数字で見る Startup School 2019 (Startup School 2019 #20)

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Kevin Hale
ベルリンの皆さん、こんにちは。

受講者
(拍手)

Kevin Hale
スタートアップスクールも10週目に入り、これがツアーの終点となります。本日は特別講義として、[Adora]と私が2人でプレゼンテーションを行います。

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本日の内容は、全て過去9週間のスタートアップスクールに関する数字に基づいています。まずはAdoraの話を聞いていただきます。約20分の講義の後、質疑応答または他に皆さんがお話ししたいトピックのために時間を取り、その後は食事をしながら時間いっぱい皆さんと交流を深めたいと思います。それが終わりましたら、皆さんが自分の会社の経営に取り組めるよう、また、もしまだYCに応募していない人がいれば応募できるよう、解散したいと思います。応募の締め切りは午後8時までです。ではAdora、どうぞ。

Adora Cheung
締め切りはベルリン時間ですと朝5時までです。

Kevin Hale
ベルリン時間で朝5時ですか。時間はたっぷりありますね。

Adora Cheung
ありがとうございます、Kevin。皆さん、本日はお集りいただき、ありがとうございます。先ほどKevinからも紹介がありましたが、私はYCのパートナーのAdoraと申します。本日はスタートアップスクール中に私たちが学んだことについてお話ししたいと思います。

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いよいよ10週目です。皆さん、お疲れ様でした。そして、おめでとうございます。

受講者
(喝采)

Adora Cheung
過去数週間、スタートアップスクールチームは世界の各都市を回り、スクールに参加している多くの創業者たちと会ってきました。私たちはこれまで20のイベントを15都市以上で開催し、2,000人以上の創業者たちと直接交流してきました。

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では、このスタートアップスクール開講時と同様に、様々な数字を見ながら、ツアーを終わりたいと思います。

皆さんの大半はご存知ないでしょうが、スタートアップスクールは、その開講中に大きな成長を遂げています。7月末にオリエンテーションを行った時は約20,000人の創業者および21,000社のスタートアップ、そして20,000人以上のコンテンツ購読者がいました。そして、開講中にさらに多くの人を迎え入れ、本日現在、その数字は40%以上増加しています。

つまり、現在スタートアップスクールには40,000人以上の創業者および30,000社以上のスタートアップがいるわけです。そして、コンテンツ購読者は77,000人以上いて、その人数は30~50%増となっています。女性創業者が最も人数を増やしていることを大変素晴らしく思います。

Startup School に入ると YC に通りやすくなる?

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さて、私たちが見たかったことの1つは、スタートアップスクールが有意義な場所となっているかどうかでした。そこで私たちは、過去2回のバッチにおいて、「YCから資金を調達できたかどうか」について、昨年のスクール参加者とそれ以外の人々を比較してみました。

結果は、過去2回のバッチにおいて、面接まで進んだスタートアップスクール参加者が9.7%だったのに対して、スタートアップスクール未参加者は9.1%でした。

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スタートアップスクールに参加していれば、面接まで進む可能性が6.6%高かったことになります。今年のコースでは、YC応募へのサポート、そして皆さんのスタートアップが、質問に対する的確な対応にフォーカスできるように重点を置いていたため、数字はもっと高くなると思います。

YC が受け入れたスタートアップは様々

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これらの数字をより詳しく見ていきます。

現時点において、106社のスタートアップスクール参加企業がYC入学を果たしています。面接まで進む可能性がより高い人々のグループについて考える時、理論的には欠点のない優れた人々がYC入学を果たしていると思われるでしょうが、それは違います。YC入学を果たしたスタートアップスクール出身の創業者たちは皆、それぞれ驚くほど異なっています。

完璧でなくても受け入れている

ツアーで訪れたあらゆる都市で、私たちは創業者たちから常に「YCは今でも完璧ではない会社も受け入れたいと思っているのか」という質問を受けてきました。つまり、自分たちのように完璧ではない会社でもYCに入学できるのか?ということです。ここでの重要なポイントは、YCは「欠点」を恐れていないということです。これまで私たちが受け入れたスタートアップの中で完璧な会社は1つもなかったと断言できます。

