実践デザイン #05 「MVP の仕様」

デザインは必ずしも複雑でも、怖がるものでも、お金がかかるものでもありません。アーリーステージのスタートアップにおいて、デザインはある一つの目的を果たします――スタートアップ創業者が自社のユーザーを理解することを助けることです。そのためデザインは、単に正式なプロダクトの仕上がりやロゴ、レイアウトの域に留まらず、より多くのことを内包するものと言えます。ユーザーの観察、明快なメッセージング、MVPのスペック、明瞭なピッチ、等々です。

デザインの謎を解き、創業者の実質的なユーザー理解の向上を助けるための無料のツール一式を作りました。今回のツールはシリーズで5つ目となります。最初の4つはユーザー観察日本語訳)、メッセージング日本語訳)、ピッチ日本語訳)、デザインブリーフ日本語訳)でした。

これらのツールはすべて、アクションを促進するよう設計されています。これらのツールがあなたの実践による学習を手助けすることで、気の利いたデザインへの参入障壁が取り除かれることを期待しています。各ツールのインタラクティブ版は、リリース次第私のサイトから入手可能です

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MVPスペックツール

こちらは抜粋です。完全なインタラクティブ版はここから入手できます

MVP(minimum viable product、実用最小限のプロダクト)は、どんな会社にとっても最初のプロダクトとなるものです。この製品の目的は需要をテストすることです。この製品のローンチでもって、ビジネスチャンスの検証が終了します。プロジェクトをビジネスへと変身させるマイルストーンとなります。MVPに対する市場の反応により、創業者であるあなたがそこから取る行動の指針を得ることになります。つまり、そのまま続けていくのか、ピボットするかです。

プロダクト対プロトタイプ

MVPとはminimum viable product(実用最小限のプロダクト)の略であり、minimum viable prototype(実用最小限のプロトタイプ)ではありません。プロトタイプはいかに洗練されていようともプロダクトではありません。通常プロトタイプには非常に限定された目的があり、一つのプロダクトに対していくつかのプロトタイプが並行して作られることがよくあります。例えば、「見た目が似ている (look-like)」プロトタイプや「機能が似ている (work-like)」プロトタイプは、通常その二つが一緒になって一つのプロダクトコンセプトを示します。既存のパーツや無料テンプレートを流用した技術では、求めている形やユーザーインタラクションを満たすことができないからです。ニーズを検証しソリューションをテストするためのユーザー観察用のプロトタイプもあります。期待されるプロダクトを発表する場としてのクラウドソーシングキャンペーン向けのプロトタイプもあります。プリプロダクション(生産前)のプロトタイプもあります。無形のユーザーエクスペリエンスを引き起こすための有形のプロトタイプや、物理的プロダクトの使用例を示すための無形プロトタイプもあります。

MVPは実際のプロダクトです。実際のユーザーや実際の顧客がお金を支払い、プロダクトを使用します。創業者はそれをプロトタイプとして捉えるかもしれませんが、ユーザーや顧客は完成プロダクトと捉えます。ゆえに、MVPは完結した物語を提供する必要があり、明確な目的または機能を持ち、その機能を売り込むに足りるだけの性能が一式備わっている必要があります。プロトタイプテストとは異なり、創業者であるあなたは顧客体験を管理することはできません。

ファンクション対フィーチャー

プロダクトとは機能(ファンクション)が具現化されたものです。プロダクトの本来の目的が機能です。機能がないプロダクトは存在する理由はありません。すべてのプロダクトには一つの主な機能があります。一つのプロダクトに複数の機能があると、混乱をもたらします。

フィーチャーとは、機能の属性、特徴、性質、特性です。フィーチャーはプロダクトの機能に人々の注意を向けさせます。フィーチャーが多すぎると混乱に繋がり、プロダクトの目的の理解を妨げます。フィーチャーの競争は価格競争のようなものです。下降するスパイラルのビジネス戦略であり、価値の破壊へと繋がります。

多くの技術系の創業者が犯す最も一般的な過ちは、あるフィーチャーをあまりに気に入ったがゆえに、それを機能(ファンクション)として考えてしまうことです。電灯のスイッチはランプのフィーチャーです。スイッチはランプの目的でも、機能(ファンクション)でもありません。プロダクトレーティングはオンラインストアのフィーチャーです。オンラインストアの目的でも、機能(ファンクション)でもありません。

最小対最大

Maximum viable product(最大限有効な製品)などというものがあるとしたら、どんなものになるでしょう? このプロダクトは明確な目的を持つものになるでしょう。なぜなら多くのユーザー証言を参考にすることで、機能のポジショニングが洗練されているだろうからです。フィーチャーの数が適切であれば、独自のユーザー体験を通じた消費を引き起こすでしょう。製造過程にはおそらく、信頼できるコードから専用に作られたアセンブリラインまで、独自の技術が用いられるでしょう。また最大限有効な製品はそのデザインスペックの一部に、社会的責任を含むはずです。

MVPはプロダクトの機能(ファンクション)をマーケットに提供するための、最も効率的な方法です。そのようなMVPの実行は創業者にとって技術的にも、また経済的にも実現可能である必要があります。

あなたの独自のMVPスペックを作ろう

このツールは以前のものよりもよりインタラクティブなので、私のサイトにしか載っていません。あなただけのMVPスペックを作り、クイズにすべて答えましょう

 

著者紹介

Dominika Blackappl

 

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文:  Practical Design: MVP Spec (2016)

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