この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: Investor School (Y Combiantor)
目次
- 最初に&前回までの振り返り
- 投資の原則は「プロセスを持つ」こと
- エンジェル投資の意思決定のやり方
- 創業者と実際にミーティングを進めていくために
- 意思決定を起業家に伝える
- ミーティングの例
- Q&A
- 投資することに同意したが、その後に企業への信頼を失った場合どうすべきか
- 本当の答えがあまり優しくない場合や単純にその人たちを信用できない場合、どういうふうにノーと言ったらいいのか
- ミーティング前に創業者に資料やその他のデータを頼んだ場合には何を期待すべきか
- 起業家がマイルストーンを達成したら投資をする、というのはありか
- オンライン通話などはありか
- 投資した企業が潰れはしていないが低空飛行のままである場合にはどうしたら良いか
- 創業者とのミーティング中に競合者について話す時はどうアプローチしたら良いのか
- 投資家として、彼らが他のいろんな人から資金を調達できる見込みがあまりない時にはどうすればよいか
- イエスと言ったのに起業家が契約を結ばなかったら?
- プロセスを反復し自分自身から学ぶにはどうしたら良いのか
最初に&前回までの振り返り
Geoff Ralston
もう一度言いますが、ライブストリーミングで見ている方、質問などがあればYCSISへ、もしくは#YCSISを使ってツイートしてください。直にここにいる人たちには新しくSlackのチャンネルもあります。みんな招待されたことかと思います。質問などがあればどうぞ。みなさんの間でのコミュニケーション用のと質問用のチャンネルに分けられています。
質問などをして、いいと思う質問には投票してください。時間があればうまく答えていければと思っています。また後ほど全質問を読み通して私が答えれる質問をまとめて記事という形で答えたいと思っています。木曜日にはワインとビールが準備されています。大発表です。はい、ビールとワインです。みなさんがネットワーキングできる時間を少し準備しました。どのくらいの時間か、まだ決めていませんが、多分準備されているワインとビールの量によるでしょう。
皆さんからは本当に素晴らしく役立つフィードバックをいただいています。多分みなさんから聞いた意見で一番大きかったのが「もっとコミュニティー感が欲しい。ネットワークできるようになりたい」。Markや他数人からどうしたらみなさんのネットワーキングを手伝えるか提案を受けています。よくわかります。今の所はSlackのチャンネルしかありませんが考えておきます。
今回の『Startup Investor School』中にどれほどの変化をもたらせれるかはわかりませんが、フィードバックは本当にありがたく思っていて、もちろんとても真剣に取り扱っています。
誰かの後を追う羊にはなるな (Sam Altman の回より)
昨日、Samが言ったことですが、投資家として最もしてはいけないことの一つが『羊であること』です。他の投資家の後を追ってはいけません。あなたがする最高の投資判断は他の人がとっていない判断です。
例えば講義の後に集まって誰かの家にエアーベッドを置くとかいう馬鹿げたアイデアのために人が集まる時。馬鹿げたアイデアでしょう?あなたの他には誰もそんなものに投資はしませんが、それで1億ドル稼いで笑えばいいんです。
Samのイントロと、そしてSAFEやスタートアップ投資のやり方などについて少し触れてきました。今日はHowについてもっと説明していきたいと思います。その前に株式 vs SAFEについて一言。
投資契約は難しい、けれど重要 (Carolynn Levy & Kirsty Nathoo の回より)
非常に複雑なものでして…表面上では昨日聞いたように簡単な話のようですが、実際にはかなり複雑です。なぜSAFE投資をするか。それはシンプルで簡単で早くて安いからです。創業者にとってはより良いものです。
ですが飲み込みにくいところもあることは認めます。希薄化でどうなるのかわかりにくい時もあります。そのためのツールもあります。ウェブページにAngelcalcをリンク付けしましたし、今はまだ上がってませんが昔ながらのツールの方が心強い人のためにスプレッドシートも出来次第あげます。キャップテーブルやコンバージョンのモデル化ができるようになります。おかしなコンバージョンで、分かりづらいです。確かに奇妙ですが内容を理解できるようにスプレッドシートも準備しています。
希薄化は少し理解しにくいかもしれません。それを理解するのは創業者にも投資家にも同様に重要です。
それでは、今日の話題に入ります。私自身、今日の講義には大変興味を持っています。私は多くの間違いを犯してきたので、よりよい投資家になる方法について学びたいと思っています。あとで声でもかけてくれれば私が犯してきた数多くの間違いについて話します。
今日は Dalton Caldwell による「賢い投資判断の方法」
今日のトピックは主に賢い投資判断をする方法です。どうすればいいのでしょうか。それは至って単純なことです。将来について正しい予測ができたらいいだけです。簡単でしょう?
投資するかどうか、判断を下すにはまず興味あると思う企業を探し出し、彼らに会うことから始まります。
最初に話をしてくれるのは私の友人でありパートナーでもあるDalton Caldwellです。彼はiMemeとApp.netの創業者です。4年前からYCのパートナーでもあります。いろんなことについて知識豊富です。
Daltonの言葉でお気に入りなのは、彼が残した名言は少ないのですが、これはその一つだと思います、「最初から真中、そして終わりまで、筋の通った形で彼の製品がなんなのか、誰がそれを望むのか、何をするのかについて話すことができた人がいれば、そいつだ」。
創業者とのミーティングについて語ってくれます、Dalton Caldwellです。
Dalton Caldwell
ありがとう。初めまして。創業者とのミーティングとプロセスについてお話しします。投資する時に考えることを分解し、どのように戦術的にできるかについて話します。ベストだとは言えないアプローチや初心とも言えるアプローチの例が数多くあります。そのことについても話します。それでは本題へ進みましょう。
投資の原則は「プロセスを持つ」こと
最初の原則についてお話ししましょう。誰にでもプロセスは必要です。仮にあなたのプロセスが「プロセスはない。こんなことしたことないし何をしているのかわからない」だとしても、それ自体がプロセスなのだと言えます。頑張ってみてください。
これから数スライドにかけて話すのは、非常にシンプルなものでもいいので投資判断に関する自分のプロセスを作ることから始めよう、ということです。
投資する人をどう選ぶか、どれだけ投資するかなど、役に立つものばかりだと思います。プロセスがあるというのはいいことです。自分のプロセスファネルがなんなのかわかるのはいいことです。その意味についてはこれからお話しします。
プロセスの中で最も重要なのが対面でのミーティングだと主張したいです。対面でのミーティングは投資経験の多い人にとっては投資判断の主要部分です。クオリフィケーションをたくさん行います。
そして対面のミーティングで実際に投資するか否かを決めます。対面ミーティングについても少し話します。
プロセスはファネル:リードを取って、紹介してもらい、クオリフィケーションして、意思決定して、投資する
これはとても基本的なプロセスファネルです。
セールスファネルと似たようなものです。
リード(投資先になりうる人)が何人かいなければなりません。要するに投資したいかもしれない人たちのことです。プロセスの中で見えてくるかもしれません。デモデーに会う人たちもそうです。とても簡単です。
