ブラックスワン・シードラウンド (Sam Altman)

私はフルタイムのYCパートナーになる前、2010年にシード投資を始めました(また2012年以降は、さらに積極的に投資をするようになりました)。この間、約40社に投資しています。これまでのところ、そのうち5社が「非常に良好」のカテゴリーに属しています。前回ラウンドもしくは前回オファーの評価に基づくと、価値は100倍かそれ以上になっています。

これらの投資に共通して見られる要素は何か、そして他の投資との違いは何か、何度も考えています。最も特筆すべき点は、私の経験からいえば、誰もがこぞって参加しようとする「ホットなシードラウンド」であるかと、投資が大成功を収めるかは、まったく相関しないということです(おそらくAラウンドとBラウンドの場合は異なります。なぜなら、ベストな会社はその時点で指数関数的な伸びを見せていることが多いためです)。私が参加したホットなシード投資は成績が良くありません。

私が行った非常に優秀なシード投資すべてについて、私が尊敬する他の投資家は良くないと思っていました。Stripeは、とても若い創業者が歴史ある業界を引き受けるのがかっこいいという風潮が生まれる前に創業しました。私が尋ねた限りでは、うまくいかないだろうという見方が大勢でした(当初のプランでは銀行を目指していました)。Patrickは業界について何も知らない、というのがその理由でした。Teespringは大部分の投資家から敬遠されていました。「ただのTシャツの会社じゃないか」というのが理由でした。

私がZenefitsに投資する直前のことです。ある著名な投資家が、私は医療保険市場をまったく理解しておらず、Zenefitsは3か月も続きそうにないと言ってきました。私が投資した時点で、Zenefitsはすぐにも現金が枯渇する懸念がありました。この投資家のおかげで、もう少しで出資をあきらめるところでした。

大きな例外の1つがOptimizelyです。大方の予想で成功すると思われており、競争の激しいシードラウンドとなりました。自分の割り当てを確保するために競争しなくてはならなかった唯一の高配当企業です。他の4社については、もっと出資できたと思います。

上記のような事態には一般的な例外があります。創業者がすでによく知られており、素晴らしい業績を残している場合です。そのようなシードラウンドはほぼ毎回、競争が激しくなります。

他の投資家が良くないと考えている投資だからといって、成功が保証されるわけではありませんので、ご注意を。これまでの私の失敗全体を見てみると、他の投資家が良くないと予想していたものもあります。逆張りして悪い結果になるのはよくありません。逆張りして良い結果を生まなければならないのです。そこから他の投資家の考え方について得られる唯一の結論は、「無視すべき」というものです。

素晴らしい会社は、最初は良くないアイデアに思えることがしばしばあります。また少なくとも言えるのは、良く見える会社のシードラウンドは、価格が高騰しがちだということです。そして、同じような会社を立ち上げる人が沢山いる可能性もあります。しかし私が価格に見合うように調整してみても、白熱したラウンドの投資は、業績がよくありません。

他の投資家数人に経験について尋ねてみましたが、ほとんどの人がおおむね同じような経験をしていました。本当に大きな成功を収めた事例のほとんどでは、誰もが参入しようとするような競争率が厳しいシードラウンドについて、TechCrunchが記事にすることはありませんでした。

その理由は沢山あるように思えます。大きな理由の1つとして、優れた資金調達の手腕は、良い会社を経営することとはほとんど関係がないのです。別の理由としては、たいていの投資家が言葉とは裏腹に実際にはリスクを非常に嫌うこと、そして優秀な会社がシードステージではとてもリスクが高く見えることが挙げられます。そして大きな理由の3つ目は、シードステージで良い選択をするのがとても難しいことです。ほとんどの会社は白熱したシードラウンドにはならず、大成功を収める会社もまた然りなのです(しかし、このようなランダム分布で上に述べた現象のすべてが説明できるとは思っていません)。いずれにせよ、シードラウンドで目標を大きく上回らなくても、創業者は心配しなくてよいのです。

 

著者紹介 (本記事投稿時の情報)

Sam Altman

Sam Altman は YC グループの社長です。彼は Loopt の共同創業者兼 CEO でした。Loopt は 2005 年に Y Combinator に投資され、2012 年に Green Dot に買収されました。Green Dot で彼は CTO を務め、現在は取締役です。Sam は Hydrazine Capital も創業しました。彼は Stanford でコンピュータサイエンスを学び、その間 AI lab で働いていました。 

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: Black Swan Seed Rounds (2014)

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