10兆円企業への道 (Startup School 2018 #26, Paul Buchheit)

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Geoff Ralston
さて、Y Combinatorで長年私と一緒に働いてきたPaul Buchheitをご紹介できることは大きな喜びです。Paulは、非常に多くのことで知られており、スタートアップに係ることに限らず非常に博識です。

しかしそれだけでなく、彼はご存知の通り、Gmailの考案者であり、「Don't be evil、邪悪になるな」(Googleの元スローガン)の発案者でもあります。そして信じられないほどのキャリアを持っています。

そこで、 Paul に数分間預けて、彼が以前いたどこかから、YCへたどり着くまでの旅路と、その時起こった出来事についてお話しいただこうと思います。そのあとで、偉大な企業を設立することにはどういった意味があるのかについて、興味深い会話ができればと思います。Paul、お願いします。

自己紹介

Paul Buchheit
分かりました。ありがとうございます。正確に、どこまで遡ったほうがいいですか?

Geoff Ralston
どこで生まれましたか?

Paul Buchheit
どこだったかな?ニューヨーク州北部ですね。

Geoff Ralston
私もです。

Paul Buchheit
そうですね、私は中西部で育ち、90年代にオハイオ州の大学へ進学しました。おそらく今とは少し違う時代でしたね。

Geoff Ralston
90年代は、全てが今とは違っていました。

Paul Buchheit
ええ、90年代は何もかもが今と違いました。そして、そうですね。私はずっとスタートアップに興味がありました。 子供のころにさえ、誰かのために働くという考えは好きではなかったんです。

そして基本的には、多くのお金を稼いで、新しくてクールな発明をするという考えが好きでした。発明家のTeslaか誰かの記事を読んだことがあると思います。それを見て、こう思っていたんです。「ああ、この人がビジネスにおいてもうすこし賢明なら。」 とね。 彼は全く…

Geoff Ralston
彼はたくさんの発明をしました。

Paul Buchheit
彼は数多くの発明をして、無一文でなくなりました。彼は賢明ではありませんでした。

Geoff Ralston
彼は自動車会社を設立しませんでしたっけ?

Paul Buchheit
ええ、彼が実際その株式を手に入れたかどうか分かりませんがね。

Geoff Ralston
手に入れてないと思います。

スタートアップへの興味

Paul Buchheit
だから、その思いに蓋をしていました。しかし、大学卒業が近づくつれ、当時1998年でしたが、スタートアップに非常に興味を持つようになりました。しかし当時、何のスタートアップスクールもありませんでしたし、Y Combinatorもなかったです。そういったものは、ほとんどありませんでした。当時ウェブは比較的小さく、リソースもあまり無かったんです。

そして私にはなんの人脈もありませんでした。スタートアップで働く人を誰も知りませんでしたし、そういう人たちはカリフォルニアにいたんだと疑っていました。だから常にもっともシンプルなことを…

Geoff Ralston
その話、面白いですね。どうしてカリフォルニアだと考えたんですか?

Paul Buchheit
eBayやNetscape、Yahooの第一世代など、あらゆるインターネット企業の第一世代は、私が卒業するころには株式が新規公開されていて、そのすべての企業はカリフォルニアにあったんです。シアトルのAmazonを除いてね。だからそれはかなり明白で、考えるまでもありませんでした。

Geoff Ralston
シリコンバレーとか。

Paul Buchheit
シリコンバレーが一体どこにあるのかも確かめようとしていました。そしてIntelに職を得ました。どこにでもスタートアップはあるはずだ、何かをきっと見つけられるだろうと期待してね。

Geoff Ralston
そうですね。そうしてIntelで働くことにしたんですね?

Paul Buchheit
ええ、 Intelで働き始めて、 Intelは大企業で、最高でも、最低でもありませんでした。悪い仕事ではありませんでしたが、ただ、 しかし、年々続けるのが楽しみになる仕事ではなかったのです。

Geoff Ralston
ええ、かつて HPで働いていましたが、腐ってしまいました。

Paul Buchheit
ええ。

Geoff Ralston
快適ですが、精神的に腐りますね。

Paul Buchheit
ええ、 私が特に覚えているのが、Intelで一緒に働いていた2人の友人と出かけたときのことです。私は当時、21歳か22歳くらいでした。そして、彼らは、「Intelには本当にすばらしい退職金制度があるんだ。長年働けば、年齢プラス勤続年数の退職金がもらえるんだ。55歳かそこらで引退できるんだよ。」と話していました。

私は「ああ、そうか。それなら私は次の30年の人生を取って、そんなもの箱に入れて埋めてしまうよ。」と。

Geoff Ralston
ええ、その考えはひどいですね。22歳でそこに座り、30年間もそこに居てただ時間をつぶしている人がいるなんて。

Linux が縁でGoogleに

Paul Buchheit
ええ、私はそういうことには興味がありませんでした。しかし私はLinuxに夢中でした。Linuxに取りつかれていました。私がLinuxに興味を持ったのはかなり初期で、93年でした。当時Linuxは実はそれほど良い出来ではなかったんですが、わたしは初期のLinuxの狂信者でした。「おお、これはなんてすばらしいんだ。これは未来の姿だ。」とね。

そして、当時の企業にとっては、あまり…Linuxは、真剣なオペレーティングシステムではありませんでした。まるで、「いやいや、真剣な企業は、常にWindowsを使用するでしょう。エンタープライズオペレーティングシステムが必要なんです、趣味のがらくたじゃなくてね。」という具合でした。

だから私は、Linuxで働くための何かを探していました。Intelでの業務はすべてWindowsベースでしたから。だからそれがスタートアップを探していた時の基準でした。技術的にLinuxのものに興味がある企業が良かったんです。

繰り返しますが、当時スタートアップ企業の載った巨大なリストなんかはありませんでした。だから基本的にSlashdotで見つけた企業を探し回っていました。なぜなら私は、Slashdotをよく読んでいましたので。

そして面白そうで、Linuxで作業している6社のスタートアップのリストを見つけ、その企業すべてに履歴書をメールで送りました。 皮肉なことに、Googleからはメールサーバーの設定ミスで、すぐにエラーメールが返ってきてしまいました。そしてほとんどの企業からは返事がきませんでした。

私は返事があった1社の面接を受け、そして翌日にはもう一度Googleに履歴書を送りました。その時にはサーバーの設定が治っていたのでそれはきちんと送ることが出来ました。MXレコードが壊れていたか何かだと思います。

結果として私は、Googleと他のもう1社しか面接を受けていません。そしてそのもう1社には、私は興味を持てませんでした。おそらく向こうも私に興味が持てなかったのだと思います。だって両方が連絡をしませんでしたから。だからGoogleだけが私にオファーしてくれたんです。だから選ぶのは簡単でした。そして1999年にGoogleで働き始めました。

Google への入社と初期の Google

Geoff Ralston
Googleは当時、どのくらい従業員がいたんですか?

Paul Buchheit
その時点で私は23人目の従業員でした。当時Googleは、パロアルトの大学通りにある、確か本屋かカフェか何かの2階にオフィスがありました。

Geoff Ralston
そこに20人ほどの従業員がいたときは、Googleはどんな感じだったんですか?

