スタートアップのための時間の優先順位付け (Startup School 2019 #15)

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Adora Cheung
皆さん、こんにちは。Kevinから紹介がありましたが、YCでパートナーを務めているAdoraと申します。

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本日のテーマは、時間配分における優先順位の決め方です。

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皆さんご存知のように時間は貴重なもので、スタートアップに従事している時は特にそうです。時間の浪費は資金の浪費につながり、資金はスタートアップの存続を左右する非常に根本的なものです。

哲学的要素が強い話は避けますが、個人のバーンレートが非常に低い場合、何日もラーメンを食べて生き延びることはできます――お勧めはしませんが。また、かなり長い期間にわたって自分に給料を支払う必要はありません。

スタートアップに従事する場合、常に高い機会費用が発生するため、スタートアップが成功するチャンスを最大化するために、可能な限り最善の方法で時間を使うことが非常に重要となります。つまり、スタートアップの進捗に最大のインパクトを及ぼすタスクを認識し優先させる能力が求められます。

これは、スタートアップスクールに参加する創業者から毎週提出される数千に上る進捗報告を見ていて気付いたことです。多くの創業者はこれがうまくできていませんので、今回の講義が皆さんの役に立つことを願っています。

ではまず、今回の講義のテーマである時間の定義から始めましょう。

時間の定義

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当然のことながら1日は24時間と決まっていて、私はスタートアップと、それ以外で皆さんにとって重要な睡眠、家族、友人、趣味などに時間をどう配分するかを説明しに来ているわけではありません。

置かれた状況は人それぞれであるため、壇上から皆さんに向けて講義を行う立場では、それらに対する時間の配分法に関して一般的かつ有益なアドバイスをすることは難しいです。なので皆さんがご自分にとって最善の行動として、1日のうち2時間、6時間、または12時間をスタートアップに費やすことを決めたと想定してお話ししようと思います。

本日の講義の趣旨として、何時間スタートアップに費やすかは私にとって重要ではありません。本日の講義の目的は、スタートアップに費やそうと皆さんが決めたその2時間、6時間、または12時間を無駄なく使う最善の方法を見出すためのアドバイスを提供することにあります。

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さて、スタートアップで取り組むべきことに関してですが、皆さんはすでにタスクリストのようなものを持っていて、そこに今後取り組む予定の新たなアイデアなどを記入して頻繁に更新していると思います。

やるべきことをまとめたこのタスクリストから話を始めましょう。

本物の進捗と偽の進捗

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第一に、スタートアップにおける本物の進捗と偽りの進捗とを明確に区別しておきたいと思います。これは実行すべきタスクと実行すべきでないタスクに分類するための最も簡単な方法です。

タスクがスタートアップにおける本物の進捗に貢献するものである場合は、その実行を検討する必要があり、そうでない場合は検討する必要がありません。これは一見、些細なことのように思えます。スタートアップにとって偽りの進捗になるようなことをする人がいるでしょうか?

本物の進捗はプライマリ KPI へのフォーカスから生まれる

より詳しく説明しましょう。スタートアップの本物の進捗は、スタートアップに大きな変化をもたらすことにフォーカスしている時にもたらされます。創業当初においては何よりも、成長、特にプライマリKPIの成長が、本物の進捗を示します。

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KPIと目標については、数週間前に私が詳しい講義を行っています。その動画の視聴がまだという方はぜひご覧になってください。

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先日の講義ではプライマリKPIとセカンダリKPIについて詳しく説明しています。フォーカスすべきものには常にバランスが必要です。本日の講義では、成長のためにフォーカスすべきものとしてプライマリKPIのみを取り上げます。

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プライマリKPIは収益かアクティブユーザー

要約しますと、皆さんのプライマリKPIはほとんどの場合には収益かアクティブユーザーであり、

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常にそれらに関する週間目標を設定する必要があります。

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やるべきことはユーザーと話し、プロダクトを作ること

KPIを向上させるために、最もレバレッジが大きいのは、常にユーザーと対話し、プロダクトを作り、イテレーションを行う、という内容を含むタスクです。それ以外にはあり得ません。

