スタートアップへの投資入門:なぜ、どうやって、何に投資するか?(Investor School #02, Sam Altman)

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文:  Investor School (Y Combiantor)

目次

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ありがとうGeoff、そして皆さんにもきてくれたことに関して感謝しています。嬉しいですね。ここにこんなに多くの人が集まるなんて。

それでは、スタートアップ投資に関するWhy、How、そしてWhatについてお話していきたいと思います。あなた方の多くが既にスタートアップに投資しているわけですし、Whyについては少ししか話しません。かと言ってこの授業のために何も準備してないわけでもなく、私が知る中で最高の投資家になぜスタートアップに投資をするのかという理由を聞いてきました。

Why: 最高の投資家たちに共通する 3 つのモチベーション

私はその(最高の投資家たちの)回答と、まだ最高水準に達していないと思われる人たちからの回答とを比べてみました。この世界で最も結果を残してきた人たちが投資する理由とモチベーションが何なのか、考えてみる価値があると思います。

彼らが口を揃えて言うのは、これらの3つの言葉です。私も共感しています。

1. 起業家からエネルギーを貰えるから

f:id:bfore:20180707113719p:plain私がスタートアップに投資するにあたって最も喜ばしいこと、それはエネルギーを貰えるということです。

いつも世界に対してネガティブではなく、無限のエネルギーを持ち、新しいアイデアでいっぱいで、そんな人たちと働いている気がします。

彼らには「未経験の美」があります。彼らはまだ知らないんです。初めて何かに挑戦する人は、経験豊富でいろんな山を乗り越えてきた人が挑戦しないようなことをやりたがります。それは周りも活性化してくれます。

2. 未来を創り出す手伝いができるから

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「未来を創り出す手伝い」、これは最高の投資家たちが何度も言った言葉です。その一環として、繰り返し出てきたテーマが「時間の活用」、複数のことに取り込む能力です。

大抵つぎ込んだお金はなくなってしまいますが、それが時折100倍、1,000倍になって返ってきます。スロットマシーンに夢中になるのと一緒で、非常に中毒性があります。

時には、素晴らしい企業の有名な創業者が「8、10年ほど前にしていただいたこと、それが私のキャリアの運命を変えるできごとでした」と言ってくれることがあり、そういう時にやりがいを感じます。とても喜ばしいですね。

3. 有能な人たちの周りにいることができるから

世界で最も有能な人の周りにいることができます。未来に関しての果てない前向きさ、その周りにいることが私の個の幸せのために大切なんです。スタートアップ創業者の世界の外には、そのような場所はあまりないのではないでしょうか。自分の小ささを感じます。

私は株券の裏にポストイットで、どれくらい確証があるのか、そしてその企業が今後どうなっていくのかを予想してメモをします。そして、あなたもよく予想が外れることに慣れるでしょう。ただ大体の予想は外れることや、そういったフレームワーク、精神的な調整は人生における他の場面でも役に立ってます。

学ぶことも多くあります。改善することもできると思いながら練習すると、多くのことを学ぶことができます。瞬く間に上達できます。

How: どうやって投資をしていけばいいのか、投資家としての態度

さて、それでは主要セクションに進みましょう。HowとWhatです。

他人の意見を気にするな(意思決定をアウトソーシングするな)

私が投資し始めた頃の一番の誤ちは、「べき乗則」を誤解した、ということではありませんでした。

一番の誤ちは、他の投資家の意見を気にし過ぎたことです。そんなものはなるべく耳に入れないほうがいいです。これは多くの人が投資し始める時に犯す間違いだと思います。

過去に成功してきた投資家の意見に振り回されやすいんです。ほとんどの人が、まず最初に聞くのが、なぜスタートアップなのか、ほかに誰が投資しているのかということです。

みんなアウトソーシングしてるんです。80%の投資家たちは、80%の投資機会に関する意思決定基準を他人にアウトソースしていると思います。

ですが、問題はみんながそうすることです。そうすると、妙に学校みたいになるんです。何かしらの理由でとある企業が注目を浴びたり、流行に乗っていたりしたら、みんながその企業に投資したがるんです。たった数人がその企業に興味を持ったのをきっかけに。

なので、私が犯した一番の誤ちは良くも悪くも他の投資家が企業に対して持つ意見、それに振り回され過ぎたことです。

べき乗則を理解しよう

それを軌道修正したあと、次に大きい過ちが、べき乗則を理解していなかったことです。

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べき乗則とは、一番いい投資の価値は、二番目以降の価値を合わせたものよりもよい、というものです。そして二番目によい投資が三番目以降の投資全ての合計より価値があります。これは多くの投資家たちがたどり着く深い真実のようなものです。

また、(べき乗則は)あまりにも反直観的なため、ほぼ全員が間違った方法で投資しているかもしれません。

なのであなたが自分に問うべき問い……、いや、ほとんどの人がエンジェル投資活動を始めるときに直面する問いは、「たくさんのシングルヒットを打つことができるか?」です。

他のほとんどの分野の投資では、それが正しいやり方です。株や債券などに投資するつもりなら。正しいやり方です。できるだけ長くヒットを打ち続けるだけです。

エンジェル投資はホームランビジネス

ですが、エンジェル投資というのはホームランを打つビジネスなので、ホームランに成り得るものを探していきます。ここで何度も繰り返し話しますが、これこそが一番大切な学びだと思います。また、多くの投資家が間違えてしまうところでもあります。

