未来を発明する方法 1 (Startup School 2017 #11, Alan Kay)

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Sam
この一週間Alan Kay をお招きしています。Alanさんは2つの講義を行っていただく予定です。Alan Kay は私たちよりも未来を発明することについて忘れてしまっていたり…?

Alan K
それは最悪の講義になってしまいますね。けど…

Sam
Alanは、創意に富む本物の世界的専門家であると思っています。私たちがすばらしいコンピューターサイエンティストのグループと共に最近復活したXerox Altoは彼が開発しました。Alanさんは私がこれまであった中でも最も思慮深い方です。特に、組織を作りイノベーションを起こすことに関して。来てくれて本当にありがとうございます。講義をとても楽しみにしていました。よろしくお願いします。

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Alan K
ありがとうございます。思慮深いのは、マスターを見なければならないからです。私は基本的に研究者ですが、私よりもはるかに優れる管理者が行うプロセスに興味がありました。多数のアイデアに対処できるような人のことです。今日はその要点についてもお話ししましょう。

基本的には、あなたがここにいるのは、自分たちがスタートアップをしてお金を稼ぐことを望んでいるからでしょう。お金を稼ごうとするならば、スタートアップであるということを気にしないで、業界を創り出すべきだと指摘したいです。

なぜなら、利益が数十億ではなく、数兆になるからです。イノベーションを超えて発明をする、その間にある1,000の要素について考えてみてください。言い換えれば、現在からの漸進的な成長をしないということです。新しいアイデアを作り上げ、まったく新しいコンテキストを作り出します。

そのためのいくつかの方法を見て、関連する障壁を見てみましょう。ひどいインターフェースだ。前と後ろのボタンが近くにあるなんて…動くかな?

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この2日間は、ほとんどの人が自然に生きる場所、つまり「現在」についてお話ししましょう。しかし、「現在」がはらむ問題は、あまりにも輝かしく重要なものから目をそらしているのです。あまりにも多くのことが起こっています。「現在」以外のことについて考えるのは難しいですし、「現在」について考えているなら、あなたのアイデアはそれゆえ「現在」によって生成されたものでしょう。そのため、それは変化が徐々に起こり、結果的にイノベーションを起こすことになる。これではお金を生み出すことはできません。

しかし、今日私がすることは...いつもの反対の順番でお話をします。いつもは最初にコンテキストについてお話しするのですが、ハーバードビジネススクールやスタンフォードのビジネススクールの精神で、結果やプロセスや方法などから始めます。ですので私の話すことが俗に言う「適用」できるものであると思っていただければと思います。

ですが、本当に重要なお話は木曜日(次の日)です。適切な量にするのには骨を折りますが。今日はそれをやるつもりです。

私のメールアドレスはメモしておいてくださいね。メールは大好きです。議論をする時間はあまりないので、こちらにて質問を受けます。それと講義中はいつでも質問を受け付けます。恥ずかしがらずにお願いしますね。大丈夫ですか?

私が学校が嫌いな理由はこれです。

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私たちの分野の偉人、Marvin Minskyは、「学校は十分な思考の時間を阻害するのに最高な場所だ」と言いました。教室でトライすることや学びを得ることを望まないほうがいい。酷いですね。実際、私は教室のシステムは好きではありません。時間の制約、しかも口頭であるからです。10万年前のキャンプファイヤーの周りに座っているほうがましかもしれません。そして、過去の何千年もの間に起きた重要なことのほとんどは、基本的に文学的に知られています。大丈夫ですか?

私の好きなピカソの言葉のひとつです。

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ピカソはこれに多くの意味を含んでいました。「その一部は、どんな種類の表現でもできる限り最高のものであり、地図のようなものです。地図の地図を作ろうとしたとしても、表現しようとしていることに比べて嘘であったとしても、正しいことをやれば、その地図が何を示しているのかは直感的にわかるでしょう。」

これは科学の全てです。この50分の講義も嘘に違いありません。本当です。私は重要なことをたくさん省いていますけれども、話しによって投影される影などは、このまったく異なるプロセスを実行するための方法にかなり近いと思います。

そして、ピカソは明言しませんでしたが、彼が知っていたこと、言わんとしていたこと、それは「アートは嘘であると同時に真実を伝え、その真実はハッとさせるものだ」ということです。もし次の2日間であなたを目覚めさせることができたなら、私はよい仕事をしたと言えますね。

また別の引用についてです。それは「プロのように規則を学べば、アーティストのように破ることができる」というものです。

これをやらないのはおそらく80年代からシリコンバレーの最大の罪と言えます。ほとんど誰もプロになろうとはしませんでした。特にソフトウェアやユーザーインターフェースデザインなどにおいてです。規則を破ったとき、彼らは窓から岩を投げる愚かな子供のようでした。おそらくこの分野に対して最もうんざりした瞬間です。

マントラのもう一つの考え方は、すべてを学び、それを忘れ、自分の考えを持つことができるようにしなければならない、ということ。しかし「香り」は忘れてはいけない。アイデアがあれば正しい「香り」に気づき、学んだすべてのものを利用することができます。

今回はXerox PARCについてお話をするよう頼まれました。

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これは数十億ドルではなく数兆ドルを作るという一つの例だからです。そこで私が思ったのは「ここではXerox PARCのいくつか成功例を見ていこう」ということでした。そしてその成功には何が必要だったのかをお話しします。

Xerox PARCはこの機械で有名でした。Samにもひとつあげましたね。彼は優秀な人たちの助けを借りて作業していました。この機械は1973年に誕生しました。これはMacの11年前のことで、スクリーンはMacの2倍以上でした。それは1988年か1989年のMacみたいな感じでしょうか。これは商業的発展よりもおそらく15〜16年ほど前のことです。この商業的発展は実際にこの機械で行われたことに基づくものでした。

ですから、これは未来を予測する最良の方法の例ですね。つまり発明することです。以前はこのようなものはなかった。いったん開発してしまえば、世間はこう思います「ああ、こういったものができるかもしれない、なぜならここにあるから。」実際にこれを2000台作りました。

これには見るべきところがたくさんあります。ビットマップの画面とポインティングデバイスがあります。GUIという有名なものですね。今で使われています。WYSWYG の意味は、「見えるものはゲットできるもの」です。デスクトップパブリッシングとメディアのお仕事も。文字が読めない...わからないな…誰か読んでくれませんか?

