプラットフォームを持つことです。あなたの会社が拡大するために、他社が構築し、商売ができるようなプラットフォームを持つのです。その性質上、人々をあなたのエコシステムに引き入れることができます。
プラットフォームを立ち上げるには1億ドルの年間売上が必要
しかし、このようなプラットフォームをどうやって立ち上げればよいのでしょうか。
Peter Thiel、まだ今はそんなに有名ではないかもしれないですが、彼の意見としては持続可能で魅力的なプラットフォームを構築するためには、 実際には1億ドルの収入が必要だと考えています。
なぜなら、誰かが実際にあなたの顧客ベースのほんの数パーセントを獲得するだけで誰でも実際のビジネスを自分で構築できる規模になる必要があるということです。もし彼らが2〜3パーセント、200〜300万ドルの収入を得ることができれば、それは本当のビジネスです。その上に何かを構築することは可能です。
あなたはカテゴリーリーダーを作りたい。そうするためには、それを行うためのプラットフォームが必要です。収益は1億ドル必要です。
もう少し掘り下げてみましょう。 1億ドルの収入は厳しいので、ちょっと下げてみましょうか。
数週間前にJason Lumpkinに会いましたよね?それともこれからかな。
彼は、サービスビジネスのソフトウェアを構築することについて素晴らしいことを書いています。Quora上で彼の回答をすべて読むことをお勧めします。
彼は収益1億ドルへの道のりを3つのステップに分けました。ゼロから100万ドルはほとんど不可能だと言います。100万から1000万の可能性も低いですが、1,000万ドルから1億ドルは必ずいけます。1,000万から1億は必然なんです。
なぜならこの時点で、勢いがあるからです。あなたに賞賛の声をくれるような顧客をもっています。彼らは製品を買っています、そして彼らの会社はもっと買うようになるでしょう。しばらく時間がかかりますが、最終的には1,000万から1億になります。
100万から1,000万は、私が思うに、創業者にとっては残酷で大変な仕事だと思います。なぜなら本当にビジネスをやっているからです。本当の顧客を持っています。規模は限られますが、プロダクトから期待されるサービスの質がどのようなものなのかについて合理的な要求を持っています。
しかし問題は、収益が1,000万ドルもないとういうことです。ワールドクラスのマネジメントチームを惹きつけるためには厳しい時期です。大規模なマーケットがないため、幹部チームを雇うことはできません。あなたの下にいるのは、一緒に船を持ち、それが動くということを確実にしようとしてくれている初期の乗組員です。とても厳しい時期だと思います。
ほとんどの創業者にとって、スケールすること、そしてゼロから100万になることは不可能です。なぜならこれはプロダクトマーケットフィットを探すことで、80%以上の人々が最初のステップで失敗するためです。
<訳注:ゴキブリの画像のため割愛>
疑問は、その不可能なセクションをどうやって乗り越えるのか、そして成功者の一人となるのか。投資家や創業者として人々が言うには、失敗から学ぶことが大切だということです。
成功する確率は、過去の成功によって上がる
最近読んだもので、失敗と成功、そしてスタートアップとプロダクトマーケットフィットの探し方についての実際の分析の統計に関するよい研究があります。この調査では、2回目の成功率が1回目の成功率と大して変わらない事が明らかにされています。
プロダクトマーケットフィットを見つけることにすでに一度失敗していても、二回目の成功率はまだ20から22%ほどです。ですが、もしプロダクトマーケットフィットを見つけられたとしたら、2回目に成功するチャンスは22から34%に上がります。まだ悲惨な数字ですが、しかし少なくとも50%はよくなっています。
PMFができていない=情報が十分にエンコードされていない
それが意味するところは、実際にはプロダクトマーケットフィットを見つけられないという事には、十分に情報がエンコードされていないという事だと思います。それほど十分に学ぶことはしませんが、何がうまくいったのかを理解し、成功を感じることでかなりエンコードされます。
プロダクトマーケットフィットを見つけるために苦労していた2011年や2012年には、本当にそう感じました。この時点でなんども失敗していましたが、何を探しているかということはわかっているような気はしませんでした。
この神秘的なプロダクトマーケットフィットとはなんなんだろう?とてもストレスが溜まりました。そしてかすかな光を見続けていたのです。私たちは自分に言い聞かせ続けていたんです、こういうことや、ああいうことはどうだろうって。
自分たちのサイトでビジターがチャットしてくれる時は大げさに喜びましたし、販売の見通しがプロダクトマーケットフィットであると思い込んだりしました。ポジティブなプロダクトマーケットフィットの事例がどんなものかはわかっていなかったのですが、そういったことすべてから自分たちに言い聞かせていたのです。
今それについてどう考えているのか、本当に必死に考えています。機械学習モデルを想像してみてください。ネガティブなトレーニングセットの例は腐る程ありますが、ポジティブなトレーニングセットの例はありません。私の機械学習のアルゴリズムは、「知らないよ」となっていました。