失敗率は関係ない

大切なのはですね…あなたのビジネスがいかに大きく成功するかです。失敗率の話ではないんです。

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ほとんどの投資家は失敗率について話します。まぁ、エンジェル企業を立ち上げようとしている人が話しに来ますと、まず最初に聞いてくるのが失敗率についてですけどね。

許容範囲内の失敗率とはなんでしょう。聞くべき質問を完全に間違えていますね。エンジェル投資に関して間違った考え方です。投資の95%が失敗しても、そのうち一つが10億ドルになって返って来たらトータルではハッピーですから。

「成功したらどれだけ大きくなるか」を問え

なのでこう考えるべきです。スタートアップ起業家に会うとき、私が自分にまず問いたいのがなぜ彼らが失敗するのか、失敗の理由ではありません。まず私が自分に問いかけるのは、これが成功したらどれだけ大きくなれるかです。

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この創業者、このアイデア、この市場が大規模な企業を支えているのを想像できるか。その次に、失敗につながるもの全部について考えます。

ただ、最初に失敗に集中すると大成功する可能性を持つ企業を排除してしまう事に気づいたんです。大きく成長する可能性のある企業というものは、「いいアイデアと悪いアイデアの交差点」みたいな場所に居ます。それはとても狭い交差点で、悪いようにも聞こえてしまうのです。いい投資家というのは安易に悪いポイントについて考えるのを止める人です。

エンジェル投資家としてのディールソーシング方法

次に、どうやってこのような企業を見つけるかについてです。10年ごとに一握りしかいない、利益をほぼ全部稼ぎ出してくれるような企業をどうしたら見つけることができるのか。

べき乗則の数値例ですが、YCでは1,600から1,700社へ資金を提供して来ました。その内トップ5社が、当社が創り出した価値の3分の2ほどを占めています。1位の企業が3分の1ほどを占めています。3分の1くらいです。これはとても極端で反直観的なことです。さて、どうやってこういった企業を見つけることができるのか。

ネットワークの外にいる人を探そう

もう一つ特筆べきことは、時代を作るような企業の多くは起業してすぐメディアに取り上げてもらえるような人ではなく、ネットワーク外にいる、あまり知られていない人達によって起業されたものだというです。なので探さなければいけません。

ほかの起業家に教えてもらおう

一番いいのは他の創業者から教えてもらうことです。YCでしようとしていることの一つが、創業者たちに本当に気に入ってもらえるように尽くすことです。気に入ってもらって、彼らの友達に「YCは搾取するよりもはるかに大きな価値を生むんだよ」とオススメしてもらえるようにするのです。「彼らと働くべきだ」って。

投資するべき企業を見つけるに当たって、この口コミというアイデアは素晴らしいものです。

エンジェル投資家として創業者を無料で助けてみよう

まだ始めたばかりなら、最も成功しているエンジェル投資家たちがよくするのは、まず創業者を無料で助け始めることです。まずその企業に投資する事になりますが、それが後々、他の創業者を紹介してもらう事につながると気づいているんです。人繋がりで別の知らない人と繋がっていく、これがとても大切なんです。

YC はオープンであることに努めている

YCではこの、オープンネットワークの価値についてよく話します。エンジェル投資家の多くが、彼らと出会うのがどれほど困難なのかということを自慢したがります。何かしらのつながりがなければ相手にしてもらえず、過去に一緒に働いた経験が多い人からでないと紹介してもらえず、あなたも経験豊富で有名でないといけません。

私たちはそこをとても明確にしています。この世界の誰でも私たちのウェブサイトからクリックして問い合わせをすることができます。また、メールでも、メールをしてくれた方々には返信するよう務めています。

個人ブランド、評判、ネットワーク、これらを持たない人でも私たちは真剣に向き合います。ネットワークができている人には、私たちがまだ知らないより有望な人と繋げてもらうよう頼んでいます。

YC の重要な秘密は「オープンであること」

私たちのドアが万人に開かれている、オープンである、といういうアイデアですが、これはYCの最も重要な秘密のトップ2か3くらいに入ると思います。これは他社との大きな違いです、このようなことをやった人はいませんでした。

実に、一般的に自慢されていたことの真逆になる行動を私たちはとったのですが、これは強くお勧めします。送り主のわからないメールにでもオープンに対応しましょう。理論上では会いたいとは思わない人でも紹介されたらオープンに対応しましょう。10中9回は時間の無駄になります。ですが残り1回が価値を生み出します。

評判が重要

ここ10年、もしくは15年の間に大きく変わったことは、今はよいスタートアップの数より、よいスタートアップに投資したい人の数の方が圧倒的に多くなったことです。それによって創業者が主導権を握るようになりました。

投資家の前に(訳注:スタートアップが)来るときには、よい企業の創業者の方に選択肢が多くあります。創業者は(訳注:投資家などについて)よく喋るようになりました。ネットワークが大きくなり、投資家が権力を握っていた不均衡さがなくなりました。

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近い将来のうちに前世代のような状況に戻るとは思えません。あなたの評判はとても重要です。つぶれそうな企業から最後の数滴を絞り出すより創業者に気に入ってもらって「あの投資家はいい仕事をしたよ」と言ってもらうことの方が、あなたの投資家としての将来に重要です。

私が見てきた中でも、べき乗則から言えば箸にもかからないような死に体の会社から数百ドルを搾り取るために、信じられないくらい長期にわたって評価に傷がつくようなことになる投資家も多くいます。長期的に見るとやる価値がありません。評判はとても大切です、特に企業がうまくいっていない時の評判は重要です。それが、2018年のシリコンバレーで交渉成立する秘訣だと思います。

