ハードテックスタートアップに関する会話 (Startup School 2018 #22, Eric Migicovsky)

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Adora Cheung (以下A)
ようこそ、共同創業者のEricさんです。彼はYCのパートナで、Pebbleの元責任者、創業者であり、2011年冬にYC Batchに選ばれています。

Eric Migicovsky (以下 E)
ずいぶん昔の話です。

A
歳をとりましたね。

E
そうですね。今もう一方の別の建物が反対側にありますが、YC Batchは この小さい建物の中の最後の一つでした。

A
応募したときはAlertaという名前でしたよね?

E
はい、そして私たちの別のプロダクトはInPulseという名前でした。

A
InPulse?

E
はい、複雑な名前がたくさんありました

A
Pebbleは素晴らしい名前だと思います。どうしてその名前に落ち着いたのですか?

E
以前はたくさんの悪い名前がありました。確か元の名前はシソーラス(類語辞典)を調べている時に思いつきました。その時は確か alerting (警告) に関連する言葉を調べていて、そこから Alerta というのを思いつきました。

Pebbleはそれよりもずっといい名前だったと思います。実はこれはビーチに横になっている時に思いつきました。実際にPebbleを作る二年ほど前のことで、Evernoteに一つの候補として残しておきました。いつまた名前を変更するかわからないので、皆さんももしいいものが思いついたら書き残しておくことをお勧めします。

YCの前後

A
さて今日はあなたが運営していたハードウェアスタートアップについて少し伺いたいと思います。昨今でも特に大きなハードウェアスタートアップの一つだったと思います。そしてハードテックについてもっと掘り下げて伺いたいと思っています。なぜならあなたはたくさんの時間をハードテックに費やしてきたと存じています。ここYCそして他にもとてもたくさんの知られていないスタートアップはたくさんあり、私たちはもっと見つけていきたいと思っています。

まずPebbleについてですが、初めにYCに来た時のことを教えていただけますか?どれくらい大きかったか?YCで何をされたか?これらはハードウェアスタートアップが三ヶ月で実際何をするのかという一般的な質問だと思います。

E
2008年に会社をスタートさせ、YCに応募しました。当時私はまだ学生でWaterloo大学に通っていました。そして2010年まで続けました。私たちのプロダクトを最初の顧客に出したころでした。これはPebbleの前の話で、2010年当時私はHacker Newsのサイトに出ていました。しかし当時はまだ Y Combinatorが何なのかよく理解していませんでした。私はそれがただのドメインネームか何かだと思っていました。

ある日誰かからYC のことを聞き、気まぐれな考えで応募しました。思い返してみれば私たちが撮影した動画はオクトーバフェストの期間中で、その時私は動画の中でオクトーバフェストの帽子を被っていました。無謀な理由で応募した私たちを Paul GrahamとJessicaとその仲間が受け入れてくれたのですが、私たちは三番目に失敗したハードウェアの会社でした。

YCを2011年冬にスタートし、2,300個の私たちの最初の時計を出荷しました。それがInpulseと呼ばれるもので、Blackberryのスマートフォンで使えるもので、私たちには何人かの良い顧客がいて、お金も稼いでいました。確か私は両親に $15000 を借りました。カナダ政府からの補助を得るのもそこまで大変ではなかったですが、他の投資者からはいくらもえられませんでした。YCが初めの投資者でした。

最初の生産

A
ではその$15000で生産させたのですか?それが最初の100ユニットだったのですか?

E
実際のところそれらを一つひとつ生産することになりました。最初の時計は中国からサーキットボードを買い付け、小さなメタルショップでケースを作りました。そしてCNCを持っている業者が私たちのことを聞きつけ、初めて実際のメタルケースを製造することを申し出てくれました。さらにプラスチックで時計のストラップも中国で製造し、最後の組み立てをひとつひとつ家のガレージでしました。初期段階でひとつひとつ手作りで生産したことは私たちにとってとても良かったと思います。最初は失敗に失敗を重ねました。

私たちにはたくさんの課題がありました。自分たちのアプリとも問題がありました。時計からのシグナルを得ることができなかったのです、それはまさにFaraday cageが手首に乗っているようでした。

そこで思いついたのがメタルの裏をプラスチックに変えることでした。レーザーカットアクリルを使うことにし、プラスチックを時計の裏側と同じサイズに切り取るという手法を用いました。 それらを詰めて最初の10ユニットをFedExで送ったのですが、10個中7個はプラスチックの裏の電気部品が破裂しており、購入した顧客からバラバラになった時計の写真が次々と送られて来ました。

そこでゴム製のフォームのかけらを時計の中に詰め、そうすることにより出荷の際に破裂することを防ぎました。先にも述べた通りひとつひとつ手作りで生産したのが不幸中の幸いでした。さもないと同じ問題のある商品をいくつも抱えることになり、初めから全てを台無しにするところでした。

A
では大量生産に入る前に実際どれくらいのユニットを売ったのですか?

E
それに至るまでに700か800ユニットは自分たちでひとつひとつ作りました。人々がしばしばYCについて尋ねることの一つが、「もしビジネスをMountain View に移さなければならないことになったらどうなるのか、それにより自身の製造過程を中断することになるのか」というものですが、そこで私たちがとった策が、まずWaterlooで数名の高校生を雇い、製造を任せ、Mountain Viewに送らせる、そうして自分たちの家で最終の仕上げを行うということでした。この策によりMountain Viewに拠点を移してもセールスを中断しなくてすみました。

A
YC以降Pebbleは確実に上向き様々な良いことが起こったと。色々な浮き沈みを経験されたんですね。

E
それらはWaterlooから一年後のことで、すぐに起こったのではありませんでした。しばらく時間がかかりました。

質素であり続けること

A
ではそれらすべての行程で一番大変だった点は何ですか?

E
思い返してみると、最初のアイデアから実際のプロダクトマーケットフィットを得るまでとても時間がかかりました。私たちが会社を2008年にスタートさせてから5年を費やしました。

最初のプロトタイプを2008後半から2009年で作り上げ、最初のプロダクトは2010まで出荷できませんでした。そして様々な課題をはじめの製造工程で学び、2012年に再設計したPebbleを作り上げました。

一番大変だったのは、私たちはたくさんの創業者と働いて来て、何が本当に正解なのかを見極めること、そしてそこに正しい答えはありません。見当違いかもしれない、ただの自信を諦めずに5年も続けたのは異常だったようにも思えます。ただ違う結果を望み同じことを繰り返すというのを5年続けました。

私たちはとてもナイーヴで少ない資金の中、コンシューマーハードウェアプロダクトを$40000の予算で作るべきでないことを知りませんでした。他のほとんどのプロダクトは数100万ドルの予算をかけて作られているのです。

A
しかしあなたはそれをやり遂げた、今でもそれは可能だと思いますか?