紹介で会うこともあります。これは実際に紹介された人たちで、企業についてもある程度の知識がある場合です。
次にクオリティフィケーションを行います。例えば、そもそもこの業界に興味があるのかどうか。もしくはこれに投資することにワクワクするか。自分で決めた「資金提供したい企業」に当てはまるかどうか。とても基本的なクオリフィケーションです。
そして次に意思決定プロセスがあり、「イエスかノーかどう決めるか」というものなのですが、結構難しいものです。
そして最後にくるのが実際に投資して契約を結ぶことです。
セールスの経験があるかは知りませんが、セールスファネルのようにとても簡単なもので、投資プロセスについて考える時にこの手順を辿るといいと思います。
あなた自身がそういうわけではない場合(訳注:セールス経験がない場合)、「うーん、わからないな。ミーティング行ってみようかな。」みたいな感じだとしたらそれは非常に優柔不断なアプローチです。恐らく最適な投資判断は下せないでしょう。
プロセスは予算について考えるところから始まる
これはプロセスファネルの一例です。
まず第一に予算について考えると良いでしょう。
他の人が既にこのことについて話したかこれから話すかもしれませんが、投資したい金額と予算がわかっていないと多分最適とは言えない判断を下すことになります。
「貯金もあるし、何か別の使い道がないか検討していて、でもスタートアップ3、4社と会って、もし彼らが私を説得することができたら投資しようと思う」みたいな考えで行くよりも、前もってスタートアップ何社かに投資したいのはこれだけまでと考えておいた方が良いでしょう。
なぜなら、そうでないと自分自身と交渉する羽目になります。それはとても難しいことですから、結果的に優柔不断な「もしかしたら」の世界に陥ってしまう可能性が高いです。優柔不断な「もしかしたら」の世界というのは投資家としてはあまりあまり居たくない場所ですね。
「予算は年間50万ドルでこの資産種類に割り当てる。ウェルスマネージャーとも相談したしみんな乗り気だ。恋人とも話したしこの金融面での決断はあっている。これをうまくいかせるためにある一定数の投資をする」という決断を取ったとしましょう。
YCでそれをするなら比較的簡単な話です。デモデーに来て投資したいと思う5社を選べば良いです。YCのデモデーを通してやりたくなければ、別の方法で割り当てたら良いと思います。
カレンダーに記入して、それから望むプロセスファネルの合格率について考えましょう。例えば、この場合ではお気に入りの20の中から5つ選ぶことです。5社にしか投資しないのなら150社と会うことは避けた方が良いでしょう。あなたにとっても企業にとってもより有効な時間の使い方があるでしょうから。クオリフィケーションの段階ではもう少しした方が良いでしょう。
逆に、5社に投資したいのに5社としか会わないとおそらく最適な投資判断を下すことはできないと思います。私なら少し考えて、投資に関する金融的覚悟が何であるかからクオリフィケーションにかけるリードの数、そして実際に行うミーティングの数まで遡って考えます。
エンジェル投資の意思決定のやり方
この単純なファネルを通ったら今度は実際にどう決断を取るかについて語りましょう。
大事なのは決定までのプロセスがあること
一番大事なのは頭の中に意思決定に至るまでのプロセスがあることです。意思決定をして資金を提供するとはどういう意味なのか、自分自身と交渉しなければいけません。その企業に投資したいと創業者に説得された証拠は何か。そのような基準を事前に決めておくべきです。
優柔不断な「もしかしたら」の世界でミーティングをするよりかはこれらのことについて考えておいた方が良いです。何を探しているのかさえわからない状態は避けてください。確かではない状態も避けましょう。
意思決定までのミーティングややり取りの数も考えよう
確実なイエスかノーにたどり着くまでにかかるミーティングやインタラクションの数についても考えておくべきです。決断をせずにミーティングからミーティングへ行き来する人によく見るのが投資家のアンチパターンです。
創業者からしたらそれはノーと言われた方がマシです。大量の時間を無駄にして決断もできないような投資家は絶対にイエスとは言いません。創業者からしたら非常にやりにくい場面です。なので自分のプロセス把握しておいた方が良いです。
「もしかしたら」なら、それは多分ノーです。ノーと言って立ち去ります。そうした方がプロセスとしてはより良いですね。そのほかにも時々あるのが、イエスと言っても実際の金額には触れなかったり、イエスと言ってもあとで気変わりしたりする人ですね。そんなことはしないでください。これはとても大切なことです。
決断したらコミットする:引き返すと評判に悪影響を与えるから
始めたばかりで、決断を下すことに不慣れかもしれませんが、イエスという意思決定をしてコミットしたら完全にコミットするべきです。
コミットしてからその契約から引き返そうとするのは大間違いで思っている以上に評判に悪影響を与えます。この決断をとったらもう後戻りはしてはいけません。
投資家ごとに違う意思決定基準があったほうがよい
投資する際の基準が何なのかについて話しましょう。
誰もが異なる投資基準を持つのはとても良いことです。本当に素晴らしいことです。誰もが異なる投資基準を持つ、これは誰もが望むべきことです。でなければ投資家が大勢いる必要なんてありません。単に計算だけをするコンピューターになってしまいます。情報をインプットして、そしたらイエスかノーかが自動的にでてきて、そうしたらお金を入れる、ってね。
これは、群集型の知恵の一種の例です。異なる基準を持つ人々が、本当に面白い外れ値の企業を見つけて、誰もが同じ基準を持っている場合と比べて大きなリターンを生み出す可能性が非常に高いです。
チームという投資基準
基準の例ですか?最も単純なのはチームです。YCにとってもチームはとても重要です。なのでそれは私たちの投資基準に入りますが、チームがどれだけ重要なのかはあなた自身で判断してください。どういうことなのか。
とても優秀なプログラマーがチームにいることがどれだけ重要なのか。彼らの業界に関連する経験はどれだけ重要なのか。知人が彼らのことを知っており、彼らを保証するというタッチポイントがあることはどれだけ重要なのか。自身の個人的なプロセスの中に、チームに関連する異なる様々な基準を加えることができます。
市場規模という投資基準
多くの人にとっては市場規模は重要でしょう。他の人にとっては市場規模はどうでも良いかもしれません。気にしなくていい、後でどうにかなる、と。
Airbnbの元の市場規模を見てみますと、Airbedの市場がなんなのか判断するのは難しかったし、市場規模だけをみていたのなら多分ノーと言ったでしょう。Uberも似たようなもので、タクシーを呼んでいた人の市場規模は当時とても小さかったので、その基準だけで失格としていたかもしれません。
トラクションという投資基準
トラクション。トラクションがないときに投資する投資家もいればトラクションがたくさんあるときに投資する投資家もいます。なのでトラクションの基準であなたがどこに位置するかについて考えましょう。
専門性の投資基準
多くの人は関連した専門知識を持っていなければ投資判断をノーにします。デモデーには多くのバイオ企業やハードテック企業がいます。多くの人は関連する専門知識がないのでそれらを無視します。
別にそうしてもいいんですが、「全く無経験のない分野に投資する意欲があるのか、それとも距離をおいて知っていることに留まるのか」と考えておけば良いでしょう。みんなが異なるアイデアを持っているのは良いことですが、その分野での自分の知識がどれほど専門的なものなのか、事前に考えておく価値があります。
投資条件もその人のモデルによる
そして最後に投資条件。
