Y Combinator からスタートアップへのリクエスト

(本記事は2019年4月12日時点の記事の翻訳です)

私たちが資金を提供してきた最高のアイデアの多くは、私たちを驚かせてくれるようなものであって、私たちが待ち望んでいたものというわけではありませんでした。

ですが、応募を強く望んでいる種類のスタートアップも存在します。以下に記していくのはアップデート版の「スタートアップへのリクエスト (RFS)」で、そういったアイデアの一部を一般論として説明しています。

「Yコンビネーターに応募するためには、これらのアイデアに取り組まないといけない」とは思わないでください (※1)。以下に挙げる分野の多くは「ブレイクスルーを引き起こす技術」のカテゴリに入るものですが、私たちが資金提供を行うスタートアップの大多数は今後もこれまで資金提供してきたインターネットとモバイル関連の企業になることでしょう。この記事の投稿前からあなたのやりたかったことがあるのなら、それをやり続けてください。

また、このリストに載っているというだけの理由で起業するべきでもありません。RFSの主な存在目的は、あなたがすでにこれら分野の一つに関わるアイデアに取り組んでいる場合にその応募を奨励することにあります。

私たちが非営利組織で期待しているものを知りたい場合は、こちらの投稿記事をご覧ください。

AI

AIは社会に大きな影響を与えています。それがあまりに大きいため、私たちはYC内にAIのための部門を作ったほどです。

AIはその前後で様相が全く変わってしまう、そんなテクノロジー史上の分かれ目となりそうな感触があります。あらゆる限られた領域 (創薬、プログラミング支援、法律相談、不正検出など) に対する研究、そして特にAIとロボット工学が交わる分野 (製造、自動運転など) に注目した研究の応募者に私たちは関心をもっています。

バイオテクノロジー

これはまだ初期段階ですが、バイオハッキングでついに本物の進展があったように思われます。

これは今後数十年にわたり、驚異的かつ強力で、物議を醸す分野になるだろうと私たちは確信しています。どこか1970年代のマイクロコンピュータのようでもあります。

現在、エンジニアリング原則は合成生物学の至るところで日常的に適用されています。また、バイオテクノロジーは医療から製造業、さらには食品や農業まで、生活のあらゆる面に関係しています。

病気との戦い、老化の抑制、ヒトとコンピュータの融合、記憶のダウンロード、遺伝子プログラミング――この技術が進む可能性は極めて多岐にわたります。

DNA解析は驚くほど速く、安価になりました。この分野には興味深い応用が多数あります。おそらく、DNAの書き換えが向上するにつれてはるかに興味深い応用も出てくるでしょう。

私たちはバイオテクノロジーの悪用を防止するバイオテクノロジーにも関心があります。例えば、悪い人間が新型の感染病をすばやく生み出せるのであれば、善良な人もまた新たな治療法とワクチンを生み出せることが望まれます。

ブリック・アンド・モルタル2.0

私たちは実店舗型 (ブリック・アンド・モルタル) の商業または小売スペースを面白くて効率的な形で活用するスタートアップにも関心があります。

Amazonはショッピング・モールや大規模小売店を廃業に向かわせています。ブランドはAmazonに負け戦を仕掛けるよりもむしろ、自らの強みを生かす形で小売スペースを活用する方法を再考しなければなりません。例えばTesla、Warby Parker、Pelotonは自社のオンライン販売ルートを補完するショールームとして実店舗を利用しています。在庫を補完する必要が無くなれば、小売りスペースはよりいっそう効率よく活用できます。

現実世界における空間の興味深い使用法は小売店舗に限られません。同様の大転換はレストラン、エンターテインメントの場、地域密着型サービス事業者、オフィスビルにも起こっています。新しいビジネスはオンライ注文、別サービスとの密接な統合、即時配達といった特徴を当然のように考えている顧客を狙ったものになるでしょう。柔軟性が鍵となります。例えば、未来のビジネスは数年間のリース契約ではなく、数日間、それどころか数時間の「マイクロリース」を利用するようになると考えられます。

それに加え、顧客の注意をメインストリートから駐車場を備えたショッピングセンターへと移動させた大規模小売店の時代は、自動運転時代の幕開けで変化しそうです。ひとたび自動運転カーが広く採用されれば、私たちの物理的空間との関係性は予測困難な形で発展していくでしょう。その変化について考え、物理的空間の新しい利用法を開発しているスタートアップを見たいと私たちは思っています。

炭素除去技術

パリ協定には地球の温度上昇を今世紀、1.5℃までに抑えるという国際的な目標が明記されています。ただ再生可能エネルギーに切り替えるだけではこの目標を達成するのに十分ではありません。大気中から炭素を取り除く必要もあります。