そうでした。対称的な読書と執筆は、ウェブ上ではほとんどのものが手に入れることが不可能でした。しかし、1980年代のアプリを使って手に入れることはできたのです。書類を閲覧するアプリなどのことです。そのアプリで編集もできますね。つまり、ウェブは実際には執筆のために作られたものというよりも消費のために作られたものです。それらは完全に分離されています。ほとんどの執筆の設備は、小さな小さなウィンドウに入力して、ボタンを押し、編集を行います。これは大きな退化です。

最近はリアルループと呼ばれるものを、あの頃はオブジェクト指向プログラミングと呼んでいました。私がその言葉を作ったのです。しかし、今日のオブジェクト指向プログラミングと呼ばれるものは、当時のものではなく、大きな違いについて話す時間はないと思います。

私たちがPARCで行なったことが人気を博し、誰もがラベルだけでも欲しがった、とでも言っておけば十分でしょう。比較すると、ハーバードというラベルのデザイナージーンズを買うことでしょうか。ひょっとするとスタンフォードかも。

レーザープリンタ。今日との主な違いは、最初のものは毎秒1ページだったということです。ほとんどの人は、毎秒1ページプリンタで印刷したことはありません。ポストスクリプト、アウトラインフォントなど。イーサネット、ピアツーピアおよびクライアントサーバー、50%のインターネット。

インターネットが始まる前にPARCはインターネットを行なっていました。私たちはそのコミュニティの一員であるため、公式のインターネットに参加しました。8つと半分の発明を見てみましたが、これらにどのくらいの人とお金がかかったかわかりますか?

25名の研究者と5年です。

考えてみてください。24人が約5年間でこれらの開発をすべて行いました。今日のお金で1年に約1000~1200万ドルの費用、リターンは約35兆です。これは古いデータですね。おそらく今は40兆ドルに近いです。だから、かなり良い投資利益です。

考えてみてください。スプレッドシートなどが趣味な人にはわかると思いますが。15%で良好です。ですよね、Sam?ですね。インクリメントというよりも一つの業界でした。

こんな意見があります。「でもXeroxはこれで利益を得られなかった。これでお金を稼いだことはない。」完全なデタラメです。これは、研究に投資したくない企業が考えることです。

Xeroxは、PARCへの投資全体に対して約250倍の成果を上げました。25,000%のリターンがあります。しかしXeroxは他の開発をあまり理解していませんでしたが、レーザープリンタに関しては確かに理解していました。そして数十億の利益を得ました。実際に、こう考えると、世界が私たちを妨害したのはよかったかもしれません。なぜなら業界全体を扱える企業はありませんでしたから。これにより、これが可能になりました。日本企業はそれとは多少異なるプリンタを模索する必要がありました。

そして、この天国は約12年間続きました。

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Xeroxはついにそれを起こした男を解雇しました。みなさんは彼が報酬を与えられたと思っていたでしょうね。彼はこのすべてのことを引き起こしたから。

しかし、実際には、彼らはその男を嫌っていました。なぜならば中間管理職と上級管理職に非常に不快感を与えていたからです。ほとんどの企業が何か違うことをしている人を嫌うのです。彼らが望んだことは、数兆の利益を生むことではなかったのです。それよりも快適な方法で数百万を生み出すことです。そして、これは20世紀と21世紀の上級管理職の本当の仕事が物事を学ぶことであるという大きな問題につながります。

変化は常に起こっていることです。管理職とはそのときあるものを最大限に生かす仕事です。その企業が何で成功しているかは関係ありません。考えてみてください。大企業が実際に合理的であれば、決して小さな会社は存在しません。大企業にはベンチャーキャピタリストよりも新しいことをするための膨大なリソースがあるため、スタートアップはありません。ですよね、Sam?大企業には大金がある。しかし、大企業は新しい事業に参入することを拒否し、古い事業を変えません。ですから皆さんにもチャンスがあります。だから、彼らの目が覚めないように祈ってください。

さて興味深いのは、この発明の数々を見ると、今日にある一つ一つの発明がすべて見られるということです。さらに興味深いことに、この資金調達が止まって以来、興味深いことは何も起こらなかったのです。だから核の冬が起こり、人々はこれらの開発を利用し、富を得たのです。しかし、それを越える興味深いものはほとんどありませんでした。

ここでの最後のポイントは好奇心の欠如です。Samは…Samに出会ったのは、彼がこのようなものは一体どこからやってくるのか疑問に思っていたからです。そのような質問はほとんどされたことはなかったのです。これはコンピューティングの歴史において最も成功した富の世代であり、知りたいと思う人はいません。しかし、Samは違うようです。

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今日と木曜日の講義で難しいことは、みなさんが育った世界です。なぜなら...35歳以上の人はいますか?ありがとう。もうちょっといるかと思っていたのですが。この教室にいるほとんどの人は私がこれから話す世界とは似ても似つかないような世界で生きてきたわけですね。そして...実に多くのことが質的に異なっていて、説明するのが難しい場合もあります。