E
はい、そう思います。やはり一番大変なのは、他の人々を失望させない、そして純真さを保つということです。

私がスタートアップの段階で好きなことの一つに、人々は自分たちを何がまちがっているのか説得できなかった、なぜなら誰も今まで成し遂げたことがないからです。ある人はもっと資金を集めるべきだと言いましたが、私たちにはそのような供給源もありませんでした。私たちはとても抑制され単純なチームであり、自分たちで考えねばならなかったのです。

YCの直後私たちは少しの資金が集まり、一人の出資者から得たおよそ$250,000もの大金を在庫に費やしました。なぜなら、自分たちには確実な量の在庫がなかったからです。すべて手作りでの生産のため週に10から50ほどしか作れていなく、私は間違った考えのもと、もし顧客からプレオーダーを受け数週間後に売り始める代わりに、リアルタイムで売り始めていけばもっと利益が挙げられるのではと思いました。

そして実際にSan Jose工場にて少量ながら生産の契約をかわし3000ユニットを作り、すべての資金をつぎ込みました。実際に新しい工場で生産を始めるのは思ったより時間がかかり、3ヶ月の予定が6〜8ヶ月かかりました。お金も思っていたよりかかり、8ヶ月かけて出来上がった頃には自分たちの潜在顧客をも枯渇させてしまいました。

その間に人々はBlackberryからiPhoneに乗り換え、私たちはたくさんの在庫を抱えてしまうことになりました。とても厳しく辛い時期でした。

A
いつもとは限りませんが、多くのケースに見られるのはお金がない時に人はとてもクリエイティブな考えができますが、大金を手にした途端にどうやるか忘れてしまうというのです。

E
それが3年後また起こりました。私たちは十分な資金を調達し、スタッフを雇い始めましたが、それはいかに成功している企業でも直面する大きな問題です。私は学んでことはいかに質素に自分のプロジェクトに対して考えるかがどれだけ重要かということです。ただそれが誰しもに当てはまるとは限りませんが。

これとは全く真逆な考えを持つ産業があることも確かです。業界によってはめちゃくちゃな業界もあって、質素という言葉とはかけ離れている業かもありますよね。スクーターについて考えてみると…(聞こえない)、物理的に出来るだけお金を集めて、みたいな。でも、質素であり続ける大多数の人々にとっては…

A
そうですね。もし明確に影響するネットワーク、または先行者利益がなければ、別の方針にうつすべきです。

クラウドファンディング

PebbleはKickStarter のクラウドファンディングキャンペーンの中でも最も成功した例として知られています。多くの人がクラウドファンディングを資金調達の手段として考えています。

では何点かお伺いしたいのですが、いつやるのが最も適しているのか、特にどのタイミングで実際に動くプロダクトが必要なのか?クラウドファンディングのキャンペーンに合わせる必要があるのか?とか。何かアドバイスはありますか?

E
そうですね、これら一連の流れを経験してのアドバイスですが、クラウドファンディングは特に二つの点でスタートアップにとても有効だと考えます。

例えば、クラウドファンディングをとても初期の段階、まだアイデアの段階で使うこと、$25000-50000ほど集めてプロトタイプ作成の助けになると思います。これらはソフトウェアエンジニアが実験的に新たなプロダクトを試す、またはハードウェアと共に働きたい、あるいは、ハードウェアエンジニアでいくらも資金がない、しかし自身のプロダクトを人々に証明したいといった例にとても有効だと思います。

ただ、クラウドファンディングは意識的に行なってください。ド派手なCGIグラフィックと映像で数百万ドル規模のキャンペーンを構築するものではありません。あくまでも「自分のアイデアを実現化させるために少しの援助が必要」という人たちのためのものであると思います。

まずは近い人の意見を求めて見るといいでしょう。友達にメールして「もしこうしたプロダクトができたらどう思う?購入したいと思う?」と聞いてみましょう。こういった早い段階でのプロダクトマーケットフィットを自分の友人や家族でテストすることが非常に有効だと考えます。

実際に身の回りの人がお金を出してでも欲しいと思うプロダクトなのか、顧客そのプロダクトを事前支払いをしてくれるのか、プロダクトによっては人々は実際に試してからでないとお金を出せないと思うこともあります。しかし人々が本当に望んでいるものならお金を出してくれる人は必ずいるでしょう。こういった機会を得れるのが初期段階でのクラウドファンディングです。

安売りをしない

私がよく人に助言するのが安売りマーケティングをするなということです。

それには二つの理由があり、一つは、ほとんどのこうしたキャンペーンは、もし仮に資金集めに成功しても実際に製品化、出荷する際に失敗しがちです。なぜなら実際に製品化し顧客の元に届けるということはとても有益であり、また人々がそのプロダクトの何が好きで何が嫌いかということをすぐに学べ、アイデアを練る時間をより削減できると言えます。

また他にもマーケティングや販売ルートといった使い方にも有効であるでしょう。実はほとんど知られていないのですが、私たちはKickstarter Campaignを始めた際、もうすでに1500もの最初の時計をすでに売っていました。

なのでその時点ではすでに大変な時期も経験しており、またPebbleをどんな見た目にするか具体的なアイデアもありました。なぜなら既に1500人分のアーリーアダブターの反応、フィードバックを持っていたので、それに合わせて調整、改良することができました。

ですのでクラウドファンディングは消費者のプロダクトライフサイクルの中で二つの別々の機会が得られると考えられます。 人々はよくこれらの二つを組み合わせたり、どちらを目的にしているのかわからなくなり、台無しにしてしまうことがあります。

そのほかにも初期のクラウドファンディングにはいくつかのプラットフォームがあると言えます。KickstarterやIndiegogoなどの類、またはTenD, CrowdsupplyそしてHackaday Forumsなど。またDiscordチャットなどをうまく利用すれば、早い段階でKickstarterのような大きなプラットフォームを利用する必要もありません。

A
では明確な日時を指定するのを進めますか?もしKickstarterを初めの段階で使うとすると、実際に6ヶ月で出荷できるかどうかわからないと思います。何かほかに明確な期間で出荷できる方法はありますか?