「私は非常に低い価格しか支払いません」という人もいれば、オーナーシップに目的があったり条件にある程度のストラクチャーを望む人もいます。それがあなたのモデルならばそれでいいのですが、いまの段階で全く見当がつかないのなら実際に条件がどれほど重要なものなのかについて考えてみる価値があると思います。
集団志向に気を付けよう:それは最適な手法ではない
集団思考についてはもう触れましたが、この言葉はよく聞くことになるかと思います。
よく起こるのが、他のみんなが話しているうまくいきそうなものに投資することが投資基準になっていることです。もう一度言いますが、これは投資判断する上で最適の手法ではないと主張します。
集団思考でもう一つ困るのが収益が非最適化されることです。
みんながみんなの基準に合うとみなせば誰もが同じ取引をしようとし、結果として企業も資金が膨張してしまいます。資金が膨張するというのは企業にとっては実はあまり良くないことです。投資家はみんなが投資したがるものに投資できないと機嫌が悪くなったりします。
本当に良い投資は逆説的
Geoffがさっき言ったように、本当にいい投資というものはしばしば逆説的であったり、流行に乗っていなかったり、もしくはその他の理由で他人には全く魅力的でないものです。他の人に見えていない何かを見出せた時、それが一番いいものです。
他人に魅力的でないことが逆にあなたにとってチャンスなんです。何故こんなにも時間をかけてこのことについて話しているかというと、プロセスがどういうものかについて考えて理解した方が「わからない。10人ぐらいに彼らがいいと思うものについて聞いてくる」というプロセスより良いからです。
彼らの投資リストに載っているものがあなたの投資リストにも載ってしまいます。みんなとそうしてしまえば結果として残るのはいわゆる集団思考リストです。私が知ってる限りでは多くの人がこのやり方でしてますが、全然お勧めしません。
信念を持とう
投資するにあたってとても大切なのが個人的な強い信念を持つことです。こういう賭けをするためには本当に信じているものがなければダメです。入れたお金は二度と戻ってこない可能性がありますから。投資ではやり直しボタンなんてありません。
個人的な強い信念がなければ、また、仮にあったとしてもそれが中途半端なものであれば、投資家としての道程はとても難しいでしょう。
「残りが集まれば投資する」なんて言うな
特に経験の薄い人たちの口からよく聞くのは「ラウンドの残りが集まれば投資します」という言葉です。
これは本当に汚い手です。なぜならこれは実際には「ラウンドでオプションの保証は欲しいけど実際にあなたがそれを上げることができるとは思いません。もしあなたが私の期待を上回り、資金を集めることに成功し、ほかの投資家たちみんなが投資したなら私も投資します」と言ってるようなものだからです。
投資家の視点からしたらこれは非常に賢く、忍術のようなものに見えるのはわかります。ですがこれは創業者たちからは本当に悪く見られていて、評判の面ではあまりよいとは言えません。上辺だけのお友達です。信じてくれなかった人たちです。彼らは他のみんなが投資し始めて美味しくなってきたときのために参加する権利が欲しいだけです。
あなたもこのようなことを言ったことがあったり、経験したりしたのかもしれません。ですが、この言い方はあまりオススメしません。この立場にいるのが私だったら「ファイナンスのリスクを気にしているのでノーですが、もし資金調達の動きが増えることがあればまた後で話しましょう」と正直に言いますね。そうすることで答えがノーだという事が明確で「あぁ、投資するよ。200万ドル集めてこれたら最後に投資する」と言うよりずっと良いです。
バカバカしく見えるものに投資する覚悟を持つこと
投資家の考え方についてもう一つ面白いことは、馬鹿げているように見えて、間違っているようなものに投資する覚悟がないといけない、ということです。誰もが認めて、投資しても決してバカにされない素晴らしいビジネスにだけしか投資しなかったら、いろんな投資のチャンスを見逃すことになります。
信念を持ってその企業に投資する理由がわかっていれば、他の人が「どんな企業に投資したの?へ?Airbedの企業なんかに投資したの?彼らになんて言われたの?なんでAirbed企業なんかに投資したの?」と言う意見を持っていても大丈夫なはずです。
そのAirbed企業に投資したことから恥をかく覚悟をして「あぁ、Airbed企業に投資したよ」とポジティブでなければいけません。こう言った理由から、評判が良いように見えるものばかりのポートフォリオよりも、信念の方がずっと重要なんです。
意思決定のアンチパターン:遅い、紹介する、ひっくり返す
よく見かける意思決定のアンチパターンは、(決定が)とてもとても遅く、何週間もいなくなり、メールに返事しないでフォローアップしないことです。よくないですね。
もう一つのアンチパターンが投資しようかどうか迷っているときに友達に紹介することです。これは「この友人にも紹介します」と何度も繰り返すことができますが、これはある意味では意思決定プロセスを遅らせるためです。よくないです。
もう一つがイエスとノーの間を行き来して、まるでゴールを何度も何度も移動している様な行為です。先ほども言いましたが、この問題についてはイエスでなければノーだと考えれば良いと思います。
この中間にある優柔不断地帯は避けるべきです。大抵の場合はそこにいる様な気がするでしょう。私自身、投資判断をする時には「あ、これは良いかもしれない」と、ここにいることが多いです。そこから脱出するためにはどんなシグナルでも望むべきです。
Yes と言わないなら No ということ
一見興味を持ってそうなのに投資してくれない人たちがいることに悩まされる創業者に資金調達についてアドバイスしているのは、イエスと言って資金を提供してくれないのならそれはノーだと言うことです。
私たちが会う創業者に資金調達の進歩具合について聞くと、多くが「注目を浴びてはいますね」実際に資金を提供してくれた人数は?「とてもワクワクしていますね。このビジネスを本当に気に入っているようです」と答えます。
失敗する資金調達のレシピが揃っていますね。どれだけ多くの人があなたのビジネスに興味を持ち、あなたと話すことを楽しんでいても、実際に資金を提供してくれない限りはうまく行っているとは言えません。
逆に皆さんの側から見ると、イエスと言わずにいろんな人と会ってミーティングをたくさんすることを楽しんでいるとしたら、それは意図的でなくてもノーと伝えているのと同じことです。
創業者と実際にミーティングを進めていくために
実際のミーティングでこの確信を得るのには様子見したり他人の意見を聞くより、直接対面でミーティングを行うのがベストです。
まずはスケジュールを組むだけでほかの投資家より有利な位置につける
ミーティングについて話しましょう。単純なことですが、特に骨を折らずに、スケジュールにミーティングを含むだけで、他の多くのエンジェル投資家より有利な位置につくことができます。
予定時刻に遅れず、便利な場所を選べば、エンジェル投資家の大半よりも有利な位置につけます。これが何故かはわかりません。創業者フレンドリーでいてよい評判を得るには、凄くて重要なことしかしないというような人でいるより、一緒に働きやすい人でいることの方が大切だと思います。
創業者に自分がどれだけ重要な人物なのかを知らしめるのは避けた方がいいです。とても単純なことですが、一緒に働きたいと思われる有能な投資家として高評判を得たいのなら、これらのことは絶対にする価値があります。
ミーティングで聞くのは基本的な事柄から
ミーティングで聞くことについてですが、基本から始めるといいでしょう。
今までもこれからも、YCで行うインタビューと投資判断は常に基本から始まります。あなたの企業は何をしますか?チームには誰がいますか?どの様な進歩を遂げましたか?どれだけの資金を調達するべきですか?条件はどの様なものですか?
