プロフェッショナルコンテンツ Part 1: プロ制作のコンテンツへのエンゲージメントを増やす (Sequoia Capital)

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私たちが最初に投稿したエンゲージについてのシリーズ記事日本語訳)では、アクティビティフィードとソーシャル製品の環境について説明しました。これらはユーザー生成コンテンツとプロ制作コンテンツを織り交ぜて提供します。このシリーズ記事では、プロ制作コンテンツのみを純粋に提供するプラットフォームについてのエンゲージメントについて詳しく探ります。

プロ制作コンテンツ――アクティビティフィードを越えて

プロ制作コンテンツはほぼあらゆる形の消費として提供できます。これにはFacebookのようなソーシャルメディアアプリの検索結果、おすすめ、アクティビティフィード機能も含まれますが、それに限定されません。(例えば、サブスクリプション型サービスやEメールによって提供されることもよくあります) しかし、それが提供される場にかかわらず、プロ制作コンテンツは通常、ユーザー生成コンテンツ (UGC) とはいくつかの重要な点で異なります。そしてその違いはエンゲージメントに役立つ可能性があります。プロ制作のものはソーシャルよりも面白く、あるいは情報が豊富なことが普通ですし、フィードバック、非永続性、社会的受容性、視聴者数などの問題による影響を受けにくい場合も多いです。

以下に、プロ制作コンテンツのエンゲージメントを実際に高める方法について解説します。その中には、あなたの製品の成功に対する理解を高めてくれる重要指標の案も含まれます。この記事内の指針はビデオコンテンツに焦点を当てたものですが、テキストやオーディオを含めた、その他の形式のプロ制作コンテンツにも当てはまることに留意してください。

生産・消費システム

プロ制作コンテンツと関連するエンゲージメントを理解するには、まず枠組みを作ることが有用です。アクティビティフィードと同様、Netflix、HBO、Spotifyと言った製品はエンゲージメントを牽引する生産・消費ループという観点から理解可能です (図1を参照)。

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図1

プロがコンテンツを制作・提供し、ユーザーはそれを消費して明確な (レーティング、コメント、賛成、リアクションといった) フィードバックを行います。そしてそのフィードバックがさらなるコンテンツの制作と提供の原動力となります。

Netflixなどの企業は新たなコンテンツを絶えず制作しており、その全作品を全ユーザーが利用できます。その一方で、全商品が全ユーザーに関連しているわけではありません。したがって、提案を行うために選択と順序付けのアルゴリズムが利用されます。ユーザーは消費とフィードバックを行い続けるにつれて、製品もまたその人の好みを学習し続け、その結果としてエンゲージメントの増加を促進します。通常は消費時間が動かすべき第一の指標となります。ですが、エンゲージメントの増加はユーザーがより頻繁にリピートし (セッション数)、より多くのコンテンツを消費する (閲覧数) という形でも現れます。

このシリーズ記事では、プロ制作コンテンツのみを純粋に提供するプラットフォームについて、そのエンゲージメントを増やせる手段ごとの指針を提供します。そこにはコンテンツ制作 (異なるタイプのコンテンツを作成または購入すること)、おすすめ (あるユーザーに対してその人と最も関連性の高いコンテンツを結び付けて表示すること)、ランク付け (ユーザーに対して適切なコンテンツを適切な順序で表示すること)、コンテンツ消費 (ユーザーがあらゆるデバイスから、あらゆるネットワーク条件下でコンテンツを簡単に消費できるように努めること)、フィードバック (ユーザーがコンテンツと相互作用するように促進すること) が含まれます。

コンテンツ制作

プロ制作コンテンツのエンゲージメントに影響を与える最も重要な要素は制作です。なぜなら、もしも何のコンテンツも制作されなければ、ユーザーが消費可能なものも存在しないためです。ユーザー生成コンテツとちょうど同じく日本語訳)、 (ライセンス作品であろうとオリジナル作品であろうと) 新しくて関連性のある多様なコンテンツがユーザーに対して提供されていなければ、訪問数は徐々に減少し、その製品はやがて終焉を迎えます。コンテンツ制作のための戦略を策定する場合、以下の点を検討しましょう。

コンテンツの多様性は継続の鍵となる

新規顧客獲得の次としては、コンテンツの多様性がプロ制作系プラットフォームにとって最も大きな成長の原動力となります。離脱を減らし、ユーザーが製品から決して離れないようにするためには、膨大かつ多様なラインナップを提供しなければなりません。このことはNetflixやHuluで見られるように、視聴者が大陸、言語、文化にまたがって存在する場合、特に重要です。

コンテンツの多様性は消費時間全体も増加させます。これはユーザーに対して「いっき見できる」という選択肢を保証する結果として起こります。コンテンツのタイプごとに賞味期限やいっき見のしやすさは異なります (例えば、連続TVドラマに対する、映画、ニュース、スポーツのコンテンツなど)。この結果、各タイプを理解して、良い取り合わせを提供することが決定的に重要です。

