インサイドアウト vs アウトサイドイン:新技術採用の種類 (a16z)

新しいコンピューティング技術に関しては、採用経路が主に2つあります。インサイドアウトとアウトサイドインです。インサイドアウトテクノロジーは、一流の組織が開拓し、その後に主流に向けて広めるものです。ちょうど、Apple(Googleなどが追従)が現代的なタッチスクリーンのスマートフォンを開拓し、大学や企業の研究実験室が機械学習を開拓し、Amazonなどの大手ハイテク企業がクラウドコンピューティングを開拓したようにです。

それとは対照的なのが、アウトサイドインテクノロジーです。少数派に由来し、後になってようやく一流の組織に取り込まれます。オープンソース・ソフトウェアの発端は、ニッチな反著作権運動です。ウェブは物理学の実験室で発明され、その後、趣味に熱中する人や起業家によって構築されました。ソーシャルメディアは理想主義的なブログ愛好家の運動として始まりました。

インサイドアウトテクノロジーには概して、大きな資本および正式な教育を受けた技術専門家集団が必要です。また、登場する前から、ほとんどの人がその価値を認識していたテクノロジーでもあります。手軽な価格で、使いやすく、インターネットに接続できるポケットサイズのスーパーコンピューターが人気を博すことは想像に難くありませんでした。また、知的に振る舞うことを学べる機械がさまざまな有益な作業をこなす状況も想像に難くありませんでした。

新しいコンピューティング技術に関しては、採用経路が主に2つあります。インサイドアウトテクノロジーは一流の組織が開拓します。それとは対照的に、アウトサイドインテクノロジーは少数派から生まれます。

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アウトサイドインテクノロジーは概して、あまり資本を必要とせず、ハイテク技能の正式な教育もそれほど必要ではありません。そのため、インサイダーとアウトサイダーの間に、はるかに大きな遊びの空間があります。多くの場合、アウトサイドインテクノロジーの価値は発明前にわかりにくく、発明後も多年にわたりはっきりしません。

ソーシャルメディアの例を取り上げてみましょう。当初、ブログやTwitterなどのサービスのほとんどは、技術的にニッチな話題を議論するため、また日常の個人的な出来事を共有するために使われていました。結果として、多くの洗練された評論家は遊び道具または一時的な流行と捉えて相手にしませんでした。しかし、ソーシャルメディアは根本的に、情報の収集・公開ネットワークの作成です。現在、これはわかりやいものになっています(数十億もの人々がTwitterやFacebookなどのサービスに頼って情報を得ています)が、当時は「アーリーアダプターの風変わりな騒ぎ」というレッテルをはねのけなければなりませんでした。ソーシャルメディアは、国際的なメディア・ネットワークを創出するテクノロジーですが、お昼に食べたものを共有するための手段を装って到来しました。

インサイドアウトテクノロジーもアウトサイドインテクノロジーも重要ですし、実際にこの二つは相互に補強し合っています。ここ10年は、モバイル、ソーシャル、クラウドがコンピューティングの成長を推進しました。モバイル(インサイドアウト)は何十億もの人々にコンピューターをもたらし、ソーシャル(アウトサイドイン)は利便性と収益化を生み、クラウド(インサイドアウト)はバックエンドサービスの成長を可能にしました。コンピューティングの次の大きな波もまた、相互に補強し合うテクノロジーの組み合わせによって起きるでしょう。一流の組織が開発するものもあれば、真価を認められていない熱心な人々が開発するものもあるでしょう。

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下掲の動画では、Chris Dixonが、イノベーションの方法およびインターネットの将来をどのように作っていくかという点について、Buzzfeedの創業者兼CEOであるJonah Perettiと話し合っています。


著者紹介

Chris Dixon

 

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: Inside-Out vs. Outside-In: The Adoption of New Technologies (2020)

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