従業員向けストックオプションガイド

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Gusto (YC W12) でCEOを務めるJoshua Reeves氏が従業員のエクイティに関するGustoの新しいガイドについて説明します。

Gustoの従業員エクイティ・ガイドをダウンロードする

Craig : あなた方がこれを作成した理由は何ですか?

Josh : このガイドは私が作成し、社内で共有した文書から生まれました。多くの従業員はストックオプションの価値やその金銭的影響を理解していません。この仕組みは理解しにくいため、私がやるべきなのは、従業員たちに対してGustoの成功から最大限に利益を得るための知識を与えることだと感じました。このガイド内に書かれているコンセプトは主として、私がストックオプションを従業員にオファーした際に経験した上で、同じく他の起業家にも役立つだろうと実感した事項です。

私たちが資金調達を行ったとき、またはそこで私が採用候補者にオファーを行い、多くの詳細について詳しく調べたとき、私はいつも「標準条項」には納得いきませんでした。そのため、私たちは自社の将来にかなう独自のエクイティ構造を作成するとともに、他の創業者たちがこれと同様の決断を下した際に役立つ中心的なガイドラインと疑問点をまとめました。

Craig : わかりました。それでは、あなたの主張の中で主要なポイントは何ですか?

Josh : いくつもありますが、特に目立つのは3つです。

最初の1つは実際のオファープロセスに関連するものだと考えます。ある人がそのエクイティの詳細について知らないことが何度もありましたので、あらゆるオファーにおいて実際に伝えておかなければならないことが3つあります。相手はオファーされている株式の数を知らなければなりません。その人はその株式の価格を知らなければなりません。そして、その人はその企業の評価額か、その企業の発行済み株式数も知っていなければなりません。企業の評価額と発行済み株式数のうち一方を知っていれば、もう一方は計算できます。

オファーを受ける人の多くは自分が持っている株式の数は知っていても、それが何に相当するのかを知りません。そのため、まさにそういった基本的な詳細情報は常に伝えられるべきです。しすて、企業が常にそうしているわけではないと私は感じます。

Craig : なるほど。2つ目のポイントは何ですか?

Josh : 2つ目のポイント、これはもっと大きなポイントで、権利行使に関連するものです。受給権付与のスケジュールには、それに付随するクリフ (権利行使制限期間) があります。Gustoでは、長期にわたって事業に従事しているため、5年間としています。そのため、私たちはより多くのエクイティを付与しますし、その受給権付与のサイクルはもっと長期的です。ですが、このサイクルを企業は選ぶことができます。

権利行使とはオプションの権利を行使する能力、すなわちお金でオプションを購入し、それを実際のエクイティに変えられることを意味します。ほとんどの企業はその従業員に対し、早期の権利行使を認めていません。権利行使は常に従業員に選択の権利があります。ここで企業が行わなければならない指導というものはありませが、私の意見としては、企業はその従業員に対して必ず早期に権利行使をするという選択肢を与えるべきです。なぜなら、早期の権利行使には、それを選択した場合、極めて明確な税制上の優遇がいくらか存在するためです。それが有益かどうか、かいつまんで手短に話すこともできますが。

Craig : ええ、ぜひお願いします。

Josh : わかりました。では、ある人が会社に入社する場合、大まかに3つの段階があります。彼らが入社したばかりの期間、これを最初の数か月から1年間とします。その際に、その人はストック・オプションを付与されます。その人が早期の権利行使をできる、つまりその人がその年内に自分で資金を出し、それらのオプションを購入して株式を取得できる場合、その株価とオプションの価格が等しければ、その人は基本的に権利行使の時点で税金がかかりません。単に自分の株式を売却するときに税金を払わなければならないだけということになります。

そこには最高の税制優遇が存在します。しかし、最高のリスクもあることははっきり言っておきます。それは基本的に投資家としての振る舞いで、企業が成功しない場合はその資金を失う可能性があります。

真ん中の期間はどっちつかずの曖昧な状況です。なぜなら、2年勤務し、権利を行使できるうえ、その企業が成長している場合には株価も上昇してはいるものの、まだお金をもらっていないからです。ところが、その年には税金がかかるかもしれません。また、その企業は流動性が低いため、この時は自分のポケットから税金を支払わなければならないかもしれません。それは生活の当てにはなり得ないものなので、考えるのに気乗りしないお金になってしまいます。

次に、ある人が権利を行使できるうえ、株価もかなり大幅に上昇しているIPO期間がありますが、その人はすぐに売却してその年の税金を支払うためのお金を入手する可能性があります。その人が支払ったオプション価格とその時点での株価の差額に基づく税金があるためです。その企業はすでに流動性が高くなっているため、そのアプローチは最も保守的なものです。ですが、所得税をすでに支払っているため、税率は最も高くなります。一つ目のシナリオと比べて、あなたは長期資本利得 (これ自体は良いものです) に対して税金を支払っているわけです。ここでは、オプションの権利行使と流動化イベントの間にある時間遅延が1年を超えていると仮定しています。

