投資家とミーティングをする方法&資金調達をする方法 (Startup School 2018 #24, Aaron Harris)

 

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Aaron Harris
皆さんこんにちは。本日はお集まりいただき、ありがとうございます。

今日は単に投資家ミーティングについて話し合うだけではありません。

将来、皆さんが資金調達をする投資家は誰で、なにが投資家を引き付けるのかについても、お話ししたいと思います。なぜなら、良いミーティングをするためには、自分がいま何をしているのか、そしてどのように目標を達成するのかを知らなければならないからです。

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投資家ミーティングについて考えるとき、いつ、誰と、実際どうやってミーティングの場を設け、執り行うのか、様々な疑問点が浮かびます。

これは奇妙に感じるかもしれませんが、ミーティングとはただ部屋に入って誰かとテーブル越しにお互いに見つめ合って座るだけではありません。

ポイントをしっかり定めて話さなければなりませんので、定めるべきポイントを知っておく必要があります。

Kirstyは資金調達が実際に何を意味するのか、その手順を要約してくれていますが、実際に誰かから資金を得るためには、通常、その人物について知り、追いつめて見つけ出し、会ってもらい、資金を援助してくれるよう説得して、最終的に銀行にお金を振り込んでもらわなければなりません。事前にたくさんのステップがあるのです。

本講演は、自動的に資金調達を行う魔法のプランのようなものです。これらのヒントに従えば、誰も皆さんにノーとは言わないでしょう。断られるとすれば、皆さんのミスです。

いつ資金調達をするべきか

では始めましょう、まずは、いつ資金調達をするべきかを理解することです。

あらゆる企業が資金を必要とするわけではありません。Mailchimpは周知のとおり外部融資において資金調達をしたことがないにもかかわらず、数十億ドルもの価値があります。

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だから、資金調達や、資金調達のための投資家ミーティングについて考える前に、まず金策をする必要があるのかという疑問に答えなければなりません。この中に山ほど色んな段階があります。

アイデアがあるだけの段階で資金調達をすることもあるでしょうし、プロトタイプがある段階で、資金調達をすることもあるでしょう。ユーザーがいる段階で、金策するかもしれません。実際、これらの段階を進むにつれて資金調達はどんどん容易になるでしょう。なぜならそれは企業が進歩していっていることの証明なのですから。

しかし皆さんが実際に企業を成長させるために資金を必要とするとき、企業の成長に資金が本当に必要かどうかを判断するのは、企業ごとのとても個別的な決断です。

もし皆さんが、継続的に資金調達しようと考えたとしましょう。何もなく、得た資金をどうやって使おうかという考えもないのなら、資金調達をしようなんて、やめてください。それは時間の無駄です。その代わりにプロダクトづくりや会社設立に集中してください。

もし皆さんがもう少し先に進んでいて、アイデアやプロトタイプがあるのなら、「もしもう少し資金があれば、もっと自分を先に進めてくれるXやY、Zができるのに」というところが見え始めるでしょう。

さて、投資家の気持ちになって考えてみましょう。もし自分が投資家だとするなら、どうしてこの人物に投資をしているのか、その理由がなければなりません。そうでしょう?その理由とは、この企業が将来とても立派な大企業になると期待しているからです。そしてこの企業なら融資した資金を適切に使うことができると期待しているからです。

お金には良い使い方と悪い使い方があると思います。

なぜ成長のためにお金が必要なのか?

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従業員を雇うため

人々が資金調達を必要とする理由としていつも最初に挙がるのは、従業員を雇うために資金が必要だということです。これはとても魅力的な理由です。なぜなら企業というのは、何人従業員がいるのかを話すのが大好きだからです。

収益や実際の進捗状況がなければ、これはすばらしいメトリックでしょう。ただし、皆さんはソフトウェアをてこいれするスタートアップを設立しているので、実は皆さんが考えているよりもはるかに少ない人数しか雇う必要はありません。実際には、雇用は不必要な時に行えば、企業を自滅させる最強の手段です。人を雇うにはコストがかかりますから。

もし皆さんの企業がすでに雇用を行っていて、皆さんのアイデアがどんなに良いか、成長していっているかどうかに関わらず、資金を必要なら成長の次のステップを妨げている要因が実は雇用ではないか、慎重に考えなければなりません。

ユーザ獲得のため

次に人々がよく言うのは、ユーザを獲得するために資金が必要だということです。

Googleに広告を出すのに資金が必要だというのです。これは通常、企業の成長のためにはとても悪い方法です。特に初期の段階では。Googleに広告を掲載するのにお金を使い始めると、皆さんはユーザーの数を観察し始め、そしてこう言います。「見て、私たちのユーザー数が増えていっている。もっと広告に資金を投入しなきゃ。」

特に初めてのスタートアップにおいて、多くの人が忘れがちなのが、人員獲得、顧客獲得を有益に行えているか、資本を再循環したり、成長し続けるように有益なタイムラインができているのか、ということです。

ユーザーの獲得に資金を投入する前に、無料で顧客を獲得するほうがおそらく有意義でしょう。どんなにこのプロダクトを愛しているかを友達に伝えてくれるユーザーを獲得しましょう。そうすれば無料でその友達がユーザーになってくれ、そこに資金を投入する必要がないのです。

カスタマーサービスのため

そして、カスタマーサービスに資金が必要な人もいるでしょう。

もし十分に満足させられなかったり疑問に答えられなかったために顧客が怒っているのなら、そのために資金調達をするというのは非常に良い理由で、それこそが多くの企業がぶつかる最初の制限要因の一つです。

これが良い理由は、創業者として莫大な時間をカスタマーサービスに費やすことができ、また、圧倒されるくらい十分なユーザーや顧客がいるならカスタマーサービスに時間を費やすのをやめることもできるからです。

面白いことに、誰かが無料でプロダクトを使用しているなら、そのカスタマーサービスへの期待値はかなり低いので、できることはたくさんあります。

一方ユーザーがプロダクトに購入して使用している場合、カスタマーサービスのレベルはさらに高くなければいけません。しかし、より多く儲けをだしている分、外部資本を探さなければならなくなる前に、カスタマーサービスに従事するための従業員を雇う余裕があるでしょう。