Paul Buchheit
本当にクールでした。実は、面接を受けている時、彼らが本当にスマートな質問をするものだから、とても感激したんです。これが本当に良い兆候でした。

それが、私がもう1社のスタートアップにわくわくしなかった理由の一つなんです。私は面接で彼らのオフィスに入って、少しがっかりしたんです。そこの人々は、そこで働くことにワクワクしていなかったんです。そして彼らは私にバカみたいな質問を投げかけてきたので...。 とにかく、Googleと比べると良い兆候ではなかったんです。

Googleの人たちは自分たちがやっていることはなんでも、夢中でやっていました。そして実は、入社して、おそらく1週間くらいだと思いますが、私はこう言いました。「ねえ、もう少し株の持ち分が欲しいんですが。」 彼らは、「悪いけど、事前に交渉しなきゃいけないよ。」と。 そりゃそうですよね。

Geoff Ralston
それはあなたがした、最も賢い疑似投資の判断だったかもしれませんね。たとえうまくいかなかったとしても。最終的に上手くいったんでしょう?

Paul Buchheit
ええ、そうですね。全体的にはうまくいきました。でも、もっと手に入れていたら、と思います。 あなたの質問にあったGoogleのオフィス環境についてですが、そこは生産性に溢れていました。なぜなら、私たちは本当にわくわくすることをしていましたし、Googleは大きなシステム構築やすばらしいプロダクト作りなんかの全てに、心から夢中になれる人を雇っていましたから。だからわくわくする職場でしたよ、朝目を覚ますと、やりたいことがあるから仕事に行きたい、と熱望するような。

Geoff Ralston
それはわくわくすることに取り組んでいるからだけじゃなく、彼らがどこかに向かっていると信じていたからですか?

Paul Buchheit
そうですね、非合理的な思い込みがそこにはありました。客観的にみて、Googleはただの小さな小さな企業でした。しかし Larryは私たちが驚くような、すばらしいアイデアを何でも話していたものでした。

私がシステムを作っていた最初のころを覚えていますが、私が Larryに話しかけると、彼は「どうして君はそのディスクにさえ悩んでいるの? 全部メモリに保存するだけだよ。」と。 当時は不条理なことでした。すべてのデータを格納するための十分なRAMを持っていませんでしたから。

でも彼は常に何年も先のことを考えていました。少し非常識でしたが、そのことが、Googleをワクワクする職場にしていました。

Geoff Ralston
もしあなたが、本当に大きなビジネスを作る可能性があるのかどうかを考えるなら、根本的な何かが必要なようですね。もしあなた自身がビジョンや、未来のアイデアがなければ、そこにたどり着けると信じるのは難しいでしょう。

Paul Buchheit
そうですね、大きな絵をいくらか理解する必要があると思います。それは詳細な一歩一歩の計画に見えるわけではありません。時折私は、「これが僕たちが何者かになるための、5段階の計画です。」と言っているようなスタートアップに出会います。 で、第5段階目にたどり着くまで使いたいと思うようなプロダクトがないわけです。

今日、今の時点で良いプロダクトが必要です。そして明日、その先と、人々が本当に欲しいプロダクトを次々生み出さなければならないのです。

Geoff Ralston
そうですね。ビジョンの周りに、ある程度のあいまいさが必要ということですね。だってもし詳細すぎたら、それが正しくなかったときに時間の無駄だったことが証明されてしまいますから。Googleでどれくらいの時間を過ごしましたか?

Paul Buchheit
7年間、Googleにいました。

Geoff Ralston
ええと、それはちょうどあなたがYCに居る期間と同じくらいですね。

Paul Buchheit
YCには今で7年以上いますよ。

Geoff Ralston
ではGoogleでの7年の間に一体何が起こったのか?何が生まれたのか、ですね。

Paul Buchheit
いくつかのものが生まれました。

Geoff Ralston
あなたはいつ分かりましたか?つまり、Googleが、世界を席巻する絶対的な企業になると気づいたのはいつですか?

Paul Buchheit
今年初めです。確信したのはね。私は、多くの人のように、Googleの可能性をずっと過小評価していたと思います。しかし、非常に早い段階から、そこで働き始めて一週間後くらいに、「ああ、ここで魔法のような何かが起こっている」とは感じました。 それが今日これほど大きくなるものとは思わなかったけれど、我々はどうにかして未来を作っているんだ、と確かに感じました。そしてついにYahooに追いつき、とってかわり始めたとき…

Geoff Ralston
どういたしまして。

Paul Buchheit
そうですね。私たちは他のすべての検索エンジンを押しのけ、壊滅させ始めました。その時、これは必然なんだと感じました。我々が勝利することはかなり明確でした。だって他の誰も自分が何をしているのかさえ分からなかったんですから。競争相手はあまり良好ではありませんでした。

Gmail の開発

Geoff Ralston
Googleを去って、自分の企業を立ち上げる前に、たしかGmail立ち上げについて一言言って、そしてどうなりましたか?

Paul Buchheit
ええ。メールは私が実際に長い間に興味を持ってきたものでした。私は…

Geoff Ralston
履歴書がエラーで帰ってきて以来?

Paul Buchheit
そうですね。いや、実際はその前からです。大学のころ、実はメールについてよく考えていたんです。もう一度90年代に話は戻りますが、当時みんな、メールを自分のコンピュータにダウンロードし、Eudoraか何かで、POP3を使ってコンピュータに落とし込んでいました。そしてみんながよく、「メールをチェックするのに部屋へ行かないと。」と言っていたのを覚えています。

私は「馬鹿馬鹿しいことだ。全く意味がない。それは情報なんだ。箱の中に置いておかなければならないはずはない。」 と思っていたんです。そして、あらゆるものはオンラインに保管できるんじゃないかというアイデアをずっと考えていたんです。そうすれば、どこでも、いつでも、望むままにアクセスできるようになります。

だから実は1996年の夏、私は少し傲慢すぎたんだと思いますが、きっと私を雇いたがるだろうと思って、2つのサマージョブに応募しました。しかし彼らは雇ってはくれませんでした。だからその仕事なしでやることにしました。 そして、「大丈夫。自分の会社をやればいい。」とね。 だから、当時Webベースのメールサービスを始めようとしました。しかし、

Geoff Ralston
面白いですね。私たちもWebベースのメールサービスを作っていた頃ですね。

Paul Buchheit
ええ、私のやつの方が良かったでしょう。

Geoff Ralston
96年に作っていれば。Rocketmailは本当に良かったですよ。

Paul Buchheit
とにかく、私はメールサービスについて壮大なビジョンを持っていました。しかし開発へのアプローチは間違っていました。私は非常に壮大なビジョンがあり、その構成要素を少しずつ、実行し始めました。そして飽きてやめてしまったんです。

Geoff Ralston
そうですね。メールサービスを構築するのは、複数人の仕事ですね。たくさんの作業がありますから。でも…

Paul Buchheit
たいへんな数の作業です。しかし、私がやろうとした方法は間違っていました。なぜなら、私は実際にこの詳細設計や、非常に複雑なシステムやすべてのことをやって、そして少なくとも自分にとっては、それは機能しないという結論に達したのです。

これは私がスタートアップに説くことですが、「自分が今日何をローンチできるかを知れ。」ということです。 そしてGoogleをさらに前進させるために、2001年に、大きな改編が行われました。そこですべてのマネージャーを排除して、エンジニアに、より様々な種類の仕事をさせるようになり、私たちはプロジェクトを与えられました。