では、スタートアップスクールで学んでYC入学を果たした106社についてもう少し掘り下げていきましょう。106社中40社は、YC入学時にトラクションがありませんでした。つまり、収益ゼロ、ユーザーゼロだったわけです。収益ゼロだった会社は57社ありました。50社は資金調達をしておらず、銀行預金ゼロでした。中には、まだ法人化していない会社もありました。かなりの数の人が、まだ別の仕事をしていたり、大学在籍中であるためパートタイムでしかビジネスに携われなかったりという状態でした。40社は再応募でした。

何度も挑戦することを推奨している

ここで皆さんにお勧めしたいことの1つは、たとえYC入学が叶わなくても何度も挑戦してみる、ということです。多くの人が3~4回の応募経験があり、4~5回目の応募で入学を果たしています。中には応募時のアイデアが私たちの見る限り良いものではなく、バッチ中にピボットした会社もあります。これは12社ありました。締め切りに遅れて応募してきた会社もたくさんあります。ですから、この動画がアップされる頃には締め切りは過ぎているはずですが、それでも応募することをお勧めします。

単独の創業者でも大丈夫

最後に、今回のツアーで最も聞かれた質問として、「私は単独創業者ですが、YCに応募できますか?」というものがあります。答えはもちろんイエスです。スタートアップスクールからは10人の単独創業者がYCに入学しています。現在のバッチで言えば、大体10%が単独創業者です。もしかしたら、それより多いかもしれません。

私たちは、全てのチームに技術系の共同創業者を入れるよう強くお勧めしています。しかし、そういったメンバーがいないとYCに入学できない、というわけではありません。実際、スタートアップスクールからYC入学を果たした会社のうち、技術系でない会社が3社ありました。

YC に入るためにはどうすればよいのか?

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では、こうした創業者と同じように成功を収めるには、どうすれば良いのでしょうか?方法は実にシンプルです。私がこれからお話しすることはスタートアップスクールの講義内容と重なる部分が多いと思いますが、皆さんにとっての最善策をお教えしましょう。

明確であること

応募時に自分のスタートアップについて話す時、「あなたは何を作っていますか?」という質問をされます。

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ここでは非常に明確な回答が求められます。数週間前に行われたKevinの講義をご覧になっている方には、これからお見せするスライドはまだ記憶に新しいものでしょう。

まず、自分が取り組んでいることを明確に表現することです。専門用語を使ってはいけません。明確であるだけでなく、辞書に載っているような言葉を並べてもいけません。

簡潔であること

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そして、話のポイントを簡潔に表現してください。

文字数を少なくする

「あなたは何を作っていますか?」という応募時の質問に関して、もっと具体的な話をしますと、

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YCに入学したスタートアップは平均78ワードで自社が何をしているかを説明しています。78ワードを多いと感じるか少ないと感じるかは人それぞれですが、実際にはこのスライドのようになります。

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言いたいことを2つのパラグラフで要領良く説明しています。ですから、ご自身の説明文がこれより長く見える場合は、文章を精査して内容を切り詰め、不要な文がないか探してください。

では、これが適切な説明文の例であるとすると、駄目な例とはどんな感じでしょうか?

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これは私が気に入っている例の1つで、入学には至らなかったものです。面接にも進めませんでした。ここでは全文を掲載できませんでしたが、お読みいただければわかるように、この創業者は…どのような人物であったか詳しくは覚えていませんが…、簡潔な文章にする必要があることは理解していますが、それでも長文を書こうと決めたわけです。実際、これは過去2回のバッチの応募者全ての中で最長の説明文で、2,000ワードを超えていました。

当然ですが、こういうことはしないでください。長い文章を書いたからといって、どのようなスタートアップであるのか良く理解してもらえるわけではありません。読み手は混乱しますし、フラストレーションが溜まるだけです。そして、「この人はスタートアップの説明における簡潔な文章とは何か、理解していないな」と思われるだけです。

想像してみてください。自分のスタートアップについて説明するのに、これだけの長文が必要であるとしたら、10分間の面接を受ける場合、皆さんが説明を終える前に面接は終わってしまいます。さらに、YCで学んだことの総決算として行われるのがデモデーでの2分間のピッチです。ここでは先ほどのスライドよりも、さらに短い時間で説明しなくてはなりません。