準備ができる前に資金調達はしないこと

私がなぜ、準備ができる前に積極的に資金集めをすることに対して言及し、警告したかというと、資金調達をする時期が早ければ早いほど、その資本はどんどん薄くなるからです。そうです。皆さんが見せるべきなにかを持たない限り、人々は300万ドルや500万ドル、1000万ドルの評価額を与えはしないのです。

調達した資金はすべて、最終的に皆さんが提供する数十億ドル規模のビジネスの株式となるのです。しなくて良いなら、そんなことをしたくないでしょう。

投資家のタイプ

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皆さんの周囲にいる投資家のタイプについて、少しお話ししましょう。まずは友人や家族です。

そしてアクセラレーターやエンジェル、シードファンドやVCファンド、そしてクラウドファンディングがあります。

資金調達するためのたくさんの方法があり、場所があります。その投資家が誰で、どうやって出会い、どうやって自分たちに投資すべきだと説得するのか、を理解するのに大切なことは、彼らのことを少し知ることです。何が彼らをその気にさせ、どうやって彼らに接触するかなどです。

アクセラレーター

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まずは、アクセラレーターについてお話しましょう。

アクセラレーターとは、要するにスタートアップを教育するプログラム付きの投資家のことです。YCはアクセラレーターです。

私たちは3か月にわたって、企業とともに働き、私たちの知識を教えたりミスを避ける手助けをしたりして企業をどんどんどんどん、より良くしようとします。そしてデモデイにその世界へ企業を送り込み、コミュニティを与えています。

今、世界中には何千ものアクセラレーターがいます。私たちは世界中のアプリケーションをチェックしていますが、アクセラレーターの数はスタートアップの数よりも早く増加しています。

これは恐ろしいことです。なぜならアクセラレーターで企業にアドバイスしている人々の多くは、何をしているのか分かっていないからです。

彼らは、スタートアップで働いたことも、スタートアップを始めたことも、アクセラレーター以外でスタートアップに資金提供したこともありません。

皆さんは自分自身に問いかけないといけません。一体どうして、自分がやったこともないことをやれと言い、この仕事を見たこともないような人間からアドバイスされなければいけないのか、と。

実際、多くのアクセラレーターが企業を傷つけていることに気づくでしょう。だからアクセラレーターには非常に注意が必要です。

企業として成功するためにアクセラレーターが必要な人はいません。もしそのアクセラレーターが役に立つのであれば、それはすばらしいことですが、もしそうでないなら「加速する」の言葉のせいで企業は損害を被るでしょう。

もし皆さんがアクセラレーターを経て、始めたときより同じか、むしろ悪化しているなら、企業の成長を促進しているとは言い難いですよね?

他の投資家は皆、皆さんを見て、そしてこう思うでしょう。「ああ、上手くいきませんでしたね。この企業の成長を促すものは一体何なんでしょう?それはおそらく資金ではなく、創業者に何か間違いがきっとあるんです。」

創業者にじゃなく、アクセラレーターに問題があったのかもしれません。だからよく注意して慎重に考えて、アクセラレーターの実績を見なければなりません。

友達や家族

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次に友人や家族です。

これはおそらく、始めたばかりのアーリーステージのスタートアップにとって最も一般的な資金調達源でしょう。

友人や家族とは、お母さん、お父さん、金持ちの叔父、おばあさんやおじいさんです。彼らが少し金銭的に余裕があれば、皆さんに援助もしてくれるかもしれません。だってそれは気分が良いことですので。

正直に言いましょう。友人や家族は普通、皆さんが第二のGoogleを作れるなんて思っていません。彼らは皆さんが大好きで、おむつを履いていた頃を覚えているのです。だから皆さんが自分は何かができる、と確信を持っているなら、基本的に資金を援助してくれます。皆さんを応援したい、という親切心です。その親切心を悪用しないでください。

友人や家族から資金を調達するなら、資金援助をしたお金をすべて失っても大丈夫だと分かっている場合だけにしてください。正直に言いましょう、皆さんはおそらく援助してもらった資金をすべて失うからです。そのことをちゃんと知っておきましょう

ベンチャーキャピタルが資金提供するほとんどのスタートアップでは、利益を回収できません。だから友人や家族から資金調達するかどうかは慎重に考えてください、そして決して不当な契約をしないでください。

5000万ドルの評価額だといって、おばあちゃんから5万ドルを調達しないでください。なんの意味もありません。おそらく最終的に相続するでしょうし、全く意味がないのです。

しかし本当に、皆さんが、この段階にしては不自然なくらいとても高い評価額を設定しようとするなら、きっとできるでしょう、だって彼らは親切であろうとしますから。ですがそのことにより他の資金調達はますます難しくなります。だってその評価額はとても高いのですから。

友人や家族から資金を調達したいなら、本当のミーティングのようにしなければなりません。彼らを本当の投資家のように扱うのです。

彼らの時間を尊重しましょう。実際の自分のレベルや、実際に何をしているのかを分かってもらいましょう。間違っても「今お金をくれない?ありがとう。」なんてしないでください。

大切なこととして、慎重に対処してください。そのことが資金調達の次の段階へ進むのに役に立つのです。それがエンジェルです。

エンジェル投資家

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エンジェルとは、基本的には時間とお金に余裕のあるお金持ちの人々のことです。
彼らは主に娯楽として投資をします、そうですよね。

Twitterで見たことがありませんか?エンジェルがよく「ああ、これが私が10億ドル援助した企業で、あれも私が10億ドル援助した企業だ。」と言っているのを。基本的にはトロフィー探しなのです。

彼らがこういった企業にどのくらいお金を投資したのか、実際回収することができたのか、そして投資したお金が企業にとって意味のあるものだったのか、皆さんは見当もつかないでしょう。

しかし、彼らは新しい会社に投資をするのが大好きで、それにはたくさんの理由があります。

実際には単なるトロフィー探しだけではありません。

新しい技術が存在するのを心から見たい、という気持ちから投資を行うエンジェルもたくさんいれば、彼ら自身が創業者だったとき、誰かにチャンスをもらったので、ペイフォワードをしたいと思っているエンジェルもたくさんいます。

通常、エンジェルに接触するのは、それがプロのエンジェルなら簡単です。

彼らはただ、わくわくするような、新しく、面白い企業に投資をし、その創業者とともに時間を過ごしたいだけなのです。エンジェルの興味を引き、物事を教えてくれる創業者とね。

エンジェルにメール送りましょう。もしエンジェルがとても多忙なようなら迅速につながるには人脈を使いましょう、特に地元にいる場合は。

皆さんが世界中どこの都市に居たとしても、一人か二人はエンジェルがいます。
最後にエンジェルについてお話ししたいのは、エンジェルのグループには注意しなければならないということです。

彼らが何と呼ばれているのかは失念してしまいましたが、基本的にこういうエンジェルのグループは、集まって新しい創業者を弄んだ末に、投資をしません。

これは人をこき下ろす娯楽なのです。彼らは成功した投資家か何かであり、彼らはただ自分がどれだけ優れているかを誇示したいだけなのです。

そういった人からの資金援助を追い求める前に、彼らが活発に投資を行っているか前もって調査してください。

それこそが見分けるためのシグナルです。
過去6ヶ月、12ヶ月、5年、10年の間で投資を行っていますか?

