Aileen Lee との対話 (Startup School 2018 #14)

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Geoff Ralston
今日は素晴らしき友人、Aileen Leeをこの場にお迎えいたします。今日お話しすることは、そうですね、まず、Aileenはベンチャー界隈で非常に有名な人です。彼女はオンラインの世界に大きな影響を与えました。ここでは多くを語りすぎないようにしますが、彼女の話を聞いたら驚くこと間違いなしです。今日はAileenに業界の最新の話をしてもらうつもりですが、それ以外にも色々とお伺いしたいですね。それでは、Aileen Lee、Startup Schoolへようこそ。

Aileen Lee
ありがとうございます。ここに来れて嬉しいです。

自己紹介

Geoff Ralston
みなさんがあなたのキャリアについてあまり知らないかもしれないので、あなたがCowboy Venturesの創設者となった経緯をお話しますね。簡単なバックグラウンドの概要から話しましょう、何て言えばいいのでしょう、GAPで働いていたころから今にいたるまでなど。

Aileen Lee
講義の時間はどれくらいでしたっけ。Q&Aの時間がありますよね。

Geoff Ralston
もちろんQ&Aの時間はあります。この講義のタイムスケジュールはですね…ここは制約のあるStanfordではなくてYCですからね。だいたい30〜40分くらい話をして、そのあと自然な感じでQ&Aに入ります。こちらで時間指示しましょうか?

Aileen Lee
(時間を)覚えてられないと思うけど、大丈夫です。

Geoff Ralston
問題ないです。

Aileen Lee
皆さんこんにちは。聞いてくれて本当にありがとうございます。本当に感謝しています。私はAileen、移民二世です。両親は二人とも中国出身で、中国的な生活の中で育ち、家族は一文無しでした。両親は中華料理店を買うためにお金を貯め、中華料理店で働きました。私はニュージャージー州で育ちました。

Geoff Ralston
起業家一家だったということですね。

Aileen Lee
ええ、そうかも。そうですね。移民は起業家だと思いませんか。だって、何も持たずにここに来て、仕事を得て、住む場所を見つけ、どうやって生きていくかを考える必要があります。 起業家の定義は、「誰もが可能性が低いと思うことで、みんなができると思う以上のことをする人」というKleinerのフレーズの通りだと思います。 私はそれが移民にも当てはまると思います。

Geoff Ralston
皆さんも共感すると思います。

Aileen Lee
はい。両親が教育に力を入れてくれたのは幸運でした。そのおかげで完全に雲の上だったMITに行けたんですから。自分に合っていたのでその後数年投資銀行で働きました。一年間、中国に住んで英語を教え、中国語を勉強しました。そして、ビジネススクールに行きました。ビジネススクールではブランド、特に大衆ブランドがどのように顧客からの支持を築くのかに興味を持っていました。当時はインターネットが普及する前だったので、図書館に行き、Fast CompanyやInc Magazineを読んで、そして新進気鋭の企業の名前を見つけると電話帳を見て、その会社達に電話したものです。

Geoff Ralston
図書館に行くのは今や変わり者ではないでしょうか。

Aileen Lee
そうかしら。みなさんの中でどれだけの人が雑誌を読むために図書館に行きますか。5人。

Geoff Ralston
5人のようですね。

Aileen Lee
当時はそれが普通だったんです。マイクロフィッシュで古い雑誌を見ることができますね。わかります?

Geoff Ralston
マイクロフィッシュが何かを知っている人いたら手を上げてください。まだ多くの人が知っていますね、よかった。

Aileen Lee
そこでOdwallaとNorth Faceという会社を見つけました。両方とも電話番号の記載があったので、電話をかけて、担当者につないでもらいました。夏の2カ月間雇ってくれないかと説得したんです。

当時は2社とも非上場の会社だったと思います、今は大企業になっていますが。そこでマーケティングをやって、ビジネススクールを卒業した後GAPに行ったんです。家族は私がGAPに行くなんて考えてもいなかったと思います。高教育を受けた人が小売業に行くなんてって。

でも、当時のGAPでとても賢い人たちと働く機会を得ることができました。小売業界の中で才能のある人たちを惹きつける会社だったんです。賢いプランナー、商売人、ビジュアルデザイナーなんかが会社の中で必死に働いていました。色々とオペーレーションのルールが違う部署で3年間を過ごしました。ガラスパイプと呼ばれるどこに物があるのかを把握するサプライチェーン・プロジェクトに取り組んだりとか。

その後、CEOの右腕(Chief of staff to CEO)となり1年間働きました。株式公開企業の取締役会の準備から、お店に行った時の駐車スペースの確保などすべてを担っていましたね。

そして、最後の仕事は、1990年オンラインストアです。当社のオンラインストアは、gap.comだけでした。当時はこの.com(オンラインストア)が人々に定着するかどうか確信が持てなかったので、OldnavyまたはBananarepublic.comをやるかどうかはまだ不透明な状況でした。

Geoff Ralston
そうなりましたね。

Aileen Lee
はい、その通りですね。Goeffとはその頃から始まって20年ほど一緒に働いてきましたね。私たち、Amazonの株式を買っておいて、それからゆっくりするべきだったと思うんですよ。

Geoff Ralston
買わなかったんですか。

Aileen Lee
買わなかったんです。

Geoff Ralston
私も買っていませんね。誰も分からなかった。私は当時Yahooで働いていましたが、Amazonを買収すべきだという話も一部あったんですが。

Aileen Lee
どうなったんですか?賢いアイデアだとみんな思いましたか。

Geoff Ralston
いいえ。みんな上手くいかないと言っていました。

Aileen Lee
そうですか。それから、Friendsterで長い間働きました。

Geoff Ralston
今となっては笑えますね。

Aileen Lee
Facebookと呼ばれる小さなスタートアップ会社がありましたね。

Geoff Ralston
はい、覚えています。

Aileen Lee
(買収の)話をしに行きました。彼らは2000万ドルを望んでいたんですが、私たちとしては1500万ドルだとかで買いたいと思っていて。それはきっと….

Geoff Ralston
昔、色々あったんですよ。

Aileen Lee
ええ、そうですね。なんにせよ私は1999年にgap.comの運営をサポートしていました。.comブームが起こっていたので、それはエキサイティングでしたが、純粋なテック企業ではなかったので「テック企業で働くべきだ」と自分に言い聞かせました。

履歴書を送って、Kleiner Perkinsと呼ばれる会社で面接ができることになります。彼らが女性を雇うのは初めてだったかと思います。「今まで女性がいなかったから雇ってみようか」という感じで。

Geoff Ralston
あなたの性別は何?みたいな(笑

Aileen Lee
そこでまた、CEOの右腕(Chief of staff to CEO)を経験したのですが、それはベンチャー企業と付き合っていくためのいいトレーニングだったと思います。4、5年John Doerrと一緒に働きました。とても意気投合していたんですよ。Johnはベンチャーキャピタルでは伝説ですね。

私たちはGoogleやAmazonと働き、信じられないほどの繋がりやすごい人に会うことができました。同時に、Kleiner Perkinsへ送られてくるビジネスプランのゴミ捨て場みたいな役割も請け負っていました。毎晩、印刷したビジネスプランが入ったカバンを家に持ち帰って読んでいました。

素晴らしい経験でした。2,3年しか経っていなかったように感じるんです。 多くの場合、ベンチャー企業はキャリアパスが存在しないという点で非常に不透明ですね。キャリアパスになる仕事ではありませんでしたが、結局13年間在籍しました。

Geoff Ralston
13年間在籍していましたが、途中でCEOになった時期もありましたよね。

Aileen Lee
はい、そうですね。オペレーションの経験が不足していると感じていたんです、ベンチャーでCEOにもう一度なろうとは思ってなかったんです。

これは古い考え方かもしれませんが、Kleinerで、自分自身で経験していないと、スタートアップのCEOに助言を与えることが本当に難しいと感じていました。やったことのない任務、経験をしていないことに関しては本当に。