偽の進捗のリスト

これと正反対である偽りの進捗では、創業者がプライマリKPIの成長に直接関係しないことにフォーカスします。

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毎週の進捗報告で私がよく目にするのは、カンファレンスへの出席、賞の獲得へのフォーカスなどです。ネットワーキング・イベントや、間違ったメトリックの最適化も同様です。

これらがフォーカスすべき大事なことだと自分を納得させることもできますが、顧客に真の価値をもたらすためにはそれ以前に多くのステップが存在します。

あなたが実行するかもしれないタスクの中に、このスライドに挙げたことが含まれていて、それに多大な時間を費やすのだとしたら、それはほとんどの場合、大きな間違いと言えます。

自分のエゴを最適化するのではなく、顧客への価値を提供する

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目標とすべきはスタートアップの見栄を最適化することではなく、実際に顧客に対して価値を提供することです。自社に直接効果をもたらす行動が、KPIの向上につながります。

タスクの優先順位付け

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自分が取り組むべきタスクを見分ける方法を掴んだら、次はもう少し深く掘り下げて、適切にタスクの優先順位付けを行っているかを判別する方法を見出す必要があります。

これも当初は些細なことのように思えます。皆さんは高価値だと思ったことに取り組んでいることと思います。「自分のスタートアップに最も役に立たないことをしよう」という人はいないはずです。

この活動はプライマリKPIのための最善策か?

しかし、これについて私は言いたいことがあります。プライマリKPI向上のためにできることは数多くあります。現在取り組んでいることは週間目標達成のための最善策でしょうか?そうではないことをする方向に自分を仕向けてしまっている可能性はないでしょうか?

これに関して私が懐疑的なのは、自分でも気付かないうちに、容易に低価値のことをスケジュールに含めてしまうものだからです。実際、そうならないようにするためには多くの作業と労力を要します。

実験:1時間単位で活動を書き出す

ここで実験をしてみましょう。前週の各日について何をしていたか、1時間単位で詳細に書き出してください。プライマリKPI向上という観点で、実行する前に自分が想定していたインパクトと、実際のインパクトを正直に書いてください。低価値の作業がどれほど多くあったかに皆さんは驚くと思います。

これは皆さんが怠惰だからではなく(そうでないことを願っています)、自動操縦に身を任せる人間のように行動しがちだからです。私たちはどのように自分の時間を費やしているかについて深く考えません。実際、人間の生来の本能は低価値の作業を志向します。

なぜなら一般的には、低価値の作業が最も簡単で手っ取り早く達成できるからです。そうすることで、リスト中のなるべく多くの項目に完了済みのチェックを入れたいという私たちの願望は満たされます。完了した時にチェックを入れるのは非常に気分が良いものです。こうしたことを認識した後、それを防ぐことは実に簡単ですが、時間、熟考および規律が必要となります。

プライマリKPIに影響するタスクを書き出す

そこでまずは、まだやっていないのであれば、プライマリKPIに影響するタスクについてのアイデアをまとめたスプレッドシートを作る必要があります。繰り返しになりますが、それらのタスクはほぼ常に2つのこと、つまりユーザーとの対話とプロダクト作りのバリエーションとなります。

ユーザーとの対話は3つのことに役立ちます。まず、顧客や収益への転換、あるいはその一助となります。次に、自分が正しい道を進んでいるかどうか理解するうえで役立ちます。そして最後に、自社プロダクトのロードマップを理解するうえで役立ちます。プロダクトを作ることでユーザーにソリューションが提供され、さらなる顧客そして収益に転換されるかを見極めることができます。

新しいアイデアは書き留めておいて、実行しないでおく

そうしたアイデアが浮かんだ場合、自分のスプレッドシートに記録し、それを続ける必要があります。しかし、重要なのはそれらをすぐに実行しないことです。書き留めるだけにしてください。

これが重要となるのは、思い付いたことは、その時は良いと思っても後日になるとそうでもないのが常であり、思い付きに飛びつくことは創業者にとって多くの悪いインパクトをもたらし、1週間で進捗が全く見られない主因となるのが常だからです。