何を聞くべきかについて考え出すと非常に複雑で難くなってしまうかも知れませんし、ミーティングの終わりではそれでもいいかも知れませんが、ミーティングを始める時は常に第一原理に関する質問をして基本を理解できていることを確かめます。既に資料を見ていたりその企業について既に調べ上げているかも知れませんが、必ずしも知らなかったことを学ぶことが肝心だと言うわけではありません。
大切なのはストーリーを聞くこと
大切なのは創業者の言葉で創業者自身のストーリーを聞くことです。既に知っていることをすべてを忘れて、創業者自身から創業者の話を聞けるということが、この第一原理に関する質問から始める理由です。
なので私はミーティングは必ず非常に基本的な質問から始めるべきだと勧めます。高度で複雑なビジネスモードに入るのは最後だけです。
フォローアップミーティングをするかどうかの判断基準を持つ
ミーティングのフォローアップがしたかったとします。
例えば最初のミーティングの後ではイエスともノーとも言えず、もっと情報が欲しかったとします。イエスかノーか、確信を持って言えるようにより深く行きたいとします。無関係なものを蒸し直すのに時間を無駄に使ってはいけません。
一つ自分の直感に聞くべきなのは創業者と会話するにつれて、より確信を持つようになっているか否かです。例えばあるアイデアを耳にし、デモデーのピッチを見てすごいと思ってイエスだったのが、彼らと会話する度にやる気が薄まって来ている場合、それはあまりよい兆候ではないです。どちらかと言うとノーですね。
逆に平凡に思えるアイデアが、彼らと話す機会が重なるにつれて自らの興奮が高まる場合、それはどちらかと言うとイエスよりですね。なので自分の直感を頼りにするのもいいことです。確信を持てないのならノー。
ミーティングの評価を自分の心に問う
ミーティングが良かったか悪かったかを評価するには、創業者たちと話した後にワクワクして元気一杯でビジネスに関してやる気があって全面的にすごく気持ちが良いのか、それともどこか不気味に感じるのかを考えます。
そして自分に問わなければいけないもう一つ重要な質問。創業者を信頼しているかどうかです。信頼はとても重要です。行っていることがすべて正しくても、終わった後に本当のことを言っていたのか信じきれていなければそれは危険視するべきですし、自身の個人的基準から失格させたらよいという兆候です。
言ってることがすべて正しいのにあなたの直感がそれがすべて真実ではないと主張する可能性はあります。
仮想的に彼らの企業で働きたいと思いますか?彼らの下につきたいと思いますか?将来、彼らが大企業を経営していていろんな人が彼らに仕えているのを想像できますか?
考慮するべき基準だと思います。よくあることですが、もし何かがうまく行かない場合、今話し合ってる人たちと共に辛い時を乗り越える意欲はありますか?良い思考実験にもなります。これらは全て私がミーティングの後により確信を持てているか否かを定めるのに行う思考実験です。
起業家とのミーティングのアンチパターン
起業家とのミーティングは面接ではない
ミーティングがうまく行っていない場合、一つできることは投資ミーティングが雇用面接だと思い込むことです。
相手が雇用主でこちらが面接を受けているという風に考えます。よくあるのが創業者を従業員として考える権力の力関係のようなものですが、彼らは従業員ではありません。あなたのお金を望んであなたの下に就くために彼らが面接を受けているのではなく、彼らのスタートアップで投資家として雇ってもらうための面接だと考えるべきです。
うまくいかないミーティングには共通点が数多くあります。創業者から聞く話でとても頻繁なのが投資家がミーティングを通してスマホを見ていたり気が散っているように見えたりすることです。お勧めしません。とても単純なことですが非常に頻繁な話です。ミーティングでは二桁のパーセンテージでそのようなことがあります。単純なことですがおすすめしません。
投資家は主役ではない
もう一つは、投資家が彼ら自身が如何に偉大か、誰々を知っているとか、そのような事について語り、注目の的になるように努力することがあることです。忘れないで欲しいのが、ミーティングの目的は創業者の話を聞いて投資するかどうか決定することだという事です。彼らと関係を築くのは良いですが、ミーティングの中心があなただけだとしたらそれは逆効果であると同時に創業者間でよい評判を得るのにはあまり良い策だとは言えません。
起業家のためにやりすぎない
ここでもう一つ触れておきたいのが、これは特に新人投資家に多いですが、付加価値サービスを行うことで差別化を図りたい人たちです。ミーティングで製品に関する助言を数多くし、何をどう間違っているか、ウェブサイトをどう再設計するべきか、名前を変更する必要があるって、マーケティング戦略を考え直す必要があって、その他いろんな事について創業者に助言をする人たちです。
創業者は資金を調達したいわけですから我慢しなければいけませんが、彼らに彼らの企業をどう経営すべきかについてアドバイスばかりしていたら彼らはそれを迷惑に感じるだろうと思います。
同様に「調達金額が間違っています。これはこうするべきです。SAFEで調達は絶対にしないほうがいいです。」など彼らの資金調達プロセスについて助言を与えすぎるのも迷惑です。
彼らに資金を提供してからなら貴方の助言はより重要視されますが、ミーティングの段階で、貴方の決断がノーで、貴方のしていることが彼らのしていることを否定しているだけならそれは付加価値にはなりません。
付加価値を出したいと思っている人がするもう一つのことはいろんな人に紹介することです。例えばミーティングして、企業に投資はしないのに付加価値を与えるために20人に紹介する。それは付加価値ではなく彼らの時間を無駄にする行為です。
ここで言いたいのは善意ででもやりすぎることは単に正直でいるよりも悪効果だということです。差別化して名声を上げようとする人がしばしばいますが、下手すると本当に逆効果になります。
意思決定を起業家に伝える
意思決定のコミュニケーションについて話しましょう。
ノーというときは率直に(ノーというのは仕事の一部)
ノーの言い方です。出会い系のデートと同じようなもので、投資家によくあるのが音沙汰なしになる人です。引き続きがなく彼らからは連絡なしです。
投資家とミーティングして、創業者が投資家に「お元気ですか?次のステップはどうしますか?」とフォローアップします。返信なしです。それは良くないですね。よくあることだとはわかっていますが、お勧めしません。
創業者に投資する気はないと正直に伝えることをお勧めします。できる範囲で、それが適切なものであれば、いくつか理由をあげるべきです。理由がわかるのは嬉しいことですが、必ずしも挙げなければいけないわけではありません。
事実、この業界ではほとんどの場合ノーと言うことになります。
そう言うものなんです。それがファネルの仕組みです。ノーと言う心構えを持ち、ノーと言っても悪く思わず、ノーを言う練習をして仕事の一部にする必要があります。ノーということに対して非常に不快に感じるものがあり、エンジェル投資をしたくなくなることがありましたらその習慣から脱却することを勧めます。回避だけではあまり良くないです。
Yes の伝え方:ハンドシェイクプロトコルで
