ローンチする方法(何度も何度も)(Startup School 2019 #08)

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Kat Manalac
私はY Combinatorでパートナーを務めているManalac と申します。

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私は様々な面で創業者をサポートしていますが、なかでも非常に多いのがローンチの準備です。

そしてこれ(訳注:ローンチに関するあなたの考え方を変えること)が本日の講義のテーマです。

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さて、本日は皆さんのローンチに対する考え方を変えていきたいと思います。

ローンチは何度も行うもの

ほとんどの人は、ローンチとは1回しか行えないものだと思っています。

例えば、先日私が話をしたチームはローンチまで6か月かけていました。彼らは丹精込めてプロダクトを作り上げ、一部の隙もない完璧なものにしてから皆に公開しようとしていました。そして、ランディングページの1行1行にこだわり、全てを正しいタイミングで公開しようと準備していました。

しかし、スタートアップでは大抵の場合、皆さんが何かをローンチしても、誰も気にも留めません。それまでに6か月かかっているとしたら、おそらく皆さんのスタートアップは次のローンチにこぎつけるまでに終わりを迎えているでしょう。

ローンチは何度もできる

ローンチとは、何かを出荷するのと同じで、何度でもできるものだと思っておいてください。ローンチができるのは1回限り、という考えは捨ててください。なぜなら、事業がうまくいき、新しいプロダクトや機能をどんどん市場に送り出すことができるようになったとしたら、もうローンチしない、なんてことはあり得ないからです。

ローンチの各種方法

では、ローンチに関するあらゆる方法について説明していきましょう。

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ここに挙げたのは、本日の講義で取り上げる様々なローンチです。

順番に説明していきますが、以前に講義を行っているプレス向けローンチについてはここでは割愛させていただきます。後ほど、その講義へのリンクといくつかのリソースを紹介します。本日の講義はそれ以外のほとんどをカバーする内容になっています。

ここに挙げた項目のほとんどは、皆さんがスタートアップスクール在籍中にしておくべきことです。

なぜローンチを繰り返す必要があるのか?

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ではまず、「なぜローンチを繰り返す必要があるのか」について説明していきましょう。

ユーザーの反応を確認するため

全ての機能が搭載されたプロダクトが完成する前であっても、ピッチの練習をしてブラッシュアップしていく機会はあります。A/Bテストを行い、そのアイデアに対してユーザーが実際にどんな反応を示すか確認することもできます。

異なるチャネルの検証を行うため

次に、MVPまたは極初期バージョンのプロダクトが完成したら、異なるチャネルでそれぞれローンチすることで、そのアーリーバージョンのプロダクトに対するユーザーの反応を確認することができます。

異なるチャネルでのローンチは、自分がターゲットにしているユーザーが本当にプロダクトに適しているかを検証するのにも役立ちます。あるチャネルでローンチしたけれど何の反応もなく、別のチャネルでローンチしたら大きな反響があったということもあるでしょう。つまり、異なるチャネルでのローンチは、自分が作っているものに対して最適なユーザーを見つけられているかを見極めるうえで有効です。

では、皆さんがスタートアップスクール在籍中にできる、いくつかのタイプのローンチについて説明しましょう。

スタートアップスクール開講後、これまでに1,000人の受講者がローンチをしたと聞いて非常に嬉しく思っています。これは実に素晴らしいことです。

サイレントローンチ

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私は、創業者がフォーラムに投稿したスタートアップスクール企業のうち10社をランダムで選んでクリックしてみたのですが、ランディングページを持っていたのはそのうち半数だけでした。

私はこれをサイレントローンチと呼んでいます。ここでは手の込んだものは必要ありません。

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必要なのはドメイン名、会社名、簡単な説明、連絡先、そしてCTA(Call to Action: 行動喚起)だけです。

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例えば、これは私がランダムに選んだ、フォーラムに投稿があった創業者のスタートアップスクール企業です。この会社はZincといって、ドメイン名、会社名、短いキャッチコピー、簡単な説明、そして「Get in touch(連絡を取る)」というCTAがあります。