私はメールでなにかを作ってくれと言われました。彼らは私がメールに興味を持っていたことを知っていましたが、それはGoogleがメールで何かをしたい、というだけで、正確に、それがどうなるのかは分かっていませんでした。ただ作れと言われたんです。

以前の経験から学んで、あることを決めました。 自分が短いスパンしか集中できないと分かっていたので、Gmailの最初のバージョンはたった一日で書き上げました。それはあんまりよくなかったですが。

しかし、私はその前にGoogle Groupsにも携わっていたんですが、それは当時USENET検索みたいなもので、今は違うものになっているんですが、そこに居たときに私が取り組んでいたコードを引っ張ってきました。そして私のメールをすべて取り出して、データベースやインデックスエンジンの中にそのコードを埋め込みました。そうして私はメール検索エンジンを手に入れたんです。

Geoff Ralston
最初にやったのは、メールを検索する機能だったんですね。

Paul Buchheit
ええ、そしてそのあとエンジニアのチームに、「このメール検索エンジンを作ったんだけど、どう思うか聞かせて。」とメールを送ったんです。 そしてみんなは、「いいと思いますが、あなたのメールだけでなくわたしのメールにも使えればもっとよくなると思いますよ。」と返事があったんです。

そして私は、「分かった。機能リクエストを受け付けるよ。」と。 だから、私のメールを検索しただけのバージョンゼロのあと、私が作った次のバージョンが他のみんなのメールを検索したのです。

Geoff Ralston
ここに見事な教訓があると思います。それは誰のメールが検索されていたかはあまり問題ではなかったという点です。

ポイントは、メールを検索した、そのこと自体です。あなたたちはその時気づいたんですよね、あまり検索ができなかったことや、もしくはできるのは欲しかったメールを見つけて、それをクリックすることだけだったことに。だから検索機能が商品になったんです。

最初の幸福なユーザーを作ることにフォーカス

Paul Buchheit
ええ、たくさんのメールやコメントを見つけることができました。だから、ある程度は機能しましたよ。私たちはたくさんの同じメーリングリストに載っていましたので、みんながCC入りで。バージョン2はただのメールのインデックスでした。

そしてそれを送ったら、彼らはこう言いました。「オーケー。これはクールだよ。次は、このメールの一つに返信ができるようにしたいんだけど。」 わかりました。機能リクエストですね?だから作業全体はただの繰り返しで、少しずつ、人々を幸せにするものを作ろうと努力していただけでした。

そして私たちは、自分たちのなかで発表するための目標を設定していました。それはGoogle社内に100人のハッピーなユーザーを作るということでした。なぜならまだGmailを世界に向けて発表していませんでしたからね。そして実際、Gmailのインターフェースにこんなポップアップを埋め込んだんです。「あなたは満足していますか?イエスかノーか?」 そんな感じの1つの質問がでるようにね。

「あなたは、Gmailに満足していますか?」当時はCaribouという名前でしたが。「イエスかノーか?」そうやって、誰がイエスと答え、誰がノーと答えたのか、リストを手に入れてたんです。そしてそれを見て、ノーと答えた人たちのところへ行って、「どうすればあなたをハッピーなユーザーにできる?」 と聞いてまわったんです。そうして一つずつ答えを手に入れていったのです。そして中には「Gmailは基本的にOutlookのクローンであるべきだ」という人もいました。 その場合は、「ああ、あなたはGmailのハッピーなユーザーには決してならないでしょうね。」という感じでした。

Geoff Ralston
「もうあなたなんて知らない」て感じですね。

Paul Buchheit
ええ。でも最終的にそういう人たちもユーザーにしたんです。彼らを手に入れた方法ですが、Outlookは当時、メールファイルが2GBにぶつかると、データベースが壊れてしまい、使用者はすべてのメールを失ってしまっていたんです。 そして私はその時唯一彼らのメールのコピーを持っていました。だから彼らはGmailユーザーになったんです。常に幸せなユーザーではなかったけれど、ユーザーになりました。

しかし、いずれにせよ他の人たちは、機能を一つ加えたり、バグか何かを修正したり、そんな小さなことで、満足してくれました。 そうして一人ずつゆっくり進んでいき、100人のハッピーなユーザーにたどり着いたんです。

Geoff Ralston
それが、YCにおけるBuchheitルールの起源ですか?みんなにBuchheitルールが何なのか説明してくれませんか?

Paul Buchheit
どれのルールのことですか?

Geoff Ralston
10人いたほうがいいという…

既存のカテゴリで新しいものを作り始めるときのみに適用

Paul Buchheit
ああ。その考えの一つは、何か新しいものを作り始めるとき、特にもしメールのようなすでに確立されたカテゴリーの物を作ろうとする場合の考え方です。

私たちがGmailに取り組んでいた時、すでにメールが発明されて30年ほど経っていました。だから、その歴史も、メールとはどうあるべきかという意見もたくさんあります。そして人々は時々、返信ボタンが下じゃなくて上にあるから間違えてしまったじゃないか、なんて変なんだ、と怒って言ってきたりしました。

すべてに歴史があるのです。だからそんなところに割って入って、全員に魅力的なものを作るのはほどんど不可能です。 そしてもし全員に気に入られようとするなら、最終的にあなたが作るものは、本当に愛してくれる人が誰もいない平凡なプロダクトになります。

だから私の哲学であり、すべてのスタートアップに心掛けてほしいことは、本当に深い魅力を持つものを把握することです。たとえそれがほんの一部の人に対してでも、もしあなたがやっていることを執拗に愛してくれる人を少なくても作り出すことができれば、そういう人たちを増やすのは簡単です。だって、何か少しでも良いものを作ったら、プロダクトを愛してくれるようになる人々が常にいるのですから。

だから、狭いが深い魅力から始めるほうが簡単なのです。初めから広い範囲にアピールし、プロダクトを愛してもらうよう、多くの人々を変えようとしていくことから始めるよりも、時間をかけてどんどん広がっていきます。

Geoff Ralston
ええ、私は最近ずっとそのことについて考えています。まさにリテンションの観点ですね。決して離れることのない100人を手に入れれば、最終的に変わってしまう1000人がいるよりもスタートするのに絶好の場所になります。

Paul Buchheit
そうですね。

Geoff Ralston
では、そうしてGmailが生まれ、あなたはGoogleを去ったと。

Google からの退社と Y Combinator の出会い

Paul Buchheit
ええ、Gmailが生まれて、2年後Googleを退社しました。Googleは再び大きな企業になっていき、それは私が個人的に目指していた方向ではないと判断しました。ちょうど赤ちゃんが生まれたばかりで、その子は人生においてかなり劇的なスタートを切ったばかりでしたから、わたしも他のことに挑戦したくなったんです。

実はちょうど同じころ、Googleをやめる前でさえ、私はまたSlashdotを読んでいたんです。なぜならSlashdotは私の唯一の情報源でしたから。そして、Summer Founders Program の情報を見つけたんです。私はそれをとても格好いいと思いました。だってそれはまさに私が探していたものでした。まさに小説のようでした。

Geoff Ralston
知らない人もいると思いますが、そのSummer Founders ProgramこそがYCです。Caribouみたいなものです。

Paul Buchheit
そうですね。これはYCバッチ夏'05として、Redditを始めたくさんの企業が参加していて、 Samの企業や、JustinとEmmettの企業、 Kikoなんかも、みんなそのバッチにいました。私はそこで…