私が役員として入っていた会社で、2人の共同創業者がいる会社がありました。両方とも明確なCEOではなかったんですね。そこで彼らは私に助けを求めてきました。そこで彼らと一緒に仕事をして多くの経験を持てることがとても楽しかったんです。そこで、私はKleinerを2年離れてその会社の経営に入ったんです。

そこはデジタルメディア企業で、家の外のデジタルライフでの広告販売指向型事業(ad sales driven business)をやっている会社でした。当時Focus Mediaと呼ばれる中国の会社がありました。彼らは紙の広告からデジタルへ移行していき、基本的にはコンテンツ管理システムとデジタル掲示板のための広告ネットワークを構築して8〜9億(ドル)という時価総額を手にしました。

RMG Networksという会社で構築しようとしていたのがそれです。私はそこでCEOになりました。それは素晴らしい経験でした。そのビジネスモデルは2007年には準備が十分にできている状態になると思ったので、シリーズBで2000万ドル調達しました。

Geoff Ralston
今なら、シリーズAのようですね。

Aileen Lee
そうですね。またシードに戻ったみたいな感じではありますが。

Geoff Ralston
冗談で言ってるのかと思いますが、実際にその規模のシードを見たことありますよ。

Aileen Lee
その後、2008年に(リーマンショックが)あったので、社員の半分を解雇しなければなりませんでした。でも、私たちは冬の時期が来ることは予測していましたし、万が一に備えていましたので、生き残ることができました。近しい競合他社の2社を吸収した後、私はよりよいCEOに席を譲り、Kleinerに戻ってきました。当時は大変で、本当にハードだったので、ラッキーでしたね。

Geoff Ralston
その経験のおかげで経営者へより良いアドバイスをすることができるようになりましたか?

Aileen Lee
はい、そうですね。

CEOとしての学び

Geoff Ralston
今振り返るのは難しいかもしれませんが、CEOとして何を学びましたか?何かアドバイスとか。

Aileen Lee
そうですね…たくさんあるんですが。

一つは、私が人と話すことが大好きだということです。それが自然とよいマネージメントにつながっていると思います。GAPで働いていた時は、大人数ではなく数人を管理していたのです。

CEOやリーダーになると、たくさんの人に自分の会社で働くように説得しなくてはいけませんね。これは(数人の管理とは)違うことです。そして、私はこれには向いていないかもと思うようになりました。

それに、たくさんの報告が上がってくるんです。エンジニアリング、マーケティング、セールス、資金調達それぞれにトップがいます。みんなそれぞれ異なる個性を持っていますし、適材適所で違うべきだと思います。異なる強みを持っています。とういうことは、管理方法も違うということを意味します。

さまざまなやり方で意思疎通し、どんなコミュニケーションやリズムがよいかを把握していきます。彼らがベストを尽くすのに助けになる言葉は何でしょう?

CEOは相手によってそれを調整する必要があります。それが私が気がついたことです。それは直感的なものではありませんでした。皆さんも自信で(努力して)できるようになると思います。

Geoff Ralston
そうですね。私には良い所を引き出してくれるメンターがいました。スタートアップの創業者として面白いと思うことは…Startup Schoolに参加している人たちの多くはプロダクトマーケットフィットを見つけることに苦労していて、あれやこれやを考えているんですが、時に実態が何か見失ってしまうんですね。

例えば、あなたのような投資家と話をする時、もちろんその時に(製品を)評価をしているとは思うんですが、同時にその創業者がどういう人なのか、マーケティングやセールス、エンジニアのVPを雇っているのか(雇えるのか)、他人を惹きつけるような人であるかどうか、創業者としてまたはリーダーとしての素質があるかどうかを見ていますね。

しかし、時に人は顧客がどうとかいうことに固執し過ぎて、成長のために何が必要かということを見失ってしまっているように思えます。

投資家が考えていること

Aileen Lee
まさにそうですね。投資家が何を考えているか。私たちは(創業者と)話している時、短期的そして長期的、両方のことを考えています。

あなたたちが短期間に実現することができるかどうかだけでなく、その後に起こりうることや、どのように並行して両立できるかを見ているのです。長期的な計画のためにどのように短期的な計画を組み立てることができるかを考えます。

Geoff Ralston
実際のところ、投資家が考えているのは「将来」なんです。 現在というのは今後どのようになるかのかの前兆なだけですからね。彼らはあなたの将来に賭けているんです。

セールスとリードクオリフィケーションの重要性

Aileen Lee
そうです。他に、スタートアップのCEOとして考えたことは、今までセールス担当者を雇ったことがなかったんです。セールス担当のための報酬体系もわからなかったですし。どういう人を雇うかによって予期しない結果になることもあるでしょうし。

経験のある人、経験の浅い人などいろんな人を雇いました。新人を安い賃金で雇うか、高い賃金を出して経験者を雇うか。時にプラットフォームからぷらっと出てくることもあります(新人が成長して成功することもあります)。

そんな時も、プラットフォームが良かったのか、その人に素質があったのかははっきりしません。だからそこで本当にたくさんのことを学びました。セールス人材に関して、一般的には、プロダクトマーケットフィットを探している経験が役にたつと思います。リードクオリフィケーション(見込み客から購入可能性の高い見込み客を選別すること)がとても重要になります。

ミーティングをたくさん重ねて進捗を騙し騙し進めることもできるでしょうが、そういったケースは現実には合意には結びつきません(クローズしません)。時間をどのように使うか、リードクオリフィケーションをどうやって行うかを考えることが大事なのです。

なので、実際に自分に合う人を見つけるために時間をどのように使うか、実際にどれだけの時間とお金でクローズできる状態まで持っていくかということを考えるべきです。それが私が学んだことですね。

Geoff Ralston
ちょうど昨日それについて考えていました。ちょうど取引をまとめようとしてうまくいかなかったという創業者と話をしていたので。

問題は、(彼らが解決しようとしている問題が)あまり悪い問題じゃなかったということだったんです。彼らが関心を持っている問題に興味を持っている人はいるにはいるんですが、それが本当に大変な問題かというとそうでもなかったんです。そういうひとはたくさん時間をかけるべきお客さんではないですね。早く気付かなければいけないんです。

Aileen Lee
そうですね。そういうところで例え取引が成立しても、持続性可能性は低いでしょうね。キャンペーンごと、四半期ごとに良い提案ができるわけでもなく。売り上げを上げることができるわけでもなく。短期的にはいいことが言えるかもしれませんが長期的には難しい。

ただ取引を成立させるだけではダメなんです。四半期毎に同じ担当者に、もっとお金を出してもらわなければいけない。そんなことをしているといつしかお客さんは離れてしまいます。取引するだけの価値がなくなるわけですから。そういうことは今までやったことがなかったんですね。そういうことを学びました。

Geoff Ralston
ええ、CleverのTyler Bosmenyがセールスについて来週話してくれます。いい前置きですね。

Aileen Lee
そうですね。

投資家が求めていること

Geoff Ralston
投資家が求めていることについてもう少し話しましょうか。

素晴らしい考えを聞いた上で、スタートアップの創業者の観点から、投資家をどのように、または投資家の何を見るべきなのかを少し考えていました。私が以前思っていたあなたの像と違った点の一つに、共感レベルがあります。あなたの元を訪れる創業者への。他の投資家とは違うと思いました。ただ「セールスはこういう風に考えてやるんだよ」というだけではなく、そのビジネスについてどういうふうに信じているかということも考えていますね。そういうのは計算してやっているんですか?ただの投資家がやっている以上のことをやっていると思うのですが。あなたはエコシステム全体を広く見てものを言っているように思えます。全体を俯瞰図で見ているというか。

Aileen Lee
そうでしょうか。自然とそうなっている気がします。私とパートナーのTedはベンチャーキャピタルを血の通った人間らしくするためのブログを書こうと思っていたんですよ。

Geoff Ralston
必要ですからね!