投資家も経歴を照会をされる

私たちが創業者たちに口酸っぱく言っていること、そして自分の企業に投資したい複数の投資家を見比べている創業者がすることは、投資家の経歴照会をすることです。ちょうどあなたたちが彼らに対してそうするように。

多くの創業者が一緒に働く投資家を選ぶときに使う選択基準は、その投資家が資金を提供した他の創業者たちの意見です。なのでこれは今後も重要であり続けると思います。

他にもできることはあります。契約を結ぶ前から手伝うのもいいと思います。迅速な判断力、推論の明確さ、素早く反応すること、聞く耳を持つこと、そういった創業者に望むすべてのもの、それらもすべて助けになります。ですが、「一緒に働きやすい」という評判はとても重要で記憶に長く残ります。

どうやって良い投資ができるようになれるか

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もう一つよく聞かれる質問がどうやったら(訳注:会社の株を)安く買えるか。どうやって他の誰よりもよい条件を得ているのか、です。

最近のある会社の話をしましょう。例えですが、シードラウンドに参加予定の投資家が10人いたとします。10人全員がアドバイザー株を欲求しました。

10人全員が「他の投資家と違って私は本当に仕事熱心です。私だけがアドバイザー株を有しますので、他の方々に参加だけしてもらえばいいです」と言いいます。10人全員が同じことを言うんです。私だけ。アドバイザー株が必要です。

多くの人は、いい取引を探しているだけなんだと思います。バリュエーションが高いと感じるから。私は7、8年前からバリュエーションが高いと感じています。

エンジェル投資家はバリュー投資が必勝法ではない

私の過去最高の投資を見直してみました。今まで最高の投資は他に誰も投資したがらない馬鹿げたディールか、ものすごく高いと感じたディールでした。多めに払ってでも投資したいと思った企業ほど成功しています。特にカモにされていると思ったときとかがそうですね。何か別のラウンドの3ヶ月後に大規模なアップラウンドだったら。痛かったですね。でもやりました。それは、その企業がとてもすごいペースで仕事をしているからだと思うんです。

一方で、あなたは公平な取引が来るのを碇を下ろして待っている、その動きを見ないといけないのに。私のスタートアップへの投資経験から言えば、1、2例を除いて、成功したのは高いなと感じた取引です。

そして、その例外の1、2例というのは、私が何かを感じていたけれども他の人が理解していなかったため、競合がいない企業でした。そのほかには、妥当な価格だと思って投資した企業はあまり成功していません。

エンジェル投資家として、バリュー投資はほとんどの場合は必勝法ではないと思っています。

What: 投資先選定のフレームワーク

さて、それでは質問の時間を残せるようにここは早く進めていきたいと思います。何に投資するかは難題です。これは私が使っているフレームワークです。私は100億ドル企業になる可能性があると思うものはなんでも考慮に入れるでしょう。それは厳しい基準ですが、他にルールはありません。

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なのでどの段階でも興味を示します。どの業界でも興味を示します。どんなビジネスモデルでも興味を示します。

他の投資家の中には「私はこの分野にしか投資しません」「私はこのステージにしか投資しません」という人もいます。彼らはそれで成功する術を持っているのかもしれません。私にはそんなことできたことがありません。偉大な企業、べき乗則でナンバー1になれる企業というのはものすごく珍しいので、そうなる可能性のあるものだけを選び、その他にはオープンでいることをお勧めします。

難しい企業を立ち上げるほうが簡単になっている

とても大きくなる企業について話すと、私の考えでは…これがずっと真実だったのかはわかりませんが、現在では「ハードな企業を立ち上げる方がイージーな企業を立ち上げるより簡単」だと思います。

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これもとても反直観的に聞こえますが、とても大きな企業を創るのなら、共に働き、注目し、企業について記事を書き、企業を気にかけ、助言をくれるよう人々を説得しなければいけません。

今から22,000番目の写真共有アプリを始めるのはとても難しいでしょう。もし核融合会社を設立するとしたら、多くの人がそれを助けてくれるでしょう。これはとても重要なことだと思います。結果的に大成功する企業には特にです。

本当に興味深いことですが、誰もが積極的に無料で助けてくれたり、チームに加わってくれたりします。そういったものを探すといいでしょう。自ら起業できる能力もあるような、実に有能な人材を何百人も集めることができる企業だと思うかどうかというのはとても重要なフィルターで、人々が十分に考慮していないものだと思います。

創業者で選ぶ

私たちがYCで学んだことで主に創業者で選ぶとよいというのがあります。

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非常に早い段階でのアイデアを聞いて「このアイデアは100億ドル企業になるだけのものはある」と言い切るのは難しいです。このことについてはまた後で話しますが、アイデアの将来性、なんて言うのは簡単ですが、これはすごいアイデアだと確信をもっていうのは難しいです。ですが、経験を積めば、創業者を特定することはできると思います。そういった企業を作るポテンシャルを持った創業者、その選び方について話しましょう。

創業者は強迫観念、フォーカス、質素さ、愛で選べ

パートナーの一人であるPaulは大企業を築く創業者にある4つの共通点をリスト化しました。それは強迫観念、フォーカス、質素さ、そして愛です。

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2、3年ほど前にミーティングで彼がふと発言したものです。それ以来、そのことについて結構考えてきました。他にも明らかに注目すべき点はありますが、まずはこれらに注目してください。