Geoff Ralston
Justin Kanは、Justin.tvとTwitchそしてAtriumの創業者です。

Paul Buchheit
そうです。何社かのね。

Geoff Ralston
何社か。

Paul Buchheit
そうですね。だから本当に興味深かったです。私はPaul Grahamのことも、他の誰のことも知らなかったんです。だからレーダーをオンにし続けていました。すばらしい人たちに会うのに、とても興奮していたんです。

私自身の経験ですが、オハイオに居たとき、スタートアップをしたい、と強く思っていましたが、どこから始めればいいかさえ分からなかったんです。なぜならもしあなたがスタンフォード大学に行けば、あなたのルームメイトはおそらくスタートアップか何かをやっていて、すぐそばで情報が得らえます。

しかし、他のどこか出身で、シリコンバレー出身ではなく、こんな環境の出自ではなければ、まるで締め出されているような感じです。世界中の誰にでもこれは開かれたものであるという考えが非常に気に入りました。誰も知らなくていいし、ただ願書を出すだけでいいんです。そうすれば彼らはあなたを連れて行ってくれます。だからその考えが好きなんです。

Geoff Ralston
今日のスタートアップスクール同じですね

Paul Buchheit
ええ、まさに。私は本当にこの考えに共鳴したんです。たとえそういう世界の内側に居なくても、みんなに開かれているという。だから一心に彼らを追いかけました。私はRedditの最も初期のユーザーの1人でした。たしか、発表の日です。

Geoff Ralston
デモデイに行きましたか?

Paul Buchheit
いいえ、初日には行けなかったんです。

Geoff Ralston
行けなかったのは、その日だけですか?

Paul Buchheit
その日だけです。初日を除いて、すべてのデモデイに行きました。

Geoff Ralston
Paulは実際ほかの誰よりも多くのデモデイに行っているという特徴があります。

Paul Buchheit
そうですね。

Geoff Ralston
P.GやJessicaを含めた、誰よりもね。

Paul Buchheit
それが良い特徴かどうかは分からないけど。

Geoff Ralston
一つの特徴ですよね。

Paul Buchheit
ええ、一つの特徴です。そうそう、そしてその年の秋に、P.Gが発表しました。「2度目のバッチを、マウンテンビューで行うことを、今ここで、発表します。」とね。 そして私は「おお、すばらしい。」

そこで彼らに連絡しました。私は彼らを知らなかったけど、コールドメールを送り、自己紹介をしました。「こんにちは、何か手伝えることがあったら知らせて。」とね。 そして彼は、「ええ、では来てみてよ。」と返信してきました。

そうして私はディナーに出席し始め、実際に2006年の冬に開かれた2回目のバッチで、一番最初のエンジェル投資を行ったんです。それがKevin HaleのWufooでした。彼は後にYCのパートナーとなりました。Wufooは、オンラインフォームのサービスを提供していて、IPOしている企業ではありませんが、実際それがとても良い投資となったんです。

Geoff Ralston
良い初勝利でしたね。

Paul Buchheit
ええ、そのマルチプルが何だったのかは忘れましたが、かなり高かったです。

Geoff Ralston
ええ、私の最初の投資は10倍くらいになって返ってきました。それは実は少し不幸だったんです。だってそれによって自分が実際より投資が上手いと勘違いしてしまったんですから。

Paul Buchheit
ええ、確か私は50倍ぐらいでした。

Geoff Ralston
そうですか。良いですね。

Paul Buchheit
そうやって中毒になってしまいました。そしてその時に、創業者とそれぞれのバッチを知り始めたんです。その時からあらゆるバッチで投資してきました。少なくとも2、3社へ。

Geoff Ralston
そんな間に、どうやってFriendFeedは生まれたんですか?

Paul Buchheit
そうですね。Googleをやめた後、私は引退したような状態で、当時落ち込んでいたんです、だって引退って…

Geoff Ralston
引退は楽しくないですからね。

FriendFeedの起業

Paul Buchheit
そうですよね。あともしかしたら、うつ病の問題を抱えているのかもしれません。分からないですけどね。

しかし、仕事をしていれば気がまぎれるので、辞めようか考えているGoogleからの友人何人かに声をかけて、新しい企業を始めることにしたんです。それがFriendFeedです。FriendFeedの実際のゴールは、ただ仕事をするのに最高の場所を作ることだけでした。私はただ、自分のために仕事を作ろうとしただけだったんです。

Geoff Ralston
初期の頃にGoogleに居たとき感じていたようなものを再現しようとしていたんですか?

Paul Buchheit
ええ、最高の部分をね。Googleに対して猛烈に苛立たしいものもたくさんあったので。だから、Googleのいいところを持ってきて、悪いところは置いていこうという考えがありました。それは少し単純でした、でもそれが私の望みで、そしてなんとか信じられないくらい強いチームを手に入れることができました。それは主に、Googleからのメンバーで構成されていましたが。

Geoff Ralston
あなたはどう考えているんですか?つまり、FriendFeedはうまくいきましたが、明らかに千億ドル企業のようにはなりませんでしたよね。FriendFeedの始まりから、具体的に一体何が欠けていて、現在の道へ続いてしまったと思いますか?壮大なビジョン、それが欠けていたんでしょうか?

Paul Buchheit
爆発的な成長というのがなかったと思います。ソーシャルネットワークが分からない人たちのために、私たちはいいねボタンを作りました。一番最初のいいねボタンはFriendFeedにあったんです。そして不思議なことに数か月Facebookにそれが現れたんです。彼らは…

Geoff Ralston
完全に偶然です。

Facebook の強さ

Paul Buchheit
ええ、分かっています。とにかく、ソーシャルネットワークは本当に難しいんです。私たちはYCを通じて多くのソーシャルネットワークを扱いますし、Googleもソーシャルネットワークに挑戦しましたが、とても難しいです。

こういったことをTwitterやFacebookは上手に捕まえるんです。そして遡って、その理由を解明する物語を作ることはできます。そしてそんな物語のうち、真実もあればそうでないものもありますが、そのうちの一つが、成功を設計するための、もっとも困難な製品カテゴリの一つだと思います。

しかし実際、このことにどうやって気づいたのかというあなたの質問に答えるなら、FriendFeedを成功させようというプロセスの中で、私たちはFacebookにぶつかり続けました。Facebookは自分たちがやっていることを理解していて、最終的になぜ私がFacebookには止められない力があると信じるようになったのか、そしてなぜFriendFeedも、Googleも、そしてTwitterもFacebookを倒すことはできないし、ソーシャルネットワークは確実の私の居場所ではないと信じるようになったのか。だれもFacebookを止められないのは、彼らと競っていると、やがて気づくんです。「あれ、彼らは本当にこれが得意なんだ。」 とね。だから私は、FriendFeedをFacebookに売却したんです。だって「すごい、これはもうひとつのGoogleレベルになるだろう。」と…

Geoff Ralston
Facebookはあなたがやっていたことを最高のレベルでやっていたからですね。

Paul Buchheit
ええ。

Geoff Ralston
Googleは、あなたが居たとき、彼らがやっている分野において世界最高でした。そしてFacebookも世界最高でした、でもFriendFeedは違ったんですね。

Paul Buchheit
そうですね。だから、そこに行くべきだ、と思いました。だって、まず第一に、FacebookはもうひとつのGoogle規模の企業の一つだと感じたので、上手くいけば、彼らがやっている方法を学ぶことができます。そしてそこにいて、そのやり方を吸収することで、気づきがあると思います。Googleは常に非常に製品指向の考え方を持っていました。私たちはユーザーが求めているプロダクトを作ろうとしてきました。だから…