1、2年間投資を行っていないのであれば、おそらく積極的に投資活動はしていないでしょう。そうであれば、彼らを追いかけて時間を無駄にするのは良い考えとは言えないでしょうね。

シードVC

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次はシードファンドです。

シードファンドとは投資している外部資本のいくらかを調達してくれる、一種の超専門的なエンジェルです。

彼らは、通常、大きなファンドでLPになるほどには資金がないエンジェルに代わって投資をします。

シードファンドは普通、比較的新しいですが、こつをつかもうと努力しているプロの投資家たちです。

彼らは多くの場合すばらしい人であり、最近の創業者であり、十中八九、良い取引を見つけるのにかなり積極的です。彼らは素早く行動する必要性を知っているので、プロセスが迅速です。

彼らについても調査してください。彼らの仕事は、彼らが話したい、投資したい、と考える新しい創業者と会うことです。

彼らにメールを送りましょう。こういう人へはコールドメール(知り合いでない人へ急にメールを送ること)で構いません。
温かい返事がもらえれば素晴らしいですが、その段階ではとにかくシードファンドへの接触を試みるべきでしょう。

彼らの仕事の全貌は、投資対象かどうか見極めるために皆さんに会うことです。

彼らは次の資金を調達できるように、リターンのために投資を行っているということを覚えておいてください。たった少しの利益を生み出すものにはなんの興味もないのです。

彼らはライフスタイル事業には興味がないです、キャッシュフローがあるなら、エンジェルはその投資には興味を持つかもしれませんが。

彼らは利益を生み出してほしいのです。

VC

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そして、VCファンドがあります。

これは明らかに大きな資金調達手段です。
VCファンドは、広範囲に渡ります。

数百万ドルの投資をするVCファンドもいれば、数十億ドル規模の投資を行うVCファンドもあります。

皆さんの資本のステージにとって、何が必要なのかを知ってください。

VCファンドは、すべてかそれに近いくらい、多数のLP、つまりリミテッドパートナーを抱えています。リミテッドパートナーとは資金を提供し、「ねえ、年換算でX%の投資収益をだしてね。」という人のことです。

それは、IRR目標と呼ばれています。

こういったLPたちは世界中のあらゆるベンチャーファンドを見回して、こう言います。

「どこにお金を分配しようか?」

そうして他の資産運用会社の全てを見て、また言います。

「どこにお金を分配しようか?」

そしてすべての投資可能な資産を見渡して言うのです。

「どこにお金を分配しようか?」

もし私がVCのパートナーやジェネラルパートナーなら、LPからの資金を得るために、より優れたVCであるためにも、そのLPが資金を投入して得れるものよりも、より少ないリスクでより多くの収益を上げることを考えないといけません。

彼らが皆さんを見つめるとき、彼らは単に、5Xや10Xの利益を出して欲しいのではありません。彼らはあらゆる投資の一つ一つを見つめて、そして言うのです。「この投資は、私の全出資にリターンをもたらしてくれるだろうか。」

こういった人々とどうやって出会うかを考えるにつれ、皆さんはこう考えるようになります。「しまった。ミーティングに行ったとして、自分がやっていることの小さなビジョンしか売り込むことができないのではダメだ。ここでなにか大きなことをしなくては。」

今のVCは、通常投資を行う際、何をするのか、どのように意思決定を行うのかの構造を、かなり詳細に持っています。

最初は1人のパートナーに会い、2人、5人と会ったあと、シリーズAを調達する際は、ゼネラルパートナー全員と会うかもしれません。しかし初期の段階では、多くの大規模なVCファンドはたった一人のパートナーとのミーティングで意思決定を行うことがあります。

もし初期のことだけを考えるなら、こういった人たちのことは考えなくて良いでしょう。この段階は、多くのお金を調達できる状態になってからです。

クラウドファンディング

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そして私が考える最後の投資家はクラウドファンディングサイトです。

クラウドファンディングは、投資家ミーティングや投資をお願いしに行く、という観点で言うと、少しおかしな手法です。なぜなら投資家は投資を分担し合っているのですから。

シンジケートを介して行われるクラウドファンディングでは、他の人々から集めたお金を束ねるエンジェルのような人がいて、こう言います。「皆さん、私たちはこれに投資するつもりなんですが。」

そしてみんながそれに従うのです。

彼らはプロの投資家がするように、皆さんに会い、話しをして、こういうでしょう。「さあ、私たちは皆さんを援助しようと思います。投資をしても良いですか?」
民間のシンジケートと公共のシンジケートがあります。

皆さんは、クラウドファンディングサイトで資金を募るために、シンジケートのメンバー全員に会う必要はありません。

皆さんが詐欺をしていないことを確かめるためにいくつか確認を行えば、簡単にリストに載せてくれるクラウドファンディングサイトの選択肢がたくさんあります。そのサイトに載ると、皆さんは誰にも会わずに人々からお金を送ってもらえます。

これは、別の方法が分からなかったり、周囲に投資家が居なかったり、その時間に煩わされたくなかったりする場合は、資金調達するのに良い方法です。

しかし巨額の資金を集めるには、良い方法とは言えません。一つには、まず集まらないからで、二つ目には、もし資本政策表に個々の小さな小さな投資家たち全員がいると、それを管理するのはまさに悪夢だからです。

