スタートアップを作るというのは製品を作ることではなく、問題を解決することである

Avni Patel ThompsonPoppyの創業者兼CEOです。

2017年の女性創業者会議において、彼女は最初のスタートアップでどのような苦労をしたか、また最終的に、多くの人々が抱える未解決の問題にどのように気付いたのかについてシェアしました。

他の講演はこちらでご覧いただけます。

YCへの応募に興味を持っている方は、Avniが最近書いた素晴らしい記事「Y Combinatorは自分に向いているか」をお読みいただけます。

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トランスクリプト

Poppyの共同創業者兼CEOのAvniです。私たちは、保育サービスを必要としているご家族と、審査を受けた保育士とをつなぐことにより、現代における「村」を構築しています。

会社を始めた理由

私がPoppyを始めたのは、私がこの分野の専門家だからでも、育児に強い情熱を持っているからでもなく、ある2人の人間のためでした。彼女たち2人です。

上が娘のSaaya、下が娘のAriaです。私は、自分の娘たちの面倒を見てくれる人物が何者なのか1000%確信が持てなければいつも、パニックになったり不安になったりすることに疲れ果てていました。

また、こんなにも多くの人が、毎週毎週、私と同じ問題に直面しているとは驚きでした。そして、私たちの子供の世話をしている全ての素晴らしい人々が、十分に認められ、機会を与えられていないことにも驚きました。

そこで私はPoppyで解決策を作ることにしたのです。私たちは、現在シアトルで何千ものご家族にサービスを提供していますが、これは素晴らしいことです。とくに一歩間違えればPoppyが存在しなかったことを考えると、なおさら感慨深いです。

登壇するまでの経緯

私が今日ここにいられることにとてもわくわくしている理由の一つは、2年前には私があなた方の席に座っていたからです。

2015年の女性創業者会議で、私はそこに座って素晴らしい女性たちが大胆なビジョンや素晴らしい会社について語るのを聞いていました。私も彼女たちのようになりたいと強く願っていました。

でもその当時、それは遠い夢のように思われました。私は最初のスタートアップを廃業しようとしていました。何年もそのプロジェクトに費やし、膨大な私財を投じた後のことです。私はあきらめて、かつて成功していたブランドマネジメントのキャリアに戻ろうとしていました。

しかし、女性創業者会議で大きな刺激を受けて帰った午後には、もう一度挑戦することを決意していました。でもそれだけでなく、私は目標を設定しました。

ちょっとおかしく聞こえるかもしれませんが、これはその夜の日記です。私は正気ではなかったようです。「2017年、私は聴衆の1人として席に座っているのではなく、そのステージの上に立ち講演したい。」

Katが私に講演者の一人になってほしいとメールを送ってきたときの日付をよく見てください。4月30日と書いてあります。私はとても光栄に思いました。そうすることが私の目標でしたし、再挑戦することが私の物語の中で最大のテーマだったからです。

もう一つ、おかしくて皮肉なことは、2年前、彼女は私にある別のメールを送ってきていました。そのメールで彼女は、YCはPoppyに資金を出すつもりはないと伝えてきたのです。私の夢は打ち砕かれました。これが今日お話をしたいことです。

私の最初の失敗したスタートアップと、今日、資金を得て成長しているPoppyとの間に何が起こったのか、そしてKatの最初のメールと今日あなたの前に立っている私との間に何が起こったのか。私の失敗から少しでも学ぶことができることを願っています。

でもそれ以上に、私の遍歴を聞いたあなたが、それを自身の経験と結びつけ、立ち止まらず前に進む方法を見つけることを願っています。

一度目の失敗

私のスタートアップの旅は約5年前に始まりました。長女が生まれて、インド人として先祖から引き継いできた豊かな伝統をどう娘たちに伝えていくか悩んでいました。友人との会話を通じて「これは解決できる問題だ」という結論に達しました。

それは2012年頃で、サブスクリプションボックスが大流行していました。そこで、「私たちが何か文化に関わることをキュレートすればいいんじゃないか。そうすれば、言語や食べ物などの素晴らしいものについての情報が手に入るんじゃないか」と考えました。