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これは読むべき本ですね。講義がつまらなくなる理由です。ARPAとXerox PARCについて非常に丁寧に記された500ページの本です。興味がある人は、ぜひ読んでください。これおそらく14-15年前に私がこの研究コミュニティについて書いたものです。授業の終わりにお渡しします。もっとも興味深いのはおそらく、参考文献です。たくさんの文献が載っているので当コミュニティがどのように動いていたのか詳しく知ることができるでしょう。

Xerox PARCの重要なポイントはARPAの一つのリサーチプロジェクトに過ぎないということです。だから、PARCが生まれる前に8年の研究があり、PARCの誕生の理由はベトナム戦争でした。企業でやろうというものはいませんでした。企業は四半期ごとにサイクルを繰り返し、長期に渡るものとは正反対のものでした。ですから、公有財産である冷戦の資金によって賄われたのです。

IPのどれもが機密にされていませんでした。しかし、その調子はよく、35兆を得ることができました。実際に必要だった時間は5年ではなく、12〜14年だったのです。

私たちは幸運な研究者でした。なぜならこのプロセスで博士号を取得し、PARCで研究を達成する時代とうまく合致したからです。これについて長々と話すつもりはありません。しかし当時の時代精神に戻って考えてみましょう。特にレーダーの研究とMITです。そして防空、次にARPA、そしてPARC。だからここには長い連続性があります。

あなたの取り組むものが…実行可能であると。しかし実行可能な段階に到達するためには、何世代にも渡ってテクノロジーを開発しなければなりません。大半のことはそこらへんにあるテクノロジーでは実行可能ではないのです。これは大きな問題です。

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一般的な世界(the general world)、通常の世界(the normal world)、現在(the present)、このほとんどではパンチカード会計機とその代替の時代でした。かの有名なIBMが「全世界には5~6台以上のコンピューターにもはや余地はない。」と発言した後のことです。彼らは初めての大量生産のコンピューターである1401を生産しました。私が初めてプログラムしたコンピューターです。

他のコンピューター会社がそうする以前に自分たちのパンチカードシステムを取り替える為に、まるでトランプ大統領のような信念の逆転をしました。そうする事で60年代と70年代の多くを支配することが出来ました。

そして、一番重要なのが…あなたたちはこれらがどのような機械だったか知らないので無意味な言葉になりますが。読み直して気付いたんですけど、「なんでこんな文を含んだんだろう」って思いました。ですが、私が思うには、いかなる時でも、それが今日であろうと、30、40年前であろうと、定義としてその時に起こっている事は全くダメなんです。1%の10分の1、もしくは1%の1000分の1の場合を除いて私たちが知っているものは既にありふれた物となっています。

そしてその理由の一部が人の正常性の釣鐘形カーブによるものです。それがなんであろうと、それがどれほどワクワクするようなものでも、普通なものに変換されます。そして、何かが大成功するとそれについてくるのが…釣鐘形カーブの平均値を全体的に少し引き上げる傾向があります。しかし、実はこれらの平均値ほぼ全てにおいて回帰もあり、なので今を生きていては、それはもう完全にアウトですね。今あるものを土台に物事を考えているのなら。

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さて…2種類のプロセスがありました。MITで行われた爆弾プロジェクトとレーダー・プロジェクトはほぼ同じプロセスで難しさも同じぐらいでした。アメリカが第2時世界大戦に参戦していた期間はわずか2年半ぐらいだったということを頭に入れてください。いいですか?パール・ハーバーが1941年12月で、なので42、43、44、3年半ですね。多くの物事が成し遂げられました。

興味深いのが、歴史上初めて多くの優秀な科学者と優れたエンジニア達が一緒に働くようになったのです。お互いを真似ていました。なのであのBuilding 20から7つものノーベル賞が出てきました。それは物理学者達がエンジニアの帽子を被り、185種類ものレーダー・システムを作り、ありとあらゆる建物、飛行機、そして船に搭載したからであって、そして第2次世界大戦は基本的には供給の戦いでした。ドイツの潜水艦を凌ぐ能力が真の勝因でした。納得しない方の方が大半ですが、実際にはそうでした。

私が言っている時代精神はこのグループから出てきたもので、彼らがどのように物事を進めていたかについて良い書籍がいくつかあります。一番大切だったかも知れないのがこの右側にあるものです。

エゴを忘れろと書いてあり、彼らは本当にそう思っていました。誰であろうと、どれだけ頭が良かろうと、どれだけ自分が賢いと思っていても、唯一意味を持つのは進歩する事です。そして私たちはシナジーを通して進歩します。彼らはそのあり方を学び、世代から世代へと受け渡しています。

第2次世界大戦後、2ラウンド目は冷戦と1950年代の防空システムでした。またMITですが、初めてインタラクトできるモニターです。男性の手にあるのは要するにスタイラスですが、ライトガンと呼ばれていました。画面の何かに向けて持ち、トリガーを引けばスタイラスを持って何かを押した時の様にコンピューターが、ライトガンが何を指しているのかがわかり、私たちが今や慣れている事が全てできました。彼らが成し遂げたことを伝えようとしますと、これがなんだか見てもわかりませんよね。

そうですね、もちろん4階建ての建物ですが、これがサッカー・フィールドで、2階に注目しますとコンピューターAとコンピューターBと書かれいて、そのコンピューターには真空管がそれぞれ5万本もついていました。

どちらも同時に同じプログラムを実行していて、今話す時間はありませんがそのほかにもたくさん面白いことをしていて、そのコンピューターの片方がクラッシュし始めたらクラッシュするのに3、4日かかりました。その理由が自ら診断を実行していて何か命令が失敗するたびにまだ機能している命令に基づいてシミュレートされた命令をパッチしていたからです。

そうなると機械はどんどん遅くなっていき、ソフトウェアのようになり、チューリングマシンの様になります。完全にクラッシュしきるまでに大抵の場合は直すことができ、それと同時にもう片方は動き続けます。さて、話から逸れるべきではありませんが、面白いのがこのコンクリート製のバンカーが32も作られたことです。さて、これらはそれ以来どうなったのでしょうか。誰か、知ってる人はいますか。今まで見たことのあるものに似ていますか。

Speaker3
宇宙プログラム?

