非技術系の創業者ですか? だったらハックを学ぼう (Sam Altman)

私はよく非技術系の単独の創業者に、ハッカーの共同創業者候補を知っていたら紹介して欲しいと相談されます。こうした人たちは非常に情熱的なアイデアのプレゼンを行い、これまで頑張ってきたあらゆる活動や、会った顧客の数、構築したモデル、仮出願した特許等の長々としたリストを見せてきます。多くの場合、彼らは努力家です。しかししばしば、技術系の共同創業者探しに何ヶ月も費やす中で、仕事が滞ってしまっていることがあります。

このような人たちが「ビジネスを成功させるためなら何でもします」と言うとき(実際まず間違いなくそう言うのですが)、私はこう返します。「じゃああなたがハックを学んでは?優秀なハッカーになるには何年もかかりますが、自分のサイトやアプリを作るくらいなら数ヶ月で習得できますよ。それに次のバージョンを自分で作るわけでなくても、ソフトウェア会社を経営するなら少しは知識を持っておくのは良い考えだと思いますよ」と。

これに対する反応は通常、「自分の時間のベストな使い方ではない気がします」「それはちょっと」「私にそんなに頭が良くないので」のようなものです。(ちなみに今日受けた反応は「分かってないですね。私はアイデアを出す人間なんです。私がハックをするなら、誰が投資家と話すのですか?」というものでした。それがこの記事を書くきっかけになりました。)しかし時折、検討した結果ハックを学ぶことを決める人もいて、通常そうした人たちは上手くいきます。

やってみたら簡単であったことを知って驚く人は多いです。学習を始めたばかりの人を助けたがるハッカーはたくさんいます。ほぼすべてに関してチュートリアルやライブラリ、フレームワークが存在します。

重要な留意点としては、独学では非常に難しいかもしれないということです。Ruby のよく分からないエラーに出くわして諦めてしまうのがオチでしょう。なので例えば友人であったりコーディングブートキャンプの先生であったり、こういったもどかしいハードルを乗り越えるのを助けてくれる存在を持っておくことは重要です。

スタートアップのためとあらば、ハッカーにはビジネスに関して学習する姿勢があります。ビジネス系の人も見習うべきです。もしあなたが自分はこのような姿勢を取らないと言うなら、スタートアップの過程にはコーディングの学習よりもずっと大きな困難が先に待ち受けていることを覚えておいてください。また、コーディングはおそらく、自分に合う共同創業者を見つけるのに要する時間よりももっと短い時間で習得できるであろうことも覚えておくべきでしょう。

共同創業者といえば、注意点が一つ:共同創業者を探す、という明確な目的であっても、知らない人に会ったとしてまずうまくいきません。すでにある程度面識があり、一緒に働いたことがある人が望ましいでしょう。これも共同創業者を連れてくるよりも自分でハックを学ぶべき理由の一つです。

そうすれば製品の初回バージョンを自分で作ることができますし、たとえそれがひどい出来栄えだったとしても(YCでも非技術系の創業者でCodecademyでハックを学び、プロトタイプが作れるレベルまで習得した人がいました)、リアルなユーザーフィードバックが得られ、モックアップではない実際の製品に改良を重ねることができ、さらには優秀なハッカーを感心させて仲間に加わってもらえるようになるかもしれません。チューリング賞には届かなくとも、あなたに頭脳と強い意志があれば、意味のあるバージョン1を作れるほどには上達できるはずです。

あなたが単独の創業者でハックができないなら、ハックを学びましょう。

 

著者紹介 (本記事投稿時の情報)

Sam Altman

Sam Altman は YC グループの社長です。彼は Loopt の共同創業者兼 CEO でした。Loopt は 2005 年に Y Combinator に投資され、2012 年に Green Dot に買収されました。Green Dot で彼は CTO を務め、現在は取締役です。Sam は Hydrazine Capital も創業しました。彼は Stanford でコンピュータサイエンスを学び、その間 AI lab で働いていました。 

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: Non-technical founder? Learn to hack (2013) 

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