タスクに重要度のランク付けをする

そこでこのリストを追跡していきます。スプレッドシート内の各項目を確認し、そのタスクが自社のプライマリKPIに関する週間目標の達成に与えると思われるインパクトに応じて、新たなタスクの分類および古いタスクの再分類を行います。

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リスト中の各タスクは、高・中・低という3つのレベルにランク付けします。これらの定義はリスト中の他のタスクと比較する相対的なものであるという意味で少々恣意的です。

一般的に高レベルと言う場合、週間目標の達成に資する可能性が高いと思われるレベルを指します。中レベルとは、確証はないが週間目標を達成に資する可能性がそれなりにあるもので、低レベルは週間目標達成に資する可能性が非常に低いものになります。

自分が行う可能性がある他のあらゆることと比較すれば、低レベルと高レベルのタスクがどういうものであるかを容易に理解できるはずです。

細かいことにこだわり過ぎているようにも思えますが、こうした演習は重要です。

ここで取り上げる例について説明します。私が一般的なSaaSソフトウェア企業の創業者でローンチしたばかりだとしましょう。私の翌週の目標は、新規の有料顧客を5人獲得することです。以下はその目標を達成するためにできることのほんのわずかな例でしかありません。

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最高レベルにおいては、自分ができる最もインパクトの大きなこととして、友人か誰かから紹介された潜在的顧客が10人いるオフィスを訪問することを挙げることができます。これまでの経験からそのオフィスを訪ねればその10人に自社プロダクトを購入してくれるよう説得できる可能性が非常に高いことがわかっているからこそ、最高レベルとしてリストアップされています。

次の2~3例はインパクトが中レベルのものです。なぜなら、これらはパイプラインを埋めることに関するもので、新規顧客獲得の一歩手前にあるものですが、最終的には必ず実行する必要があるからです。ここには2番目に重要なことが挙げられています。動画でのデモもリストアップされていて、これは効率性という点では直接対面でデモを行う場合には劣りますが、ある程度の新規顧客獲得につながるため実行する価値があります。

リスト下部を見ると、プログラミングに関する幾つかの項目があることに気付くでしょう。技術系の創業者が起こしがちな間違いとして、先にプロダクトを作り込み、その後にユーザーと対話する、ということが挙げられます。つまり彼らは、この週間目標の達成のためのリストを見て、該当週において最もインパクトが小さい項目を選んでしまうわけです。

しかし先ほどのメソッドに沿って誠実に取り組むのであれば、腰を上げてユーザーとの対話に出掛けていくほかに選択肢はありません。

このような週間目標達成に資するという意味でのインパクトというディメンションと同時に、タスクの複雑度に関する第2のディメンションも検討する必要があります。それは、自分および自分のチームがそのタスクを完了するのにどれくらいの時間を要するかということです。

なぜなら、インパクトに関する各カテゴリはミニタスクで構成されているからです。例えば、このリストでは中レベルは4つ、低レベルは3つのミニタスクで構成され、各カテゴリ内でどのようにスタックランク付けするかが問題になります。

複雑度を考慮する

そこで役立つのがこの複雑度というディメンションです。

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複雑度は容易・普通・困難という3つのレベルにランク付けすることができます。容易なタスクとは1日未満でできるもので、[聞き取り不能]その日のうちに多くの容易なタスクをこなすことができることを意味します。普通のタスクは完了までに1~2日要するものです。困難なタスクは完了までに多くの日数を要し、週内に完了できない可能性があるものです。

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全てのタスクのランク付けができると、このリストに2つ目のディメンションも加わって、インパクトと複雑度の両方に関するものが完成します。これにより、リスト上の全てのタスクを容易にスタックランクでき、優先的に取り組むべきものの選択も実に容易になります。

週間目標の達成を目指す場合、明らかに選ぶべき組み合わせはインパクト:高、複雑度:容易の組合せと、インパクト:高、複雑度:普通の組合せとなります。つまりまず高いインパクトがあり実行が容易であるものから最初に手をつけ、次に高いインパクトと普通の複雑度のものに進む必要があります。

避けたいのは、リストの下位に位置するタスクにフォーカスすることです。目標達成の一助となる可能性が非常に低く実行が非常に困難なものは、実行するのに長い時間を要します。そのようなタスクに取り組むことは全く無意味です。