イエスの言い方。確信があり投資したいと思い次第それを彼らに伝えます。彼らと一緒に働くことをとても楽しみにしていることを伝えます。ハンドシェイクプロトコルがありますが、メール越しでもそうする方法を含めていますので誤解のないようそれに従ってください。そしたら彼らに資金を提供します。
時には投資家がイエスと言ったのにそれ以降音沙汰無しで、資金も調達されず、投資家がラウンドから除外され、後々面倒なことになることもあります。イエスと言ってハンドシェイクプロトコルも行ったのなら投資するべきです。勝利宣言して次に行きましょう。
意思決定コミュニケーションのアンチパターン
時にはイエスとは言ったものの、それと同時におかしなものをいくつか含めてくる人がいますが、それは実際にはイエスではないということです。巨額の資金を提供するのなら契約要項や価格などのものを検討する事も出来ますが、少量の資金であなた自身が大規模なシンジケートの一員でしかないのならばことを難しくしないでください。それはプロセスを悪化させるだけで、大抵の場合、創始者はすべてを押し戻すでしょう。特に新人エンジェル投資家とかはいろんなものを余計に欲求したりします。良くないですね。
はい。この事についてはここまでです。
ミーティングの例
これから仮のミーティングを行いましょう。今回のバッチに既に投資している企業があります。少し偏っていると思いますが、一例としてこれから投資ミーティングを行い私がいくつか質問をします。それが終わったら今度は質問コーナーを行います。それでは始めましょうか。
はい。ミーティングのイントロをしたいと思います。
さて、こんにちは。まず第一に自己紹介をしてあなたの企業がする事について少し話してください。
自己紹介
Ben[Necto]
初めまして、Benです。NECTOの創業者でNECTOはISPを簡単に行える事業をしています。簡単に言うとComcastやAT&Tといったインターネットサービスプロバイダを始めたい人を助けます。
Dalton Caldwell
なるほど。もう少し具体的にしましょう。インターネットサービスプロバイダ事業を始めたい人たちのためにソフトウェアを作っていると。
Ben[Necto]
その通りです。
Dalton Caldwell
少し明確にしたいところがあります。あなたは自分でインターネットサービスプロバイダー事業を経営するのと同時に、あなたのソフトウェアを使えば誰でもインターネットプロバイダができるようなるということですね。
Ben[Necto]
はい。その通りです。これを始めたのは基本的にインターネットプロバイダーに大変不満を持った人が多いのを問題と見たのが理由です。製品スコアが最悪なんです。なぜかと言うと地域別の独占の下に住んでいる人たちが多いからです。彼らのインターネットは国営通信局からか、小さな町とかだとComcastぐらいしか選択肢がないんです。
それには理由が二つあります。昔はインターネットプロバイダー事業を始めるのには膨大な資金が必要でした。第二の理由が実際に始めるのが難しいということです。インターネットプロバイダーを始めるのに必要な知識はとても多いです。私自身、事業を始めようとしていた頃にこの問題に出くわし、そこで気づいたんです。「コストがだいぶ安くなった」と。
Wifiで数ギガバイトのサービスを提供することができます。1万、2万ドルで自らのインターネットプロバイダー事業を始めることができます。必要なのは知識です。それこそがスケール出来る箇所で、私たちが提供するものでもあります。
横に逸れない
Dalton Caldwell
メタな点ですが、この企業を選んだ理由の一つがピッチが結構複雑なものだからです。これは難しいビジネスで、本質的に複雑なものです。すぐにでも気が散って、なんでもいいんですが、例えば「企業の名前を変えたらどうだい?」とかそういった事について話し始めてしまうかもしれません。彼らが実際に何をしているのか把握する前に落とし穴にはまってしまうパターンが何百万通りもあります。
ここで私がすることは、より深く掘って彼らの企業の事業を完全に理解しようとすることです。皆さんもできれば聞いてみて下さい。おそらく「なんかISPと関係することなんだ」と引いてしまう人がいると思います。少し理解できていても、今まで聞いたことだけだと彼らが実際にすることの仕組みを誰もが完全に理解しているわけではないと思います。どうでしょうか?
より深く追求しましょう。現在あるのはどんなものですか?企業の現在の状態はどんなものですか?
トラクションの確認
Ben[Necto]
はい。1月22日からベータ版を終えたインターネットプロバイダーがあります。その事を顧客に報告し、上手くいっています。
Dalton Caldwell
自らのソフトウェアを使って始めたあなたたち自身のISPがあると。
Ben[Necto]
はい。その通りです。
Dalton Caldwell
なるほど。そのISPの現在の顧客数は何社ですか?
Ben[Necto]
47社います。
Dalton Caldwell
それはどこに位置しますか?
Ben[Necto]
サン・フランシスコの南部とベイビュー=ハンターズポイント、ポルトラ、エクセルシオール、そこらへんですね。
Dalton Caldwell
また、メタの話ですが、一歩下がってみると今まで習ったことは次の通りです。
ISP関連の企業を立ち上げている。サンフランシスコに第一ロケーションがある。顧客は50人で実用化している。さて、何を学びましょうか。これは現実するもので、実用化していて顧客もいます。彼らは専門家のようなものなのか。どうやってISPの始め方を知っているのか。
Ben[Necto]
自分達でやっただけです。実際に退職している専門家がたくさんいるので、基本的にはコミュニティの助けを借りて、すべての要素を把握しました。ドットコム時代の人達がボランティアしているようなものですかね。
ビッグアイデアは何?
Dalton Caldwell
なるほど。それではビッグアイデアは何でしょうか?この企業が大きくなる理由は何ですか?
Ben[Necto]
私達の理解では、単純にいうとインターネットプロバイダーを簡単にできるような実際の製品として存在しています。ハードウェアとソフトウェア合わせて売られていますが、含まれていないのはそれの使い方とそれをどう使ったら成功できるか、そしてどうしたら繁栄するインターネットプロバイダー事業を始めれるかでして、私たちはそれらすべての面でサービス利用者を助けます。
Dalton Caldwell
なるほど、わかりました。また一歩下がりますと、これもまた私自身この企業をよく知っているからですが、あなたが言いたいのは新しいISPを始めるのは非常に難しいということですね。あなた達はこれを立ち上げることができると。誰でもどこでも自らのローカルISPを立ち上げる事を可能とする箱に入ったISPがあると。
Ben[Necto]
はい。
Dalton Caldwell
なるほど。さて、ここが重要な部分です。なぜそれは重要でなぜこれはおよいアイデアなのか。私のコンテキストはこうです。いろんな人がISPを始めようと試みた。Google Fiberもありますし、Webpassもあります。大量の資金がここに注ぎ込まれています。ここはスタートアップの墓場のように見えます。
あなた達がしている事の何が特別なのですか?どこが違うのですか?
