Paul Graham との対話 (Startup School 2018 #04, Paul Graham - Moderated by Geoff Ralston)

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Geoff Ralston
皆さん、今日はお越しいただきまして、ありがとうございます。今年の Startup School では少し違ったことをしようとしていて、週2回のレクチャーだけでなく、名の通ったゲストをお迎えしてお話を伺っていきます。そして今ここに最も著名な中の一人をお迎えできること、こんなに嬉しいことはありません。褒め言葉を言うと彼はいつも照れるので、褒めないようにしていこうと思います。Paul Graham、私の友人であり、2005年にY Combinatorを創業したその人でもあります。今から話を伺っていきますが、皆さんを飽きさせないものにはなると思います。では、Paul。

Paul Graham
はい、Geoff。

Viaweb の始まりと Yahoo! での出会い

Geoff Ralston
私たちが出会ったのは、奇遇にも、当時はスタートアップだったYahooで、ですね。90年代後半。

Paul Graham
98年ですね。

Geoff Ralston
そう。

Paul Graham
GeoffがYahoo Mailをコーディングしたって皆さん知ってます?

Geoff Ralston
一部は、そうですね。

Paul Graham
Y CombinatorにはYahoo Mailを作った人とGmailを作った人がいるんですよ。

Geoff Ralston
奇遇ですよね、これ。Paul Bucheitは、Gmailを作ったとはっきり言える資格があるのですが、私はPaulほどではありません。私はYahoo Mailの重要な部分のコードある程度書きましたが、PaulはGmailをほとんど一人で作ったようなものです。また、Yahoo Mailに関してはGmailより少し意図的に、Rocket Mailというものを作っていたチームを持っていました。でもどちらも、後になってYCに参加することになったというのは奇妙な巡り合わせです。
対してここにいるPaul GrahamはYahooだったのです。わたしもYahooにいました。Rocket Mailというものを作ったので。97年に買収をされました。Paulの会社は98年に買収されました。というわけで、90年代半ばに皆が欲しがるだろうと思うもののアイデアを持っていたわけですよね。SaaSの前のSaaSのようなものというか。Yahooが買収した、このViawebのアイデアをどうやって思いついたのですか?

Paul Graham
そうですね、私達が作ったものは、今ならWebアプリと呼ばれます。当時作っていたものが一番初期のものでした。Webを通じて動くサービスを作っていたので、会社がViawebという名前だったのです。とても鮮明に覚えています、当時は皆がウェブソフトを書くということは、クライアント上で動くソフトと同じものだと捉えていました。そして、90年代半ばを覚えている人もいるでしょう、クライアントといったらWindowsのことでしたよね?私達はUnixでソフトウェアを書くことは知っていました。Unixのことは気に入っていましたね。Windows用のソフトを書く方法は知りませんでしたが、やり方を学ぶ気はしない、という自分の気持ちは十分理解していました。だから、Windows用のソフトウェア開発を避けつつソフトウェアを作る方法を見つけるのに一生懸命になっていたのです。それで思ったのです、おそらく…つまり、作ろうとしていたのは、オンラインストア作成ツールだったんです。それで、eメールでアップデートを送れるようにしようと考えました。メールで送ったアップデートがウェブサイトを変更してくれるんです。

考えていたのは…SMTPを使えるのであれば、ウェブサイトの更新をHTTPですればいいんじゃないか、と思ったんです。サーバー上でソフトウェアが動くかも、それをブラウザのリンクをクリックすることでコントロールすることができるかもしれない。でも、本当にうまくいくだろうか、と。でも、覚えています、私はRobertの余っていた部屋のひとつの、床に敷いたマットレスで寝起きしていました。そのアイデアが浮かんだ時、私はそのベッドの上にいて、起き上がったのを覚えています。ちょうどLという文字のようにです。まさに映画の1シーンのようでした。「なんてことだ、Windows用のソフトを作る必要は全くないんだ」と思いました。当時はWebアプリの利点を全く考えていなかったのですが、それでよかったんです。Windows用にソフトを作らなくていいと判明したので。本当にWindowsの開発を避けられるという事ばかり考えていたんです。

Geoff Ralston
すべてはWindowsを避けるためだったと。ソフトを出荷することなしにデプロイすることができるなんてことは重要ではなかった。そういうことは何も思いつかなかったんですよね。

Paul Graham
いいえ全くです。

Geoff Ralston
Windowsを避けていただけです。

Paul Graham
このコードを書くことも実際はできたんですけどね。

Geoff Ralston
ありがとう、ビル・ゲイツ。

Paul Graham
それからというもの、Windowsを学習する必要は全くありませんでした。というのもNetscapeの人たちはすでに骨折ってNetscapeをWindowsでも動くようにしていたんです。それというのはWindows上の穴のようなものでした。それで皆はそのホールを通じ、またブラウザのリンクをクリックし、ソフトウェアをコントロールすることができるようになりました。とても奇妙なアイデアだったので上手くいくかすらわかりませんでしたが、私達はすぐに、不恰好で重いものだったものの、リンクをクリックして作動するウェブサイトビルダーの開発に取り掛かりました。ひどいものでしたけれども、でも実際に動いたんです。それを使ってウェブサイトを作ることができました。私達自身も、実際そのソフトが動いたことに驚いたほどでした。

アイデアの💡モチーフはダメ:アイデアはすぐには生まれない

Geoff Ralston
今の例のような革新的なアイデアが何もないところから出てくるというのは面白いですね。今では、もう当たり前にそのやり方でウェブサイトは動いているので革新的でもなんでもないですけど、最初のものは、ゼロからイチにする作業です。起こるべきして起こることなんですが。

Paul Graham
事業アイデアにとってはよくあることです。振り返ってみると、そこにいなかった歴史家たちが、開発段階の曲がりくねりを真っ直ぐにしてしまって、アイデアがただちに出てきて上手くいったように見えてしまうのです。この例もそうです。私は、スタートアップのアイデアを電球に例える人がいるのがいつも嫌なんです。考えられる限りで一番ありふれたメタファーであると同時に正しくないからです。ただアイデアを持っているとか、突然気づくわけじゃないですよね。そうでなくて、「今までに誰もやってないことができるかもしれないというわずかな自覚がある」といったほうが正しいです。よくないアイデアかもしれないけれど、Windowsを学習するのが億劫だったからWindowsを避ける方法を探したい、と思うわけです。Facebookを創業したZuchもそうです。彼は「どうなるか見てみよう」といって始めたんです。これがスタートアップになるなんて本当に信じがたいことです。

Geoff Ralston
それというのは皆さんには朗報ですね。皆さんの持っているアイデアのなかにも、成功が信じがたいものがあるでしょうから。

Paul Graham
良い意味で実現が考えられないアイデアが浮かぶというのはとても面白いと思っています。長年、つまりただのプログラム技術者だったころから、すでにこういうことには良い嗅覚を持っていましたが、スタートアップを扱うようになったここ最近でより研ぎ澄まされたと思います。昨日ビジネスについて喋っていた人たちがいるんですが、彼らは出来そうなことを2通り話していました。そのうち一つは、なんというか「わんぱく」に見えるものだったんです。誰かに向けてひどい扱いをするというものではなくて、あってはならない事柄を利用して稼ごうというようなものでした。例えばサーバーで動作するソフトウェア、コンピューター上で動いているようにみえるソフトウェアが、実はブラウザを通じてユーザーにサービスを提供しているだけ、というようなわんぱく具合いのものです。で、私はそっちを選ぶように言ったんです。突拍子もなくて、とても面白そうだったので。

Geoff Ralston
良いアイデアが何かといった時に、選ぶ方法があるように思えます。アイデアをマッチさせるとき、複雑な…例えば、わんぱくだろうか、だとか、十分直観的ではないだろうか、とか、アイデアがはっきりしていないだろうか、とか。また、これこそが可能性を秘めているアイデアだろうか、と特定のアイデアを取り上げるのはいつも難しいことです。

Paul Graham
はっきりは言えないですよね、実際。それはまた別の話になります。スタートアップの成果を予測するのは難しいからというだけではありません。ある程度までは、コントロールできないことだと思います。運に大きく左右されるのですよ。Y Combinatorがスタートアップの選択を得意としているといっても、実際一期につき150のスタートアップが参加していますが、そのうちビッグになるのは5社くらいです。