明らかに注目すべき点ですが、知能は本当に重要です。創業者にアイデアを与えれば彼らは企業を始められます。問題は、彼らは毎週のように起業のためのアイデアを生み出し続けなければいけないということです。常に大きな変化をもたらすクレイジーなアイデアを思いつかなければいけません。

良い創業者は「常にアイデアを生み続ける人」

YCで、優秀ながらアイデアを持たない創業者20人に資金を提供するという実験を試みました。結果、彼らは皆失敗しました。学べたことはいい創業者というのは常にアイデアを生み続けている人だということです。なのでこの要素もあれば創造性の要素もあります。

独立した思想を持つ能力も要素ですが、何といおうと、創業者にまず必要なのが問題を別の視点から見える特殊な知能と今はまだないがあるべきアイデアを思いつく能力です。

創業者は伝道師としてのコミュニケーション能力も重要

コミュニケーション能力も多くの人が十分に考慮しない創業者になるには重要な資格の一つです。創業者の仕事の大半はコミュニケーションです。誰かを雇う時、資金を調達する時、商品を売る時、起業の方針を決める時、その度にです。

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創業者の仕事の大半は企業の伝道者として振舞うことです。コミュニケーション能力が低かったり、素早く上達できなかったりすればとても不利でしょう。もちろん、有名な例外もいますが、全体的に見て見ますと本当に成功した企業の創業者は大抵コミュニケーション能力の高い人です。

実行速度で良い予測ができる

実行速度、これを測定する方法はたくさんあります。創業者として絶え間なく実行する必要性、このことについてはよく話します。これは成功と信じられないほど相関があります。

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YCで1週間か十日おきに勤務時間の間の時間を計測して、創業者の進歩具合を計ります。どれだけ早く新しいアイデアを取り、試し、「試して見て、これはダメだったけどこれはうまくいきました。そうしているうちに新しいアイデアが3つ思い浮かんだのでそれも試して見ました」と言ってくれるか。

この凄まじい実行速度は成功を予測するのにとても正確な要素です。履歴書だけ見ると最高な創業者がいっぱいいるのに、彼らは行動スピードが遅い。そしていつも行動しなかった言い訳を持っている。彼らは絶対に成功はしません。

そして逆にただ単に信じられない量のことを成し遂げる人たちがいます。彼らの反復速度、彼らが仮説を生成し、それをテストし、実装する速度は信じられないほど大きな成功と相関しています。

創業者の改善率にも注目する

創業者の改善率について。なので私たちのシードラウンドのために会いに来る創業者をBrian Chesky(訳注:Airbnb の共同創業者の一人)と比べて見たら100%失望するでしょうね。間違った比較です。小切手帳に手が伸びることはないでしょう。

ただ、スタートアップと同じで成長率に目を向けましょう。創業者の成長率も見ておくべきです。なので、YCで10週間かけてよくわかるのが創業者の成長率です。それはまた企業の成長率とは違います。

それに、人は常に急激な成長を過小評価します。そういったものには不慣れですから。なので数ヶ月一緒にいる間に急激な成長を見せる創業者を見つけた時は注目しましょう。

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最初のミーティングからBrian Cheskyを見つけることはできないでしょうが、将来Brian Cheskyのように成長する軌道に乗っている人を見つけることができるかも知れませんし、それはまた非常に貴重なことです。

今まで働いてきて10回あるか無いかの話ですが、確信を持ってこの創業者はとてつもないリーダーに成長するとわかっていたことがあります。要するに、感覚を信じたときこそ正しかったんです。私は本当にこの改善率の計測を信用しています。

間違ったモチベーションに気を付ける

徐々に気をつけていかなくてはいけないと思うのが間違ったモチベーションです。スタートアップを始めるというのは非常に長期的なコミットメントです。上手くいくまで10年以上はかかります。とても難しいです。諦めたくなる日も多いです。最近では早くお金持ちになれると思ってスタートアップを始める人も多いですが、残念ながらそんなことありません。

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スタートアップが野心的な人にとっての新しい標準的なキャリアパスになり、履歴書の一つのアイテムとして書くためであったり、大金を瞬く間に稼ぐためであったり、そういった理由でスタートアップをやっている人が多くいます。ですがそんなことしても失敗します。

スタートアップのときに耐えなければならない苦痛の量は、「あれ、他の仕事であれば、低リスクで自分の人生に与えるマイナスの影響が低くて、もっとうまくやれるんじゃないか」とどこかの時点で気づいてしまうでしょう。なので本当に使命感を持った創業者に集中するべきです。

YCでの成功と失敗、そしてポートフォリオを見てみますと、私たちが本当に成功する見込みのあった企業が失敗する場合、企業もしくは創業者に深い使命感がなかったことが見えます。なので私たちが重要視しているのは、最初のモチベーションです。

その人の下で働きたい、と思える創業者に投資すること

そしてまた、私がよく騙されていたことは、それほど有能に見えない創業者が、たまたまいいビジネスを築いていた場合です。または、数字上とてもよく成長していたり。もしくはほかの投資家友達がみんな投資していたからといって、私も恐る恐る投資したときとか。

ですが、本当にずば抜けて有能な創業者、自分自身が「すごい、私も彼や彼女の下で働きたい」と思うこと、そこに集中することがとても大切だと思います。いかに企業がよかったとしても、私が普通だなと感じた創業者に資金を提供して、大当たりを引いたことは一度もありません。