失敗と成功の事例
今から3つのお話しをします。2つの失敗例を示し、実際には5つの話になりますね、失敗2例と、3つの成功例、私たちがプロダクトマーケットフィットを感じた時についての話しです。この講義の目的は、あなたたちにプロダクトマーケットフィットを感じる感覚について知ってもらうことです。そうすれば、あなたのプロダクトについて判断できるようになるからです。
最初の失敗:人が使わないものを作る
今日のSegmentは顧客データプラットフォームですが、私たちは教育ツールとしてスタートしました。 このような講義のために設計されたのです。2011年の夏、山の見えるアパートでコーディングをしている私たちです。そのアイデアは、教授としてクラスで教鞭を取っている時、生徒が本当に理解しているかどうかはわかりませんよね。
その時、私たちはMITとRhode Island School of Designの学生だったのです。当時やりたかったのは、生徒が「わからない」「わかった」という意思表示ができるボタンです。
教授がこのグラフを見ると、どれくらい学生が理解していないのかを知ることができます。今使ってみてもいいかもしれないですね。私たちはこれを構築したんです。
何十万行ものコードになっていました。コメントやノート、そしてクレイジーなものもありましたが、それを持ってStanfordのキャンパスに行って、実際にこの講義室だったかもしれませんが、何人かの教授を説得しました。授業が終わった後に走ったものです。
これはBerkeleyでの写真です。この授業のあと、教授に突撃しました。プロダクトマーケットフィットのテストをしていたのです。「授業中にフィードバックをもらえましたか?そうでないのなら解決策がありますよ」と教授を説得しようとしていたのです。私たちはこのツールを人々に使わせようと盛り上がっていましたが、実際のプロダクトマーケットフィットをほぼほぼ無視していたんです。
テストに協力してくれた教授もいましたが、何かしようとしているMITの学生に同情して手伝おうとしてくれてたのでしょう。私たちはプロダクトマーケットフィットしていると思っていたのですが、実際のところはそうではありませんでした。なぜかお見せしましょう。
授業中に教室の後ろに立って学生たちがパソコンで何をしているのかを観察してみると、だれもこのプロダクトを使ってはいなかったのです。みんな違うものを使っていました。
これは翌週のBerkeley、同じ授業です。それは恐ろしいものでした。ノートパソコンを開くやいなや、生徒は違うことをしていたのです。教室にノートパソコンを持ち込むということは、もっとも(授業から)気を散らすことだったのです。
想像してみてください、とても恐ろしいことです。私たちが経験してきたもので最も恥ずかしかったものの内に入るでしょう。
YCのDemo Dayで600,000ドルを調達したばかりでしたし、私たちは将来の教室がどのようになるのかというビジョンを売ったのです。デジタル化するでしょう。オンライン化するでしょう、そんな感じに。
ビジョンとしては素晴らしかったのですが、最終的には市場が常に勝ちます。あなたのビジョンが何であるかは問題ではないのです。マーケットが実際に望んでいることが重要なのです。
このケースの場合、生徒は気にしていませんでした。このツールを使うことの価値を生徒は感じることはありませんでした。さらにいうと、教授もこのツールを使いたいとはあまり思っていないかったのです。
その初期の警告はあったはずなんです。教授の元に行って説明する。ちょっと同情してテストに少しは付き合ってくれるかもしれませんが。しかし、それは「この問題を一体どうやって解決したんだ?」ってなる様なプロダクトマーケットフィットと同じではないのです。ばかげたものです。
あなたのプロダクトを無理やり顧客に使わせるようなことは、プロダクトマーケットフィットとは程遠いものです。たとえ彼らが何も言わずに同意したとしても。ユーザーの意見を無視して、それが顧客の問題を必ずしも解決するものではないのに将来の明確なビジョンを持っているということは私たちにとってとても大きな失敗であり、これは創業者がプロダクトマーケットフィットを見つけるためになんどもなんどもする事なんです。
それから、小切手にサインしてもらってから4週間後のことでしたが、すべての投資家に電話して、「ひどいアイデアだったので引き返す事にしました。何か他のことをするつもりです。返金しましょうか?」と言うという、めんどくさいことをやらなければなりませんでした。
ほとんどの場合、投資家は返金を求めませんでした。彼らはなにか他のアイデアを見つけるように、私たちのチームに投資したと言いました。私たちは皆さんを信じています。何か他のものを探しに行きましょう。大丈夫です、やりましょう。
私たちは4人の創業者チームとして、一緒に働くことに全力でコミットしました。
レクチャーツールはやめました。すべての教室でこのツールをシャットダウンしました。ホワイトボードの前に戻って、ここで面白いことはなんだろうと言いました。
2つ目の失敗:顧客からの無駄な興味に惑わされる