CTAには、「当社のニュースレターを購読」、「ローンチの案内が来るよう登録」といったものも使えます。

例えば、Product HuntにはShipと呼ばれるローンチ前の企業のためのプロダクトが実際にあります。潜在的ユーザーの興味を集めるための手段として使えます。

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これはその一例でDesignerUp School という会社のものですが、創業者の簡単な自己紹介、自社が手掛けていることの簡単な説明、そして「Subscribe(購読する)」というCTAがあります。Product Huntに行けばこうしたページを作ることができます。

もちろん、ランディングページは自分自身でも、実に手早く、簡単に作ることができます。もし、まだ作っていない人がいたら、この週末にでも作るべきです。

友達&家族向けローンチ

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次は友人&家族向けローンチです。アイデア段階にある人は、自分の家族や友人に簡単なピッチでテストし、相手の反応を見ることができます。MVPが完成したら、なるべく早く友人&家族向けローンチを行いましょう。

Redditは創業当初、自分たちが在籍していたYCバッチ内の創業者間だけで共有されていました。当時の参加企業は8社のみで、非常に小さなコミュニティでした。

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私はWayback Machineを使って当時のRedditがどんな感じだったか見てみましたが、今とあまり変わっていませんでした。

とはいえ、細かく見ると、この「boosts」が後の「upvote」であることがわかりますね。これは2005年の7月のものだと思います。このように、彼らは創業者のコミュニティ内で共有するという手段だけで最初のユーザーを獲得していました。

私が皆さんにお勧めしたいのは、友人や家族とプロダクトを共有し、彼らがどのように使うか観察することです。彼らの隣に座って、フィードバックを求めてみましょう。

ただし、このフェーズにあまり長く留まっていてはいけません。なぜなら、友人や家族はあなたのプロダクトや開発しているものにとって、必ずしも最適で理想的なユーザーではないかもしれないからです。つまり、友人や家族からのフィードバックは、本当のユーザーからもらうフィードバックほどは役に立たない可能性もあります。

例えば、AlexisとSteveがRedditを自分たちの両親と共有していたら、両親たちはただ、「これは一体何なの?」と言うだけだったかもしれません。ですから、こうした家族や友人というサーキットからはなるべく早く離れてください。

第三者向けローンチ

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次は第三者向けローンチです。

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YCカンパニーによる第三者向けローンチの中で私が気に入っている例の1つが、Luggという会社です。Luggは、物を運んだり配達したりする人員をオンデマンドで派遣してもらえるアプリです。

Luggが全ての機能が搭載されたアプリやプロダクトを完成させる前から、創業者たちはトラックをレンタルしてIkeaに行き、店の外で待つ、ということをしていました。彼らはまずそこで買物客を観察し、マイカーに荷物を積み込むのにひどく苦労している人を見つけます。

そして見つけ次第、駆け寄って行き、「そのマットレスを自分で車にくくり付ける代わりに、ボタンを押せばトラックが来て全部やってくれる、なんてサービスがあったらラクだと思いませんか?」と話しかけます。汗だくで荷積みに奮闘していた買物客は「そんなものがあったら最高なんだけど」と答え、その場でLuggのアプリをダウンロードしてボタンを押します。

すると創業者たちは駐車場に駆け戻ってトラックに乗り込み、再び買物客のもとへ登場するというわけです。買物客は「わぁ!君たちだったのか」と驚き、創業者たちは「そうなんです!」と答える、というシナリオです。

初期の頃は本当にドタバタで、これではバックエンドで動いているものなどない状態ですが、彼らはそうすることで、これはユーザーや顧客が早急に解決したいと思っている問題であるとしっかり確認することができました。そして、「このプロダクトは実際に開発して時間を費やす価値がある」と決断するに至りました。

つまり、第三者向けローンチは、あなたが作っているものを人々が実際にダウンロードし、お金を払ってくれそうか見極めるのに役立ちます。

オンラインコミュニティローンチ

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次はオンラインコミュニティです。これは、私が好きなローンチ方法の1つです。

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私は、自分が所属しているコミュニティ全てにおいてローンチを計画すべきだと思っています。Y Combinatorに参加している会社は、一般向けローンチの前にBookfaceでローンチするという選択肢があります。