プロダクトの出荷に自信が持てないならやらない

E
もし自分のプロダクトの出荷に自信が持てないのなら、こうしたプラットフォームを利用するのはお勧めしません。これらは出荷中心のものであり、ほかにもオプションはあります。

そして、もう一度私が助言したいのが、最初のサイクルを見直すこと、「プロダクトを作り上げるのにどれくらいの時間が必要か」「自分たちに全て必要なスキルがあるのか、またはスキルのある人材を探す必要があるか」。たくさんの人がこれらのステップを飛ばしてハイパワーマーケティングキャンペーンを行おうとしますが、良い結果に結びつくとは思えません。

A
そして、アーリーアダプターよりも早く動こうとする属性の人たちがいますよね。Kickstarterにもアーリーアダプターはいますが、それよりも前に…

E
そうです、その通りです。業界よっては、またはプロダクトによってははそういったこともかのです。時にはシンプルに(聞こえない)。しかし今までにYCにはいくつかの素晴らしい会社もやってきました、彼らは最初の販売の確実性をFacebook, Reddit, Discordにて生み出しましていました。それらのサービスにはかなりの顧客が存在しているのです。

A
では先ほどのPebbleについての話ですが、あなたは人を雇うことや外部委託に依頼することをおっしゃっていました。では外部委託の構成についてどういった選択がありますか?

E
それはハードテック企業にとってとても難しい質問だと思います。なぜなら、自身のプロダクトを作り上げる上でのスキルは非常に様々であるからです。

まずはエンジニアが必要であるかもしれないです。メカニカルエンジニア、電気エンジニア、コンピューターエンジニア、製造する人間、OPS…しかしそれらの人々が常に100%必要なわけでもありません、例えば3週間で15%〜20%必要で、その後は電気エンジニアはもう必要ないのです。

では最良の解決策としては、フレキシブルなエンジニアをチームに置くこと、そして必要のないところは全て自分たちでやってしまうことで外部の人間を組み込むよりもより早く仕上げることができます。

私の初期のキャリアで最も辛かったことは、共同創業者を置かず、請負人やコンサルタントなど常に給与を与え続けなければならない人々を雇い続けることでした。やはり初めから資金がそれほどあることもないと思います、そしてそれだけでなく請負人のモチベーションは常に自分たちと同じではありません。24時間365日頑張ってくれる訳ではないのです。

ある日、出資者からのメールでインターンの人が学校に戻ってしまったのでもう働くことができないと言われました。彼は私たちの開発の多くに関わっていた人でした。ですから彼の埋め合わせになる、しっかりした知識があり、尚且つ信頼できる人材を探すのに大変苦労しました。

ビジネスモデル・カンパニー・フィット

A
ではハードウェアに関しての最後の質問ですが、よく言われる格言に「ハードウェアをただ作り上げることはできない、それにはソフトウェアを構成が必要である、そうして一度きりの購入ではなくサブスプリクションサービスとして展開できる」というものがあります。このようなことを言う人々をあなたはどう考えますか?

E
私もそういった取り組みを行っています、このカテゴリーにおいてリサーチも続けています。

これにはPebbleの直後より興味深くさせられました、なぜなら、よく寄せられたフィードバックで、サブスプリクションサービスを始めてくれないかというものが実際にありました。

プロダクトマーケットの失敗(product market failure)ということを聞いたことがあるでしょう。これは、顧客はプロダクトの後に実在する特定のマーケットを追いかけているというアイディアです。

そして、私はビジネスモデルカンパニーフィット(Business Model Company Fit)があると考えています。世界一素晴らしいプロダクトを持てる場所、実際にプロダクトマーケットフィットがある場所。

しかし、もしビジネスモデルが間違っていたら、資金調達はできないし、長期間にわたって企業を成長させることはできないのです。ですので、もしプロダクトマーケットフィットがなければ心配することはありません、なぜならもしプロダクトマーケットフィットがなければ会社も存在しないからです。

しかし、もし、この会社を運営するつもりだったビジネスモデルが何なのか誤解されプロダクトマーケットに出た場合問題に直面するのでしょうか?

それはハードウェア企業やハードテック企業が使うことができる7〜9種類のビジネスモデルのようなものです。リサーチや会社を様々なカテゴリーに分類すると、Nestや Dropcamのようなサブスクリプションモデルの会社になるでしょう。彼らは月額3ドルから10ドルのサブスクリプションモデルで運営しています。しかし、それらを他の会社が同じようなことをやろうとしても、うまくいかない様子が見られます。

ですから、私たちの場合、サブスクリプションについて考えるのに苦労しませんでした。それを試してみましたが、実際にはうまくいきませんでした。失敗した原因は、私たちがヒット駆動マーケット(hits driven market)にいるということを理解していなかったからです。

ヒット駆動とは、コンシューマープロダクトを思いついて、それが運よくヒットして、そのヒットがプロダクトマーケットフィットを作り出し、引く手数多になる、ということです。ゲーム会社と似たような構造です。

私たちはとても質素でなければならないということに気づいていなかったのです。新製品の開発には超低予算で、そしてまた新しいヒットを狙う。私たちの最初のプロダクトは確かにヒットしました。そして、もし私たちがより質素な組織を構築すれば、より安くプロダクトを構築でき、もしそれが成功すればスケールアップすると良かったのでしょう。そうすれば少しは違った結果になったと思います。

ハードウェア企業にはこれらのさまざまなモデルがあるので、正しいモデルを選択する必要があります。本当にサブスクリプションサービスをすべきなのか、それが本当に顧客の求めるものか?$5から$10毎月払い続けてくれるのか?そして、それを強制することはできません。もし強制するならば、顧客のために素晴らしいプロダクトを作ることに加えてさらに別の問題にも取り組まなければいけません。

ハードテック

A
ではまたハードテックに話を戻しますが、私たちは最近、多くのクールなハードテック企業に投資しました。Quantum Computing、Self-Driving car、(聞こえない)家全体を3Dプリントで作る会社などです。

E
他にも農業技術、核融合、航空宇宙などがありますね。

A
そう、ロケットとか。ではあなたはハードテック、ディープテックをどのように定義しますか?そしてそれは実際どのように関わっていますか?

E
私がより難しい技術分野で楽しみなのは、ソフトウェアの世界では、反復サイクルはかなり短いです。コードを入力して、数秒以内に稼働させることができます。そして、プロダクトを素早くイテレイトして顧客からのフィードバックを得ることができます。

しかしハードテック企業はできないと思います。同じ急速な反復サイクルを持っていないからです。ハードウェアが混在していて、どちらも同じ速度にはたどり着いていません。

ただし、各反復サイクルにかかる時間は大幅に短縮されます。あるいは、新しいビジネスモデルや新しいユースケースをアンロックするために、取り組んでいる何らかの基本的なテクノロジーを開発する必要があるかもしれません。

また規制の可能性、医療機器分野、無人機分野、輸送分野、自動運転分野、何れにせよ何らかの規制があります。これらはすべて、イテレイトサイクル時間に影響を与える、制御できない外部プロセスがあるのと同じです。

A
例えば、私がロケットに関して何かすごいアイディアを持っていたとして、ほとんどの人にとっては非常識なことで…

E
ロケット科学者以外にね。

MVPの作り方

A
そう。ではお金ければ、どこから始めるべきですか? 何をすればいいのですか?

