マーケットプレイスを作るときに考えるべき 8 つのこと (a16z)

アメリカの起業家精神の象徴として、夏の暑い日に歩道でレモネードスタンドを開いている近所の子供ほど愛されているものはないでしょう。親からわずかな「資本」(レモン、水、砂糖、テーブル、マーカーと紙)を提供してもらい、一生懸命仕事をして、よい場所を確保することで子供たちは起業の仕方を学び、その過程でいくらかの現金を手にします。

しかしながら、現在、そのような事業の大人版を実際に構築する際の障壁が途方もなく高いだけでなく、多くの業界において、中小企業で仕事をしたり、起業したりするための政府の規制が大幅に増加しています。州で義務付けられている職業免許には、特定の職業に就くための教育、訓練、試験、納付金が必要であり、影響を受ける未来の起業家がますます増えています。1950年代に職業免許が必要な割合は労働力全体のわずか5%でした。しかし現在、国内労働者の25%以上に拡大しています。Council of State Governments (州政府評議会)は2003年に、800以上の職種に少なくとも1つの州で免許制が適用されたと推定しています。内装職人から鍵屋、生乳検査員、土木技師まで、これらの職種は広い区分や賃金に及び、消費者への浸透度も様々です。免許制の全職種はこちらで確認できます。

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州の職業免許の増加(出典

しかしこの免許制の拡大は、市場のスタートアップに機会を提供してもいます。手の届きやすい他のサービス市場の機会がすでに摘み取られているため、残っているのは、より難しい規制産業です。免許制と規制によって人為的かつ強制的に人員の供給が制約されていることで、これらのサービス業種が市場構築の文脈の中で特に興味深いものとなります。供給制限のある市場には優位性があります。特定のサービスを求める需要が既に大量に蓄積しているからです。このような市場が補充人員の面で勝利を収めることができれば、莫大な価値を享受することができます。

しかしそれぞれの市場には微妙な違いがあり、企業の拡大にとってハードルとなります。そして規制産業で活動するスタートアップにとっては、さらに複雑かつ困難です。では規制産業の領域に伴う難しさに対処するために、創業者や経営者に何ができるのでしょうか。機会はどこにあるのでしょうか。

管理された市場が重要な理由

Andrew Chenとの共同執筆で投稿した前回のブログ「What’s Next for Marketplace Startups(日本語訳:マーケットプレイスのスタートアップで、次に何が起こるのか?)」の中で、私たちは、仕事の遂行に必要な技能や知識の目印となる免許が消費者の信頼を築いていたので、「インターネット以前」の世界における労働者への免許供与がいかに重要だったかについて詳述しました。しかし現在では、電子プラットフォームが他の手段で信頼を築き、品質を保証することができるので、(ある種の)免許については必要性が低下しました。他の手段とは、利用者の評価、プラットフォーム要件、その他の事前審査や保証などの仕組みです。

「管理された市場」のひな型は、利用者の信頼を築くのに特に役立ちます。なぜなら、それらは、質の高いプロバイダーの特定、価格の標準化、需要と供給の自動照合などの機能を採用することにより、サービス提供の一部を仲介するからです。市場の安全性に関する厳しい調査が継続的に増加している中、信頼を得た労働力の重要性はさらに大きくなっています。例えば保育では、人はただ依頼できる保育者全員の一覧を見たいのではなく、自分が雇うサービス提供者が信頼のおける適格な人物であることを確実に知りたがります。そして管理された市場は、すべての補充人員について徹底的に調査し、利用者のこのような需要に便乗します。

管理された市場は、免許制度の必要性を著しく縮小する可能性があります。なぜなら、特に管理の度合いの高い市場においては、利用者は市場自体を信頼しているからです。そのようなプラットフォームにより、高品質で無認可の補充人員は、認可されたサービス提供者と肩を並べてサービスを提供することができます。そして、このような状況下で、起業家の活動は促進され、人員供給の制約が緩和します。

しかしながら、サービスのカテゴリすべてが等しくできているわけではありません。他のカテゴリよりも電子市場に向いているものもあります。それぞれの産業に特有の力学により、市場のスタートアップには様々な入り口と戦術があるでしょう。

規制サービス市場——検討すべき要因

私たちがあらゆる市場の事業を評価する際に伝統的に用いてきたすべての視点の他に、規制を伴う範疇に特有の具体的な要因がいくつかあります。その規制は、最善の取り組み方を知る助けとなるものです。そして、創業者や経営者がこのような要因を自熟考し、これに働きかけるのが早ければ早いほど、彼らの会社はうまくいきます。

