Y Combinator の効果: YC がどのように会社を良くするか

Y Combinatorを去年の8月に卒業したスタートアップの創業者として、 自分の経験について質問されることがよくあります—— 特に他の創業者からよく聞かれます。それは貴重な経験でしたか?それで何を得ましたか?学んだことは何ですか?シリコンバレーの一部には、Y Combinatorがエリートの集まるIvy Leagueの大学のようなもので、その主な利点は教育ではなく、人脈作りにあるという認識があります。Y Combinatorは、「知っておくべき」人々にあなたを紹介し、デモデーに向けて、あなたが潜在的な投資家に魅力的に見えるようにするだけのものだとも言われています(雑誌の表紙を飾るモデルの欠点を画像処理で修正するように)。

プロセスを通過した今、私はそれらがYCの存在意義ではないと断言することができます。Y Combinatorは、成長と繁栄のために達成すべき指標や、自分の会社の目標を達成するために徹底的に的を絞る方法を学び、そして本当に大量の過酷な仕事を体験する場です。私は質問した人々にこのことを説明しようとしたのですが、「YCでは仕事をする必要がある」ということが、あまり理解されませんでした。

これを背景に、私たちが経験したことを数量化する試みとして、私は、自分とその同期生がYC S16で仕事をした時間を表にまとめました。その期間はY Combinatorの私たちのバッチまでの準備期間と、016年6月から8月までのバッチで私たちが過ごした3ヶ月間の両方です。時間の計算にはPeople.aiのAIエンジンを使いました。

People.aiのエンジンは、電子メールの送受信と会議や電話に使った時間に関するデータを収集します。これは、下に示すように、1つの時間枠の中でチームがどのように時間を使っているかを正確に表すためのものです。このように、 様々な活動が色別に表示されています。

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これは、私と何人かの同期生に関する数字をまとめた結果です。

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Oleg Rogynskyy、People.ai

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Debra Cleaver、Vote.org

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Lei Xu、Emote

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Michael Henrich、ohmygreen

いくつかの点が目につきます。

  • バッチ開始直後である6月の初めは、創業者は「システムの外」で過ごしているため、彼らの時間は減少しているように見えます。6月、特に初旬の期間、私たちのバッチは独自のアイデアの微調整と、よいPMF(Product/Market Fit)の実現に注力していました。私たちの会社の最終的な理想像を実現するためです。しかし、6月の初旬に開始頃から、明白な変化が見られました。
  • ほとんど全員に共通した傾向として、6月初旬から始まり、8月の終わりまで継続して、創業者がコンピューターを使用した時間は劇的に増加しています。私を例にとると、6月の第1週目は約50時間、コンピューターを使っています。2ヶ月後となる8月の第1週目には、時間数は2倍の100時間になりました。8月末に向けて時間数は減少しますが、それでもその前の5月と6月のそれぞれの頂点よりも高くなっています。
  • 実際に、Michaelを例外として、他の創業者たちのコンピューターの使用時間数は、下はYC参加前の頂点の150%から、上は驚愕の400%までの範囲にあります。
  • それぞれの創業者が独特の時間の使い方をしています。会議を重視する創業者もいれば、電子メールに時間をかける創業者もいます。
  • バッチ参加期間中、電話はほとんど使われませんでした。直接参加の会議(社内および社外)や電子メールでの最低限の問題解決に極端に重きを置いていました。

YCの採択要件の一つとして、バッチ参加期間中は、創業者チームはシリコンバレーに引っ越さなければいけませんが、これには理由があります。Y Combinatorに参加するためには、他のすべての無関係な事柄を忘れ、ただ2つの事柄に集中する必要があります——製品を開発し、成長をもたらすことです。あなたは、YCの創業者として、結果を出し、メンターや同期生が設定した難しい目標を達成する、確かな力を手にします。

AirbnbやDockerなどのY Combinator卒業生があれほど成功している理由は、YCがジェダイのフォースの秘密を教えたり、エリート人脈にお近づきになる機会をくれたりするからではありません。単純に古くからある方程式の結果です。賢い人々 + フォーカスをする = よい結果、という方程式です。YCはあなたを賢くすることはできませんが、組織として成功するための指標だけに的を絞ることを教えることができますし、実際に教えています。

これでおわかりでしょう。陳腐な言い方に聞こえるのを恐れずに言えば、懸命な仕事、汗、涙に代わるものはありません。私たちはY Combinatorに参加することで無数の恩恵を享受しました。しかし断然、重要なのは、バッチが私たちのチームに与えた影響です。あなたはY Combinator で仕事の仕方を学びます。

私たちのグループ・パートナー、Michael Seibelの言葉を借りれば、物事を「ドカン!」と動かします。それがY Combinatorの成功の「秘密」で、あなたがバッチに参加することで得るものです。

 

著者紹介

Oleg Rogynskyy

 

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文:  The YC Effect: Charting How YC Makes Your Company Better (2016)

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