この選択肢については慎重に検討し、皆さんのためになることなのか、何をもたらすのかをよく考えてください。

コールドメール

先ほど言ったように、コールドメールを許容し、受け入れてくれる投資家たちもいます。実際のところみんなコールドメールを受け入れてくれます。

私は、可能であれば私のところに来たほとんどすべてのコールドメールに返信しますが、それには良いメールと悪いメールがあります。

悪いメール

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これが悪いメールです。

「拝啓、皆さんが技術系企業における投資家であると、インターネット上での調査で知りました。皆さんにこの新しく刺激的な分野において、儲ける機会をご紹介したいと思います。この機会についてご説明するために1時間ほどオフィスへ伺っても構いませんか?敬具、Aaron」

私がこの人と会うことはないでしょう。私はこの人が何をしているのか分かりませんし、私が何に興味があって、誰で、過去どんなことをしてきたのかを何も理解しようとしていないように見えます。この人は1時間直接会いたいと言っていますが、それはかなり多くの時間です。

プロの投資家は、確かに、1日中人と会っていますが、その時間には限りがあることを忘れないでください。彼らは最も重要な人々にその時間をあげたいのです。

良いコールドメール

良いコールドメールを送るためにはどうすれば良いと思いますか?

答えは、調査を行うことです。

ほとんどの投資家は、興味を引く事柄や自分が投資した企業についてツイートするのが大好きです。彼らは、自身のアイデアや、彼らがその存在を見たいと思う企業についてブログを書きます。彼らはオンライン上に過去に創業した企業に基づいた豊富なプロフィールを持っています。

話したいと思うあらゆる投資家を探して研究し、彼らにも皆さんにも関係があるような、その投資家用の文面で、彼らに接触する方法を見つけ出すべきです。

これはAdoraへのメールです。

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「 Adoraへ。私は家庭用掃除機のマーケットプレイスを築いています。そしてこれに新しいアプローチを持っています。すべての掃除機をロボットにするのです。当社はローンチから間もない会社で、成長し始めたばかりです。」

ここで少し止まりましょう。Adoraについて調べていれば、Adoraがホームサービスのマーケットプレイスを築いたことを知り、このことが彼女に関連があることだとわかります。

また彼女はロボットがクールだと考えていることも知っているかもしれませんので、それも彼女を引き付けるカギとなるでしょう。そして彼女に自分が今どの段階なのかを伝えます。ローンチしたばかりで成長し始めだとね。

さて、ローンチしたというのは素晴らしいことです。なぜなら実際に物事を行っていることの証明になるからです。成長し始めていることは興味をそそりますね。だって聞きたくなりますから。

「どれくらい成長し始めているのか?」
「どのくらいの速度で?」
「どうやって成長度を測っているのか?」
「どううまくいっているのか?」

先に進みます。

「あなたにはHomejoyの経験がありますので、当社にとって適任の投資家であると考えています。ユニットの経済性と信頼性の問題を解決できたと思います。このことについて、15分ほどお話しする時間を頂けないでしょうか?メールでの方が都合が良ければ言ってください。」

では、どこが良かったのかを考えていきましょう。

15分だけ下さいと言っていますが、これは簡単ですし、電話でもできますよね。

メールで説明することを申し出るのも良いと思います。Adoraが忙しかったり、旅行中だった場合、メールで最初の一連の質問に対処することができますから。

私はこの方法が好きです。いつも最初はメールにして、素晴らしい返信をくれたり、思慮深かったり、良い質問を返してきたら、その人に会うのにかなり心が傾き、会えばハッピーになれ、彼らがやっていること、そして会話全体を理解するための文脈を明確にしたうえで、ミーティングに入っていけるのです。

そうです。これで心の準備ができるのです。

彼女のHomejoyとの過去を参照すると、Adoraの講義やビデオがオンライン上に出てきて、彼女がユニットエコノミクスと信頼性について非常によく考えていることが伺えるでしょう。ならば、この2つの重大な問題をすでに解決していると言うことは、とても効果がありますよね。これは強力な一撃です。

このメールは、皆さんがその人物を知っているかどうかに関わらず、返信がもらえそうなコールドメールです。なぜならとても具体的だからです。

もし大量のメールを必ずしも知らない人にサービスを使ってもらい、納得してもらおうとするときも、結局は同じ事です。スパムメールを送るのと、興味があるであろう関連した内容のメールを送るのは、大きく違います。

決してスパムは送らないでください。うまくいきません。そんなものに反応はしません。投資家は通常、知らない誰かからの投資機会を案内するメールを座って待ってなんかいません。

彼らが待っているのは、誰もまだ知らない驚くべき、そしてだれもまだ話したことがなく、なんのコネクションもない、そんな企業です。それを見つければ、そして実際に見かけ通りよければ、多く利益を作り出してくれるからです。

この良いコールドメールを受け取った投資家はすでにこう考え始めています。

「すごい。これは私のGoogleで、誰もまだこの会社を知らない。急いで彼らに会って何が起きているのか知って、多額の資金提供をし、株式を新規公開する手助けをしなければ。」

これこそが、皆さんが「誰か」から脱却できる反応です。

実際、あらゆるミーティングで投資家が次の段階に進むことに興奮しているというのが、理想の反応です。

ミーティングのタイプ

投資家とのミーティングを経験するにつれ、皆さんが進めなければならないミーティングには数えきれないくらいの異なるタイプがあることが分かります。投資家ごとにミーティングの種類は異なるのです。リスト化をして、すこし掘り下げてみましょう。

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まず、イントロミーティングがあります。クラウドファンディングサイトを除く全ての投資家が、イントロミーティングを行います。

その後、フォローアップミーティングがあります。ほとんどすべての投資家がこれを行いますが、最初のミーティング後に皆さんに投資することを決めた一部のエンジェルはやらないこともあります。

そして決定ミーティングへと進みます。これをするのは本当のプロの投資家だけです。これは、複数のパートナーだったり、1人のパートナーのみとのミーティングになりますが、深堀りして、取引する意思があることを確認します。

次に、これは皆さんの資金集めにどれだけの競合がいるかによりますが、デリジェンスミーティングというものもあります。デリジェンスミーティングは皆さんと行われることも、皆さんのチームと行われることも、皆さんの弁護士と行われることもあります。時にはVC自身や投資家自身によって処理されることもありますし、そのチームの誰かによって処理されることもあります。