Alan K
いや、ですが…

Speaker3
すみません、航空レーダー。

Alan K
はい!はい。これは実は航空管理システムの発明でした。そのために設計されたものでした。ただ、アメリカとロシア両方の爆撃機の航空管理をするよう設計されていました。そして、フラットスクリーン・ディスプレイに取り替える前に使っていたのがこの大きい、丸い物です。このシステムは1982年に最後の一台が引退するまで使われ続け、5万本もの真空管は白熱電球のように壊れやすいものでした。いつも壊れてばっかりでした。なので必要以上に数があるわけです。真空管はどこから入手していたのでしょうか。考えて見てください。考え抜いてください。はい?そうではなくって。いいえ、これは真空、これらの機械にはトランジスタはついていません。トランジスタはありません。その通りです。なぜ分かったのですか?

Speaker5
以前に聞いたことがあります。

Alan K
覚えていたのは素晴らしいです。良いですね。この防衛システムの最後の12、18年は、実際にこのシステムがロシア相手に使われたことは一度もありませんが、ロシアがこちら側を爆撃しようとしたことはありませんし、大陸間弾道ミサイルの登場で、それを追跡できなかったのでかなり早い段階で時代遅れになりました。そのためにはまた別のシステムがありました。ですがそれでも使用し続けました。

それには理由があります。冷戦で睨み合ってるのに私たちはロシアから真空管を購入していたんです。ちなみに今でも人々は50年代のギター・アンプの音を求めてロシアから真空管を購入し続けています。あのオーバードライブの効いた音を。

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そしてこの男、人工知能の発明者のひとりでプログラミング言語Lispの発明家でもあるJohn McCarthyは50年代にこれを一つ見て「いつの日か、誰もが家庭に一つは持つようになるだろう」と言いました。彼はコンクリートのバンカーだの、その様なことには完全に無関心でした。なぜなら彼は「そうだな、これは発電所のようなものだ」と考えていたからです。

誰も目にすることはありませんが、実在し、家庭にワイヤーで繋がっていて、水やガスが家庭内で使えるのと同じです。彼はユーティリティについて「いつの日か情報のユーティリティがあるようになって、電話のように家庭内にそれを所有し、世界中の情報に繋がることが人権になるだろう」と考えていました。それが最も初期で影響力のあったアイデアの一つでした。

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1962年のことです。このようなスーパーコンピューターを使用していたシステムをお見せします。このSAGEシステムの全てがLincoln Labsのテストコンピューターを利用しました。このコンピューターはこの建物全体とほぼ同じ大きさでした。

午前3時に男性が一人います。

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彼がIvan Sutherlandです。

ディスプレイも特にありません。実際にはここでコンピューターの画面をシミュレートしているのですが、これは単なるオシロスコープです。Ivanがしようとしている事はフランジを描画して「よし、こんな感じで、これらの線を互いに垂直にしたい」ということでした。

そして、Sketch Padがその問題を解決しました。ダイナミックな問題解決能力があります。最初のウィンドウの一部ですが、次はこのフランジに穴を開けようとします。これがガイドラインで、彼が最初にするのが「よし、これをパラレル線にしたい」です。見えるとおり、Sketch Padは線上に残しつつ並列にしました。次に彼はそれをガイドラインとして破線を描いています。ここでミスしますが…どうにかなりました。

さて。今度はガイドラインを残しつつ見えなくします。ここでは直線性が制約となっていました。そして連続的にズームできる様にノブもついています。これが歴史上初めてのコンピューター・グラフィックスです。そこにフランジと一緒にリベットも入れたいのでまたこうして。

このシステムがSketch Padと呼ばれた理由がこれです、気楽に描くだけですから。ここではアーチの中央に使います。ここでもまた「これらを互いに垂直にする」という問題をSketch Padが解決して、結果として対称的なものができました。そして…多少の変更をもたらすことで別の解決策を得ることができ、辺長に制限をかけ比率させることもできました。このシステムが解決できる様な問題に非線形問題も含まれていました。

リベットができました。例えばこのリベット、これの何が素晴らしいかというと、マスターリベットだと言うことで、クラスベースのオブジェクト指向のプログラミングと呼ばれるものです。なのでこれはあのリベットそのものではありませんがマスターリベットのインスタンスです。

「画面はなぜ点滅しているのか」と思いになるかもしれませんが、個々のドットが個別に照されており、このスーパーコンピューターの力の約半分がそのためだけに使われています。これもまたそのリベットのインスタンスで、ここにも一つ、ここにもひとつ。「おっと、このクロスバーはいらなかったな」と思ったら、マスターリベットに戻ってクロスバーを見えなくして、残したまま透明にします。そしてインスタンスを見ます。

これがオブジェクト指向のプログラミングです。どういう事か見て分かったでしょう。これを消して。今度は作り上げたものをマスターにしてインスタンスを作れる様にします。いいですか?理解できましたか?

Speaker6
すみません、質問があります。

Alan K
はい?

Speaker6
どこをどう間違ってここから退歩してきたのでしょうか?

