マーケットプレイスのスタートアップで、次に何が起こるのか? (a16z)

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モノ VS サービス:次なる1兆ドル規模のビジネスチャンス

インターネットの普及から数十年の間で、マーケットプレイスのスタートアップは、目覚ましいほどの成長を遂げ、人々のモノの買い方は一変しました。しかし、モノに比べサービスについては、まだそれほどには至っていません。この記事で私たちは、ブレイクスルーが現在進行中であると主張します。

インターネットの第1フェーズは、モノを扱うマーケットプレイスの創造でしたが、第2フェーズは、サービス産業の再構築です。スタートアップは培ってきた知恵と戦略を基に、最も困難で巨大なサービス業に切り込んでいくことでしょう。そこには、数十年間もデジタル化に抗ってきた規制分野も含まれます。それにより、サービス業で働く1億2,500万人のアメリカ人が経済のデジタル化に関与することになります[1] 。

過去20年間で、オンライン上での人々の購買行動は一変し、Amazon、eBay、JD.com、Alibaba、その他の巨大EC企業が出現しました。EC企業の時価総額は合わせて数兆ドルに達します。AIやオートメーションの断続的な技術革新、新しいマーケットプレイスのパラダイム、規制の虜からの脱却によって、次は、9.7兆ドルのアメリカの消費者サービス業市場にも同様の改革が起きるでしょう[2]。

アメリカ国内の個人消費の69%をサービス産業が占めています。米国商務省経済分析局の調べでは、そのうちのわずか7%がデジタル化(インターネットを介した取引)をしており、サービス業が立ち遅れていることがわかります[3]。

私たちは、規制分野を含む、より複雑なサービスを開放することが、サービス業の新時代の幕開けになると考えています。この記事では、以下の項目について説明していきます。

  • なぜ、サービスは未だオンライン化されていないのか
  • サービスマーケットプレイスの歴史
    • リスティング時代
    • Craigslistのアンバンドル化時代
    • 「Uber for X(〜版Uber)」時代
    • マネージドマーケットプレイスの時代
  • サービスマーケットプレイスの未来
    • 規制されたサービス業
  • 規制市場においてサービスの提供を可能にする5つの戦略
  • 今後のビジネスチャンス

まず、サービス業の現況、そしてサービス業界がソフトウェアによる全面的変革に抵抗してきた理由について見ていきましょう。

サービス業においてもソフトウェアは波及してきているものの、その変化のスピードは緩やか

例えば、良い保育サービス、腕の良い医者や美容師など、優れたサービス提供者を友人に尋ねた経験は誰しもあるでしょう。ではなぜこのようなサービスについても、モノの場合と同じように、デジタルな方法での検索や消費がなされないのでしょうか。

経済全体でのサービスの増加に関わらず、オンライン上でサービスがモノに遅れをとっているのには、いくつかの理由が考えられます。

  • サービスは複雑かつ多様なため、オンライン上のマーケットプレイスで的確な情報を得ることが困難
  • サービスの成功の基準や質の良し悪しの判断が主観的であること
  • フラグメテーション ー 小規模のサービス提供会社には、オンライン化するためのツールや時間が不足していること
  • 実世界におけるインタラクションはサービス提供の肝要な部分であり、購買の一部をオンライン化することが困難であること

各項目について詳しく見ていきます。

第一に、サービスの複雑さと多様性についてですが、特定の仕様で製造されるモノとは違い、サービスは多種多様な提供者によって提供されます。サービスの名称ですら様々です。例えば、「ディープクリーン」と名付けたホームクリーニングサービスは、その定義が提供者によって異なることがありえます。この標準化の不足が、サービスマーケットプレイスにおいて適切な情報を集約し管理することを困難にしています。

第二に、サービスは多くの場合、複雑なインタラクションを伴い、成功や質に明確な基準がありません。サービスに対する顧客体験は主観的であることが多く、レビュー、おすすめ、カスタマイズなどの従来のマーケットプレイスの特徴を実装するのは困難です。(配車サービスのように)仕事を完了するだけで5つ星評価を得られるものがある一方で、保育サービスのような高額サービスでは、安全性、親しみやすさ、コミュニケーション、子供との良好な関係、その他主観的な評価基準など、顧客価値に関する複雑な指標が存在します。