Geoff Ralston
5社あればいいほうですね。

Paul Graham
まあ、ビッグな会社をどう定義するかによりますが。さもすると、5期につき一つのスタートアップだけが大企業になるとも言えます。

Geoff Ralston
定義はなんでもいいですが、5社がビッグになるほうを選びましょう。その方が私達的にハッピーです。

Paul Graham
何を話していたんでしたっけ。

Geoff Ralston
事業アイデアの不確定要素についてです。

成功しないかもしれないものに賭けること

Paul Graham
スタートアップの選別が完璧に上手いとしても、1期につき5つのスタートアップにまでしぼるべきだというわけではありません。おそらく20くらい選んだ方がいいでしょう。もし選別が得意だったとしても。

Geoff Ralston
難しいですよね、とても困難な作業の混合です、よさそうな事業アイデアでも、成功するかははっきりしないのですから。

Paul Graham
創業者にとっても知るのは難しいですよ。

Geoff Ralston
そうですね

Paul Graham
皆さん、自分自身、知っているわけではないですから。私の言いたいのは、「みなさんが自分自身で成功するかを知らない」ということですよ、「自分自身のことを知らない」という意味ではない。まあそちらも真実ですが。成功が不確実なアイデアに取り組むのにプログラマーが向いている訳は、例えばもしビジネスマンなら、ここにビジネスチャンスがあるので取り組みます、となりますが、これがビジネスチャンスかどうかわからないとなったら、取り組まないでしょう。一方プログラマーなら、ただ面白いからやっているかもしれない。

Geoff Ralston
それか、Windowsが好きじゃないからかもしれない。

Paul Graham
そうそう、怠け心も。

Geoff Ralston
怠け心というのは、いくつかのケースではとても役に立つんですよ。

Paul Graham
ある種の怠け心、ね。

Geoff Ralston
そうですね、ある種の。

Paul Graham
この言い草が曲解されるとちょっと怖いですね。

Geoff Ralston
そうですね。

Paul Graham
考えてみてください

Geoff Ralston
それはそうで…

Paul Graham
怠け心というのはいいものだ、といった人がいたとして、それをソファの上から、ドーナツをお代わりしながら言っていたらどうですか。それだったら、怠け心は良くないものだと思っていたほうがマシです。そういうダラダラした人は、悪いことだと思っていてもやるのですから。

Geoff Ralston
そうですね、普通にいう怠け心というのを意味していないのはおわかりいただけていると思います。大企業を築き上げる怠け者の創業者なんてものは存在しないのです。要するに、なにかを何らかの理由で避けようとする心をここでは怠け心、と読んでいます。本当にダラダラ怠けるということではなく。

Paul Graham
無意味な苦痛を避けるということです。

Geoff Ralston
そうそう。

Paul Graham
自然と無意味な苦痛に嫌悪感を持っていれば、それがエレガントな解決策に結びつくんですよ。

共同創業者の選び方

Geoff Ralston
話は変わりますが、1995年ごろだったと思いますが、インターネットビジネスを始められそうなアイデアを片っ端から試していたんです。それは全部自分ひとりで行っていたのですが、一人で取り組むというのはひどいものでした。一緒にビジネスをやる人を見つける方法をしらなかったんです。それで、会社を一緒に始めるのに適しているか皆目つかないまま何人もの人に当たっていました。それでPaulの経験はどうだろうと考えていたんですが、Robertの家の床で寝起きしていたと言っていましたね。Viawebを始めたのはRobert Maxwell とTrevor Blackwellという二人の素晴らしい人たちと一緒でしたね。二人とは…

Paul Graham
Robert Morrisです。

Geoff Ralston
Robert Morris とTrevor Blackwellです。Robert Maxwellって…名前をごちゃ混ぜにしてしまいました。とにかく、どうやって共同創業者を選んだんですか?適した共同創業者だとどうやって判断したんでしょうか。

Paul Graham
彼らが良い共同創業者たちだったかって? そうですねえ。

Geoff Ralston
そうでしょう。

Paul Graham
はい、ものすごく…..

Geoff Ralston
うまくいったんでしょう?

Paul Graham
彼らはものすごく辛辣な共同創業者でしたよ、すごくプログラミングが上手い。でも、Robertはスタートアップということに完全にはのめり込んでいなかったことは覚えています。役員会議に参加するとき、たとえば買収のオファーがあったときいつでも、役員会議で協議しますよね。例えば、200万ドルみたいな安値で買い叩かれそうになったとき彼は…

Geoff Ralston
Robertはイエスと言ったんですか。

Paul Graham
いえいえ、Robert が言うとしたら、投票で決めよう、だとか「ほら、正直に言おう、少なくともこんなことに取り組むのはやめにできるんだよ。この取引を飲むね」だとかです。私はRobertと約束したんです。彼がViaweb以外のところで100万ドルを稼いだら、ピアスをあげる、と。言っておきますが、Robertはピアスを楽しむような人ではありません。この約束が取り付けられてすぐに、私とTrevorはRobertを引っぱってハーバードスクエアのピアスを開けてくれる場所にいきました。

Geoff Ralston
今まで聞いたことがありませんでした。

Paul Graham
それでピアスをおごったんですよ。インターネットには、ピアスをしたRobert Morris の写真がありますよ。

Geoff Ralston
Robertはそのピアスをすぐ外してしまったんでしょうね。

Paul Graham
長くはつけていなかったですね。期間を測っておけばよかったです。考えてもいませんでした。

Geoff Ralston
100万ドルを得るなんて思ってもいなかったのですか。

Paul Graham
いえ、思いましたよ。でももう少し長い間ピアスをしていてくれると思っていました。彼のフィアンセがピアスを見たとき、床に倒れこみましたよ。

Geoff Ralston
で、なぜ辛辣な共同創業者を選んだのです?

Paul Graham
そう、なぜRobertを選んだかですが、いつも一緒に悪巧みをしていたからです。私がいつもRobertを引き込んでいたわけでなくて、時には彼が謀ったことに私がのっかっていました。1988年のインターネット初のウイルスのように。

Geoff Ralston
Robert Morrisは彼自身かなり有名だって、みなさん知ってますか?

Paul Graham
バッファオーバーフローを発明したんですよ。それを聞いた時、「すごいよ、絶対やるべきだ」と言ったのを覚えています。

Geoff Ralston
彼は面倒なことに巻き込まれた最初の有名なプログラマーなんじゃないかと思います。

Paul Graham
そうだね

Geoff Ralston
本当に困ったことになった、ね。

Paul Graham
本当にそうです。彼は、1986年のコンピューター詐欺・乱用防止法で告訴された最初の人間ですから。

Geoff Ralston
もし共同創業者を探しているなら、告訴されたことのある人を探したらいいですよ、うまくいくので。

Paul Graham
有罪判決を受けた悪者ですからね実際。面白いのは…

Geoff Ralston
はい、もう一つここから外に出さない方がいいフレーズが出ました。共同創業者にすべきは有罪判決を受けた悪いやつである。

Paul Graham
コンピューター犯罪取締法でね。

Geoff Ralston
そうですね。

Paul Graham
面白かったのはですね、FBIなんかが法律執行するときには本を基準にして行うわけです。想像力と言うのは、シャーロックホームズの物語の中で大きなものでしょう、でも日々の法律の執行には当てはまりません。FBIのエージェントが私に言いました、彼らが探している動機はセックス、ドラッグ、お金、復讐などだと。Robertはコンピューター取締法に抵触することを好奇心からやりました。だからそれはFBIの動機のリストには載ってないんです。だからFBIの捜査官はいったい何が起こってるのか調べるのに骨を折りました。当時の政府の中の多くの人すら一体何が起こっているのか理解していなかったと思います。

Geoff Ralston
Robert と Trevorに戻りますが、その

Paul Graham
ああ、なぜRobert と Trevorを選んだかですね。

Geoff Ralston
はい。

Paul Graham
それは、Robertを選んだのはいつも何でも一緒にやってたからです。そういうことになってたんです。

Geoff Ralston
だから一緒にやれると確信してたんでしょうか。

Paul Graham
一緒に働いてうまくいくだろうことは理解していました。それに彼がとてもできる人だ、すばらしいプログラマーだって言うことも知っていました。タイピングと同じ速さでプログラムをかけるんですよ。もちろんくどい言語であるC言語の話ですが。とにかくタイピングの速さでプログラムをかけたんです。素晴らしかったですよ。もしオペレーティングシステムに気に入らないことがあったら、ソースを編集してリコンパイルして、自分の思うように動くようにしていました。

Geoff Ralston
辛辣な一方で、Robertは類まれな人材だったんですね。

Paul Graham
ハーバードに彼が入ってきたとき、学部生用はサイエンスセンターの中の学部生用コンピューターシステムにしかアカウントを持つことが許されていなくて、本物のコンピューターはアイケン研究室、コンピューターサイエンス学部にありました。学部生にはそのアカウントは与えられませんでした。だからマシンの所へ行ってスーパーユーザーとして切り替えて、アカウントを学部生である彼自身に与え、それでまた切り替え戻したんです。

Geoff Ralston
ただ好奇心があったんですね。

Paul Graham
そう、というか彼は適切なマシンのアカウントが欲しかったんです。追い出されましたけど…まあRobertはそういう人です。とても興味深い個性を持っています。これは言うべきではないかもしれませんが…

Geoff Ralston
私たちが話せるなかで一番面白い人かもしれませんね。

Paul Graham
彼は学部生時代ハーバードで退学されられたんですよ、ハーバード自体をインターネットに再接続したから。ハーバードは一番初期のインターネット・ノードの一つだったのに。

Geoff Ralston
学校をインターネットから切り離すことで困ったことになるというのはなんだかおかしいですね。

Paul Graham
ちがう、つなぐ方だよ。

Geoff Ralston
そう、インターネットにつなぐほうで

Paul Graham
大変なことになった…どこまで話してましたか?