Alan K
この講義に参加している方でSketch Padを見たことのある人はいますか?それが答えの半分ですね。その点についてはまた後で触れます。取り上げる価値のある問題ですので。

今、3つを回転させています。これは私が66年に大学院へ行った時に見た中で最も衝撃的だったものです。このシステムは当時始まってから3年しか経っていませんでした。私自身のプログラミング歴は5年で、従来のプログラミングしかしていなく、これを見て非常に感動しました。私が今まで考えてきたコンピューティングとは全く異なったものでしたから。

見た途端に気付きました、「そうか、もちろんできるに決まってるじゃないか」と。ですが私は思いつきませんでした。Ivanがそうしたんです。

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Sketch Padは私たちが今日知っているインタラクティブ・グラフィックス、オブジェクト、マスター、そしてインスタンスを初めて使ったもので、今日使う様なプログラミングとは違って問題解決のプログラミングでして、想像できると思いますがもっと面白かったです。解決策を見つけてくれましたから。

また、自動運動を、つまりはシミュレーションを作成しました。なので橋を描く以外にも使い道はありました。橋を描けばその橋のシミュレーションをし、負担や注意点を教えてくれます。これはIvanの博士論文で、私は彼に「Ivan、君はこれ全部をたった1年で、それも一人で完成させたけど、一体どうやったんだ」と聞いたのですが、彼は「難しいと知らなかったから」と答えました。

彼はただ単に問題を追いかけただけです。もし、彼の博士論文を読む機会があれば、そうしてください。なぜなら現在でも本当に役立つ事がたくさん詰まっていますから。50年以上前に書かれたことを踏まえて踏まえてすばらしいということではなくて、絶対的にすばらしいのです。

彼の論文のあちらこちらにそれ以上のことができないことに対しての謝罪が含まれています。なぜならIvanは問題に取り組んでいましたから。彼は「何ができるのか」ではなく「問題がなんなのか」に取り組んでいました。

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Sketch Padはこの研究コミュニティにとって爆弾の様なものでした。途端に未来が見えましたから。部屋、いや、建物サイズのコンピューターがいつかは机上、または膝の上におけるようになると信じるしかありませんでしたから。

当時の主要なプレーヤーにLickという男性がいました、Lick Lyder、彼は1962年にARPAから資金を受け「何をするのか」と聞かれたら彼は「コンピューターは世界中をつなげるネットワークを使い世界中の誰にとってもインタラクティブな知的アンプになる運命にある」と答えました。それ以上のことは何も言いませんでした。単にお金をあげただけです。

さて、箇条書きをいくつか。箇条書きは大嫌いです。ですが、このクラスは箇条書きを入れるのに最適だと思います。あなたがしないといけないことを16点見つけました。それ以来いくつか新たに思いついたのもありますが16点で十分以上です。

まず一つ目はする必要があれば人生を捧げても良いアイデアを選ぶことです。

例えばこれは人類の運命、人類の大きな問題を解決するものです。私たちは考えるのがあまり得意ではありませんから。考えるのをサポートしてくれるものを作り、協力し合うのをサポートしてくれるものを作る必要があります。なのでこれらは世界を救う様なアイデアでした。それもロシアが水素爆弾のテストを行っており、あまり将来が明るく見えなかった頃に行われたことです。

目標なんか忘れてください。目標の問題は個々の人間に特有でありすぎることです。研究はビジョンです。ARPAの夢に目標が一つも含まれていないのをみてください。

とにかく、それでLick Lyderはこの夢に近づける方法を見つけれると思っていた非常に頭の良い人材を15人、20人に資金を供給することができました。中には納得いかない人やお互いにひどく嫌い合っていた人たちもいました。

ですが、Lickはそんなことはどうでもよかったのです。彼は単に頭のいい人に彼の夢のために働いて欲しかったのです。なのでプロジェクトではなく人に資金を供給していました。

ARPAは一度も決断をしませんでした。この点においては少々変更しますが、基本的にはプロジェクトではなく人に資金を供給することです。そうするんだったら最も優れた人材が欲しくなりますから。

マッカーサー・フェロー・プログラムが個人のためだと知っているかもしれませんが、これはグループに資金を供給するものでした。マッカーサーと似たようなもので、わずか5年間ですが、気に留めずに投資する。マッカーサーでは2度資金を供給されることはありませんが、こちらでは5年間でいい実績を残せたらまた助成金を得ることはできました。

ですが、マッカーサーの基本的なアイデアは資金を投げ捨てることです。潜在的能力が非常に高い人材を見つけたら、彼らに5年間分の資金を供給してみて、彼らが何一つしなかったとしても泣かない、ということです。結果として、マッカーサーに選ばれた人たちのほとんどは何かを達成します。

注目されるのはお金のためにではなく、働かなければいけないから働く人たちですから。例えば芸術家は芸術をしなければいけないからしています。プロジェクトではなくコミュニティです。資金を供給するべきなのは問題発見にこそすべきです。これは現在の資金提供者を本当に怒らせることですね。

私が言いたいのは、難しい問題に取り組んでいる時、正しい問題が何かわからないからです。ビジョンが素晴らしい理由がこれです。ビジョンは公平ですから。問題を早く選択しすぎたらその時点の状況から選択している可能性があります。なのでものすごく幸運でない限りは邪魔になるでしょう。

なのでARPAは人が遊びふざけるのに大量の資金を投資したんです。締め切りではなくマイルストーン、ゴルフではなく野球にです。どういう意味かというとゴルフでストロークを一つ失うと泣きますが、野球でストライクを一本取られたぐらいでは泣くべきではないからです。空振りは何回もしますから。

Lick Lyderは彼らにこう言いました。「野球で打率.350なら本当に上出来で、私たちが投資先の打率が.350なら世界を変えることになる」と。実際そうなりました。失敗作なんて誰も気にしません。「65%の失敗はどうする」と聞かれても「野球では失敗ではありません、一般的な費用です」と答えました。