第三に、小規模なサービス提供会社では、オンライン化のためのツールや時間が不足しがちです。サービス業界の多くの分野では、提供側は利益率の低い小型零細企業です。これは、生産における「規模の経済」があり、それによって大手消費財メーカーに統合されるモノの製造とは対照的です。業界のフラグメテーションの結果、サービス提供会社の多くには、顧客の要求への対応、宣伝、マーケティング、Webサイトの保守、その他の重要な活動に費やす時間や予算がありません。主要なECプラットフォームが流通、商品化、注文処理の役割を担っている一方で、サービス提供会社が事業を管理し消費者に到達するために使えるプラットフォームはほとんどありません。

第四に、実世界でのインタラクションがサービスにおいては非常に重要です。そのため、サービス業では他のステップも実世界で行う傾向にあります。多くのサービスにおいて、実世界でのインタラクションを通じて生産と消費が同時進行的に行われます。これはモノの場合に生産、流通、消費の段階が独立しているのとは対照的です。モノにおけるバリューチェーンの様々な段階は簡単に分離でき、ECマーケットプレイスでは検索、取引、注文処理を行えます。反対に、サービスの提供と利用は通常、実世界において同時進行的に行われるので、検索、流通、取引の部分もまた、多くの場合、実世界での顧客体験に組み込まれます。例えば、調髪をしてもらうことは、理容店に足を運び、そこにいるサービス提供者とインタラクションを行うということを意味します。そのため、そうしたインタラクションに先立つ、あるいは続くバリューチェーンの段階(検索、予約、支払い)もまた、対面での顧客体験に組み込まれることが多くなります。

サービスマーケットプレイスの4つの時代と次の段階

サービスマーケットプレイスには、これまで主に4つの時代がありましたが、サービスと提供者の範囲には依然むらがあり、多くは、エンドツーエンドのシームレスな顧客体験を提供できていません。マーケットプレイスのパラダイムの4つの時代と、これまでに学んだことを見ていきましょう。

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1. リスティング時代(1990年代)

サービスをオンライン化する最初のイテレーションは、非管理型の水平なマーケットプレイスで、基本的には供給側が需要をサーチし、需要側が供給をサーチするのにも役立つ、リスティング・プラットフォームでした。これらのマーケットプレイスはYellow Pages(業種別電話帳)のデジタル版であり、サービス提供者の存在を可視化させた一方で、提供者の評価、問い合わせ、スケジュールの調整、取引を行うなどの責任はユーザー側にありました。ここでのダイナミクスは「買い手の危険負担」です。ユーザーは、相手方を吟味し、信頼を確立する責任を負います。プラットフォームの基準、保護、保証はほぼありません。

Craigslist時代のマーケットプレイスは本質的にリスティングサイトです。

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Craigslistのサービスカテゴリは、典型的な非管理型サービスマーケットプレイスです。家の改築や塗装、カーペットクリーナー、結婚式のカメラマン、その他様々なサービスの寄せ集めとなっています。ただし、技術的な機能が限られているため、ごちゃごちゃしていて探すのが難しく、プラットフォームから外れて提供者と取引を行ったり、連絡を取ったりすることはできません。

2. Craigslistのアンバンドリング化時代(2000年代)

企業は、特定のサブバーティカルに焦点を当てることで、水平なマーケットプレイスモデルのイテレーションを行いました。これにより、特定の業界に合った機能を提供することが可能となりました。

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例えば、Care.comはCraigslistの保育セクションを切り分け、フィルターや構造化された情報、その他の機能などの技術的な付加価値を提供することで、近所でベビーシッターを見つける顧客体験を向上させています。これは顧客体験という面において、Craigslistの保育セクションよりもかなり優れています。

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2005年に設立された在宅福祉サービスサイトのAngie’s Listは、Craigslistの家庭サービスカテゴリを分離させたものです。このプラットフォームには、レビュー、プロフィール、認定プロバイダー、オンライン見積り提供プロセスなどの機能があります。しかし、エンドツーエンドの体験全体を網羅できてはいません。ユーザーはAngie’s List上で検索はしますが、提供者にメッセージを送信したり、電話をかけたり、スケジュールを調整したりするのは、依然としてオフラインで行う必要があります。

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Angie's Listのような非管理型のバーティカルなマーケットプレイスは、Craigslistを超えて、特定の基準を満たしたサービス提供者を認定するなどの付加価値サービスを追加します。しかし、未だ顧客自らサービス提供者を選択して連絡を取り、プラットフォームではなく提供者を信頼し、オフラインで取引する必要があります。

