世界クラスのチームを作る (Sequoia Capital)

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The Building Blocks of a Data-Informed Companyデータに基づく企業を構成する要素)」では、企業が成功する上で最も重要な2つの特徴として、インパクトを徹底的に重視することと(最も重要なことに取り組むこと)、データインフォームド文化を構築することを挙げました。さらに、「Why Data Science Matterなぜデータサイエンスが重要なのか)」では、データサイエンスの重要性に加え、企業が製品の構築に役立てるために、なぜデータの活用を重視する傾向が強まっているのかについて説明しました。ここでは、データインフォームドな文化の要である、「ワールドクラスのチーム」について見ていきたいと思います。

長生きする企業を構築するのは容易ではありません。一般的に、企業が失敗する理由は野心やビジョンが欠けているからではなく、その実行方法がお粗末だからです。何十年にもわたり、信頼性の高い製品を大規模に作るには、全てのレベルで最上級の人材が必要です。

チームを管理する方法を扱う数々の書籍や記事が出版されてきましたが、非常に有能な従業員からなる世界クラスのチームの構築について説明したものを私たちは聞いたことがありません。A+級プレイヤーからなるチームの構築と管理にまつわる課題は独特なものです。高校のバスケットチームではなく、ゴールデンステート・ウォリアーズを監督するのに多少似ています。コーチは様々な課題を抱えています。ここでは、こうした課題について説明すると同時に、これらロックスターを管理する方法や、世界クラスのチームを構築する上での指針を、3つの要素、すなわち人材、文化、プロセスを中心に説明したいと思います。ここで説明する指針のほとんどは全ての職務に応用できるもので、データサイエンスに限った話ではありません。

世界クラスの組織を構築するには、人材、文化、プロセスの3つの重要な要素が伴います。

  • 人材 — 素晴らしい会社を作るには、A+級プレイヤーを採用し、良好な成績を達成させ、将来のリーダーになれるようコーチングやメンタリングを行うことが必要です。
  • 文化 — ボトムアップ文化を定めて人材の卓越性を高いレベルに向上させ、会社第一を重視し、説明責任・当事者意識・信頼をコアバリューとする強固で透明性の高い組織を構築することは、全て非常に重要な要素であり、世界クラスのチームを構築するにあたり慎重に検討する必要があります。
  • プロセス — インパクトの理解、測定、促進を徹底的に重視し、共通の目的を示したり、高いハードルを設定して卓越性を推進することは、世界クラスの組織を構築する上で重要なものです。

人材

どれほど優秀な組織になれるかは、採用する人材で決まります。インパクトを最大化するため、企業はA+級プレイヤーの採用に注力する必要があります。トップ人材を取り込むことができたら、最大限に努力するよう促し、将来的に会社でリーダーにするため、メンタリングを通じて投資を行うことも重要になります。

A+従業員の雇用、管理、離職防止

素晴らしいチームを構築する上で、適切な人材を雇うことが最も重要な要素です。早期の段階で、文化の担い手となるA+級プレイヤーを徹底的に採用する必要があります。こうした優秀な人材は、困難ながらもしっかりと定義された課題を好みます。彼らは姿勢が素晴らしく、強固な成長マインドセットを持つのに加え、困難な問題に対して常に創造的な解決策を見い出すことができます。また、彼らは積極的な姿勢で物事に取り組み、自分の業務について高い当事者意識と説明責任を持つことができます。彼らのやる気とリーダーシップは、他者への模範にもなります。A級プレイヤーはB級プレイヤーに対して何倍もの成績を達成しますが、A+級プレイヤーは、そのA級プレイヤーに対して何倍もの成績を残すことができます。世界クラスのチームを構築するには、ゆっくりと採用を進め、組織をA+級プレイヤーで固めましょう。

「平均的人材が達成できることと、最も優秀な人材が達成できることとの差が、50〜100倍であることに気づきました。これを踏まえて、上澄みの人材を狙うことが得策でしょう。A+級プレイヤーからなる小規模なチームは、B・C級プレイヤーのチームよりずっと良い仕事ができます」— Steve Jobs

こうしたエリート人材を管理するには、A・B級プレイヤーの場合とは全く違う課題が伴います。多くの場合、管理を受ける人材は、管理する本人より様々な側面で優秀です。その社員が、会社の他のグループや、他の会社に対する選択肢・機会に恵まれていることも非常に多いです。