そのすべてが計画どおりに進めば、最終的に、豪華な食事にありつけます。この豪華な食事が目標です。

資金提供にたどり着くことではなく、無料でごちそうしてもらうことです。投資家によって豪華な食事の使い方は異なります。

時には、オファーするために使われたり、皆さんのことを良く知るための場として使われたり、またどれだけ自分が素晴らしいかを示すために使われることもあります。通常、すべて終わったあと、誰かからクロージングの誘いを得れるでしょう。

真剣な話、私がここでこれを取り上げる理由は、皆さんが資産政策表を持っていく全投資家は、皆さんの企業生命を皆さんと共に過ごす人だということを分かってほしいからです。皆さんがお金を借りようとしている人が、悪人でないことを確かめる必要があるのです。

もしその人との1時間のディナーが耐え難いものなら、その人からお金を借りたいのかどうか慎重に考えなければなりません。これは、初期にエンジェルから少額の投資を受けている段階ではあまり関係ありませんが、巨額の資金提供をしてくれる人へは、非常に慎重に検討しなければなりません。

イントロミーティング

では続いて、ミーティングごとに必要なことが異なります。

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イントロミーティングは非常にシンプルです。

必要なことは、皆さんのアイデアを明確に説明することだけです。それこそが実はすべての基本です。しっかり明確に。これがエレベーターピッチです。

これが重要なのは、面接で人が何をしたいのか、時には会ってわずか30秒で決定されることが研究により明らかになっているからです。

必ずしも30秒で「イエス」に辿り着けるわけではありませんが、「ノー」と断られてしまうことはしばしばあります。ミーティングに入って、自分が何をしているかを説明できなければ、それは非常に悪い兆候です。

言いたいことや、どうやってそれを説明するかをきちんと理解しておくようにしていてください。作ったデモを持参できれば素晴らしいです。投資家は本物のプロダクトを見るだけでなく携わるのが大好きです。なぜなら、彼らはプロダクトで遊ぶのが大好きだからです。デモを持参することは、皆さんがやっていることや言っていること、やろうとしてことの証拠になります。

投資家とのミーティングの全体の目的は、皆さんが必ず巨大企業になり、そのために企業が発展していくことが重要であると示すことです。

また、ほどほどにきれいなシャツで行くことをお勧めします。シミ一つないほどきれいにする必要はありません。創業者がどのようなものか、よくわかっています。しかし、くしゃくしゃで、ベッドから直接出てきたばかりのような格好で現れるのはやめましょう。

時に見かけの印象から脱却できることもありますが、しかしやはり、人間は残念ながら第一印象のに基づいて判断します。

もし皆さんがミーティングなんてどうでもいい、というような格好で部屋に入ってきたら、投資家もそのミーティングをどうでもいいと思うでしょう。

フォローアップミーティング

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イントロミーティングを通過すれば、フォローアップミーティングに続きます。前述のとおり、最初のミーティングで投資を決めるエンジェルを除きます。

フォローアップミーティングは皆さんの企業について、より深堀りされ始めます。
したがって、会社のメトリクスを理解しておく必要があります。これは企業のすでにあるメトリクスを指すこともありますし、将来のメトリクスを指すこともあります。

コンシューマービジネスを作っており、まだローンチしていない場合、月間アクティブユーザー数が重要なのか、もしくは1週間、一日、一時間毎のアクティブユーザー数が重要なのかを理解するためのフレームワークが必要です。

これらをどのように捉えていて、今後どのように焦点を当てるつもりなのかについて話してください。今までの進捗状況を説明できないといけません。そして進捗状況は、絶対値ではないことを覚えておいてください。

発展というのは坂のようなものです。どのくらいの期間取り組んできたのか。どんなことに取り組んできたのか。そしてその間にどのくらい進んだのか。5年間何かに取り組んできて、まだローンチできていないなら、素晴らしいとは言えません。取り組んでたった1か月でプロトタイプが準備出来たなら、それは驚くべきことです。これと言った標準はありません。

なぜそれをやっていて、なにをやっているのかという点を最初のイントロミーティングで伝えたよりも、皆さんの視点でもう少し深掘りできるようにしたいですね。

イントロミーティングは15分程度であることもあると覚えておいてください。1時間であることもありますが、おそらくかなり短いでしょう。だからこれはどれだけ皆さんが自分がやっていることを理解しているかを示すチャンスです。

決定ミーティング

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そして実際に決定ミーティングにたどり着くと、デックが必要になります。繰り返しますが、これは主にプロの投資家のために行います。

エンジェルの多くはデッキを必要としません。あまり関係がないからです。

プロダクトに取り組むよりも、デックにより多くの時間を使う人もいると思います。それは通常悪いトレードです。なぜなら一般的に顧客はデックを買うわけではないからです。そんな人もいますが、それはただ愚かなだけです。

そしてデックを用意する必要はありますが、そのデックが長いものである必要はありません。実はデックはシンプルなほど良くなるのです。私が今日使っているデックは本当に長いですが。

シード期の企業なら、8枚か、おそらく10枚のスライドくらいがいいでしょう。皆さんの機会や、チーム、皆さんが何を作ろうとしていて、すでに何を作ったのか、そして皆さんの初期のメトリックなどです。それで良いのです。

YCのブログにデックのスライドのサンプルを張っていますので、見てみてください。
本当に短いです。会社の名前を入れ替えて、そのデックを使ってもいいですよ。

この時点で、皆さんにメトリックがあるなら、冷静にそれを知っていなければなりません。もし6か月か12か月保持するものは何かと尋ねられたら、ぱっと思いつけるように。コンピュータを立ち上げて、探さなくても良いように。

明らかに、皆さんが必要としないようなレベルや層のメトリックもありますが、重要なトップレベルのメトリックは知っておかなければならず、最も重要なメトリックは2、3層に掘り下げれるようになりたいです。

決定ミーティングの重要な部分は、繰り返しますがこのミーティングはプロの投資家向けのものなので、皆さんの現時点での位置を受け入れ、実際に最高の未来が何なのかを投影する必要があります。

私は、決定ミーティングで、Sequoiaに売り込んでいた時のことを覚えています。私と5人のパートナーがその部屋にいました。彼らが本当に掘り下げたものは、私の会社が10年、15年の間にどうなるのかということでした。彼らは当時そのことだけを気にしていました。

当時、すでにその企業の基礎については納得していたんです。私自身についても納得していましたが、私が思うに、彼らが理解したかったことは会社の将来について私がどう考えていて、私が実際それができると思えるかどうか、というところのようでした。

私たちは世界をまたにかける企業になれるだろうか?