以前のリストサイトと同様に、この時代のこれらのプラットフォームは、信頼を促進するために「群衆の知恵」を利用しようとします。これらのプラットフォームは、より多くのレビューがより多くのユーザーとより多くのレビューを意味するという点でネットワーク効果を持っています。しかし、すべてのユーザーにはサービスを判断する独自の価値関数があるため、ユーザーレビューには制限があります。標準化されたモデレーションやキュレーション、およびこのプロセスを自動化する機械学習がなければ、数え切れないレビューを選別し、数千のプロバイダーから選択する責任を顧客が負うことになります。

3.「〇〇のUber」時代(2009年~2015年)

2010年代初頭、交通、食料配送、係員付き駐車サービスなど、シンプルなサービスを求めるオンデマンドマーケットプレイスの波が起きました。広く普及したモバイルの採用によってこれらのマーケットプレイスが可能になり、ボタンをタップするだけでサービスを予約したり仕事を受け入れたりすることができるようになりました。

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Handy、Lugg、Lyft、Rinse、Uber、そして他の多くの企業は、リアルタイムでサービスプロバイダーに接続することを効率化しました。特定のサービスを中心にフルスタックのエクスペリエンスを作り上げ、1つのカテゴリで流動性を最適化しました。これらの取引では質と成功は多かれ少なかれ二値的(サービスが満足の行くものだったか、そうでなかったかのいずれか)だったため、オンデマンドモデルにぴったりでした。

これらのプラットフォームは、供給と需要の自動マッチング、価格の設定、取引の処理、保証と保護による信頼の確立など、エンドツーエンドのシームレスな顧客体験を確立するためのさまざまな機能を持つようになりました。また、基盤となっているサービスプロバイダーを商品化することもよくありました(例えば、ライドシェアマーケットプレイスにおけるドライバー側の広範な差異は、Uber X、Uber Pool、Uber Black、Uber XLなどに集約されています。)。

これらのオンデマンドマーケットプレイスは、サービスプロバイダーとして考えられるようになりました。その点で、プロバイダーが最終的に顧客との関係を所有する前世代のマーケットプレイスとは異なります。例えば人々は、実際にサービスを提供した末端の人々や会社には言及せず、「DoorDashで食べ物を注文した」または「Uberを頼もう」と言います。

時間が経つにつれて、このカテゴリの多くのスタートアップは失敗しました。失敗を免れたスタートアップの多くは、よくある使用事例に焦点を合わせてそれを完璧に実行し、需要と供給に対して説得力のある価値提案を提供することで生き残りました(一部のサービスにとって価値をもたないオンデマンドコンポーネントを削除することもありました)。また彼らは、流動性、信頼、安全性、信頼性を高めるためのインセンティブや構造を導入しました。

4. マネージドマーケットプレイス時代(2010年代半ば)

過去数年間で、フルスタックやマネージドマーケットプレイス、またはサービス提供の仲介に関して追加の運用付加価値を備えるマーケットプレイスの数が増加しています。 「XのUber」モデルは単純なサービスに適していましたが、マネージドマーケットプレイスは進化して、より複雑で高価格の、より高い信頼を必要とするサービスにうまく取り組めるようになりました。

マネージドマーケットプレイスは、実際に顧客体験に影響を与えたり管理したりする追加作業を行い、そうすることで、顧客体験における機能の改善を提供します。顧客がエンドプロバイダーを見つけ信頼を構築できるようにするだけでなく、これらのマーケットプレイスは実際に信頼を醸成する仕事を引き受けています。

a16zポートフォリオでは、Honorは在宅ケアのためのマネージドマーケットプレイスを構築し、すべてのケア専門家に対して登録前にインタビューとスクリーニングを行い、新規顧客に個別のケア計画を設計するケアアドバイザーを割り当てます。 Opendoorは、住宅の売買に関して根本的に異なる体験を生み出すマネージドマーケットプレイスです。顧客が自分の家を売りたいとき、Opendoorは実際にその家を買い、メンテナンスを行い、家を売り込み、次の買い手を見つけます。従来の家を売る体験と比べてみてください。従来のやり方であれば、修理、物件の登録、見学の手間がかかるだけでなく、先行きの不透明な期間が何か月にもわたることがあります。

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HonorやOpendoorのようなマネージドマーケットプレイスは、例えばサービスの供給者を吟味する段階など、従来であればプラットフォームが顧客やプロバイダーに委ねていたバリューチェーンの段階を取り込んでいます。顧客は、取引相手ではなくプラットフォームに信頼を置いています。

より重い運用コストを補うために、マネージドマーケットプレイスではサービスの価格を一方的に決定し、より管理されていないマーケットプレイスモデルよりも高い料金を請求することが一般的です。

マネージドマーケットプレイスは、特に高い信頼性または取引価値を伴うサービスについて、質の高い供給を提供することに関する広範な問題を解決する戦術です。さらに俯瞰してみた場合、マネージドモデルやその他の戦術を活用して供給を解放できるサービスのカテゴリがさらに多くあります。

次のステップ:サービスマーケットプレイスの未来(2018年~?)