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シーンスターに気をつけろ

このことについてはすでに少し触れましたが、YCでは Scensesters (訳注:特定の社会的・文化的シーンのステレオタイプへ極端に自らを当てはめようとしている人)という言葉を使います。

これは単に大金を稼ぎたい人とはまた違います。ただスタートアップにまとわりつき、スタートアップパーティーに行き、創業者であることについて語りたい人がどんどん増えてきています。危険視すべきですね。明らかに不健全な方々です。そういうのもうまく行きません。

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皆が間違う「市場規模の大きさ」:市場の成長率が大事

さて、これは私にとっては三番目に大きかった誤解なんですが、多くの方にはこれが一番大きく誤解されていることだと思います。

いつも耳にするのが、大切なのはスタートアップの現収益ではなくその成長率だという意見です。正論ですね。

ですが、投資家は同時に「私が気にしているのは現在の市場の規模だけです」と言います。どこかおかしく聞こえませんか?

現在の最も大きな企業を思い浮かんでください。10年前にはそのうち多くの市場が存在しませんでした。Facebook起業当時のソーシャルネットワーク市場の市場規模を思い浮かんでください。Uber起業当時のライドシェアアプリの規模について考えてみてください。

計量の仕方として市場規模を使うのはとても悪い考えですが、残念なことに市場規模が最も重要だというのは投資家の間ではドグマになっています。とても優秀な投資家でも口にする言葉です。

彼らが本当に気にしているのは10年後の市場規模なんだと思うんですが、そういう風には言わないんです。もちろん、あなたが気にすべきは10年後の市場規模です。今日、市場が巨大であればすでに多くの大規模な競合会社が狙いを定めているでしょう。

第二に、新しい技術革新の大きな波を見逃してはいけません。

その波はスタートアップを引き寄せ、短期間のうちに大きな価値を創造します。すでに巨大な市場よりも猛スピードで成長している小さな市場を重視するべきですね。本当に反直観的な話ですが。

投資家の多くは直前に成功したものを追跡しようとします、Facebookが成功すればより多くのSNSに資金を提供したがります。Uberが成功すればより多くのライドシェアアプリに資金を提供したがります。そういうのは、2回目以降、難易度がどんと跳ね上がります。

とても難しいことですが次に急成長を見せる市場を特定しそこに投資する方がずっといいです。このような場面では独立した思想がとても重要です。他人が定義したことに従うだけではだめなんです。あなた自身の独自的な思想で、次にどんな巨大市場が生まれるのかを学ばなければいけません。

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フェイクトレンドに気を付けよう

市場が急成長しているのかどうか判断を下すときにするのが、そのトレンドの真偽について考えることです。それについてはついては後に話します。いや、今すぐ話しましょう。

エンジェル投資家を餌に群がる魚の群れみたいにいう冗談はよくありますが…誰かのことを今話題の、なんて囃し立てて、そして2年後にはそれについては誰も触れなくなって、「あれはうまいかなかったんだ」なんて言うことはよくあります。

そこで疑問に思うべきこと…彼らが正しいときもあります。シリコンバレーの投資家は、全体的にモバイルなどに関しては大いに成功しました。ですが、ここ10年間、その他ほとんどの面で間違った判断を下しています。誰かが熱いトレンドについて語るとき、私は懐疑的な反応をします。あなた方もそうしたほうがいいですしょう。

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リアルなトレンドの見分け方は「プラットフォームを毎日使っているか」

さて、それでは真のトレンドと偽りのトレンドを見分けるにはどうしたらいいのでしょうか。

真のトレンドというものは、まだ参加者数が少なくても、参加している人はそのプラットフォームを毎日多く使用し、友人に自発的にそれがどれほど素晴らしいかについて語ります。

iPhoneが登場したとき、Appleが100万か200万台しか売らなかったので、モバイル市場の大半がそれを嘲笑いました、それが1年目だったことは気にも止めずに。ですが、iPhone所有者と話せば、誰もがiPhonaはいままで所有してきた中で最高のテクノロジー商品だと言いました。それを人々は毎日何時間も使いました。生活を全面的に変えたものでした。

なので購入者数が少なくても購入者は1日どころか1時間おきにそれを使用していたので、それが真のトレンドであることがわかりましたし、使用者みんなが「これこそが未来だ、買わないわけにはいかない」と言いいました。Appleにとってもこれ以上の無料広告は望めなかったでしょう。

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バーチャルリアリティはフェイクトレンド?

それを、例えばですね…何にしましょうか。バーチャルリアリティにしましょう。それをバーチャルリアリティと比べてみますと、誰もが次のトレンドだと言っていますし実際にそうなるかもしれません。

ですが、今VRヘッドセットを持っている人と話してみれば彼らが毎日毎時間それを使っていないことがわかります。毎週使わない人が大半です。棚の上に放置されてるんです。これは明らかにまだトレンドプラットフォームと呼べるものには至っていません。

今後そうなるかもしれませんし、あなたの知ってる方々が大勢、もしくは少数でも、が毎日何時間もヘッドセットを使用するようになり、友人みんなに世界一の素晴らしいものだと、買うべきだと勧めるようになるかも。VRに強く投資し始めるのはそんな時ですね。あ、戻してもらえますか?