こうしたA+級プレイヤーへの需要は高く、多くの場合、彼らのあなたに対する必要性よりも、あなたから彼らへの必要性の方が高いことが多いです。したがって、離職を防止するには、社員にとってやりがいがあり、指導的役割へと向けた教育を受けられ、あらゆる学習の機会が与えられる環境を構築することが、最適な方法です。また、こうした特別な人材に対して、業務を通じて互いに学ぶ機会を提供し、時間を有効活用できるよう障壁を取り払うことも、離職防止に役立ちます。究極的には、A+従業員が、自分の会社から投資をされているんだと確かに感じられるようにすることが重要です。

将来のリーダーの育成

健全な組織であれば、将来のリーダーたちが各職位で教育を受け、自分の出番を待っています。こうした環境を作れた企業は、自社の使命と強い結びつきを持ち、業務遂行の方法を熟知した文化の担い手を昇進させることで、規模を適切に拡大することができます。外部からの人材を指導的役割へ向けて教育するのは困難な場合が多く、また内部のリーダーたちを昇進させることは、トップ人材の離職防止にも役立ちます。

「偉大なリーダーが、偉大なことをする人とは限りません。偉大なリーダーとは、部下に偉大なことをさせる人をいいます」— Ronald Reagan

力強いリーダーになれるよう、A+級プレイヤーを育成しメンタリングすることは、世界クラスのチームを構築する上で不可欠な要素です。トップ人材に対して時間を割き、会社で特に優秀なリーダーたちに触れる機会を与えることに加え、最もインパクトの大きい問題の解決にトップ人材の時間を優先的に配分し、それに取り組むための積極的で測定可能な目標を設定することで、トップ人材が限界まで成長できるようにすることが、マネージャーにとって重要です。

職務リーダーを分野リーダーに転換

持続可能で好業績の組織を構築する文脈では、単に職務のリーダーであったトッププレイヤーを、分野のリーダーに転換することが重要です。製品チームにおいては、世界クラスのエンジニアや設計者を、製品リーダーに転換することがこれに当たります。こうしたリーダーは最も困難な設計上の問題を解決できるだけでなく、製品の方向性を定め、製品のロードマップや戦略を確立することができます。人材を転換する別の手段として、本人の領域における専門家に仕立て上げ、分野における世界的リーダーにするという方法もあります。人材の興味やスキルセットに加え、個人と会社双方が持つ機会や長期的目標を精査した結果は、全て重要な検討事項になります。

一般的に、社員は職務経験を積めば積むほど、プロダクトマネージャーの性質を帯びるようになります。彼らには2つの顔があります。一つは職務リーダー(チームの専門能力を活かして製品を成功させる)で、もう一つは製品リーダー(製品の戦略やロードマップについて全体的な指導を行うことで、製品を成功させる)です。したがって、職務リーダーをメンタリングして製品リーダーに育て上げることは非常に重要です。

互いを大事にする経営陣

A+級プレイヤーについては詳しい説明を行ってきましたが、企業は賢いリーダーを持つからといって、必ずしも業績が優秀であるとは限らないという点も重要です。業績が良い企業であれば、リーダーは共に働くことが大好きです。社員が一緒に働くことに喜びを感じれば、会社に残る可能性が高まります。また、全てのレベルで戦略と実行を一貫性のあるものにするためには、一貫性のあるリーダーシップが非常に重要です。頻繁にリーダーシップを変更するには、莫大な費用がかかります。大きな問題の解決へ向けて社員と共に尽力する、力強くて楽しそうなリーダーたちが、会社の命運を握っています

文化

ボトムアップ文化を醸成して人材の卓越性を高いレベルに向上させ、会社第一を重視し説明責任・当事者意識・信頼をコアバリューとする強固で透明性の高い組織を構築することは、全て非常に重要な要素であり、世界クラスのチームを構築するにあたり慎重に検討する必要があります。

エンパワーメントのボトムアップ文化を醸成

ボトムアップ文化を構築して、社員が下意上達にもとづき製品を構築できるようにすることは、長生きする会社を構築すための、唯一現実的で持続可能な方法です。適宜物事を大目に見ることも含め、エンパワーメントのボトムアップ文化を醸成することで、人材の能力を最大限に引き出し、創造力を養うことができます。情報の流れに関するツールやプロセスを確保すると同時に、コミュニケーションで高い透明性を保つことは、良質なボトムアップ文化をなす重要な要素です。