サービス市場の次の時代は、米国の1億2,500万人のサービス雇用の巨大な広がりを解き放つ可能性があると考えています。これらのマーケットプレイスは、サービス市場の旧時代では逃されてきたチャンスに取り組み、最も困難なサービスカテゴリ、特に規制されているサービスをオンラインにします。規制サービス(提供者が政府機関、専門家または業界組織によって認可されているサービス)には、多くの人々の生活に直接影響を与える工学、会計、教育、法律、その他の職業が含まれます。 2015年、雇用された人の26%が何らかの認定またはライセンスを保有していました[4] 。

f:id:foundx_caster:20190911054514j:plainサービスの規制は、職務を遂行するために必要な一定レベルのスキルまたは知識を示すのに役立つため、インターネット以前の時代では必要不可欠でした。しかし、デジタルプラットフォームは、プロバイダーに関する必要な情報を公開し、レビューや管理モデル、保証、プラットフォーム要件、およびその他のメカニズムを通じて信頼を確立することにより、ライセンスの必要性を軽減します。例えば、私たちのほとんどは、子供の頃から、見知らぬ人と車に乗ってはいけないと教えられてきました。LyftとUberを使うことで、消費者は1日に何百万回も、躊躇なくそうしています。これは、これらのプラットフォームが構築した信頼の直接的な結果です。

サービス専門職のライセンスは重要な基準を確立しますが、供給側を厳しく制限するものでもあります。ライセンスや認可の取得に時間とお金がかかるため、資格にかなっている他のサプライヤーを締め出す可能性があり(例えば、髪を編むために、または花屋になるためにライセンスが必要な州もあります)、多くの場合、より高い料金や長い待ち時間につながり、サービスの利用を難しくします。また、ライセンスを取得する際の基準は、消費者が実際に評価するものに対応しているとは限らず、それ以外の面では適切な供給を見つけ利用することを妨げる可能性があります。

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出典:労働統計局

産業のロックを解除する5つの戦略

規制されたサービス産業に取り組んでいる多くのスタートアップが現れ始めています。以前のサービスマーケットプレイスの各波と同様に、これらの新しいアプローチは市場のロックを解除するための付加価値をもたらします。さまざまなカテゴリに適したモデルはバリエーションを備えています。

これらの規制された産業で供給のロックを解除する主要なアプローチには、以下が含まれます:

  1. ライセンスを保有するサービス提供者の発見を容易にする
  2. 品質を維持するため、既存のサービス提供者の雇用と管理を行う
  3. ライセンスを保有するサービス提供者のプールを拡大・補強する
  4. ライセンスの必要がない供給を活用する
  5. 自動化とAI
1)ライセンスを保有するサービス提供者の発見を容易にする

一部のスタートアップは、認可を受けたサービス提供者を発見する良い方法がない分野に取り組んでいます。例としては、認可を受けた家周りの仕事のプロを検索して連絡できるHouzzや、ライセンスを保有する美容師を見つけて予約できるStyleSeatがあります。

2)品質を維持するため、既存のサービス提供者の雇用と管理を行う

企業は、サービス提供者を自ら雇用および管理し、エンドツーエンドの顧客体験を管理することにより、サービスの品質を向上させることができます。例としては、HonorやTrustedがあります。高齢者ケアと育児のためのマネージドマーケットプレイスで、ケアを提供する人をW-2従業員として雇用しトレーニングとツールを提供しています。不動産の世界では、Redfinのエージェントは、報酬が顧客満足度に応じて変動する従業員です。これは、独立した請負業者として歩合制で働くほとんどの不動産エージェントとは異なります。