仕事を続ける一方で、副業として、ビジネスプランや財務モデルを構築しました。2年間、私たちは副業としてそれに取り組んだのです。

そしてついに、2014年3月、私たちは二人とも仕事を辞めてこの仕事にフルタイムで取り組むことにしました。それは最高の気持ちでしたが、最初は「さて何に注力すればいいの?」という感じでした。

ローンチをする

MVPのことや、製品を開発し、世に出す過程についてはいろいろ聞いていました。そこで製品に取り組み、ボックスに何を入れればいいのかを考えました。私たちは答えを導き、3ヶ月後には、ある美しいキュレートされた箱を作ることができました。これで問題が解決できると思いました。それこそ私たちがすべきことだと思っていたのです。

6月にローンチしたのですが、信じられないような気分でした。私たちには友人や家族がいて、みんな私たちにメールをして、「わあ、これは素晴らしい」と言ってくれました。注文もたくさんありました。「なんて素晴らしい気分なんだ」と思いました。

停滞が始まる

数週間が過ぎ、注文が少しずつ停滞してきました。私たちは少し心配しましたが「それはおそらく、私たちが十分な製品を持っていないからだろう。それなら、さらに多くの製品開発に取り組んで、それらをショップに導入しよう」と思ったので、それに取り組みました。

季節は秋で、すぐに資金が底をつきました。私たちは二人とも自分の貯金のうち2万ドルを投資していましたが、もしローンチしたら、その時に資金を調達することができるだろうと考えていたし、それですべてうまくいくだろうと思っていました。

しかしそうはならず、私たちの資金は底をつきつつありました。私たちはできる限りのことをすることにしました。FacebookやGoogle AdWordのキャンペーンを行いました。私たちはTea Collectionのような有名ブランドとも提携して、どうすればこの素晴らしいボックスを人々に買ってもらえるか考えました。

事業を畳む決断をする

休暇の後、私たちの試みはうまく行きそうにないことが明らかになりました。こうしたニッチな顧客を獲得するためのコストはあまりにも高く、彼らが購入しようとしていた1つか2つのボックスで元が取れるものではありませんでした。

私たちは事業をたたむという難しくも正しい決断をしました。もっと話すべきでしょうが、これは私の人生で最もつらい時期でした。まるで人生に失敗したような気分でした。自分自身も含め、みんなを失望させたような気がしました。私は家族が住宅ローンやベビーシッターや大学の学費に使えたであろうお金を失いました。自分の進むべき道が見えなくなってしまったのです。

なぜ失敗したか分からなかった

最悪なのは、なぜ失敗したのかが分からなかったことです。

間違った決断をしたり、間違った方向に進んだりするのは望ましいことではありませんが、そこから学ばないのはさらによくないことです。そこで、分からないことがあるときは、どこを探せばいいのでしょう?インターネットです。

私はスタートアップの立ち上げ方や、成功したスタートアップがどのように物事を進めたかについて、できる限りのことを読み始めました。Paul Grahamのエッセイにたくさんあたり、YCからスタートアップを立ち上げる方法を学びました。私は全てを貪り読んだのです。

間違いに気づく

そうすると少し間違った考え方をしていたかもしれない、と気づき始めました。YCから学んだのは、自分の情熱に従うのではなく、未来の生活や足りないものを作るというコンセプト、他の人ではなく自分のユーザーと話し、そうした対話を通じて自分の製品を作るというアイデアです。

また、私はとくにこの考えに惹かれたのですが、全ての人々に集中するのではなく、あなたがしていることを本当に愛してくれる100人を見つけるということです。そして、最も単純で最も難しいかったのが、10%の成長を目指せというものです。毎週ただ成長することです。

