運転資金が1年分以下になった会社へのアドバイス (Dalton Caldwell, Y Combinator)

もしあなたが会社の創業者で、エンジェル投資家か機関投資家によるラウンドで出資を受けていて、ランウェイ(※訳注:残りのお金で走り切れる時間、残りの運転資金から導き出される時間的余裕)が12ヶ月を切った状況にあると想像してみてください。

ランウェイが短い状況に対処することの一番難しいところは、自分の精神状態を管理することです。今後の見通しについて過剰に悲観的にならず、同時に不合理なほど楽観的にもならないよう自分の不安感を管理しなければなりません。デリケートなバランスです。

最初の一歩は、お金とランウェイがどれだけ残されているかを正確に知ることです。ここから先に読み進める前に、The Fatal Pinch (日本語訳: 致命的なピンチ) と Default Alive or Default Dead (日本語訳: デフォルトで生きているのか、死んでいるのか?) の両方の記事を読み終えてください。

あなたがもしデフォルトで死んでいるのなら、デフォルトで生きている状態になるためのアクションを直ちに起こすことがあなたの創業者としての責任です。デフォルトで死んでいる状態からデフォルトで生きている状態に移行するメカニズムはストレートなものです:より早く収益を上げるか、コストカットするか、その両方かです。

非生産的な考え

創業者は行動を起こせなかったり、状況改善に向けて動けなかったりする態度を引き起こすような思考サイクルに陥ることがあります。

よくある非生産的な考えは以下のようなものです:

  • Fatal Pinch(瀕死の危機)は自分には当てはまらない
  • 投資家は会社のお金が底をついても出資し続けてくれる
  • 資金調達に失敗したら会社を売ればいい
  • 買収候補者や投資家とは話が十分進んでいるし、買収される可能性は高い
  • コストカットしたら買収してくれなくなる
  • コストカットしたら従業員の士気が下がる
  • コストカットしたら新たな投資家が出資してくれなくなる

これらの考えでもって、「デフォルトで死んでいる」ままでいることを正当化しないでください。

交渉下における自分の力を認識してください

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上のグラフから学べることは何でしょうか?

  • バーンを減らすための行動が遅れることは戦略としてはまずいものです。デフォルトアライブになるための変化を今すぐ起こしましょう。
  • ゲーム理論の観点からすると、投資家や買い手はおそらくあなたの力が完全に尽きるまでのらりくらりしながらあなたを引きずり回します。利にさとい買い手や投資家ははっきりと「ノー」とは言わないでしょうし、あなたがますます絶望的な状態になる中、自分の選択肢はオープンにしたまま進めることでしょう。
  • もし現状がかなり厳しいのにも関わらず是正処置を取らなければ、状況は良くなるどころか悪化する可能性のほうが圧倒的に高いでしょう。

バーンレートを減らすためのヒント

バーンレートを減らすために、最も痛みが少ない方法はバーンレートよりずっと多くのお金を直ちに稼ぐことです。いずれにせよあなたがこれを試みていることを望みます。

でもデフォルトで生きている状態になるために直ちに劇的に収益を上げることが不可能な場合は? コストカットしなければなりません。

不動産やリースのコストには法的拘束力があり、それらから解放されることは非常に難しいことです。不動産関係の債務は、よりレイターステージにある会社によく死をもたらす原因となります。

高いバーンレートのシナリオの原因として可能性が最も高いものは人件費です。The Fatal Pinch でも触れているように、通常は多すぎる採用が高バーン状態の根本原因です。スタッフを削減することを選ぶなら、元従業員の人たちを手厚く扱うことは極めて重要です。残った従業員に対しても透明性をもって接するべきです。覚えておいてください:スタッフに対しては常に、自分が扱われたいように扱うべきです。

最もカットしやすいコストはPRやマーケティングの費用、また従業員向けの特典やパーティー等の不定期の出費です。これらにお金をかけてはいけません。

ポイント・オブ・ノー・リターン(後戻りできない段階)

3ヶ月分以下のお金しか残っていなかったら? 問題を直視し、自分の責任・負債と、会社を畳むシナリオを把握することが重要です。

多くの場合、2ヶ月以下になった時点がもう引き返せない時点です。もしあなたがこの状況にあれば、従業員を解雇し退職金を払い、債務を完済し、残ったお金を倒産費用に充てることが直ちに必要となります。もしこれを行わず、残されたお金がゼロになり、給料や税金その他の未払金が残れば、状況は非常にまずくなります。

この段階で考えるべきいくつかのことは以下の通りです:

  • 引き返せない時点に到達してしまったら、会社を畳むべきです。
  • 支払不能になってはいけません。負債は払いましょう。税金も給料も払わなくてはいけません。
  • 特に酷いシナリオでは、あなたに個人的責任・負債が残るかもしれません。きちんとした倒産手続きを行うため、弁護士に相談しましょう。
  • 物事をもたつかせて、あなたにとっても、従業員にとっても、投資者にとっても、顧客にとってもまったく救いのない状況に終わってしまうことは避けましょう。
  • 物事がうまくいかなくても、自分に誇りを持てるような態度・行動を取りましょう。

ランウェイの短い状況では、創業者は非常に辛い状態に置かれます。得られるところから支援と助言を得てください。メンターやアドバイザーがこのような時期を乗り越えるのを助けてくれるでしょう。多くの場合、ここまで来た創業者にとって最も辛いことは「負けを認める」ことです。自分の評判が気になるのなら、自分にこう言い聞かせ続けましょう:まずい状況にもうまく対処することは、良好な状況下でうまく対処するのと同じくらい重要です。

最後に、他のすべてを忘れたとしても、この2点だけは覚えておいてください:1)自分に嘘をつかないことと、2)素早く、決断力をもって動くこと。

 

著者紹介

Dalton Caldwell

Dalton はYCのパートナーです。彼はimeem (MySpace に 2009 年に買収)の共同創業者兼CEOであり、App.net の共同創業者兼CEOでした。彼はStanford UniversityからSymbolic SystemsのBSと、心理学のBAを受けています。

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: Advice for Companies With Less Than 1 Year of Runway (2015)

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