「私は野心を持つ19才です。私は何をすべきでしょうか?」
こんな質問を、かなり頻繁に受けます。何がうまくいくのか、今ではそのデータをたくさん持っているので、私なりの答えを共有しようと考えました。
そのような人たちは一般的に、大学に行くか(たいていは大学在籍中にサイドプロジェクトに取り掛かります)、企業へ入社するか、または自身のスタートアップを始めるかの選択肢の間で、決断しようとしています。[1] [2]
鍵となるのは、そのどれもが正しい答えとなり得るということです。そしてそれぞれの選択肢に固有の事情に基づいて、決心をすべきです。そのとき重要なポイントは、何か素晴らしいことができる道へと自分を導いてくれる可能性が最も高いことをしたいと思うことです。
何を選ぼうとも、物事を作り上げ、賢い人々と一緒にいましょう。「物事」には、授業以外でのオープンソースプロジェクト、スタートアップ、勤めている会社での新たな販売プロセスなど、多くの異なるものがありえます。ただし間違っても、友だちと集まって、どんな風にウェブサイトを作ろうか、ダラダラと話して過ごすことを入れてはいけません。
最高の人々は常に、何かを作り上げ、賢い人々と一緒にいるように思います。だからもしいくつかの選択肢から決心しなければならないのであれば、それが良いフィルターになるでしょう。
何か良いことに取り組むことが、常に良いことが起こり続ける環境へと、あなたを導いてくれます(事実、この効果はとても強く、あまりに多くの興味あることに巻き込まれてしまったり、本当にやりたいことから気が逸れてしまう危険さえあります)。
この決心をするにあたり、正しい種類のリスクを取るようにしましょう。ほとんどの人が、リスクについて間違った方法で考えます。例えば、大学に居続けることは、リスクのない道のように見えます。しかし最も実り多い4年間に何もしないことは、実際のところ非常に大きなリスクです。会社を起こし、それに熱中することは、正しい種類のリスクです。依然として失敗する確率が高いようなベンチャーの50番目の社員になることは、間違った種類のリスクです。
もし大学に居続けるのなら、何か価値のあることを学び、興味のあるプロジェクトに従事するようにしましょう。たぶん大学は、共に働くべき人々と出会うための最高の場所です。大学を中退することで何か重要な社会的経験を逃すかもしれないと本当に心配しているのなら、たぶん大学に残った方が良いでしょう。
もし企業に入社するのなら、私の一般的なアドバイスは、爆発的な急成長の軌道に乗っている企業に入社することです。そのような企業は普通、同時期に一握り程度しか存在しませんが、頭の良い若い人たちならたいてい見分けることができます。そういった企業への入社は、リスクに見合った恩恵が期待できる、非常に良い選択です。そういう企業はほぼ確実に成功しますが、世界の残りの企業が成功するという確信は、全く持てません。幸いなことに、それらの企業は野心を持った若者を愛しています。十分な量のエクイティ(小さなベンチャーで得られるエクイティの1/10しか得られないかもしれませんが、リスクは1/100か1/1000です)に加え、素晴らしい人々と共に働き、成功とはどのようなものかを学び、成功の実績を作ることができます(それはゆくゆく、非常に大きな価値となります)。失敗に終わりそうな企業で2~3年過ごしたり、すでに大成功している企業で働いても、学ぶことは少なく、一緒に働く人たちもおそらく魅力に欠けるでしょう。
ちなみに給料を判断要因にしてはいけません。マイクロソフトから3万ドル高い年収をオファーされたために、そのような爆発的に急成長する企業の1社を断った人を見たことがありますが、最悪の判断でした。彼は面白いものを作り上げることもなく、賢い人々と働くこともできないかもしれません。数年の内に何か新しいことをすべき時が来る際に、彼の目の前にある選択肢は、以前に持ち得た選択肢よりも遥かに劣っているでしょう。
会社を起こすのは、熱中するアイデアを持っている場合のみにしましょう。もし友だちとつるんでアイデアを思いつこうとしているのなら、起業すべきではないと考えます(この意見に賛同しない人もたくさんいますが)。従業員として入社した企業が失敗するよりも、起業して結局失敗に終わったほうがマシです(スタートアップを始めることからのほうが確実により多くのことを学べます)。自分が本当に愛し、素晴らしいと考えたアイデアで失敗しても、後悔しないでしょうし、誰もあなたのことを悪くは言いません。誰かのマネをしたスタートアップでの失敗の方が、より悪い失敗です。起業のチャンスはその後もたくさんあることと、スタートアップを本当に成功させるには、6~10年は全力を傾ける必要があることを忘れないでください。
起業の大きなメリットの1つは、大抵の場合、最短の時間で最も多くのことを学べることです。大きなデメリットの1つは、間違った理由で簡単に起業できてしまうことです。そのため、自分は起業しようとしていると、簡単に言えてしまうのです。このことが、判断を曇らせる原因となります。
どのような選択をするにしろ、個人的なバーンレートを低く保ち、仕事や事業に傾倒し過ぎないようにしましょう。これまで、素晴らしいチャンスを逃してきた人をたくさん見てきました。彼らは給料が下がるのを受け入れられなかったり、あるいは動くことができなかったり、時間がないという理由で、そのようなチャンスを逃しています。
リスクを正しい方法で考えましょう。Drew Houston 氏は卒業式のスピーチで素晴らしいことを言っています。彼はこう言いました。「人生の中で一度だけ正しければいい」。これは真実です。あなたを成功へと導くリスクは決定的な一度きりしかない、というわけではないのです。
この記事の草稿を読んでくれた Lachy Groom と Nick Sivo に感謝します。
[1] 4つ目の選択肢として、VC(ベンチャーキャピタル)になることがあります。これは一般的に言って、間違った方法です。VCになるための最良の方法は、下積みのインターンから階段を登って行く方法ではありません。もしVCになりたい場合でも、まずは起業するか、スタートアップに入社して、28才の時にパートナーのオファーを受ける方がはるかに有意義です。また、良い創業者は、経営の経験を持つ投資家と仕事をすることを望みます。
[2] 興味深いことに、学術の世界に進むことを考えている人は1人もいません。
著者紹介 (本記事投稿時の情報)
Sam Altman は YC グループの社長です。彼は Loopt の共同創業者兼 CEO でした。Loopt は 2005 年に Y Combinator に投資され、2012 年に Green Dot に買収されました。Green Dot で彼は CTO を務め、現在は取締役です。Sam は Hydrazine Capital も創業しました。彼は Stanford でコンピュータサイエンスを学び、その間 AI lab で働いていました。
記事情報
この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: Advice for Ambitious 19 year olds (2013)