独占コンテンツは既存市場で新規ユーザーを獲得する原動力となる。

視聴可能な「古い」コンテンツの方が多いため、新しいコンテンツは消費時間全体の中での割合が比較的小さいかもしれませんが、成長にとっては重要な手段です。とりわけ、他では見つからないコンテンツの提供は現在のユーザーを定着させるのに役立つのみならず、新規ユーザーをも惹き付けます (図2を参照)。製品では古いものと新しいものを適切に取り揃えることが欠かせません。それこそが、NetflixやHuluといった企業が最高の新規コンテンツの獲得と制作を絶えず競い合っている理由です。

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図2
ライセンスコンテンツか、オリジナルコンテンツかは戦略的選択である。

独占コンテンツ、オリジナルコンテンツ、ライセンスコンテンツの正しい取り揃えとは一体どのようなものでしょうか? その答えはあなたの企業の理念、戦略、将来に対する長期的ビジョンに大きく依存します。例えば、Netflixではライセンスコンテンツが国内視聴数の80%を牽引している一方、『House of Cards』や『Stranger Things』などのNetflix Originalsが牽引するのはわずか20%です (7Park Dataによる最新の分析に基づく)。ですがNetflixのTed Sarandos最高コンテンツ責任者は、2018年の同社のコンテンツ投資額80億ドルのうち85%がオリジナル番組に充てられるだろうと述べています。これは一体なぜでしょう? その理由はおそらく、コンテンツ制作者が (現在Disneyが行っているように) 自前の直販サービスを開発するにつれて、自社がライセンス契約を失うかもしれないとNetflixが考えているためです。言い換えると、同社はライセンスコンテンツではなく、オリジナルコンテンツにこそ将来性があると考えています。

コンテンツの寿命が収益化能力に影響を与える。

前述のとおり、全てのコンテンツの寿命が同じわけではありません。ユーザーが制作から数年経った映画、ドキュメンタリー、ある種の番組を見る可能性はあります。ですがスポーツの場合は同じようにはいきません。しかし、スポーツコンテンツのような時間に依存する性質は、非常に高い収益化の可能性をそのイベントの時点に秘めていることも意味します。 これは主に広告によるものです。したがって、広告ベースの戦略を有していないNetflixのような企業は寿命のより長いコンテンツに依存する一方、Amazon、Facebook、HBOはスポーツコンテンツを購入して収益化します。

行動がリリース予定に役立つ。

あなたは新しい番組やポッドキャストを「いっき見」するのと、新しいエピソードを毎週または2、3日ごとに視聴するのでは、どちらが好みでしょうか? シーズン全体を一度にリリースすることによってどちらの行動も可能にできますが、視聴者がいっき見する可能性は高まります。これが消費時間全体をも増加させることがよくあります。多くのユーザーが一つの番組を同時に視聴するためです。ユーザーたちが一つの番組を見終えて次の番組へと移るのが速くなればなるほど、その人々が消費するコンテンツの合計数も多くなります。

追跡すべきメトリクス

プロ制作コンテンツ・プラットフォームの成功、およびそのための戦略の策定を評価する際には以下の指標について検討しましょう。(これらの指標はタイプ、年齢、制作者、時間、レーティングなどによって細分化できることに留意してください)。

週ごとの新規コンテンツ数

週ごとに視聴可能となる新たなコンテンツの量が最終的にユーザーが定着するかどうかを決定づけます。

視聴可能なコンテンツの合計数

検索や閲覧の可能な作品の合計数が多ければ多いほど、ユーザーが望むものを見つける可能性も高くなります。

コンテンツの推定寿命

不朽のコンテンツもあれば、賞味期限の短いものもあります。各作品の寿命を追跡することで、貴重な見識が得られます。

推定されるコンテンツのいっき見しやすさ

どのコンテンツがいっき見しやすく、どれが一気見しにくいかを知りましょう。

コンテンツの価値

プロ制作コンテンツを作るためには費用がかかるため、そのコンテンツが生み出す収益に対する制作費を知らなければなりません。

コンテンツの質

質の高いコンテンツは通常大変な費用がかかりますが、消費される可能性も高くなります。コンテンツごとに品質を表す数値を割り当てる手法を開発することを検討しましょう。

利用できないコンテンツの検索

ユーザーが探しているものとその人がそれを見つけられるかどうかを知りましょう。これはどのコンテンツを獲得するべきかを決めるのに役立ちます。

要点のまとめ

  • 不朽のコンテンツを制作することがエンゲージメントにとって最も重要な手段です。
  • コンテンツの多様性、品質、いっき見しやすさ、独占性、価値。これらは全てエンゲージメントの高いコンテンツを制作する上で重要となる考慮すべき事項です。

 

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: Driving Engagement on Professional Content (2018)

 

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