共同創業者と一緒に働く方法 (Startup School 2019 #10)

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Kevin Hale
これは京都で見かけた風景で、作業員が足場を解体しているところです。

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彼らは見事に連携して仕事をしていると思いました。

スタートアップの創業者たちは、この先10年続くような関係を最適化する方法を見つけなければなりません。

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知り合って数カ月、あるいは仕事上の付き合いだけの相手と良い関係を築くのは大変なことです。そのような関係を理解するためのモデルとして唯一考えられるのは、自分たちの両親でしょう。

そこでまず、結婚に関するある調査から話を始めたいと思います。

結婚に関する研究

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このJohn Gottmanはシアトルで結婚に関する研究を行っています。彼は『This American Life 』など多数のメディアで紹介されていますが、不思議な技の持ち主です。

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彼は、夫婦が喧嘩している様子を15分見るだけで、4年後に離婚するかどうかを85%の確率で言い当てます。そして、観察時間を1時間に延ばし夫婦に希望や夢を語らせた場合、その予測が当たる確率は94%に上がります。同じ動画を司祭や心理学者、精神科医、結婚カウンセラー、おしどり夫婦に見せても、その人たちの予測は偶然当たる程度でした。

John Gottmanは、口論の仕方に両者の長期的関係を左右する何かがあることを突き止めました。

喧嘩は皆がするもの

最も驚くべき発見の1つは、全く喧嘩をしない夫婦が長く関係を続けられたわけではないことでした。つまり、人は誰でも喧嘩をします。

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その上、喧嘩の理由は全く同じで、お金、子供、性生活、時間、嫉妬、義理の両親がその理由です。

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時間というのは、自由時間に何をするかです。

会社経営にも当てはまる

ここで興味深いのは、これらは全て会社の中での口論の原因に当てはまることです。皆さんと共同創業者はこれらの問題に直面するでしょう。

人は誰でも口論するという事実、そしてその原因となる要素について理解しておくと、とても役に立ちます。自分たちが情熱を傾けているものに、これからも共に取り組んでいけるかどうかを判断しなくてはならない状況に陥った時に、どのように対処するかプランを立てることができるからです。

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口論で回避するべきこと

私は、Johnの研究から、口論する際に回避すべきことが主に4つあると考えました。いわば、創業者間の関係が深刻な状況に陥る兆候です。では、これらを1つずつ見ていきましょう。

(目の前の問題以外への)批判

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1つ目は批判です。これは例えば、あなたが「今修正しようとしているこのバグが心配だ。予定通りにリリースできるかどうかもわからないし、不安で仕方ない」と思っている時に、誰かに「君は汚れた皿をシンクに山積みにしているよね。僕はそれが気に入らない」と言われるような場合です。

批判とは、1つの問題について口論するのではなく、関係ないことをいろいろ持ち出し、目の前の問題に対処しないことです。危険ですね。

軽蔑

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軽蔑は簡単で、他者を侮辱しようとすることです。「このバグが心配だ。予定通りにリリースできないだろう」という時に、誰かが「君の顔が気に入らない」と言う。これが軽蔑です。個人的な問題にすりかえることはやめましょう。ビジネスですから。

防衛

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これ(防衛)もわかりやすいと思いますが、問題に関して無責任なことです。問題があることを認めない人がいるため、先に進むことができません。人は皆、「自分は間違ったことは何もしていない」と自己防衛する傾向にあります。それが原因で、2人のうち、どちらか1人は「問題がある」と思っていても、問題を解決することができなくなってしまいます。

無反応

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次に、これ(無反応)は非常に危険なことです。「問題があるのに、相手が逃げてしまう」というような場合です。関与もしないし、あなたと話そうともしない。これでは解決のしようがありません。

事前に対策を立てる

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(スライドの写真を見ながら)皆さんはこれ(パラシュートを背負って飛行機から飛び降りる)をする前には必ずこれ(装備の点検)をするでしょう。

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それと同じです。

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事前にプランを立てましょう。

こうした「黙示録の四騎士」を回避し自分たちを守るのに役立つことを4つ紹介します。

分割統治

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1つ目は分割統治です。これは単純明快なようですが、共同創業者との関係構築の早い段階かつ会社のアーリーステージで行うべきです。

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先ほども言いましたように、これらは問題になりそうなことのリストです。

例えば、[Adora]と私の2人でスタートアップを立ち上げたとします。スタートアップのアーリーステージでは、彼女と私だけです。ここでどちらがどの責任者かを決めておきます。そして、何らかの問題が出てきた場合、そのカテゴリーの担当が最終的に意思決定をするか責任を負います。こうすることで保身を防げます。

嫉妬を見てみましょう(※訳注:他人や他社からの嫉妬)。嫉妬は主に競争に関するものです。スタートアップのアーリーステージでは競争について頭を悩ます必要はないでしょう。その時期の会社にとって、競争は命取りとはなりません。

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しかし会社が成長するにつれて、状況は変化してこのスライドのようになる可能性があります。役職や部門長にそれぞれ担当が割り当てられます。ですから、問題が出てきても、誰が担当するかわかっています。そして、このようなハイレベルの間でも問題が手に負えなくなったらどうするか。