Ben[Necto]
そうですね。素晴らしいのはYC卒業者のコミュニティーにリーチしてみたんですが、多くの人がISPを始めようとしていたんです。私たちは実際に彼らの手助けをしています。彼らがしてきたことは借金をして施設を建てて自らのコミュニティーを作ってそこで顧客を集めて、自らの設備投資をすることです。私たちがするのは単に彼らのネットワークオペレーションセンターとなり彼らの立ち上げを手伝うだけです。
Dalton Caldwell
なるほど、わかりました。また、ここで学んだこと、ノートをとったり更に深追いするのは、あなたが言うビッグアイデアとは、この数多くのISPスタートアップが失敗してきた理由はファイバーを地下に敷くのに莫大な資金が必要だったと言う点です。
あなたが言っていることは人々がローカルISPを立ち上げるのを助けるソフトウェアを作ることで彼らはファイバーに何十、何千億ドルも費やす必要がなくなり資金を上げることができ、それによってあなた方は素早くスケール出来ると、そう言うことですか?
Ben[Necto]
その通りです。
Dalton Caldwell
なるほど。それが実際にうまくいき、人々にソフトウェアを使ってもらえ、彼ら自身のISPを始めるためにあなたのソフトウェアを使い、彼ら自ら資金を調達すると言う証拠はありますか?
Ben[Necto]
証拠としてあるのがフランチャイズ契約を結んだ人が2人いることです。私たちをネットワークオペレーションセンターとして利用する施設が5つの都市にあります。ソフトウェア、ランディングページ、料金請求、顧客管理のすべてを任されています。
Dalton Caldwell
なるほど、わかりました。
また視野を広めますと、私の気が散っていたり、直ちにいろんな質問をし始めていたのならこのミーティングは良くは進んでいなかった事でしょう。彼らが何をしているのか理解すらできていなかったかもしれません。
先ほどにも申しましたが、ちょっと複雑な話ではあります。ムービングパーツが多いですからね。
私の視点では、一番好感を持ったのが、より多くのISPがあることは良いことだと思うところです。あなた方も同感なのはわかっています。顧客にローカルISPを作るための資金を自ら調達してもらうと言うイノベーションには巨大な可能性があります。
私が以前にこの企業と話したときに使ったメタファーがUberは車を所有していなく、Airbnbが物的財産を所有していないのと同じようなものだと言うことです。ルーターやファイバーを所有しないISPになると言うことですよね?
Ben[Necto]
はい。彼らのハードウェアのオペレーターとして独占権があるだけです。
Dalton Caldwell
かなりいい話に聞こえますよね?とにかくこの考え方が私にこれは本当に面白いものだと言う確信をもたせました。失敗するかもしれない理由なら百万とありますが、個人的な意見ですが、このアイデアには新鮮なものがあります。
起業した理由やインスピレーションの元は?
それでは最後に、起業した理由はなんですか?インスピレーションは何でしたか?何故この仕事をしているのですか?
Ben[Necto]
そうですね。私のインスピレーションは他の多くの人も感じているであろうインターネットに対する不満からくるものでして、2017年なのに何故…2018年ですね、すみません、始めたのは去年ですが。何故インターネットが今でも問題なのか。それでもう少し深掘りしたらより大きなマンションビル(都会)では問題ではないと言うことがわかります。農村部や郊外のみの問題なんです。地域独占があるエリアですね。
これに対抗するにはどうすればいいかと言うと、基本的に競争を増やせば良いのですが、実際にはインターネットプロバイダー事業を始めると言うことは非常に難しいことであって、これらの地域内には競争がないのです。
基準について考える
Dalton Caldwell
なるほど、わかりました。今一度、皆さんのために一歩下がって見てみますと、この企業は誰もが興味を見せるものではありませんが、ISPに興味があってComcastと競争することにテンションが上がって、もしくは自らISP事業を始めたいと思う、そんなエンジェル投資家からしたら「うわー、求めていたものと完全に一致している」となるでしょう。
基準について考えるのは良いことです。誰にとっても魅力的な企業は少ないですが、正しい質問を問うことで特に興味を示すべき何かがあるのかを定めるべきです。私は彼らと話す事で確信を持つことができましたし、楽しそうだなと思いました。この事についてはここまでです。お礼をしましょう。ありがとう。
Ben[Necto]
こちらこそ。
Q&A
Geoff Ralston
さて。質問コーナーの時間です。その前に、パーキングエリアに駐車してある4台の車についてお伝えします。それが私の仕事ですからね。赤いプリウス、ナンバープレート5SJD123。緑のレクサス、なんのことかは分かりませんが手のシンボルがあります。緑のレクサスです、緑のレクサスをお持ちの方。黒い日産、77XFY896一桁多すぎる気がしますが。それと黒いテスラ。テスラ一台、7VCT888。それらの車に見覚えのある方…皆さんには目を瞑ってもらうので今すぐに駐車位置を変えてきてください。ありがとうございます。
さて、質問コーナーにしましょう。ストリームで見ている方も、YCSISかSlackのチャンネルからも質問は受けます。
Dalton Caldwell
まずは、はい、どうぞ。
投資することに同意したが、その後に企業への信頼を失った場合どうすべきか
聴衆
…
Dalton Caldwell
質問は「投資することに同意したが、その後に企業への信頼を失った場合どうすべきか」でした。
微妙なところですね。第一に、投資することに同意したのなら、投資がすぐに通った方がいいと思います。コミットメントだけが永遠に長引くと後々複雑なことになりますから。
そして実際にどうなるかと言うと、企業への信頼をなくした理由が彼らが資金調達の面であまりにもダメで事業が失敗すると分かった場合、彼ら自体は良い人たちだったのなら貴方はお金を失ったことになります。おめでとう。エンジェル投資家の世界へようこそ。
誰かが資金調達に失敗したからと言う理由で投資したお金を取り戻すことはできません。もし誰かが非常に悪いことをして、嘘をついて、その状況についてあなたが実質的に騙されたと見る根拠があった場合、そう言うときはケースバイケースでどうすべきか判断するべきだと思います。私たちはそうしています。
例えばYCでは創業者の倫理規定と言うものがあって、時にはそれを強制します。真の欺瞞からなる極端なケースですね。
逆に投資した人が経営しているのが単純によい企業ではない場合、それは仕方のないことです。もし誰かが信任違反や業務違反の線をはるかに超えることをした場合、そう言うことが起きたのなら…そうですね、やはりケースバイケースで、創業者と話し、怒りをぶちまける前に弁護士とも話しましょう。このようなことは稀だと祈ります。本当に稀なことだと祈ります。かなり稀なことです。
本当の答えがあまり優しくない場合や単純にその人たちを信用できない場合、どういうふうにノーと言ったらいいのか
聴衆
…
Dalton Caldwell
はい。素晴らしい質問です。はい。質問は「本当の答えがあまり優しくない場合や単純にその人たちを信用できない場合、どういうふうにノーと言ったらいいのか」でした。
難しいですね。絶対にノーと言うべきだとは思います。多分「現在の戦略の下でこれがうまく行く確信を持てませんでした」みたいなことを言ったら良いと思います。「あなたが優秀な創業者だと思いません」とは言わない方がいいです。そんなことを言わずとも正直に確信を持つことができなかったと伝える方法があると思います。
チームに納得がいかなかったのなら、Geoff、どう言ったら良いのでしょう…
Geoff Ralston