Geoff Ralston
そしてあなたたちはユーザーでもありましたね。あなたが言ったように、もともとはGoogle社内の人のためにGmailを作ったんですもんね。

Paul Buchheit
その通りです。そしてそれはFriendFeedでも同じことでした。自分が何をしたいのかを考えていたんです。Facebookが持っていた最も強力な洞察の一つは、喜ばせなけければいけないのは、ほとんどエンドユーザーではない、ということでした。

なぜならソーシャルネットワークの最も大切な特徴は、そこに友人がいることだからです。だから時に個人のために良いこととネットワークのために良いことのせめぎあいがあります。そして彼らは常にネットワークのために良いことを優先していたんです。

Geoff Ralston
あなたはそれがネットワーク効果のビジネス、ソーシャルメディアにだけ特有のものだと思いますか?もしくはもっと一般的なものだと思いますか?エンタープライズ製品も、同じくエンドユーザーについては考える必要がないと…

Paul Buchheit
ええ、エンドユーザーではなく、バイヤーを満足させなければならないという点で、エンタープライズは似たところがあります。なぜ、エンタープライズ・ソフトウェアがは使われてるのにあまり愛されていないのか、何度も考えましたが、それは使用する人が購入を決める人ではないからです。

Geoff Ralston
だから両方のケースでは、メタレベルの思考が必要です。私たちは常に人々が求めるものを作るということについてを話していますが、人々というのを単にエンドユーザーというだけでなく、もっと広い意味で考えなければいけません。人々とはそのシステムに関わる全ての人を指すのです。

Paul Buchheit
そうですね。人々は、何度となくこの間違いを犯します。実際、お金を払っていないのなら、あなた自身がプロダクトだっていうミームがあるくらいです。

しかしそれは全く正しくありません。誰の満足が、あなたの成功につながるのかを、認識しなければなりません。だからGoogleにとっては、もしGoogle検索を利用している人が、Googleのスクリプトのある別の検索エンジンを使うようになったら終わりですよね?こういった人々を満足させ続けなければなりません。そしてエンタープライズの例のように、そのバイヤーが誰であれ、Facebookの巧みなところは、人々を満足させることは、巨大なネットワークを持つことだということです。

Geoff Ralston
そのほうが効率が良く、使いやすいからですね。

Paul Buchheit
そうですね。そして、そのネットワークは何を求めているのか、という観点で考えなければなりませんが、それは別の思考方法です。

Facebook に売却

Geoff Ralston
だから、FriendFeedはFacebookに買収されたということですね。そしてあなたは、Facebookへ入ったと。同じような感じでしたか?Facebookはあなたが買収されたときまでに少し大きくなっていたと思いますが、Googleが持っていたような感じはありましたか?

Paul Buchheit
Google出身のメンバーがたくさんいたので。そうですね、「やあ」みたいな感じで。 元同僚だったのでね。似ているところも、違うところもありました。

繰り返しますが、私がそこに行くのに興奮していた理由の1つは、Googleでの経験があったからです。それを過度に一般化するのはとても簡単です。「おお、私たちが成功した理由は、キラキラのカラーボールを持っていたからです。」 とかね。なにが成功に導いたのか、あらゆることを正当化することもできますが、今になって考えてみると、すべては違って見えます。

Geoff Ralston
真実は…

Paul Buchheit
あなたが思い付く理由の大半は、おそらく間違っていると思います。いくつかカギになる事があります。

オフィスへ入っていくと、「これはどこかへ繋がっていく場所だ」という雰囲気があるか。 とかね。それは本当に強い指標だと思います。そして同時にとらえがたく、きわめて抽象的です。誰もがオフィスに入ったときに、どう感じるかです。「エネルギーはどうだろう?エネルギーが感じられるか?自分のエネルギーレベルは上がっていっているか?ここは自分に「おお、すごい」と感じさせてくれるか、それとも自分を引きずり降ろすのか? 私は落ち込んでいるだろうか?」

そしてうまくいく理由は、従業員は実際何が起きているのか知っているからだと思います。だからもし、企業が倒産するのを待つ間、給料をかき集めるためにそこにいるなら、べつのエネルギーを感じるでしょう。

Geoff Ralston
ええ、それを感じるでしょう。

Paul Buchheit
対して、もしあなたが、「大変だ、これをローンチしないと。きっとすごく面白いことになる、世界を席巻するぞ」と思うなら、 そこには、こういったプロダクトに対する、とてもわくわくした感情があります。私たちがGmailやGoogle Mapsなんかを作っていた時、こんな感情がありました。こんな明白な感情です。「これを発表したら、みんなが衝撃を受けるぞ。」 そういうことには本当にわくわくします。

Geoff Ralston
だから、エネルギーの一部は、あなたが作っている素晴らしいプロダクトから来ていますが、その一部は創業者や、創業者の態度、創業者の信念からも来ているようです。それがZuckか、LarryかSergeyか...

Paul Buchheit
ええ、間違いないです。私は、創業者には信念がなければならないと思っていて、創業者は自分がやっていることを信じていなければなりません。ただ流行りを追いかけるのではなくね。例えば「TechCrunchの記事を読んで、新しい方向に行こうと思う。」なんてことはしないでください。

私は本当に、Zuckはおそらくこの最も顕著な例だと思います。世界中が彼が間違っていると言っても、彼は「そうでもないよ」と言っていました。 これは本当にFacebookの社内神話に反映されていると思います。本当に面白いです、私が入る前、Facebookがただの学内のソーシャルネットワークだったころ、彼らには1千万人ほどのユーザーがいたんです。それはソーシャルネットワークにしては大した数ではなく、Yahooが10億ドルでFacebookを買収しようとしたんです。みんなが「売るべきだ。10億ドルだ、大金だよ。」と言いました。

Geoff Ralston
彼は実際一度は合意しましたよ。そのあとで心変わりしましたが。

Paul Buchheit
ええそうですね。

Geoff Ralston
あとになって変わったんです。彼は売りたくなかったのに、売却するようプレッシャーがあったから。

Paul Buchheit
そうですね。彼の周りの人は契約をしろ、と彼に圧力をかけました。そして

Geoff Ralston
ところで、みなさんが10億ドルのオファーをもらったら、契約してください。

Paul Buchheit
そうですね。

Geoff Ralston
何の疑いも無ければね。

Paul Buchheit
そうですね。そして最終的には断りました。そのあと彼の経営陣は大きく取り替えられました。なぜなら、彼らはみんな「売るべきだ。売るべきだ。」と言っていたからです。 だから彼は、もう少し信じられる人を連れてきたのです。実は、私が言おうとしていたお話は、そんなことでさえありません。

Facebookが同じころNews Feedを発表したとき、人々が激怒したんです。先ほども言ったとおり、1千万人ものユーザーがいて、そのうち800万人もの人が、ニュースフィードに抗議するグループに参加したんです。たとえしてほしくても、その割合のユーザーに何かさせるなんて不可能です。突然ユーザーの大多数が反乱を起こしたようなものです。

だけど彼らはただ、「いや、みんなきっとこのニュースフィードを気に入るようになるよ。」と言っていました。 そして彼らは正しかったんです。明らかにそのニュースフィードはなくてはならないものでした。求められていたのは…

