技術系創業者へのセールスアドバイス

最高の製品やサービスを持っていたとしても、それを誰も知らなかったり、その価値を誰も理解できないなら、生き残ることはできません。この記事では、セールスを活性化し、必要な勢いをつけるための3つの簡単な方法をご紹介します。ここでは、見込み客を特定して優先順位を付ける方法、見込み客に対し営業する方法、そしてセールスに関する会話の成功例について説明します。

1. 見込み客を特定して優先順位を付ける

その分野の思想的リーダーとなり、知識を共有する

QuoraInbound.orgStack Exchange などの Q&A ウェブサイトは、あなたの製品販売を促進する手っ取り早い方法です。これらのサイトでは、あなたが解決している問題に関連する質問をしている人々を簡単に見つけることができます。

例えば Leadfeeder では、Quora からのトラフィックが、他のトラフィック源と比較して平均2倍の割合でトライアル登録へと繋がることを私たちは発見しました。また、Quora の回答へのリンクを専用の Slack Channel で共有したり、回答の関連性を高めるために他の人に投票してもらうことに、チームとして取り組むようにしています。

質問に答えるときは、あまり自己宣伝をせず、会社での自分の役割に対して率直な態度を心がけましょう。

検索したら出てくること

潜在顧客の92%は購入を決断する前にオンラインレビューを読みます。そのため、SifteryCapterraG2Crowd などのウェブサイトでオンラインレビューを得ることに注力しましょう。また、それは有料ユーザーからのものである必要はありません。無料サービスを増やしたり、試用期間を延長することで、ユーザーにレビューを促すことができます。また、ユーザーが本当にサービスを楽しんでいるのであれば、個人的な1対1の解説で十分な場合もあります。

自分のウェブサイト、LinkedInMedium や他のウェブサイトなどで、ブログ記事を書き始めましょう。理想的には、自分のウェブサイト上のブログを使用して、ウェブサイトへのトラフィックを直接誘導します。これは、読者が通常検索する関連コンテンツについてブログに記述する必要があるということです。コンテンツは、サービスに関する直接的なトピックと、関連する他のトピックとを交互にしてください。

例えば、ターゲットとする顧客が人事担当者で、あなたが給与管理ソフトウェアを販売している場合は、採用プロセス、従業員の定着、給与などについても記述します。LinkedIn または Medium でブログを作成する場合は、自分のプロフィールや経歴に自分の役割と会社に関する適切な説明があることを確認し、コンテンツ内で自分のウェブサイトにリンクしていることを確認します。また、他の評判の良いウェブサイトのゲストブロガーになって、その読者を活用し、リーチを拡大するのも良いアイデアでしょう。

ウェブサイト上のライブチャットを活用して、応答性を最大限に高める

顧客の40%以上がカスタマーサポートの質問方法としてライブチャットを好んでいます。電話に出る人がいなくなったことや、電子メールが乱雑になったことを考えると、これは理にかなっています。コンピュータに常時接続していない場合でも、チャットを携帯電話にプッシュしたり、チャットボットを使ってチャットの質問に答えたりすることができます。ウェブサイトにライブチャットを導入して数ヶ月で、Leadfeeder はトライアル登録者を3.5%増やすことができました。

ウェブサイト上の匿名の訪問者を特定して連絡を取りましょう。

ウェブサイトの訪問者の98%は、ウェブサイトを訪問していてもフォームを入力したり、連絡を取ったりすることがないため、多くの機会を逃しています。ですが幸いなことに、簡単な解決策があります。Google Analytics に接続し、訪問者の会社名と所在地、各訪問者がどのページを閲覧しているか、訪問者がどのようにあなたを見つけているか、そしてあなたのウェブサイトにどれくらいの時間滞在しているのかを特定しましょう。

賢い宣伝をしましょう

広告にお金を支払うこともまた、リードを得るための手っ取り早い方法となります。ウェブサイトがランディングページやコンタクトフォームに対し最適化されていない場合でもこれは有効です。Leadfeeder のようなソフトウェアと連動して有料広告を利用すれば、誰が広告をクリックしているのか知ることができます。

たとえば LinkedIn では、特定の職種、会社、地域などをターゲットにすることができます。また、検索エンジン、ターゲット地域、およびソリューションに関連するキーワードでコストパークリック(CPC)キャンペーンを作成することもできます。コストパークリックキャンペーンでは、広告をただ見た人ではなく、それをクリックした人にのみ料金を支払います。