私たちの実際のデータから、プロダクトが使われていなかった事がわかっていたので、プロダクトマーケットフィットがなかったという判断がくだせたはずだと感じていました。実際、私たちがその事に気づいたのは今Samがいる様にクラスの後ろの方にいて学生たちのパソコンの画面を見ることが出来たからでしたが、データを使ってわかる事もできたんじゃないかと考えました。
解析データを見るべきでした。人が私たちのプロダクトを使っているかどうかだけではなく、コンピューターサイエンスのクラスよりも人類学のクラスとは違う風にそれを使っているかどうかということを理解できたはずです。そこで解析ツールを構築することを決めました。誰かがそれを検討している可能性を踏まえて一応言っておきますが、それは悪い考えです。
私たちがアプローチした方法ですが、Lean Startupを読んだ人はどれくらいいますか?おお、素晴らしいです。私たちのずっと先を行っていますね。Lean Startupには、「話しましょう」「ビルから出て行って実際の顧客と話しましょう」と書かれています。
この時期にこの本を読んで、外に出て顧客と話そうと思いました。実際にそうしたんです。私たちのアイデアの妥当性の確認をしようとしました。そのためにコーヒーを飲みながら人と話しをしたり、会社から人をひっぱってきて解析プロダクトに興味があるかどうかを調べようとしました。
なんども言っているように、漠然とした興味は持ってくれていました。会って、私たちの話を聞いてくれました。なにかうまくいったら、プロダクトをアップデートしてほしいと望んでいると言っていました。私たちはこれだ、と思いました。これがプロダクトマーケットフィットに違いない、人々が私たちがやっていることに興味を持っている、と。
もう一度言いますが、これはプロダクトマーケットフィットではありません。これは無駄な興味です。とても大きな違いがあります。
この、人からの無駄な興味で、私たちは非常に興奮してそのあと6ヶ月間はただただコードを書き続けました。これは新しいオフィスです。私の共同設立者、CalvinとIlyaです。ご覧のとおり、画面にたくさんのコードがありますね。
そうです、オペレーションの順番が間違っているのです。潜在顧客への営業行脚を1回やりましたが、彼らはMixpanelとGoogle Analyticsにとても満足していました。
しかし、彼らは私たちが解決できるかもしれないと彼らが望んでいるエッジなケースの機能で問題を抱えていたのです。なので、私は自分に信じ込ませたのです。この私たちが解決できそうな小さなエッジケースのギャップを私たちのプロダクトで埋めることができる、と。
戻ってきて、共同創業者にピッチしました。そしてあたかももうすぐ「そこ」にいるかのように信じ続けたのです。もう一つの機能を足せば、もう一つのことをやれば、プロダクトマーケットフィットにたどり着くことができると。
また悪いアイデアでした。
私たちは、このような少しポジティブなやりとりをたくさんしていました。これをポジティブなやりとりとして見ない人もいるかもしれませんが、その時であれば、迷子の人が私たちのウェブサイトを訪ねて、チャットを開くでしょう。これは無駄な興味です。
Segmentとはなんでしょう?これはそのウェブサイトのチャットの完全なコピーです。午前3時なので夜遅くまでコードを書いていたのだと思います。この人は興味があるから、おそらくこれはプロダクトマーケットフィットだろう。
繰り返しますが、これはそのようなものではありません。それはただの無駄な興味なんです。
YC に戻る
2012年12月。こんな感じに1年半が過ぎて、何かが間違っていると判断しました。明らかに、これはうまくいってなかったのです。私たちはYCに戻りました。Paul Grahamにメールして、「僕たちはキャッチアップしなきゃいけないし、この1年半で起こったことを説明しなきゃいけないと思っている」と伝えました。OK、素晴らしい。
これは、旧YCビルの前の私たちです。私たちはYC付近のPioneer Wayを歩きながら彼に現状報告しました。
私たちは50万ドルを費やしました。これは過去2年に渡って私たちが辿ってきた奇跡です。彼は止まって、私たちを見て「はっきりしよう。君たちは50万ドルを費やして、なにも見せる物がないということか」といいました。
完全に正論です。そして私たちはショックを受けて、何かをしなければと思いました。それが、私たちが落ちるところまで落ちたとわかった瞬間でした。しかし私たちにはまだ100,000ドル残っていたので、もう一発打ち上げることができたのです。これらはすべてプロダクトマーケットフィットの失敗例です。
成功の兆し
さて、ここからは幾つかの成功例を見ていきますが、
ちょっと巻き戻しましょう。YCの最初の週に戻ってみましょう。最初の週は、このクラスのレクチャーツールを持っていて、それについて解析をしなければいけませんでした。
なので、私たちはさまざまな解析ツールを見ていました。 KissMetrics、Google Analytics、Mixpanel、そして似ている物を見ていたのです。さまざまなグラフやさまざまなAPIがあるけど、これらのツールに流し込むデータは同じ物でした。
一方で、それらのツールはあなたにべつべつのものを与えてくれます。ここではどのツールを使うかについてビジネス上の決定を下したいわけではありません。私たちはエンジニアなので、エンジニアの問題を解決するのです。データを3つすべてに送信するコードを構築し、自動変換を実行して1つのデータポイントを入力すると、3つのAPIコールに変換されて、3つのサービスとして出てきます。いいですね。