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担当を決めたら成否のラインを決める

担当を決めたら、何が成功で何が失敗かを見極めることです。

さらに、事前に確かめておきたいのは「担当の割り当ては済んでいるが、意思決定を主導すべき担当者にどの時点で介入するか」です。

成功していれば介入せずに担当者が最善と思うことをやらせることができますし、失敗なら介入して対処する必要があると考えられます。

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これらは成功したケースで「資金調達に成功したら、担当者と相談したり別の人間に替えたりする必要はない。」「予定通り出荷できれば、競合の中でトップ3に入れば、あるいはうまく機能する紹介プログラムを開発できれば、担当者は良い仕事をしているし、批判する必要もない」などです。

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当然ながら「どの段階に来れば、立ち止まって現状について協議し、問題の解決を試みる必要があるか」ということを明確にする必要があります。権限委譲した後に問題が起きた時、これについて話をしようと切り出しにくいものですが、実は簡単なことです。

冷静なうちに感情的な問題を整理する

感情的に冷静な早い段階でこれをすべき理由は、腹を立てて感情が表に出てくると合理的思考ができないかもしれないからです。通常、最終決定権はCEOと会社にあります。権限を委譲していれば、問題の解決法に関してチームが異なる決定を下す可能性はあります。

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それでも最終的には、CEO職にある者が解決するのが一般的です。CEOに関する問題ならば、取締役会がそれを解決します。一般に、スタートアップのアーリーステージでは、取締役会は創業者のみで構成されていますから、最終的に創業者が対処することになります。

自分自身を知ること

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「黙示録の四騎士」に対する2つ目の防御策は、自分自身を知ることです。そうすることで「無反応」から自分を守ることができます。

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つまり、自分の愛着の型を知ることです。

1960年代、人はどのような関係を築くかに関する研究が行われ、大きく3つの種類に分かれることが判明しました。

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まず、安定型愛着スタイルとは「私は自分から相手に歩み寄るし、相手を信頼するし、相手は私を信頼する、そうしてお互いの関係を築いている。私は自分の弱みを見せることを気にしないし、相手が自分に弱みを見せることも気にしない」というものです。これが安定型愛着スタイルです。

不安型愛着スタイルとは「私は自分が望むような愛情を十分に注がれていない。相手にすがりつきたいし、相手にも[聞き取り不能]『私と一緒にいたい』と思ってほしいが、それは難しいと感じている」というものです。

またこの他にもう1つ「人との関係構築が難しく感じる。とても怖くて時々逃げ出したくなる」とか、「自分のせいでこれが台無しになってしまわないか心配だ」という(回避型愛着)スタイルがあります。

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共同創業者との間では特に、相手の愛着の種類を知ることが非常に重要です。それによって意見の相違を理解し解決できる方法が決まるからです。おもしろいことに、世の中で最も一般的なのは不安型愛着スタイルの人と回避型愛着スタイルの人だそうです。

要するに成熟した安定型愛着スタイルの人は少ないということですね。そして、不安型愛着スタイルの人と回避型愛着スタイルの人は、一緒にいたがる傾向にあります。逃げ出したい人と、しがみつきたい人です。

意思決定をする時や、問題・緊張関係に対処する時に他人から距離をおきたい人もいれば、対立や問題を処理する際に絶えず誰かに確かめたい人もいます。この2種類の人間が一緒にいて相手が求めるものを理解していなければ、物事を進めるために歩み寄ることもできません。

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愛着の種類については優れた書物がたくさんありますしWikipediaにも説明がありますが、私がお勧めしたいのはSchool Of Lifeが制作したこのYouTube動画です。自分が逆のタイプの人と一緒にいる場合、協働するにはスタイルの違いを越えなければなりません。

例えば、自分が不安型愛着スタイルで、回避型愛着スタイルの人と話をする場合、相手が距離をおきたいことを理解するべきです。これは相手が自分を避けているということではありません。また、自分が回避型愛着スタイル、相手が不安型愛着スタイルで、自分は距離をおきたいのに、相手はそうではない場合「ちょっと時間をください。あなたがこれに関する回答を求めていることはわかっています。少しこの場から離れて考えさせてください。この件に関して必ず話す時間を持ちます」と相手に理解してもらう必要があります。

プロセスを文書化する

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次に、プロセスを文書化することです。これによって「批判」を回避することができます。

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感情的に冷静な時に意見の相違を収拾するためのプロセスを決めておくのが良いでしょう。腹を立てたり、怒ったり、感情に支配されている時は合理的な考えができないからです。

後悔することや意図しないことを言ってしまう可能性があるでしょうし、相手が同じことをする可能性もあるでしょう。そうなると、修正できず予定通りにリリースされないバグとは全く異なる問題が出てくるでしょう。

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この件に関して紹介したい事例の1つに、[Matter]という会社があります。彼らは意見の相違を解決するためのスプレッドシートを作成しました。これは意見の違いを解決する意思決定のためのフレームワークです。