ですから皆さんは、自分の会社はどんなことをしているかを簡潔に説明する練習を今すぐ始める必要があります。

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ここでスタートアップスクールの良い点として挙げられるのが、スクールに登録をした人は、自社について200字未満で説明するよう求められることです。

これはスタートアップスクール受講企業が使用している字数とワード数をまとめたヒストグラムです。多くの受講者が200字ギリギリまで使い、もっと詳しく説明したかったけれど断念せざるを得なかった、というところでしょう。私たちが無理矢理そうさせたからですね。これは平均で約40ワードまたはそれ以下です。

つまり、私たちが強制的に字数を切り詰めさせた結果、平均78ワードよりもさらに少なくできたわけです。これは良い点です。これをもとにYCへの応募書類に自社の説明を書く時は、すでに使用しているワード数からあまり増えないようにすることをお勧めします。

推敲すること

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ここで、私たちが気付いたこと、そして心配していることに触れておきます。それは、皆さんがスタートアップスクールを始めた当時に書いたあの説明文を、手直ししていないということです。10週間のコースを通して、私たちはこういった説明文のブラッシュアップをサポートしようと心掛けてきました。実際、多くのグループセッションはそれをサポートするように設計されていました。しかし、毎週ピッチを練習する中で、皆さんの多くは自分が最初に書いたプロフィールをもう一度見直し、会社説明を推敲する、という作業をしていません。

実際、私たちYCがスタートアップのサポートとして力を入れていることの1つは1~2行の会社説明のブラッシュアップです。次回のスタートアップスクールでは、この点について、より重点的に取り組む予定です。修正の記録を必ず残すようにしてもらおうと思っています。推敲回数の中央値はわずか1ですから、皆さんの説明文は現状から劇的に改善する可能性が高いと思います。

優れた会社説明の書き方について、もっと多くのコツを知りたい方は、

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Kevinが前回行った「スタートアップのアイデアを評価する方法:パート2」をご覧になってください。YouTubeのチャンネルにアップされていますから、是非ご覧になってください。皆さんもおわかりのように、多くのスライドはそこから引用しました。

では、ここからはKevinにお願いしましょう。

進捗報告から分かったこと

Kevin Hale
皆さんはたくさんのデータを提出してくれましたね。

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私たちは皆さんに、毎週、会社の進捗を報告するようお願いしています。Kevin inspirational botからメールが届いた方は、私たちが皆さんに10~15分程度で構わないので、進捗報告のための時間を作って欲しいと言っているのだとご理解いただけたことでしょう。

ここまでの9週間で124,000件以上のデータが集まり、多くの興味深い洞察が得られました。

最も大きな障害だと感じていることは「資金調達」

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1つ目は、スタートアップスクール受講中の会社が、最大の障害であると感じるものについてです。私たちにとって驚くべきことではありませんが、気になってしまうのが、皆さんが最も気にかけていることが資金調達である、という点です。

皆さんはリソース不足に頭を悩ませ、資金不足のために前進できずにいました。この調査に関して興味深い別の点は、共同創業者の必要性が6位であったことです。私がこうした点を指摘する理由は、実際にKPIを向上させることができた人の話や、その人たちが最も重要であると考えたメトリックについてテキスト分析をすると、全く異なるものが見えてくるからです。

KPIを動かすものは資金調達ではなく「ローンチ」

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つまり、皆さんが最大の問題であると考えているものと、皆さんを最も助けてくれるものが、全く異なっているわけです。

KPI向上を助けてくれるものの1位は、当然、ローンチです。外の世界に踏み出すことです。ローンチすればKPIを変化させることができますので、実に効果があります。他にも色々ありますが、その多くはプロダクトや対ユーザーに関することです。

最もKPIを変化させるものにフォーカスすること

自身が最大の問題と考えていることと、自社のKPIに最も変化をもたらすものが、このリストのように異なっている場合は、

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Adoraの講義動画をご覧になってください。効率的な時間の使い方について学ぶことができます。この講義動画はYouTube上でも非常に好評で、最速のスピードで広まっています。KPIをより向上させるという視点から「to doリスト」を考えたい時、非常に役立つヒントが語られていて、多くの人が参考にしています。