一度に多くのことはしない

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そして取り組むべき適切なタスクを選択することが重要であるように、全てを一度にやろうとしないことも重要です。選択するタスクの数は、最後までタスクを完了させることができ、正確にタスクを実行することができる範囲内にとどめておくべきです。あまりに多くのことに手を付けると、多くのタスクを納得がいくレベルで完了させることができなくなり、各週において進捗が非常に困難になってしまいます。

優先順位の適切さを知る方法

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時間配分における優先順位付けが適切かどうかはどうしたらわかるのでしょうか?最終的には、週間目標を継続的に達成していれば、優先順位付けが適切であるとわかります。

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つまり、皆さんのグラフがこうなっていれば、適切であると言えます。

しかし残念ながら、私たちの大半はこのようなグラフになります。

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この悲しみの谷においては、右肩下がりになった後、低水準で横ばいとなります。こうした状態に直面すると「自分は正しいことに取り組んでいるのか?」と、自身を疑い始めます。こうした状況に対して私たちは何ができるのでしょうか?あるいは、どうすればその疑問に対する答えを導けるのでしょうか?

毎週の進捗報告を行う

1つの方法は、スタートアップスクールですでに行っているように、毎週の進捗報告を着実かつ正直に行うことです。

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毎週の進捗報告で重要となる要素は実に単純明快です。週間目標は何だったでしょうか?成功したでしょうか?成功しなかった場合、成長を妨げる最大の問題は何だったのでしょうか?何が実行され、どんなインパクトが予想され、実際にはどんなインパクトがあり、今週得られたものは何だったでしょうか?今週学んだ最大の教訓は何だったでしょうか?

毎週の進捗報告の評価を継続的に行うことで、タスク選びと優先順位付けに改善が見られるようになります。

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スタートアップについて最初に作成したものから直近のものまで全て、毎週の進捗報告に時折目を通すべきです。そして次のようなことを確認しましょう。十分な速度で学習していると思えるか、各タスクのインパクトを正確に予想できているか、低価値の作業、さらには偽りの進捗がスケジュールに含まれていないか、毎週同じのことが成長の最大の障害になっていないか、などを確認してください。

実際のところ多くの人は、新しいことは何も学ばず、気付かずに同じことを繰り返すという厳しい状況に陥ってしまいます。進捗報告を振り返ることは、自分の置かれた状況を認識し、そこから抜け出そうとする上で役立ちます。

タスクを完了できない人向けへのアドバイス

このスライドの最後にあります、タスクの完了についてですが、週内に完了させることは十分に可能だと思っていたのに、タスクを完了させる前にいつも時間が足りなくなっているという方に、私から2つのアドバイスがあります。

1つ目のアドバイスとして、皆さんのタスクは複雑すぎる可能性があり、その場合には複雑度が普通または容易であるものに分解する必要があります。

2つ目としては、皆さんのスケジュールを少々再調整する必要があるかもしれません。私がお勧めしたいのは、クリエイターとマネージャーのスケジュールと呼ばれるものの修正版です。

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このスケジュールはPaul Grahamが世間に広めたもので、そのエッセイはスタートアップスクールのライブラリにリンクがあります(日本語訳)。その基本的な考えは、異なる種類のタスクへのコンテキストスイッチのために大きなコストが発生するというものです。

例えば、コーディングとユーザーとの対話のようなミーティングですが、特にコーディングのようなタスクは再開し立て直すことが難しく、仕事がようやく軌道に乗り達成できることが多くなってきたタイミングでのエグジットはコストがかかります。頻繁にタスクをスイッチしてしまうと時間を浪費することになり、各タスクのために継続した時間が十分確保できるよう段取りを見直す必要が出てくる可能性があります。

多くの人は、週を1日単位で分割してスケジュールを立てますよね?丸1日をコーディングに費やし、次の丸1日をミーティングとユーザーとの対話に費やす、という感じです。それに対して私は、この1時間はこれ、次の1時間はあれ、というように時間単位でスケジュールを立てます。1日でより多くのことを達成する必要がある人は、半日をコーディング、残る半日をユーザーとの対話のために費やすでしょう。