炭素除去および炭素隔離技術はまだ初期の段階です。現在の解決策は2つのグループに分けられます。すなわち、自然的なもの (森林再生やバイオ炭など) と技術的なもの (ダイレクト・エア・キャプチャなど) です。ダイレクト・エア・キャプチャの抱える2つの課題はコストと規模です。最近、米国を含む数カ国がさらに力を入れ、大気中の炭素除去に対する奨励金を設定しましたが、現在の技術ではそのコスト効率もまだ高くありません。より詳しい情報は炭素除去センターから入手できます。

気候変動の影響を弱めるためのその他の地球工学的アプローチも同じく将来性があるかもしれません。

細胞農業とクリーンミート

近年の科学的発展がたんぱく質の生産に関する私たちの考え方を変えました。

私たちは史上初めて、肉や乳製品といった動物由来の製品と科学的に区別できない食品を作れるようになりました。細胞のみを使用し、動物を傷つけることはありません。

今日、人間は主に肉と乳製品を得るために家畜を利用しています。あなたがこれを残酷で無駄の多いことだと考えているか否かにかかわらず、それが持続可能ではないことはわかっています。この世界で利用できる農地の大半がすでに食肉生産に利用されているにもかかわらず、肉を食べる人は毎年増えています。農業部門はエネルギー部門に次いで、世界で2番目に多くの温室効果ガスを放出している部門です。また、畜産における抗生物質の利用は人間自身の医療制度にとって現実の脅威です。

本物の動物の肉を細胞から直接育てることは革命的な技術です。私たちはこの技術を市場に出しているスタートアップへの投資の件数をさらに増やしたいと強く考えています。また、細胞農業のスケールアップ段階に特化したスタートアップに対する投資も望んでいます。世界はより持続可能で、より安く、より健康的な食肉生産から多大なる恩恵を受けることでしょう。

より環境にやさしい商品

現在のスピードで森林破壊が進むと、熱帯雨林は100年以内に失われます。

これがなぜ好ましくないかについては環境上の理由をいくつも挙げられますが、ますます乏しくなっているこれらの資源に頼る産業にとっても問題です。

すでにスタートアップはより環境にやさしい消費者製品のニーズに対応し始めていますが、パーム油や大豆のような工業原材料はあまり注目されていません。

例えば、パーム油は世界で最も利用されている植物性油脂で、食料品店で扱われている製品の約50%で使われています。世界のパーム油市場は2016年で650億ドル超の規模と評価されており、2021年までには920億ドルに達すると予想されています。ところが、パーム油生産は粗雑で環境的に有害な焼畑農業や搾取的な労働慣行に依存する傾向があり、牛肉を除いたあらゆる商品の中で地球温暖化ガスを排出する最大の要因となっています。

私たちはこのような巨大市場のローテク産業もまた、興味深い目標かもしれないと考えています。私たちが応募を望んでいるスタートアップの例としては化学合成品、より環境にやさしい代替品、サプライチェーンの向上に取り組んでいる企業が挙げられます。ここではおそらく消費者向け製品の場合よりもプライス・ポイントが極めて重要になるでしょう。また、新たな仕事が創出されるか、そのソリューションが森林の再生に関わるものであれば大変に望ましいことです。

コンピュータセキュリティ

コンピュータの保護は求められる作業があまりにも非対称なせいで困難な仕事になっています。つまり、攻撃者は一つの欠陥を見つけさえすればよい一方、防衛者は考えられるあらゆる脆弱性を防がなければなりません。

不幸にも、コンピュータの保護は大変というだけでなく、決定的に重要なもので、その重要性も増しています。重要な情報やシステムがインターネットにつながることが増えれば増えるほど、サイバー攻撃をますます受けやすくなり、それによる混乱もいっそう深刻になります。

多様性

労働力の多様性はビジネスにとっても世界にとっても望ましいことです。

異なる視点が欠けていれば、私たちの作る製品やサービスは大部分の人々を獲得する大きなチャンスを逃すでしょう。私たちはテクノロジーを応用してあらゆる年齢、人種、性的指向、文化の人々をさらに包括し、さらに惹き付ける場を生み出すことに取り組む非営利組織およびスタートアップに投資したいと考えています。

教育

私たちが教育を定着させられるならば、いずれはこのリストに書かれた全てのことが実現します。

大半の人々が良い教育を受けられないせいで、地球上における人間の知力はほとんど十分に活用されていません。強力な教育制度が社会的流動性の増大、より良い労働者、より良い市民、スタートアップの質および数の向上をもたらします。世界中の教育制度で提供される学習の量が少し増えれば、人間の生産性と経済成長に莫大な影響をもたらすはずです。