2. 適切な見込み客に対する営業

誰もが一度は、ひどい一斉送信の営業メールを受け取ったことがあるでしょう。それなのになぜ私たちは自ら、非人間的なメールを送るという罪を犯してしまうのでしょうか。もしかしたら、時間が足りないのかもしれませんし、数撃ちゃ当たる方式を試しているのかもしれません。何れにせよ、それはあまり良い言い訳ではありません。あなたのソリューションを購入する意欲がある顧客にのみ時間をかけ、何を書き、どのような第一印象を与えるべきかをよく考えるべきです。

ターゲットとなる潜在顧客のリストを見つけるために調査を行いましょう。

実際、どの企業にもニーズや要望の TAPE(Talent, Adversising, Product, Earnings)記録があるので、それを聞くだけでよいでしょう。

Talent(タレント):潜在的な顧客企業の採用パターンをたどることで、企業がニーズに気がつく前や、調査を始めてすぐに、企業のニーズについて知ることができます。たとえば、ある企業が最初の営業担当者を採用する場合、CRM ソリューションの市場に参入する可能性があります。また、IT 部門を拡大する場合、サイバーセキュリティソリューションの予算を確保する準備が整っている可能性があります。

Advertising(広告):企業の発表からヒントを得ましょう。その企業がイベントに参加する? 早速チケットを取りましょう! その企業はアフィリエイト・パートナーシップ・プログラムを推進していますか。紹介と報酬というソリューションが必要かもしれません。他の会社と合併したばかりですか? 移行期にあるため、連絡を取るのに最適な時期ではないかもしれません。

Product(製品):企業の製品の変化に常に対応しましょう。新製品を発売したり、既存製品を大幅に改良していますか。お客様からの問い合わせが殺到する可能性があるため、顧客が今まさに必要なのはカスタマーサポートソリューションかもしれません。

Earnings(利益):企業の利益と収益をモニターします。資金の増加や良好な収益報告は、成長と拡大を示す場合があるためです。今こそ、人材管理ソリューションに飛び込むチャンスかもしれません。

予算がある場合

ZenProspect などのプラットフォームでは、企業の規模、業界、TAPE など特定の基準に基づいて、ターゲット企業の意思決定者を見つけることができます。これらのタイプのソリューションを使用すると、シーケンスを介したアウトリーチを自動化できるため、手作業でユーザーに連絡してフォローアップする必要がなくなります。

予算がない場合

ステップ1:Google AlertsHootsuite のモニタリングツールなどのニュース・ソーシャルモニタリングツールを使用します。

ステップ2:LinkedIn で簡単な検索をし、会社名、所在地、役職などでフィルタリングすることで、ターゲット企業に到達するための関係者を検索します。

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上のスクリーンショットで私は、「会社名:Salesforce、タイトル:「デジタル・マーケティング・マネージャー」と入力し、右側の「サンフランシスコ・ベイエリア」フィルタオプションをオフにして、「サンフランシスコ地区」で働く「デジタル・マーケティング・マネージャー」を検索しました。

アウトリーチ方法を選択する。一般的なものは次の3つ

1. 電話を使う。企業のゲートキーパーを通したり、ZoomInfo などのプラットフォームを使って、ある特定の個人の電話番号を調べましょう。

2. LinkedIn を活用する。LinkdIn の InMail ツールを通してメッセージを送信しましょう。

3. コールドメールを送る。誰かのメールアドレスがはっきり分からない場合は、Hunter などの無料ツールを使ってメールアドレスのフォーマットを正確に調べたり、Rapportive の Google Chrome 拡張機能を使ってメールアドレスを確認したりして、Gmail 内の相手の状況をより詳しく知ることができます。

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Hunter は、企業のウェブサイトにログインするだけで利用できます。その後、確認されたメールアドレスパターンをインターネットから入手します。上記の例では、Salesforce のメールアドレスパターンは{名イニシャル}{姓}@salesforce.comとなります。

適切なメッセージを作る

電子メールには科学的なものと芸術的なものが混在しています。自分のオーディエンスに何が一番響くのかが分かるようになるには多少の試行錯誤が必要ですし、件名やメールの長さ、メール内のコピー、画像が必要かどうかなど、様々なテストが必要になります。結局のところ、型にはまったメールというものはすぐに見抜かれてしまうので、出来るだけ誠実に、個性のあるメールを書くようにしましょう。

成功した戦略としては、Vidyard GoVideo 経由で電子メールにパーソナライズされたビデオを添付したり、ペットや趣味など、相手が深く関心を持っていることに言及することが挙げられます。これらは、メッセージを作成するためにより多くの努力が注がれたことを示しています。通常、ユーザーの個人情報は、LinkedIn、Twitter、Facebook の簡単な検索と、オンラインの一般的な検索だけで見つけることができます。

LeadIQ の販売促進マーケティング担当副社長である Ryan O’Hara は、自分がキーボードを演奏したり、メッセージを歌ったりしているビデオを見込み客に送っています。その結果、コールド・アウトリーチからミーティングの約束へのコンバージョン率は40%に達しているのです!