なぜならそれが彼らが唯一気にすることだからです。つまらない会社の一つなのか、達成すべき大きなビジョンを持つ会社なのかの違いを、掘り下げて説明することが大切です。

ディリジェンスミーティング

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そのあとで、ディリジェンスミーティングになります。

前もって宿題をやっていたら、ディリジェンスミーティングは通常そんなにハードではありません。繰り返しますが、これは後のほうです。

企業として初期のころは、ディリジェンスはほとんどありません。

皆さんの法律関係の文書を整理しておくようにしてください。財務諸表があれば、分かりやすいよう整えておいてください。現金資産が企業が思っていたよりも50%も少ないとか、ディリジェンスミーティングでは本当に不可解な発見に出くわしてきました。そんなことはしないでください。そんなことがあれば、それはおそらく別の問題に由来しています。

またメトリックのダッシュボードを準備しておきましょう。繰り返しますが、もしメトリックがあるのなら、完全なダッシュボードを持ってきてください。そうすれば皆さんがやっていることをすべて、しっかりと掘り下げることができます。

もしこれらすべても通過し、ミーティングのフレームワークも理解したら、最後のステップにたどり着きます。

食事会

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それが、豪華なディナーです。

食べ物にありつけ、そこそこきれいなシャツがもう一枚必要になるでしょう。これで終わりですが、このディナーは必ずしもあるわけではありません。正直なところ、たとえなくても、皆さんが手に入れようとしてるものは、銀行口座をお金を入れることなのです。

投資家が皆さんを食事に連れていくかどうか、投資家が豪華そうか、他人がその投資家を格好いいと思うかどうか。このどれも全く重要ではありません。

最終的には、企業として皆さんに必要なのは、成長のための資金、ただそれだけです。

もし、そのお金を投資家の援助なしで得れるのなら、正直、これらのミーティングのすべては無意味です。

調査の結果優れているとわかっている投資家からメールで「今月は出張でいないけど、本当に投資したいと思っている。今度話しするから、とりあえず25万ドル投資させてもらえないか?」と言われたのならコーヒーを一緒に飲んだことがないからと言って、断ってはいけません。

彼らに電話し、話をし、皆さん自身のデューデリジェンスをするよう努めることをお勧めします。調べてみてください、ただ、自分にとって完ぺきなプロセスでないからといって断らないでください。

覚えておくべきこと

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ミーティング、そして投資家について覚えておくべきことがいくつかあります。

ミーティングは進捗ではない

最も重要なのは、ミーティングは必ずしも進歩につながらないということです。私は、多くの創業者に会って色々な種類のミーティングの話を聞きます。どんな人と会って、その人が有名人で、などです。そんなことは無関係です。

唯一重要なこととは、大企業を作っている、ということです。もし皆さんが資金援助が不要な時に投資家と会えば、そのことに時間をとられてしまい、その重要な、大企業を作る、ということに集中できなくなってしまいます。資金が必要な時にはじめて、投資家との会談を開始してください。

イエス以外は意味がない

資金調達の過程において、「はい、投資します」に数えられる唯一の方法は「はい、投資します」と文書にサインをもらい、お金を送金してもらうことです。

投資家は「ノー」というのを嫌うのです。毎回、ノーと言うたびに、何か大金を儲ける機会を失うので、「ノー」と言ったことで愚かに見える危険性があります。だからそれを言わないように、できる限りのことを尽くします。

実際私は気づいたんですが、一流の投資家たちは素早く「ノー」と言います。誰よりも素早く「イエス」というのではなく、素早く「ノー」というのです。なぜなら彼らは自分が何を探しているのか、そしてどう迅速に意思決定を行うべきかをきちんと理解しているからです。

もし何度も何度も会議が繰り返されているような状況にいれば、それは時間を無駄にしているかもしれません。

これは賭けであり、どこかの時点で誰がが決断をしなければならないのです。優柔不断な投資家はあまり良い決定を下すことはありません。

そして人に会うときは、クロージングを素早く行いましょう。

注意するべき悪しき行動

最後は、皆さんに注意してほしい警告です。

こんなこと話したくありません。なぜならそんなことが起こらないことを祈っているのですから。しかし起こるのです。

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悪い行動の一つ目は、すでに言及したように、皆さんの時間を無駄にする投資家のことです。これは正直、ほとんど無害です。しかし一応気を付けてください。

次は嫌な投資家です。このタイプにはたくさんの種類があります。どれだけ自分が金持ちなのかで皆さんに感銘させようとする人や、知人の名前を使って圧倒しようとする人、そして皆さんが若くて自分が年上だからという理由で説き伏せようとする人もいます。

アドバイスもせず、なぜそう思うのかについて説明もせず、ただただ皆さんのアイデアがばかげたものであると思わせようとする人もいます。そんなもの相手にしてはいけません。嫌な奴なら、立ち去ってこう言いましょう。「あなたは本当に嫌な人ですね。私にはお話しできる人がたくさんいるので、あなたとは話したくありません。では。」

皆さんも自ら嫌な奴になってはいけませんが、正直で率直でいてください。そして、もしその人物が嫌な奴なら、ミーティングを立ち去りましょう。そんな人とはもうミーティングはせず、友達にもその人が嫌な奴だったと教えてあげましょう。このようなふるまいは、すぐに本人に返ってきます。

時々、知らず知らずのうちに嫌な振る舞いをしてしまう人もいます。彼らは、ただ、そうすべきだと思い込んでいたり、社会性があまり高くないのです。その場合は、フィードバックをしてみて、どうなるか見てみてください。

自分のポートフォリオの企業のひとつのために皆さんにディリジェンスをするという目的で、皆さんに会う投資家もいます。

これは通常かなり分かりやすいです。なぜなら彼らは皆さんに次から次へと矢継ぎ早に質問を投げかけてくるからです。「プロセスとメトリックについて」、「皆さんのサプライヤーは誰ですか」、「皆さんが特別な関係を築いているのは誰ですか」、「その人の電話番号はなんですか」「いつその人に会えますか」、「競合のプロダクトに取り組んでいるような誰かに会ってみませんか?いや、心配しないで、本当に競合相手というわけではないんです。ああ、ちょっと待ってください。」というような具合です。