E
最近は始めるのにそれほどお金がかかりません、 自由に使える投資された資金でスタートアップスクールで始めれば良いのです。AR Machine Learningを使用していれば、それを使用してクレジットを取得することもできます。

A
ではMVPとは何ですか?

E
ハードテックに関してですね。医療機器に関していえば、MVPとは取り組んでいることを立証する成功した査読済みの科学論文です。そうすればうまくいく可能性があります。そしてクリアランスへの道を理解することでしょうか。

これは私の意見ですが、最高の企業というものはどのようなビジネスモデルが自分達に適していて、どうやったら商品が売れるのかを知っているのです。しかし、そういった道から程遠い状態にいるのであれば、投資家はユースケースで科学の掛け算(the mating of science)を見るとワクワクし始めるんです。

ロケットと衛星とジェット推進に取り組んでいるたくさんの会社がありました。そのような場合、それは通常あなたが取り組んでいるものや、顧客のある種のサブセットスケールです。ですので、全てのケースで規制の厳しいプロダクトに取り組んでいる場合でも、初期の契約を通じて、あるいはパイロットコースに沿って顧客に貢献してお金を支払うことは、より良いとされています。

エンジニアはものを作るのが大好きですが、販売することはそれほど好きではありません。ですから、私がアーリーステージの会社に対して見ているポイントとしては、創業者が技術的に有能であるのか、復習をきちんとするタイプなのか、そして営業ができるのかどうかです。

セールスの重要性

A
では彼らが多くの投資家の前にいるとき、デモデーで何を見つけることができますか?それまでに彼らがそれを達成するように推奨することは何ですか?

2つの方法があるように思います。一つは、ビジネス面。あなたが販売をすることができるなら、販売をすることへの規制の問題はないということ。そして、あなたはいくつかの有料契約を結ぶべきです。(聞こえない)それからまたあなたが実際技術的にこれを作ることができるというのを証明できればいいのでしょうか。

E
はい、そして私は多くの人がこれらを複雑にしていると思います、そして彼らは私が何か見せることができるまでセールスをしたくないと言います。

しかし実際はそんなことはありません。ほとんどの顧客は、問題があると説明し、それを解決する方法があると説明した場合、彼らは喜びます。もしそうでないのなら、おそらく彼らが特に解決したいという問題を抱えていないというサインです。

よくあることですが、YCにやってきて最初に「最初の2ヶ月をプロトタイプの改良に当てます。そして納得がいくものができたら最後の1ヶ月を営業に当てます」という会社はよくあります。

それよりも、さっさとセールスをしてみて、何かにぶつかって、顧客と話をし他なら、もっと良い最初のプロダクトを作り上げることができるでしょうし、最初のプロダクトを作り上げてそれを見せることもできるでしょう。

A
正しい軌道に乗ることができたら自信にもなりますしね。

E
とても大変ですけどね。

最近のバッチで、プロトタイプの構築に2年間取り組んでいた会社がありました。彼らは彼らが大学で取り組んだ技術を商品化していて、それにハードウェアコンポーネントがありました。彼らはYCの応募が2回目か3回目だったと思います。

彼らの技術でデモをしている一種の動画がありました。私たちは彼らの取り組みを気に入りました。彼らは戻ってきていて、 技術も良くなっていて、顧客と話をし始めたところだったので、「お尻を叩こう」ということになりました。

私たちは彼らを面接に呼んで、受け入れました。彼らはすぐに売り始める必要があり、人々に興味を持たせる必要があるということを告げました。彼らが軌道に乗るまで少し時間がかかりましたが、インタビューに呼んで、YCに受け入れました。

そして基本的には最初の一週間は「セールスを始める必要がある。人々をワクワクさせて興味を持たせなきゃ」とだけ伝えました。それは彼らからすると天地がひっくり返るようなものでした。なぜなら彼らは私たちが「技術的にもっと頑張った方がいい。そしてワーキングユニットとウィジェットができたらセールスをしたらいいよ」と言われると思っていたからです。

私たちは「違う。セールスして顧客と話すんだ」といいました。軌道に乗るまでには少し時間がかかりましたが、それは特にエンジニアにとっては新しい筋肉を付けるみたいなもので、2ヶ月のスパンでジェットコースターみたいにゼロリードからホールリードまで駆け抜けて、全部崩壊したり誰もサインをしなかったりという状態から、だいたいYCの6から7週間目くらいでしたかね、彼らが「最初の契約をとりました」と言ってきたんです。

そして次々に、第2第3の契約を取っていき、Demo Dayまでに、彼らはすでに400万から500万ドルの売り上げを上げました。そしてそれはすべて3ヶ月の間に起こりました。なぜなら彼らは技術を構築するためだけの作業をやめていたからです。

とはいっても完全にやめていたわけではなく、彼らは3人か4人のチームを持っていたので、 それを分割することができました。しかし一番の焦点は、どう売上げを上げるかに定めていました。

ハードテック起業家へのアドバイス

A
今までに多くの科学者とエンジニアと話をして来たと思いますが、彼らの多くは商品化を考えています。 彼らにあなたのアドバイスは何ですか? 彼らは何を考慮すべきですか?

E
私は大学の研究ベースで会社をはじめましたが、このSilicon Valleyで起業するのと比べると、非常に守られているなと感じます。政府の補助金がありましたし、希薄化されない資金を調達することもできました。そして、その資金を使ってプロジェクトに取り組むことができました。

一方で、悪い面としては、顧客がお金を払うような種類のプロダクトを持っているというプレッシャーがなかったことでした。スタートアップのエコシステムのDNAにはあるまじきことですが。ほとんどの人はスタートアップに取り組もうかどうしようかという中間点にいて、必ずしも次の段階に進むわけではありませんでした。そして、それは大学にいる人たちに影響を与えることもあります。

よくあるのは、助成金を使って資金を集めて、長期プロジェクトに取り組むのですが、特別なケースにおいては会社としてスピンオフして実際に顧客に買ってもらおうとすることもあります。自信を持つためには、実験的にも経験としても、自分たちのコンフォートゾーンから抜けてみることだと私は思います。パラシュートなしで飛んでいけなんて言ってませんよ。

ポジティブなビジネスインパクトがある技術に従事しよう思うのなら、そう言ったラボに入りましょう。カンファレンスに行きましょう。教育的なカンファレンスではなく、企業販売のカンファレンス(展示会)に。顧客と話て、人が何を考えているのかを知りましょう。それが始まりです。

もし幸運にもちゃんとしたポイントを付いていたら、顧客から「それにはどこで出会えるの?素晴らしい。夢にまで見てようなものだ。こんなものがラボから出てくるなんで信じられない」と言われるでしょう。そうなったらあとは引っ張るだけですが、少なくともそれを試すためにはそういった場に出なければいけません。

投資家に何を見せるか

A
ではあなたのプロダクトが人々の興味を引くと確信できるところまで到達したとします。しかし、実際にそれを作るためには、たくさんのお金が必要です。投資家に何を証明する必要がありますか?