BookfaceはYC内のプラットフォームです。FacebookとLinkedInとQuoraを合わせたようなもので、現在4,000人以上の創業者が利用しています。完全な一般公開とは違う、限られた範囲でありながら、フィードバックを得るには十分な受け手がいるため、Bookfaceでのローンチはかなりローリスクと言えます。当然ながら皆さんの成功を望んでいると思われる、とても好意的な人々を相手にしたローンチとなります。だから皆、ここでローンチをしています。

スタートアップスクールがあり、約40,000人の創業者が参加しているスタートアップスクールフォーラムを利用できる皆さんは、実に幸運だと思います。アーリーバージョンのプロダクトがある場合は、是非、数週間以内にスタートアップスクールのコミュニティでローンチすべきです。

創業者や、自分も何かを作っている人たちというのは、アーリープロダクトに対して、本当に有益なフィードバックをくれます。これは、数千人の創業者が皆さんをサポートしてくれる、急成長できる場とも言えるでしょう。オンラインコミュニティでのローンチに成功した、少し極端な例を紹介します。

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このMagicという会社は、オンデマンド型パーソナルアシスタントです。2015年にY Combinatorでスタートした時、彼らが実際に作っていたのは血圧計アプリでした。彼らはこの血圧計アプリを広めようと試みていましたが、思うような成長が見られなかったため、「別のアイデアを試してみよう」と考えました。そこで彼らは友人や家族にリンクを送りました。

その時の文面がこれで、「電話番号を教えていただければ、どんなことでも魔法のように実現してみせます」と書いてあります。極々ベーシックなものです。それを見た友人の1人が、「これは面白い」とRedditとHacker Newsに投稿しました。するとほぼ一夜にして、というよりは週末の間に、40,000人もの人がMagicにユーザー登録をしました。創業者たちは当然、「なんだこれは、すごいじゃないか」と仰天したことでしょう。

正直な話をすると、これは極端な例です。RedditやHacker Newsでローンチし、一夜にして40,000人のユーザーを獲得する人は、実際には、ほぼいないと言えます。しかし、ここで何が言いたいかというと、オンラインコミュニティの利用は確実に価値があるということです。

もしかしたら、こうした極端な例の1つになれるかもしれないですし、そうならなかったとしても、初期ユーザーを獲得して有益なフィードバックを得ることができます。

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YCでは、多くのスタートアップがHacker NewsやProduct Huntを利用したローンチをしています。

私たちは長年にわたり、TechCrunch、Product Hunt、そしてHacker News における各ローンチがコンバージョンをどれだけうまくできているかを示す統計を見てきました。ユーザーへのコンバージョンに関しては、それぞれのインパクトやコンバージョン、つまり登録や顧客へのコンバージョン、という点では差異はなくなり始めています。

こうしたコミュニティでローンチを行うけれども、自分はまだそこのアクティブメンバーではないという場合は、そのコミュニティの研究に少し時間を使い、ルールを理解することをお勧めします。subredditsに投稿する場合などは特にそうです。コミュニティには独自のモデレーターやルールが存在します。各コミュニティに接触するための、ベストな方法を学びましょう。

親切なコミュニティとして知られている場合は、アドバイスやフィードバックを求めてみましょう。自分がコミュニティのメンバーではない場合、私ならすでにメンバーである誰かを頼り、アドバイスを求めたり、ローンチするのに最適な方法を尋ねたりします。どのコミュニティにも、ちょっとしたコツのようなものがあるからです。

例えば、今回のバッチに参加しているある会社は、プロダクトを作るにあたり、もっと女性の視点を参考にしたいと思っていました。創業者は2人とも男性です。

そこに、テクノロジー業界の女性向けコミュニティであるElphaのユーザーの1人が、「私がこれをElphaに投稿して、皆からのフィードバックを教えてあげる」と言ってくれました。このように、自分がコミュニティの一員でない場合はコミュニティ内の誰かを頼り、協力してもらうことをお勧めします。

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オンラインコミュニティでのローンチに関して、私からの最大のアドバイスは「話すように書く」ことです。マーケティングロボットのように話をしていたら、誰からも好意を持たれません。マーケティング用語や難しい専門用語は使わないようにしてください。コミュニティと接する時は人間らしく話すことです。