意見が対立した時にそれを文書化しようというもので、それによって物事の透明性が高まり、互いを非常に明確に理解できるようになります。様々な選択肢、意思決定をした者、その内容、実施日、根拠を記入しておきます。そしてこのようなプロセスを文書にしておけば、意見の相違が出てきても「私たちにはこれに対処するためのプロセスがあり、エクセルに従って記入していけば解決できる」と安心できます。

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意見の相違を解決する方法は他にもたくさんあり、このフレームワークに従わないといけないというわけではありませんが、彼らはブログでこれが非常に有効である理由を述べています。

とにかく、問題が発生した時にすべきことを事前に同意しておくことが必要です。冷静さを欠いた時の対策として「まず外の空気を吸ってこよう。ボローニャサンドイッチを食べよう。仮眠を取ろう。それからどうしたら良いか考えよう」というプロセスがあるかもしれませんし、「明確な意見の相違があって両者とも引かない場合は、コインを投げて運を天に任せよう。運命の女神に決めてもらおう」というプロセスもあるかもしれません。

しかし、方法は重要ではありません。とにかく両者が合意することです。

非暴力的なコミュニケーションスタイルを使うこと

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(スライドを指して)この戦略を採ることで「軽蔑」を回避できます。険悪にならないように相手とコミュニケーションを取る方法を理解していれば、争いが個人的なものにならずに済みます。

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この件に関して素晴らしい本があります。それはMarshall Rosenberg著『Nonviolent Communication(邦題:『NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法』 )』という本で、相手を批判、侮辱することなく、またけなすことなく、真摯な態度で接する方法を教えてくれる一冊です。

この本に書かれている魔法は、いわゆる「Touchy Feely(人との感情の触れ合い)」を苦手とする人にはいささか胡散臭く感じられるかもしれません。何かについて批判をする時は、この(スライドの)フォーマットに当てはめようというものです。

フォーマットは「[何らかの観察]の時、私は[感情]を感じます。そこには[普遍的欲求]があるからです。ですから、[要求]してもらえませんか?」というものです。

では、これらのパートを1つずつ見ていきましょう。それぞれが巧妙で、できるようになるには一生かかると言っていいほど難しいものです。

観察と評価

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1つ目は、評価するのではなく観察することです。対立や批判をする時は具体的なことを根拠とします。意見のようなものではなく、実際に自分が見聞きしたことです。噂で聞いたことや感情的なこと、あるいは意見のように聞こえることとは違い、実際に起きていることは否定できないからです。

例を挙げて説明しましょう。観察とは「『あの文書を送ります』と先週聞いていたけど、まだ届いていないよ」というものです。これは正しい観察です。一方、ついカッとなって「なんて怠慢だ」と言ってしまうのが評価です。これは観察のように思えますが、そうではありません。これは相手を評価しています。

別の例を挙げましょう。「君の仕事は雑だね」というのは客観的ではありません。そうではなく、「この報告書だけど、数字が間違っている箇所が3つあったよ」というところから話を始めます。「君はいつも遅刻するね」と一般論を言わないようにしなければなりません。これは評価です。

「今朝のミーティングに10分遅刻したね」というのが観察です。「私を無視している」というのが評価で、「君にメールを2通送ったけど、まだ返信がないよ」というのが観察です。

つまり、観察から始めるというのは、否定できない事実から始めるということで、そうすれば別のことで言い争うようなことにはなりません。

感情と思い

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このような評価は、瞬時に自分を感情的にするため、十分に注意しなければなりません。批判を始める時は、評価から始めてはいけません。

次のポイントは、自分の感情について話すことです。否定できない観察をしたら、何らかの感情が芽生えます。ここで留意すべきは「思い」ではなく「感情」を話すことです。

これは奇妙に思えますが、次のポイントにつながります。「感情」とは、例えば「イライラする(I feel frustrated)」ことです。これを「思い」にすると「君はこれを真剣に考えていないと思う(I feel that you aren't taking this seriously)」となります。

思いと感情を見分ける方法は「私は~だと感じる(I feel)」というフレーズを「私は~だと思う(I think)」に置き換えて通じるかどうかです。

つまり「イライラすると思う(I think frustrated)」ではおかしいので、これは感情です。「君はこれを真剣に考えていないと思う(I think that you aren't taking this seriously)」と言い換えられるので、これは思いです。

私たちが特に注意しなければならない感情がいくつかあります。

1つは怒りです。怒りには他の多くのことが絡んできます。つまり、誰かが「君に腹が立っている」と言っている時や自分が怒っている時は、怒りの原因、怒りを誘発しているものを具体的に認識する必要があります。

2つ目は評価的感情です。評価の要因が何かを見極めなければなりません。例を挙げて説明しましょう。

私は自分が責められていると感じています。誰かが自分を評価し、自分が責められていると感じています。その実際の影響は、恐怖心を抱くことです。誰かが自分を非難しているので、恐怖を覚えています。何らかの評価的感情を抱く場合に、その要因を理解するにはかなりの労力が必要です。

別の例を挙げましょう。私は評価されていると感じています。その影響で、憤慨しています。「自分は誤解されている」と感じることに対する影響は、「イライラする」となります。「自分は拒絶されている」と感じることに対する真の影響は、「傷ついている」ということです。