素晴らしい質問であると同時に難しい質問でもありますね。実はYCでも常にこの問題と向かい合っています。誰かを面接して、素晴らしいアイデアだと思うけど創業者を信じられないことがたまにありますからね。非常に言いにくいことです。
第一にあなたが間違っている可能性もありますし、心を潰す様なことはしてはいけませんから。第二にそれはよいやりとりだとは言えないですからね。
ただ、頭に入れておいて頂きたいのは企業に投資しない理由というのはいつだって百万通りあります。企業の大半は失敗に終わります。彼らが持つ将来のビジョンを信用できないのに何か理由がなければそれはあなた自身の想像力が足りていないということです。それを彼らに伝えたらいいと思います。
結論として言いますと、創業者との如何なるやりとりも、可能な限りはあなたにも創業者にも同様に役立つものであるべきです。役に立つことが言えないのなら何も言わなくて良いです。何か役に立つ言葉があるのなら、たとえそれが本当の理由じゃなかったとしても、それが妥当な意見ならそれを使えば良いと思います。いつだって何かはあると思います。
ミーティング前に創業者に資料やその他のデータを頼んだ場合には何を期待すべきか
Dalton Caldwell
はい、後ろの方。はい、あなた。質問は「ミーティング前に創業者に資料やその他のデータを頼んだ場合には何を期待すべきか」でした。
ケースバイケースだとは思いますが、これだけは言っておきます。デモデーのYC企業でこのテーマだと、基本的に創業者にはそうしないように言っています。なぜならとても短いミーティングだからです。創業者には1ページほどの短い概要を送るように言うかも知れませんが、基本的にはミーティングを手短にしたいと考えています。企業のためにならないと思います。
創業者の視点から言っていますが、100人に資料を送って誰からも返事をもらえないのは企業のためになりませんし、大体そうなるからです。投資家が資料を頼むほど興味を持っているのなら、電話をかけてみたり、実際に会って情報を提示したら良いと思います。
誰かと会わずに大量の情報を送ると、それは創業者の視点からしたら、ROIがとても低く感じます。ですが資料を頼むこと自体に問題はありませんし、彼らも「すみません、そんなものはありません」と答えられます。彼らの多くは実際にその通りだと思います。はい、角の人。
起業家がマイルストーンを達成したら投資をする、というのはありか
聴衆
(質問)
Dalton Caldwell
質問は、マイルストーンをベースとした資金調達についてでした。
私の意見はこうです。言うだけ言っておきますが、私が助言している企業で投資家がそれを提案したのなら私は「その提案に乗るな」と言います。
ですが、企業にそれを受け入れる特定の理由があったとしたのなら、そうすることが理にかなっているのなら、それが企業の選択肢の中で最良の条件なのなら、もしくは本当にそうする理由があるのかも知れませんし、それに大量の金額でしたらより意味のあることかも知れません。
ですが、それなりに小さな金額で、私なら5万ドルから検討しますが、誰かがマイルストーンをベースにした支払いを提案したら企業にはそれが最善の策だとは言わないでしょう。私なら「今の条件で25,000ドル投資してもらうようにしたらどうだ」と言います。
そうしたらまた後で彼らの元に戻れば良いですし、そうした方がマイルストーンを含んだ支払い契約を結ぶより良いです。上手く伝えれましたか?まず単純な契約を今すぐ結ぶことを好みます。そうした方が今から複雑な契約を結ぶより将来的に多くの資金を調達できる可能性があるからです。
Geoff Ralston
一つ付け加えても良いでしょうか、Dalton?
Dalton Caldwell
どうぞ。
Geoff Ralston
そうですね、抽象的なマイルストーンをベースとした投資というものは聞こえは良いですが、実際には将来的に投資する選択肢の代わりに結果を望むようなことです。創業者にはいつも、投資家を気に入ったのなら資金提供はもらっても、その選択肢は与えるなと言っています。「いいアイデアですね、もし今後より多くの資金を調達できればまた連絡します」としか言いません。
商談するという約束をしてはいけません。彼らがどれだけ資金を提供しようとコミットしても、その資金をあなたが受け取ることにコミットする必要はありません。実際にはこれは投資家にとってそんな話で、なぜなら25,000ドルは保証してあるけれど、もし物事がすごく上手く行ったとしたらそれ以上の資金を提供することができなくなるかも知れないからです。
オンライン通話などはありか
聴衆
(質問)
Dalton Caldwell
質問は「その場に実際にいない時、全体的に交渉のフローにどう影響しますか」ですね。私はビデオ通話でもいいと思います。これもまた金額によりますが。それなりに小さな投資額で、あなたにとって大事ではないのなら自体を把握するのにビデオ通話を使っても良いと思います。これが本業なのなら定期的に飛んで行って会ってくるのを交渉フローの大部分にすることを勧めます。これもまたあなた次第ですが。
そしてどこかでローカルな存在を維持することに意味があれば、それはそこの人にとってもとても役に立つことだと思うのでバランスよくしたら良いと思います。
確かに世界中を飛び回り、デモデーに突如現れ、資金を提供してから姿を消す投資家はたくさんいます。それが望ましい時もあります。誰もが同じようにしなければいけないことはありません。なのでそれが望ましい時もありますね。はい。
投資した企業が潰れはしていないが低空飛行のままである場合にはどうしたら良いか
聴衆
(質問)
Dalton Caldwell
はい。質問は「投資した企業が潰れはしていないが低空飛行のままである場合にはどうしたら良いか」。
これはよく見ることなんですが、私の経験では彼らと一緒に乗り越えるしかありません。こういう企業が大きくなる可能性はあります。いつの日か株を買い戻してくれるかも知れません。選択肢はいつだってありますが、あまりできることはありません。彼らに売ることを強調することはお勧めしません。とある企業が投資期間10年低空飛行だったとしたら、それは投資をする時に覚悟した結果と変わりません。本当に成功する企業だって投資期間は長いです。
これからPB (※訳注:Paul Buchheit) が話しますが、彼が2007年か2008年に行った投資の多くが未だに残っています。それらはまだ流動化できていません(訳注:Exit などができていません)。選択肢が山ほどあるわけではありませんし、これもケースバイケースですが、創業者と投資家がうまくやっていく方法を見つけることもあります。
創業者とのミーティング中に競合者について話す時はどうアプローチしたら良いのか
Geoff Ralston
Dalton、オンラインからの質問をいくつか聞かせてください。一つは創業者とのミーティング中に競合者について話す時はどうアプローチしたら良いのか。そして少し近いのが情報の偏りをどう扱うか。例えば創業者があなたかネットワーク内のだれかに共有しなかった情報をあなたが得た場合です。
Dalton Caldwell
最初の質問は競合についてでしたね。ミーティング中に競合について聞くのは確かによいことですが、それと同時に創業者にとって失礼な言い方になってしまうことがあるのも確かです。
彼らが競争空間の中にいるのなら「競合相手にどう勝つつもりですか。市場の他のプレイヤーは誰で、彼らがしていることの短所と長所はなんですか」と聞けばよいです。とてもバランスのとれた会話を目指しましょう。
創業者がこのことについてとても防御姿勢で、その事で我を失くしたのならそれは大抵の場合はわかりやすい危険信号です。競合について均等に話すことができなかったり競合の存在を認めようとしなかったりする場合、それはとてもわかりやすい危険信号です。そうなったらそのことに関する中立的な質問をして彼らがそれをどう運ぶか見て見たらよいです。
私ならこうして競合に関する質問を最大限に活用します。2問目は偏りに関するものでしたね。なんでしたっけ?