ボールを打つのはとても難しいことでして、何か非常に難しいことに挑戦している時、うまくいかなかった回数はうまくいくときのための一般費用にすぎません。ビジネス界の方々には一番理解しにくいことかと思います。彼らが求めているのは成功が保証された小さくて小さくてつまらないプロジェクトですから。

ですがスポーツは目の前にあります。スポーツは非常に難しく、スポーツ選手のほとんどは常に成功したりしません。あれですよ、あれ。ここの誰かで野球のことわかる人いますか。野球でエラーと呼ばれるのはどういうことですか。例えば。いや、守備での話です。

Speaker7
あぁ、エラー

Alan K
はい、野球でいうエラーとはなんでしょう。フライをキャッチしないことです。平均的な野手はどれだけ上手でしょうか。彼らは98.5%キャッチします。とても上手な選手だとエラー率1%です。技術的な話でのエラーは例えばコンピューターシステムを設計し作成できないでいることです。それかソフトウェアシステムを作ろうと決めたのに作れずにいることです。それぐらいできないといけません。

ですが、デザインをしようとしているというのなら話が違います。それは本当に2つの異なることです。これはLickが書いたメモです。1963年、ARPAから銀河間コンピューターネットワークのメンバーや関係者のための初期資金を得てすぐ。彼らはIvanになぜそんなネーミングにしたのか尋ねました。彼は「エンジニアはいつだって最小限のものを出したがるし、私は地球上全土を行き渡るネットワークが欲しかったので銀河間にしたんだ」と答えました。そうすれば縮小しても欲しいものが得れるから。

それがインターネットの始まりです。本当に。インターネットの元の名は銀河間コンピューティング、当時は仕様を知る人は誰もいませんでしたが。

パケット、パケット交換は63年にはまだ発明されていませんでした。メモの面白い言葉が「もし銀河間ネットワークを作るのに成功したのなら、宇宙人とのコミュニケーションの取り方が一番の課題になる」。

彼はこの言葉に大いなる意味を込めていて、いま説明する時間はありませんが本当に興味深いです。興味のある方は私にメールを送ってください。彼は他人だけのことではなく、ほかのソフトウェアのことをも指していました。ほかのコンピューター。彼が言いたかったのは、スケールアップした場合のコミュニケーションとはどういう事かということです。彼は大の思想家でした。

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9番目、ベルトウェイ内(既定路線)で考えてはいけない。これはもちろんワシントンDCを示していますが、一般的な原則です。なぜかと聞かれたら彼は「ノイズが多すぎるし、政治も多すぎるし、デタラメも多すぎるし、ワシントンDCでは誰も研究しない。ARPA資金提供者として最も避けたいのがそこにいる間に考える事。私たちの仕事は政府から資金を調達してそれを他に回す事です」と答えました。

なのでそのことに関しての解決策の一つが「ここに2年以上いることは避けよう」と言うことでした。なので2年ごとにLickはあとを継げる人を探すプロセスを作り上げ、偶然にもちょうど良いタイミングでIvan Sutherlandが軍隊に徴兵されました。なので彼に飛びつきました。

Ivanは26歳でこれ全部を任されていて、彼は素晴らしかったのです。彼は少尉で、大将らの会議の議長を務めていましたが、そのことについて一つ有名なエピソードがありまして、大将が一人延々と話していて、Ivanが「大将、言いたいことがあるのなら2分で言ってください」と言ったのです。Ivanについて語るのにこれ以上に単純な方法はないでしょう。Bob TaylorにLarry Roberts、彼ら4人でことを進めました。

Taylorは特別で、PARCを機構したのも彼です。そして彼はLick Lyderの生徒でもありました。Lick Lyderは直感的に素晴らしかったです。TaylorはLick Lyderのどこが素晴らしかったかを学習し、Lick Lyderが出来たこと全てを解説しなぜそれがうまく行ったのか説明できました。

次のいくつかの点は手短に触れますが、基本的なアイデアとしては、私たちは身の回りにある利用可能なものを見て、それで何ができるか検討したわけではありません。アイデアはビジョンに固執し、必要なものを何から何まで作ることでした。それが何であろうと。何か新しい種類の集積回路を作らなければいけないのなら作ってみせます。これらのことは全てやり遂げました。MITで20作るのに0.5センチのレーダーがあるかどうかなんて誰も気にしないような他の文化と良く似たようなもので、単に実行しただけでした。そしてこれは現在でも悩みのタネです。

そして、能力がないのなら自らのツールを作ろうとしてはいけません。独自のオペレーティングシステムやプログラミング言語を作ろうとしてはいけません、あなたがしようとしている事はそんなことでは無いので。

もし能力があるのなら、そしてこれらのことは能力がないのなら本当にしてはいけませんが、独自のハードウェア、ソフトウェア、オペレーティングシステム、そしてプログラミング言語を作るべきです。そうしなければ過去のどこかのベンダーのコンピューティングに関する悪いアイデアを土台として働くことになります。

ピカソも似たようなことを言いましたね。今日、大半の人が望むよりはるかにいいものを作らなければいけません。ここにも現在ではハードウェアを買ってハードウェアの格好がつくようにソフトウェアを搭載するといったもう一つの逆転があります。

ARPAとPARCは正反対のことを行い、ソフトウェアから始め、スーパーコンピューターでシミュレーションを行い、ソフトウェアが望む形になったらスーパーコンピューターよりもそれを最適化してより効率化できるコンピューターを設計しました。それがSketch Padでした。誰も次世代のグラフィックスシステムがこの建物の大きさのコンピューターで行われるとは思いませんでした。