トップダウン文化ではリーダーの数が少なくなり、サービス中心の文化となり、会社への信頼は低下し、会社のポテンシャルが損なわれてしまいます。トップダウン文化では、社員は常に指示を受け、経営陣に対して奉仕的になるので、従業員のエンパワーメントに繋がらないことが一般的です。これにより、トップ人材の当事者と説明責任が損なわれることが多く、革新と変革を推進するリーダーになる道が閉ざされてしまいます。

会社第一の文化

素晴らしいチームには、自己中心的な人材の居場所はありません。とにかく会社に対して何ができるか、人材が考えを巡らす文化を構築することが重要です。トップ企業はある基本理念にしたがっています:一に会社、二に組織、チームが三で、個人が四。全ての従業員は、基本理念として会社第一の文化を守らなければなりません。これは、上級マネジメントチームに特に当てはまります。経営陣が会社第一でないと下位の従業員に思われている場合、会社で信頼を構築することは極めて困難になります。

信頼の置ける環境の構築

人材が会社経営陣を信頼できると感じていなければ、世界クラスの組織を構築することは不可能です。トップ人材はにべもなく立ち去り、それと比べ他に選択肢のない人材だけが残るでしょう。全てのレベルのマネジメントにおいて、信頼を構築することが最重要課題です。

信頼は様々な方法で構築することができます。例えば、手本を示して指導したり、オープンで透明性の高いコミュニケーションを行ったり、結びつきの強い対人関係を構築したり、必要に応じて力強い行動と決定がなされるようにしたり、昇進と表彰を成果ベースにしたり、などです。しかし信頼を構築するのは最も難しく、逆にそれを失うのは最も簡単です。チームの規模が拡大し、マネージャーとチームメンバーとの距離が離れると、良好な直接的関係を構築したり、チームの社員と共に時間を過ごすのが極めて難しくなります。これにより、信頼を構築するどころか、信頼済みの関係を維持することすら困難になります。

社員は、あなたに大事にされていると感じ、正しいことをしてもらえると思えたときに、業務に集中してインパクトを作り上げることができ、またキャリアの管理に悩む必要も無くなります。大事にされていると感じたときに、システムに信頼を置くことができます。

アイデアと人材のダイバーシティ

ダイバーシティは、信頼醸成に関わる文化構築のもう一つの側面です。ダイバーシティ(性別や人種など)は、どの会社が成功するにも重要なものです。多様性のあるアイデアは、多様性のある体験から生まれることが主な理由です。また、意見とアイデアのダイバーシティを奨励することも重要です。強力なチームを作るには、人材が自由にアイデアを表現し、最も優れたアイデアが採用される環境が必要です。多くの会社では、優れたアイデアよりも上司のアイデアが優先されます。これは大惨事を招きます。

誰でも間違いを認め、人の評価を恐れず意見を表明でき、安全と自信を与えてくれる文化を醸成することは、学習を促したり、説明責任の基準を定める上で重要です。

プロセス

インパクトの理解、測定、促進を徹底的に重視し、共通の目的を示したり、高いハードルを設定して卓越性を推進することは、世界クラスの組織を構築する上で重要なものです。

チームのスケーリング

少数の従業員で世界クラスのチームを構築するのは比較的簡単です。従業員の数が増えると、スケールするのが困難になります。トップ人材を雇用し離職を防止する上での主な障壁は2つです:競合(優れた人材はアーリーステージにあるポテンシャルの高いスタートアップに転職することがあります)と、間違いによる劣った人材の採用(採用後さらに劣った人材を雇用してしまう)です。したがって、数千人の従業員を抱える好業績の企業であっても、A+人材だけとは限りません(以下のSteve Jobsの引用を参照)。

「A級プレイヤーはA級プレイヤーを雇いますが、B級プレイヤーはC級プレイヤーを雇い、C級プレイヤーはD級プレイヤーを雇います。そのうちZ級プレイヤーが雇われるでしょう。こうしたトリクルダウン理論によって、企業ではbozo explosion(愚の連鎖)が生じます」— Steve Jobs