E
私の考えでは最高の企業は、作業に多額の資金を必要としない企業です。少なくともMVPステージにおいては。YCが提供するすべてのアドバイスでは、通常、企業の90%に適用されます。そして常に特殊なケースがどちら側にも5%ほどあります。

しかし、私がこれまで見た中で最高のハードテック企業のいくつかでさえ、彼らには1億ドルを投入するために誰かを必要とする、そんなゼロか一かの成果(binary outcome)はありません。そしてそれがプロダクトを開発できる唯一のものです。この会社については記者会見以上の情報は持ち合わせていないのですが、MagicallyとOculusの話がありますよね?

Magicallyは大金を資金調達して11年をプロダクトに注ぎ込見ましたが、Oculusは200万ドルをKickstarterから調達して素晴らしい初期開発キットを出荷しました。彼らはなんどもイテレートして今のOculusになりました。新しいものは$400でコンピューターを必要としなくて…

A
Questですね

E
そうそうQuestです。人々が夢見ていたもの。そして6ヶ月以内で(初期を)作って、そして6, 7年地獄のようなイテレーションを繰り返していましたが、彼らはやりきりました。

A
それでは最後の質問で、次は観客からの質問にうつります。興味深いアイデア、聞いたとき驚いたアイデアって何だったのでしょう?出資者にあって説明して行く上でそんなに驚くようなアイデアでもなく、実行に移せると思ったのでしょうか?

E
Relativity Spaceという会社が3年ほど前だったと思うのですが、YCに参加していたのです。3Dプリンターのロケットを製造しようと試みていました。彼らの理論は、大金が使われるのはロケットを組み立てる事自体ではなく、インテグレーションのテストを重ねる段階でコストがかかっているという事でした。

組み立てたときに相互で完璧に働かないといけないよう何百ものシステムがあるので、最終段階のロケットを作るまで試験実験を重ね続ければいけません。少し違った方法で、スぺースXは合理的な方向に動いていました。彼らの理論は、もし3Dプリンターでロケットの先からモーターの全てまでを作る事が1つのプリンターで出来たとしたら、インテグレーションをする時間なんて必要ないですよね。だって、プリントをするだけなのですから。

なので、彼らはこれを試みていましたが、ただのアイデアにしかすぎませんでした。どれ位の期間取り組んでいたのかはわかりませんが、かなり突拍子もないアイデアでYCに参加したと思います。

特に、投資家の多くは、宇宙の案件に投資したいとい人ばかりではなかったと思うので、かなり勇気がいったと思いますが、彼らは実践にうつしました。3Dプリントのロケットを披露しました。初期の資金はそこで獲得したのです。そして大きなスケールのプロダクトに移って、さらに高額の資金を集めたのです。去年だけでBRCを集めたと思います。

A
以前彼らは、働いていたんですよね、スペースXで

E
スペースXです。

A
それかNew Originだったと思いますが、長年の経験があったわけではないので、考えてみるととても驚くべきことですよね。あんな若くして、こんな事を成し遂げたなんて・・

E
そうですね、その上、みんな彼らのビジョンを信じたんです。彼らが取り組んでいる事だったと思うのですが、デモストレーションをしっかり行い、実際にとても興味深かったです。

間違えていたら嫌なので、あまり多くを語りたくはないのですが、最初にプリンター作りに取り組み、作成した巨大なプリンターの応用を探していたようです。それで宇宙を見つけたのです。そういった背景でもあり、またかれらの情熱でもあったので、それに賭けたのです。基礎的なテクノロジーに取り組んでいる人にみられる事だと思います。

数週間前、PGがこの件に関してかなりいいツイ―トをしていました。「もし自分が人々の想像を超えるような素晴らしく画期的なものを作っていて、でも顧客がだれも買いたがらない事を知ったら、会社の軸を少し変えて顧客が欲しがるような事を行い、画期的な技術を使って早くより良いものを安価で提供する」と。

それがまさしくRelativityが行ったことなのです。新しい3Dプリンターを作り、この技術を使いロケットを作る事ができると気づきその空間でロケットを作りだしたのです。

Q&A

A
すごいですね。質問がある方は? それでは最初にどうぞ

最初の顧客の獲得方法

スピーカー3
$40でコーヒーを売る事ができたのですが、コーヒーショップ向けにコーヒーの苦さを取り除く設備を作っていました。技術をこれから開発していくという流れでは、どうやって最初の顧客を獲得するのでしょうか?公の場に出る前までにPebbleを1500個作られたとの事ですが、最初の1〜50個まではどうしたのですか?

E
質問は、どうやって最初のお客さんを獲得するか?ですよね。1〜50個をどうやって取得したか?先ほども少し触れた内容ですが、最善の方法としては興味を持ってくれそうな客層に潜入することです。インターネット上には数えきれない程のプロダクトやサービスについて語るサイトがあります。Whats Appを作った人の2009年の最初の投稿が何だったか知っていますか?