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コミュニティへの投稿で自社紹介をする時は、まず自己紹介し、自分が作っているものについて話し、なぜそれを作っているか、どういった経緯でその問題に直面したかを簡潔に話せばOKです。Hacker Newsに参加しているような人々は非常に知的好奇心旺盛です。潜在的ユーザーやユーザーとの話から得られた興味深い洞察についてや、コミュニティと共有できる驚くべきまたは喜ぶべき情報があれば、皆、大喜びします。

あなたに質問をしたい人も出てきますが、その人がどんな風にどんな質問をすべきか正確に理解していない場合もあります。ですから、「私はX、Y、Zの専門家です。ここに挙げたトピックに関する質問には喜んでお答えします」と、こちらから説明しておくことです。そうしないと、人々が話の本題から逸れて、あちこちに散らばってしまうリスクがあります。

皆とコミュニティを共有し、アドバイスを求めましょう。そして、ピッチでは専門用語やマーケティング用語は極力使わないようにしましょう。

アクセス要求型ローンチ

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次はアクセス権要求型ローンチです。先ほどMagicの話をしたことで、皆さんが使える他の種類のローンチを思い出しました。Magicがローンチした際、一夜にして40,000人のユーザーが登録しました。当然、40,000人のユーザー全員に即対応することはできなかったため、ウェイティングリストが作られました。

さらに、優先的にサービスを受ける方法も発表しました。例えば、Magicについてツイートすれば自分の順番が少し上がる、というように。ローンチにこうしたバイラル要素を盛り込み、ユーザーに口コミを広めてもらうことも可能です。

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このアクセス権要求型ローンチで私が今、気に入っている例の1つがSuperhumanです。Superhumanとは、より良いメール体験を実現させるアプリです。Superhumanのサイトからアクセス権を要求することもできますが、既存ユーザーに紹介を依頼することで手順を早めることもできます。

Superhumanユーザーが送信する全てのメールの署名欄には、「Sent by Superhuman」という小さなタグが付いています。私はSuperhumanユーザーであり、毎日大量のメールを受信します。当然、大量のメールを送信もしていますから、大量の紹介依頼メールを受信します。私からのメールを受信した人が、「Superhumanってそんなにすごいの?私も紹介してくれない?」と言ってくるわけです。このように、こうしたバイラル要素を盛り込むことができるプロダクトである場合は、是非活用するべきです。

ソーシャルメディア&ブロガー向けローンチ

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さて、残り時間も少なくなってきましたが、これから説明するソーシャルメディア&ブロガー向けローンチは内容も盛りだくさんで、説明するのに時間がかかる、そしてよく取り上げられるトピックです。本日はざっと説明して、私たちが一緒に活動した会社のなかから、成功例を紹介したいと思います。

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皆さんもすでにご存知だと思いますが、自分が属している業界や職業をカバーしている人気ブログへのローンチは、非常に大きな影響力を持っています。Joyは無料で利用できる結婚式用ウェブサイトビルダーで、バッチ内で最速の成長を見せた会社の1つでした。

創業初期における成長は驚くべきものでしたが、その大きな要因が、こうした数多くのリストに掲載されたことでした。Joyは主にGoogle検索を活用しました。まず、SEOを確認し、“best wedding website builders”とGoogle検索をして、検索結果の最初の数ページに何が出てくるかを調べます。そして、そこに出てきたブロガー全員に連絡し、「私たちはこんな新しいプロダクトを作っています。あなたのコミュニティに気に入ってもらえると思うので、私たちをリストに加えてもらえませんか?」と伝えました。

50人以上のブロガーに連絡を取ってドリップキャンペーンを行ったそうですが、回答があったのは4人だけでした。しかし、その4人からの回答が、Joyの初期成長に非常に大きな影響を及ぼしました。

1つ覚えておいてほしいことは、一部のブロガーやインフルエンサーと絡むにはお金がかかるということです。創業当初のJoyはそういったことにお金を使っていませんでしたし、私も皆さんにはJoyを見習ってほしいと思っています。