これは私たちが書いた何十万というコードの内、わずか100行ぐらいのコードでした。それはちょっと置いておきましょう。
4ヶ月後には少し改善されました。さらに4ヶ月後にはまた少し改善されました。その時点では私は私たちの解析ツールをMixpanelやGoogle Analyticsと同種のものとして売ろうとしています。
しかし私たちは売り込みをしようとしながら営業先では反論に会っていました。「私はすでにMixpanelをインストールしていて、あなたのツールは本当にインストールしたくありません。やることが多すぎます」みたいな。
そこで共同経営者のIlyaがこんな素晴らしいアイデアを持ってきたんです。「みんな完全に忘れてるけど、去年私たちが作ったライブラリを使用したらどうだろう。私たちがデータの送り先となる4つ目のサービスになればいいじゃないか」と。
誰かが私たちの妨害をしてきたときは、オープンソースライブラリでやり返し、両方ともパラレルで使ってみてくださいと言いました。そこで私たちはそれを私たちのツールを使い始める顧客を獲得するためのグロースハッキングのように使いはじめました。OK、素晴らしい。
私たちはそうやりはじめたんです。それを送信して、人々が返してくる。最高です。私はライブラリーが大好きです。間違いなくそれを使うでしょう。
数週間後、フォローアップします。「Segment.ioにデータを送信していないことがわかりました。何が起こっているのでしょう」と聞くと「ライブラリは素晴らしいですが、あなたの解析サービスはもう使いたくはありません。」と返って来ました。
そこで気付くべきだったでしょうが、それから数ヶ月後、GitHubで私たちに星をつけ始めました。当時は星30個、私たちにとってはとても大きなことでした。当時なにかよくないリクエスト問題があったとは思うのですが、そこは飛ばして、人々は私たちに興味を持ち始めました。
プル(引き合い)を感じたのはこれがはじめてです。人々がこれを見つけてそれで何かをやり始めました。さらには、PGとこんな会話をしました。翌日、私たちは座っていて、私たちはよし、新しいアイデアが必要だ、と言いました。
バカバカしいアイデアでローンチする
私の共同設立者のIyanが「アイデアがある。GitHubで無駄になっていた解析ライブラリを覚えているか?それは大きなビジネスになるよ」と。冗談みたいでした。今まで聞いた中で一番悪いアイデアだったから。
第一に、それはオープンソースでした。第二に、コードはたったの580行でした。だれがそんなものにお金を支払うのでしょう?そんなビジネスを構築した人はあなたの周りにいますか?ナンセンスです。何度もなんども戦って、家に帰りました。
そして脳みそをフル回転させて、どうやったらこのアイデアを消し去ることができるのかについて考えました。ほんとうによくなかったんです。沈没船に乗っているみたいでした。もう弾は1発しかありません。
翌日、これが、私たちがやろうとしていることだと感じました。ランディングページを構築しました。すばらしいランディングページになりそうでした。ワクワクしてきました。Hacker Newsに掲載するつもりでした。プロダクトのピッチをしようとしていて、ページ下部にメール登録フォームを置いて、これがいいアイデアかどうかをテストしようとしていました。OKな感じでした。素晴らしいと。
これがPMFの感覚
完全にできました。Hacker Newsでローンチする準備ができたのです。他のアイデアについて考えはじめて、そしてトップに上り詰めていったのです。
Hacker Newsで300票以上を獲得しました。
GitHubで数千の星を獲得しました。Linkedin上でβ版にアクセスをしたがっている人がいます。
「ベータ版リストにバンプアップするためには何をしなければいけないでしょう?」と聞いてくる人さえいました。
うんざりするでしょう。
完全停止です。前の状態と比較してみてください。すべてが変わりました。これがプロダクトマーケットフィットがどういうものかということです。
顧客からの要望ですべてが手に負えなくなる
単独のメトリクスではなく、ゆっくり動き始めるわけでもなく、人々が曖昧な関心を表現するランダムな会話ではありません。すべてのメトリクスが完全に手に負えない感じになったんです。
レクチャーツールと解析ツールのときは、次に構築するのはどんな機能かということを探すときに闇の中にいるようでした。そんな問題はもうありません。サインアップした人は何千人もいて、7つのインテグレーションはいいけど、あと10個欲しいよね、みたいなことになりました。そして私たちはそれを次の日にどんどん展開していきます。
これが一つの鍵です。一つの鍵は、顧客に対してプッシュしつづけていた状態から、突然ひっくり返ったということです。顧客が勝手に走り出して、ちょっと、まって、まだ準備できていないんだけど、と言った状態です。
私たちの解析ツールにおける他の例として、悲しくて答えられなかった質問とチャットがありました。私たちが構築していたものに対して、誰も気にしていないような気がしていたのですが、いまや私たちは何千もの星を獲得していて、人々からプルリクエストがたくさんあったんです、最初の48時間とかそれくらいで。