Geoff Ralston
ニュースフィードこそが多くの人にとってのFacebookになりましたよね。

Paul Buchheit
ええ、その通りです。

Geoff Ralston
代わりがきかないものです。

Paul Buchheit
しかし私が思うに、本質的にユーザー全員が怒っている時は、非常にハイレベルな説得力が求められているので、「いや、あなたは絶対に気に入るよ。」ということが必要です。

フォーカスの重要性

Geoff Ralston
なぜかわからないけど、このことでもう一つのPaul Buchheitの名言を思い出しました。それはSamが実際にこのコースのイントロで繰り返したもので、 企業が本当に必要とするものは、倹約、フォーカス 、執念、そして愛であると。そしてこれらを要約するなら、かなり初期のころでさえ、Zuckのようなリーダーについていけば、意味をなすのです。

Paul Buchheit
ええ、フォーカスは最も大切なことの一つだと思います。なぜならスタートアップとして、それはもっとも強力な武器だからです。大企業に対抗できるのは、それらが様々な数え切れないほどのものに取り組んでいるからです。

だから、スタートアップが勝つことができる唯一の方法は、持っているすべてを、1点に集中することです。なぜなら他の企業に比べて、あらゆる面で力不足だからです。そしてスタートアップが持っていて彼らが持っていない唯一の物は、自分がやっていることに完全に100%集中できるということです。Googleで、私たちが検索において勝利した理由の一つは、私たちが早い段階でそのことに集中したからです。

Geoff Ralston
そしてGoogleは検索で世界でナンバー1になりました。

Paul Buchheit
そうですね。対して他の人はみんな、「ああ、私たちはポータルになりたいんです。」 と。「他にもあれやこれが必要です」とね。 それがまさにカギなのです。倹約もまた、非常に重要なことだと思います。あなたがやっていることが正しいかどうかの最も良い指標の一つは、本質的にインプットとアウトプットの比率です。より少ないインプットでより多くのことをしたいでしょう。

残念ながら、ほとんどのスタートアップはインプットのわりに、アウトプットが少ないです。だから、お金を与えると彼らはすぐそれを使い切ってしましい、なんの結果も残りません。だから、最小限の時間とお金で、多くのアウトプットを作り出すことができると…

Geoff Ralston
増幅することができると。

Paul Buchheit
そうですね。

Geoff Ralston
そのお金を増やさなければなりません。

Paul Buchheit
そうですね。1ドルあげたら、それが10ドルになって帰ってくるような比率を得れば、それは良いビジネスと言えるでしょう。元手から拡大するのです。

Geoff Ralston
たとえそれが10ドルの価値の何かであっても、ということですよね。10ドルの価値のプロダクトや10ドルの価値の技術革新なんかでも。

最小限の方法で成し遂げる

Paul Buchheit
そうですね、そして常にどうすれば絶対的に最小限の方法で物事を行えるのかを理解することです。これがスタートアップのカギの一つなのです。

もしあなたが自分のプロダクトに対して恥ずかしく感じないのなら、それはローンチするまでに時間がかかりすぎていることを意味しており、これらのルーツには倹約があります。なぜなら、あなたはあまりに多くの時間やあまりに多くのお金を使いたくなく、可能な限り早く最小のコストでそれをローンチしたいからです。

Geoff Ralston
間違ったことにもまた、多くの時間を使いたくないですよね。十分に分からないものにもね。

Paul Buchheit
ええ、確かに。

Geoff Ralston
そんなことをすれば、メールを作り上げすぎてしまったかもしれないし、本当に作るべきものを学べなかったかもしれません。

顧客と話す

Paul Buchheit
そうですね。完全に脱線するのは簡単です。多くのスタートアップと働く中で私が学んだ最も驚くべきことの一つは、多くのお金があることが原因でこんなにも頻繁に企業が潰れていることです。もし彼らがそんなにも多くの資金を援助されていなければ、成功したであろう企業がたくさんあると思います。

成功したかもしれないからでなく、単に面白いから、私がからかうのが好きな企業が Juiceroです。700ドルのジュースバッグ絞り機のね。すさまじい大惨事が起きたのは、彼らがたった一人の顧客とも話をする前に、1億2千万ドルの融資を受けてしまったからです。

もしJuiceroがYCを通じて、1億2千万ドルを手に入れていたとしたら、顧客と話しに行かなければならなかったでしょう。「ねえ、私たちはあなたへ、この700ドルのジュースバッグ絞り機を販売したいのですが。」彼らはそんな風に話さなければならなかったでしょう。それこそが私たちがスタートアップにさせていることです。話に行かなければ…ちょうどマイクが切れたようです。

顧客に話をしに行かなければなりません。無関心になり、妄想の泡にこもるのは簡単です。完全に準備ができる前に多くの資金を得ることの問題点は、まさにそれが起こるからです。 そうなれば、この考えで売り込むことになるかもしれません。

「そうだ、その完ぺきなジュース絞り機が完成したらすぐ、世界を席巻するだろう。みんな700ドルを払って、さらに小さなジュースバッグが入った巨大な箱が送られてくるなんて、最高だ、みんながこれを欲しがるだろう。 と。彼らは出ていって顧客と話す必要がなかったので、何年もその妄想の中で生きることができました。

Geoff Ralston
そうですね。こんな風に絞ったらその機械が必要なかったんですよね。

Paul Buchheit
そうです。その理由は、バッグの一つを開けてみたんですが、 その理由は、私が思うに、絞り機をきちんと機能させるには、しっかり果物を浸して柔らかくしなければならなかったのです。だから私はそれをジュースバッグ絞り機と呼ぶんです。だって、それはすでにジュースになっていたからです。果肉がジュースから完全に分離していました。店に行ってジュースを買うことよりも良いことは何にもなかったです。それは欠陥に欠陥を重ねて築いたようなものでした。実際にはジュースを絞ってさえいないのです。それはすでに絞られているのですから。そのジュースを濾しているだけなのです。

Geoff Ralston
しかし、そこに深い教訓がありますね、それは、どれくらい資金を調達しようとも、もし5万ドルや5百万ドル調達しても、どれくらい増やさなければならないかを考えなければなりません。もし5百万ドル調達するなら、それは15万ドルの価値を作り出し、よろこんでいてはいけません。5000万ドルの価値を生み出さなければならないのです。

Paul Buchheit
ええ。繰り返しますが、「一度このジュース絞り機を世に出したらどうなるか」と物語を妄想するのは簡単です。だからこそ顧客に接し続け、売り続けなければいけないのです。さもなければ、思い込みが激しくなってしまいます。

だからスタートアップにとって、わたしは何度も何度も見ましたが、もし彼らがプロダクトマーケットフィット (PMF) に達する前に、巨大な資本のラウンドを手に入れたら、その企業は潰れるでしょう。なぜなら創業者にとってそれに抵抗することは難しすぎるからです。実際に出かけていき、プロダクトマーケットフィットに達していないという事実に対処するのは、本当につらいことだからです。

こうやって自分に言い聞かせるのは簡単です。「ああ、そうですね。我々はこんな風にやっています。人を雇っていて新しいチームを一つ雇ったばかりです。そして私たちは、このクールなオフィスを持ってます。ここにすべてがあります。」