3)ライセンスを保有するサービス提供者のプールを拡大・補強する

認可を受けた供給プールの拡大は、地域差を利用して利益を得る方法で、需要が生じている場所から遠く離れた供給を利用するという形をとることができます。Decorist、Havenly、Laurel&Wolf、およびその他のオンラインインテリアデザイン会社は、世界中のインテリアデザイナーが自宅を物理的に訪れることなく消費者にデザインサービスを提供できるようにします(そうです、米国の多くの地域では、インテリアデザインにライセンスが必要です!)。リアルタイムビデオの改善、豊富なテレプレゼンステクノロジー、優れた視覚化テクノロジーにより、ますます多くの同期サービスが、対面での供給からオンラインでの供給に移行しています。OutschoolとLambda Schoolは、脱ローカライズされた教育の例です。これにより、教師と生徒は、リアルタイムのやり取りを維持しながらリモートで参加できます。

別のアプローチは、サプライヤーに対して認可プロセスをナビゲートすることです。a16zのポートフォリオ企業であるWonderschoolは、個人がライセンスを取得して在宅デイケアをより簡単に運営できるようにしています。

最後に、認可を受けたサービス提供者を補強することで、より多くの顧客にサービスを提供するアプローチがあります。在宅獣医サービスであるFuzzyは、AIおよび獣医向けの技術者を使い、認可を受けた獣医の生産性を向上させます。また、a16zポートフォリオ企業であるAtriumは、自動化とワークフロー管理を構築して、法律業界で効率を向上させています。

4)ライセンスの必要がない供給を活用する

一部の企業は、ライセンスの必要がない供給を利用しています。特に、Lyft、Uber、およびその他のピアツーピアのライドシェアネットワークがそれにあたります。もう1つの例はBasisで、不安、うつ病、その他の軽度から中程度のメンタルヘルスの問題を抱える人々を支援する、訓練を受けたものの免許はない専門家とのガイド付き会話を提供するマネージドマーケットプレイスです。

ペット業界では、Good Dogは責任あるペットブリーダーと犬を探している消費者を結びつけるマーケットプレイスです。Good Dogは、消費者が評価するものとうまく一致していないと同社が感じていた既存のブリーダーライセンス制度を超えて、獣医や学者と連携し、独自のより高い基準とスクリーニングプロセスを確立しました。

5)自動化とAI

他のスタートアップは自動化によって、認可を受けたサービス提供者の必要性をなくします。例として、画像認識を使ってにきびを診断および治療するMDacneを挙げることができます。さらに、Ike Roboticsおよびその他の自動トラック運送スタートアップは、認可を受けたトラックドライバーの必要性をなくします。

規制対象サービスに取り組む企業のチャンス

過去20年間に、輸送から食品配達、ホームサービスに至るまで、多数のサービスがオンラインで拡大し、マーケットプレイスモデルは、リスティングからフルスタックかつマネージドであるマーケットプレイスへと進化が見られました。次の20年間には、ソフトウェアが浸透していない、技術や運用、規制の障壁に満ちた困難を伴うチャンスに取り組むことになります。そこには、消費者の日常生活の質と利便性にとてつもなく大きな影響を与える余地があります。

サービス部門は米国の消費者支出の3分の2を占め[5]、労働力の80%を雇用しています[6]。さまざまなサービスカテゴリを改革する企業は、より多くの雇用と収入を創出し、仕事の手配をより柔軟に提供し、消費者が利用しやすいものとし、コストを低減することにより、消費者とプロフェッショナル双方の生活を改善できます。

このエッセイで例に挙げた企業は、規制分野におけるほんの一部に過ぎません。規制されているあらゆるサービスにマーケットプレイスがあり、その業界の顧客またはサービス提供者のニーズのために最適化できる特有の機能や要素を備えています。(米国の規制された専門職の一覧は、こちらで見ることができます。)私たちは、サービス業界において、より多くのAirbnbや配車サービス規模のビジネスが生まれてくると確信しています。

より複雑なサービスに取り組み、そのオンライン化に挑戦しようとしている創業者の方はぜひ、私たちにご連絡ください。読んでくださり、ありがとうございました!

[1] 労働統計局「主要産業部門別の雇用
[2] 経済分析局「主要な製品種類別の個人消費支出
[3] 経済分析局「デジタル経済
[4] 労働統計局「2015年に認可または免許を持つ可能性が最も高い医療労働者
[5] 経済分析局「主要製品種類別の個人消費支出
[6] 労働統計局「主要産業部門別の雇用

 

著者紹介

Li Jin

Andrew Chen

 

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: What’s Next for Marketplace Startups? (2018)

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