相手からお金を要求されたら、他のルート、あるいはクリエイティブなルートを見つけてこれを回避してください。なぜなら、スタートアップは、アーリーステージであるほど、そんなことに使うお金はないからです。多くのお金をかけずにここをクリアできるルートが必ずあるはずです。スポンサーシップ関係にお金をかけないで済む方法を探してください。

プレオーダーローンチ

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ハードウェアプロダクトやフィジカルプロダクトの場合は、当然、プレオーダーキャンペーンをすることができます。プレオーダーローンチの準備は、それ自体がまさに大掛かりなプレゼンとなります。成功を収めたキャンペーンを見て、彼らがどのようにローンチ戦略を立てていったのか、ざっと理解しましょう。

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例えば、Sheertexはごく薄手の破れないパンストを製造するYCカンパニーでした。創業者のKatherineは、とても良くできた説得力のある動画を作り、マスコミにピッチしました。彼女はHacker Newsでもローンチしました。ご存知のとおり、Hacker Newsは男性読者中心のコミュニティです。ですから、私たちはごく薄手の破れないパンストのようなものに男性読者がどんな反応を見せるか興味津々でした。

結果、彼らはこのパンストを大いに気に入りました。とても良くできているし、プロダクトの背景にある技術的な要素が実に興味深い、と評価しました。このように、どんな会社であれ、様々なコミュニティでローンチして、それぞれの反応を見ることをお勧めします。

KatherineはProduct Huntでもローンチしました。友人や家族、バッチの仲間、そして投資家に口コミで広めてくれるよう頼みました。彼女のキャンペーンは大成功を収めました。

新製品・新機能ローンチ

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また、新たな機能や新たなプロダクトラインのローンチも当然あります。これで大成功した会社がStripeとGlossierですが、それぞれ全く異なるタイプの会社です。両社は、新規プロダクトのローンチに非常に長けているという点では共通しています。

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Stripeは本当に初期の頃から卓越していて、コミュニティとの交流が非常に上手でした。彼らはプロダクトをローンチする度に…例えばStripe Atlasをローンチした時、彼らはHacker Newsでローンチしましたが、創業者はスレッドに参加して潜在的ユーザー全員とプロダクトについて、そのプロダクトをローンチした理由について、解決したと思われる問題について対話していました。そして、ブログ投稿もしました。ソーシャルメディアでもプロダクトを広めました。マスコミにもピッチしました。彼らはこれを繰り返し繰り返し、行っています。

StripeのブログやHacker Newsを見れば、彼らの創業当初からの歴史を見ることができます。彼らはコミュニティを活性化する力に非常に長けていました。

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もう1つのGlossierは美容ブランドで、新規プロダクトのローンチが非常に上手です。Glossierのローンチ方法は、実はとても科学的に考えられています。彼らは一定の間隔を空け、非常に明確なリズムを持ってプロダクトをリリースしています。

全てのプロダクトを各コミュニティでローンチする、という活動を繰り返しているため、コミュニティ、ソーシャルメディア、マスコミ、広告といった場で6~8週間毎に新しいプロダクトがローンチされます。そうすることで、Glossierというドラムビートが絶えず世間に響く、というわけです。

起業家は自分のコミュニティを作るべき

質疑応答に移る前に、最後に1つだけお伝えしたいのが、皆さんはスタートアップスクールにいる間に独自のコミュニティを作り始めるべきだ、ということです。

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これはプロダクト段階前でも可能です。

YCの創業者の中にCymmetria を立ち上げたGadi Evronという人物がいますが、彼はTechCrunchローンチにおいて大成功を収めているうちの1人です。TechCrunchローンチは、TechCrunchでのローンチに関するストーリーそのものです。彼らが非常に多くの共有や交流ができていることに気付いた私は、「どうやってこんな環境を作ったんですか?ローンチを皆に共有し、広めるためにどんなことをしましたか?」と尋ねました。

Gadiが教えてくれたのは、彼は長年、それこそプロダクトのローンチ前から独自のメーリングリストを作り始めていたということでした。彼は、自分が会ってスタートアップについて話をした全ての人を、メーリングリストに加えていました。非常に小さな交流であった人も含めて、です。