単独創業者の方にとっては、こうしたポイントは極めて重要です。複数の人間で仕事を分担できないわけですから、正確なスケジューリングをすることが非常に重要となります。

迅速に行動すること=決定力

最後にもう1つアドバイスがあります。

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それは迅速に行動することです。スタートアップ創業当初は、皆さんの主たる目的は可能な限り迅速に行動して、ユーザーが求めるものを作っていると証明することにあります。それを理解するのが早いほど、より早く他のものにピボットすることや、Product/Market Fit (PMF) を達成したという確信を持つことが可能になり、さらには、スケールして大きなビジネスを手掛けることが可能になります。つまり、注意深く迅速に意思決定を行うことが非常に重要となります。

私たちは優柔不断であるがために時間を浪費しがちです。重要なのは、間違った選択をしてもそこから早く学ぶことを前向きに捉えるということです。もちろん、実行すべきことを最初から正しく選択できるのが理想的です。しかし、今日間違ったタスクを選んでしまい、迅速な行動を取った結果、なぜそれが間違っていたかを学んで正しいタスクへ移行する人の方が、取り組むべき適切なタスクをいつまでたっても決められず、その間、低価値の仕事に取り組み続ける人よりも得るものが多いというのも事実です。

まとめ

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時間配分における優先順位の決め方についての講義は以上で、最後に皆さんへのアドバイスを要約するとこうなります。

いかなる時も自社のプライマリKPIに直接インパクトを与えることに取り組んでください。週間目標の達成に最も高いレベルのインパクトを与えることに取り組んでください。それは何かという問いに対する答えは決まっています。

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ユーザーとの対話とプロダクト作りです。

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何か質問はありますか?

Q&A

OKR の利用について

話者2
このステージでのOKR(目標と成果指標)の使用についてどう思われますか?

Adora
OKRの使用についてどう思うか、という質問ですね。重要な目標とタスクを設定するというOKRのコンセプトは良いと思いますが、スタートアップでは必要ないと思います。必要なのはそれよりもっとシンプルなもので、具体的には週間目標と自分が達成したいタスクのようなものです。

その後時間をかけてチームが結成され、さらに従業員数が50~60人になって組織を管理する必要が出てきたら、OKRは優れたツールになります。はい、後ろの方どうぞ。

PMF前のフォーカス

話者3
Product/Market Fitが達成されずユーザーがチャーンしてしまう場合、何にフォーカスすべきでしょうか?例えば[聞き取り不能]でしょうか?

Adora
Product/Market Fitが達成されずユーザーがチャーンしてしまう場合、何にフォーカスすべきか?という質問ですね。これは良い質問です。

まずフォーカスすべきは課題の把握であることは間違いありません。解決しようとしている課題は何でしょうか?そしてその課題を解決するためのソリューションは何でしょうか?このように考えていくと、10人のユーザーを見つけること、という結論になります。

私たちはよく、自社プロダクトに夢中になってくれるユーザーを10人見つけなさい、というアドバイスをします。このことを実行してから、会社を成長させることを目指すべきです。ビジネスをスケールさせようとする前に実行すべきことがあります。はい、どうぞ。

ハードテックの場合

話者4
B2Bハードテック[聞き取り不能]、私が初めて取引するプルデンシャルグループのクライアントは当社の現在の生産量の400倍の数量を求めています。資金の支払の優先順位はどうすればよいでしょうか?

Adora
B2Bハードテック企業を経営していて、ユーザーを獲得するためには多くの資金が必要、という質問ですね?

話者4
1人の顧客が、私が実際に[クロストーク]できる量の400倍必要としています。資金[聞き取り不能]。

Adora
わかりました。ユーザーが1人いるものの、そのユーザーが求める量のプロダクトを提供するには資金が必要ということですね。これに対する答えは長くなってしまいそうですが、簡潔な説明を考えてみたいと思います。長い説明はさておき、簡潔な説明はこうです。

スタートアップスクールで、Pebble社の創業者であるEric Migicovskyが前回講義を行いました。その中で、投資家に[聞き取り不能]で会いに行く時に十分な証拠が揃っているよう、資金が必要となる前に考えておく必要がある全てのステップについて説明しています。