Aileen Lee
くだらないと思ったから書かないことにしたんですが。彼は私たちの会社に比較的新しく入ってきた人で、1年半Cowboysにいて、20年間、スタートアップ企業で働いていました。彼がCowboysに入った理由の一つは、彼が知っている他のVCよりも情熱的で人間的だったからだそうです。でも、「私たちの方が人間らしいからおいで」って言うのも可笑しくって。

Geoff Ralston
あなたがたが人間味にあふれているのなら、他は?彼らは企業に投資する人を装っているAIみたいですね。

Aileen Lee
多くの人が私の履歴書や私が今やっていること見て、「うわー、彼女は人生うまくやってるんだねぇ」と感じると思います。

でも人生の大半はうまくなんていっていませんよ。プロジェクトを台なしにしたこともあります。失敗もしています。ビジネススクールのプロジェクトでも、他のみんなが宿題を準備できているのにまだ提出できないような先延ばしタイプの人でした。遅刻ギリギリで教室に入るような人で、少し二日酔いで「ねぇ、Geoff、ノート持ってる?私まだケースを読んでないんだけど…」みたいな感じです。

Geoff Ralston
わかってると思いますが、(この講義は)全て公開されていますからね。

Aileen Lee
分かっています。

私は人が変われると信じているんです。人は進化すると信じています。人は学ぶと信じています。人々にはセカンドチャンスを与え、人は時間をかけてより良くなると信じるべきです。

一般的にベンチャー投資家なら楽観主義者になる必要があるだけでなくて…KleinerではシリーズAからシリーズBの投資をやっていて、その後シードの方に行ったんですが、(投資の)より早い時期に移行するということは、その人たちと一緒に生きていくことを意味します、生煮え生焼け状態で判断しなければいけないのです。あら探しをしたり悪い点を探すのではなくて、一緒にやっていく、正しい道に進むためには何をしなければならないかを一緒に探していきます。

彼らの優先事項がプロダクトマーケットフィットならそこを助けますし…Cowboyに来る時点で(起業家たちが)プロダクトを持っているかどうかは半々くらいです。私たちがやることを選んでいく、というのはそういう意味です。

また、起業家自身がプロダクトであるとも言えるのです。John Doerrのように私を信じてくれた人もいましたし、Kleinerの人々は私の人生を変えてくれました。Kleinerが私を雇ったとき、女性初、最年少、エンジニアの経験はなかったし、ベンチャーのスタートアップをやったこともなかったんです。今までに例を見ない人選でした。そして、その時の人たちが先例を無視して私の可能性に賭けてくれなかったら、今ここに座っていることもないでしょう。

Geoff Ralston
興味深いですね。Johnのことを考えたときに頭の中に浮かぶ単語は、ちょっと違うかもしれませんが、思いやりのある人というイメージです。私が知っている素晴らしい投資家たちの特徴としては、思いやりと共感に溢れているということができるでしょう。

いつもプロダクトを手に人たちのこと、似たような業界や領域でのセールスや投資に長けている人について考えていますよね。しかし、この業界でこの人が一番だという人がいたとしても、これは投資マジックだと思うんですが、それが確実に盤石なわけではないというか…

Aileen Lee
完全に同意というわけではないんですが、Johnはよく「Mercenaries and Missionaries(傭兵と宣教師)」というプレゼンテーションをしていました。どちらか片方が常に勝つわけではない、というものです。

傭兵であろうと宣教師であろうと勝つときは勝つのです。自分がどうなりたいかを選べばいいんです。

テック業界にいる人の多くは傭兵寄りの人が多いと思います。冷淡で黙々と働くタイプ。結果だけに固執するし、物事を推し進める、とても攻撃的なタイプ。そうやって勝つんです。

いまみなさんが頭の中では色々な会社のブランドを、それはミッショナリーカンパニー(宣教師型会社)だとか傭兵型会社だとか当てはめていると想像します。でも、宣教師型ではなく傭兵型の会社の方が成功している会社は多いんです。

配偶者が何をしているんだろうとか、病気のお母さんはどうしているんだろうとかそういったことに全く構わないような冷徹な人がいますが、そういう人だって成功できるんです。自分自身がどうなりたいかを選べばいいと思います。

Geoff Ralston
そうですね。物事には関係性というのがあって…。創業者にいつも言っていることは、一番役に立つであろう投資家を選びなさい、ということです。お尻を叩かれることも必要な時もありますね。あなたがやりたいことを理解して、将来を信じてくれるような人が必要な時もありますし。状況次第です。

Aileen Lee
両方兼ね備えた人もいますし。

Geoff Ralston
そういう人を探すべきですね。

Aileen Lee
そうです。Cowboyは満足できないことが幸せな状態なんです。そういった状態に感謝していますし、常に前向きでポジティブです。もちろん、みなさんがもっとよくしていくことだってできます。

Geoff Ralston
ここにいる人たちの中には資金調達が時期尚早だという人もいるでしょう。そうだとしても、皆さんがスタートアップの起業家なんだとしたらやがてそういう時期はやってきます。

Aileen Lee
そうですね。

資金調達には物語を語る

Geoff Ralston
今ちょうど道半ばのみなさん、YCでよく言っていることですが、顧客のために戦って、顧客と話してコードを書いて、顧客と話してコードを動かしてを繰り返して、何かうまくいくものを見つけて実際の問題を解決していく…

そんな時に、資金調達についてはどう考えていけばいいのでしょうか。資金調達というステージに進もうとする時に最初に考えることはなんでしょうか。

Aileen Lee
YCの試みはとても面白いと思います。比較的新しいことをやっているからです。もちろん今までも言われていたことだとは思いますが、明確に、「Storytelling(物語)」が大事であると言っています。

生まれながらに話術に長けている人もいますし、そうでない人もいるでしょう。生まれながらのストーリーテラーかどうかには関係なく、資金調達の際には物語をきちんと語れるということが大事になってきます。感情的にあなたの物語に引き込まれたいという人や、あなたの会社の旅路に付いていきたいという人もいるでしょう。シリーズ物のドラマみたいに、あなたの会社が成長していくのを見てみたいという人。今持っているアイディアをどう見せるか、アイディアがどうなっていくのか、どうやって妥当性確認をして会社に付きまとう潜在的な問題のリスクを下げるのか、どうやって売り込むのか…なかなか進まない物語なんです。

その物語をより豊かにするために最初の段階で誰かを巻き込むんです。そして人々にあなたが見つけたこと、どんな困難に立ち向かっているか、どこに向かっているかを見せるんです。そういう部分が…物語は大切なんです。

GoogleやFacebookで働けばもっと収入を得られるような人たちを口説かなければいけないんですから。物語で才能のある人を採用するんです。物語が、まだ顧客の少ないあなたに対して賭けてくれるような顧客への説得力になるんです。物語が人々を説得してお金を払わせるんです。無料バージョンから有料バージョンへと移行してくれるんです。

これが資金調達をする方法です。物語という技術は本当にどこでも使うことができます。練習あるのみです。人によっては…私も昔はとても舞台で話す時にはナーバスになってしまうタイプでした。ベンチャーで働いていた時も、最初の2、3年は何か話してと言われても怖いから嫌だ、なんて言っていました。

でも、場数を踏むしかないんです。ピッチを練習して友達からフィードバックをもらって、off-off-Broadwaysなんて言ったりしてるんですが、最初にベンチャーキャピタルのSequoiaを相手にピッチなんてしたくはないと思いますが、とにかく練習してください。

Geoff Ralston
お母さんと練習してましたよね。

Aileen Lee
そうです。共同創業者やその他の出資者たちと練習して、彼らから質問をしてもらいましょう。資金調達を始める前にです。12月に資金調達を始めたいと思うのであれば、ピッチ練習を12月に初めてはダメです。夏には始めていなくては。