誰かと会う前には、その人がすでに競合相手に投資をしているかどうかを調査し、事前にそのことについて聴いてみるようにしてください。

投資家の多くは、「長期的には喜んで競合他社にも情報を区分して投資をします」とはっきりと言います。実際、YCはそうしています。

私たちは、積極的に競合他社に投資を行います。時には、同じバッチでも行います。

両社へそうしていることを伝えますが、同一バッチ内で行うことも、バッチをまたいで行うこともあります。どのような情報が共有され得るのかに非常に注意を払ったシステムを築き、その信頼を維持することを私たちは非常に真剣に捉えています。

最後に、これは重要な課題となっているのですが、嫌がらせです。

これはセクハラだったり、人種差別だったり、あらゆる偏見の類を指します。残念ながら、お金があることはその人物の道徳には全く関係がなく、投資家の中には、道徳的に良くない人もいます。

定期的に私がやりとりをしている投資家の多くは素晴らしい人ですが、中にはろくでもない人もいます。私たちは今週、どれだけ多くのYCの創業者達がセクハラを経験してきたのかについて論じたレポートを発表したばかりですが、その数は私が願っていたよりもはるかに多かったです。

もし皆さんがこういった目にあったら、それがなんであれ、すぐにその場を去ってください。

お金を得るために大企業を作るということ以外で何かをしなければならないと思わせることは、どんな人であれ、決して許されるべきではありません。

皆さんのパーソナルスペースを侵したり、不快に感じるようなことは決して許されないのです。もしそんなことが起こったら、すぐに出ていき、YCに伝えてください。

私たちはこの問題にもっとしっかりと取り組んでいこうとしています。不快な気持ちで投資家ミーティングを終える人が居なくなるようにしていきたいのです。

本日は、投資家ミーティングについて考え、いつ投資家ミーティングを行うべきか、どうやって投資家に会い、誰に資金提供を求め、その人へどうやって投資をお願いするか。以上の内容でお話してきました。

この手順に従ってくれれば、すべてうまくいくと本当に思いますし、少なくとも、そう願っています。ご清聴いただき、誠にありがとうございました。

Q&A

では質疑応答に移りたいと思います。はい。

競合他社に投資しているVCにアプローチするべきか

スピーカー2
すでに競合他社に投資しているVCにアプローチするのが賢明だということでしょうか?

Aaron Harris
競合他社へすでに投資しているVCにアプローチするのが賢明なのか、ですね。これは完全にそのケースによります。10年前に競合他社に投資をし、その企業が株式公開されているのなら、皆さんにとって完ぺきな投資家かもしれません。だって、彼らはそのプレイブックを知っていて、新規株式上場を手助けしてくれるでしょうから。しかし、個々の状況を見つめて、それが理にかなっているかを決断する必要があります。

どれぐらいの投資金額か

スピーカー3
シード、エンジェル、マイクロVCでどれが良いんですか?インターネット上にたくさんの情報がのっていますが、

Aaron Harris
シードファンド、エンジェルファンド、そしてマイクロVCの間で、、、マイクロVCについてはお話ししていませんね、私も彼らが一体何なのか良くわからないので。

平均の投資額とラウンドサイズはどれくらいか、ですね? それは一概に言えるものではなく、変化する要素がたくさんあります。投資家や市場、その場所にもよりますし、その企業がなにを必要としているのかも関係があります。

5万ドルでやり終えるシードラウンドもあれば、1千万ドルでやり終えるシードラウンドもありますよね、本当にその状況によります。それを考える方法は、何を必要としているのか、だと思います。

小さいファンドやエンジェルは1万ドルから10万ドルくらいの、少額の小切手を切ることがほとんどでしょう。対して大規模なファンドはその金額を越えてくるでしょう。

エンジェル投資家を評価する方法

スピーカー4
どのVCが信頼できるのかを見極めるのは非常に簡単ですが、どうやってどのエンジェルが信頼できるかを把握すればよいですか?

Aaron Harris
どうやって信頼できるエンジェルを見極めるかですね? 参考のためにエンジェルにポートフォリオを見せるように頼んでみてください。アクティブなエンジェルなら、通常AngelListに、何をやっているのかや、投資してきたものの記録があるはずです。

繰り返しになりますが、本当にアクティブなエンジェルは、そのことについてよく話す傾向があります。それは、悪い理由からではなく、話すことによってディールフローを作っているのです。

アクティブなエンジェルであると知っているなら、その人にアプローチしてみてください。ある程度のディリジェンスができるはずです。もちろん、これは投資家のエコシステムがそれほど大きくない新興市場では難しいですが、それを突き止めるために取材をしなければなりません。

投資家のFOMO

スピーカー5
投資家のFOMOの仕組みについてお話いただけますか?

Aaron Harris
投資家のFOMO、つまり「取り残される不安」の仕組みについてですね?

このお話だけで、1時間分の講演になってしまうでしょう。ですが、基本的な考え方としては、投資家は可能な限り大企業に投資し、できる限りの多くの所有権を取得したいと考えています。

しかし、アーリーステージのスタートアップでは、この企業が成功するかどうかを確証できるデータはほとんどありません。投資家は常にそのことを確証できるデータを探し続けているのです。成功を確証できる最も強力なデータは、他の才気ある人々がこれをいいアイデアと思っていそうかどうかです。

FOMOが存在するのは、他の賢い投資家がそれに加わっているのを見ると、その企業は良い会社で、大きくなるだろうと推測し、乗り遅れたくないと思う気持ちが生まれるからです。

だから多くの投資家は傍観し、他の誰かが動くのを待つのです。

一般的には、こういう人たちは良い投資家とは言えないと思います。繰り返しますが、一流の投資家たちは、他の人よりも早く自分で決断します。実際に、一流の投資家は、信じられない速度でディリジェンスのプロセスを行うので、誰よりも先んじることができるのです。

他の投資家がすぐ後ろに並んでいることで、少しは彼らにプレッシャーをかけることができます。そうすれば、迅速に動かねばならないと分かるのです。それが私が伝えられる最もコンパクトな答えです。

ビジョンの伝え方

スピーカー6
ビジョンを投資家に伝える際に、創業者が犯してしまう共通のミスはありますか?