規模の拡大を効率的に行うためにも、社内には夢想家や戦略家、手腕家が必要です。夢想家は夢を思い描き、会社のビジョンを構築することができます。世界の傾向や、製品の変化、人々の行動の他、会社の製品・使命とビジョンとの関連について、明確に説明することができます。また彼らは、会社の成功に必要な、適切な戦略を策定し説明することができます。彼らは「第二次集団」や戦略家などと共同で、成功へ向けた適切な戦略の策定を支援します。こうした数十人の戦略家らが、会社内外の知見にもとづき、会社の方向性を改善し続けます。また、会社が真の成功を遂げるには、優れた手腕家が目標とロードマップを果たす必要があります。手腕家は優れた組織文化を構築し実践することで、従業員数が最小限であっても、最高品質の製品を可能な限り迅速に構築することができます。

卓越性の追求と高いハードルの設定

スケーリングによって品質劣化という代償が生じてはなりません。組織が最も高いレベルで機能するためには、チームのスケーリングと構築のプロセス全体を通して、高いパフォーマンスの文化が必要です。人材は、何をするにも卓越性を追求しなければなりません。皆が卓越性の姿を明確に理解して、高いハードルに身を投じれば、力強い業績がそれに続くでしょう。

卓越性の追求には、複数の側面があります。言葉でコミュニケーションを取るのが得意な人でも、書面では苦手かもしれません。従業員は、自己認識とコーチングを通じて、自らの強みに重点を置くと共に、進歩する上での自分の弱みが足枷になっていないか確認する必要があります。全てを得意分野にすることは不可能ですが、高いハードルを設定すれば、重要な物事について改善することができます。

「卓越性とは、鍛錬と習慣化で得られる芸術です。私たちは、美徳と卓越性があって正しく振る舞うのではなく、逆に正しく振る舞うことで、美徳と卓越性が得られます。私たちは習慣からなります。したがって、卓越性は行動ではなく習慣です」— Aristotle

卓越性を追求する上でもう一つ重要なのは、他人と切磋琢磨するのではなく、自己鍛錬を積む文化です。切磋琢磨は信頼を損ない、いつしか有害な環境が生まれます。フィードバック、自己認識、自己鍛錬の文化においては、卓越性と高いハードルの設定が尊ばれる環境が生まれます。

インパクトの重視

優れたチームを構築し、A+級プレイヤーを採用し、適切な文化を構築したとしても、インパクトの推進に注力しなければ、チームは優れた業績を達成できません。ここで最も大事なことは、全員が会社にとって最も重要な問題に取り組むと同時に、インパクトの獲得へ向け、時間に対して積極的な優先順位づけを行うことです。

「最大限のインパクトが欲しければ、常に最重要課題の解決に注力することが近道です。一見簡単ですが、ほとんどの会社はこれを怠り、長い時間を浪費していると思います。Facebookの社員は、取り組むべき最も大きな問題を見つける名人であることを期待されています」 — Mark Zuckerberg

インパクトは主に3つに分けられます:メトリクスの変化、製品または事業への影響、プロセスへの影響。これらは互いに被る部分もありますが、インパクトを測定する上で優れた方法です。

例えば、月間アクティブユーザー(MAU)目標を達成するなど、チームに特定の目標があるときに、チームメンバーがMAUを改善する創造的な方法を見つけ、それを実行することが可能な場合、インパクトが生まれたことになります(ここではメトリクスの変化)。製品の方向性を変化させるロードマップを策定した場合にも、インパクトが生まれます。例えば、詳細な予備分析を通じて、インドでAndroidへのSMS通知に注力することで、月間アクティブユーザー数が増えることを見出した場合、インパクトは多大です(製品への影響)。また、自動化とスケーリングを行う革新的な方法を見つけることができれば、少ない手数でより多くの業務をこなせるようになります。この場合、プロセスの変化に影響を与えたことで、インパクトが生まれます。

私たちは、社員への報酬を成果とインパクトベースにする必要があります。適切な報酬体系が無ければ、インパクトの重要性を認識させるのは困難です。

共通目的

社員が会社第一を重視するよう促すには、共通目的を定めることで、帰属意識を醸成することが何より重要です。帰属意識とは、組織のなかの「私たち」の感覚です。共通目的を達成するには、皆をひとまとめにする力強い使命としての目標、すなわち共通の信念や価値観が必要です。これらは、人材が、何をすべきか、どうしてすべきかについて軌を一にすることに加え、意思決定を改善するのに役立ちます。

「チームワークとは、共通のビジョンへ向けて協力し合える能力です。個人的な業績を、組織の目標に差し向けることができる能力です。普通の人が、普通以上の結果を生めるようにする燃料です」— Andrew Carnegie