またときには、自分についてまずオープンにすることで、相手が心をより開いてくれることもあります。例えば、私が金曜日にメールを送る場合、週末に計画している何か面白いことについて一言触れて、メールを締めくくるようにしています。

一般的な経験則としては、「10-80-10」というルールがあります。個人的な挨拶文から始めて、定型文を挿入し、個人的なメッセージで締めくくります。ここでは、9種類のメール形式をテストし、メール作成のヒントを紹介しています。

営業の前に関係を構築する

LinkedIn の調査によると、ソーシャルセラーは45%、より多くの機会を創出していると言います。Twitter やLinkedIn で有意義な会話を始めましょう(対面での交流イベントでも)。それに加えて、ソーシャルプロフィールを見直して、この分野のソートリーダー、人と話すことを厭わない人、手助けできる人として自分自身をアピールしましょう。

3. 営業話法をマスターする

適切なメッセージを作成するのと同様、実際の会話も科学と芸術のバランスの上に成り立ちます。デモやセールス・コールの成功には3つの主要な要素があります。

  • 適切な質問をすること
  • 話すよりも聞くこと
  • 信頼を得ること

信じられないかもしれませんが、セールスとは、製品がもたらす価値を理解するというより、顧客のニーズを理解することです。適切な質問をすることは、自分自身の立ち位置を改善し、実際に購入する準備ができている見込み客に時間を優先し、社内の適切な人材に焦点を当てることに役立ちます。企業の優先事項、意思決定者、購入決定のスケジュールに関する質問をするようにしてください。

適切な質問をすることにも関連しますが、話すよりも聞くことを心がけてください。直感に反しているように思えるかもしれませんが、研究によると、自分が喋る時間を全体の40%程度にすれば、勝率を11%上げることができるそうです。そして、顧客に4分間話し続けてもらうことができれば(あなたも少しは話を挟みます)、それはうまくいっている証拠です。また、相手の注意が集中する時間は短く、会話を続けながら製品について深く掘り下げることができるため、企業紹介は2分以内にとどめるようにしてください。

またこれも直感に反しているように思えるかもしれませんが、見込み客が会話の早い段階であなたの競合相手に言及したり、価格について通話中に幾度か聞いてきたりすることは、その通話がうまくいっている証拠です。競合相手や価格についての会話はあまり気持ちの良いものではないかもしれませんが、これは営業電話がうまくいくための3つ目の要素へと繋がります。つまり、信頼を得ることです。

信頼されるということは、透明性が高いということです。ですから、相手があなたの競合相手は誰であるか尋ねたなら、それをいくつか挙げることを恐れてはいけません。もちろん、競合相手との違いを強調できるように準備しておきましょう。同じことが価格についても言えます。価格を話すことを恐れず、製品の価値を強調しましょう。異議が出ても、割引に応じる前に、相手が製品にそれだけの価格を支払うことを躊躇している理由を理解するようにしてください。

透明性が高いことは、あなたの評判を確立することにもなります。あなたが一緒に仕事をしている他のタイプの会社について必ず言及してください。これにより、相手はあなたを認めるでしょうし、見込み客に切迫感を与えることもできます。他の企業が製品を活用している一方、見込み客は現在それを使っていないのですから。

最後に、透明性が高いこと、つまり自分の興味や人間性についてオープンになることで、見込み客との信頼関係を築くことができます。買い手は何よりもまず、あなたを人間として好きになる必要があります。そうでなければ、あなたがセールスパーソンとして成功する見込みはほとんどないでしょう。ですから、趣味やスポーツ、子供など、相手と分かち合える共通の話題を見つけて、ただ製品を販売するのではなく、心から相手のことを助けたいと思っている人として見られるようにしましょう。

 

著者紹介

Carol Luong

 

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: Sales Advice for Technical Founders (2017)

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