これを元に、私はこう考えました。「これこそ私にこれまで欠けていた青写真じゃないか。」

私はもう一度挑戦したくなりました。この時私は女性創業者カンファレンスに出席し、とても刺激を受け、もう一度挑戦しなければと決断しました。

そこで私は子どもを持つ親、私たちのボックスを買ってくれた親や近所の親と話し始めました。私は彼らと話をして、「もしPapaya + Postが、つまりこのボックスがあなたの必要としているものではないのであれば、大きな問題を解決していないのであれば、あなたの人生の大きな問題は何でしょうか?」と尋ねました。

私の経験上、本当に必要とされない製品に取り組んだ経験のある人は、誰もが必要としているものに取り組む強い意欲を持つようになるものです。

自分の問題を解決する

話題はいつも育児へと戻ってくるのです。私は今まで気づかなかったことが信じられませんでした。なぜなら、それは当時私が直面していた問題でもあったからです。

2つの仕事と2人の子どもがいて、近くに親族がいないので、夫と私は毎朝起きる度に、その日の予定が変わってしまわないかを恐れていました。ベビーシッターが朝の7時に「風邪を引いてしまいました」とメールしてくるなんてことがありますよね。そうするとあなたと旦那さんは携帯を取り出して、「オッケー、この会議を移動できれば朝は私がみれるから、あなたはそれをキャンセルして午後みてくれる?」なんて話すのです。

ひどい話です。そしてそんなことをこんなにもたくさんの人々がしているという事実に、私は興味を持ったのです。

それを解決するために、何をしたら良いでしょうか?確かに、これはすでに非常の多くの競合他社が進出しているカテゴリーです。ですからたくさんの人々が私にこう訊ねました。「本当にこれに関わりたいの?」と。

しかし私は、もしこれが解決すれば、そして、もし全ての人々がこれを始めれば、もうこのような痛みに苦しむ必要はないと思ったのです。

顧客が気づいていないニーズに気づく

いろいろな人と話をしているうちに、彼らが必要としていないのは、親がシッターとつながることだということに気づきました。そこで語られなかったことは、私たちは皆、「村」がなくて困っているということです。

子供を育てるには村全体の協力が必要だと誰もが言っていますが、私たちは皆、自分のキャリアや仕事のために動き回っているので、村から離れてしまっています。そこで私は思いました「村のように人間的で感情的なものを、データやコードのように合理的なものでどうやって再現したらよいのか?」

学部時代にとった化学の学士号が役に立ったのか、私はそれをきちんとした方程式に分解しました。「村を信頼の関数として、つまり信頼ができて、あなたの家族とマッチしていて、あなたが必要としているときに利用できる存在として、定義するとしよう。それを、審査を行い、何らかのマッチングアルゴリズムやスケジューリング機能を提供するアプリで近似できるだろうか」と考えました。

頭の中で様々なことがまとまってきて、これが素晴らしいアプリになりうることがわかりました。ただ一つ問題がありました。当時も今も、私はプログラマーではないのです。

開発者がいない

何週間も苦労しました。私は「プログラマーなしでこれを構築するにはどうすればいいだろうか?」と考えました。私はスタートアップに2万ドルを注ぎ込んだので、自分のビジネス用銀行口座には200ドルほどしか残っていませんでした。アプリを作ってくれるプログラマーを雇うには十分ではありません。

それで私はあきらめかけていました。だって、何をどうしたらいいのでしょうか?そしてある日、暗闇の中で生後5カ月の子どもを寝かしつけているとき、ひらめきました(長い時間がかかるので、考える暇がたくさんあります)。

最低限のものをツールを組み合わせて作る

「SMS。なぜSMSを使えないのか?親やシッターはすでにテキストメッセージを送っているのに...それを使ってアプリの体験を近似できないだろうか?」

私は机に向かって全体の流れを書き出しました。そこで私は、すでに利用可能なツールや無料、もしくは4週間などのトライアル期間のあるツールを使って、アプリの体験を近似できるかどうかを考えてみました。

そうすれば200ドルを最大限活用しつつ、たったの四週間のテストで、私の計画が見込みのあるものかどうか分かるからです。

これが私の技術スタックです。ランディングページやサインアップはSquarespace、フィードバックフォームはTypeformを通じて、支払い処理はStripe、スケジューリングはGoogle Calendar経由、コミュニケーションはSMSで、そしてデータベースはExcelでした。