A
いえ、知りません。

E
Fire Talk Forumという世界中を飛び回るオタクっぽいビジネスマンが集まるフォーラムで、彼は投稿したのです。Whats Appの最初のユーザーのターゲットにしたのです。

完璧ですよね?旅行者で、世界中の人達と話したいと思っている。そして、ショートメールを送るのに高額の携帯代を払うことにうんざりしている。2009年、丁度そのころスマートフォンが出回り始めました。何て完璧なのでしょう。狙っていてもそう簡単にできることではありません。

大事なことは外の世界にでた色々と試してみる事ですね。私たちは設立当初ブロガー達としゃべる事で沢山のメディアに注目されました。当時のブラックベリーユーザーと個人的なつながりを持ちました。

クラックベリーって覚えている人いますか?カンファレンスに出向き、それもかなり安い飛行機のチケットで。さらに高いカンファレンスの入場チケットを買う代わりに、2009年のCECなんかに潜り込んだり、Ngadgets Trailerに入り込んだりしました。

Ngadgetsの大きなトレーラーには記者たちが沢山いて、私たちは誰も知りませんでしたが色々な人と喋ったり、食べ物をもらったりなんかしていました。壊れた時計をした手首の写真、なぜばら時計自体もその当時はまだ動いてもいなかったのです。

誰々と誰々はスマートウォッチを作っているのですよって。当初はそうやって沢山の人をあつめました。これが自分が欲しがっていたものだったんだと自分自身で気づく事でした。

A
なかなかガッツがいる事だったでしょうね。

ハードウェアの知識

スピーカー4
(聞こえない)

E
そうですね、今ではもっと簡単だと思います。質問は、ソフトウェアのエンジニアですが、ソフトウェアとハードウェアの両方を使うアイデアがあるとき、どうやってハードウェアの知識を深め取り組む事ができますか?ですね。

うれしい事に、今の時代それはとっても簡単です。数か月前テッククランチでどうやってソフトウェアエンジニアが始められるかの投稿を行ったのですが、実はとても簡単なのです。

自分がやりたい様な既製品を見つける。それでもう半分終わった様なものです。AmazonやAlibabaで購入可能ですよ。プロダクトを購入することで時間やお金を無駄にせず自分の作りたいものを作る近道となります。

2、3日で届き、作りたいものの実物で、起こりうる問題の解決法を見つけ、また自分の誤りにも気づくことができます。$200〜300払って近道を行く方が、数週間や数か月かけてプロトタイプを重ねその既製品のレベルに達するよりよっぽど有意義ではないでしょうか。

次のステップはそのプロダクトの50〜75%を利用して、自分流に改善していくのです。技術を少し足してみたり、ソフトウェアをいれてみたり修正してみたり。その技術を再利用して組み合わせを少し変えてみる事です。いい例を挙げるとすれば、スクーターの会社です。9ボットのShow-Me Scooterにセルのモデムをくっつけるただそれだけです。これがスクーターシェアリングの始まりですね。セルモデルとGPSにスクーターをプラスしたのです。

彼らはそのスクーター自体をつくったわけではなく、Alibabaで購入しモデムを別会社から購入します。こういう形のプロトタイピングが次世代のコンシューマーハードウェアや起業家のためになると思います。

2バッチ前には、近隣のカメラや防犯カメラを製造する会社が、Pir Camと3DプリントのケースにRaspberry Piを使い、数百ドルで売りました。ハードウェアのコストはとても少なく、消費者の実際の問題を解決し、その代償として費用を払っているのです。とっても簡単ですよね。

Alibabaで人を探し、Wechatで工場を探す。自分一人で全てを作ろうとしないことです。新しいデザインを製造会社に作らせるのではないのです。そんなことをして数百ドル、数千ドルを無駄にして思っていた物と違う商品をオーダーし作るのではなく、$300くらいで商品を買い、その商品を作っている工場を探し、自分の望む形に変更し商品を作ってもらうのです。

深圳に移るべきか

スピーカー4
プロダクトマーケットフィットの前に 深センや上海のようなサプライヤーに近いところに引っ越すことを勧めますか?

E
それでは質問は、プリ・プロダクトマーケットフィットの段階で、Chen Ginまたは工場の近くにいるべきか?ということですか?プリ・プロダクトマーケットフィットがあって、反復しているプロダクトを持っているならば、反復サイクルを減らす方法を考え出してください。顧客を驚かせ、プロダクトマーケットフィットを見つけるチャンスが増えるでしょう。

そして2つの方法 で解決することができます。工場に移動することで反復できるようになると思われる場合、すでに販売チャネルを持っているのであれば、それは良いでしょう。もしそうでなく、あなたも多くの顧客を持っていない場合、顧客の近くに越した方がいいでしょう。ハードウェアではなく、ソフトウェアで反復を実行できるようにすれば、顧客の前で少し直すだけでなんとかなるでしょう。

最近のバッチでそういうことをしていた会社がありましたね。彼らは非常に特定のビジネスプロセス問題を解決するためにドローンを使っていました。そして彼らはそれらのビジネスがあるところに移動しました。泊まっていたモーテルの部屋をドローン工場に変えました。彼らはドローンを修復する広告を出していて、そのケースは彼らにとってとても良いものでした。

知財

スピーカー5
自分自身のプロダクトを保護しなければなりませんか?どのように保護するのでしょうか?

E
プロテクション、IPプロテクション、トレードマークプロテクション、あなたが興味を持っているのはそのようなものですか?この質問は、あなたの会社のモットー(?)がのようなものになるのかということにも触れると思います。あなたがいったん美しいプロダクトを見つけたら、誰かにアイデアを盗られないようにどのように考えますか?これを解決することができる方法はいくつかあります。

私が思う一番いい方法は、ネットワーク効果、つまりプロダクトを使う人が増えれば増えるほど、全ての人に人にとってよりといものになるような先天的なモットーを持つことです。あるいは、プロダクトを使用する時になんらかのデータをロックインします。一つのエコシステムの中であなたが今日生み出したデータは、競合するハードウェアを構築している他の人は簡単に入手することができないようにするのです。これら2つが私が考えられる最善の方法なんですが、どう思いますか?

A
それらは素晴らしいと思います。特許は以前取るのがとても大変でした。Cognition IPという会社があります。(特許をとるために)私はその会社を利用するでしょう。少額のお金を払って…

E
彼らはあなたがファイルするのを手伝うソフトウェアを使うのですか?ここでの特許との問題は、あなたが特にこの問題について考えているなら、どうやって他の人からアイデアを盗まれないよう阻止するかです。それらは実際扱うのがとても難しいです。

もしあなたのプロダクトがネットワーク効果やデータのロックインの仕組みを持っているのであれば、自分でコントロールできます。弁護士や政府や裁判所に頼る必要はありません。ドメインの優位性を強化すればいいのです。

しかしもし特許などに頼っているのなら、「この資金を投資として控えているが、その最初の投資をアンロックするには、後でもっと多くのお金を投資する必要があります」といっているようなものです。ですのでスタートアップが特許などを使ってモットーを構築するのは大変稀です。これらはBio Techの領域でより起こりえることです。