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難しいですね。とても難しいと思います。このプレゼンテーションの資料にPDF文書へのリンクを載せています。この3ページの文書には、評価的感情と自分に実際に起こる感情、それに関連した普遍的欲求がまとめられています。

これに関連して次のポイントに移りましょう。

普遍的欲求

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あらゆる負の感情には満たされない普遍的欲求が存在します。

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つまり、不満、非難、恐怖または苦痛などの感情を抱いている時には、何か求めるものが欠けているということです。普遍的欲求について難しいのは、それが戦略なのか、欲求なのか、そして本当に普遍的なのかを慎重に見極めることです。

例を挙げましょう。「サンドイッチを食べたい」というのは普遍的欲求ではありません。気を付けてください。「栄養を摂るためにサンドイッチを食べたい」というのは、むしろ戦略です。

もっと良い例は、そうですね。「私に全てのメールをコピーしてください」というのは具体的で、普遍的欲求ではありません。「このプロセスを明確にしてほしい」というのが普遍的欲求です。自分自身やその状況だけに当てはまるニーズを挙げないように気を付けましょう。

普遍的欲求というのは、皆が同じように持っていると同意できる欲求です。「私はサポートを必要としている」というのは普遍的欲求ですが、それを「君のサポートを必要としている」と言ってしまうと普遍的欲求ではなくなります。全員がHenryからのサポートを必要としているわけではないからです。全員がサポートを必要としていても、「君の」と言ってしまうと普遍的ではなくなります。この点は十分に気を付ける必要があります。

要請と要求

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次は要請(request)と要求(demand)です。「私が気付いたのは否定できない事実だ。感情とそれが私に及ぼす影響について話した。そして、それは全員が同意する普遍的欲求につながることを話した。その結果、どう変わるか」となったら、ここで必要なのは要求ではなく要請です。

要請とは普遍的欲求を満たすために相手に提案することです。「何々をしなさい」と要求するのは簡単ですが、要請は具体的でなければいけません。

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「もっと敬意を表しなさい」というのは好ましくありません。なぜなら、敬意の定義は人それぞれだからです。自分が思う敬意は誰かが思う敬意とは違うかもしれません。「時間通りミーティングに来てください」というのが要請です。

また、してほしくないことではなく、してほしいことを要請してください。「他者のアイデアを即却下しないように」と言うことはありますが、これは自分がどうしてほしいかということを示していません。「ではどうしたら良いのか」ということが明確ではありません。「チームメンバーがアイデアを話し合う時は、結論に至るまでに突っ込んだ質問を2~3つしてください」と言うのが良いでしょう。

3つ目は興味をそらさないことです。何かを要請して「ノー」と言われることもあるかもしれません。この場合、「プロセス全体が機能していない」などとわけのわからないことを言うのではなく「自分のためだけではなくもっと多くのニーズを満たすような要請をしていなかったかもしれない。全員が理解し、当事者意識を持てるような要請の方法はないだろうか」と考えましょう。

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これについてもっと詳しく知りたい方は、Dave Bailey が執筆した『How to Deliver Constructive Feedback in Difficult Situations』という記事があります。記事へのリンクも載せています。彼はこの問題をかなり深く掘り下げており、難しいフィードバックを行う際の始点として非常に良い参考となります。

「感情的負債」を日々減らしていくために

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技術的負債とは何かは、誰でも知っています。ソフトウェアをかなりの短期間で作っている時「これはうまくスケールしそうにない。やっつけ仕事になりそうだが、とりあえずこれを完成させて、後日手直しをしよう」ということがあります。

私たちが他者と関係を構築する時は感情的負債が発生します。技術的負債とは異なり、感情的負債は長く抱えておくものではありません。

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感情的負債は日々減らしていく必要があります。

John Gottmanの研究で、良好な結婚生活を送っていた人は大きな問題だけを言い争っていたわけではなかったことも明らかになりました。彼らはつまらないことや小さなことでもすぐに話題にし、決して小さい問題を中くらいの問題、そして最終的に大きな問題になるまで放っておきません。「食べながら話すのが気になるから止めてもらえない?」というようなことでもすぐに話し合います。相手を尊重しながらです。

共同創業者と微妙な関係にあり、厄介な問題を抱えている場合、ニーズを迅速に伝えることで些細なことが大きな問題になるのを防ぐことができます。これを始める最善の方法は実践です。

レベル3の会話:2者間の極めて重要な会話

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YCではこれをレベル3の会話と呼んでいます。レベル1は、相手とデータ交換や情報のやり取りをする時の普段の会話です。レベル2は、感情を伴い、個人的な件に関する会話です。レベル3は、相関的で、2者間で現在起こっている極めて重要なことに関する会話です。これは、真の問題、両者にとって重要な問題を深く掘り下げるものです。

スタートアップでは、社員全員にとって重要なことが山ほどあります。皆さんが講義終了後から実践できるものを例に説明しましょう。

ゴールについての問い

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1つ目は目標で「当社の短期的目標は」などが良い例です。会社の短期的目標を共有していない人がどれほどいるかを知ったら、皆さんは驚くことでしょう。