あなたの質問へのより直接的な答えとして、プロダクトの提供ではなくプレセールや契約の獲得という意味で、より多くの顧客の獲得に取り組むべきだと思います。なぜなら、多くのプレセールや契約を獲得する時、それらが前払いであれば、プロダクト作りのために投資家に頼る必要さえないかもしれないからです。

ですから、プレセールを試みてください。

プレセールで多くの需要があれば、そうした需要を投資家は好意的に受け止め、投資案件全体のリスクが低いと判断します。前払い契約も獲得できれば、さらに資金調達が容易になります。そうなれば投資家に対してより優位な立場に立つことができることは確かであり、ひいては投資家も不要になるかもしれません。はい、そこの方どうぞ。

機能の開発

話者5
先ほどあなたがお話されたいくつかのことについて少々違和感を覚えます。主に[聞き取り不能] [聞き取り不能]は外に出て行って、ピックアップし、10人と会ってそこから学び、時間の優先順位付けをするということでした。

先ほどの例では、タスクリストの最下部にキーフィーチャーがあり、それに最も労力をかけるべきではなく、2割ローキーのタスクになっています。しかし、市場からのメッセージが…顧客が[聞き取り不能]を求め、あなたのプロダクトを購入し、[聞き取り不能]がそこにあるとすれば、[聞き取り不能]最下部のタスクではなく優先的タスクになり得るのでしょうか?

Adora
なるほど。先ほど私は、キーとなる機能を作ることがリスト上では最下部にある事例をお見せしました。そして質問は、市場に求められている時にはそれを手掛けてはどうか?ということですね。スタートアップにおける進捗についての私の考え方は、何よりも自分自身を追い越さないことです。

私が挙げた例での目標はわずか5人の新規顧客獲得でした。どうすればこれを達成することができるでしょうか?そのようなキーフィーチャーを作れば1,000人の顧客を獲得できるかもしれませんが、現時点での目標は5人の顧客です。実際に1,000人の顧客を獲得できる可能性は低いため、最も確実に週間目標の達成につながることを実行する必要があります。ある時点で1,000人の新規顧客獲得が週間目標となれば、これは上位にスタックランクされるでしょう。

このチャートに戻ることにしましょう。チャートの下部には大きな機能のコーディングがある一方、こちらには大きな機能に関するユーザーからのフィードバック獲得があります。それが何かをもたらすかどうかはわかりませんが、既存ユーザー全員と対話を行って、まずそれを検証します。真ん中に位置しているのでまず検証します。検証後には、このタスクをさらに上位に移動させることもできます。はい、どうぞ。

時間のフレームワークの使い方

話者6
このフレームワークが実際に使用される事例を数多く目にされていると思いますが、例えば、最終的にはあまり役に立たない方法で使用している、必ずしも次の小さな[聞き取り不能]への到達に寄与しない方法で使用しているなど、このフレームワークを誤解してしまうスタートアップの事例はありましたか?そうした誤解を回避する方法はありますか?

Adora
どのようにして、このフレームワークが誤解され、誤った方向に行ってしまうのか、という質問ですね?

話者6
これが誤解されている場面を目にしたことがありますか?あるいは誤解が起こりえない絶対確実なものなのでしょうか?

Adora
重要なのは自社の現状を正直に受け止めることだと思います。現状に即した週間目標が何であるか、実際の所要時間はどれくらいかというようなことです。所要時間を過剰評価している場合や、あるいは繰り返しになりますが、週内に実行すべき1~2個の仕事よりも取り組み易いという理由から他の種類の仕事を優先させてしまっている場合もあります。先ほど説明しましたように、私たちの脳は常に無意識に自動操縦のように働きます。そのため、フレームワークは時間と共に少しずつ崩れていき、少々不安定になります。

今回の話の対象について

話者7
これは例えば全社レベルの話でしょうか、それとも4~5人のチームの話でしょうか?