私たちは批判的思考、独創性、市民権、職業スキルの開発を圧倒的な規模で行えるような新しい学校モデルに関心をもっています。私たちはテクノロジーと1対1のやりとりを組み合わせることで高度に個別化された教育体験を提供できるアイデアを求めています。

また、ヒトの脳の90%は5歳よりも前に発達し、幼稚園の入園前には学力格差がかなり広がることが知られています。私たちは0歳から5歳までの子どもにおける教育の成果を劇的に向上させるベンチャー事業に関心があります。これは不平等を減らすとともに、子供やその家族における将来のクオリティ・オブ・ライフを高める見込みもあります。脳科学、そしてスマートホームデバイス、ウェアラブル・コンピュータ、モバイルといったテクノロジーの進歩のおかげで、現在はこういった分野のスケーラブルなソリューションが実行可能となっているはずです。

エネルギー

エネルギーのコストとクオリティ・オブ・ライフの間には注目に値する相関関係があります。

歴史を通じ、エネルギー費が大きく下がったとき (例えば蒸気機関の場合など) にはクオリティ・オブ・ライフも劇的に改善しています。

安価なエネルギーが貧困の削減に大きく貢献すると考えられます。また、新たなエネルギー源は環境や経済に役立ち、戦争を減らし、安定した未来を確実にし、食料や水をより豊富にし、他にも何らかの恩恵を与えてくれるかもしれません。

私たちは経済面が重要な部分を占めるだろうと確信しています。新しいエネルギー源は既存のものよりも安く、しかも世界的需要にまでスケールアップできるものでなければなりません。原子力エネルギーは入札で売れる可能性がありますし、おそらく再生可能エネルギーもそうです。ですが価格設定こそが最優先の課題です。

私たちは発電だけでなく、蓄電や送電にも関心をもっています。10倍性能の良いバッテリーは素晴らしい新製品を実現するはずですし、エネルギーを簡単に移動させる能力も同様です。

企業向けソフトウェア

大企業で使われるソフトウェアはいまだにひどく、まだ高い収益性があります。

新たなカテゴリを生み出すような企業向けソフトウェア会社が出現し、あらゆる産業、あらゆる事業規模、あらゆる職務の問題を解決するでしょう。以下、私たちが特に興味深いと考えている具体的な領域を3つ挙げます。

  1. 高級品の低価格化――従来の企業向けソフトウェアにかかるコストのせいで、これまでは小規模どころか中規模の企業ですら恩恵を受けられないほど、多くの種類のソリューションが法外な価格になっていました。
  2. 「次の10億人」の労働者たち――これまではオフィス勤務の知識労働者たちが企業向けソフトウェアのユーザーでした。スマートフォンとタブレットはあらゆるタイプの従業員 (小売店舗の店員から現場業務チームまで) を知識労働者へと変化させています。
  3. あらゆる産業のデジタル化――何らかの形態のITに基づいた混乱をあらゆる産業が経験しています。この結果、企業では慣例の近代化、新たなデータの活用、主要プロセスの加速化、プロセスにおけるデジタル対応可能な体験の提供が引き起こされています。

金融サービス

世界の金融システムはますます消費者や企業の需要に応えられなくなっています。

それもわからない話ではありません。なぜなら、顧客の保護を目的としている規制は、テクノロジーがその顧客のニーズを変化させているスピードに追いついて迅速に変えることが不可能だからです。この不一致が金融システム内のほとんど全てのレベルにおいて非効率性を生み出しています。これは人々が貯蓄を投資に回す方法、企業が成長のために資本を入手する方法、リスクに値段を付けて保険を掛ける方法、金融会社が相互取引を行う方法に影響を与えます。

私たちは金融サービスが変化し、ひいては規制の性質を転換していくスピードをソフトウェアが加速させるだろうと考えます。それを起こす方法についての新しいアイデアをもった企業に資金を提供したいと思っています。

仕事の未来

今から25年間で仕事の様相は大きく変わっていくでしょう。

私たちはオートメーション、ロボット、AIへの大転換をすでに経験しています。そして、それが仕事に影響を及ぼすスピードは落ちていません。

これらの新技術が最終的に仕事を全体として増やすのか、それとも減らすのかについてははっきりしません。あなたが今後起きると考えていることや次に起こることに私たちは関心をもっています。