Geoff Ralston
Robert とTrevorをいったいなぜ選んだかを探っているところです。

Paul Graham
どうやってインターネットに再接続したのか話したいのですが

Geoff Ralston
話してください。

Paul Graham
すぐに終わりますから。

Geoff Ralston
大丈夫、丸一日ありますから。

Paul Graham
そんな、そうなの?

Geoff Ralston
いえ、違いますよ。

Paul Graham
ああ、じゃあどれくらい時間あるの?

Geoff Ralston
十分には。

Paul Graham
同じ時計なんですよ。

Geoff Ralston
まあだいたいは。

Paul Graham
Robertの事でしたね。ハーバードは彼が入学した頃、1番初期のインターネット・ノードの1つだったのにビット崩壊現象のせいで接続が尽きてしまっていたんです。でも誰も気づきませんでした。当時どれだけインターネットが、 当時ARPANETと呼ばれていましたが、それが大事なものではなかったことがわかります。

Geoff Ralston
もうすでにインターネットとして形になっていたんですよね?

Paul Graham
で、RTMは1セメスターまるまる使ってハーバードをインターネットに接続する仕事に取り組んでいたんです。

Geoff Ralston
RTMというのは Robertの..

Paul Graham
そうそう、Robertのことです。授業のことは何もやらなかったので、ひどい成績をとって落第したんです。実はこれを人材採用のテクニックとしてのちに利用しました。他にも、なんらかのプロジェクトに時間を全部使って落第した人がいるかもしれなかったので。それでハーバードに行って「プロジェクトにかかりきりで落第した人いませんか?採用します」というポスターをばらまきました。それでとても優秀なプログラマーを獲得しましたからね。
その年に買収をされたので、その人はストックオプションで巨額のお金を稼ぎましたよ。大学の外での生活をめちゃくちゃ楽しんでいたので、25歳になるまで学校に戻らなかったと思いますね。それで次ですが、Trevorですね。

Geoff Ralston
Robertを選んだわけですが、Robertな何をやるにも一緒だったからというのと、彼が優秀だった、と。

Paul Graham
はいその後、、、

Geoff Ralston
ところでRobertを選んだときに、彼がいろんな意味で頭痛の種になる事は分かっていましたか。それとも予想してなかったのですか。

Paul Graham
頭痛の種なのは知っていました。ただ会社の経営があんなに大変で、どれだけ多くの頭痛の種をもたらすかはわかりませんでした。

Geoff Ralston
スタートアップがどれだけ大変か気づかなかったという訳ですか?

Paul Graham
続きを言わせてください、Trevorを獲得した方法が示唆に飛んでいるので。

Geoff Ralston
どうぞ

Paul Graham
1ヶ月に渡って会社の仕事をしてみたとき、Robertが反乱をおこしました。「1ヶ月まるまる会社をやってるのに、まだ終わらないじゃないか」と。何に取り組んでいると思っているんだ、と思いましたけど、まぁもっとプログラマーを雇うべきなんだろうなとも思いました。それで、「わかったRobert。知ってる限りで、大学院で一番賢いのは誰だ?」と聞くと、「Trevorだ」との返事でした。私は、「えぇ?Trevor?」といった感じでした。Trevorは見た目で判断するより実際ずっと賢い人だったんです。で、実際彼はめちゃくちゃ出来る人だったので、彼を雇うことにしました。私たちの申し出に、彼は「あぁ、わかった」と快諾しました。今のはTrevorの真似としてすごくよくできていますよ。

Geoff Ralston
ほとんどカナダ人の発音みたいに聞こえますね。

Paul Graham
Trevorには2種類のモードがあって、「あぁ、わかった」と「あぁ、ごめん」なんです。すべてをめちゃくちゃにするようなことをした時だけのモードですが。よくあることだったんですよ。そんなわけで、Trevorを雇いました。会社の事業のために雇ったんですが、覚えている限りでいうと、彼は2週間は何もしませんでした 。ただ姿をくらませていたんです。2週間後に、「オフィスに来てくれ」と言うから見てみれば、ちょっと話しただけの私たちのしょうもないソフトウェアを全部書き直していたんです。普通だと思います?

Geoff Ralston
そうだねぇ。

Paul Graham
だから言ったんです「わかったTrevor、これは使わない。でも、こっちをやってくれ」って。Trevorはとても仕事が早いプログラミングのモンスターみたいな人でした。

Geoff Ralston
それをあらかじめ知らなかったわけですよね。ただRobertがTrevorが一番賢いと言った時に信頼したと。

Paul Graham
そう、もしRobertがこいつが1番賢いって言ったら、絶対その通りなのです。

Geoff Ralston
これはとても深いヒントになりますね、会社を一緒にやる人を、それが社員であれ共同創業者であれ、選ぶときに。誰か一人信頼できる人を見つけたら、その一人が信頼している他の人を探すということ。

Paul Graham
そうですね。でも面白いのはこの点です。そのやり方は一定の資質にはうまくいきます。頭がいい人が他の人の頭がいいかを判断することができます。でも 信頼できる人というのは他の人が信頼できるかどうかを判断することはできません。むしろ信頼の置けるようあん人達は、他の信用ならない人に騙されたりします。例えば私たちの建築家Kateはとても信頼できる人ですが、いつも彼女を利用しようとするずるい奴らに騙されてばかりいます。

Geoff Ralston
ここで言いたいのは周りからの推薦は聞いておくけども、でもあなた自身の...

Paul Graham
いえいえ完全に推薦を信頼することもできますよ。もしRobertが誰かのことを賢いと言って私はどうしなかったら、自分が間違ってるかもしれないと思うでしょう。

Geoff Ralston
でも必要なのは..

Paul Graham
とある資質を見分けるのによりよく働くというだけです、この周りからの推薦というものは…

Geoff Ralston
でも誰かが共同創業者として参加する場合、信頼できる人を雇いたいわけで、その判断をトップの..

Paul Graham
人の信頼性についてはそうですね。人のつながりだけではうまくいきません。相手が信頼できる人かを見極める人材が必要です。私はあまり上手くないんですが。私は得意ではないです。 Y Combinatorでは社会性に優れているJessicaがその人になります。すべてのものの背後には彼女の力があります。

Geoff Ralston
まあそれでViawebに人を雇ったんですね。

Paul Graham
そう。

スタートアップは反直観的:スケールしないことをする

Geoff Ralston
一番初めのスタートアップで人を雇う時に学んだことは何ですか。プロジェクトに取り組んでいたことによって学校の成績が悪かった場合それは雇う時にはいい要素になる、ということを学んだんですよね。それって何て言うか反直観的ですよね。いろいろYCでやることは結果的に反直観的ですよね。

Paul Graham
スタートアップというのは一般的にとても反直観的なものです。だから YC が存在するんです。スタートアップを始める時にすることが明らかなら、 YCで、創業者にスタートアップの創業に関して教えることはあまりないでしょう。よく言うのですが、オフィスアワー を持つ時いつも思い出すんです。YCがすべきことは創業者に何を無視したらいいか教えることだと。ですので、あんまり急に人を雇わないようにいいます。それで急いで人を雇ったスタートアップは、後で帰ってきて言うんです、「言うことを聞いておけばよかったです」と。とにかく私たちが教えることは反直観的なことです、明確に見えていることではなく。 反直観的という言葉の意味するところは、間違っているように聞こえる、ということです。 虫の知らせのまま進んだら逆に間違ったことをするでしょう。間に合ううちに間違いを正すことができればいいんですけど。

Geoff Ralston
スタートアップが反直観的なのは何故なんでしょうか。

Paul Graham
それって一本小論文を書くのに値する内容ですね。なぜスタートアップは反直観的か。分かりません、わかりません。ある程度の理論は思いつくんですけども、でも答えは、もっと複雑な気がしていて、思いつかないのは...