ユーザーから得られる洞察は「デザイン&UX」

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また、皆さんには「ユーザーと話をして何を学んだか教えてください」とお願いしましたが、これらが、皆さんからの回答の上位項目です。予想どおりでしたが、プロダクトに関するものがほとんどです。つまり、皆さんができる最善の行動とは、人々が求めるものを作り出すことです。

上位2件はコンバージョンとマネタイゼーションに着目しています。

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私は、ランディングページへのコンバージョン改善とプライシングという2つの講義を連続して行っています。ユーザーのために色々と改善したいと思っている人は、まずこれらの動画を見るのも良いでしょう。

ローンチまでの中央値は「4週間」

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さて、現実を見てみますと、残念ながらスタートアップスクール参加者の大半はローンチにこぎつけていません。ローンチしていない場合、追跡するKPIはローンチまでに要する週数(WTL:Weeks to Launch)となります。これらは受講者たちの実績値で、平均すると7週間だったWTLは、最終的には何らかの理由で5週間に減っており、現在までにはゼロになっていることになります。

ここで非常に興味深いのは、WTLの中央値がおよそ4であることです。これは、平均的にはWTLが長い人々に大きく影響されていることを意味しています。これは非常に良くない状態です。まだローンチをしていない方は、テーマを見つける必要がありますね。

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「MVPのプランニング」に関するMichaelの講義動画をご覧になってください。この講義で彼は、初期バージョンのプロダクトは、ローンチまでわずか数週間であるべきだ、という話をしています。この中央値は私たちがスタートアップスクール企業に推奨する数値の倍です。

ハードテックのヘビーMVPのローチまでの中央値は「8週間」

講義の中で彼は、私たちYCで[聞き取り不能]使用している、ヘビーMVPという新語を考案しています。これは、ハードテックまたはバイオテック企業の場合、もう少し本格的なMVPとする必要があるかもしれない、ということを意味しています。

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実際、皆さんもそう感じたようで、想定するWTL数は、ほぼ倍になっています。

しかし、ここで残念な現象が見られます。

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まず、平均的なスタートアップスクールのWTLを表したこのグラフを見ますと、時間と共にやや下降しています。そしてこちらはバイオテック/ハードテックのスタートアップですが、時間と共に上昇しています。

[聞き取り不能]は週を経て機能を追加していますが、これは良くないです。なぜなら、200社以上のバイオテック/ハードテック企業に資金を提供してきた私たちの経験からしますと、この2種類に関わる会社は、他の会社とは異なるアドバイスまたはルールに従う必要があるからです。

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ですから、バイオテック&ハードテック企業向けアドバイスに関するJaredの講義動画をまだご覧になっていない方は、見ることをお勧めします。

講義の中で彼は、より軽量なヘビーMVPを作り上げた優秀なYCカンパニー7社の例を紹介しています。そして、最初のバージョンを作り出すための数百万ドルの資金や多くの時間がなくても、会社を軌道に乗せることができる創造的な手法について話をしています。

半分以上の企業が期間中にローンチ済みに

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さて、ローンチにこぎつけた皆さん、立派ですね。この数字はローンチをしたスタートアップから毎週提出されるアップデートの比率を示しています。コース開始時は毎週のアップデートの3分の1はローンチをしたスタートアップから提出されており、終盤にはその数字は50%になりました。これは実に素晴らしいことです。

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実際、私たちが追跡することができたスタートアップ2,253社は、スタートアップスクール在籍中にWTLから他のKPIに変更していました。これを私たちからの視点で見てみると、Y Combinatorが自らのプログラムを通じてこれほど多くの会社をローンチに至らせるのに10年以上かかったのに対し、スタートアップスクールではこれを10週間で行ったことになります。

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では、Adoraからグループセッションについて説明してもらいましょう。

グループセッションについて

Adora Cheung
ご存知のとおり、スタートアップスクールでは自社に関する説明の練習のため、皆さんと他のスタートアップとのグループセッションを毎週開催し、最後に全員が3つのメトリックで相互評価する、ということをしてきました。3つのメトリックとは、「このアイデアを理解したか?」、「このアイデアにワクワクしたか?」、「この創業者と一緒に働きたいか?」です。

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まず、最初の質問に関してですが、皆さんは徐々に自分のアイデアの説明が上手くなりましたね。