ビジョンではなく、小さなツール
その他の重要な鍵は、私たちのレクチャーツールと解析ツールにあったと思います。私たちは大きなビジョンを持っていました。教室はこういうふうに運営されるべきだというビジョンを持っていました。これは企業が分析を行う方法です。私たちはこのビジョンにあったプロダクトを構築しようとしていましたが、それは完全に逆でした。
これは私たちが自分自身のために構築した本当に小さなライブラリでした、それが本当の問題を解決したのです。最初はなんのビジョンもなかったんですが。それは、私たちが達成したいなにかがあったからですが、最初は小さな小さな問題を解決したに過ぎなかったのです。
それが初期の質問です。ほんとうに些細なキッカケでした。だってそれはたった580行のコードのオープンソースライブラリだったのです。それが足がかりです。そこから私たちはあらゆることをして顧客が持っていた関連のある問題を解決していきました。
あなたの世界のビジョンがなにかなんて市場は気にはしません。市場が望んでいるもの、それがいつも勝つのです。
もしあることから離れて歩いているとしたら、信じられないでしょうが、基本的にはプロダクトマーケットフィットは曖昧で無駄な興味みたいな感じではありません。初期の会話から出てきたかすかな希望の光ではないのです。人々が手を伸ばすようなぽたぽたと流れる雫みたいな感じでもありません。
ビジネスがすべて、完全に手に負えないような感じになります。アドレナリンが急増します。顧客がそれを選び、あなたの手から奪っていくような。マーケットがあなたをひっぱっていくような感じがします。
Dropboxの創始者は、最高のプロダクトマーケットフィットはまるで地雷を踏んでいるような感じがすると言っていました。2つを間違えることはありません。もしあなたがプロダクトマーケットフィットを持っているのかなと疑問に思っているのであれば、それはプロダクトマーケットフィットではありません。
明確に、それは私たちがこの間違いを犯すことを止めることはありませんでした。
だから、確かに….あれ、裏向きになってる、いや、ちがうな。クラスメトリクスは、もちろん、プロダクトマーケットフィットしていると思ったんです。大きなビジョンはありました。しかし、市場はNOを突きつけた。市場はあなたが何を考えているかなんて気にはしません。
私は、Segment ioは本当にマーケットにフィットしたんだと思っています。再び、市場はNOといいました。市場は気にしません。市場が勝つのです。
たとえプロダクトマーケットフィットとなった3回目の試作でさえ、それは気にするには値しないくらい小さなものでした。しかし、それは実際の問題を解決したのです。
そして市場がそれを要求し、私たちの手からこぼれ落ちた。いずれにしよ、どれくらい私が鈍いのか、プロダクトマーケットフィットを見つけるのがどれくらい大変なのかを示しています。
Speaker4
オープンソースの何が不足しているから人々はくるのでしょうか?
Peter
いい質問ですね。オープンソースライブラリについて、あ、すみません。この質問はコード580行のオープンソースライブラリになぜ人々がお金を支払うのかということですね。いい質問です。
オープンソースライブラリそのものは問題を完全に解決できるわけではないのです。実際の問題はローンチしてから解決していったものだと気がつきました。マーケティングチームがエンジニア部にしょっちゅう来て、「特定のターゲットとの契約を結んだ。Eメールマーケティングツールだったり、W analyticsとの契約も結んだ。書類はここにあります。」と言ってきます。
エンジニアチームは「何を言っているんだ、私にはロードマップがあるし、すでにやることがあるからこんなことに取り組む時間はない」と言います。
実際に何が起こる必要があるのか、そして分析技術が解決できる問題は、ホスティングされたバージョンがエンジニアがそのデータを一度収集して、マーケティング担当者にボタンを押すだけで、私たちのインターフェースでは必要な場所でデータを送信できますが、オープンソースライブラリはその問題を解決できません。
エンジニアにはそれは正しい抽象化であると見ていました。しかし、もしマーケティング担当者が新しいツールを必要として、保存されているバージョンがない場合、エンジニアはそれを作る必要があります。
幸運なことに、オープンソースバージョンは問題の全てを解決しているわけではなかったのです。
Allan Kayのスライドを再度拝借いたしますが。プロダクトマーケットフィットを探している時というのは、ピンクの面にいながらしてこのブルーの面を探しているのだともいます。私は最初のプロダクトマーケットフィットを見つけたあと、他のプロダクトマーケットフィットを見つけたという例をお話しましょう。
Allan Kayが話していた最初のブレークスルーのときとは違う重要な点は、現実の世界から自分を移動させて未来をイメージしようとするよりも、現実世界に出て、今人々が抱えている問題がなんであるかということを探す必要があるということです。