主なポイントは、従業員にはその違いを理解する権利があるべきだ、という点です。例えば何らかの流動化が起きる前に自分で資金を支払うなど、特定のやり方は文字通り税額を半減させる可能性があります。ある人がスタートアップへの入社を望んでいる場合、その人に対してはこのような情報を提供することこそがフェアであるように思われます。

オプションの見地からは、早期の権利行使はその企業の仕事を増やします。ある人がその企業を離れた場合、その人は受給権を付与されていなければ、オプションを全部は受け取れません。つまり、その人が4年満期のオプションを付与されて2年後に退職した場合、企業は基本的に受給権を付与していない2年間分のオプションを取り戻すことになります。

その従業員が自分にとって大切なこととして退職を選択したのであれば、私にとってはあらゆる事務処理や諸経費も単に成すべきことです。そして、誤解のないように言うと、それは個人的な意思決定であるため、これに対して企業は決して指導を行うことができません。このエクイティ・ガイドは単にそのメリットとデメリットを明確に示し、従業員たちにその選択をさせるためのものです。

Craig : わかりました。次のポイントに移りましょう。

Josh : はい、このもう一つのポイントは「金の手錠」と呼ばれることに関連します。これは変わりつつあるものです。会話の中で取り上げられることも増えていますが、まだそれほど一般的でもありません。重要なポイントは、ある人が権利を行使しない、あるいは権利を行使できないと判断してその企業を辞める場合、その人のオプションには3か月の期限が設けられていることが通常だという点です。そのため、その人は退職後から3か月以内にそれらの権利を行使しない限り、そのオプションを失います。これは考えてみるとちょっとおかしな話です。その人は時間をすでに投資し、企業にすでに貢献し、事業をすでに有意義な形で助けているからです。その人はただオプション価格、あるいはその利益に対して支払うことになる代替ミニマム税 (AMT) を支払う期限までに現金を持っていないというだけの理由で、そのオプションを失ってしまいます。これはあまりフェアとは思えません。

株式を失わないためだけに人々が企業に留まり続けるので、それらは金の手錠と呼ばれています。私はそれを全く別の問題だと考えています。すなわち、「残留と受給権付与」の問題と言ってもいいでしょう。人が企業に留まる理由とは、その人がその仕事を本当に大切に思っているから、その製品の価値を信じているから、同僚たちが形作る会社を楽しいと感じているから、そういうものであるべきです。ただ金銭的な動機のみを理由に留まるべきではありません。

そのため、私がそこで重要だと確信しているのは、人々に柔軟性を与えることです。それが全社的なものだとは思いませんし、ある人はそれを獲得しなければならないと思います。そのため、例えばGustoでは、最低3年間ここで勤務している全員について、その有効期限を3か月間から10年間に変えています。

その思考プロセスは次のようなものです。もし仮に、ある従業員が自分の家族と同居するために引っ越さなければならないとしたら、あるいは遠くに住む幼なじみの恋人と結婚しようとしているとしたら、これらは非の打ちどころのない立派な決断ですし、罰するべきものでもありません。その人たちは依然としてその功績を表彰されるべきですし、そのオプションを流動化の時まで維持した上で権利を行使できる能力、勤めた企業の株式を失わない権利を有しているべきです。

Craig : 素晴らしい。Ben Horowitz氏はこのことについてかなり雄弁に語っています

Josh : ええ、確かに。人は自分の仕事が高く評価されていると感じていなければなりません。ある企業のオーナーとして扱われるべきです。私たちはこれに関するアドバイスを何度も求められています。私は喜んでアドバイスしますが、その多くは決して難解な論理ではない、ただの知識です。従業員たちも理解し、学ぶことに時間を使うべきです。

また重ねて言いますが、そこには関連事項が膨大にあります。例えば、早期の権利行使の要素にまつわるものです。これらは大きな流れの中ではささいで贅沢な悩みかもしれませんが、もしある人が早期の従業員エクイティを持っていて、その価値が1,000万ドルになったとしたら、長期的資本利得税と所得税は比較するとそれぞれ20%と40%になります。つまり、税額において200万ドルの差となります。これは仮にその人がオプションの早期権利行使に対し、おそらく20,000ドルを使っていれば、軽減できていたはずのものです。この場合もやはり、人々はそのメリットとデメリットを知っておくべきです。「私は早期権利行使がどんなものなのか、それさえも知りませんでした。間違いなく、私の会社は私がそれを知るようにはしてくれませんでした」と語る人々と私は話したことがあります。

私がオファーを行う際に強調する主要なポイントは、これが単なる取引面だけに関わるものではないということです。ある人がその企業のオーナーになったとき、あなたはその人をどう扱うのか、その人に対して伝える情報や払うべき敬意をどう扱うのか、という問題でもあるのです。

 

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: A Guide to Employee Equity (2016)

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