次にそれを量産します。ARPAプロジェクトをほぼ全てがツールとして使えるように十分に量産されました。ただのデモではありませんでした。なので発明プロセスの一部がある意味制限されたエンジニアリングを必要とし、例えばPARCでは何をしようと100個は作るというルールがありました。イーサネットを作れば、100台の機械で利用できなければいけませんでした。タイムシェアリングシステムを作りたければユーザー100人に対応できなければいけませんでした。パーソナルコンピューターを作ればそれを100台作れなければいけませんでした。

議論する方法を学びましょう。これはここで大学院生として学んだことです。勝つためではなく理解されるように議論する。

現在、最大の悩みの種です。人々は常に競争しあい、勝者と敗者を定めようとしますが、それはワシントンの問題の一つです。彼らは彼らの仕事がなんなのかを忘れています。

そうではなく、私たちがしなければいけないことは難しいことを理解することです。これは大きいです。PARCでの研究者はみんなARPAが作成した第2世代、第3世代の博士号です。いいですか?8年です。なので過去に限られたことばかりではありません。話を進めていく中でいくつかの例を上げますが、次の世代を育てていたんです。

もう一度言いますが、これは野球です。野球では調子が良くなければいけませんし、リトルリーグまで遡るタレントの育成があります。なので彼らはそうしたんです。

最後の一つは難しいかもしれません。あなたたちの中には躊躇なく理解できる人もいるかもしれません。このようなことをして得る報酬は、それを成し遂げたことに関する報酬ではありませんでした。なぜなら多くの場合は失敗に終わるからです。報酬は実際の問題に挑戦するための資金を提供されたことでした。この点は強調しきれません。

富につながるか、出版されるようなものではなく、問題が実際になんなのかに取り込むことが…例えばそれが無い地球上の人口の70%からしたら、飲料水といった人類の大問題。なんでもいいんです。他に目標はありません。一つ、人生を捧げてもいいくらい偉大なことだったら。

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背景としては、多くの人がいじくり屋で、ニューヨーク出身でした。世界貿易センターがあったところです。世界貿易センター以前はマンハッタン島の約1マイルほどに電気屋がずらりと並んでいました。芝生をいくつか刈って、地下鉄に一銭つぎ込めばそこまで行ってなんでも買っていじることができました。そしてそのグループは誰もが貧しく、その状況に慣れていました。

でも、自分のものを作ることができました。例えば、独自のオシロスコープを作るためのキットもありました。そしてもし貧しいのにオシロスコープが欲しかったらこれを30か40ドルで購入して自ら作ることができました。

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そして…これは、これは…薄れてて見えないのでパスしましょう。

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さて、ムーアの法則、これはムーアの論文の原型で、年間2倍ですが、彼が使ったMOSシリコンはものを作るのには遅すぎますがより小さくしたら早くなり、ここでは2年毎に倍になっていますが、予測は30年でしたが、どうなったかと言うと実際には2年から18ヶ月毎に倍になると言う予測に近い結果でした。この裏には物理学があり、エンジニアリングの野望でしかなかったことはありません。なのでこれを信じるのなら本当に価値のあるものがあるとわかります。

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このEngelbartの箇所も飛ばします…

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これは少し見ておくべきだと思います。なぜならこれはマウスの発明と同時期のもので、これはRandでできたもので、Randの人たちはどう進めたのでしょうか。

彼らは深夜に人々の紙くず籠を漁り、彼らの仕事の仕方を観察しました。何が捨てられていたのか。そして、当時の人が仕事中によくしていたのがダイアグラムだったり、フローチャートだったり、そのようなものを描いていたんです。なので彼らは世界初のタブレットを発明することにしました。あなたたちが今日までに触れてきたほとんどのタブレットより優れていました。これらの人々の特徴は、彼らが一般的にそれを十分に良くしていたことです...


フローダイアグラムを編集し始めます。先ずはフローの矢を消し、空いた場所に代わりにボックスを描けるようにコネクターを動かします。ボックス内の印刷はこの際には解説のためのみに使われています。ボックスがわずかに大きすぎるのでサイズを変更することができます。次にコネクターからボックスまでのフローを描きます。決定要素をボックスに添付し、そこからフローを引き出してスキャンします。そうしたらフローを消し…

Alan K
さて、これは1968年頃、大きな部屋ぐらいの多さのメインフレームに男性が一人です。このシステムは本当に、本当に私が使ってきた中では最高のシステムの一つで、マウスを使うのとは違ってとても親密感を感じるものでした。それは私達が特に注目した点の一つです。次のこれは見せなければいけませんね。次はこれです。

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VRは実は最近の発明ではなく、実際にはIvanがARPAから戻ってきて2番目に取り組んだことでした。私も大学院生の時にこれに取り組みました。何かをつかんで手で持つことができました。つかんで、それを動かす…ここでエキサイティングなのが今日のVRと違って、これにはちょうど両耳の上あたりに1500ワットのブラウン管が二つあって、パチパチ音を鳴らしていたことです。

それはとてもワクワクすることで、当時最も難しかった課題の一つが頭のポジショニングで、いろんなやり方がありますが、彼らがここで採用した方法の一つが、説明はしませんが、クレーンにぶら下げるというものでした。なのでMITの広い部屋の中を歩くと頭上のポジショニング機器を追ってクレーンが自動的についてきました。いや、全く。今すぐ終わらなければいけないのに、あとで怒られてしまいますね。ですが、どうしても見せなければいけないことがまだ二つ残っています。あと2分だけいただければ…

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考えなければいけないことの一つ、先ずはこれです。時間と進行状況を違う方向へ進めさせます。「わーい、あーあ……、わーい、あーあ……」と、上がったり下がったりします。人は物事を評価する時にこうする傾向があります。問題はしきい値を指定しなかったことです。しきい値を指定すれば、しきい値を超えたものだけが重要であり、

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例えばこれはリーディングのスコアですが、何も重要ではないということになります。リーディングのスコアがしきい値を超えることはありません。なので上がっても下がっても、どちらでもいいのです。