Geoff Ralston
読んでいてちょっと一貫性に欠けていることに気付きました。質問は多分「創業者が知らない情報をネットワークから学んだ時、どうしたらよいのか」だと思います。
Dalton Caldwell
例えば?何か良い例を知ってそうなので。
Geoff Ralston
はい。この質問の真意は、例えばですね、別の企業が同じスペース内で競合になる事業を始めようとしているのを知った時、その情報をどう扱うかですね。
Dalton Caldwell
一般的に言えば、創業者が知らないスタートアップにとって非常に良かったり悪かったりする専有情報を大企業などで働いている人が入手したりする場合はあります。そういった情報は基本的には共有しません。なぜならそれが悪影響をもたらす方法が百万通りあるからです。
ですが、もしそれがあなた自身の決断に役立つのならそれはよいことですね。それは他の人と比べて差別化された意思決定プロセスのよい例です。でもその情報は漏らさないことを勧めます。創業者たちにいかなる形ででもそれを伝えようとしたら、投資していてもしていなくても問題になりえるものが山ほどあります。
私でしたらそれはそれで専有情報として扱って頭の中に留めておき、良い決断を取るのに役立つ範囲で使用します。はい。
投資家として、彼らが他のいろんな人から資金を調達できる見込みがあまりない時にはどうすればよいか
聴衆
(質問)
Dalton Caldwell
はい。「彼らが他のいろんな人から資金を調達できる見込みがあまりない時には、投資家としてどうすればよいか」。
できることなら正直にそのことについて心配だと伝えれば良いです。それは「他の人が集まったら投資しよう」というのとは違って、「調達しなければいけない金額からして今あなたたちに投資するのは心細いです。私のみの資金提供では足りませんので、私に資金を提供するよう説得できるかブレインストーミングをしてみましょう」と言います。
例えばYCでは他に誰も投資家がいなくても資金提供したりしているでしょう?それか「私に唯一の資金提供者となるリスクを取るよう説得したいのなら、これが私の基準です。もしくは今後の会話ではこれらのマイルストーンを見たいです」と選択肢を残します。他の事をするまではノーだという事を明確にしなければいけません。
Geoff Ralston
それも素晴らしい質問ですね。Daltonが言った通りですが、私たちは創業者たちには投資家が「投資します。大好きです。目標の100万の内90万集まり次第私も投資します」と言ったら疑うよう常に言っています。
投資家としては難局です、なぜならあなたが会社を持っていて、彼らに25,000ドルを与えたら、彼らは一ヶ月でそれを使い尽くし潰れてしまうかもしれません。あなたからしたら、彼らが既に50万ドル集めた上にあなたが25,000ドル足した方がずっとよいです。
そこが問題です。彼らが50万ドルを集めた頃にはもうあなたの25,000ドルを受け取ってくれないかもしれません。トレードオフがあるわけです。この企業とその創業者たちがいつかどんな理由ででも成功することをどれだけ信じているか判断する必要があります。それが基準の一つですね。彼らは資金調達を成功させられるか。
もしかしたら資金提供する唯一のチャンスかも知れません。もしかしたら「25,000ドル以上調達できるか疑った」という理由で100億ドル企業を逃すことになるかも知れません。シビアな場所ですから。一応言っておきますが、この仕事はハードですよ。
イエスと言ったのに起業家が契約を結ばなかったら?
聴衆
(質問)
Dalton Caldwell
イエスと言ったのに彼らが契約を結ばなかった?
聴衆
(質問)
Dalton Caldwell
ハンドシェイクプロトコルは行いましたか?
聴衆
はい。.
Dalton Caldwell
なるほど。この質問には2つの要素がありますね。創業者が欲求の多い人だった場合どうするべきか。そして誰かが投資金額の電信振込を押し付けてくる理由とは何か。
確かに創業者には、投資家から振込で投資額を送金してもらうよう勧めています。誰かが投資すると約束した上でお金を送金することなく姿を消すという悲しい話を私たちは山ほど知っています。私たちは確かに「誰かがコミットしたらお金をもらえ」という考え方を勧めています。とても単純なことです。それは完全に合理的な言葉でもあります。
次に、創業者とのやりとりで人間関係がうまくいく事を保証するためにはあなたと相性が悪くって扱いにくい性格タイプがいるかも知れませんので創業者の性格タイプが自分の性格タイプと合うかどうか投資する前に知っておきたいですね。
Geoff Ralston
さて。最後に一問答えてから休憩に入ります。
Dalton Caldwell
はい、そうしましょう。はい。
プロセスを反復し自分自身から学ぶにはどうしたら良いのか
聴衆
(質問)
Dalton Caldwell
質問は「プロセスを反復し自分自身から学ぶにはどうしたら良いのか」です。
YCでは実はかなり複雑なプロセスがあります。資金を提供したものは全て記録しています。資金を提供しなかったものも記録しています。それらの進歩状況をトラッキングします。そして誰が成功して誰が失敗するかも記録をつけて行きます。すべてのことに対して十分にノートを取ります。プロセスをよく見直し、バッチごとに可能な限り改善していこうとしています。「AIに投げてAIが何に投資すべきか教えてくれる」とは言えません。そんなことないですから。
実際には判断を見直して、ノートを見直して、何故イエスというのか、何故ノーと言うのかを理解しようとしているのです。それらの経験から将来的に使えそうな知恵を引き出そうとしているのです。
誰もがチームが第一だと言いますが、実際にはどういう意味なのか。それはバッチ毎に試行錯誤を通じて学んできたものでして、時には馬鹿みたいなアイデアでも、創業者が素晴らしいから投資して大当りだったりします。時には本当に素晴らしいアイデアを持ち、トラクションも豊富なスタートアップに投資したのに創業者がやりにくかったり、彼らのアイデアを伝えるコミュニケーション力が低かったりして大外れだったりします。
バッチ毎に何度も何度も同じ教訓を繰り返して学びます。投資家としての自信をつけるのに必要なのはには反復するのに十分な投資回数です。実際にお金を失わなければいけません。当たりくじとハズレくじ、両方経験しないと痛みを感じることはできません。
記事情報
この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: Investor School