Geoff Ralston
「クールな技術で働いています。」とかね。

Paul Buchheit
ええ、「私たちはこのすべての素晴らしいことに取り組んでいます。」と。

Geoff Ralston
「その技術は素晴らしいんです。」

Paul Buchheit
「報道にいつも取り上げられていて、会議に行き、ステージに上がっています。」のようにね。完全に現実から切り離されてしまうことは簡単です。だって物を売りに出かけて行ってはないし、人々が使いたいと思うものを作ってもいないんですから。

未来について考える

Geoff Ralston
以前話していたことですが、ここに興味深い並置があるように思います。もしあなたが本当に偉大な企業を作りたいなら、未来について考えなければなりません。

しかしあなたは同時に過去にも注意したほうがよいでしょう。なぜならスタートアップにおいて間違うことについて学ぶことはたくさんあるからです。うまくいくことより、間違うことのほうが多いですし。

Paul Buchheit
ええ、それはただの過去ですがしかし、現在にも当てはまります。「あの方向に行かなければ」というような、方向性を与える夢、または将来のビジョンを維持しなければなりません。 ルイス・クラーク探検隊は、どこに行くのにも「我々は西へ行くのだ。我々はあの方向に行くのだ。」と言っていました。

しかしあなたはすべての小川や河川、森や山を知っているわけではありません。そんな道も乗り越えていかなければならないのです。だから熊か何かに食べられないように、その瞬間にしっかり集中しなければならないのです。しかし同時に、あなたがどこに向かっているのかというビジョンも持っていなければなりません。だからこの両方が大切だと…

Geoff Ralston
将来へのビジョンですよね。

Paul Buchheit
ええ。

Geoff Ralston
現在の顧客へ途方もない注意を払うことと、

Paul Buchheit
そうですね。

Geoff Ralston
世界を席巻することのちょうど間くらいの。

Paul Buchheit
そうですね。そして、あまりにも多くのお金は、約束の地の夢を見ることにすべての時間を費やし、実際に目の前の問題に対処していない、という状況を引き起こすと思います。

急激な変化の頂点にいること

Geoff Ralston
質問を変えたいと思います。すでにこのことについてたくさん話してきましたので、もう十分でしょう。あなたは多くの時間をYCバッチ企業と過ごしてきて、1千億ドルのオフィスアワーと呼ばれていることをやっていますが、それは彼らに偉大な企業になるということの本当の意味を考える手助けをする方法なのだと、私は理解しています。

あなたがYCのオフィスアワーの中で教えていることで、まだ今日話せていないことが、2、3個あれば聞かせてください。これはグループオフィスアワーとか、私たちの全スタートアップスクール企業とともに行うオフィスアワーみたいなものだと思います。

Paul Buchheit
ええ、そうですね。GoogleやNetflix、Amazonなんかの、あらゆる巨大企業になるためには何が必要なのか、たくさん考えました。そこにたどりつかせてくれるものと、そうでないものは何なのかをね。

頭が良いことは助けにはなりますが、必ずしも賢い必要はないと思います。また一所懸命に働くことでもないです。どれだけ働くにも限度はありますから。

そのポイントに到達するのに必要だと思うものは、現実や世界の、大きく急激な変化のトップに座ることです。

だから、IntelとMicrosoftは初期の頃に、Appleも、このマイクロコンピューターの上昇の頂上に座っていました。そうですよね。Microsoftを大企業にしたものは、マイクロコンピューターに早く着手し、そしてそのスペースを我がものとしたことです。マイクロコンピューターのオペレーションシステムという地位を作り上げ、そこに君臨できたのです。もしマイクロコンピューターがなければ、そんなことできなかったでしょう。

そして同様に、Googleは明らかに、インターネットの成長の中でトップの座に君臨していました。その理由は、Googleは理にかなっていたのです。他の人が上手くいかなかった理由の一部は、彼らがオンラインの情報量が加速度的に増加してきたという事実について考えなかったからです。

だから私たちはもっと良いものを手に入れたり、整理しなければなりませんでした。初めからGoogleの使命は、世界中の情報を整理し、便利にすることです。人々はいつでもGoogleが積極的に情報収集をしていることに驚いています。 ミッションステートメントに含まれていますが。世界中の情報をね。

Geoff Ralston
衝撃的ですね。

10年前とは根本的に何が違うか?

Paul Buchheit
だから私は創業者に2つのパートの質問をするようにします。一つは、仮にタイムマシンで旅行に行ったとして、それはできるならデロリアンが良いですが、10年先の未来に行ったとします。外に出ると、そこは2028年で、周りを見回して、近くにいる人を捕まえて、その人に話しかけたりします。そこで質問します。「2028年の世界は根本的に2018年とどう違いますか?」と。「完全に異なることは一体何ですか?」 とね。

Geoff Ralston
Donald Trumpはもはや大統領ではないでしょう。

Paul Buchheit
私たちは未来が分かるわけではありません。あなたは完全にこの話を脱線させましたね。

Geoff Ralston
これが二つのうちの一つ目ですね。

Paul Buchheit
とにかく、私が彼らにしてもらいたいことは、その変化を見極めることなのです。そしてこれは彼らのスタートアップに関係のあるものとして受け止めるべきです。だって明らかにたくさんの変化が起こっているのです。

あなたのスタートアップに関係のあるものとして、あなたのスタートアップに紐づいたものとして。なぜならたとえFacebookが存在しなかったとしても、誰かが強大なソーシャルネットワークを作り出したはずです、私は保証します。Facebookはその急激な変化のトップに君臨していました、そして彼らは最もその地位を捕まえ、そこに居続けることができた企業でした。しかし、もしそれは彼らではなかったとしても、他の誰かがその生態系のその場所にいたでしょう。

Geoff Ralston
それは必然だったということですね。

その変化をどうやって捕まえるか?

Paul Buchheit
そうです必然です。こういった企業は何らかの形で存在したでしょう。おそらくもう少し早くそれを作っていたり、もう少し良いものを作っていたりして、その場所は存在したでしょう。次に質問の2番目の部分は単純で、どうやってそれを捕まえる人になりますか?です。

Geoff Ralston
すばらしい。

Q&A

Paul Buchheit
それでは質疑応答に移りましょう。質問のある方?

どうやって大きな変化を識別するか

スピーカー3
我々はコーヒーを変更する方法を発見しました。それは市場全体を変えてしまうものです。その市場に本当に近づき、市場を大きく転換していくのを知る転換点は一体どこなのかを、知りたいです。私たちにとっては顧客のインタビューで、80%の人々が私たちのプロダクトを使ってみたいと言ってくれてるんですが。私たちの1杯のコーヒーに40ドル払ってくれる人さえいます。私は自分のお金を…

Paul Buchheit
あなたの質問は何ですか?

スピーカー3
どのように転換点を識別していますか?そしてどうやって1000億に届く市場を手にする転換期を達成しますか?

Paul Buchheit
質問というのは、どうやって市場の転換点を識別するかどうかですね?

