地図と地形 - CFO と CEO の関係性 (a16z)

“To me it’s kinda funny, the attitude showing a n*&#a driving
But don’t know where the fuck he’s going, just rolling”

—Easy E, “Straight Outta Compton

数年前、私はCFOのDave Conteに怒鳴ったことを覚えています。彼は、より多くのセールスパーソンを早く追加することで、以前よりも高い収益を生み出す財務モデルを構築しましたが、他の変更はありませんでした。私は「おい、Dave、スプレッドシートはビジネスじゃないぞ!」と言いました。セールスパーソンの質、オンボードとトレーニングの包括性、競合他社の強さ、セールスイネーブルメントとマーケティングの質、リードの数など、正確な数字で収益を上げるためには他にも多くのことが必要であるという事実に、私のフラストレーションが湧いてきたのです。地図が地形ではないのと同じように、スプレッドシートはビジネスではないのです。

しかし、実際のところ、Daveは私に怒鳴り返すべきでした。彼はこう言うべきだったのです。「Ben、地図なしで地形だけを見て走り回ってもどこにも行けないぞ」。これは私がもっと早く学んでいればと思う教訓です。スタートアップのCEOは、Product/Market Fitを見つけるまで、PMFに関する疑問に圧倒されます。その間、ビジネスは単純なので、a) 地図は本当に必要ないし、b) 持っている地図は常に最新というわけではないので、時間の無駄になります。しかし、事業が成長するにつれ、事業はより複雑になり、頭の中ですべてを把握しておくことは不可能になり、全員を同じ認識にまとめておくことはさらに困難になります。そこで地図の出番です。良い地図は、長期的にみたときに、価値のある会社への一番の近道を提供します。

よく経営されている会社では、CEOは地形を所有し、CFOは地図を所有しています。しかし物事を機能させるためには、CFOは地形に関する優れた理解を持たなければならず、CEOは包括的に地図を知っている必要があります。だからこそ、2人の関係は特別であり、重要であり、親密なものでなければなりません。CFOが売上高に占める研究開発の割合や販売効率などの理想的な目標を知っていることは素晴らしいことですが、それが自分の会社の地形とどのように関係しているのかを正確に理解していなければ、非常に悪いアドバイスをすることになるかもしれません。同じように、CEOは製品の競争力の強さと弱さ、人材の質、見込み客や顧客の考え方、製品が本当にフィットするところと合わないところを正確に把握しているかもしれませんが、それらすべてがどのようにして価値あるビジネスに結びつくのかを細部に至るまで鋭く理解していなければ、コストのかかるトレードオフのミスを犯し、会社が壁にぶつかってしまうかもしれません。

ですから、もしあなたがCEOでCFOを雇おうとしており、何を求めているのかわからない場合は、ここから始めた方がいいかもしれません。自分のビジネスを正確にマッピングしてくれる候補者は誰でしょうか? さらに重要なのは、巨大な財務モデルの数字を一つ一つ確認したいと思える相手は誰で、さらにそうした数字の仮定のどこが正しく、どこが不安定な計画になっているかを説明したいと思うのは誰でしょうか? そして最も重要なことは、「あなたは間違った方向に向かっている」と言われたときに、あなたが信頼できる人は誰でしょうか?

 

著者紹介 (本記事投稿時の情報)

Ben Horowitz

ベン・ホロウィッツは、ベンチャーキャピタルの Andreessen Horowitz の共同創業者であり、ジェネラル・パートナーでもあります。彼は、ニューヨークタイムズのベストセラー『The Hard Thing About Hard Things』と『What You Do Is Who You Are』の著者です。また、a16z Cultural Leadership Fundを設立し、最も偉大な文化的リーダーを最高の新技術企業につなぎ、より多くのアフリカ系アメリカ人の若者が技術産業に参入できるようにしています。

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: The Map and the Terrain (2019)

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