規制産業で新たな市場が展開する機会を評価する場合に、検討すべき有益な要因には次のものがあります。(1) 無認可の補充人員の値下がりリスク、 (2) 免許要件の負担、 (3) 既存産業の満足度、 (4) 価格低下の機会、 (5) 市場規模、 (6) 潜在需要、 (7) 人員供給の制約を解くための活用されていない資産、 (8) 規制緩和の追い風。

もちろん、下記に概要を述べる枠組みは、規制サービス市場の機会の評価においてはほんの出発点にすぎません。州法定職業免許制度に起因する機会に加え、地方(郡や都市)や連邦レベルでの他の規制形式もあります——その中には、事業を制限する許可や区割りなどの他の手段が含まれます。

#1 無認可の補充人員の値下がりリスクと消費者の認識

公衆衛生や安全性に対して確実に深刻な脅威が存在するため、認可が不可欠な職業もあります。たとえすばらしい評価があったとしても、無免許の医師の外科手術を安心して受ける患者はほとんどいないでしょう。そのような場合は、認可されていないプロバイダーの市場を拡大するよりも、認可されたプロバイダーを見つけ、利用することを容易にする市場がある方が道理にかなっています。

しかし、他のサービスに関しては、免許取得要件の負担は潜在的なリスクよりも問題となる可能性があります。特に健康や安全性への有害な影響の可能性が最小限であるようなツアーガイドや生花店、インテリアデザイナーなどの領域ではそうです。

換言すれば、免許取得の明白な利点と消費者の姿勢は、適切な市場の取り組みを立案する際に重要な検討事項です。もちろん、消費者の認識は流動的です。利用者が見知らぬ人の家に宿泊したり、見知らぬ人の車に乗り込んだりしたいだろうというのは、多くの人にとっては信じられないことでした。ただし、それを可能にした(そして免許の取得以外の仕組みによって信頼を確立した)企業は、今や非常に価値があります。

消費者が無認可の供給のリスクを認識している範疇に関しては、さらに大きな信頼を築くために、より管理された市場の取り組みが道理にかなっています。

例えば、Outschoolは18歳以下の子供たち向けのリアルタイムのグループクラスを提供するオンライン・プラットフォームです。教師はプラットフォーム上で授業を行うために応募することができますが、特別認可学校や公立学校の教員とは違い、教員免許を持っている必要はありません。しかし親は、子供たちがオンラインで大人と交流するとなれば、潜在的な安全性の問題に敏感になります。ですから、Outschoolは市場を厳しく管理しています。教師は経歴審査を受け、応募手続きを通過しなければいけません。 ひとたび承認されれば、その後教師は、Outschoolのコンテンツ・ポリシーに沿って承認を受けるために授業一覧を提出する必要があります。結果的に、消費者が品質を確信できる一方で、教師側では市場の拡大が可能になります。

規制産業における新規市場スタートアップを確立するための万能な取り組みはありません。免許取得の利点、無認可のサービスプロバイダーに関連するリスクの程度、顧客がどれほど認可を重視しているかについての検討は不可欠です。

#2 免許取得の要件——認可を受けることはどのくらい難しいことなのでしょうか。そして、市場は人員の供給を拡大できるのでしょうか。

各州、そして、各職業には、訓練、試験、教育、納付金に関して、それぞれ異なる免許要件があります。免許要件の負担が大きいほど、その産業への参入を熱望する専門家の障壁が高くなります。つまり、より多くの人員供給を可能にしようとする企業にとって、その業界に参入する潜在的な見込みがより大きくなるということです。

未来の専門家にとって免許要件がことさら負担になるような産業では、例えば認可を受けるための教育・訓練・支援を提供することで、より多くの人員供給を容易にするか、あるいは、それを作り出している市場もあります。そうでなければ供給の不足に束縛されることになる市場のスタートアップは、自身の独占的な供給源を確立することにより、より速く成長することができます。

例えば、Nanaは、電化製品の修理やスマートホームの設備の設置に注力する市場です——ただし、電化製品の技術者になるための労働者の訓練を行うオンラインアカデミーもあります。人員供給が制約されているこの業界の力学に対応するため、この会社はNana Academyを作ることで、さらなる供給を創出しています。