練習してたくさんのフィードバックをもらってください。YCへの参加はそういった良いフィードバックをもらえるいい機会です。

Geoff Ralston
そうですね。そういったピッチ練習という面だけを特に強調したいのではなくて、フィードバックを受けて学んで、それの繰り返しが大事だということです。これはコードを書いて顧客と話をしてというのと一緒です。顧客はいつも皆さんのピッチを聞いてくれているわけで、コードを書くということは持ち帰ってピッチを修正するのと同じことですね。

何事も最初からうまくいくことはありません。顧客に「わかりましたか?」と聞いたところで最後に「何を話しているのか皆目見当もつかないよ」と言われてしまうかもしれません。ピッチを練習して完成形に近づけるという側面は重要なことですね。

投資家側の期待リターン

Aileen Lee
そう思います。資金調達について他には…。Geoffが以前言っていたんですが、目の前にマイルストーンがあるとして、シードを調達したいとか、シリーズAで資金調達したいとか、そういうことに集中してしまいますね。

でもGeoffが言ったように、もし皆さんが機関投資家の資金で動いているのであれば、それがシード資金であれ、大きなベンチャー企業であれ、プロの投資家からお金をもらって、基本的には保証を…上位25%のファンドになるためには、一定の利益をもたらす必要があります。

最近のベンチャーで上位25%…Vintages…4xのリターンを見てみましょうか。$100,000,000の資金があったとして、将来的の資金調達のためには、どうやったら$400,000,000を生み出すことができるかを考えなくてはいけません。この$400,000,000は組み合わせになるでしょう。例えば、30社別々の会社があったとして、そのうち2〜4社が破竹の勢いで上手くいって、その他の会社は残念な結果に終わるでしょう。

平均のバランスを取るためには2社から4社はものすごく成功してもらわないといけないんです。Aラウンドに行く頃には、10億ドルか、それ以上の価値を生み出していなければいけません。特に、あなたたちがシード調達をしようとするのであれば、ちゃんとしたオーナーを見つけることができれば、私たちの最初の時は$40,000,000でしたが、イクジットの時に$400,000,000の会社だとしたら私たちが10%を所有していれば、資金をリターンできることになります。

これくらいのイグジットが通用するのはシード期までです。Aラウンドに進むのであればもっと大きなイグジットが必要になります。$500,000,000とか$800,000,000の資金が入っているわけですから。そうなると、資金のリターンのためには彼らは$8,000,000,000規模の会社の10%を所有する必要があることになります。

過去のデータから見ると、多くのファンドにおいて、半分の会社が成功して$400,000,000でのイグジットを達成しているわけではありません。2、3社がBラウンドで数億になっていて、他はゼロかほぼゼロの会社が折り重なっています。彼らは「今年打つ銃弾の中に、桁外れの勝者に導いてくれる会社はあるかな」と考えています。

彼らは「これで$200,000,000とか$300,000,000?儲かるかな?」なんて考えていません。「この創業者は数億ドルの巨大企業に化けるのかな?」と考えているのです。短期的な業務の遂行と物語も必要ですが、機関投資家の人たちの考えていることはこういうことです。

Geoff Ralston
そうです。創業者の多くはそれを理解しないままプロセスに進んでいるように見受けられます。今Aileenが話していたような数字に関してもなぁなぁな感じで。

ベンチャーキャピタリストの計算を理解することはとても重要です。そうすれば、テーブルの向こうに座っている人のモチベーションがなんであるかを理解することができますし、なぜ彼らが「あなたのビジネスはどれくらい大きくなりますか?」と聞いてくるのかとか、なぜ彼らがそれを気にかけているのかということが理解できるようになってきます。

もしかしたら、$30,000,000や$40,000,000でのイグジットと聞いてワクワクするかもしれません。$30,000,000の50%を自身で所有しているとしたら?素晴らしいですね。でも、ベンチャーキャピタリストにとってはそれは失敗なのです。彼らの計算を理解しましょう。彼らからお金をもらいたいのであれば、彼らの算段を理解する必要があります。

Aileen Lee
それが全ての人にとって正しい答えなわけではないですよ。成功できる人もたくさんいますし、$40,000,000のイグジットをエンジェル投資家のパーティーラウンドで得る人もいますし、そういうことも起こります。

では、悪い面について考えてみましょうか。少しバイアスがかかっているかもしませんが。エンジェル投資家の場合、全ての人がプロの投資家であるとは限りません。彼らはあなたたちが必要としているアドバイスをくれないかもしれません。会社を大きくするのにはどうしたいいか、市場で何が起きているのか、何が悪くて何が正しいのか…彼らは投資のプロではありませんから。

エンジェル投資家というのは、小切手を切ってくれて、僕のためにも頑張って続けてねと言ってくれるだけの富裕層の個人です。時には何かやらなければいけないことも出てきますが…

Geoff Ralston
やるべきことはやらなければいけませんよ。

Aileen Lee
そうですね。理想的に言うならば、あなたには選択肢があります。資金調達かチームビルディングか、優先順位を考えることがたくさんあります。基本的には、より良い選択ができるような立ち位置に自分自身を置くようにしてください。

Geoff Ralston
もしそれが一生に一回の資金調達であれば、哲学的にどう考えるというのもありますが、速く会社として成長してシリーズA、シリーズBと進み続けるのであれば、次のラウンドのためのパートナーがとても重要であるということがわかると思います。

よく周りで起こることで、あんまり人が話さないことですが、資金調達する時に多くの創業者が、全て自分でしなければいけないのに忘れていることがあります。Cowboyを始める時に、資金調達をしなければいけませんでしたね。プロの投資家の下に行き、自分の物語を伝える。どんな感じでしたか?

資金調達はNoと言われ続ける

Aileen Lee
屈辱を味わいましたよ、資金調達は。

Geoff Ralston
屈辱。

Aileen Lee
Cowboyを創業した時は、私だけでした。どんな会議においても、私を信じてくれるかどうかという評議でした。それを耐えたことはいい経験になりました。なぜなら資金調達をしようとする時には必ずNOを突きつけられることがあるんですから。

もし類稀なるホットな会社であったとしても、最後には誰かがNOと言うでしょうし、パスと言う人もいるでしょう。それは私のある種のモチベーションにもなりました。Cowboy Venturesに投資しなかったことを後悔させてやるって。だから、いい経験だったと思います。

Geoff Ralston
決して多くの投資家がそういう経験をしてきたわけではないと思います。ここで重要なことは、資金調達を何度も繰り返し行うのであれば、スタートアップのオーナーが味わう苦しみを知らずに済むんです。苦しみと言うのも、NOを一度も突きつけられずに資金調達できる会社なんて稀だからです。だから、慣れていく方が…

Aileen Lee
そうですね。私が最初に資金調達した時もそうでした。みんな笑顔で「これはいいね、これはいいね。絶対フォローアップするよ。データルームへのリンクを送ってくれる?」と言うのですが、そのあと、彼らがデータルームを確認していなかったことを知るのです。

彼らと一緒に確認していると「これはいいね。投資パートナーはきっと気に入るよ」と言って、その後急に連絡がなくなったり、再度連絡が来た時には「申し訳ない。ものすごく投資するつもりだったんだけど、投資はしない」と言ってくるんです。時間を無駄にするのはやめてほしいですよね。

そう言う経験もあって、フォローアップに関しては徹底するようにしています。もしみなさんが私にビジネスプランを送ってくれたり、カンバセーションの時間を設けたりしたら、私たちはなるべきちゃんと返すようにしますし、今の私たちとは合わないものだったとしても、笑顔でGFU(Good for you)ではなく、なぜ合わないのかを伝えます。それを必要としている人が沢山いますから。

Geoff Ralston
NOというのはしんどいですね。言うのもしんどいし言われる方もしんどい。

Aileen Lee
フィードバックをもらう必要があります。たくさんのVCは、私が思うに、なぜ(投資を)パスしたのかの理由を言うのが怖いのです。もしみなさんがうまくいっているのであれば、あとで電話をかけたいから。あの時パスしたのは忙しかったからなんだとか言って…。

Geoff Ralston
彼らは親友ですね、「あ、覚えてる?」って。

Aileen Lee
彼らは投資をしなかったことに対して、さっきの私の話じゃないですけど、みなさんを悲しませたくないんです。そんな役回りにはなりたくないので、なぜ投資をしなかったのかを言いません。しかし、それではあなたの役には立ちませんね。

資金調達に関して、さっきのリードクオリフィケーションの話に戻りましょうか。私が最初の資金調達をした時、仲間たちからとても役に立つアドバイスをもらいました。Steven AndersonやMike Maples、Michael Dearingです。彼らは私より前にソロジェネラルパートナーとして資金調達をしていました。

Geoff Ralston
オリジナルのスーパーエンジェル投資家たちについてでしょ?

