取締役 (Sam Altman)

過去5年間で、投資家から創業者へと影響力が信じらないほどにシフトしました。それはほとんどの面では良いことですが、重要ないくつかの点で良くない面もあります。コントロールしたいという創業者の欲求は適度であれば良いですが、度が過ぎてしまったときは企業を傷付けてしまいます。

創業者の多く (もしくは少なくとも、自分が話をした創業者の多く) は、一般的に取締役会に外部役員を何人も入れることを望んでいません。現状において、シリーズAラウンドで成功を収めるのによくある方法は、取締役会に加わることを求めないことです。投資家の中にはそれを喜ぶ人もいます——取締役会の椅子を得ることよりも、小切手を切ってビーチに遊びに出かけるほうが確かにもっと簡単です。そして、このトレンドはこれからも続く可能性が高いです。なぜなら、そういった新しい投資家たちは一般的に、その会社に影響力を持ちたいと思っている投資家よりも、多額の出資をしたいと思っているからです。

しかし、会社が立ち上がっていくのを目の当たりにしてきた数多くの経験を持っているような偉大な取締役たちには、毎日会社のことを考えて欲しいと創業者は望むでしょう。スタートアップの場合、経験に関係なく役職が数多くありますが、取締役は通常、その中の一人にはなりません。取締役は創業者が大きなことを考えたり、役員を雇用するときに非常に役に立ちます。

また、取締役は企業を計画遂行に集中させ続けるための優れた強制的な機能になります。私の経験では、社外取締役のいない会社は、しばしば経営の歩調を合わせるための統制に欠けることが多いです。

最後に、物事が本当に間違った方向に進んだとき、取締役は企業に執着しますが、アドバイザーは普通そうはなりません。

取締役はもちろん投資家になる必要はありません。もし、創業者が取締役を必要とせずにお金を選ぶのだったら、私は取締役の役割を果たすような、相当な割合の株式を保有したアドバイザーを置くことが非常に重要だと思います (それか、実際に彼らを取締役会に入れることがベターです)。

個人的に、初期ステージのほとんどの企業には、取締役5名、創業者2名、投資家2名、そして社外取締役1名の構造の取締役会が理想的だと思っています。取締役4名、創業者2名、投資家1名、社外取締役1名でも良いと思います (実のところ、偶数人であるかどうかはほとんど問題にはなりません)。

ついでに言うと、悪い取締役たちは失敗を招きます。誰かを取締役に加える前には、紹介状を隅から隅まで調べるべきです。

計り知れないインパクトをもたらし、素晴らしい価値を創造してきた企業には、優れた取締役 (および役員) がいました。私はこれが偶然の一致だとは思いません。

投資家があなたを解雇することができないように十分にコントロールすることは良い考えですが (そうするには数多くの方法があります)、それ以上に、他の人を連れてきて、彼らが会社を作る助けになってくれると信頼することのほうが大切です。

 

 

本文書の草稿をレビューしてくれたMike Moritzに感謝します。

 

 

著者紹介 (本記事投稿時の情報)

Sam Altman

Sam Altman は YC グループの社長です。彼は Loopt の共同創業者兼 CEO でした。Loopt は 2005 年に Y Combinator に投資され、2012 年に Green Dot に買収されました。Green Dot で彼は CTO を務め、現在は取締役です。Sam は Hydrazine Capital も創業しました。彼は Stanford でコンピュータサイエンスを学び、その間 AI lab で働いていました。 

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: Board Members (2014)

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