同様に、ネイルサロンのチェーン店であるLacquerbarは、ネイリスト向けのオンライン教育プラットフォームの業務も行っています。これは、創業者自身の美容学校での経験による発想です。彼女はそこで、標準的な履修課程では、生涯の職を始めるために必要な現代的なネイルの技術や事業の手腕は学べないと悟りました。

教育の世界では、Wonderschoolが、自宅保育プログラムを営むために必要な免許要件を超えて、さらに高度なレベルで教育者や保育サービス提供者の力添えをしています。Wonderschoolの指導プログラムもまた、サービス提供者の履修課程の選択、自宅学習環境の設定、親に向けた業務戦略の決定に役立っています。

人員供給が深刻に抑制されている業種で会社を運営している創業者にとっては、補充人員向けの教育、訓練、指導を組み合わせるこのような取り組みは、その業界に参入するための人員をさらに供給し、またそれによって市場を成長させることを可能にするという意味で、貴重なものとなるかもしれません。

#3 既存産業の満足度とネット・プロモーター・スコア(NPS)

認可/規制を伴い、NPSの低い産業は、革新をもたらすには格好の産業です。消費者は現状に満足していないからです。顧客体験において段階関数的な改善を提供できる企業は、利用者の大きな基盤に気に入られる可能性があります。そして、規制を変える自らの道を創造する可能性があります。

代表例——昔ながらのタクシー会社のNPS値はマイナスですが、UberのNPSは37です。タクシー会社に電話して事前に車の手配をかけたことのある人なら誰でも、この差の意味がわかるでしょう。信頼性と価格に関して改善されたこの顧客体験は、Uberが広範囲の利用者支援を集めるのに役立ち、これにより、規制する側に重圧をかけ、サービスの展開を許す結果になりました。

火災保険の業界では、Hippoが、家主の手続きをより単純にし、保険をより低価格で提供するために、規制に従う形でのテクノロジー主導の取り組みを採用しています。伝統的な保険会社のNPSの平均が31である一方、より迅速な顧客導入から請求案内チームへの円滑な事務処理まで、顧客の生涯にわたる様々な経験を基盤にして、この会社はNPSを76にすることができました。

成功したサービス市場における共通の主題は、NPSの低い産業に目を向け、NPSの差を広げるために利用者体験の劇的な改善を目指すことです。

#4 価格低下の機会

既存サービスが人員供給の制約によって人為的に高価格となっているならば、スタートアップは、競争力のある価値の提案をすることができ、価格競争によって市場を拡大することができます。供給側への取り組みが既存の免許制の供給モデルと内在的に異なる場合、例えば無認可型の供給の導入によって、低価格の機会はさらに劇的に進みます。

例を挙げると、多数のスタートアップが、サービスの提供が可能な人の幅を広げることによって、メンタルヘルス治療の利用の民主化を目指しています。従来の治療は費用がかさむ、贅沢な製品です——そして、すべての医療従事者の中でも療法士は最も保険を受け入れない傾向にあります(出典)。訓練を積んではいるものの無認可であるようなサービス提供者を活用することにより、テキスト、音声、動画の組み合わせでコーチングサービスを提供しているSiblyとMarlowなどのスタートアップは、著しく価格を抑え、対象となる市場の規模を拡大することができます。このようなソリューションは、特により深刻な病状を抱える患者の間では、治療に完全に取って代わるものではなく、またそうなるべきでもありませんが、有益で利用可能なソリューションとなり得ますし、新規の顧客のために市場を拡大することができます。

#5 市場規模——現在の産業の規模は?

どのような市場でもそうであるように、市場規模が重要です。規制産業に関しては、認可されたサービス提供者の人数がいて、その職種で免許取得を必要とする州がいくつあるのかを考慮に入れるのは重要なことです。既存市場が大きいほど、対象とする顧客の集団は大規模になります。そのような集団は、需要と供給の照合を改善し、サービスの透明性と利用の利便性を高める市場から利益を得ることができます。

例えば、過去数年間、ConvoyやNEXT Trucking、Uber Freightなどのトラック輸送のスタートアップが急増しました。この市場は、荷主(消費財会社や小売店)と運送業者(商品の運送を担うトラック輸送会社)とを結びます。理由は簡単です。巨大産業だからです。American Trucking Associationsによれば、トラック輸送業界は2017年に7000億ドル以上の収益を生み、350万人以上の運転手を雇用しました。比較すれば、世界的な相乗りサービス市場の2018年の価値は600億ドル相当でした。さらに、トラック運転手は50州全州で免許を与えられています。巨大な市場規模は——既存の手動の過程、非効率的な稼働率、需要と供給の側の高度な断片化など、他の多くの要因と組み合わさることで——価値連鎖に沿って効率性を創出する大きな機会を提供します。

#6 潜在需要——産業はどのくらい大規模でいられるのでしょうか?