データドリブンな組織においては、主に共通の目標(日本語訳)を持つことで、共通目的に対し足並みを揃えます。

検討事項

量のために質を犠牲にしてはなりません。企業の多くは量のために質を犠牲にしています。インパクトが大きい小組織ではなく、巨大な組織を構築することを奨励しています。そうではなく、一人あたりのインパクトを強化することを奨励しましょう(少人数の人材でも、少ない手数でより多くの業務をこなせるようにする)。さらに、プロセスを通して業務の質を改善し、業務をスケーリングできるよう、より高いハードルを設定することを奨励しましょう。

興味深い仕事をすることがインパクトではありません。インパクトは、実行可能な仕事を通じて得られます。興味深い洞察も、インパクトに繋がるとは限りません。全ての業務について、「だから何?」を自問することが極めて重要です。自分が持つ手段や、自分が取れる行動を把握し、それを洞察を結びつけることで、実行可能なものにしなければなりません。

動き回ることは、進歩やインパクトではありません。社員は、忙しいことと、進歩してインパクトを獲得することを混同しがちです。インパクトを徹底的に重視し、インパクトに繋がらないあらゆる業務を削減しなければなりません。

並外れた人材のみを雇いましょう。自分の会社が急成長企業であり、並外れた人の面接をしたのであれば、その人は必ず採用しましょう。その人材に適した分野が今の時点であるかどうかは気にしないでください。チャンスは常に訪れるもので、そのときに並外れた人材を見つけるのは非常に困難です。並外れた人材は、最も供給不足なコモディティです。

トップ人材に投資しましょう。マネージャーは、たとえ過度であっても、A+級プレイヤーには長い時間を割くべきです。彼らは、他の人なら不可能な方法で、あなたの会社や組織をスケールすることができます。マネージャーの多くは、低成績のチームメンバーに時間を割きすぎており、助けを必要としないロックスターには時間を使いません。そのメンバーをレベルアップしたいのが主な理由です。しかし、A+級プレイヤーを育成すれば、他のプレイヤーの成長を早め、会社の将来のリーダーに育て上げることにも役立ちます。

外部の上級人材を、内部で容易に代替できない重要な職務に採用することは控えましょう。外部から採用するより、可能な限り内部の人材を昇進させるのが得策です。会社内で成長してこそ、文化の強力な担い手になる術を学ぶことができます。厳しい現実ですが、企業が規模を拡大するにつれ、意思決定は強力な関係を構築することで下せるようになります。成果ベースの会社では、こうした関係は繰り返しインパクトが発揮されることで作られます。最後に、従業員は社内で昇進する人を見ることで、キャリアを前進させる好機を見出すので、このことでも会社に対する信頼を醸成することができます。

ゆっくり採用しましょう。急成長する会社の需要に追いつくため、急いで採用したくなるかもしれません。しかし、大きな企業ほど大きなオーバーヘッドが伴うので、妥協して質より量を重視することが多いです。会社が規模を拡大するにつれ、質のトレードオフは後戻りしにくくなります。

自己中心的な人材を採用しないことと、「悪態禁止」ルール。私たちは頭のいい人を採用したいがゆえに、幸せなチームを構築する上でその人が与えるマイナスの影響を軽視することがあります。Bob Suttonが、不快な行動と、それが職場に与えるダメージについて語っています。社員が、会社が自分にしてくれることではなく(より多くを受ける権利を持つと感じ、自己中心的でいる)、自分が会社にできることについて考えを巡らす文化を持つことも、非常に重要です。

まとめ

  • しっかりとした考えにもとづき採用し、トップレベルの人材を中心に組織を構築しましょう。
  • 当事者意識と透明性の文化を通じて、その人材が自立心にもとづき行動できるようにしましょう。会社の将来的なリーダーたる彼らには投資を惜しまないようにしましょう。
  • 誰もが最上位の目標に対して大きなインパクトを持てるよう、卓越性について高い基準を定め、最重要事項に取り組めるよう優先順位づけを行いましょう。

この記事はSequoia Capitalのデータサイエンス・チームによるものです。Chandra Narayanan、Hem Wadhar、Ahry Jeonが共同で作成しました。データサイエンスシリーズの完全版はこちら。ご質問、コメント、その他フィードバックがございましたら、data-science@sequoiacap.comまでお問い合わせください。

 

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: Building World-Class Teams (2019)

 

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