Geoff Ralston
つまりですね、あなたがエッセイを書いた事柄の中でいくらか反直観的なものについて、ちょっと前に話していたんです。スタートアップを始める時に、これから会社を大きくするぞ、となりますけども、でもあなたがたくさん書いている中で、会社を成長させるソフトウェアについて書いてもいるんですが、でも会社を成長させてはいけないというトピックで小論文をまるまる一本書いています。会社をスケールさせないことをしろと。

Paul Graham
はじめはそうですね。会社がスケールしないようなことをする。成長というのは...

Geoff Ralston
おそらく会社をスケールさせないようなことをする、というのがどういう意味なのか、から説明した方がいいと思います。皆さんがこのエッセイを読んだかどうかわからないんですけども。

Paul Graham
え、みなさん読んでないんですか?

Geoff Ralston
皆さんPaulのエッセイは読んでると思いますけども、でもこれは本当に大切なことなんです。皆さんのほとんどは初期のスタートアップを持っていると思います。初期のスタートアップをやっている場合というのは、YC のマントラで、何度も何度も見てきました、はじめにあまりにもたくさんのことをやりすぎてはいけません。スケールしないようなことをするべきです。

Paul Graham
スケールしないようなことをするというのは特に、骨が折れる手作業をするということです。 永遠にそのやり方でできればいいんですけど、でも心の奥ではそうだことをやって巨大企業になれるわけがないと自分自身で思ってしまいます。またスケールしないことをするというのは、めんどくさい手作業を初期に行ってしまうということです。もしこういうことをしなければ、全くビックにならないから、失うものもないですが。それから学ぶことが多いです、本当に。

私自身Y Combinatorで教えているスタートアップに関することをこの段階でたくさん学びました。まあ今はGeoffたちが教えているんですが。ちなみに皆さん知ってるかわかりませんが、私は引退したので。何にせよ YC で教えているスタートアップに関することの多くは私は自分自身で失敗して当時はこれがスタートアップによくある教訓だということに気づかなかったことなのです。ちなみに、そのうち一つは初期の顧客に対して、なるべく手作業で物を行うようにということです。初期の顧客に対して手作業で膨大なことをする必要がありますが、それはそれでいいんです。そこから学べるものが多いですから。

Geoff Ralston
手作業でいろんなことをしたんですか。

Paul Graham
たくさんやりましたよ。間違ってことをしているな、不恰好だなと思ったんですけれども、でも実はそれはまさに正しいことだったんです。私たちはインターネットでストアを作って物を売るための、オンラインストア・ビルダー を作っていました。顧客に向かって「当社の製品の、簡単な作業をするだけのオンラインストア・ビルダーを使いたいですか」と聞いたら、「いいえ、結構です」という答えでした。さらに「でもオンラインストア、欲しいですよね」と聞いたら、答えは YES でした。「もし使ったら、どんな感じになるのか」と聞くので、「私たちソフトウェアを使ってみなさんのオンラインストアを作ってもいいですか、みなさんがはオンラインストアを持つことができます。これって良くないですか」というと、納得してもらえました。それで思いました、ソフトウェアを使ってくれるような誰かを見つけることは難しいが、少なくとも私たちがソフトウェアを使うことを許可してくれる人はいるのか、と。それというのは、とても不格好に見えました。 ダイレクトマーケティングのダメなところをたくさん学びましたよ。私たちは DMA、ダイレクトマーケティング協会のメンバーだったんです。 いずれのビジネスにも..

Geoff Ralston
カードを持ってるだけの DMA メンバーですね。

Paul Graham
そうそう。どんなビジネス業界にも外で呼ばれるのとは違う名前があります。ファストフード業界は自分自身をそうは呼びません、業界内ではファストカジュアルと呼びます。同じようにカタログビジネスの内部では自分たちをダイレクトマーケティング協会と呼んでいたんです。だから当時 DMA と言うと、カタログビジネスのことだったのです。 カタログに片っ端から契約しました。郵送で送られてくるカタログを知っていますか? 要望にもっと詳しく書くべきですね。会社には今までにないくらいカタログがぎっしり詰め込まれた本棚がありました。

Geoff Ralston
ほとんど新しい検索エンジンを自分で作っていたみたいなものですね。検索ボックスを取り出して手作業で答えを検索して出てきた結果を投入して様子を見る。今、郵送で何をしていたか考えているのですが、私達の方では手作業で広告サーバーをやっていたようなものです。広告を提供するテクノロジーはなかったので、ただ単に広告を郵送していました。自分で広告を書いていたのであまり良くなかったですが、とにかく広告をばらまいていたんです。他の人にとっては、ここにとても深い教訓がありますね。解決策がわかっていると思ってそれに向かってたくさんのものを作ってみたら、失敗するに違いありません。だってわかってないんですから。

Paul Graham
ソフトウェアを自分で使うっていうのは、よっぽどいいことです。誰かの Webサイトを作るために自分のソフトウェアを使うだけですから。 私はウェブサイトビルダーもコーディングしたんです。自分自身で使ってみて、あー使いにくいなと思いました 。で、人のウェブサイトを作ってる最中にソフトウェア書き換えて出荷(シップ)していました。シップするというのは、UNIX の MVコマンドのことです。そういうことができるのがサーバーベースのソフトウェアの良いところです。いや違うな、CP です。ソースのコピーはキープしておきたいですもんね。

Geoff Ralston
コードソースをコピーして..

Paul Graham
... ...編集し続けられますからね。 とにかくソフトウェアを使ってる最中に変更して、Web サイトの制作に戻りました。そういうことをやって以前よりもずっと使いやすいソフトウェアになりました。

ソロ創業者の大変さ

Geoff Ralston
なるほど。それで共同創業者を選ぶことなんですが、信頼できる人の中で一番優秀な人達を選ぶということだと思います。これは多くの人の役に立つことだと思います。このクラスを取っている人っていうのはだいたい今一人きりで事業をやっている創業者なので。

Paul Graham
そうですね。

Geoff Ralston
一人で創業する、個人の創業者である事はどうして難しいんでしょうか?

Paul Graham
理由はたくさんありますよ。大変なのは道徳的なところです。もし複数人いれば何かが間違った方向に行けば誰かが止めてくれますが、誰もいなければ励ましてもくれません。

Geoff Ralston
それは私がつらかったところです。覚えています、95年にインターネットが本格化してきましたが、しかし、ひどいものだったってことを。

Paul Graham
個人で創業したんですか?

Geoff Ralston
そうなんです。

Paul Graham
だから苦労が多くて、Geoff の髪の毛の方が私の髪の毛よりも白いんですね。

Geoff Ralston
一人きりで創業するって大変なことです。 やってることがうまくいかない理由は大量にありますが、そのほとんどは自分の思ってることが当たっているんです。自分を納得させるのは簡単なことです。Paulはかつてよく言っていました。よく覚えています。創業者として二つしか選択肢があります、と。Paul、この後何が続くか覚えていますか。

Paul Graham
いくつも違うバージョンがあるからね。

Geoff Ralston
このバージョンですよ、やめるか金持ちになるかのどちらかです。

Paul Graham
金持ちになるか、さもなくば死か。

Geoff Ralston
その会社の...