変化の波を作る企業ではなく、波に乗る企業を見つけること

さて、この質問ですが、「プラットフォームは実際に使用されているのか」、次にくる技術の波について考えるときにとても重要な質問だと思います。これは答えを見つけ出したほうがいいですね。本当に答えを見つけておくべきです。

決して全部がそうだというわけではありませんが、最も大きなテクノロジー企業の多くはこのような大規模なプラットフォームの変化の直後に立ち上げられています。

Sequoiaの言葉でずっとお気に入りなのが「小さな企業の能力を遥かに上回る技術の波を作ることはできません。ですが、波を見つけることができればそれに乗ることはできます」。これも大切なことだと思います。このフレームワークを使えば結構合理的に評価することができると思います。

悪いように見える、良いアイデアを見つける

さて。先ほどにも言いましたが。探したいのは悪いアイデアに見えるよいアイデアです。これらは明言できるものです。

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世界がまだ気づいていない、それが巨大になる理由。

多くの人は「良いように見える、悪いアイデア」を追いかける

ただ、残念なことに、ほとんどの人がいいアイデアに見える悪いアイデアを追いかけます。

スタートアップエコシステムに注がれるエンジェルキャピタルの90%ほどがここに辿り着いてしまうと思います。なので避ける価値のあることだと思います。

良いアイデアに見える悪いアイデア、この間違いを犯す一般的な理由としてあげられるのが2年前に成功したことを追いかけることです。なので自らそうしていることに気づいた時は特に注意してください。

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とある企業に投資したいと思った時、他に何百社も同じことをしようとしているのなら疑うべきです。創業者が必死に説得に使っている材料が、長期的にはコモディティーになりそうなもので、あなたがそれに引き寄せられてると気づいたときは、疑い深くみるべきです。

人はよくこういう話をします。価格決定力、ネットワーク効果や、壕(モート)、参入障壁だったり、なんでもいいんですが。

多くの創業者たちは差別化できているポイントだったり、なぜ長期間優位性を保持できるのか、ということを売り込んできますが、それに対しては疑い深くいるべきです。

ですが、「良く見える悪いアイデアなのか、悪く見える良いアイデアなのか」について考えるというこのフレームワークは、正しい判断を下すのに何度も役立ちました。

良いプロダクトを持つところを探せ

これはもうYCのマントラのようなものですが、とても大切なことなので今一度話します。最高の企業は皆素晴らしいプロダクトを持っています。

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残念ながら最近のシリコンバレーの流行はそれから少し離れすぎて、よりグロースハッキングやセールス・マーケティングなどの方に偏りすぎていると思います。しばらくはうまく行くでしょう。平々凡々な商品を成長させるためであれば、それでいいんじゃないでしょうか。

しかし、Facebook規模の企業がそういったやり方でできることは滅多にありません。エンジェルとして投資する時、企業がすでに素晴らしいプロダクトを持っていることは稀でしょうが、いつか大きくなるかもしれないとあなたが思えないような企業は大企業にはならないと思います。

口コミで自然に広がるものに注目する

そういった時に私が使う非常にシンプルなフレームワークがこれです。大成功したインターネット・モバイル関連スタートアップに関連することですが、これは企業用アプリでもコンシューマ向けアプリでも同じです。

初めてそのプロダクトのことを耳にしたのは、それがあまりにもよいものだったため、友達が自発的に教えてくれたからです。

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彼らはそうするように動機付けされたわけでもなく、私に営業をかけたわけでもなく、私に広告をしたわけでもありません。ただ単に私が信頼する人に「これは本当にすごい、試してみるべきだよ」と言われただけ。そしてスタートアップがその領域にたどり着くことがなければ、リターンのべき乗則での1位の座につくことはないと思います。なのでこれはとても重要なフィルターだと思います。

指数関数的成長は反直観的

少し前にも触れましたが、それに似て指数関数的成長に関する人の勘はひどいものです。明らかに進化的に必要とはされなかったのでしょう。

線形成長や矢の軌道は非常によく視覚化することができます。そうですね、月間成長率25%を例としますと、1.25の36乗がなんなのか答えられる人は私が知ってる中では極少数、いや、誰もいないかもしれません。

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この企業が36ヶ月後にどうなるのか?って質問なんですけどね。これはとても難しいです。どうやったらこの企業の価値がものすごく上がるのか?ということを考えるようなものです。

なので私はずいぶん前から自分の勘を頼りにするのをやめることを学びました。私はそれをモデル化しています。成長がどのようにスピードを落とすと思うか、減衰率をモデル化しようと試みます。

それでも、「この企業は口コミで広まっている、5年後にはどれほどでかくなるだろう」と自分に言い聞かせるようにしています。そしてやはり自分の勘は頼りにしないことを学びました。

大きくなればなるほど強くなる企業を探そう

少し前にもこのことについて触れましたが、プレゼンテーションの終わりの方で話そうと思っていました。このことについてはいろんな人たちがいろんな言葉で言及しています。これはスタートアップ投資の最も重要な概念の一つです。スタートアップに投資することと中小企業に投資することの違いの一つがここにあります。

大きくなるにつれてより強力になる企業を探します。大きくなるにつれて価格決定力が強まる企業を探します。大きくなるにつれて新しいユーザーを得やすくなる企業を探します。大きくなるにつれて競合が戦いにくいようなものを。

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これは明白な場合が多いですが、そうではない場合もあります。時にはよく頭を練らなければなりませんが、そうすればストーリーを思い浮かべることができます。多くの人はここで間違えてしまうんです、「今、これはすごい。この企業がこの素晴らしいものを発見した」って。スタートアップの価値のほとんどは10、11、12年後に生み出す収入、収益にあります。なのでこれに答えられなければ疑いを抱くべきです。

他人が理解していないけれど、自分だけは理解しているものは何か?