ご覧いただけるように、週毎の差異は0.1%以上でした。大局的に見ますと、0.1%の増加というのは、スタートアップスクール受講中のスタートアップ数から計算した場合、約100社に相当します。そして終盤には、全体で7.1%の増加となりました。

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セルフセールスの改善に関しても徐々に改善が見られ、当初から9.5%の改善となりました。

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最も大きく改善されたのが、他者に自分のアイデアに強い関心を持ってもらう力で、当初から17%の改善となりました。これに関しては、もっと手を加える必要があると認識しています。

将来的には、皆さんの上達をサポートし、皆さんのアイデアに他者が感動できるようにするための講義を作りたいと思っています。自分のアイデアで他者を感動させられるようになれば、将来的には従業員の採用、顧客の獲得、投資家の誘引に役立ちます。

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投資家向けピッチをもっと上達させたいという方は、Kevinが担当した2つ目の講義、「スタートアップのアイデアを評価する方法:パート1」をご覧ください。私ならそれを参考にします。

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定量評価が創業者の行動により良い働きかけとなる中、スタートアップスクール受講中の創業者も相互の定性的フィードバック、つまりグループセッション後のコメントタイムを好んでいました。こうしたフィードバックの提供における、皆さんの相互協力の強さには驚かされました。実際、コース中には93,000件以上の定性的フィードバックが行われました。

多くの皆さんが、顧客への説明の仕方が改善するようお互いをサポートしていました。魔法のようなことを実現させようとして苦戦している人に対して、非常に大きな助けとなる激励の言葉をかけた人も多かったと思います。

こうしたグループセッションを行う主な理由の1つとして、グループセラピーによる精神的サポート効果があります。なぜなら、私たちは皆、同じことを経験している仲間だからです。そういった意味で、これは私たちが求めていた成果を達成したと思います。コメントから見られた皆さんの寛容さは、バッチ参加中のスタートアップを大きく成長させてくれます。これは全ての人にとって、とても大きな意味を持ちますから、そのために時間を割いてくださった皆さんに感謝いたします。

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しかし、これとは反対に、皆さん全員が素晴らしかったわけではありません。セッションに不参加であった人も多くいます。グループセッションへの参加を希望していたスタートアップのうち19%は不参加でした。

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このグラフは過去9週間のアップデート、グループセッションの要請、参加者、不参加者の数を示しています。

奇妙なことに、毎週アップデートを提出していたスタートアップのうち23%はグループセッションの要請さえしていませんでした。次回のコースでは、グループセッションがスタートアップにとってより参加し易く、より便利なものとなるよう、考えたいと思います。なぜなら、これはピッチの改善だけではなく、意欲といった理由からも非常に役立つものだと思うからです。

Kevin Hale
興味深いことですが、このグラフは初週に私たちのやり方に手落ちがあったことを示しています。提出されたアップデート数とグループセッションの要請数に大きな差があるのは、スタートアップスクール開講当初、グループセッションの要請方法に関して皆さんが非常に混乱していたことを示しています。そのため、最初のグループセッションに関しては全員が無料で「お試し」できるようにしています。そして、このギャップは時間が経つにつれて安定化しています。

Adora Cheung
皆さんが自分のスタートアップ改善にメトリックを使用しているのと同じで、私たちもメトリックを使用して改善を図っているわけです。

創業者の士気に関する調査

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Kevin Hale
さらに私たちは、「今の気分は?」、「スタートアップ経営に対する意欲は?」という質問も皆さんにしていました。

総数124,000件におよぶ毎週のフィードバックからは、時が経つにつれて皆さんの幸福感が若干高まっていく傾向が見られました。私たちは、会社の意欲に影響を与えたり、違いをもたらしたりするものが何であるかを把握するため、フィードバックを分類してみました。そして、私たちY Combinatorのプログラムに関する非常に興味深くユニークな洞察にたどり着きました。

技術系スタートアップのほうが 2.6% 幸福

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1つ目は、当然のことながら技術系スタートアップの方が、幸福感を感じているということです。これは物事が進捗しやすいというのが理由です。こうした差や変化は小さなものだと思われるでしょうが、私たちがスタートアップ各社から収集したデータの総量からすると、これは統計的にかなり有意な数値であることを忘れないでください。