Aileen Lee
そうです。彼らは「見て。あの手の投資家たちが笑顔になるでしょ。君が何をしているのかを学ぶのが彼らの仕事なんだ。彼らは何回も君に会いにくる。でもFirst Roundには来ないよ。彼らは保守的すぎるからね。気をつけて」というようなことを言ってくれました。

私は道筋を作ろうと決意して…道筋を作ろうとしました。私は実際に会う前にPhone Screenで全員のスクリーニングを行い、シード調達で投資実績がない場合や、First RoundやHarrison Metalを知らない場合、ここで逃してはいけないなという気がしない場合、シード調達の次の波を見逃さないように確保しておくことにしました。

連絡を取り合いましょうとは言いますが、実際に会うことはしません。そうすることによってセールスプロセスが少し効率的になりました。彼らとの時間を作る前にリードクオリフィケーションするように努めたんです。

女性投資家としての経験

Geoff Ralston
これはまだ聞いたことがない質問なんですが、LP(リミテッドパートナー)やベンチャーファンドから出資を受ける際に、女性であると言うことで色がついたと言うか、そういうことはありましたか?特別な扱いを受けたとか。

Aileen Lee
ありましたよ。良い方向に働いたこともありましたし、そうでなかったこともありました。女性と男性であれば男性の方が信頼性が高くなるという研究がたくさんありますね。女性がたとえ男性と全く同じ事を言ったとしても、男性と同じような印象を与えることができないという。

私が素晴らしいピッチを行なったとしても、「彼女は十分すごいかわからないな。もしかしたら子どもがいて、朝起きたら子どもとの時間を過ごそうと決めたらどうしたらいいんだ…」とかいう事を考えるんですよ。口には出さないにしても。

Geoff Ralston
そうかもしれませんね。

Aileen Lee
同じような事を男性に対しても言ってくれれば良いんですが。そんなことは期待できないので。残念ではありますが、私たちはみんな何かしらのバイアスを持っていて…

Geoff Ralston
それは、男と女は違うということからくるジェンダーの不均衡でしょうか。それとも払拭することはできるのでしょうか?

Aileen Lee
なんとかできれば良いなとは思っています。MITとペンシルバニア大学の共同研究があるんですが。Power Pointの資料集とボイスオーバーの音声データがあります。それを何百か何千かのビジネススクールの学生に見せるんです。

そして「あなたはこの会社に投資するためのお金を$100だか$1,000だか持っています。さて、いくら投資しますか?」というようなお題を出します。他にもいくつかのABテストがあります。画面上にスライドを見せて、女性が話している、または男性が話しているボイスオーバーをあてるんです。

同じスクリプトにも関わらず、男性は女性の2倍資金を調達しました。でも、この状況は変えることができると信じなければいけません。人生のすべてのステージにおいて、小学生だろうが、中学生だろうが、大人だろうが。バイアスに気がつき、それを取り除こうとしなければならないのです。

Geoff Ralston
ちょっと待って。女性も男性も本当に(男性に投資するんですか)?

Aileen Lee
そうです。女性も男性も両方ともが男性に多くのお金を投資しました。なので取り組む余地はありますよね。

一方で、大した実績もなく、偏ったリファレンスチェックを有しているパリピがさっさと資金調達してしまうこともあります。人々は「彼は良い人だからね。彼のことは好きだよ。いつもパーティーに出席してるし」なんていうんです。

彼は素晴らしい人だから、みんな彼と付き合いたいし、取引をしたい。そういう人の中には私たちのビジネスの世界ではうまくいかない人もいます。なぜなら実は彼らは道徳的でなかったり、人々の専門性に敬意を持って接しなかったりするからです。

しかし、彼らは多額の資金調達をします。現在の環境の素晴らしいところはこのようなことについて話すことです。5年、10年前は違いました。こういった問題は見て見ぬ振りされました。

Geoff Ralston
あなたが会社を始めた時は異端児でしたよね。KPで始めた時、この業界に女性はほとんどいませんでした。

Aileen Lee
多くのことを学びましたよ、当時の同僚は大好きでしたが、女性であるということについて話すべきではないというのははっきりしていました。「目立たないように、問題を起こしてはいけません。そんなことをしていたら誰もあなたと付き合ってくれなくなりますよ。」私たちはそういうことはすべきではないのです。

Geoff Ralston
性別に関してだけでなく、多様性のインクルージョンについても取り組まれてきましたね。AIIRaise.orgを立ち上げた。そのことについても少し話してくれますか?

Aileen Lee
もちろん。AIIRaise.orgは非営利団体で、テック業界のエコシステムにおける女性の成功を促進するための団体です。

創業者、従業員、ベンチャー投資家。女性だけでなく、様々な立場の人々のための後押しができるようにと願っています。最初に女性にフォーカスしているだけです。AIIRaise.orgはウェブサイトで、たくさんのことをやっています。小さなスタートアップみたいなものです。非営利のスタートアップなので現在はすべてボランティアで賄われています。

Founders for Changeという言葉を聞いたことがありますか?聞いたことがある人は手をあげてください。もしあなたが創業者であればfoundersforchange.orgにアクセスしてサインアップしてください。そうすると、公に、あなたがチームにおいての多様性の包括を宣誓したことになります。

チームメンバーを選ぶ時、ボードメンバーを選ぶ時、そしてキャップテーブルにつくときも。拘束力はありません。何かにサインしなければいけない訳でもありません。ただ、「この問題に関して気に留めている」ということを立ち上がって声を上げるのです。

気に留めていると立ち上がって声を上げることによって、潜在的に採用している人たちや、あなたが築き上げようとしている文化に対して売り文句になるでしょうし、それがあなたの会社を強くすることになると思います。

女性創業者のためのオフィスアワーもあります。お試しのマッチングサービスもあります。私たちはベンチャービジネスに参入してくる女性や有色人種の方を助けたいのです。訓練をして、チームに多様性を求めている会社とのマッチングも行います。クールな製品がたくさんありますよ。

Geoff Ralston
アントレプレナーシップのクールな点は、シード(種)を生み出して、それによってコミュニティー全体が変わる可能性があるということです。誰かが会社を起こして、そしてそれを可能にするのですから。

信念について話しましょうか。どれくらいの信念が重要なのか、そしてどれくらいの信念を注ぎ込むことができるのか。世界中、どのコミュニティにも信念を注ぎ込みたいと思っています。Startup Schoolのクールなところは、世界中から何千という会社が集まってきていて、そして世界を変えることができるということです。

Aileen Lee
すごいことです。

ピッチの構成

Geoff Ralston
Q&Aに行くまでに、もう一点。これを覚えていてくれていたら良いんですが、ピッチ資料に含まれるべき構成要素について話してくれたことがありましたね。あなたはとてもピッチが上手いですし、具体的です。

物語を語る(ストーリーテリング)については話をしましたが、ただの物語ではダメです。重要な構成要素が含まれています。ベンチャーの数字についての言及がありましたが、そこには数字という構成要素があり、結果という構成要素があります。これについて少し話をしてくれませんか?