さて、投資をする前に自分に問う最後の質問は「私が理解していて他の人が理解していないこととはなんだ」ということです。

これにはいろんな答えがあるでしょうが、要は他の投資家の判断に自分の判断を委ねないことです。少なくとも、この質問に答えることができなければその投資において競争力があるとは思えません。

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時にはこの質問への答えは単に「みんなこの企業に関しては強気ですが私はこの市場について具体的な理解があるのでより強気です。みんな良いと思っていますが、私は彼らが思っている以上によいと思っているのでこんな高値でも払います」のようなものです。ですが、この質問はいろんなシナリオで私の役に立ってきました。

さて、残念なことに時間を取り過ぎてしまいましたが5分ぐらいなら質問に答えれます。

Q&A

Geoff
質問の時間はまだ残ってます。あと、ライブストリーミングで見ている皆さん、質問用のハッシュタグはY-C-S-I-S、もう一度言いますよ、Y-C-S-I-Sです。ライブストリーミングの最初にそこが抜けていたと思うので。なので是非質問をお送りください。始まるのが少し遅れたので、少し延長してから小休憩にしましょう。ありがとうございます。

投資家の与えられるバリューが何かは顧客(創業者)に聞こう

Sam
はい。アーリーステージの投資家が創業者に多くのバリューを与えるにはどうしたら良いのでしょうか。創業者にこの質問をしたら良いと思います。彼らが顧客ですからね。

採用の手伝いをしよう

常に彼らが最も助けを必要としているのは雇用です。素晴らしい人材を見つけるのを助けるんです。面接でも助けます。

YC以前に、エンジェル投資家のようなことをしていた時、私は創業者たちに「面接では好きなだけ使ってくれ。雇用を手伝うし、人材ソーシングも手伝うし、面接も手伝うし、契約を結ぶまで手伝う」と言っていました。とても喜んでもらえていたと思います。今後の資金調達も助けたでしょうし、それ以外にも。

大きな戦略的助言だけではなく、深夜に2分でも話せること

皆さん、大きな戦略的助言をしたいと思っているでしょうし、それもとても大切ですが、私がエンジェル投資家としてうまくできたと思うのは、戦術的助言が必要ならばいつでもそれに応じれるようにしていたことです。

大きな戦略的助言もしましたし、それは楽しいものですが、投資家としてのバリューの多くは金曜日夜11時に創業者が何か急用で「2分間電話で話したい」と言ってきた時、それに応えられることにあります。なのでいつでも戦術的助言を与えれるようにしたらよいと思います。

創業者の欠点で容認できるものは「これから変わるもの」

シードかシリーズAのステージの創業者に容認できる欠点は何ですか。たくさんありますね。よくはならないものに関しては妥協すべきではないと思います。

創業者の堅実さは妥協してはいけません。ですが、創業者が急速に成長していると思うなら考えますね。

私は変わることができる特性とそうでないものとでまとめて分けています。創業者が急速で成長していて変わることができると思えばですね。非常に初心だけど、頭が良く勉強熱心、そして正しい理由で働くミッション指向な創業者を数多くここで見てきました。

彼らはみんなものすごい速さで成長しました。創業者には問題領域の知識が無い人もいましたが…面白いのが投資を交渉する時です。大抵の場合は、他の面では優秀な創業者でも、したことの無いことなので何もわからないんです。ちょっとびっくりしちゃうんです。「うわー、バリュエーションが何なのかわからない」となったりします。

でもそのような欠点は気にしなくてもいいです。

誠実さを測るには過去の決断の非倫理的側面を質問してみよう

ネットワーク外から来る創業者の誠実さを図るにはどうしたら良いのか。

私たちの経験では、もちろん判断を誤ったことも何度かはありますが、何百回も同じ過ちを繰り返すことを防げています。10分間の面接でも創業者に彼らがしてきた非倫理的なことについて語る機会を与えれば、彼らはしばしばそのことについて話してくれます。驚くぐらい頻繁に。

なので彼らがビジネスを立ち上げるために、今までどのような決断を下してきたかについて聞いたらいいと思います。よくないなと思う決断があれば、今後もそのようなことが起きることを予想できるでしょう。

最初の数回の面接でよくよく聞いておいて下さい、びっくりしますよ。確かに何度も騙されてきましたが、それでも私たちは10分間で判断を下します。

Pro-rata 権を使おう

Pro-Rataをいつ行使するべきか、結果に基づく観察によれば、ベンチャー企業何社かがこのことについて非常に洗練された研究を行い、同じ結論にたどり着きました。

それは、もし企業が優れたベンチャーキャピタリスト、例えば上位4分位に入るVC、にリードされてアップラウンドをしようとしているのなら、そう言った場合は絶対にPro-Rataを行使するべきだと言うことです。ポートフォリオ全てを通してそうすれば幸せになれるでしょう。

世界が本当に変われば、または変わって来るかもしれませんが、現世界においてはこのことについてはとても明確なデータが出ています。

Pro-Rataとは何か。企業に投資する際にはほとんどの場合Pro-Rata権利というものを得ることができます。これは将来のラウンドにおいて、そのラウンドでも所有率を維持するのに必要なだけのお金を投資できると言う権利です。

ICO の影響は?

