資金調達を過剰に最適化しないように (Aaron Harris)

多くの創業者が資金調達に対し、まるで数学の問題のように取り組んでいるように私には見えます。彼らは正しい答えが1つだけあると考えているようです。それがたびたび、過剰な最適化を引き起こします。それは誤りです。最適化は、徐々に進む変化が資金調達や企業業績を改善することを前提としています。しかし、資金調達はそうではありません。

資金調達は企業の成功における決定的な要因では決してありません。創業者は資金調達の際にむしろ、後悔を最小化する方向に目を向けるべきです。基本的に、創業者は必要なものを手に入れ、ばかげたことをするのを避けながら先へ進んで行かなければなりません。過剰な最適化を防ぐことを学ぶ上での課題の1つが、何を「ばかげたこと」と見なし、何を大事なことと見なすか、理解することです。

資金調達を過剰最適化するやり方は、創業者の数とほとんど同じだけ存在します。以下は、その中でもより一般的な過ちの一部です。

  1. バリュエーションの過剰最適化 – 創業者は主にエゴのせいで価格を最適化します。もしあなたが他の誰かよりも高い価格で資金調達したなら、あなたの会社、したがってあなた自身がより優れていると考えてしまいます。これはばかげた考えです。高いバリュエーションでの資金調達は、その会社の質とはほとんど無関係です。その創業者が資金調達に長けていることすら、必ずしも反映しません。バリュエーションの大部分は、その時々のマーケットの状況を反映しているのです。
  2. 投資家の過剰最適化 – おかしなことに、人々はオファーを受ける前ですら、この最適化をし始めます。あなたは選択肢がある場合にのみ、投資家を選べるのです。結局のところ、他の投資家よりも優れている投資家はいるものの、その投資家が成功に直接結びつくわけではありません。
  3. 希薄化の過剰最適化 – これは価格の別の側面です。資金調達ラウンド中に会社の18%か20%を売ることについて何かとしぶる創業者は、本当に大事なことを見失っています。大事なのは、大成功する会社を作り上げることです。
  4. 調達額の過剰最適化 – 創業者の頭の中が、必要としている金額とは無関係に調達しようとしている金額でいっぱいになり始めると、資金調達の理由を見失います。お金は目標を達成するための手段であって、それ自体が目標ではありません。より多くのお金を調達することは成功をもたらさず、大抵は希薄化が進む結果となります。
  5. スピードの過剰最適化 – 数日で資金調達ラウンドをまとめようとする創業者は、人間は極度のプレッシャーの下でより良い決定をすると信じているように見えます。これはほぼ間違いなく真実ではありません。

これは一筋縄ではいかない部分ですが、それらの意思決定、価格、投資家、希薄化、そしてスピードは、それぞれ重要なことです。それらの一つ一つに対処する適切な方法は、一歩後ろに下がって、達成が必要な目標の視点に立って取り組むことです。

  1. バリュエーション – バリュエーションは、その会社が目標を達成するのに足りる金額を調達できるぐらいに、十分に高い必要があります。ただし、創業者や従業員が懸命に働く気を失わせるほどの、大幅な希薄化は避けなければなりません。
  2. 投資家 – 大部分の投資家は良質です。彼らは資金を提供し、求めれば何らかの助けをくれます。素晴らしい投資家もいます。彼らは資金を提供し、求めれば大きな助けとなり、求めれば好きなようにさせてくれます。しかし、破壊的な投資家も存在します。それらの投資家はさまざまな形で会社を傷つけることがあります。そのような投資家は避けるべきです
  3. 希薄化 – 創業者は会社の十分な所有権を維持し、その成功と、今後追求するかもしれないあらゆる他のベンチャー事業への取り組みを確保する必要があります。もしそれがひっくり返ると、創業者が自分の思うようにできず、平凡な仕事をするだけになってしまうリスクがあります。また、所有権はたいていの場合、コントロールともつながっています。どこかの時点でほとんどの創業者が自分の会社のコントロールを失いますが、一般的に言ってそれが起こるのは、会社の一生のできるだけ遅い時期の方が良いでしょう。
  4. 金額 – 創業者は特定のマイルストーンを達成するために資金調達します。創業者は、失敗や遅れを考慮に入れた余裕も持って、それらのマイルストーンを実際に達成するために十分な資金を調達する必要があります。マスコミは巨額の資金調達の話題を取り上げるのが大好きですが、賢い創業者は成功に十分な金額以上の資金を調達しません。
  5. スピード – 資金調達の動きを止めると、たいていはすぐに立ち消えとなってしまいます。資金を提供するよりも、しない方が常に簡単だからです。創業者は取りまとめるのに十分なスピードで、抜かりなく資金調達ラウンドを進め続ける必要があります。ただし、それ以上大幅に急ぐ必要はありません。

資金調達の際、創業者は自分のビジネスや従業員、生活全般を見失うことなく、多くの人々とのたくさんの話し合いをうまく取り仕切る必要があります。そのどれをも疎かにすれば、簡単に大事なことを見失い、間違ったことに集中し始めてしまいます。最も大事なことは、一連の目標を達成するために十分なお金を手に入れることです。重要なのはバリュエーション、投資家、希薄化、スピードに注意を払うことであって、それらを過剰に最適化することではありません。

 

著者紹介 (本記事投稿時の情報)

Aaron Harris

Aaron は YC のパートナーです、彼は 2011 年に YC に採択された Tutorspree の共同創業者であり、Tutorspree を始める前には Bridgewater Associates で分析グループのプロダクトとオペレーションを管理していました。彼は Harvard から歴史と文学の AB を受けています。

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: Don’t Over-Optimize Fundraising (2019)

FoundX Review はスタートアップに関するノウハウを届けるエンジニア向けのメディアです

運営元