Adora
これは全社レベルの話なのか、あるいは少人数のチームの話なのか、という質問ですね?私が説明する時に念頭に置いているのはアーリーステージのスタートアップです。ローンチしたばかりであるか、あるいはローンチ間近であり、週間目標を設定しているスタートアップです。これはチームにも活用できるフレームワークだと思います。社内のチームが増えてきて構造が複雑化してくると、シンプルなものにしておくのが少々難しくなります。

一方、OKRについて言及がありましたが、OKRは社内の進捗の構造化に適した方法です。それは確かです。私が説明しているのはスーパーアーリーステージについてで、スタートアップスクールの大半の人がこのステージにいると思います。質問はあと2つにしましょう。

進捗が見られなければ優先順位付けができていない証拠

話者8
時間の優先順位付け[聞き取り不能]に関して判断できるメトリックはありますか?チームにもっと人員が必要だから、といった場合です。

Adora
進捗が見られない場合に、その理由が時間の優先順位付けが適切でないことではなく、人員を増やす必要があることかどうかを判断するための方法、メトリックのようなものはあるか、という質問ですね。私が説明したことを思い出してください。毎週の進捗報告を全て評価した結果、改善の余地がない場合には、人員不足の徴候だと思いますが、私としては、ただ人を雇って問題を解決しようとすることをお勧めしたくありません。

実際、人員不足が原因となっている可能性もありますが、他に考えられるのが、創業者自身が自ら負担してきたことを軽減する必要性です。その場合、代わりにソフトウェアなどを使用することで解決できます。その他に、チームでの協働がうまくいっていないことや、時間の使い方が効率的でないことが、進捗が見られない原因となっている可能性もあります。では、そこの方で最後の質問にしましょう。

スタートアップが広告を始める時期

話者9
最初から有料広告を使うべきではなく、まずは顧客との対話を通じて顧客を獲得すること、とにかく顧客と対話すること、とよくアドバイスされます。スタートアップが広告キャンペーンを開始するのに最適な時期はいつでしょうか?

Adora
私たちYCでは、広告購入などの有料マーケティングを使うことを推奨していません。質問についてですが、それらを行うのに適切なタイミングが、どこかのタイミングで訪れることは確かです。私たちが言う適切なタイミングとは通常、Product/Market Fitが達成されてスケールする体制が整い、ユーザー単位で獲得する収益と比べてCACが合理的であることを示すために必要な実験をすでに終えている時です。

私たちが有料マーケティングを使ってはならないと主張する真の意味は…創業者が犯す間違いは、最初の100人のユーザー、あるいは最初の10人のユーザーを獲得するために多くの広告を購入してしまうことです。特にコンシューマー企業において、最初の10人のユーザー獲得のためにどこを探せば良いかわからない場合、それは一般的に間違ったFounder/Market Fitを反映していると思います。B2Bエンタープライズ企業であっても、少なくともあらゆる種類のユーザーとの対話が行われ、プロダクト作りが途中または完了済みであり、プロダクトを使用し、そのための対価を支払うことをユーザーが確約しているのが望ましいです。いいでしょう、次を最後にしましょう。

話者10
[クロストーク]チームが様々なことを実行しようとして[聞き取り不能]

Adora
良い質問ですね。チーム全体が順調かどうか確認するためにチームをフォローすべきか?という質問ですね。私が役立つと思うのは週次のスタンドアップミーティングです。これが会社全体で行うのに向いているかはわかりません。[聞き取り不能]それは人数が多すぎますが、例えば4、5、または6人のチームで週次ミーティングを行うのが良いでしょう。

日次ミーティングや1日2回のミーティングを行う場合もありますが、個人的には、そこまでの頻度でミーティングを行うのは効果的ではないと思います。進捗のための時間が必要だからです。たとえ進捗があったとしても、1日というスパンでそれを確認するのは難しいです。しかし、週次ミーティングが役立つことは確かです。

ミーティングでは、全員で1週間を振り返り、全員で情報共有します。ちなみに、自社のプライマリKPIの定義に関して社内の全員で情報を共有することは非常に重要です。驚くことに、多くの会社で、チームメンバー間で定義のレベルが異なっています。情報共有によりそのレベルの差異を解消すると、会社の目標や取り組むべきタスクが全員の共通認識となります。講義は以上です。

話者11
Adora、ありがとうございました。

 

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: How to Prioritize Your Time (2019)

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