次は「適切なメトリックを使っているか」です。メトリックに関する講義は先日行っています。皆さんはその答えをすでに見つけていることを願います。

そして最後は—これはhiringではなくhittingの間違いですね。「目標を達成しているか」です。

役割についての問い

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次に役割について「誰が何を担当するか」、これは慎重に扱うべき問題です。「誰が何を担当するか明確になっているか」です。それについて話し合っておきましょう。

次は「現在の割り当ては最も理に適ったものか」です。これについては非常にシンプルな回答となるかもしれませんが、何らかの意見の相違がある場合はそれについて徹底的に話し合うべきです。

パフォーマンスについての問い

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そして次はパフォーマンスです。「現状の業務分担は最適な方法で行われているか」「全員が仕事に対して非常に献身的でモチベーションを感じているか」、これは日々確認すべきことです。

その他「相互にフィードバックを行うためにどんなメカニズムが導入されているか」「感情的負債を減らすための時間を捻出しているか」「いかなる時もこうしたレベル3の会話ができていると感じているか」「社内事情に関して率直に語れるようなプロセスは導入されているか」などがあります。

まとめ:一緒に働く方法

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そして、共同創業者との付き合い方に関しては留意すべき点がいくつかあります。人は誰でも口論をします。ですので、計画を立てておきましょう。感情が絡む前に、つまり冷静なうちに自分の愛着の種類や自分の役割、自分の目標、プロセスを理解しておきましょう。

非暴力的なコミュニケーションを使い、批判のない率直なフィードバックを共有し、日頃から感情的負債を減らすことです。これが物事を破滅的レベルになる前に確実に解決するための最も健全な方法です。

難しい会話を今から始めましょう。皆さんのうち2人、3人、4人、あるいは7人にはまだ話し合っていない話題がきっとあるでしょう。

本日はどうもありがとうございました。

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Q&A

では、質疑応答に入りましょう。感情に関する問題を話したい人はいませんか。はい、そこの方、どうぞ。

共同創業者が去った後の手続き

話者2
先週、共同創業者の1人が会社を去りました。

Kevin Hale
それはお気の毒に。

話者2
これは私たちの[聞き取り不能]に多大な影響を与えましたが、将来的に[聞き取り不能]のような[聞き取り不能]がないように、話をまとめ、文書にし、相手に署名させるのは早すぎるでしょうか?

Kevin Hale
「会社を去った共同創業者がいて、問題解決に必要な法的手続きをするには遅すぎるか」という質問ですね。

話者2
いえ、私たちの会社はまだ登記していませんが、早すぎますか?

Kevin Hale
まだ登記をしていない場合、厳密に言えば株式が争いの原因になることはなく、原因となるのは過重労働だけです。慎重を要する可能性がある唯一の法的事項は、社員には労働の対価が払われるべきという理解があったかどうかです。しかし、おそらく契約はないと思います。

創業者間には、こうした問題が生じることもありますね。これは、「我々はこのプロジェクトに取り組んできたが、自分たち自身への給料はまだ払っていない」といった場合に起きる問題です。腹を立てて会社を去った者が、最低賃金すら払われていなかったことに対して、「自分がやってきた仕事に対する対価が支払われていない」と訴訟を起こす可能性があります。そうした場合も、契約は締結されていないのだと思います。

自分自身を守るための是正措置をとるのに早すぎるということはありません。ベスティング制度などの導入や、創業者間の関係、「エクイティは誰が所有するか」、「CEOは誰か」、「最終的な意思決定者は誰か」などを明確にしておくことが絶対に必要です。そうすることで、将来的に問題が発生するのを防ぐことができます。はい、そこの方どうぞ。

解雇か、もしくは関係構築か

話者3
チームの構築を始める時、迅速に解雇することと良好な関係を構築することをどうバランスさせれば良いでしょうか?

Kevin Hale
「チームを構築するなかで、いかに迅速な解雇と良好な関係の構築を両立させるか」という質問ですね。願わくは、すでにお話ししたことをできる限り行って良好な関係を構築してください。しかし、あらゆる手を尽くしても、相手が関与しない、非暴力的な方法でコミュニケーションをしない、問題を防ぐことをやろうとしない場合があります。

そのような対立には、先ほどお話しした「黙示録の四騎士」が関係していることはおわかりでしょう。ある人に対して、「私たちは事前に話し合いをして対処方法を決めていたのに、君はそれに従おうとしない。私に言わせれば、君は自らが合意した責務を果たしていないと思う」という状況になった時は、その兆候だと考えられます。

物事にはバランスがあります。手を尽くしてもうまくいかなかった場合は、先へ進む必要があります。そうしないとチーム内の他者やその他の士気に影響を及ぼしてしまうからです。

私が知っている創業者の中で、問題のある者をたまりかねて解雇した結果、後悔をしている人はいません。皆「なぜもっと早くやらなかったのだろう」と言います。この件に関して私が耳にした最高のアドバイスは、PayPal創業者であるMax Levchinの「疑わしいことは、もはや疑いではない」という言葉です。つまり、何かが間違っている、問題があると感じ始めたら、それが消えることはありません。

そうなると、そうした関係に関する問題に、会社を成長させるために費やすべき精神力や尽力を取られてしまいます。はっきり申し上げますと、精神的・感情的に複数の問題を抱えているスタートアップの運営は非常に困難です。非常に難しいことです。これまで多くのスタートアップがそうしたことで終わりを迎えています。はい、後ろの方どうぞ。

厄介な創業者をどうするか

話者4
大きな成功を収めた創業者の中には人間らしくないことで有名な人もいます。共同創業者の1人がそういうタイプだった場合、Steve Jobs的共同創業者を解雇することなく、どのように対処すれば良いでしょうか?