Paul Graham
スタートアップでよくあることなんですよ。会社が死に絶えるか、成功して金持ちになるか。

Geoff Ralston
それから金持ちになるということは、うまくいっている小さなビジネスがあって、そこのボスとして20人から50人の雇用者を抱えている。もしくはAirbnbのように巨大企業になる。どちらも結果として成功でしょう。投資家にとっては良くないかもしれませんが創業者自身にとってはとても良い。そしてスケールをしないことをするということですが、それが本当に何を意味するかをしっかり身に染み込ませることです。考えていたのは.. YC でいつも私たちが話すスケールをしないことというのがあります。成功のためにはユーザーと話し、そしてコードを書きなさい、ということをいつも言っています。考えてみてください、ユーザーと話をする、特に創業者が自ら会って話をする、というのは大きな規模でできるものではありません。でもそれはスケールできなくても、どうしてもしなければならないことです。自分自身に強制的に学習させるために。

Paul Graham
そうですね、最初はたった10人しか顧客がいません。20%の成長を遂げたい、いえ、来週10%成長したい場合を考えます。週当たり10%の成長は野心的な目標です。でも次の週あと一人顧客を獲得すればいいだけですから。地道に手作業でできることでしょう?次の週には11人の顧客がいるわけですから、1.1倍の顧客を得たいのです。要するに一人です。外に出て行って手作業で顧客の獲得をします。成長率が良好である限りその顧客の獲得数がどれだけ少なからろうが関係ありません着実な成長というのは、指数的な成長を意味しますから、ベースとなる顧客の数はすぐにそれ自体をもとにして増えていきます。

良い会社と悪い会社の違い

Geoff Ralston
いい会社の要素と、そして会社が失敗する原因を考えているんですが。また、どうやってここでやって行けばいいかについてどうにか話せないかと思っています。スタートアップスクール出身の数千もの会社がありますが、次に何をすべきか、正しいことをしているだろうか、または失敗するだろうか、もしくは正しい道を進んでいるだろうか、ということを見極めようと頑張っています。

Paul Graham
会社が失敗するほとんどの場合は、創業者の会社の操縦が下手だった時です。よく競合の心配をしているスタートアップと話をするんですが 、YCの大きな利点は 多数の会社にこれまで投資をしてきているので、とても大きなデータセットを持っているということです。どれだけの会社が競合のせいで潰されたと思いますか?ひとつ?ひとつ以上でしょうか。1900社のうちそのくらいです。スタートアップには言うこととして、競合からは守られているということがあります。小さな飛行機は他の雲の中を飛んでいる時に他の小さな飛行機にはぶつかったりはしません。競合から守ってくれるものって何かわかりますか?スペースがひろいことです。小さなセスナ機はレーダーを持っていません。雲の中は見えないんです。

Geoff Ralston
これまた反直観的なアドバイスですね。いつも皆が私に会いに来て言うんです、「なんてことだ、新しい会社が現れた、ここは自分のビジネスの場なのに。どうすべきなんだろうか。」

Paul Graham
Right. そうですね。100m 走を走っているようなものですよ。突然別のレーンに他のランナーが入ってくる、どうするべきでしょうか。自分の出来る限り早く走ることです、それまでにやってきたように。もし彼らがあなた達よりも良くできるのであれば、彼らが勝つでしょう。そうでなければ、あなたが勝つでしょう。

Geoff Ralston
皆さん携帯電話をオフにしてもらってもいいですか、もししていなければ。えっと後何かありましたっけ。 YC がたくさんしなければならないことの一つとして事業を判断するということがあります。 そして誰が成功するか見分けることを。 皆さん同じようなことをしているのです。自分自身成功者として選ぼうとしている以外は。それで、どういうことがスタートアップを成功に導くんでしょうか?

Paul Graham
うまくいく創業チームをもって事業をスタートしなければいけませんね、理想では。一人でやるのではなく。

Geoff Ralston
私が疑問に思っていることです。

Paul Graham
あなたはひとりでできたみたいですけどね。

Geoff Ralston
できませんでした、できなかったんです。結局他の人たちに参加することにしたんです。 多くの人というのは...

Paul Graham
あーひとりでやったのはRocket Mailで、じゃなかったんですね。

Geoff Ralston
違います、私がやっていたのは他のもので...しかしひとりでやるというのは論外でした。できませんでしたね。私という人間はそのようにできてないのです、他のたくさんの人もそうでしょう。だからどうやってRobert とTrevorを選んだのかが疑問だったんです。だって、とっても難しいことですよ。

Paul Graham
もし創業者が私ひとりだけならスタートアップを始めようとは思わないでしょう。ひとりでできる気がしません。

Geoff Ralston
何にせよ、一人は寂しすぎます。

Paul Graham
あなたはひとりでできると思ったかもしれませんけど、私は思いませんでした。というわけで、一緒に働ける確固とした優秀な創業者チームが必要です。

Geoff Ralston
ちょっと待ってください。お互いを知るということがどうしてそんなに大事なんでしょうか。

Paul Graham
会社の中で起こることが、あなたの人間関係を振り回すからですよ、もし亀裂や不確実なこと、不誠実な行いなど長引きそうなことが内部にあったなら、スタートアップのストレス下で人間関係への影響は起こります。

Geoff Ralston
ただ単に大変な結婚のようなものですね。より長い時間をすごすと..

Paul Graham
他の違いもありますよ。

Geoff Ralston
可能性はありますね。もしいい創業者チームがあれば、その皆と一緒にストレスに耐えられます。

賢さよりも覚悟を取れ

Paul Graham
ここでは、2通りの答えがあります。どうやってスタートアップを選ぶかに関して投資家に向かって言う答えと、創業者に対して役に立つ答えです。投資家に向かっては、賢い人を選ぶべきだと言いますね。でも創業者たちは最大限に賢くであろうとしているのです。これ以上賢くなれと言えるでしょうか。実際には頭がいいかどうかはあまり大事じゃないということが後に判明します。賢いかどうかより覚悟ができているかどうかの方がずっと大事です。賢さで100点満点かつ100点満点の覚悟ができている人を思い浮かべてください。 そしてそこから覚悟を取り除いていってください。無駄に賢いだけの人が出来上がるまでに長くはかかりません。一方でめちゃくちゃ覚悟が固い人から、賢さを少しずつ取り除いてみてください。つまり私が言いたいのは、結果としてタクシー営業免許章をたくさん持っている人が出来上がりますが、しかしそれでも金持ちには変わりません。もしくは廃棄物処理業者なのかもしれませんが、とにかく頭の良さは取り除いても大丈夫なんです。

Geoff Ralston
そう、賢さを取り除いて、さらに倫理的感覚も取り除いてもまだ、同じ人が出来上がりますよね。

Paul Graham
大統領にもなれてしまう。

Geoff Ralston
考えていたんですが...

Paul Graham
トランプ大統領が大事な教訓を教えてくれるなんて誰が思えたでしょうか。

Geoff Ralston
スタートアップにとっての教訓をね

Paul Graham
全ては覚悟なんです。

Geoff Ralston
縦軸、横軸があると思うんです。頭脳の良さの軸と覚悟の軸。とても優秀で覚悟も決まっていたら、それは一番素晴らしいですね。

Paul Graham
あぁところで、覚悟ができている人間はひとりでいいんですよ。

Geoff Ralston
そうですね。

Paul Graham
一人の創業者がどうしても会社を始めたくて、もう一人は...

Geoff Ralston
あなたとRobertみたいに。

Paul Graham
まさにその通りです。1ヶ月後になってまだこれやってんのか、って言う人。

Geoff Ralston
それはもう一人の人を引きずっていっても大丈夫な固い絆があるかどうかですよ。普通なら会社を去ってしまいますよ。でも考えていたんですが、 もう一本軸がありますよね、 チームのどこかに予測をする能力を持つという。時間が経つうちにアイデアがどんどんダメになってしまう。その時にチームの方向性を操縦する能力が必要になります。 正しい選択へと導いてくれるいくらかの創造性も必要です。

Paul Graham
そうじゃなくて、創造性は必要じゃないですよ。ただユーザーのことを気にしてさえいれば、ユーザーを幸せにする方法に従うことができるはずです。 科学者が真実を追い求めるように。 自分自身で考えることなく。ただ成長の必要性がプロダクトのアイデアを与えてくれます。プロジェクト自身が事業の進展の結果なんです

Steve Jobs 的な創業者

Geoff Ralston
ということはおそらくSteve Jobsのように顧客が何を求めているかを直観的に理解するか、顧客と実際に話して、時にははっきりしていない彼らの言い分を理解する能力が必要になってきますね。

Paul Graham
Steve Jobsのトリックは、ユーザーを満足させることでした。で、彼自身もユーザーだったわけですが。それは例えば、「僕はイヤホンジャックはいらないと思う。だから誰に対してもフォンジャックはなしにしよう」というようなことです。

Geoff Ralston
もしくはただ運良く、彼の欲求は他の人にも役に立つ普遍的なものだったのかもしれません。

Paul Graham
そうだね、彼は未来に生きていましたからね。

Geoff Ralston
New York Timesを読む以外にインターネットのことはあまり好きじゃなかったことを除いてはね。 だからインターネットに関してはあまり的を得ていなかったのです。

Paul Graham
面白いですね。一時期買収された後にAppleで働いていましたよね。

Geoff Ralston
そうですね、6ヶ月ですが。

Paul Graham
どんな感じでしたか。Steveはどんな人でしたか。 Apple にいた時の立場から Steve がどんな人だったか教えてくれませんか。

Geoff Ralston
はい、何度か彼と話しましたよ。彼は、他の人とは違っていましたね。

Paul Graham
どう違っていたかみんなに話してくださいよ。どんな学びを彼から得ましたか。もしくは他の人にも当てはまりませんか。

Geoff Ralston
推測は難しいですね。数えるぐらいしか会ったことはないので、たくさんのことを推測することはできません。

Paul Graham
間接的にはたくさんの証拠が物語だとかの中にあるじゃないですか。

Geoff Ralston
はい

Paul Graham
YC の創業者を見ていて、あぁこの人はSteve Jobsみたいだと思ったことはありますか?