これらが一体どうなっていくのかを観察していました。ワシントン大学の三人の学生を探して審査する仕事に取り掛かり、またちょうど掲示板でチャイルドケアを探していた近所の15の家族を見つけました。

私は彼らにメールを送り「ねえ、私はあなたがチャイルドケアを必要としていることを知っています。もし今週誰かが必要なら、この電話番号をメールしてください」と伝え、自分の電話番号を教えました。

毎週10%成長が楽々とできてしまう課題

その日、私は最初の予約を取り、その週には最初の4人の予約を取りました。毎週目標を設定して、10%から20%の成長を目指しました。次の週は5本ではなく6本になりました。その翌週は7本、そのさらに翌週は10本になりました。週に10%から20%の成長という目標を楽々と達成していました。

これは、最初のスタートアップでの私の経験とはまるで違いました。その時は、まるで巨大な岩を丘の上に押し上げているように感じていました。でも今回は、親から親へ、自然に口コミで伝わっていきました。

今回が簡単だったというわけでは決してありませんでしたが、手ごたえが違いました。

YC に応募する

4週間後、幸運にもYCは15年夏のバッチの応募を受け付けていました。私は「まあ応募してみるか」と思いました。

共同創業者やチームがいないことはわかっていましたが、人々が欲しがるものを作っていることもわかっていたからです。それで申し込みました。実を言うと、私は最初のスタートアップの時も応募していたのであまり期待していませんでした。何週間もかけて完璧な申請書類を書いたのに、面接さえ受けることができなかったのです。

YCは23歳の白人プログラマのための場所だとも聞いていましたが、明らかに私はそうではありません。それでも私が応募したのは、例のエッセイのいくつかを通じて学んだ原則は間違っていないと思ったからです。

ですので、面接に呼ばれたときの私のショックを想像してみてください。私はわくわくして準備しました。10分間のチャンスをものにするために心をKat、Kevin、Aaronにささげました。

それにもかかわらず、結局、私の受信箱に届いたメールは先に説明したものでした。失望したと言わなければ嘘になるでしょう。でも次の日目が覚めてからは、メールの最後の言葉に集中することにしました。「次回のお申し込みをお待ちしております」

不採択後、YCに行ったふりをして10%成長を課す

私は2つのことに集中しました。1つは、彼らが私がいい線を行っていると考えており、私がもっと成長してチームを作れば、再応募できると思っていたことです。

そして二つ目は、YCが何を考え、何を言おうと、私には成長する会社があり、私も成長していたということです。私には顧客がいたのです。それで私は仕事に取り掛かりました。

とにかくYCに行ったふりをして、その夏の間、毎週10%から20%成長することを目標にしたのです。

親たちは私の電話番号にテキストメッセージを送ってきて、「ねぇ、明日のお昼から4時まであいてる人いる?」と聞いてきたりします。私は自分のハイテクプランナーと相談し、誰が空いているか確認し、シッターにメッセージを送信し、そして親に返信します。

最初の製品がどのようなものだったのか知りたい方は、お見せするのが恥ずかしいのですが、左の余白に丸で囲った数字が私の目標でした。だから毎回私は目標を達成していました。ボックスの中にはすべての予約が記載されていました。

今となってはカラーコーディングが何だったかは覚えていませんが、正気の沙汰ではありませんでした。でもこれが私が事業を立ち上げるために必要とした全てでした。

それから私はデイプランナーを卒業し始めました。驚きですよね。そしてExcelに移りました。繰り返しになりますが、それは非常にシンプルで、仕事をこなすのに十分でした。

共同創業者を探す

その頃には、私たちが成長を続けていることが分かり、これからの事業を構築するためには、技術パートナーを見つけなければならないことが分かりました。

しかし、それは思ったほど簡単ではありません。そして、みなさんの中には、理想的な共同創業者を見つけるにあたって、同じように苦労している人がいると思います。YCが、会ったばかりの人と一緒に仕事を始めてはいけないと言うのには理由があるのです。自分に合った、自分の性格に合った人を見つけなければなりません。