リストに加えた人々には、彼が手掛けていることに関するアップデート情報を、ほぼ規則的にメールで送ります。そしてTechCrunchに記事が掲載されると、彼は自分がこれまで話をしたあらゆる人、他のスタートアップ創業者、投資家、友人、家族といったリスト内全ての人にメールを送り、そのニュースを広めてくれるよう頼みました。

彼は「反応はものすごく良かった」と話しています。彼の会社に投資していないVCたちが、自分たちのTwitterアカウントでこのストーリーを共有してくれたりもしたそうです。彼は、「助けを求めてみれば、きっと『こんな人まで手助けしてくれるのか』と驚かされることでしょう」と語っています。

皆さんもスタートアップスクールにいる間は、自分が手掛けているものについて非常に多くの人と話をする機会があります。是非、「私のアップデートリストにあなたを追加しても良いですか?」と頼んでみましょう。時が経つにつれ、あなたのリストは数百人、数千人に達するかもしれません。皆さんには今すぐこれを始めるよう、強くお勧めします。

本日のまとめ

本日のまとめに入りましょう。

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ローンチができるのは1回限り、という考えは捨てましょう。ローンチという大一番のためにスタートアップスクールでの時間を全て費やすようなことはしないでください。皆、このローンチという大一番に全てを盛り込もうとしますが、ローンチとは今後数か月、そして自社のライフサイクルを通じて行うことができる継続的なプロセスです。

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このスライドは冒頭でも紹介しましたが、本日紹介したローンチの機会はこういったものでした。

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疑問点・不明点がありましたら、私Katまでご連絡ください。デモデーが迫っていますので返信はいつもよりは少し遅くなるかもしれませんが、kat@ycombinator までお気軽にご連絡ください。私のTwitterアカウントへの連絡でも結構です。

Q&A

では、残り10分を質疑応答の時間にしましょう。ローンチに関して何か質問はありますか?はい、赤いシャツの方どうぞ。

話者2
ローンチパーティーについて簡単に教えてください。皆、ああいったパーティーは以前ほど素晴らしいものではなくなっていると思っていますよね。効果のあるイベントなのかどうか、気になっています。

Kat Manalac
「ローンチパーティーについてどう思うか?」という質問ですね。アーリーステージのスタートアップが多額のお金を使うようなことは、必ずしもお勧めしません。そう思いませんか?ずっと昔の話ですが、私が学校を卒業したばかりで雑誌『WIRED』で働いていた頃は、皆、そういった手の込んだローンチパーティーに何万ドルというお金を使っていました。クレイジーな習慣だったと思いますし、私は誰にもお勧めしません。

しかし同時に、こぢんまりとしたパーティーを開きたい場合や、特にコミュニティがあって共に祝いたい場合は、そうした場を持つのも悪くないと思います。とはいえ、私ならローンチパーティーに多額のお金をかけません。私ならやらないですが、もしあなたが気の利いた楽しい会を催したいと言うのなら、それを止めようとは思いません。はい、前の方。

話者3
問題の解決のために複数のアイデアが必要な場合、そういった様々なアイデアをどのようにローンチすれば良いですか?

Kat Manalac
「様々なアイデアがあって、問題解決のために様々なアイデアやアプローチを試そうとしている場合、それらのローンチをどうすればよいか?」という質問ですね。私が思うに、例えば2つの異なるアイデアがあって、あなたが試そうとしているのは…ちなみに、あなたが属しているのはどんな業界ですか?

話者3
B2Bです。

Kat Manalac
わかりました。そういう場合は、なるべく早くユーザーから話を聞くことが非常に重要だと思います。友人や家族だけでなく、潜在的顧客と向き合い、潜在的顧客にもローンチし、彼らが何を求めているのか探りましょう。

相手が最も役立つと思うアプローチはどんなものでしょうか?顧客の話を聞いて、なるべく早くユーザーと向き合うことで、進むべき方向を把握することができるでしょう。これは明らかに、より早くローンチをした方が良いケースだと思います。顧客にアイデアをピッチするだけでも良いので、早く動いた方が良いでしょう。はい、次の方。

話者4
まず、本日は講義をありがとうございました。非常に役立つ内容でした。私の会社では2週間前にマーケティングキャンペーンが開始され、かなり良い成果が出ています。しかし、先ほどお話された内容と関係する課題もありました。[聞き取り不能]お金は[聞き取り不能]について話していました。1つ質問があります。Hacker Newsでのローンチについて説明されていましたが、より良い成果を出すにはどんなキャンペーンをすべきですか?B2Bですか? B2Cですか?どんなものが良いでしょうか?