A
そうですね。とても良いプロダクトを作り上げるのにモットーをしっかり構築するのは不可欠です。

E
5%の企業には特許戦略が合うかもしれませんが残りの95%は別です。それが問題となります。

A
そうですね。構築するのは簡単ですし、人はただそれをコピーするだけですから。たとえ特許をとったとしてもそれが重要だとは思いません。

E
そうですね。特許を強制するためにはお金が必要ですし。それを強制するには時間が必要ですし、もし会社が倒産したら、特許を守るのは難しくなりますね。

A
そうですね。後ろの方。

長期的な課題を解決するために短期でやるべきこと

スピーカー6
ソーシャルメディアを特にAIで解決するなど、難しい問題を解決しようとしているプロダクトを開発しているのであれば、どのようにして人々に継続して使用するよう説得しますか。(聞こえない)

E
マージナルマーケットは素晴らしいですね。質問は、長期的な問題を解決しようとするハードテック問題に取り組んでいる時に何が起こるか、ということですね。

最初に解決しようとしている問題がもし小さすぎたらどうするか?正直に言って、良い投資家は小さな市場をみたいと思っていることでしょう。なぜなら最初の段階で小さな市場があるということは、あなた自身がその市場にどのような人がいるのかを認識できているということを意味します、とても安く。実現不可能なことをやろうとしているよりずっと良いです。

例えば、世界中の2%の人が興味を持っていることと、80%の人が興味を持っていることがあります。(2%の場合)顧客を見つけるのは安く、簡単にできます。そして小さなグループであれば、あなたのプロダクトが良いか悪いかをすぐに教えてくれます。なぜなら、彼らは問題を認識しているからです。

あなたが「ねぇ、これを買ってみてよ。その問題を解決できるから」と言って彼らが使ってくれると「問題は解決したよ。とてもよかった」とフィードバックをくれるでしょう。

曖昧なプロダクトアイディアで大規模なグループをターゲットとした場合には、その人たちがそれに興味を持ってくれたのかをその週のうちに知るのは難しいでしょう。十分なお金がなかっただけかもしれませんし。曖昧で大規模な市場であれば、プロダクトが悪いという理由以外の理由がたくさんあるので見極めるのは難しいです。

A
付け加えると、小さくスタートするのは良いと思いますが、それがどのように大きなものになるかについてのロードマップを持つことは、投資家にとっても良いことです。

E
自分自身にとっても、モチベーションを保つために大事です。

ビジネスモデル

スピーカー7
サービス用ハードウェアのタームについてどう思いますか(聞こえない)

E
質問は、リカーリングビジネスモデル、サブスクリプションビジネスモデル、ハードウェアサービス、それとも単純にプロダクトを売るというモデル、どれを選択すればいいのかということに関連してきますね。

先ほどお話ししたことに戻りますが、どれを選んだら正しいのかということは、自分の会社が正しいビジネスモデルトラックに乗っていたら必ずわかります。様々なトラックがあります。ただのハードウェアサービスではなく、ただのコンシューマーモデルではなく、ハイブリッドモデル、インシュランスモデル、アドバタイジングドライブンモデル…本当にたくさんあるので、正解は一つではありません。

ここで言えることは、エンタープライズ側から見ると、顧客のために価格を抑えられるのか、顧客があなたのプロダクトに応じていくらの値をつけるのかをあなた自身が知る必要があります。もしあなたのプロダクトが顧客が思っているよりも安かったとしたら、ギリギリまで価格はあげるべきでしょう。もちろん合法的に。そうすればイノベーションから利益を得られるはずです。

サービスモデルとしてハードウェアがいい時もあります。先行投資になるかもしれませんが、本当にその時点での顧客によります。なので、その面でアドバイスをしようと思うととても難しいのです。答えは実験的に顧客と話すことでより見えてきます。プレスを使って実験することもできます。ほとんどの会社はとても小さくて…違うな。

PRをすると、あなたのプロダクトについて初めて聞いたという新しい人が現れます。彼らはそのプロダクトを初めて知ったので最新の価格がいくらだったかということを知らないはずです。そういう実験をする余裕があるでしょう、特に創業期においては。

採用はしない

スピーカー8
採用についての質問です。全ての問題において…

E
採用をどうするか、特にスケールしている時期において。採用は非常に気が散るモードなので、アーリーステージのスタートアップのミッションはプロダクトマーケットフィットを見つけることだと私は思います。

そして、チームを雇うことは絶対にありません。チームを雇ってもポイントにはなりませんし、素晴らしいチームを雇ったとしても大躍進はしないでしょう。プロダクトマーケットフィットをもつプロダクトを探すことに集中するべきです。

一般的に、採用は本当に面倒な議題です。状況によりけりだからです。一般的なアドバイスで言えることは、前にも言いましたが、信頼で採用することと、特定の分野の知識のために雇うよりも信頼性で雇うこと、です。Kickstarterがヒットした直後は、2人のフルタイムと2人のインターンしかいなかったので、私にとってはとてもよかったのです。他に誰もいなかった。

そして突然、人を採用する必要性が出てきました。私たちは3〜6ヶ月の期間をチームの30%の人たちを雇うことに費やすこともできました。雇う必要があったのは、経験がある専門家でした。私たちはそれに時間を費やすこともできました。

チームを雇うには時間がかかるので、最初の生産が3〜6ヶ月遅れてしまう可能性もありました。私たちはそうせず、代わりにプロジェクトに何らかの形で関わっていた何人かの大学時代からの親友に電話をかけたのです。そして「仕事を辞めて飛んできてくれないか」と頼みました。そうして、私たち全員が3〜4日の間に7人を採用したのです。

それがうまくいったのは勢いがあり、プロダクトマーケットフィットがあったからです。「かっこいいね。宇宙船に携わりたいよ。一緒に宇宙に飛び出したいんだ」と言ってくれました。3〜6ヶ月の採用期間は必要ありませんでした。3〜6日で採用しました。私は彼らを知っていましたし、信頼していました。彼らがすぐにチームに加わったのは、新しい学校でのプロジェクトをもう一回やるみたいな感じでした。

A
最高の(採用の)ソースプールは大学であった人か一緒に働いたことのある人のようですね。

E
過去の仕事。そう、2〜3年前に一緒に仕事をしていた人たちを見落としがちですね。かっこいいやり方の一つとしては、一つ一つゆっくり手動で見ていくことです。Facebook出会ったりLinkedInであったり。全ての人々を見ながら考えます。「この人はクールな技術屋だったかな?」と。

そのリストを辿っていくと、おそらく共同創業者が見つかることでしょう。もしかしたら最初の従業員も見つかるかもしれません。長いこと会っていなかった高校の友人がめっちゃクールなディベロッパーかもしれません。彼女を雇ってチームに連れてくればいいんです。

A
人が見落としがちな2つ目のステップは、ちゃんとその人に聞いて現実的なオファーをすることです。曖昧な態度はよくないです。「NOとは言って欲しくないから、これを聞くつもりじゃないんだけど…」とか。