Aileen Lee
この場でうまく話せるかはわからないですが、過去のビデオがあるならそれを見てもらっても良いかもしれないですね。

Geoff Ralston
たくさんありますしね。

Aileen Lee
一般的に、すべてのピッチに含まれるべき基本的要素はあると思います。そのチーム主導でいつから始めたのか、自分たちは何者なのか、なぜ会社を始めたのか、理想的なことを言えば、自身が創業者に適した、または問題を解くに適した人物であるということを証明するための確かなバックグラウンドやそういったもの。

そして問題について話します。なぜこれが問題なのか。そしれその問題はどれくらいの規模があるのか。投資家は数億ドル規模の問題を探しています。市場全体ではなく、実現可能な最大の市場規模(Addressable market)です。

もし市場全体が$5,000,000,000だと試算されているとしても、あなたが10%のシェアしか取ることができないのだとしたら実現可能な最大の市場規模は$500,000,000となります。それはベンチャー投資家にとっては規模が小さすぎるかもしれません。

少なくとも、実現可能な最大の市場規模としては、そうですね。$5,000,000,000や$10,000,000,000は欲しいですね。なぜなら、もしあなたが大成功を収めて市場の10%を占めることができた場合、少なくとも数億ドルの価値を出せるかどうかを投資家は知りたがっているのです。

そして、あなたの製品や解決方法について話します。この問題を解決するためにこういうものを作ります、ということです。どのように話すか。理想的には、その製品の特徴について少し話しましょう。

ユニークなインサイト(洞察)は何か、開発した技術の独自優位性は何か。(従来のものと)10倍違う、というようなのが良いですね。1〜2倍だと弱いので。なぜなら、人々に新しいことに挑戦してもらうのは至難の技だからです。なので新しいものに変えてもらうためには、実際にものすごいベネフィットが必要なんです。

そして、競合他社について話をします。投資家はあなたの誠実さと率直さを求めています。創業者の中には賞レースのように大げさに手を振って「馬鹿げている。奴らみんな馬鹿なんだ」というような人がいますが。そんなことをしてもあなたが誠実であるということは伝わりませんから。

(世の中には)あなたが今取り組もうとしていることに取り組もうとしてやめた人もいますし、他の人たちが今に使っているものや、あなたがまだ持っていない特定の機能を持っている人もいます。

投資家や理事会メンバーはあなたが言っていることをバッサバッサと切りたい訳ではないんです。あなたがビジネスがどうなっていくのかを話している時、彼らは、あなたが信用に足るべき人なのかどうか、実際に起こる物事についてお互い率直になれる人なのかどうかを見ています。

そのあと、資金計画について話すでしょう。3年計画くらいで良いです。月ごとでなくても良いですが、初年度の12ヶ月は月ごとで記載して、その先は年間収益やPLがどういうふうになるのかを示しましょう。

投資家が見ている点は、収益額と収益の伸びの両方の最高値、事業の利益率と事業に投入される費用、そして売上総利益とどれだけの費用をマーケティングに費やすか、どれだけのお金を技術開発と人材または広告やそういったものにつぎ込むかです。そして、この3年間でどれくらいの現金が必要なのか。これでほとんどすべてです。どうでしょう?

Geoff Ralston
素晴らしい。資金計画の授業の時にいうつもりだったんですが、それはどれくらいの期間なのか、どれくらい関わっているのかということに依存します。CAC(Customer Acquisition Cost、ユーザー一人当たりの獲得費用)がかかるかもしれないし、かからないかもしれない。

しかし、お金をどうやって稼ぐかというアイディアはあるはずです。なぜそれが、それがビジネスになるのかを説明できなければいけません。人々が望んでいるがお金を払わないサービスの対岸にあるものだということを。

Aileen Lee
最後に要約スライドがあると良いですね、パブリックスピーキングやプレゼンテーションの授業を受けたことがある人には耳にタコかもしれませんが「これとこれとこれについて話します。これが私が伝えた内容です」というふうに。(聞き取り不可)もこういったスライドの資料集を持っていて、「これが私たちのハイライトです」というような要約スライドから始めます。そしてプレゼンテーションを終えたら再び「これがハイライトです」と念押しするんです。

ユニコーン企業について

Geoff Ralston
Q&Aに行く前に、ユニコーン企業の話をしましょうか。

Aileen Lee
そうですね。

Geoff Ralston
Aileenは投資業界に「ユニコーン」という単語を考案したことで有名…悪名高いですね。ぜひ聴きたかったんですが。

Aileen Lee
はい。

Geoff Ralston
なんでユニコーンなんですか。ドラゴンでもなく、そもそもなぜ動物なのか、なぜダイヤモンドのようなものではないのか。ユニコーンはどこから来たんですか?

Aileen Lee
FloodgateのMike Maples、彼はとても良い人で、ストーリーを語らせると右に出るものはいないのですが、彼はかつて大成功する会社をサンダードラゴンと呼んでいたんです。

Geoff Ralston
だからドラゴンはすでに利用されていたと。

Aileen Lee
そうです。サンダードラゴンはすでに使われていました。ある分析について書いていたんです。基本的には、新しいファンドがあり、ルールもありました。30社のうち成功するのは2社でその他は失敗するだろうと。それが本当かどうか確かめたくてLP(Limited Partners, ベンチャー企業の投資家のこと)にデータを要求したんです。他のファンドのデータを集約することができれば勝者に必要な要素を理解できるかもしれない、と。

創業者はどこから来るのか。彼らはどこで知り合うのか。兄弟の何番めなのか。そういった質問を綺麗な招待状でものすごくたくさんのシードステージの会社に送ったんです。過去10年の間に大成功した会社の共通点を探そうとしたんです。

でも見つかりませんでした。

データ収集にものすごく労力をかけたのに。諦めて、ここ10年間で10億ドル以上の企業に成長した会社のリストをスプレッドシートにリスト化し始めました。大学はどこか、共同創業者は何人か、何年生まれか。会社を立ち上げた時は何歳だったか。他のテック企業で働いたことはあったか。何千行にもなっていました。

彼らがラウンドA、ラウンドBでどれくらい資金調達をしたのか。ラウンドAとラウンドBの間はどれくらいの期間が空いていたのか。何か共通点はないかとあらゆる点を精査していたのです。たくさんのことがありましたが、私たちの予想と反対だったこともありました。

ここ10年で大成功している創業者は30代で起業した人がほとんどでした。巷では「大学を中退して20代で起業しなきゃいけないよ」みたいに言われますが。創業者の中には私に会いに来るときに申し訳なさそうに「32歳なんですが、年をとりすぎていますよね」という人がいますが「申し訳なさそうにしないで。実務経験があるのはとても良いことよ」と言います。

Geoff Ralston
面白いですよね。アーリーステージを見渡せば…つまりベンチャーのファーストステージですが、企業(Enterprise company)を始めようとするのであれば会社というものを知っている必要があるからです。みんな30代、40代、50代だっていますよ。

Aileen Lee
そうです。分析の中で違った点は、コンシューマー系の会社の創業者は企業系会社(Enterprise company)の創業者よりも若い傾向にあるということです。Geoffが言うように。分析でいろんなことがわかってきました。共同創業者のいる会社がほとんどです。なぜなら、一人起業は厳しいですからね。

Geoff Ralston
とても大変です。共同創業者が必要です。

共同創業者

Aileen Lee
そうです。そして共同創業者は何かしら関わりがあった人なんです。一緒に住んでいたとか、一緒に働いていたとか、同じ大学に通っていたとか。ブラインドデート(友人の紹介等で初対面で出会う)で出会った共同創業者は稀です。対象は39社でしたので、統計的に優位ではありませんが。一例に過ぎない、またはそういう物語だったということです。役に立つ話もあると思います。

この分析結果を「この分析から得たものは何か」という観点でまとめました。10億以上の価値がついた設立10年以下の個人会社または株式公開会社は…というようなフレーズをなんどもなんども書いたんですが。読むのが大変だったので。「もっと短いワードで。ホームラン?メガヒット?」と考えていたんですがしっくりこなかったのです。

Geoff Ralston
あまりキャッチーな言葉ではないですね。

Aileen Lee
ユニコーンという言葉を入れたら読みやすくなりました。

Geoff Ralston
ポンと頭に浮かんだんですか?