Kat Manalac
良い質問ですね。つまり、「Hacker Newsでローンチする場合、Hacker Newsでのローンチにより適しているのはB2B、コンシューマー、開発ツール、どんな会社か?」ということですね?Hacker Newsのコミュニティには非常に賢い技術系の人が多いですね。しかし、予想外のことが起きることもあります。

news.ycombinator.com/launches、あるいはShow HNでも、あらゆる会社のリストを見ることができますので、一度見てみることをお勧めします。/launchesには、ローンチした全てのYCカンパニーのリストが載っています。Show HNでは、プロダクトをHNで共有している全ての一般企業を見ることができます。最も多くのupvoteを獲得している会社を知ったら、皆さんは驚くと思います。これまでHacker Newsでローンチしたなかで、upvoteやエンゲージメントという点で最も優秀であったと思われるYCカンパニーの1つは、70 Million Jobsという会社でした。

特に技術系ではない創業者が単身起業した会社で、犯罪歴があり刑務所に入った経験がある人の就労支援を目的としていました。コミュニティはこの創業者がやろうとしていることを大いに気に入り、多くの質問が出て、非常に高いエンゲージメントが見られました。Hacker Newsのモデレーターに同じような質問をしたことがありますが、彼らの話を聞く前は、私もHacker Newsでは開発ツールのような非常に技術的なものが成功していると思っていました。

ところが、モデレーターの回答は「それは全く違います。実際に数字を見ればわかるように、あらゆる種類の会社が成功しています」というものでした。Hacker Newsで成功するのは、知的好奇心を掻き立てられるような内容です。ユーザーから学んだことで、コミュニティと共有できる、とても興味深い情報はあるか?驚くべきことや、今まで聞いたこともないような情報はあるか?ということです。

ですから、自分がどの業界に属しているかに関係なく、コミュニティと繋がりを持てるような方法でのアプローチを心掛けることをお勧めします。また、過去に成功を収めたローンチを調べて、彼らがどのように自己紹介していたか、どのようにして質問が飛び交うようなコミュニティを構築していったかを研究することをお勧めします。

話者4
Redditでは、一般的にどのような年齢層が期待できますか?

Kat Manalac
それは本当に状況によります。Redditに関しては、ターゲットにしたいものに特化したsubredditを狙うことをお勧めします。Redditでは、1つのトピックに数百万もの様々なsubredditsが存在します。TV番組からフィットネス、男性のファッションに関するアドバイス、歴史マニアまでsubredditsは多岐にわたります。ですから、まずは自分がターゲットにしたいsubredditを見つけることです。自分がどんなsubredditを選ぶかでターゲット層の構成は変わります。とはいえ、当然のことながら平均的にはおそらく若年男性層になるでしょう。しかし、女性のみのsubredditsも存在しますので、状況によると言えます。次の質問で最後にしましょう。では緑の服の方。

話者5
ローンチの際のホームページについてですが、非常に短く要点のみを記したものと、[聞き取り不能]の指標を含んだ長いページのものと、どちらが良いと思いますか?

Kat Manalac
短くしておくべきです。ランディングページでは、自分たちが手掛けているものは何か、自分たちが対象としている人々は誰かを非常にわかりやすく記す必要があると思います。しかし、細かいことまで書きすぎると、逆にわかりにくくなったり、混乱の原因になったりする可能性があります。多少は詳しい説明を入れても構いませんが、コピーは簡潔にすることです。人間の注意持続時間はどんどん短くなっていますから。

ちなみに皆さんには、そういったメッセージングやフロントページのコピーに関するA/Bテストに協力してくれる、このスタートアップスクールという巨大なコミュニティもありますね。とはいえ、可能な限り短く簡潔なものにすることをお勧めします。ありがとうございました。

 

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: How to Launch (Again and Again) (2019)

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