Kevin Hale
世の中には厄介者で有名な創業者がいて、それが共同創業者の1人であった場合にどう対処するかということですね。創業者たちは、どんな会社を作り上げたいかを一緒に考える必要があります。そして、相手がそのような態度をとって構わないのかどうか、その合意の判断は皆さんにかかっています。

YCの考えを説明しましょう。YCの立ち上げ当初、PGは「自分が毎週夕食を共にしても良いと思える相手にのみ、資金を提供する。なぜなら、彼らとは多くの時間を過ごすことになるからだ」と言って、自分本位なプログラムの最適化を図っていました。彼は「厄介者を排除」したわけです。

その理由は、厄介者は2005年当時の創業者CEOのロールモデルであるSteve JobsやBill Gatesのように大きな[聞き取り不能]会社を設立できないと考えたからではなく、彼自身の時間やエネルギー、存在のための最適値を求めていたからです。

これには驚くべき付随現象がありました。部屋は彼が夕食を共にしたい人間で溢れかえり、彼らは互いに助け合い、今では10億ドル企業の創業者且つYCコミュニティの優秀なメンバーとなっています。これがYCのネットワークが非常によく機能している理由の1つです。

スタッフの採用や他者の心を掴み、わくわくさせることに長けている彼らは、投資家にも一緒に仕事をしたいと思われ、容易に資金調達をすることができます。要するに、私たちは最適化を図ることで厄介な創業者との関係を排除している、と言えます。

その結果として利益を逃してしまうことがあるかもしれません。しかし、私は年間100社以上の新会社と共に仕事をしていて、これまで接してきた会社は1,000社以上、約2,000社に上り、結果的に卒業生で構成される巨大なネットワークが生まれています。その中に、人の足を引っ張るような厄介者がたくさん混ざっていては困るわけです。

優れた人物に対する多くの反例はありますが、スクールで学び始めた全ての人がそうあってほしいと私が望んでいることは、絶対的権力と恐怖で支配する会社よりも、もっと経営しやすい会社を作ってもらうことです。はい、そこの方。

どのようなポリシーを定めるべきか

話者5
厄介者を排除するポリシー以外で、線引きをするためのガードレールやベストプラクティスはありますか?

Kevin Hale
「線引きをする上で、厄介者の排除以外のガードレールやベストプラクティスはあるか」という質問ですね。それについてはここで話をしていませんが、PGが話していたように、「自分が多くの時間を過ごしたい相手か」を考えることです。「この人は私の邪魔をしないだろう」「この人は本当に必要か」、だったら「この人と多くの時間を過ごせるだろう」と考えられます。

逆に、「この人は全然楽しくない」「プライベートで一緒にビデオゲームをすることはないだろう」「この人とはやっていけない」という場合もあります。皆さんが最適値を求めているのは「10年間このアイデアに取り組んでいけるか」ではなく、「この人物と10年間、多くの時間を過ごせるか」です。

先ほどの厄介者の話と関連していると思うかもしれませんが、これは全く異なります。関係構築に対するニーズとは全く違うものです。他に何かあるかというと…今すぐには思い付きませんが…あ、ありました、相手は信頼できる人でなければなりません。会社の一部を任せるとしたら、その相手にエクイティの半分を与えることになるかもしれません。そこで「この人は何があろうと会社にとって正しいことをする」と100%信じられれば、両者の間でエクイティを譲渡したり分割したりすることは難しくありません。

しかし、共同創業者を信じられない場合は、相手を細かく管理するでしょう。彼らが何をしているか気になり、ビジネスについてではなく相手について考えることに時間を費やしてしまうでしょう。自分が本当に信用できる人物をいかに見つけるか、あるいは自分は他人を信じて苦労を分かち合えるタイプの人間かどうか見極めることが重要です。

共同創業者や社員と一緒に働くということはまさに「自分だけではこれはできない。君が必要だ」と謙虚になることだからです。そして、そうした弱さについて、ほとんどの人は理解していません。

多くの人は、共同創業者を誘うには、「私はとてつもなく優秀な人間だ。そんな私と一緒に働ける君は幸運だ」と言うべきだと思っています。私が一緒に仕事をしたいと思うのはそういうタイプではなく、「私はこういう仕事をしている。君がチームに加わってくれれば、2倍速くそれを実現できると思う。君がここに来てくれたら自分は本当に幸運だと思う。私の会社に来てくれないか」と言ってくれる人です。

こうした態度の違いは非常に大きいです。はい、そこの方。

話者6
私ですか?

Kevin Hale
はい。

関係性をどのように確認するべきか

話者6
そうした関係性をどうやって確認すれば良いでしょうか。結婚前のデートのようにするのでしょうか。まずは契約ベースで雇うのはどうでしょう。単独創業者でうまくいった例はありますか?