定量的幸福を求めるのであれば、次のような方法を取るべきです。

ローンチできたスタートアップのほうが 2.6%幸福

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まず、ローンチできた人は、ローンチしていない人よりわずかに高い幸福感を覚えています。ローンチに対する考え方を変えるにあたり、多くの会社にとって非常に役立ったのが、

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Katが担当した「ローンチの反復について」という講義です。マスコミを巻き込むようなローンチから、定期的に出荷、展開する作業へとハードルを下げるために、とても役立つ講義でした。

フルタイムで取り組むほうが 5.13% 幸福

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フルタイムでスタートアップに取り組んでいる人は、明らかに高い幸福感を感じています。なぜなら、おそらくより大きく進捗できるからです。

収益を生み出すほうが 5.13% 幸福

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収益を生み出している人は、より幸福感を感じています。「幸せはお金で買えない」という昔ながらの格言は正しくありません。

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こうした収益へのフォーカスについては、Adoraが素晴らしい講義をしています。「KPIと目標の設定方法」は彼女がスタートアップスクールで最初に行った講義ですが、このテーマは過小評価されているものの1つだと思います。このAdoraの講義では、皆さんのうち99%は収益にフォーカスすべきであり、それができているかどうか自分自身に正直であるべきだ、ということが語られています。

グループセッションに参加したスタートアップのほうが 6.49% 幸福

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ここに実に驚くべきデータがあります。グループセッションにきちんと参加した人々は、不参加の人々よりずっと大きな幸福感を感じています。スタートアップに取り組む中で、他者と話をする機会があり、バッチにおいて自分もコミュニティの一員であると感じられることは、スタートアップへの取り組みに対して幸せを感じるという結果に繋がります。セッションに全く参加しなかった人に比べて、幸せを感じる度合いが高くなるわけです。

共同創業者がいるスタートアップのほうが 7.5% 幸福

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最も幸福感を感じているコホートはチームに属している人々で、これは私たちが常に「共同創業者を持ちたいと思っている会社が欲しい」と言っている主な理由の1つです。独力でスタートアップに取り組むことは非常に大変で、大抵の場合、「意欲」は多くの会社や創業者の命運を左右します。

先ほどお話しした「共同創業者を探して欲しい」という私たちの言葉は、皆さんのスタートアップを長持ちさせるためであって、単独創業者は歓迎されないという理由からではありません。

ユーザーと話しているスタートアップのほうが 12.8% 幸福

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そして、スタートアップスクールを通して私たちが学んだ、最も驚くべきことは、ユーザーと話をしている創業者およびチームは、話をしない人たちより、時が経つにつれて遥かに大きな幸福感を感じているということでした。

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これら2つのコホートに関して興味深いのは、ユーザーと全く話をしなかった人々が、9週間のスタートアップスクールの間に意欲が低下した唯一のコホートであったことです。

もし落ち込んだらユーザーと話そう

こうした意欲に関する教訓は、

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「落ち込んでいる時はユーザーと話をしなさい」ということです。

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これには多くの時間を必要としません。スタートアップスクールのチームが話をしたユーザー数の中央値は、週にたった3人でした。ユーザーとの対話からは非常に多くの洞察を得られますし、プロザック(訳注:抗うつ薬の一種)より良いことは明らかです。

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ユーザーとの対話法や、プロダクト改善に役立つ、体系的でより良い方法についてもっと知りたい方は、スタートアップスクール初週にEricが行った講義の動画をご覧ください。

まとめ

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ではAdora、本日の講義のまとめに入りましょうか。スタートアップスクールは皆さんが面接に進むのをサポートするものです。完璧でなくとも大丈夫です。就業経験がなくても入学できます。

自社の説明は78ワード以内を心掛けてください。ローンチを優先させてください。皆さんはローンチまでに時間をかけ過ぎている可能性があります。ピッチは練習を重ねるほど上達します。自社を理解してもらえる、大好きになってもらえる、一緒に働きたいと思ってもらえる話をしてください。

最後に、ユーザーとの対話は皆さんに幸福をもたらします。ですから、この後の時間は、私たちも皆さんと話をしていきたいと思います。

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どうもありがとうございました。

 

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
動画: Kevin Hale and Adora Cheung - Startup School 2019 by the Numbers (2019)
トランスクリプト:Kevin Hale and Adora Cheung - Startup School 2019 by the Numbers

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