現行の市場規模に沿って考慮すべき重要なもう一つの要素は、潜在需要です。つまり、市場の潜在的な規模です。

相乗りと貸家のサービスの誕生当初は、多くの投資家がAirbnb、Lyft、Uberの市場規模を過小評価していました。既存の市場が比較的に小さく、タクシーや旅先の宿泊施設に関しては、表向きには既に十分なサービスが提供されていたからです。Uberの初めてのピッチ資料は2008年のもので、タクシーとリムジンの市場が年平均成長率わずか2%で成長し、その筋書きでは、年間収益で10億ドル強に達するだろうという調査を引用していました。しかし、多くの人が、料金が安くなり、もっと便利になれば、サービスを欲しているということが判明しました。言い換えれば、潜在需要が高かったということです。そして、最終的に市場規模は予測されていたよりもかなり大規模なものとなりました。

認可型の職種は定義上、制約を受けています。そのため、市場規模の現在の尺度は、制約から解放された場合にその産業がどの程度大きなものになり得るかを必ずしも十分に把握するものではありません。

しかしながら、潜在需要の測定は扱いにくいものです。利用者の調査やサービス検証の実施を通じて消費者の需要の柔軟性を理解することで、それを近似することができます。

#7 活用されていない資産を利用し、人員供給の制約を解く可能性

潜在的な市場にとって魅力的なもう一つの要素は、活用されていない資産を利用する可能性です。これらの資産は、供給側を補完し、差異化することができる場合があります。Airbnbの事例では、正規の家主に空き部屋の貸し出しを可能にすることで、利用可能な貸別荘の蓄えを大きく拡大しました。活用されていない資産があり、市場の供給側の制約を解くことができれば、利用の幅を広げ、価格を抑えることができます。

市場で活用されていない資産の例としては次のようなものが挙げられます——

  • 私有地——Hipcampは、キャンプの市場を構築しています。多くの国立および州立公園がキャンプの際に許可を必要とするのに対して、このキャンプ市場は、利用者による私有地の予約を可能にします。この種の商品は消費者目線で市場を差異化し、また、自分の土地を現金化する方法として土地所有者にとって魅力的でもあります。
  • 私設駐車場——AirGarageは、駐車に関する管理された市場で、教会や中小企業、学校の所有する駐車場を消費者が予約できるものにします。この活用されていない資産の解放は、低料金、消費者の利便性、事業やその他の組織にとっての定期的増収を実現します。
#8 規制緩和の追い風

免許制の改革の勢いによって、また、規制の変更を助けとして、スタートアップの市場参入の入り口が作られます。規制の追い風がいかにスタートアップの誕生を可能にするかという一番大きな最近の例は、おそらく、マリファナに関するものです。11州とワシントンD.C.が、今や、成人の嗜好品として少量のマリファナを合法化しています。それに続く対象となる市場の拡大の結果として、記録的な量のベンチャー資本がこの業界に流れ込みました。

規制環境における変化を追跡することは、新たな機会を特定するのに役立つ可能性があります。2012年から2017年の間は、平均的な州で、実際に営業免許の幅と負担は4%増加しましたが、10州では、認可の実施が軽減されました(出典)。

動きがみられる業界の例として、以下のものがあります——

  • 理容・美容業界では、アリゾナ州などで、2011年にアイブロウ・スレッディングの職業免許を廃止し、2015年には、メイクアップ・アーティストに対し、美容師免許の取得義務を免除しました。これにより、潜在的な労働力の供給の可能性を大きく開きました。より重要かもしれないのは、この4月にアリゾナ州がすべての州外免許を認め、受け入れた初めての州になったことです。他州から転入してくる人々に対し、辛抱強く再認可の手続きを経る必要をなくしました。これらの変化すべてが意味するのは、アリゾナ州ではサービス提供者がより手軽にサービスを提供することができるということです。これは、消費者に対してこれらの範疇で舵取り・取引を行う力添えをするスタートアップの開業へと結びつく可能性があります。
  • 2018年9月に、カリフォルニア州は、家庭内食品生産者に対し、年間5万ドルまでの自家製食品販売免許の申請を許可する法律を可決しました。新法は、郡や都市に対し、検査の実施や許可証の発行を望むかどうかを選択するように要求しています(出典)。これまでのところ、リバーサイド郡だけが家庭内生産食品事業許可の申請の受け入れを開始しています。私たちはこの産業を詳しく観察し、その発展を追跡するつもりです。