Aileen Lee
そうです、錬金術のようなものだと考えました。適切なことをして、適切なバックグラウンドがあって、10年間がむしゃらに頑張って、それでも大成功はしないかもしれないんです。なぜなら何千もの会社が毎年生まれて資金調達をするにも関わらずたった39社しかいない稀な存在なんですから。

今は100社とか、120社とか?なんでも良いんですが、とにかく、毎年毎年多くの会社が生まれても、成功する割合はわずかです。このアイディアは魔法のようなものです。そして、それは実験的、臨床的なものではなく特別な魔法的なものであると感じたかったのです。

Geoff Ralston
腑に落ちますね。

Aileen Lee
奇妙でしょ。

Geoff Ralston
これは本当に…

Aileen Lee
完全に予想外。

Geoff Ralston
そうですね。ありがとうございました。

Aileen Lee
ありがとうございました。

Q&A

Geoff Ralston
質問。はい。

スピーカー3
どうもありがとうございます。
シードラウンドでは、[inaudible]、マーケティング、事業のための資金の健全な配分はどれくらいですか?

Aileen Lee
ご質問は、シードラウンド中の資金の適切な配分はどのようなものかということですね。どんな種類の会社ですか?

スピーカー3
AIで動くファッション衣料開発技術の会社です。

Aileen Lee
AIで動く製品を扱う場合、おそらくチームと技術にお金を割くことになるでしょうね。おそらく、顧客獲得にはたくさんのお金を費やすべきではないでしょう。技術がとてもユニークで魅力的な物を作ろうとしているので顧客を獲得するためにお金を費やす必要はないでしょう。資金の大部分がおそらくチームへの配分になるだろうと思います。

Geoff Ralston
はい。そうですね。ご質問の資本の配分は難しいです。どのような会社であるかに大きく依存しているためです。ほとんどのソフトウェア企業は、ほとんどすべての資金を人材に費やしています。ハードウェア企業はすこし違いますが。そこの後ろの方。

スピーカー4
ありがとうございます。こんにちは、Aileen。

Aileen Lee
こんにちは。

スピーカー4
貴重なお時間ありがとうございました。今まで通りでない、型破りな雇われ方をしたときのことをお話くださって本当によかったです。型破りな創業者たちをどう思いますか?また、そのような人たちは異なったバックグラウンド出身なのであれば[inaudible]のために何を呈するべきでしょうか

Aileen Lee
ご質問は、型破りな創業者達が、彼らだってユニコーン企業の創業者になれるということを示すためにどうすればいいかと言う事ですか?

最後の部分を追加しましたが、これが質問者の方が言いたかったことだと思います。お話しした、ストーリーを語ると言うことがいいんじゃないかと思います。どのように今解決しようとしている問題に出くわしたか、それに対しての自分自身の情熱、そしてあなたが見つけ出した発見したこと。

シード段階ではデータは多くありません。多分、まだ製品の出荷段階ではない、顧客がいない、コホートもない状況でしょうが、しかしあなたが話せることと言うのは情熱そして洞察した内容についてです。

障害に直面した時、あなたはどんな仕事をしていてそして何を探りあてましたか。シード段階の投資家の多くが注目しているのは、あなたがその分野で道を見つけ成功するための気概と適切なスキルセットを持っているかと言うことです。

私は今と言う時期が、型破りな創業者であるのに今までになく良いタイミングだと思います。私にはAllie Rosenthalという友人がいて、彼女は今資金調達をしています。彼女の焦点は、非自明な創業者 になっています。これは一昔前にはなかったことですが、私と彼女は二人とも、投資家が何度も何度も多すぎるくらいに同じプールにむらがってしまっていたと気づいているんだと思います。

企業はもうベイエリアにいる必要はありません。Richard Kirbyは、性別や人種の観点だけでなく、ベンチャーで働く人々の大半は、スタンフォード大学とハーバード大学卒だということも含めて、ベンチャー企業の多様性には大きな問題があることを示すという素晴らしい分析をしました。

それが正しい答えというわけありません。それは…

Geoff Ralston
機会を逃していますね。

Aileen Lee
はい、すごい量を。
私はいまが型破りな、非伝統的な創業者になるのに良いタイミングだと思います。

Geoff Ralston
すばらしい。はい、こっちの方。

スピーカー5
私たちは幸運なことにVCに多く会う機会があるんですが、どうやってその関係性を [inaudible]を選択する方法に関してアドバイスをいただけますか?

Geoff Ralston
VCに多く会って話をする場合、どうやって直感と言うよりもむしろ何らかの合理的な判断に基づいて投資家を選ぶか、ですね。

Aileen Lee
私は、どちらも、私たちは両側に関してリファレンスチェックをしますよ。企業への投資を考えているとき、犯罪歴のチェックなどよりむしろどこで以前働いていたのか、強みは何か、どのようなサポートが必要か、何を経験してきたのかなどに関して、より多くのリファレンスチェックを行います。

選択肢を持っているときならば、創業者が同じように快適に感じているべきです。投資家と関係を解消するのはとても大変なことですから。投資家のレファレンスチェックをするべきです。私達はちょうど1番最近のYCプログラムに参加していた会社に投資をしたんですが、彼らは私たちに対して多くのリファレンスチェックを行いました。[inaudible]

スピーカー6
[inaudible]を調達するとしたら、キャップはどうするべきでしょうか。私はいつも…

Aileen Lee
$5,000,000ほど持っていたのですが、あまりにも早期で、何を[inaudible]でした。それでは意味をなしません。2つ目は、人によってバリューが異なるので、それぞれの人に異なるキャップをつけてもいいのでしょうか。

Geoff Ralston
ご質問は、キャップ付きの転換可能証券に関係したものですね。$ 250,000調達した場合、キャップはどうあるべきかを考える必要があるか、また別の投資家の間で、キャップを変えることができるか、ですね。

スピーカー6
そうです。

Aileen Lee
キャップに関する問題は市場に大きく関係していると思います。そして、何の選択肢を持っているかということ、に。私なら、今お持ちの最初のオファーはうけないでしょうし、それと言うのはまた希釈(dilution)に関係しています。どれくらいの希釈率なら存在しても大丈夫か考えてください。そしてこれはおそらくこの先経験する唯一の希釈では無い、ということも知って下さい。

おおまかな経験則として使えるものは、すべてのラウンドの希釈率を想像してみると言うことです。例えばシードラウンドやAラウンドです。BとC で減っているとしたら、会社の20%から30%をその期間通じて売ることになるでしょう。現実的にどのくらいのお金を調達しなければならなくて、それにはあなたの企業の分野では何ラウンドが必要か、ということを考えなければなりません。

ほとんどの人は、ラウンドBでお金を調達するのは終わりだと思っています。しかし実際はラウンドFで資金調達を終える。 なぜかこのようになるんです。資本を獲得したいでしょうし資金調達にはあまり時間を使いたくないでしょうが、あまりに希釈率を大きくしすぎたくもありませんよね。

スピーカー6
異なるキャップについては?