適切な経験を持ち、ミッションに情熱を持てる人。そんな人であれば最終的には、浮き沈みの激しい現場でパートナーになれるのです。なかなか難しい注文です。それで、私はみんなと話しました。技術者には紹介文を要求しました。私は何十人、何百人と話しましたが、まだ見つかりませんでした。

そうこうしているうちに8月になっていて、自分一人の能力ではどうにもならなくなっていました。皮肉なことに、私は自分の会社を大きくしすぎたために、廃業寸前まで追い込まれていたのです。

もう我慢の限界でした。そこで私は思い切ってもっと人を紹介してもらうことにしたのです。最終的に、友人の友人の友人を通じて、私はついにRichardに出会いました。

彼に会ったとき、私が衝撃を受けたのは、私たちの経歴が全く違うにもかかわらず、好奇心をそそることを追求するためにキャリアを捧げたということが、私たちの共通点だったことです。

彼はいろいろな分野で仕事をしていましたが、どれも本当に面白いことをしていた点では同じでした。彼はソーシャルメディア会社、デートアプリ、ビットコイン支払い会社で働いた経験がありました。私の健全な家族向けサービスの会社にはそぐわない経歴と思われるかもしれません。

でも彼と話してすぐ、彼がフィットすることが分かりました。簡単な話です。ビジョンが何なのか、それをどのように構築するのか、ということでつながるのです。後になって初めて、彼の経歴は申し分ないと実感しました。

コミュニティを構築しないなら、Poppyは成り立ちません。またデートアプリと同様にマッチングアルゴリズムを使うわけですし、支払いの方法についての経験も間違いなく必要になります。

6週間だけ一緒に仕事をしてみる

しかし当時は単なる思い切った決断でした。そもそもこれらは全て単に思い切りの問題なのです。そこで私たちはプロジェクトのように6週間だけ一緒に仕事をすることにしました。

彼は私たちのプラットフォームの最初のバージョンを、私が想像していたよりも繊細かつ洗練された方法で構築しました。そこに私はPoppyを作れるパートナーを見つけたのです。

10月に、私たちはそれをリリースすることに決めました。私たちは、最初の従業員であるサラも雇っていました。彼女は、実際に保育産業の出身です。彼女は私たちの会社で最も重要な仕事を任されました。つまり素晴らしい保育士を見つけることです。

彼らはどこにいるのか、彼らは何をしているのか、彼らはどんな経験をしているのか、どんな種類の審査が必要なのか?そこで彼女はチームに加わりました。

私はいつもPoppyを3つの部分からなっていると思っています。親の側とシッターの側、そしてそれをつなぐ技術です。これでチームができました。やっと勢いがついてきたような気がしました。私たちにはチームがあり、プラットフォームを構築する能力がありました。

YC に再度応募する

しかし、当時、お金がありませんでした。私は自分が再びこのような状況に置かれていることが信じられませんでした。

今回は、給与計算があり、成長企業としての通常の支出があり、現金が必要だったのです。ラッキーなことに、YCの16年冬の募集がちょうど開始されたところだったので、私たちは再申請しました。

そして今回は、申請書類が基本的に自動的に出来上がったのです。

というのも、私たちはYCがスタートアップに求めることはすべてやりました。そしてより重要なことに、私たちはYCをしたかのようなふりをして、成長を続けました。私たちのやっていることを気に入ってくれたユーザーがさらに増え、チームもできました。

面接の機会を再び得たときはとても興奮しました。Richardと私はすべての質問を練習してマウンテンビューに向かいました。私たちの申請書類の中で一番指摘されそうだったのは、私たちがたった3カ月しか一緒に仕事をしていなかったという事実でした。それで、私はそれらの質問に備えました。