Kevin Hale
最初のデートでいきなりプロポーズしないのと一緒で、関係性を試す、ということですね。大抵の人は、そんなにすぐ話に飛び付かないものです。

「Blockchainって好きですか?」、「好きです」、「それなら、Clerkyで作成したこの文書にサインして、私と一緒に4年間のベスティング契約に同意しませんか?」というようにはいきませんよね。

あなたがおっしゃったように、相手と契約を結ぶのも1つの方法です。資金を手にして誰かと一緒に働くことを試してみたい場合には使える手です。その好例が37signalsです。Jason FriedはフォーラムでDavid Heinemeier Hanssonを雇い、雇用者と被雇用者という関係を経て2人は共同創業者となりました。

私は、小さなことから始めることをお勧めします。いきなり結婚するのではなく、映画デートなどから始めましょう。つまり、一緒にプロジェクトをやってみることです。それは会社の最終的な姿ではないかもしれませんが、自分の会社を立ち上げているなら、他の人にも関わってもらいたいプロジェクトがあるかもしれませんね。

そして、その前には多くのステップが存在します。

まず1つ目は、良い会話をすることです。自分たちは常に良い会話ができているだろうか、アイデアに関する意見の相違を言えているだろうか、対話の結果、新しいものや、より興味深いことを発見できているだろうか、互いに懐柔することなく高め合える関係だろうか、と考えてみましょう。

多くの会話をすることは有効です。そして、互いを立てることです。自分と相手は別のアイデアを持っているかもしれません。お互い自分のアイデアをあきらめたくないとします。私なら、相手を立てながら、互いのアイデアにそれぞれ取り組んでみます。

そうしながら「この人物は約束を守るか」「一生懸命働くか」「私が不得意なことを代わりにやってくれるか」「自分に敬意を表してくれるか」といったことを観察します。互いの交流の中で、些細なことから仕事上の小さな関係がたくさん構築されます。まずは「あなたは良い共同創業者になってくれると思います。一緒にやってみませんか」というような会話から始めれば良いと思います。

少々前のめりですが、非常に率直な言い方もできるでしょう。「ずばり言うと、共同創業者を探しています。あなたはぴったりの人物かもしれません。小さなことから一緒に始めて、徐々に広げていきましょう。まずはカレンダーにスケジュールを記入して、どうなるか見てみましょう」という感じです。

この手を使ったのが、PlanGrid創業者のTracyです。彼女は自身が出演したポッドキャストで、Googleカレンダーの招待機能を使って共同創業者候補と毎週数時間ブレーンストーミングだけをしていたと話しています。「私たちには大きな可能性がある。定期的にアイデアを話し合っていれば、何か思い付くかもしれない」というのが彼らの考えでした。

おかしな話ですが、実際に共同創業者となったのは、当時Tracyが付き合っていた男性でした。Tracyは自分のGoogleカレンダーに彼もアクセスできるようにしていました。実に現代的な付き合い方ですよね。

彼女のカレンダーを見た彼は、「毎週数時間、この男と定期的な予定が入っているが、これは何だい?彼と何をやっているんだ?」と聞いたことでしょう。そしてTracyは、「ブレーンストーミングの時間よ」と答えたでしょう。

この時、彼女が取り組んでいたのは、iPad上で建設文書や図面を閲覧する方法の開発です。それを聞いた彼が、「なんだよTracy、僕はIOSのエンジニアだぞ。どうして今まで話してくれなかったんだ?」と言い、こうして新しい会社が誕生した、というわけです。はい、そこの方。

話者7
リモートで働いている時の[聞き取り不能]関係です。

Kevin Hale
もう1度言っていただけますか?

リモートでの共同創業者との働き方

話者7
リモートで仕事をしている共同創業者との関係を強化する方法はありますか?

Kevin Hale
「チームと離れて働いている場合に関係を強化する方法は」という質問ですね。これは実に興味深いです。この件について私はMikeと少し話をしました。彼はZapierの創業者の1人で、YCのポッドキャストをやっています。

リモートワークを行っている場合は、皆が同じ建物内で働いていれば気にかけないようなコミュニケーションや関係構築に関して事前にしておくべきことがたくさんあります。

1つ目は、高い信頼をおくことです。何をすべきか、何をリリースするか、何ができたかを明確に把握し、全員が同じ方向に向かっているかどうか把握する必要があります。多くのことを共有しなくてはなりません。これは同じスペースで仕事をしているなら、あまり実践する必要のないことです。話し合いの中で自然に出来るからです。一方、リモートワークではこれに関する計画を練っておく必要があります。やるべきことを熟考してください。

2つ目は、書くコミュニケーション能力に長けている必要がある、ということです。 そうすれば、「問題が起きた」「解決しなくてはいけないことがある」などと切り出すのがとてもうまくなるでしょう。また、それと同時に、「とりあえずこの人を信じてみよう」と思える力も必要です。