Geoff Ralston
そうですね、YC ではSteve Jobsの会社には資金提供しないと思います。

Paul Graham
それはよくないですね。

Geoff Ralston
その理由というのは、 Jobsが何かを始める時、 とんでもない野郎だったので。

Paul Graham
むしろ資金提供するんじゃないですか、なぜならSteve Jobsが資金提供させるように仕向けるでしょうから

Geoff Ralston
おそらくは。

Paul Graham
でしょう?

Geoff Ralston
資金提供の時には自分勝手な野郎にみえる人は避けるようにしています。あなたも「他人に親切にすること(Being Nice)」について一本エッセイを書いていますよね。

Paul Graham
はい

Geoff Ralston
Ron Conway の原則ですよね?

Paul Graham
2つ原則があります。

Geoff Ralston
2つ。

Paul Graham
一つはさっき言ったことですね。

Geoff Ralston
親切にすること(Being Nice)、ですね。

Paul Graham
もう一つはいい人である(Be Good)こと。

Geoff Ralston
いい人であること、そうですね。もしJobsが若い時には絶対そのテストには合格しなかっただろうと思います。なぜなら大抵大事なことは、よい人間であって、他人に親切で、親しみやすくてそして寛大であることです。彼は違いました。

Paul Graham
YC が彼を早いうちに捕まえていればね。

Geoff Ralston
サポートできたと思いますか。

Paul Graham
たぶんね。

Geoff Ralston
でもそういう彼の性格のきついところが、初めの段階での成功に導いたのかもしれません。わかりません。

Paul Graham
わかりませんね。

Geoff Ralston
トランプのビジネスにはうまく働きましたね。

Paul Graham
ドナルドトランプ。また別のビジネスですね。

Geoff Ralston
悪い例ですよね。

Paul Graham
そうですね。ドナルド・トランプはYC的に避けたい名前です。ビジネスにおいてはそこに身を捧げる覚悟が重要ですが、しかし一般に言うビジネスとスタートアップは同じでもありません。

ユーザーに注意を払え

Geoff Ralston
時折こういう人たちに質問をしてみたいと思うんですが、そういう人たちがおかす間違いというのを聞くのはおそらく役に立つんじゃないですか。あなたを聞く耳を持たないかもしれませんが。

Paul Graham
間違いなのはユーザーに十分注意を払わないということです。自分の頭の中、ビジョンの中からアイデアを考え出し、それからカフェに行って、そのビジョンについてたくさん時間を使って考えて書いて、精巧なものをユーザーとの対話を持たないままプロダクトを作るという人もいます。なぜならユーザーとの対話というのは営業だから、頭の痛いことだからです。でも、ユーザーはいらないと言うかもしれません。だから誰か誰でもいいので何か問題を抱えてる人を探した方がいいです。問題を解決することにお金を払ってくれるような人を。それからまたもっとたくさんそういう人見つけられるか確かめてください。一番いいのは自分自身で問題を抱えていることです。 でもプロジェクトを十分に速いスピードでローンチしないかもしれません、それはちゃんと完成していないものをローンチすることが恥ずかしいからです。それでそのプロジェクトの公開から得たフィードバックと向かい合いたくないからです。

Geoff Ralston
本当にしょぼいものを作ったと言われた時というのは、恥ずかしく感じて萎縮してしまうものです。 でもそれはもっといいものを作るための唯一の道なのです。

Paul Graham
そうですね、実世界との関わりやユーザーとの関わりに対して萎縮してしまいます。でもそれは間違いです。

Geoff Ralston
Paul Graham主義というのがあって、それはローンチは急げ、 十分に準備ができる前にローンチしろというものです。たまに皆に話すのは...

Paul Graham
実際にはReid Hoffmanなんですよ、それをしつこく言ったのは。私ではなく。確か、ローンチしたものが恥ずかしくないのならば、それはローンチするのが遅すぎると言っていたと思います。

Geoff Ralston
私がYC に参加した時、そして同時期に、これは必ずしも良いやり方ではないのですが、Imagine K12をローンチしようとしていたのを覚えています。これは YC の教育テクノロジーバージョンです。それでPaulのところに話に行ったんです。Imagine K12の調子はどうだと言われました、彼はたくさんサポートしてくれていましたから。その時にうまくいっていますよと答えたんですが..

Paul Graham
当時は、別の名前だったんじゃないですかね。

アクセラレーターもすぐにローンチした

Geoff Ralston
いえいえ、もうそれまでには..。PaulがImaigine K12という名前をつけたので、そう言う名前なんです。それで、Paulが「いつローンチするんだ?」と聞いてきて、それで私は、「えーと今PRのプランをやっていて、ソフトウェアも終わりそうなので...」と言いました。夏期の生徒から始める予定だったんです。それが二月くらいでした。「...おそらく、あと6週間くらいですかね」Paulは、「まだローンチしないの?いまローンチしたらいいじゃないか」というので、マジか...と思いました。Paulは私に向かってもローンチを急かしたんです。私たちもやりましたよ、それから1週間でローンチしました。というわけで、これがしでかしやすい間違いなんです。長く待ちすぎるんです。恥ずかしいと思いますから...

Paul Graham
YCに関しては、アイデアが浮かんでから1週間以内にローンチしましたよ。もちろん、ローンチする、というのはウェブサイトをたんに開設しただけですが。初めはなんのソフトウェアもありませんでした。ただ、ASCIIのフォームを埋めてもらってeメールで返信していました。最初の数回のバッチにおいては、応募はeメールでした。私たちはそれをプリントして、パートナー内で回覧して、点数を紙の上部につけていました。レポートを採点しているみたいに。で、その紙の束を整理する、それが応募の選考プロセスでした。

Geoff Ralston
スケールしないことをする、について。現在の何千もの応募書類に対して同じことをすると考えてみてください。随分と難しいことになるでしょう。いまでは選考に使えるたくさんのソフトウェアがあるので、規模を大きくすることができるのです。

Paul Graham
その通り。

Q&A

Geoff Ralston
最終的にはどんなものを開発すべきかわかったらソフトウェアを開発します。YCを始めた時のことをもっと話すのは楽しいでしょうが、ここで終わるべきかと...

Paul Graham
どれくらい時間が残っていますか?

Geoff Ralston
だいたい12時くらいまでやろうかと...動画が長くなりすぎると誰も見たいと思わなくなるので、すでに40分ほど喋っていますからね。というわけで、質問を受け付けたいと思います。はい、そこの方。

Speaker 3
共同創業者を雇うことに関してです。Complex Bには、かなり成功している友人たちが事業に参加したいと思っているだろう、とあります。ものを開発するときにその人たちと仕事をするわけですが、その人を失うリスクを負うわけです。そして、もし人がいないからといってその辺にいる誰かを共同創業メンバーとして、技術に通じている人として雇うと、のちに会社を潰されてしまう可能性もあります。それは、時にはかなりのリスクになるのでは...

Paul Graham
もし共同創業者を採用するなら、友人を共同創業者にするなら、友人を失うかもしれないということですか?

Speaker 3
つまり..

Paul Graham
そんなに大きなリスクではないと思いますよ。

Geoff Ralston
質問は、友人を共同創業者にすべきか、そして友人を失うリスクがあるか、ということですか?もしくは友人を失うリスクを取りたくなければその辺にいるだれかを共同創業者にすべきか、でもその人は会社をつぶしてしまうかもしれない。質問はこういうことですか?合ってますか。

Speaker 3
そうです。

Paul Graham
もう答えたじゃないですか、それには。

Geoff Ralston
そうですね、ただ皆さんに質問が聞こえてなかったかもしれないので繰り返しただけです。

Paul Graham
質問を繰り返しただけです。

Geoff Ralston
どうぞ。

Speaker 4
2つ質問があります。ひとつは、共同創業者がいる時、異なったコミットメントの程度をどのように扱うか。それと、共同創業者を解雇しなければいけないとき、どのようにしますか?