E
いい本があります。Ben Horowitz の「The Hard Thing About Hart Things」です。彼は友達と働くことについての難しさと利益について綴っています。もし友達と働くことになるようであれば読むことをお勧めします。

A
後ろの方、どうぞ。

ハードウェアをどのように関与させるべきか

スピーカー9
ほんの少しの力で解決できるかもしれませんが…(聞こえない)

E
質問は、プロジェクトや問題によっては、ソフトウェアでのみ解決できる問題があります。ハードウェアをいつ関与させるべきかどうやったらわかりますか、ですね。疑問がある場合、全てのハードウェアを取り外しても問題は解決しないでしょう。始めるのに最適な時期です。

それが、先ほど棚から何かを買ってそれを使ってみたらと言った理由です。なぜなら、あなたは何かハードウェアが必要なのかもしれません、カメラ、携帯、コンピュータープラットフォーム…RaspberryPiを買ってUSB機器を差し込みましょう。今日において、それ以外のものを構築する必要はありません。一部の人にとってはそれは正しいフォームファクターにならないのかもしれませんし、私が考えている顧客ニーズそのものでないかもしれません。試してください。何かを構築して、一緒にハックしていきましょう。

そして少なくともその問題のほとんどを解決できるのかどうなのかをみてみましょう。なぜなら、私がよく言っていることですが、最初のテストでわかることは、ニーズのある良い問題であるのか、誰にもニーズのない問題であるのかということです。そうすれば、カスタムハードウェアの作業に3か月を費やす必要がなくなるでしょう。

デモの方法

スピーカー10
実際にホログラフィックを作成しているのですが…(聞こえない)

E
質問は、私たちは人々を助けることができるAI心理療法士またはセラピストという、とても複雑なプロダクトを持っています。デモはどのようにしたら良いのでしょうか、またはどのようにプロダクトを人々に伝えたらいいのでしょうか。先ほどの質問と同じような質問かもしれません。ハードウェアではなくソフトウェアでできる方法があるようなものです。

もし私がそのようなプロジェクトに携わっているとしたら、最初にアプリを実際のアシスタントとして作るか、3Dキャラクターのような、自分がやりたいことに近いようなものを作るか、HoloLens or Magic Leafかそのような感じの既製品を使うか…思ったよりもコストがかさむかもしれませんが、それは将来のためのコストで、一種のトリックです。初期の頃にはやりすぎくらいでもいいでしょう。

可能であれば、最初のテストをするために、あなたが今持っているものよりも多くのお金を費やしましょう。もしお金をあまり持っていないのであれば…少しあれば、$400使ってOculusを手に入れてください。そうすれば、実際にハードウェアを作る前にVRでシミュレートできます。

資金の用途

スピーカー11
会社を起こすということは、自信の収入と利益からプロダクトマーケットフィットを持ち、潜在的に(聞こえない)

E
私は実際にその一歩を踏み出したいと思います。そしてなぜハードウェアカンパニーは資金調達が必要なのか理解してみましょう。

通常、それはインベントリー(在庫)のためです。そのために資金調達をするのは珍しいですが、そうでもないかもしれませんが、インベントリーのために資金調達をして、研究開発のために資金調達をします。研究開発のための資金はあなたも必要としていることでしょう。潜在顧客からの前払いで得ることもできますが、難しいと思います。

なので多くの人たちは研究開発費用をYCや他の投資家から調達します。銀行は研究開発費のためにお金を貸してはくれないでしょう。家族なら貸してくれるかもしれません。なので、研究開発費は出来るだけ抑える方がいいですね。一緒にハッキングし、プロトタイピングをし、どのようなプロダクトを構築するのかがわかるまで、出来るだけ少ないお金で済むようにしてください。

そして、インベントリーのファイナンスに進みます。これらは私が学んだことですが。インベントリーは大変です。インベントリーはハードウェアカンパニーが対処しなければならないもっとも難しいことの一つです。なぜなら、一般的に売る相手が見つかるまでお金を稼ぐことができないからです。プロダクトを作るのにお金がかかり、時間がかかります。

なので、キャッシュコンバージョンサイクルがあります。アウトプットを進めるためにプロダクトに対してインプット、お金をつぎ込む必要があるのです。繰り返しますが、インベントリーを管理することはとても難しいです、不可能と言っても過言ではありません。なので、良い方法は、(資金調達で)それを上回り、余計なインベントリーを抱えなくて済むようにすることです。

そうするためには2つの方法があります。一つ目は、顧客からの事前注文をいただくことです。これはもっとも簡単な方法です、なぜならどれだけのユニットが必要か事前にわかった上で構築に入ることができるので完璧なアイディアです。

また、事前注文で得たお金を開発資金として使うことができます。(投資家からプロダクト開発のための)資金調達をする必要がないのです。いつもそううまくいくとは限りませんが、Show-Meのようなクレイジーな状況ではあり得ます。2、3年前、火曜日の午前中に電話を売ったように。

Show-meの電話は火曜日の午前中以外ウェブサイトで買うことはできなかったんです。なので、みんながこぞって火曜日の午前中にパソコンの前で最新のShow-meの電話を落とそうと待機するんです。そして生産サイクルが1週間とかからないくらい短かったんです。そして彼らは火曜日の売上に基づいてその週に何台作らなければ行けないかを知っていました。One Plusも同じことをしていました。なので、解決方法の一つは事前注文制です。

もう一つの方法は、構築にかかる時間が短くなるようにプロダクトを変更する方法です。リードタイムの短縮と言われます。リードタイムを短縮することの秘訣は、稼いだお金をインベントリーに入れずに済むことです。そして数ヶ月後に実際の収益になります。

非常に興味深いことに、リードタイムが短くなると、プロダクトやマテリアルの構築、コンポーネントのためにお金を払うと、最善の利益となります、なぜならマージンの問題に悩まされないからです。実際にかなりのフリーマージンを持っていてもキャッシュフローの問題があったらプロダクトの新しいバッチには資金を供給できないでしょう。なぜならそのプロダクトが収益に変わるには6ヶ月かかりますから。

なので、そのマージンをいくらか取っておくのです。ユニットごとの履歴が少なくなることとトレードオフするのです。しかし、事前にリスクを少し取っているということになります。これらが私がハードウェアファイナンスをどうするかということから一般的に学んだことです。

A
素晴らしい。Eric、ありがとう。

E
どういたしまして。

 

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
動画: A Conversation on Hard Tech with Eric Migicovsky (2018)
トランスクリプト: A Conversation on Hard Tech with Eric Migicovsky

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