機会のある領域

私たちは、規制産業の下記の機会のすべてが特に興味深いと見ています。この一覧に終わりがないのは明白ですが、ここに挙げるのは、私たちが改革を目にすることにとりわけ興味のある業種です——

家庭内生産食品

私たちは、人々がその情熱と独自の技能で生計を立てるために力を貸すオンライン・プラットフォームに情熱を傾けています。そして、その例として、はっきりと思い浮かぶのは調理です。家庭内生産食品は州によって様々に規制されており、一部の市場では、改革に追い風が吹いています。

消費者の好みが配達と持ち帰りへと大きく変化している中、私たちは、家庭の料理人や家庭内生産食品がその成果を提供できる顧客を見つけることを可能にしているスタートアップに期待しています。家庭内の台所は一日のほとんどが使われないままです。そこには、お腹をすかせた消費者と特別な収入を得ようとする家庭の料理人を引き合わせる機会があります。さらに、不動産の広さが制限され、設置と営業に許可が必要なレストランとは違い、家庭料理のプラットフォームは、競争力のある価格でより豊富な種類の食品を提供することができます。

遠隔医療と混合サービスの提供

専門免許を持つ労働者の割合が最も高い業界が医療従事者であることを踏まえ、私たちは、患者が自分たちの都合に合わせて認可されたサービス提供者をより手軽に利用できるようにしているプラットフォームに期待しています。

獣医診療のFuzzyなど、遠隔医療の新たなスタートアップは、患者/依頼者と医師が遠隔で非同期的に意思疎通することを可能にしており、より手軽に、低料金で、より高品質な診療を受けられるようにしています。

住宅サービスおよび技能職

技能を伴う消費者対面型の多くの職業(配管工、電気技師、造園業など)には、国家レベルまたは地方レベルの免許要件があります。

さらに、これらのサービス業種の多くが、専門学校に対する社会的不名誉から、成功への確実な道筋としての大学の学位や頭脳労働の重視まで、多くの要因によって、労働力不足を経験しています。全米電気工事事業者協会によれば、毎年7,000人の電気技師がその分野に参入していますが、1万人が引退しています(出典)。技能の必要な専門職の多くをベビーブーム世代が占めていました。そして、彼らが引退したら、何百もの役割が空いたままになるでしょう。

技術業界において、Lambda SchoolやMake School、SV Academyなど、労働者不足に取り組み、教育や職業の斡旋を行うスタートアップが数多く生まれてきたのと同じように、私たちは、技能専門職についても、「教育のために訪れ、人脈のためにとどまる」ことを売りとするスタートアップの余地があると考えています。人員供給に制約のあるサービス業種においては、市場が既存のサービス提供者の単純な集合であることを超え、業界の新規の労働者の訓練と教育を行う機会があります。

美容師業

全50州とワシントンD.C.では、美容師として働くためには免許が必要です。美容師は、毛髪のシャンプー、カット、染色、スタイリング、化粧、肌と爪の手入れなどの美容サービスの提供を含む専門職です。これらに関する法律により、美容師志願者は、平均で177ドルの納付金と1年間(386日間)の教育、経験が必要です。また、2度の検定にも合格しなければいけません(出典)。

こうした規制の副次的効果は、ほとんどの消費者にとって、専門家によって髪に手を入れ、化粧を施してもらうことが、特別な場面のための派手なお金遣いにつながるということです。私たちは、これらのサービスがいつでも誰にでも利用できるようになるよう、供給モデルを根本的に変える方法に興味があります。また、特に人工知能の適用やコンピュータービジョンによって、サービスの利用可能性を向上させることができるような場合にも興味があります。

私たちは、こうした業界に市場を構築している創業者なら、どなたとでも喜んでお話します!

 

著者紹介

Li Jin

 

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: 8 Things to Consider When Building Managed Marketplace Companies (2019)

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