そのプロダクトを一度見つけることができれば、ブルーの面を一度見つけることができれば、物事が一気に簡単になります。ブルーの面は全く新しい視点への足がかりであり、Allan Kayはこのコンテキストで視点の価値についても話していたと思うのですが、新しい世界についての考え方への足がかりとなり、だれかの問題を解決する新しい方法となりうるのです。
あなたは良いフィット感を得られるだけではなく、緑の牧草地で活動するようになります。ピンクの面にいる依存の人々が決して考えない世界の問題の解決に取り組むことができるのです。
二つ目のPMF
2つのプロダクトマーケットフィットの例をお話しましょう、私たちが最初の勝利を得た後の話です。Segment に関する短い紹介をすると、Segmentがやっていることは、モバイルアプリやウェブサイトからデータを取得するお手伝いです。私たちはそれをSegmentに上げ、みなさんが必要なそれぞれのツールに落とし込みます。それだけわかっていればよいです。
データを送信できる場所の1つがAmazon S3でした。これはすべてのログファイルを格納する場所です。私たちのビジネスのすべてのティアの顧客がこの一つのインテグレーションを使っていることに気がつきました。彼らはみんなS3にデータを送っていましたが、そのデータでさらに何かをしなければなりませんでした。
ログファイルを取得するだけではありません。ログファイルで何かをするんです。何が起きているのか知りたかったので、New Yorkの5社の大口顧客のもとを訪ねました。3年前のことです。
「あなたはS3のインテグレーションを使用していますが、なんのために使っているんですか?」と聞きました。
5人の顧客のうち5人が、データエンジニアリングチームがS3バケットからデータを取得してCSビューファイルに変換し、すべてのスキーマトランスレーションを管理し、そのデータをRedshiftのようなデータ保管庫に入れているといいました。初めてそれを顧客から聞いた時、OK、面白いと思いました。
私はメモをとって次のミーティングに行くと、顧客は全く同じことを言ったのです。奇妙だなと思いました。メモを取りました。
3つめのミーティング、ほんとうにバカみたいなことですが。前もって打ち合わせでもしていたんですか?何が起こっているんだ?5回目のミーティグを待たずして、私たちは何を構築すべきなのか明確にわかっていました。ここから直接Redshiftに接続するものを構築する必要がありました。
ここで質問です。
私たちがそれを構築してそれを公開したとしたら、ここに数百ドルの収入となりえる新しい会社がここにあるのです。私たちには実際の人々が使っている実際のプロダクトがあります。その視点からいうと、プロダクトマーケットフィットはどのように見えるのでしょうか?基本的には、第二のプロダクトを導入しようとします。
こんな感じに。私たちがいつRedshiftを導入したかわかりましたね。
もう一度、ほとんどすべてのビジネスのメトリクスは狂っています。だから顧客にとって、変革の余地があるかどうかというのは非常にはっきりとしています。
「これがあると良いと思う」と「このチームと話してくれ!」は違う
もう一つの話をしてから、質疑応答にしましょうか。
これは5ヶ月ほど前のことですが、プロダクトに関して、顧客にとっていいんじゃないかと思われる5つのアイデアがあったんです。そこで大西洋北西部にある大手の会社を訪問することにしました。データアーキテクトと一緒に座って、OK、ここに5つのアイデアがあるのですがご興味があるものはありますか?と聞きました。
最初のアイデアは…というと彼は…「わかりますよ。本当にバリューのありそうなものですね」と。2番目のアイデアを話すと…彼はとても気に入ったようでした。「こういうことができるととてもいいです。多くの意味があります」と。3つめのアイデア、4つめのアイデア、一緒でした。まとめてみますと、
「素晴らしいです。これには価値がありますね」は実は「どうでもいい」って意味なんですね。善人ぶっているんです。
5つめのアイデアで、私はこれが私たちができることですとかなんとかいうと、彼は
「ちょっと待って、何ができるの?」と聞いてきました。私は再度説明し、彼は「面白いね」と。そして、彼の隣の方に「次にこのチームとこのチームとこのチームを含めてフォローアップミーティングを設定してくれる?」と言いました。「Joeにも伝えないと。他のことにも影響するから」と。
これがプロダクトマーケットフィットの感覚です。それがまだ実現されていないアイデアで、突然顧客があなたからそれを引っ張り出そうとするんです。そして急に忙しくなる。顧客は(その機能が)存在しているかのように期待するからです。これがプロダクトマーケットフィットの感覚です。
<訳注:ゴキブリの画像のため割愛>
もしプロダクトマーケットフィットを見つけてなんらかのカテゴリーでリーディングカンパニーになりたいなら、その分野で成功する創業者5人のうちの1人になりましょう。自分に正直になる必要があります。自分が望んでいることが必ずしも顧客があなたに望んでいることとは限りません。自分自身に正直になりましょう。それがメッセージです。
Q&A
質問ですか?はい、Sam?
悪いアイデアをつぶさないのが大きな問題
Sam
同意します。私のプロダクトマーケットフィットの時と同じ感じです。しかし、それを見つけようとした時、どんなアイデアを試したり、ぐるぐる考えたり、追い求めようとしましたか?