特に解き明かしたいと思っているのは、これらの新技術を活用することでどのような新しい仕事が創出されていくのか、そして、人々や会社が迫り来るスキル要件の変化に適応することを助けるために開発できるものは何かということです。

また、私たちは働くことの意味がどのように発展していくのかも知りたいと考えています。金銭、医療、目的意識といった多くの理由のために、人々はフルタイムの仕事を求めます。変化する求人市場を見越して、このような各要因 (またはその他の要因) に対処するソリューションと出会えることを私たちは大いに望んでいます。

ヘルスケア

米国の医療はひどく破壊されています。私たちのGDPのうち、医療への支出がもう少しで20%に達しようとしています。これは持続可能ではありません。

私たちが関心をもっているのは、法外な値段を請求することで制度を搾取する能力を有した企業ではありません。医療をより良く、より安くするための方法です。

私たちは下記の分野で活動している医療系スタートアップに対して特に関心を向けています。

  • 診断――診断は臨床判断の指針となり、医療に重要な影響を与える可能性があります。現在、私たちは診断法をかつてないほど安く、迅速に開発できます。そして最も重要なチャンスはその使用法に存在しています。
  • 医療機器――試作と製造のコストは以前よりも低く、コンピュータの計算能力は以前よりも高くなっています。どの機器が最も大きな臨床的影響を与えるのか、その機器の生み出すデータがどのようにして医療機器を未だかつてないほど価値のあるものに変えられるのか、それらを見られることに私たちはワクワクしています。
  • 薬剤――医薬品開発は以前よりも時間と費用がかかるようになりました。これを新たな形で行う企業に対して資金を提供したいと考えています。私たちはこれを大局的に見ており、処方薬にはならない可能性があるとしても、人々を実際に助けてくれるようなものに関心があります。
  • 予防的医療――おそらく、これこそが医療を改善する方法の中で最も影響力の強いものです。センサーとデータは多種多様な分野で関心を持たれていますが、とりわけ医療においてそれが顕著です。

記憶力の向上

ヒトの記憶力はあまりに不安定なものです。

コンピュータと比較してみると、ヒトがもつ記憶システムは奇妙なものです。私たちは10年前に抱いた微妙な感情や気持ちを思い出せますが、同時にスマートフォンを置いた場所や店で買うべきものを忘れてしまいます。増えていく情報とアイデアによる洪水は記憶することを少しも楽にはしてくれませんし、認知症やアルツハイマー病のような加齢に伴う疾患も同様です。

「融合」の時代がやってきます。音声アシスタントやウェアラブル・コンピュータのような一部のソリューションが短期記憶を補う手助けをしてくれるかもしれません。より複雑なアプローチは神経インターフェースと関係していますが、新たなユーザーエクスペリエンスの問題も引き起こします。私たちは人間の記憶力をテクノロジーによって向上させる方法を探求しているスタートアップに資金を提供したいと考えています。理想的には、私たちがMitch Hedbergの問題を完全に解決できるようになることです。

長寿とアンチエイジング

私たちは年に数十億ドルをがんや心臓病などの老人性疾患の研究に費やしていますが、老化そのものの研究はそのほんの一部分に過ぎません。

私たちはこれを不適切なリソース配分だと考えています私たちは今や、老化の根本的原因に直接対処する治療法に取り組むための生物学的理解を得ています。私たちはこのことに取り組んでいる数社に対して資金を提供しており、そのような会社の数を増やしたいと考えています。

100万人分の仕事

私たちは100万人分の仕事を創出する可能性をもった企業に対して資金を提供したいと考えています。

人間とコンピュータで分業することが合理的な領域は数多くあります (私たちはコンピュータのひどく苦手なことが非常に得意で、逆もまたしかりです) し、こういったことの中には膨大な人的資源を必要とするものもあります。

これは世の中にとっても、おそらく優れたビジネス戦略にとっても利益になります。既存の仕事が姿を消すにつれて、新たな仕事を数多く創出する企業は有能な人々を得られるはずだからです。

プログラミングツール

私たちの日常生活において、ソフトウェア開発者が形作っている部分はますます多くなっています。

開発者たちがソフトウェア制作のために使用する製品は強力な手段であり、開発されるソフトウェアの品質と種類に劇的な影響を及ぼします。

開発者がより良いソフトウェアをより迅速に制作するのを手助けすることに私たちは関心があります。この中にはコードを書き、理解し、共同で作成するための新しい方法や、ソフトウェアを継続的かつ確実に提供することを目的とした次世代のツールとインフラが含まれます。