しかし、私が準備していなかったのは、面接の登録をするために歩いていたときに、私たちの後ろに、私たちの主要な競争相手となる創業者たちがいたことでした。

トイレに入って気を取り直し、ここまで来てやめられないと思いました。どうせアウトになるならバッドを振ってアウトになろう、そう思いました。

そこで私たちは面接会場に入り、YCのパートナーにPoppyの話をしました。私たちが築き上げてきたものや、私たちが経験してきたこと、そして私たちの成長について。私たちのユーザーが、私たちが作っているものを愛し、それを必要としていることについて。そして私たちのチームのことや、なぜ私たちがこの製品を構築するための最適の人材であるのかについて。

部屋から出た時どうなるかわかりませんでしたが、私たちが全力を尽くしたことは分かっていました。帰り道で飛行機に飛び乗った私は、狂ったようにメールをチェックし、必然であるかのように思われた不採用メールを待っていました。

帰宅する頃には、就寝時間に間に合ったので「なるようになるさ」と思い子供たちのパジャマの準備をしていると、電話が鳴るのが聞こえました。YCは私たちに資金を提供したいということでした。

他のことはあまり耳に入りませんでしたが、それは執行猶予のようなものでした。次にやることを決めるために時間を買ったに過ぎないことを、私は理解していたのです。

幸運と努力が実を結び、シアトルのシードVC会社も資金提供してくれることになりました。ですから、YCに向かう前の私のビジネス銀行口座にはお金があふれていました。

休暇中に兄弟から「もっと幸せで嬉しそうな感じで祝ったらいいんじゃないの」と聞かれましたが、その時は、お金があることが何か祝うべきことのようには思えませんでした。むしろ安心が勝っていました。お金があれば、貴重な実験を行う時間や、次のことを理解したりするための時間を手に入れることができるからです。

そうして私たちはYCに入りました。もちろん執行猶予は一時的なものです。ですから私たちは仕事に集中し、成長を続けることだけを目指しました。私はユーザーとなる親たちと話をし、Sarahは優秀な介護者を安定して供給し、Richardは製品を作りました。少しずつ、少しずつ、私たちは成長を続けたのです。

Demo Day までには、確かに素晴らしい成長曲線を描くことができましたが、さらに重要なのは、2週間きざみの素晴らしいドラムビートを、会社のDNAに織り込むことができたことです。構築して目標を達成し、構築して目標を達成するというものです。

私たちの会社は、まだそのドラムビートに従って動いています。私たちは今でもこの2週間のサイクルを使っています。私たちはデモデーの直後にシードラウンドを200万ドル強で終えました。

5月にシアトルに戻り、最初の公式なオフィスに移りました。私はとても感謝していたのを覚えています。こうして素晴らしいチームができ、お金も手に入りました。そして何より重要なのはPoppyに取り組み、その可能性を証明できる時間が与えられたことです。

それで、今では全てがバラ色でしょうか?もちろん違います。私たちの毎日の仕事は、人々が欲しがるものを作ることです。私たちの成長はその指標です。私たちは毎日、会社を成長させ、仕事に集中しています。今でも、私たちが取り組んでいることの中には、最終的にどうなるのか完全にはわからないものがあります。しかし、ユーザーと話し、本当に小さなことから始めて、前進を繰り返すという原点に立ち返るなら、うまく解決できるはずです。

起業して得た教訓

そこで最後に、私が最初のスタートアップと2番目のスタートアップの間で学んだ5つの教訓を皆さんにお伝えしたいと思います。

まず一つ目は、これから何かを始めようとする時に、次のことを理解すべきだということです。「これは私が取り組むべきアイデアだろうか?」そして、情熱があなたを駆り立てているのか、それとも好奇心やフラストレーションなのか、自問するべきだと思います。情熱が難しいのは、それが自信につながるからです。答えを知っているような気分にさせてくれます。しかし好奇心があれば謙虚さを保ち質問をし続けることができます。フラストレーションはやる気を起こさせます。

多くの人が知っているように、創業者になることは、最初は孤独なことです。人と話す必要がありますが、誰と話せばいいのでしょう?