さて、セキュリティートークンとICOが資金調達を変えると思うかどうか。恐らくそうですね、大半の人が思うのとは違う意味でですね。誰もが広く資金を調達すると言う考え…証券取引法も理由があって存在しているわけでして、ある程度はそれを望んでいることに気づくと思います。

どのくらいかと言いますと…今も非常に重要なICOが行われていると思いますが、それらは能力不足なものや詐欺みたいなものも多く、(よいものは)埋もれてしまっています。ただ、投資をトラッキングするのにより優れた機械的な方法が見つかる可能性はあるとは思います。なのでその可能性はありますね。

悪いアイデアに見えて良いアイデアの例はRedditとDropbox

悪いアイデアに見えた良いアイデア。お気に入りの企業の一つにRedditがあります。彼らはちょうど2005年に私のYCのクラスに参加していたので強く印象に残っています。

Redditが起業仕立ての頃、友人たちに「こういったリンクとかが載ってるサイトがあるんだよ」って教えていたのをとても明確に覚えています。その友人達はみんな善良で優しい人ばかりだったんですが、みんな同様に私をまっすぐ見てこう言うんです。

「そんなばかなこと今まで聞いたことがない」「インターネット上にはこんなものなら既にあるし、これは猫の写真とかしかないし」「こんなビジネスで稼げるはずがない」って。

そのほかにも有名な例ならいくつかありますが、これが一番深く印象を残しましたね、本当に信用していた人達からはっきりと忠告されていましたから。彼らから忠告される度に「そうだね、よいアイデアじゃないかもね」と思ったのを覚えています。

信用している人に何か悪く言われて、持っていた確信がどこかへ消え去ってしまいました。

この問題にはもう一つ例がありまして、抽象的には良さそうなアイデアなのに、誰もが大企業がそれを押しつぶすと思い込む場合です。

Dropboxがそのよい例で、私たちが彼らに資金を提供して、彼らが動き始めていた頃、誰もが「素晴らしい製品だけど、近来的にGoogleやMicrosoftなどに押し潰されるに決まっている」という意見でした。

どうやって市場規模を推測するかは消費者行動の変化を見てみること

はい、次の質問。はい?Uberが勢いをつけ始めていた頃、いろんな記事が出てきました。毎年のように誰かが「Uberの価値はX以下だ。タクシー市場全体ですらXの10%しかないのだから」と言っていました。結構長く続きましたね。(訳注:こんな中で投資するのは)とてもハードですよね?市場があまりにも早く成長しすぎていて、その規模を把握できていないのですから。

一つできることは新しい市場を生み出す消費者行動の変化に目を張ることです。例えば、Uberをリムジンサービスの代わりだと考えた場合。その後にユーザーがタクシーの代理に使い始めていることに気づき、次に公共交通、そして車のオーナーシップ、そしてこの流れから今後に目を向けると「こんなに多くの消費者行動がここに移るので、この市場はかなり大きくなるだろう」と予測できます。

非技術系の単独創業者が犯しがちなミス

非技術系の単独創業者。絶対にしないとは言えません。以前に(投資を)したこともあります。可能性がないとは思いません。その創業者がMVPを作れるだけの知識を得た時は嬉しいですね。

この場合、うまく行かなかった場合の主な理由は、技術的な能力を持つ人を勧誘したり、評価したり、そして残ってもらう能力が欠けていたことが原因でした。なので技術系創業者が少なくとも一人いる創業者チームをとても強く好んでいます。

また、共同創業者が少なくとも二人いるチームも強く好んでいます。ここでも絶対的なものではありませんが、最も大切なのは、べき乗則なのでいかに例外的なものでも検討はするようにしています。なのでそのような質問に「絶対にしない」と答えることはありませんが、今までの経験からどうしたものが一番うまく行っているかを明確にするようにはしています。

フィードバックを受け入れる創業者に投資しよう

次の質問はなんですか。十分な自己認識ですね。フィードバックを厭わずに受け入れる心持ちと改善する意欲があることはとても大切だと思います。それと、自らの欠点にも関わらず成功できると信じないといけません。

自分にできないことを全て分類することに時間を費やす事より重要だと思います。聞く耳を持ち、腕を磨きたいという意欲を持った創業者とは、大抵の場合は一緒に働けると思っています。

大量の時間を費やしても助けたい人に投資しよう

最後にもう一問。後ろの方。様々な創業者に費やす時間と資源をどうやって決めて評価しますか。身勝手な考えかもしれませんが、うまく行く方法は、大量の時間を費やしたい創業者にしか資金を提供しない事です。

なぜなら、そうしないと、創業者が一緒に働きにくい人だったり、聞く耳を持たなかったり、もしくはあなた自身がそのビジネスに興味を持っていなかったりするとします。

そうであれば、第一に、創業者の質を危惧するべきですし、第二にはそれだけ時間を費やしたくなくなり、助けなくなり、結果としては差別化されたものを得ることができなくなります。なので私は大量の時間を費やしてでも助けたいと思わない限り、創業者には資金を提供しません。

投資もまた10年かかる道

Geoff Ralston
それでは最後に一言。Samは、スタートアップで成功するには10年かそれ以上かかるということを理解している創業者を探すべきだと言いました。それはあなた達のような投資する側でも同じだというのは明白でしょう。

投資というものは…いや、スタートアップに投資するということは一攫千金的な策ではありません。忍耐力と情熱を必要とするもので、創業者も同じ関心を持っていれば幸いです。

第二の点ですが、同じくエンジェル投資をやってきて、結果をSamのもの比べてきた人間としてひとこと言いますが、彼はこのことに関しては非常に優秀です。なので慎重に耳を傾けていただきたいです。

 

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文:  Investor School
 

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