ソフトウェア開発を社会の最大多数の人にとって身近なことへと変えるような製品の開発が特に重要なことだと私たちは確信しています。実のところ、私たちはプログラミングを行う新しい方法に特に関心を向けています。人々がプログラミングを行う上で、きっとはるかに優れた方法が存在するはずです。その一つを見つけ出すことで大きな影響を与えるはずです。

フレームワークが向上し、その言語がもう少し扱いやすくなる一方、私たちがやっていることの大部分は同じままです。

これについての考え方の一つとはすなわち、「プログラミング言語の次に来るものは何か? 」ということです。

ロボット

ロボットは現実の世界で物事を片付けるための主要な方法となるでしょう。

私たちの定義はかなり幅広いもので、例えば自動運転カーもロボットとみなしています。ロボットは宇宙探索はもとより、もしかすると人体の研究の場においてさえも用いられる手段となる可能性が高いでしょう。

フェイク動画への対抗策

フェイク動画は増加の一途をたどっています

現在、現実と区別がつかない加工動画を作成する技術が存在します。まもなく誰もがスマートフォンを使って利用できるほどに広がるでしょう。

フェイク動画やフェイク音声を識別するのに必要なツールを一般市民に授ける技術に対して資金提供を行うことに私たちは関心があります。

クリエイターの支援

インターネットは創作物を数百万人のあいだで流通させることを容易にしました。ですが、創作活動を持続可能な生計の手段とする上で役立つ方法を見つけ出した人は存在しません。

芸術の分野では、芸術家とファンのあいだに存在する中間業者が大勢います。中間に存在する各人が芸術家の生み出したお金からそれぞれの分け前を得ています。私たちは芸術家とファンを直接つなぐ供給経路を開発しているスタートアップともっと多く出会えることを望んでいます。

クリエイターにとってさらに使いやすいプラットフォームを開発する道があると私たちは確信しています。そして、芸術家が資金調達を行い、自らの作品の消費を追跡し、海賊版を防ぐことを容易にするプロジェクトにも関心をもっています。

交通および住宅

全エネルギーのおよそ半分が交通に使われています。そして人々はつまらない通勤や通学に膨大な時間を割いています。

それでもやはり対面でのやり取りはとても重要で、人々はなおも移動する必要があります。また、住宅の価格は上がり続けています。一つの原因は交通の困難さです。私たちは人々が良い場所に住み、一緒に働き、通勤・通学がもっと容易になるためのより優れた方法に関心をもっています。

具体的に言うと、軽量な短距離用の個人輸送手段こそ私たちが関心を向けているものです。

十分なサービスを受けていないコミュニティと社会サービス

アメリカ国内のワーキング・プア数千万人には中産階級へと至る道が見えていません。

そのような人々は標準以下のサービス、低品質な住宅、過密状態の学校、近隣で起こる犯罪のありふれた世界で暮らさなくてはいけません。銀行口座を持っていなかったり、その日暮らしをしていたりする場合もよくあります。

こういった十分なサービスを受けていないコミュニティへ向けた社会サービスやセーフティネット・プログラムに対し、米国政府だけでも年間で数百億ドルを費やしています。

このほとんど黙殺されている巨大市場に対して、素晴らしい非営利団体や営利団体がテクノロジーと強固な指標駆動型のアプローチをもたらすことができると私たちは確信しています。

音声アプリ

数千万世帯がスマートスピーカーを所有しています。

この新たなプラットフォームに最大の価値を提供してくれるのはどの音声アプリなのか、私たちはそれを見つけ出すことに関心をもっています。

音声アプリは 典型的なWebアプリやモバイルアプリとはあまりにかけ離れているため、ユーザーをエンゲージし、定着させる製品を生み出すためには多くのイノベーションが必要になるだろうと私たちは考えています。

YCに参加する音声アプリ企業はAmazon AlexaやGoogle Assistantのチームとの直接的な経路を得ることになります。

VRおよびAR

バーチャルリアリティと拡張現実は長らく期待されながらも達成されていません。

ですが私たちはその波が押し寄せているのを感じています。そして今こそ着手するのにうってつけのタイミングです。

 

注意事項

RFSに応じていることは、私たちが誰に資金を提供するかについての決定的な要因には決してなりません。何度も述べてきたとおり、人間がアイデア以上に重要です。それに加えて、あるものに心からの興味を抱いていない限り、それについての良い仕事はできません。 ですので、あなたがもっと取り組みたいアイデアが何か他にあるならば、 RFSで述べられているアイデアを採用しないでください。あなたが本当に好きなアイデアに取り組んでいるときの方が投資を受ける可能性は高くなります。

 

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: Requests for Startups (2018)

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