最初のうちは、二人とも初めての創業者だったので、「そうね、専門家に話を聞いてみましょう。アドバイザー、投資家、スタートアップ業界に携わった人たちと話をしよう」と思っていました。しかしこれには次のような問題があります。つまり、今までにないことをあなたはしようとしているということです。専門家はいません。これを実現する唯一の方法は、ユーザーと話をして、少しずつ前進を繰り返すことです。

プロダクト。これについてはどれだけ話しても十分ということはありません。スタートアップを構築することは、製品を作ることではなく、問題を解決することです。製品は美しくなくても、完璧でなくてもいいのです。しかしそれは問題を解決できるものである必要があります。

資金調達に関しては、私の最初のスタートアップでは、大企業時代と少し似たアプローチをしたと思います。それを消費しなければならない予算のようなものだと思っていたので、比較的早くお金がなくなってもそれほどショックではありませんでした。

私は今、お金がこれらの実験を実行するための貴重な時間であることを知っています。これらの実験がうまくいけば、あなたは収益性を得られるか、あるいは次のラウンドで資金を調達し、次のレベルに到達するために必要なことを示す方法を見つけられるようになります。

最後は何に集中するかついてです。創業者としては、これが一番難しいことだと思います。「何に集中して時間をかけたらいいですか?」です。

最初のスタートアップを始めた頃、私は製品のローンチがすべてだと思っていました。具体的で、達成可能な目標に見えたからです。

しかし、成長がすべてだとそのあと気づきました。企業にとって非常に重要な指標を1つ選び、それを毎週一貫して成長させる必要があります。私の会社にとってそれは、予約がいっぱいになることです。予約の数を増やしているのであれば、私たちは仕事をしていることになります。

つまり、より多くの素晴らしいシッターを雇用し、より多くの素晴らしい家族を顧客として得て、彼らを効果的に繋げているということです。1つの数字を選び、一貫して成長させることを選択してください。

起業家としての2つの仕事

最後に私が言いたいのは創業者としての皆さんには2つの重要な仕事があるということです。

一つ目は始めること、二つ目は進み続けることです。

始めること

何かを始めて、それを一旦やめ、それからまた始めることの難しさを私は理解しています。また私はそれがどれだけ恐ろしいことかも知っています。しかし、もしまだ始めていないのであれば、この夏に四週間の期間を見つけてコミットしてください。何かをローンチして、毎週10%、20%成長できるかどうか試してみてください。

進み続けること

二つ目は、前進を続けることです。3回目の申し込みで私はようやくYCに入りました。Poppyは私の2番目のスタートアップです。私がこのステージに立っているのは毎朝私が創業者になることを選んでいるからです。私は続けることを選択しています。

皆さんの多くは、先に進むことができるかどうか確信が持てない状況にいるかもしれません。多くの逆境と多くの挫折がありますが、どうすれば先に進み続けることができるのかを理解することが重要です。

これを少し簡単にする為には、仲間を見つける必要があります。これを作るために私と一緒に日々を過ごしてきた素晴らしいチームがいなければ、私は今日ここにはいないでしょう。

しかし、私個人としては、家族、夫、子供、両親、そして素晴らしいベビーシッターも重要です。彼らがいなければ、私は創業者としての自らの務めを果たすために必要な余裕を持つことができなかったでしょう。

あなた方が同じような状況にいるなら、自分たちの仲間を見つけ、自分たちの「村」を作る必要があります。そうすれば創業者となるための余裕を作り、前進し続けることができます。

世界にはもっと女性の起業家が必要

これまでの3年間は信じられないほどの旅でした。私が確信していることが一つあるとすれば、世界にはもっと女性の創業者が必要だということです。

2年前、私は創業者になりたいという気持ちだけを持って、あなた方が今座っている席についていました。

私には特別なことは何もありません。目標を設定して、始めてみて、それを継続することを選択すれば成功できるということを、私が身をもって証明しています。

ありがとうございました。

 

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: Building a Startup Is Not About Building a Product, It’s About Solving a Problem – Avni Patel Thompson of Poppy (2017)

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