Aileen Lee
ああそうでした、答えてください。

Geoff Ralston
私の個人的な意見として、キャップを投資家ごとに変えるのは、考えとして良くないですね。資金調達の間に時間差がある場合、それは大丈夫です。しかし、そうでない場合は、おそらく嫌な気持ちになった投資家たちに囲まれることになるでしょう。Aileenが言うように、投資家とは長い付き合いになるんですよ。それは健全な関係ではありません。

あなたは本当に投資家と結婚のような関係を結ぶんです。長期的な関係を。15分前に話した人が自分より良い取引条件を得たと知ったら、それは関係の出だしとしては良いものではありません。では、すぐそこの方。あなたですよ。

スピーカー7
どうもありがとうございました。早い段階でVCと[inaudible]と話したとおっしゃっていましたが、適切なレファレンスを得られることが全てだと思うんです。時にはVCはまた、米国出身ではない人を[inaudible]。この地域の外から来てるわけです、適切なレファレンスは持っていません。VCにアプローチするために、方法をお勧めしていただけませんか。

Geoff Ralston
どのようにVCにアプローチするかですか?お勧めの方法…

Aileen Lee
心を込めた紹介(Warm introduction)の 。

Geoff Ralston
その分野出身でない場合に心を込めた紹介を得るには。

スピーカー7
[inaudible]。
もしくは、スタンフォードやハーバード出身じゃない場合。

Aileen Lee
両方だと思います。多くの会社、特にシード企業は、いつもコールド・イントロ(全くお互い知らないところから一緒に仕事を始めること)をします。いつもコールド・イントロから入りますね。

そしてそれというのは、Eメールに書かれている内容に依存しています。例えばどの市場に参入するのか、もしくは何をこれまでに探りあててきたのか。私たちはただEメールを送ってきた人たちといつも会うんですよ。

Geoff Ralston
従来のVCは、多くのビジネスを引き受けましたが、誰もそういうVCの中の人を知らなかったんです。Sand Hill Roadにいて誰も彼らを知らなかったんですが、事業計画は届いていました。だからそういう会社は今でも存在します。

Aileen Lee
その通りです。でも私はなんらかの方法で心を込めた紹介を可能にするというのは、あなたが特に米国外部から来ている場合、ネットワークにあなたの熱意と能力を示し、関係を構築するテストのものであるので、役に立つと思います。

これが、みながフィルターとして心を込めた紹介を使用する理由の一つだと思います。もしコールドな、断りのような状況から上手く動き出す方法を見つけ出せないのなら、おそらく良い起業家にはなれません私は両方を試すでしょうね。

Geoff Ralston
私が思うのは、ここはかなり小さな世界だということです。誰もが皆を知っています。あなたがしなければならない唯一の事はAileenにつながる誰かを探すことです。3人ぐらいをつつけば、誰か見つかるでしょう。これは、あなたが考えるほどハードではありません。この辺から…はい。ここの方。

スピーカー8
最近Quartz Pitchbookにのっていた研究について質問があります。女性が創業者である会社は男性の会社よりも84%少なく価格査定をされると言う結果が分かったと言うことです。このこと、こういうことが起こる理由に対して何かお考えはありますか。

Geoff Ralston
ご質問は、女性によって設立された企業が、おそらく男性の創業した会社よりも84%少ない評価額だったと、ある研究が明らかにした、と言う事についてですね。産業を超えての正規化かはわかりませんね。

Aileen Lee
私は、その研究を読んでいません。そういう研究の多く…今ユニコーン企業のリストを見れば、リスト全体のうちで女性の創業者は二人だけです。ベンチャー全体の平均をとってみても、はい、もちろんそういう結果になります。これらの企業が、業界では過去10年間で駆動されていた金融資産の大半を占めています。

そのエクイティを所有している女性の共同創業者が一人もいないのであれば、そしてこれらが私たちの業界で最も価値のある企業であることを考えたら、ええ、その通りですね。シードラウンドの企業と投資家の組み合わせを同一条件で比べて見ていった場合、私の推測では、その分析でそういう結果が出るでしょうし、とくに今お話した、女性の創業した企業が、バイアスがかかっていることが一部原因となって、投資家に過小評価される傾向の理由になるでしょう。女性はまた、投資家側で仕事をし、バイアスをいくらか取り除くことができると思います。

そしてまた、女性創業者側に付いて、どのようにストーリーを伝え、どのようにピッチでプレゼンをするかについて手助けやコーチングすることもできます。幸運なことに私は、複数の入札者がいるという非常に競争のはげしい状況において、非常に健全な評価価格で、たくさんのお金を調達してきた何人かの女性と仕事ができました。

値段、というか収益やランレートに関連した倍数収益または実行レート等への倍数など、彼女たちの業績はかなり高かったです 。多くの場合、それは創業者が見つけ出したことと、そのストーリーをどのように話すかによるのです。

Geoff Ralston
ごめんなさい、時間が経ってしまったのであと1つだけ質問を取ります。後ろの方

スピーカー9
[inaudible]をいくらか共有していただけますか?

Geoff Ralston
ご質問は、ユニコーン企業の様々な特性を見て要因を分析している場合、意外に重要だったことはどんな要因だったか、ですか?

スピーカー9
重要な問題ではなかったか。

Geoff Ralston
どんな要素が予想外に重要ではなかったかですか。

Aileen Lee
良い質問ですね。今すぐお答えできる良い答えがないかもしれないですね。いつもシグナルを発しているところばかり注目していたので。どんなものがシグナルを発していなかったかすら覚えていません。

Geoff Ralston
はい。あと1つだけ質問を取りましょう。そこの方。

スピーカー10
では、2つ質問があります。

Geoff Ralston
1つだけでお願いします。1つ、1番聞きたいものを選んで下さい

スピーカー10
わかりました。中西部から来た起業家として、私は、投資家には受動的な剰余収入があるという考え方に慣れる必要がありました、それはだいたい時間あたり$ 500,000からで、時間を優先させます。特にテーブル上に配布された[inaudible]、探している、のような、「ねえ、100xはどうやって得られるのですか?」と聞くのです。無駄な費用を減らしてマーケットに商品を出したときのコストを減らそうとしているときに、こういう状況に行きあたるのです。投資家として、実際に市場に到達するための要件を可能にする目標と自分の投資家としての仕事をどのようにしてすり合わせるのですか?

Geoff Ralston
ええと、どうやってその質問を簡潔に言ったらいいか分からないのですけど。何かの目標を揃えることについてどうとか…

スピーカー10
[inaudible]と、スタートの時の小さな額のお金について。

Geoff Ralston
それに対する...分かりません。

Aileen Lee
待ってください、それと言うのは…..

Geoff Ralston
ちょっとうまく理解できたか自信がありません。

Aileen Lee
もう一度違う言葉で言ってもらえますか?

Geoff Ralston
そうですね。簡潔で、短い、一つの文章の、理解できる形で質問してみてくれますか?

スピーカー10
高いリターンを求めている投資家として、どのように市場へ向けての低い金額を考えている投資対象の企業とあなたの目標を揃えていますか?

Geoff Ralston
どのように投資家が求めている高いリターンと、非常に価格に敏感な市場で競争をしなければならない会社のバランスをとるか、ですか?これで正しいですか?

Aileen Lee
足並みは揃ってると思いますよ。投資家は、あなたと同じ目標を持っています。市場にプロダクトを出す手伝いをしますよ、そうするとプロダクトには需要があるかどうかすぐにフィードバックを得られますから。他に色々様子を探るための手伝いもします。

あなたにとってのMVP(最小限実行可能な製品)は何か、絶対必要なことに対して、あると良いなというものは何か。例えば、ピッチを聞くときによくあるのですが、「これくらいのお金が必要なんです、なぜならAndroidとiPhoneの両方用にサービスを構築する必要があるので」という人がいたとします。

私たち投資家は言うでしょう、「まだ市場の検証を何も得ていないですよね、両方の構築を一気にするべきですか?そのうちの一つにお金をかけてみて、ユーザーが気に入ったようであれば、それから、もう一つも作ることにしましょう。」これがそういう事例です。投資家というのは会社に足並みを揃えて、そしてプロダクトをどのように世に出して、フィードバックを得て、何かを学ぶ前にすべての資金を使い果たしてしまわないように一緒に働くんです。

Geoff Ralston
すべて同じところに行き着くんですね。はい、ここで止めてしまって申し訳ありませんね、皆さん。どうもありがとうございました。

Aileen Lee
ありがとうございます。みなさん、お越しいただきありがとうございました。

 

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: A Conversation with Aileen Lee – Moderated by Geoff Ralston (2018)

トランスクリプト: A Conversation with Aileen Lee - Moderated by Geoff Ralston

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