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実際に必要なものはその時によって変わってきます。より多くが必要となり、もし多くの人が実際にそうするようにベースラインを元に測定しているのなら物事を改善しそんなに仕事に失敗していないように見せるためにできることがベースラインを下げることです。

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例えばAppleはiPhoneやiPadで何がまともなユーザーインターフェースなのかに関するベースラインを完全に下げました。それ以前のシステムのインターフェースには「元に戻す」がありましたが、これらにはそれがありません。他にも15ほど思いつきます。考えて見てください。そこで彼らは「なら問題全てに取り組むのはやめにしよう。ウブな大衆に2歳児か92歳の老人のレベルで仕事をするように調教し、間の全てを取り除こう。」という決断を取りました。そして大衆はそれを買いました。品質を求めているのなら頭数だけで物事を決めたくはありませんから。人をその気にさせるのは簡単です。

ここでしなければいけないのが絶対にこの線の上にあるものを選ぶこと。それをMac Creadyのスィートスポットと呼びます。人力飛行機を作った男性です。それができれば探索可能な全く新しいスペースが開き、私たちもPARCではそうしました。月ロケットの打ち上げは宇宙旅行を50年遅らせました。誰もが「ムーンショット(月ロケットの打ち上げ)が必要だ」という隠喩を使いたがりますが、月ロケットの打ち上げは必要ありません。宇宙旅行は化学ロケットでは行いません。

また、Jeff Bezosとか、そういった人たちで面白いのが、彼らが何も理解できていないことです。MV=MVです。50年代にSFを読んだ子供なら知らない人はいないでしょう。それが意味することは、化学ロケットなら十分な速度を出すためには膨大な量の化学物質を運び使用する必要があり、そうなるとその量を打ち上げなければいけなくなります。結果として軌道に乗せるだけで45階建ビルの大きさのロケットが必要になります。ありえません。私はそんなものには乗りません。悲しいのがその非常に高い排気速度を得るために様々な原子力を使う名案がいくつもあったのですが、大衆はそれに興味を示しませんでした。月ロケットの打ち上げは宇宙旅行とは無関係でした。

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さて、ここも飛ばします。

最後にしたいことが…あ、そうだ、

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私が1968年に考えたこのタブレットコンピューター、原型が二つあります。一つはおなじみのタブレット、もう一つはIvanのヘッド・ディスプレイでムーアの法則では当然な結果でした。そしてNicolas Nigriponieが腕時計をして世界中の誰ともコミュニケーションを取るというアイデアを出しました。はい。もう少しだけこの最後の点について話してから終わりにしましょう。

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Wayne Gretzky、Wayne Gretzkyが誰かはご存知でしょう。史上最高のホッケー選手で、小柄な男でした。喧嘩は避けようとしました。なぜそんなにシュートしたがるのかと聞かれた彼は「打たなかったシュートは100%外れるからです」と答えました。数撃てば当たるだろうと、神経質ではありませんでした。

彼は歴史上の誰よりもゴールを決め、2位と1000ほどの差をつけました。なので彼のミスの割合も高いという事実はどうでも良かったのです。

なぜ他のみんなより上手だったのかと聞かれ、彼は「良いホッケー選手はパックがあるところへ行きます、頭の良い選手はパックが来る所へ行きます」と答え、パックの後を追うという意味ではありませんでした。彼が言いたかったのは誰かが彼にパスをし、そこからゴールを決めれる、そのような場所に行くということでした。彼がしたことは構成を全体的に捉え、未来の形を予想し、いるべき場所へ移動しました。

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なので未来を発明するゲームをすることができます。宇宙の善の直感から始まり、例えば私にとってはタブレットがそうでした。ムーアの法則のような指数関数的に有利なものを特定します。宇宙の善の直感の30年後を想像し、「これがなかったらおかしくないか」と自分に問います。そして、30年後にはそれが実在するに決まっています。それが、指数関数が意味するものです。それを10から15年の時点に戻し、その時点ではお金を払えば良いと思います。

ムーアの法則も、チューリングもそういう意味で、その時点で大量の資金を投入すれば10〜15年後の商品となるコンピューターを作ることができます、ちょうどAltoがそうであったように。タイムシェアリング・ターミナルの約50倍の速さでした。そしてそれを量産しました。

ソフトウェアも混ざってきますと、2種類の将来のコンピューティングができます。一つのコンピューティングは星の数ほどの実験を通して今では50億人のユーザーにとってユニバーサルなユーザーインターフェースを得て、あった事もない何百万人もの人が見た事もないアプリケーションを作れるようにします。

もう一つできるのが、右側にあるのはマイクロソフト Word、1974年当時のXerox PARCですが、コードの最適化で、アプリケーションの10年後を想像することができます。なのでスーパーコンピューターを通じてできる二つのことがそれです。そしてお金がかかります。今日のドルで言ったらAltosは一台当たり12万5千ドルしました。それを私たちは2000台作りました。

考えて見てください。真剣な資金提供者でないとダメです。Xeroxは私たちがそうした時大激怒しました。彼らとの関わりを終わらせようとしたら本気で大激怒しました。

もう時間オーバーしてるので最後に一言だけ。

現状から逃れる一つの方法として残しましょう。アイデアの兆しがあれば、それをどうやって辿り着けるか心配する必要のないぐらい遠くまで考えてみて、そこから引き戻るのです。

なので現在からイノベーションするのではなく、するべきなのは未来から未来を発明することです。未来に行って景色を見渡してそれを現在に持ち帰るのです。ご清聴ありがとうございました。

 

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記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
動画: How to Invent the Future I - CS183F (2017)

トランスクリプト: How to Invent the Future I - Alan Kay

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