Geoff Ralston
共同創業者の異なったコミットメントの程度をどのように扱うか。それと、共同創業者を解雇しなければいけないとき、何をすべきか、ですね。

Paul Graham
そうですね、異なったコミットメントの程度をどうするかについては、自分自身に聞いてみるんです。この人の30%の力をとるべきか、それとも他の人の100%のコミットメントを選ぶべきか。私の例では、私は他の誰かの100%よりも、Robert Morrisの脳みその10%をとります。簡単ですよ。で、どうやって共同創業者を解雇するかですか?それは、YCのCarolyn Levyに聞いてください。YCではそういうめんどくさい問題を色々扱った経験がありますから、Carolynたちが「じゃあ、これをこうして、こうして」と教えてくれます。

Geoff Ralston
おそらくインターネット上にありますよ。ググってみてください。

Paul Graham
本当に? YCは共同創業者の解雇の仕方を公開してるんですか?

Geoff Ralston
公開していますよ。Carolynのレクチャーのいくつかをみると、きっとこの問題はカバーされていると思います。ちなみに、その問題に対して一つできることはというと、一人が他の人よりもすこし株式を多く持っておくことです。株式の割り当ては大抵平等にしておくのがいいのですが、でも完全に平等ではなく、一人が51%をもち、もう一人が49%をもつ。そうするとコントロールができます。

Paul Graham
完全に動きを封じられることは少なくともありません。

Geoff Ralston
そうですね。

Speaker 5
ローンチに関して、プライベートなベータ版をローンチする時は、数人に向けてで十分なのでしょうか。ローンチは公に向けてするべきなんですか。

Geoff Ralston
ローンチとは実際どういう意味なのか、ですね。

Paul Graham
ご質問は、非公開のベータ版のローンチを数人に向けるだけで十分か、もしくは公にむけてローンチすべきか、ですね。私なら、数人に向けてローンチします、なぜなら、一人でカフェで自分のアイデアに向かって考えているよりは、実際のローンチに近い行為だからです。

Geoff Ralston
そうですね。

Paul Graham
次どうぞ。

Speaker 6
近年の資金調達とプロジェクトの増加についてどう思われますか?多くのプロジェクトが、多すぎる資金を調達しているように見えます。

Geoff Ralston
ICOについての質問ですか? ICOについてどう思います、Paul?

Paul Graham
その分野については何もわかりません。暗号通貨の業界周辺には大量の資金が動いていると聞きましたけどね。その周りにお金があるのであれば、そこに行って資金を得ようとするのはスタートアップにとってはいい考えでしょう。

Geoff Ralston
でも、YCでよくみるのは、過度の資金を調達するのは必ずしもよくないと言うことです。

Paul Graham
過度、という定義なら、それは間違ったことですね。

Geoff Ralston
そうですね。私なら資金は多く調達しますけど。...過度の資金調達がいけないのにはいくつか理由があります。ひとつは、必要以上に[持ち株率を]薄めることになるから。そして、もうひとつは、なんと言うか、溜まっているだけの資金は、重力のような効果を持つのです。

Paul Graham
それはあなたを...

Geoff Ralston
支出の速度を早くするんです。多くの資金があることでバカなことにお金をつかってしまいます。10億ドルをICOで調達した企業もありますが、ちゃんと企業になれるのかはわかりません。

Paul Graham
もしくは、いくつものリミテッド・パートナーから10億ドルを調達して、必要とする人材をもっと雇う。

Speaker 7
たいていそれはエクイティではないですけどね。

Geoff Ralston
私が言っているのはまさにそれです。ICOとは違うんです。わかっていますよ、でもやっとアイデアが1つあるくらいのときに10億ドルを調達するのはちょっと..例えばMagic Leapは23億ドルを調達しましたが、ほとんどなんでもない存在に見えます。

Paul Graham
ところで、質問に答えてもらうためには秘訣があるんですよ。ずっと前に学びました。前の質問が終わりかけているところで手をあげるんです。そこで一人手を挙げていますね。この秘訣がわかってる人です。どうぞ、質問はなんですか?

Speaker 8
うまくユーザーインタビューをするためのアドバイスをお願いします。

Paul Graham
うまくユーザーインタビューを行う方法ですか?そうですね、相手が、何をおかしいと思っていて、そして本当におかしいものは何かを見極めることです。なにがユーザーの人生に足りていないのか。とにかくユーザーに会って話すことを始めてください。なにを欲しいと思っているのか。自分が今できないことの何をできるようになりたいのか。だいたい部分集合のような答えが返ってきますから。例えば、eメールについて聞いているとして、こう言う答えがあるでしょう..「eメールに未読マークをつけられることが自分には大事なんです」と。でも、自分では未読にできることにどう言う意味があるんだ、と思うでしょう。未読のメールというものは、メールボックス全体が正しく使われていないサインです。メールボックスというのは実際自分のto-doリストなんです。だから、未読マークをつける必要があるんです。そしたらto-doリストに残りますから。それから、相手に尋ねるんです。これこれこういうことができたらどうだろう。こういうことは?とというわけで、相手の生活についての質問から始め、それについては仮の事実として捉えておくことです。よし、こっち側からも答えないとね。

Geoff Ralston
もう当て始めたのだから、続けて当ててください。それで大丈夫です。質問者を選んで。

Paul Graham
よし、じゃあそこの角にいる方。

Speaker 9
さっき他の方がした質問ですが。ローンチについてさっきお話しされていました。できの悪いプロダクトをローンチするときの金銭的リスクや、不確実な印象を与えないでプロダクトローンチの意義を正当化することができますか。

Paul Graham
できの悪いプロダクトをローンチする金銭的リスクを正当化する方法?

Speaker 9
必ずしもしょうもないというわけではなくて、まだ不完全なプロダクトです。

Paul Graham
わかりました。早期にローンチするリスクというのは、ローンチが遅すぎるリスクほど大きくありません。早期にローンチすることだけにリスクがあるわけではありません。ローンチが遅いことにもリスクはあります。だから、ローンチをいつするかだいたいのルールを決めておくべきです。いつも言いますが、私の言いたいルールは、MVP [顧客ごとに最低限の機能を満たしたプロダクト]の基準ほどやっかいではないということです。なぜならそのルールでは、最低限の機能を満たしているかがわかるからです。そのルールというのは、ユーザーの満足度の量です。ある程度のユーザー満足度を得たらすぐにローンチすること。ということは、この世界にいる一人がローンチからすぐにでもハッピーになるということです。今までできなかったことができるようになりますから。もし何かをローンチして誰もハッピーにならないものであれば、ローンチの準備はでいていません。少なくとも、ひとり誰かが、「コレがあれば、今までできなかったアレができる」となったら、ローンチしましょう。ユーザーの満足度を獲得できること、です。

Geoff Ralston
それって効用関数みたいですね。たくさんの人をハッピーにするかどうか。1人をハッピーにするけれど、100人をめちゃくちゃ不幸にするのだったら準備が整っていないのかもしれません。Paul Bucheitがいつも言っています、もし10人がプロダクトを愛してくれるのなら、それは正しい線を行っているということだ、と。

Paul Graham
そうですね、必要なのは、10人がとても喜ぶならば、絶対ローンチしてください。ほかの誰も気にしなくても構いません。まったく問題ないです。はい、次。

Speaker 10
ユーザーが欲しがるプロダクトと必要としているプロダクトを開発する違いについて教えてください。ほとんどの場合、欲しがられているものというのはすぐに想像がつきますが、必要なものというのは、本当は欲しがられているもので、しかし意図しない結果になったりします。ですので、どうやって必要品を開発するかもしくは欲しがられるものを開発するか決めるますか?

Paul Graham
開発の危険性は...えっと、質問は、人が必要としているものを開発するか、欲しがっているものを開発するかどうやって決めるかですね。問題は、皆が選んで、買って、ユーザーになって使ってくれるものを開発すべきと言うことです。これは必要に迫られた場合と、欲しがられるものの対比の例です。必要なものは健康的な食べ物です。買いたがっているのは健康に良くない食べ物です。はい、あなたが事業者なら、どちらを選びますか。理想的には、美味しくて健康に良いものを作りたいですよね。しかし現実的には、そんな遠くには行けません。つまり、私自身はジャンクフードを作るような会社を始めたりはしませんが、もしあなたが食べ物を作るのであれば...必要がある何かと、欲しがられるものはちがいます。必要性を選ぶ時には注意して下さい。そうでなければ、ねえ、世界中の罪を浄化することを目的にすることになってしまいます。

Geoff Ralston
創業者である自分自身を惑わせて、簡単に売れないものの開発について考えてしまいます。

Paul Graham
そうですね、その他の危険性については「皆が必要としているもの」というのは、あなたがみんなが必要としていると考えているもの、だということです。あなたが暗に語っているのは、あなた自身が皆に必要だと思っているもののことですよ。あなたの考えの中での「世界中の罪」を浄化したいんですよ。

Speaker 11
私はスマートテクノロジーについて取り組んでいます。質問は、プロジェクトに取り組んでいる時に異なる問題と解決策を思いつくのですが、そういうことは創業者にとって普通ですか?