スピーカー3
そしてどう達成するかです、どうやって確実にするのか…

Paul Buchheit
考えすぎではないか、と思いますよ。もしあなたが1杯のコーヒーに40ドル払ってれる人を手に入れたら、私ならただ40ドルでコーヒーを売り始めるでしょう。とても良いビジネスのように聞こえます。転換点とは、需要に追いつけなくなった時ではないですか?考えすぎて見つけられていないんですよ。考えすぎると妄想で終わってしまいますよ。

市場に話をしに行き、あなたにお金を払わせることで見つかります。需要に追いつこうと這いまわっている時が、その時です。それこそが、超成長企業になるということです。Google内部の最も大きな問題の一つは、データセンターを十分な速さで作れなかったことです。物事がすごい速さで激増していくので、スケールアウトすることさえできません。それこそが、あなたが転換点に居ることのしるしです。

Geoff Ralston
頭を打つようなものですよね。すごい成長の中にいるときに指示なんていらないんですよ。だって自分がそこに居ることは分かりますから。では後ろの方。

エンタープライズとのやり取りへのアドバイス

スピーカー4
エンタープライズ企業とのやり取りにおける、アドバイスを頂けますか?【聞き取り不可】

Geoff Ralston
セキュリティ周りの要件や、様々なことがあるので、ひどすぎるプロダクトはローンチできないエンタープライズ企業のベストプラクティスについてですね。

Paul Buchheit
エンタープライズ的なことについてはいろいろと感じているんですが、緊急の問題をしっかり解決できなくて終わる危険があります。なぜなら、あなたが大企業の人と話すとき、彼らは「ああ、そうですね。この解決策はすばらしいでしょうね。」 とかなんとか、言うんです。そしてあなたは会社に戻って、それを作ります。もしかしたら何年もこのプロダクトに費やすかもしれない。

そして彼らのところへ行き、こう言うでしょう。「これです、ついにできました。」 すると彼らは、「我々は、この四半期本当に忙しいんです。あと、おそらくその予算は来年までありません。だから、9か月後にまた話しませんか?」 とね。

これはスタートアップにとっては致命的です。だから私の考える方法は、本当に緊急の問題を持つ人を見つけることです。

私がよく使うアナロジーなんですが、腕が石の下に挟まってしまったところを想像してみてください。そして二つの選択肢があります。一つは、自分の歯で腕をかみちぎること。もう一つは、この有望な若いスタートアップとのLOI結ぶこと。それこそがあなたが求める顧客で、つまりその人は死に物狂いなのです。彼らは必死だから、不愉快なプロダクトを我慢することも厭わないし、おそらく喜んであなたと一緒に、作業に多くの時間を費やすでしょう。もし創業者がその組織に入り、実際にそこで働ければ、それは本当にうまくいくことの一つです。

これは、非常に初期のStripeが行った方法です。 Patrick Collisonが現れ、あなたのコードに Stripeを統合したのです。彼はただ現れ、作業をしました。そしてそれは良いことで、もし彼らがあなたに来て、システムに統合をし、社内の人と話したりしてほしくないなら、その人はそんなに困っていないのでしょう。それなら、別のもっと困っている顧客を探しに行く必要があります。そしてそれが十分に大きな市場なら、死に物狂いな人はきっといるはずです。

Geoff Ralston
後ろの方。

スピーカー5
顧客を表現するため、ペルソナを使うことを信頼していますか?

Geoff Ralston
顧客を表現するため、ペルソナを使うことを信頼しているか?で合っていますか?

Paul Buchheit:あんまりですね。自分の顧客を表現するのに、人を使うというのを信じてはいません。

Geoff Ralston
そこの方。

優れた創業者の共通点

スピーカー6
明らかに、あなたは将来1千億ドル規模となる企業へ投資をするための、良い目をもっているとお見受けします。創業者やプロダクト、何かの点で、共通の性質はありますか?

Geoff Ralston
1千億ドル企業の創業者の共通の性質ですか?

Paul Buchheit
これはつまり、フォーカス、倹約、執念、そして愛がどこから来たのか、ということです。私はそれを、最小限の文字に要約しようとしました。 そして絵文字にも翻訳しようとしましたが、その部分で失敗しました。執念がどんな絵文字になるかわからなかったんです。愛はハートマーク良さそうですが。しかし、私は、この執拗なフォーカスについて、こういった創業者の中には、ほとんど不合理な人もいると思います。その最も非常識な例がおそらくElon Muskです。

彼はGoogleにやってきて、テックトークをしました。2003年くらいだったと思います。彼がSpaceXを始めた後で、最初のロケット発射を行う前にでした。誰かが「打ち上げの時にロケットが爆発したらどうするの?」と尋ねました。 彼は、「まあ3回は打ち上げられるくらいのお金はあるからそのうちの1回は成功してほしいな。」と。 彼は文字通り彼の全財産をつぎこんだんです。

Geoff Ralston
最初の3つというのは、大袈裟ですよ。

Paul Buchheit
ええ、最初の3つは大袈裟です。彼はなんとか4つ目のロケット分のお金もかき集めましたが。しかし、もし4つ目のロケットが打ちあがらなかったら、 SpaceXはなくなり、 Elonは破産してしまいます。それはばかげています。私なら自分のお金を突飛なロケット事業につぎこんだりはしないでしょう。そうですよね。それが不合理のレベルです。素晴らしいとも思いますが。そこの方。

Geoff Ralston
ええ、あなたです。

なぜGoogleはソーシャルで成功しないのか

スピーカー7
まず、本日の講演をありがとうございました。そしてGoogleは様々な分野で成功してきています。質問は、Googleはなぜソーシャルネットワークの分野で成功していないのかということです。

Geoff Ralston
質問とは、なぜGoogleが今までソーシャルネットワークの分野で成功していないのか、ということですかね?

Paul Buchheit
思うに、GoogleのDNAの中になかったんだと思います。実はFacebookが現れる前から、Orkutを持っていたんですよ。Orkutを覚えていますか?当時出来たのかもしれません…

Geoff Ralston
ブラジルで有名ですよね。

Paul Buchheit
ええ。そうですね、ブラジルで大きくなりました。しかし実を言うと、Orkutはもう終了しているんですが、なぜOrkutがソーシャルネットワークの王として君臨できなかったのか、いくらでも理由が挙げられるんですが、Orkutは広がっていき、非常に早く成長して、そのせいで反応しなくなりました。それが少なくとも米国ではダメだった理由で、ただとても重く、遅かったからです。

しかし、企業内にも原因がありました。それは、十分に人々と共鳴できなかったことです。 「大変だ、これを成功させなければ。」と、重大な局面にならなかったのです。 サイドプロジェクトのような扱いだったんです。そしてGoogleは本当に面白い大きなコンピュータサイエンスの問題なんかに特化していて、そこが人々をワクワクさせます。だからこれは寄り道のように見えました。

Twitterの創業者は、少なくとも3人の創業者のうちの2人はGoogleの従業員でした。彼らはGoogleではそのようなものを作ろうとしたことはありませんでした。なぜならもし作れば、「これは何ですか?Twitterについては技術的に興味深いことはなにもありません。」 となってしまいます。だから、ただGoogleのDNAになかったんだと思います。

Googleがそれに挑戦しようとした時、 その理由は、Larryはソーシャルネットワークに深い愛情を持っていたから、とかではないでしょう?彼らはFacebookの競合になりたかったのです。でもその時にはFacebookはずいぶん先に進んでいて。ソーシャルネットワークを進めていくにはどうすればいいのかについてより深い理解をしていました。だから、もしあなたが後続で、それ程よくないなら、きっと負けるでしょう。

Geoff Ralston
良い結果にはならないと。このあたりでお開きとしましょう。本日は本当にありがとうございました。Paul。

 

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
動画:  The Path to $100B by Paul Buchheit (2018)
トランスクリプト: The Path to $100B by Paul Buchheit

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