創業者はリモートワークをさせている社員を信頼しなければなりません。相手は自宅で働いており、自分からは相手が働いている姿を見ることはできません。「あなたの仕事ぶりは見えないが、会社にとって最善のことをしていると信じている」というのがリモートワーカーとの間にあるべき関係です。

このような強固な感情は、同じ建物の中で一緒に働いていると当たり前で特に意識することはありませんが、別の場所で働くようになると、途端に「彼はまだちゃんといるのだろうか?」「何かしてくれているだろうか?」といった疑問が湧き出て、状況が変わってしまうかもしれません。

ですので、これらのことを事前に言明しておくことがリモートワーキングを成功させる唯一の方法であると私は考えます。むしろ、オフィスで皆が一緒に働いている場合に、自分が無頓着であることは何かを認識しておく必要があると思います。コミュニケーション、透明性、信頼など多くの点でリモートワーキングチームの方が、より進んでいるからです。そこの方どうぞ。

対立している問題をどのように緩和させるか

話者8
素晴らしいアドバイスです。予防策という観点から私が考えているのは、実際に対立があった後に緩和を試みる時どうすればよいのでしょうか?何かヒントはありますか?友人に頼めば良いのでしょうか?

Kevin Hale
「今、まさに対立しているという場合、問題をどう緩和させるか」という質問ですね。

まず、自分たちの争いが非生産的だということに、誰かが気付く必要があります。それを口に出し「これはうまくいっていない」と皆が同意する必要があります。私の会社で以前活用したテクニックをお教えしましょう。これはむしろ生産性と関連した話でしたが、最終的に多くの対立を解決することができました。

リモートワークをしていた[Wufoo ]では皆ミーティングをしたがらず、全員が週のうち1日をカスタマーサポートに費やしていました。そこで、会社のためのあらゆるミーティングを金曜日の半日に行うことにしました。つまり、金曜日は半日ミーティング、その他の1日はカスタマーサポートに費やしていました。

エンジニアが仕事をするのは週のうち3日になりましたが、誰にも邪魔されず丸3日仕事に集中できることは週40時間働いているふりをするよりはるかに生産的であると確信していました。お互いを邪魔しない、ということです。

これを効果的にするために、私たちはあるポリシーを策定しました。それが15分議論ポリシーで「15分以内で終わるものであれば、誰でも直ちに議論を持ちかけることができる」というものでした。15分経過したら「この件は終わりにして、金曜日のミーティングで話をしよう」となり、To Doリストの次の項目に移ります。

難しいことに取り組んでいたら、やるべきことが山ほどあるはずで、たった1人に時間をとられたくないからです。このポリシー導入により、社員は問題について一晩考えられるようになり、不思議なことに翌日には「他の手を思い付いた」だの「大きな問題ではなくなった」だの「寝たらどうでもよくなった」だのと言うようになりました。

そして、金曜日が来て「未解決の問題は?」と聞いても、話すべきことはほとんど無くなっていました。人は頭を冷静にして問題を違う視点で考える時間を与えられると「力を合わせて働くためのもっと良い方法」に気付けるものです。これはかなりの効果があります。

しかし、皆さんに言っておきたいのは、まず誰かが「これはうまくいっていない。このプロセスを変える必要がある」と認識しなければならない、ということです。このプロセスの一部は、私が説明してきたステップでしょう。

最悪のシナリオに近い場合は、創業者たちがカップル・カウンセリングを利用することです。これはベイエリアではよくあります。YCでも発足当初はほとんどありませんでしたが、今は共同創業者が何らかの仲介者を利用するのが一般的になっています。

この仲介者は、両者の関係に関するあらゆる問題について話し合いをフォローしてくれたり、お互いに、今もまだ共通の価値観とミッションがあることに気付かせてくれたりします。自分が必要とするアプローチの方法は色々あり、譲り合うなり合意するなり譲歩するなり、両者が必要とするものを得られる方法は必ずあるはずです。

次を最後の質問にしましょう、そこの方どうぞ。

愛着の種類を変えることはできるか

話者9
時間をかけて「愛着の種類」を変えることはできると思いますか?

Kevin Hale
「人は時間をかけて愛着の種類を変えることはできると思うか」ですね。そうであると私は思いたいです。人は最終的に安定型愛着スタイルになれると私は思いたいです。ちなみに、私の愛着の種類は間違いなく回避型、拒絶型です。

例えば、誰かが「問題がある」と言ってきた時、私は「いやいや、問題なんてない。大丈夫、平気だ。私たちは優秀だし、今すぐ何かしなくてはいけないという事態ではないだろう」と言って一旦退散します。時が経つにつれて私は自分がそういうタイプだと理解し、「私はどうしてもこれに関して一晩考えたいです。そうさせてもらえませんか。明朝、必ず一緒に相談して問題に取り組みますから」と言えるよう、できるだけ努力を重ねています。

これはまだ、私が安定型愛着スタイルになったと言えるものではないですが、少なくとも自分の弱さを認め、最終的には「一晩考える必要はないです。今すぐ、一緒に合理的に解決してしまいましょう」と言えるところへ徐々に近づいていると思います。それが目標です。では、ここまでにしましょう。どうもありがとうございました。またお会いしましょう。

 

記事情報

この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文: How to Work Together (2019)

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