Aaron Harris
ビジョンを伝えることにおいて、創業者がよく犯す過ちですね。

詰め込みすぎて、ビジョンが散乱しているように見せてしまう人はいます。もし私が自分の会社を売り込んでいるとしたらこんな感じです。

「当社は検索エンジンで、自動運転の車も扱い、電話や、スピーカーも製造し、インターネットを提供する気球も作ったんですよ。ああそれと、広告、ディスプレイ広告、そして人工知能やすばらしいアイデアに取り組むためのあらゆる部門があります。」そうしたらきっと皆さんはこう言うでしょう。「ああそうですか。私にはちょっと多すぎるようです。」

これは広がりすぎて、まとまりなく見えてしまいます。

一方で、時々ざっくりすぎるビジョンを伝えてしまう人もいます。

「ええと、5000万ドルの価値がある市場の10%を獲得することになっていて、100%を獲得できるようにします。」分かりました。それでどうしたの?

もっとそのための手順を明確に説明してください。そして、ざっくりすぎる説明は避けてください。この2種類が私の思う極端な例です。

友達や家族からの資金調達のコツ

スピーカー7
家族や友人の間で、その家族や友人がそのお金を失う余裕があるという基準を満たしている場合、真剣に資金援助をしてもらうためのアドバイスは何かありますか?基準を満たす家族や友人に手を貸してもらえるようお願いする良い方法は?

Aaron Harris
援助したお金をなくしても良いくらい余裕のある家族や友人にどうやって売り込むかですね?

これは皆さんとその友人や家族との関係によると思います。

もし私がGeoffにお金を出してほしいなら、私は彼の家の外で野宿をして、毎朝ドーナツとコーヒーを持って現れるでしょう。この方法は彼には効くと思います。

しかし、本当にそれが誰かによって方法は全く異なると思います。私は、練習のためにもエレベーターピッチに取り組むことをお勧めします、それとおそらくピッチデックも。友人や家族は皆さんの最もフレンドリーな聴衆です。

ところで、もし友人や家族がたまたま、信じられないほど成功した創業者で、何をやっているか知っていたりベンチャー投資家なら話は違います。

もしそうなら、実践としてうまく使ってみてください。「やあ、これが私の企業でやろうとしていることです。皆さんは一つの企業を作り上げましたよね。私のやり方は理にかなっていますか?」

この場合は資金援助と同時に、アドバイスも求めて、本当のプロのやりとりのように扱いましょう。

スピーカー7
ありがとうございます。

資金調達にかかる時間

スピーカー8
資金集めのために、すべてを中断する必要がありますか?もしそうなら、どのくらい?

Aaron Harris
資金調達をするためになにもかもを中断する必要があるか、あるならどのくらいの期間か?ですね。

その必要は大いにあると思います。資金調達をするか、企業の業務に取り組むかを選択せねばなりません。必要でない限り資金調達をするべきではないからです。そしてその時間は、どれだけかかろうとも、です。

スピーカー8
例えばどのくらいですか?

Aaron Harris
というのは-

スピーカー8
10か月なのか、もっと長くなのか?

Aaron Harris
6ヶ月かけるのか、1年なのか、ということですかね。それは本当にその状況によります。

かなりアーリーステージの企業なら、資金集めに1年かけて、プロダクトに1年間取り組めないなら、それはおそらくとても良くないことです。なんにも進歩していないことを意味するのですから。私ならそういうことはしないでしょう。

しかし繰り返しますが、この質問の答えは、皆さんが本当に資金を必要としているかどうかを把握することです。

もし始めたばかりで、1か月か2か月か、分かりませんが、資金調達をしようとして、だれも援助をしてくれないなら、資金援助なしに企業を成長させる方法を見つけ出し、資金援助は後回しするべきです。

女性への投資ファンド

スピーカー9
私が一緒に働いているVCの中には、女性にだけ投資するファンドがあるのですが、それについて皆さんはどう思いますか?

Aaron Harris
すみません、良く聞こえませんが、女性創業者にだけ資金援助する一部の投資家についてどう思うか、ですか?

スピーカー9
女性にだけ援助をする投資家についてです。

Aaron Harris
私はそれは素晴らしいことだと思っています。

私は、資金集めや企業設立の考え方として、概して、どんなアンフェアな強みも利用すべきだと思います。

特に女性創業者に援助しようとする投資家がいることは、矯正的なことだと思います。投資家というのは過去こういった点が非常に不得意だったからです。使える強みがあるなら、絶対に使うべきだと思います。私はそれは素晴らしいことだと思います。

Geoff Ralston
あともう一人でお願いします。

Aaron Harris
あと一人ですね?

創業者全員が資金調達に関わるべきか

スピーカー10
創業者全員が、資金調達のプロセスを踏むべきでしょうか?それとも、創業者のうち、特定の一人がそのことに集中すべきでしょうか?

Aaron Harris
創業者全員が資金調達に集中すべきか、ですね。

いいえ。これはCEOの仕事です。もしとても幸運なことに、他のことをしてくれる共同創業者がいるのなら、彼らにはほかのことをやってもらいましょう。そうすれば、皆さんが資金調達を行っている間に、完全にはビジネスの進捗を止めないでおくことができます。

もし可能なら、CEOが資金調達を行っている間に、ビジネスも前進しておきたいところです。プロの投資家やベンチャー投資家においては、後半の大きなラウンドでは最終的にチーム全体に会おうとしますが、始めはそんな必要もありません。

実際に、以下の理由でミーティングにチーム全員を連れていくべきではありません。

もし投資家ミーティングで、オファーされたとき、チーム全体がその場にいたとしたら、皆さんはその場で決断をしなければならなくなります。しかし、そこでは皆さんは非常に不利な立場にいます。なぜならプロの投資家は専門的に交渉し、オファーをしてきているのですから。

皆さんはおそらくこんな交渉をしたことはないでしょう。皆さんのチーム全員がその場にいなければ「オファーをどうもありがとうございます。とても興味深い申し出です。共同創業者とよく話し合ってみたいと思います。」と言うことができます。

そうすれば会社に戻って、共同創業者に話して、良い点と悪い点を時間をかけて考えてみることができます。

では皆さん、ありがとうございました。

 

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
動画: How to Get Meetings with Investors and Raise Money by Aaron Harris (2018)
トランスクリプト: Aaron Harris - How to Get Meetings with Investors and Raise Money

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