Paul Graham
創業者にとって複数の異なる解決策を思いつくのは普通かということですか。もちろんです。その中からひとつを選ぶなければいけないだけです。一番早く役に立ちそうなものを選んでください。

Speaker 11
創業者DNAとは何ですか?

Paul Graham
創業者DNAとは何か、ですか?

Speaker 11
創業者DNAについて詳しく教えてください。

Paul Graham
創業者DNAね。

Speaker 11
創業者DNA、つまりどんな性格の人が…

Geoff Ralston
ああ、どんな要素が創業者には必要か、ですか?

Speaker 11
そうです。

Geoff Ralston
企業の創業者になると決めることです。

Speaker 11
つまりどういうことですか。

Paul Graham
どんな要素がいい創業者を作るかですか?ポジティブとネガティブなものの組み合わせだと思います。クリエイティブなものとしては覚悟、意志、そして新しいことを試すことです。 でもネガティブなものもあります。20年大きな会社で働いたことがあるのなら、ビザ取得なんかの理由でどうしてもそうしない限り創業者向きではないかもしれません。もしあなたが創業者に向いているにとならば、20年も大会社で働けないでしょう?実際そういう大会社の出身者はいい創業者ではないことが多いと気づきました。また、いい創業者になるような人は長い間大企業で働くのに耐えられないんです。では、次はこちらから選びましょう。

Geoff Ralston
あといくつか質問を受けましょう。

Paul Graham
はいじゃあ次どうぞ。

Speaker 12
うまくいったオフラインでのビジネスをオンラインに乗せようとしているので、ローンチの時の価格設定が特に重要だと思います。ローンチの時の価格設定に何か戦略はありますか。

Paul Graham
ローンチの時の価格をどうするかですか?予想はつくでしょう。 もし自分の事業をよく分かっていればいくらぐらい分かります。大体推測した量でつけていいです。もっと厳密な科学的にやりたいのならば、将来ユーザーになる可能性のある人に話を聞いてもいいですね。ほとんどの場合、あなた自身の友達や家族など、ある種の素直なユーザーというのがいますが、そういう人に聞いてもいいです。「正直に教えて、この商品にお金を払いたいと思う?」と。後から金額はいつでも変えられます。 値段を下げるのであれば誰も文句をいう人はいません。 値段をあげるのであれば、既存のユーザーは優遇しましょう。 指数関数的な成長の部分は、いつもユーザー全体を見れば小さな部分集合にあたります。この場合にも誰も文句を言いません。ですから値段の変更にあまり焦らないでください。

Geoff Ralston
思うんですが、創業期になによりも必要なものは、顧客です。顧客にお金を払って購入してもらいたいのです。ですから、顧客を獲得できる値段設定にする必要があります。その顧客からは本当に学ぶことが多いのですから、値段は後で変えられます。

Paul Graham
あまり高い価格設定にしすぎないことです。

Geoff Ralston
顧客を獲得しましょう

Paul Graham
価格よりもユーザーです。はじめに成長していきたいので。ユーザーがあなたに教えてくれます。最初の顧客というのお金をもたらしてくれるだけではなく新しい学びをもたらしてくれるのです。

Geoff Ralston
はいあとふたつ質問を受け付けます。

Paul Graham
2つ選んでください。

Geoff Ralston
じゃあ、右前のそこの方。

Karen
エンジェル投資についてです。 私はKarenと申します、Chat Gooseというチャットマネージングサービスの事業に所属しています。エンジェル投資家を見つける秘訣を3つ教えてください、金持ちの親戚がいるなどということが起こらない場合の。

Geoff Ralston
今回全く資金調達について話しませんでしたね。もう1回同じセッションをやらなきゃいけないかもしれません。

Paul Graham
それはいいですね。資金調達は創業者の頭をいつもいっぱいにすることですから。

Geoff Ralston
クラスの後半でこれについては話しますから、 もう1回トークをやる必要はないですけども。

Paul Graham
わかりました。質問は、エンジェル投資家の見つけ方ですね。そう、わたしはこの質問には適した回答者ではありません。YCというのは、受け入れたスタートアップにエンジェル投資家を注ぎ込むマシンのようなものです。もしYCでエンジェル投資家を見つけられない場合、どうやって見つけるのかですが、それはパイロットに向かって地面のトラックに沿って歩く方法を聞いているようなものです。わたしには答えられませんね。

Geoff Ralston
あのですね、エンジェル投資家はあなた方を探しているのですよ。ですから、そこに出て行ってください。わかりませんが、スタートアップのイベントがたくさんありますぎ、かならずしもいいエンジェル投資家とは限りませんが、でもそう言うところにきて投資先を探しています。実際エンジェル投資家に会う一番いい方法は、誰かすでに投資をしてもらっている人に、その人の知り合いを紹介してもらうことです。

Paul Graham
ああ、実はこの答えを知っているかもしれません。わかりましたよ。誰かスタートアップで働いている人を見つけて、そこの投資家を紹介してもらうんです。それがいいですよ。

Geoff Ralston
これはいい答えですね。はい最後の質問です。選んでくださいPaul、こっち側から。

Paul Graham
じゃあ、右のそこの方。

Speaker 14
シリコンバレーでは、大学の学位を持たない人を雇うのがトレンドになってきています。高校生に投資しようと思いますか?

Paul Graham
YCは高校生に投資しようと考えているかですか?うーん、わかりません。YCの代表としては考えないもので。でも、しないほうがいいでしょう。高校生にはよくないことになり得ます。うまくいくスタートアップを創業できる高校生はたくさんいますが、スタートアップをやるべきではないと思います。できるからといって、それをやるべきとは限りません。スタートアップを始めると、人生の中での自由気ままな時間は終わってしまうです。でしょう、会社で働くんですから。

Geoff Ralston
高校生にも投資をしたことはありますが、それはただもう事業を始めていたからです。創業を勧めたいわけではありません。Paulと同意見です、高校にいって、遊び、子供らしく過ごす代わりにこの信じられないくらい大変なことをやるのを奨励するなんてあまりにもひどい。実際それは..

Paul Graham
[人生の選択の] 未成熟な最適化でもあると思います。高校にいる時、さらには大学にいる時にでもすべきことは、どんな選択肢があるかを見極めることで、一つを選択して始めることではありません。

Geoff Ralston
そしてたいていは学校にいる人は会社を始めるために勉強をストップしてしまいます。典型的な例だと、ハーバードにも中退者がいます。中隊して、スタートアップの道に行けば、それはまあ一つの方法です。ほとんどの人は同時にやろうとするし、保険をかけたやり方をするんです。スタートアップの創業者になるいい方法ではありません。100%コミットしなければなりませんから。だから大学にいる人たち、または高校生たちには、100%コミットしていることが明らかなら投資をします。そうでなければ、トレンドがなんであれ...あなたが行っているトレンドというのは、高校を卒業して、すでに優秀なプログラマーなのになんでわざわざ大学の学位をとらなければならないのか、ということですよね。雇いますよ。その人がプロフェッショナルとして働きたいのであれば、素晴らしいことです。

Paul Graham
わかりませんね。自分にとってはいいことじゃないかも、と思います。

Geoff Ralston
私にとってもいいことではありませんね。

Paul Graham
スタートアップを始める時には...

Geoff Ralston
18歳から22歳の間に、人間として大きく成長すると、私は思います。人間らしく、人間味がある人に。その年の人がみな労働市場に参加するとなったら、社会はどんな風になるか、はっきりはしませんね。

Paul Graham
20代の初めには、全然違うことを、なんでもかんでもをやって見たらいいんですよ。

Geoff Ralston
はい、もし懐に余裕があれば。

Paul Graham
もしこの何でもかんでも違うことをやってみるというのが大学の形なんかをとるとしたら...気をつけてください。スタートアップを創業するというのは、ドラゴンを尻尾の方から捕まえようとするようなことなんです。人生のいつ時点にそれをするか、注意してください。

Geoff Ralston
来てくれてありがとうございました、Paul。

Paul Graham
ありがとう、Geoff。

 

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文:  A Conversation with Paul Graham

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