Peter
大きな問題は、必ずしもアイデアを持っていないこととは限りません。みんなそれぞれ面白いアイデアを持っていると思います。
大きな問題は悪いアイデアをさっさと潰していない事だと思います。その面ではCodecademyの創業者をとても尊敬しているのですが、彼らはYCの夏の7週間で12個ものアイデアを試していたと思います。バカみたいですが、試しては諦めて、とても早いサイクルで。そしてデモデイの4日前に新しいアイデアを始めました。それがCodecademyで、うまくいっているやつです。
ローンチの日、デモデイには300,000人やそこらのユーザーがいました。地雷効果です。ここにはなにもない、ここは違う、これは外れ、でアイデアを潰していったんです。どうにもならないものを捨てることに躊躇はありませんでした。正しいアイデアを見つけるための魔法の方法はないと思います。悪いアイデアをさっさと潰せるなら、なにか見つかるかもしれませんが。
価格設定
Speaker8
価格設定について教えてください。500行くらいのコードで、特定の問題を解決する。しかし、それは小さな問題だけですよね。それをどう言ったらいいのかわからないのですが。顧客がそういうことに気づいた時(500行のコードであると気づいた時)価格設定についてはどうするんですか?
Peter
質問は小さな問題しか解決しないようなたった500行のコードにどうやって価格設定をするのかということですね。私たちもそれは小さな問題しか解決しないと思っていましたが、長年にわたって高評価を受けていました。
500行のコードが解決できる問題は、実は価値があったのです。その問題を解決するために年に100,000ドル支払う顧客はたくさんいます。今は500行よりも長いですし、それ以上のことができますが…会社が抱える問題の規模は書かれたコードの長さとはほとんど関係ありません。その時点で物事を再評価するには少し時間がかかりました。
あなたの質問に直接的に答えると、初年度は顧客を獲得することに奔走しました。多くの企業に採用してもらおうとしたのです。Segmentを通して1,000や2,000の会社にデータを送ってもらって、価格設定を試してみました。
ここで重要なことは、販売アドバイザーがいたことです。 私たちのプロダクトを使用してくれているかなりの規模の会社がありました。LiveNationやArdioのような。
その会社の販売ミーティングに赴いて、販売アドバイザーが私たちを後押ししてくれたのです。「Peter、年間120,000ドルに設定してみようか」と。狂っていると思いました。何について話しているのですか?と。そうすると彼は「Peter, 年間120,000ドルにしないんだったら、販売アドバイザーを辞めるよ」と言いました。じゃあ、そうだね。やってみよう。私は顔を真っ赤にして120,000ドルで頼んでみました。顧客は18,000ドルぐらいまで下げてきましたが。
でも、それを続けていくと、最終的に「妥当な価格だな」と言ってくれる顧客が見つかるんです。価格についてはそのように試していく必要があります。お金を要求するようになるまで、あなたはどれくらいの価値を提供しているのかわからないでしょう。もしそれをもう一度やり直すのなら、もっと早い段階から価格付けをしていると思います。そしてもっと人々が実際のビジネスの課題を解決していくことに心地よくなっていると思います。人々は喜んでそれに支払うようになります。あなたの望んだ答えになっていたかどうかはわかりませんが。
顧客インタビューのやり方
Speaker9
どのような人にプロダクトについて質問すればよいのでしょうか?自分が気づいていないことについて聞く時や、小さくシフトをしたい時に…
Peter
質問は、適切な人に質問ができているかどうかどうやったらわかるのか。そしてプロダクトをシフトさせるかどうかをどうやって考えるべきかということですね。
これは最初のプロダクトマーケットフィットを見つけることがとても難しい理由です。そして一度プロダクトマーケットフィットを見つければ次のものを見つけることが簡単になる理由でもあります。一度プロダクトを売る顧客を設定できれば、近しい問題を解決できるかどうかについて同じ顧客の元に行けばいいだけですから。それは本当に難しいです。
最初にすごく難しいのは、2つの選択肢があることです。1つはプロダクトをスライドさせるか、もう一つは違う人々に会いに行って市場をスライドさせるか。
どちらをスライドさせるべきか、魔法の解決方法があるかは知りませんが、創業者自身もどちらをいつスライドさせているのか、自分に正直じゃないとも思います。大事なことは、大丈夫だと認識させることです。
私がシフトするなら、オーディエンスかプロダクトをシフトさせます。そうでなければ、同時にプロダクトとオーディエンスをシフトすることでうまくいくこともあるでしょうが、やがてうまくいっていないと気づくかもしれない。どちらに進むか、それについては自分自身に正直になる以外スラムダンクを決める方法はないと思います。他に何かご質問は?最後ですよ。
PMFに至るまでのモチベーションの保ち方
Speaker10
プロダクトマーケットフィットを見つける前にそれを見つけようとしていたと言いましたね。プロダクトを諦めてしまう瞬間も多々あったと思うのですが、どうやってチームとしてやっていこうと鼓舞し続けることができたのでしょうか。他の人たちにはどうやって話をしていたのでしょうか
Peter
プロダクトを潰して最初のプロダクトマーケットフィットを見つけることと、Codecademyのように全く違うことで完全に新しいユーザーのもとに即座にシフトするのとでは大きな違いがあると思っています。
ユーザーをスイッチするといえば、S&Bからプログラマーからレストランまであっちこっち飛び回っていました。その後、そういう業界の周りで会社を立ち上げたとして、プロダクトマネジャーがいて、それぞれのプロダクトマネジャーが大きなブレークスルーを探し始める。それは少し簡単になりますが、ここからユーザーを変えることは難しくなります。
ユーザーは固定されているので、プロダクトマネジャーが、顧客とどのように話すのかを理解して、顧客はどのような問題を持っているのかを明らかにし、それを解決するところを手伝うという、少しシンプルな問題になります。
大体はそのループの練習です。そして大きな顧客、最高の顧客、または最悪な顧客と話した時に、その人たちの幸せのコアから解決していける問題のバウンダリーを広げようとします。
顧客インタビューのスクリプト
Speaker11
顧客と話す時には何を聞くのですか?スクリプトはありますか?
Peter
質問は、顧客と話す時、彼らの問題が何かを理解する時に、どういうふうに話せばいいかということですね。
一番犯しやすい間違いは、ピッチの時にすでにあるアイデアについて話そうとしてしまうことです。それは別の時にしましょう。プロダクトマーケットフィットがあって、いくつか試してみたいことがあるとき。私たちを含め多くの創業者たちはピッチのときに初期には同じような間違いをしていると思います。
売り込むのではなく彼らの問題は何かということを理解しようとするのです。顧客と話をする時は、彼らのビジネスの問題はなんなのか、そして関係する企業は?Facebookはどれくらい使ってる?と聞いていきます。私たちはFacebookに多くを費やしています。
それでは、どうやってそれが効果的だと判断しているの?彼らは、よくわからないと答えます。問題ないです、それでは、あなたが抱えている問題は?彼らは、これが大きな問題だと答えます。OK、ではなぜそれを解決することができないのでしょうか?解決できない理由はうんたらかんたら。
あなたは問題を掘り起こすだけでいいです。これで販売のための準備がなされています。うまいことやるね、それが欲しかったんだ。神様みたいだ。もしまだプロダクトがない場合は、どういう問題を解決できるのかということを考えてください。
アイデアをピッチするよりも、より深く聞き下げることが大切だと思います。
最初の顧客の見つけ方
Speaker12
顧客はどうやってみつけるのでしょうか?この会社はうちの顧客、これはちがうとどうやって判断するのでしょうか?
Peter
質問はどうやって顧客をみつけるのかということですね。最初はただメールしたり、知ってる人みんなから紹介されたり、そこから自分に興味を持ってくれる人を探して、ソーシャルネットワークや紹介を通じて自分のやり方を知ってもらいます。
一つの領域に顧客が集まれば、簡単です。人々はいつもあなたのところに来てくれますし、駆け寄ってきますし、話ができる人々の流れができます。しかし最初は、創業者が十分な意欲を持って話すことが大事です。なぜならまだ誰も助けてはくれませんから。LinkedIn、投資家、友達、一緒に頑張ってくれる人、そういうところから探していきましょう。
Speaker13
それらの顧客に狙いを定めて撃って、コールドメール(DM)を送って、何パーセントの人々が実際に戻ってくるのでしょうか?
Peter
質問はコールドメールの顧客はどれくらい返事するかということですね。覚えてないんですが。少し前だと…とても低いですね、1桁のパーセンテージとか。返事のこないメールをたくさん送ることになるでしょう。
正直言って、それはセールスの本質です。B2B環境でセールスをしているのなら、返信のないメールをたくさん送るでしょう。営業はそういうものです。10回のうち9回はドアを開けたら殴られるかもしれないんです。
Segment の5年後
Speaker14
5年後はどうなっていると思いますか?
Peter
図に戻りましょう。今私たちがやっているのは基本的なストリームプロセスです。広範囲のデータを収集する能力と、さまざまな場所にそれを拡散する能力を持っています。私たちがやりたいことは、プラットフォームを提供することです。それらの上にツールが構築できるような。これは超ショートバージョンですが。
すべてのチームのニーズが顧客データにアクセスできるなんてことを想像してみてください。これらの構築されたツールのプラットフォームになりたいんです。メールマーケティング、プッシュ通知、アナリティクス、ヘルプデスク、CRMや支払いシステム、詐欺検出などなど。これらすべては顧客データに基づいてオペレーションすることができます。
私たちがインテグレーションコネクションレイヤー(総合接続層)にいるという性質上、その顧客データはすでにSegment上にあります。そのデータをパートナーに公開してその上層に構築したいと思っています。最初にプラットフォームを構築することについて話し合った時、これが次のステップであると思っていました。
Speaker15
Peter、時間です。どうもありがとうございました。
記事情報
この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
動画: How to Find Product Market Fit (2017)
トランスクリプト: How to Find Product Market Fit - Peter Reinhardt